JP2004343919A - 直流電動機用回転子 - Google Patents

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Takeshi Shimoyama
武志 下山
Shinji Usami
伸二 宇佐見
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Abstract

【課題】アーマチャコアのウエイト挿入孔へのバランスウエイトの挿入が容易で、挿入後はバランスウエイトがしっかりとウエイト挿入孔に保持される、直流電動機用回転子を提供することである。
【解決手段】回転軸12と;回転軸上に取り付けられ、複数のスロット16と、複数の平面部で区画された複数のウエイト挿入孔18とが形成されたアーマチャコア15と;各スロットに挿入された複数のコイル20、22と;ウエイト挿入孔に挿入され、各平面部19aに当接された複数の平面部33aを持つ本体部32を含む、棒状のバランスウエイト30と;から成ることを特徴とする直流電動機用回転子。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直流電動機用回転子、特にその重量アンバランスが調整されたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
直流電動機の回転子は回転軸、アーマチャコア及びコイルを含む。ハウジングにより回転可能に支持された回転軸上に、多数枚の薄板円板を積層して成るアーマチャコアが取り付けられている。アーマチャコアの外周寄りに形成されたコイル挿入孔にコイルが挿入されている。
【0003】
コイルの端部をアーマチャコアに接着する接着剤の塗布量のアンバランス等の原因で、回転子に重量アンバランスが発生することがある。重量アンバランスのあるアーマチャコアが高速で回転すると、うなり音や振動が発生する。
【0004】
図5及び図6に示す従来の回転子(特許文献1参照)では、アーマチャコア50の複数のスロット51にそれぞれコイル52が挿入されている。また、重量アンバランスを調整するために、アーマチャコア50のウエイト挿入孔54(以下、従来例では「挿入孔54」と呼ぶ)にバランスウエイト55を挿入している。挿入孔54は横断面円形状である。バランスウエイト55は全体的に丸棒形状で、軸方向中間部56に、円周方向で交互に形成され軸方向に延びる多数の凸条と凹溝とから成るローレット面57が形成されている。中間部56の両端に一対のテーパ部58が形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−298577号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記バランスウエイト55のローレット面58はローレット工具により形成される。しかし、ローレット面58の凸条は挿入孔54の(横断面円形状の)内周面に線接触するので、バランスウエイト55の挿入時に凸条がつぶれ、挿入孔54への保持力が不足し易い。保持力が弱すぎると、高速回転時にバランスウエイト55が挿入孔54から抜けるおそれがある
一方、ローレット工具によるローレット面58の加工時ローレット工具が摩耗し易く、所望形状のローレット面58を形成するためには、ローレット工具を頻繁に交換しなければならない。摩耗したローレット工具でローレット加工を続けると、バランスウエイト55の外径が大きすぎて挿入孔54への挿入が困難になることがある。
【0007】
以上の理由により、挿入孔54の内径及びバランスウエイト55の外径を、挿入が容易で、しかも挿入後は抜けにくい形状及び外径寸法(抜き荷重)に設定するのは容易でなかった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ウエイト挿入孔へのバランスウエイトの挿入が容易で、挿入後はバランスウエイトがしっかりとウエイト挿入孔に保持される、直流電動機用回転子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願の発明者は、挿入時はバランスウエイトの曲面とウエイト挿入孔の平面とを線接触的に当接させ、挿入後はバランスウエイトの曲面が変形した平面とウエイト挿入孔の平面とを面接触的に接触させることを思い付いて、本発明を完成した。
【0010】
本発明による直流電動機用回転子は、請求項1に記載したように、回転軸と;回転軸上に取り付けられ、複数のスロットと、複数の平面部で区画された複数のウエイト挿入孔とが形成されたアーマチャコアと;各スロットに挿入された複数のコイルと;ウエイト挿入孔に挿入され、各平面部に当接された複数の平面部を持つ本体部を含む、棒状のバランスウエイトと;から成ることを特徴とする。
【0011】
この回転子において、ウエイト挿入孔に挿入されたバランスウエイトは、その本体部の平面部がウエイト挿入孔の平面部に当接している。広い面積での密着による大きな保持力で保持されていることから、バランスウエイトの抜き荷重が大きくなり、しかも安定する。なお、このような密着状態は、ウエイト挿入孔の内径よりも少し大きい外径を本体部を持つバランスウエイトを挿入し、本体部を変形させて実現したものである。
【0012】
請求項2の回転子は、請求項1において、各ウエイト挿入孔は横断面矩形状である。請求項3の回転子は、請求項1において、ウエイト挿入孔への挿入前、本体部は横断面円形状の丸棒形状を持つ。請求項4の回転子は請求項3において、本体部の直径はウエイト挿入孔の最小内径よりも大きい。請求項5の回転子は、請求項4において、バランスウエイトは更に、本体部の少なくとも一端に案内部を含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
<直流電動機、回転子>
直流電動機は、固定された外側の固定子(ステータ)と、コンミテータを備え回転する内側の回転子(アーマチャ)とから成る。アーマチャは、回転軸、アーマチャコア、コイル、コンミテータ及びバランスウエイトを含む。
<アーマチャコア、スロット、コイル>
アーマチャコアは複数の薄い鋼板を積層して成り、全体的に中空の円柱形状を持ち、回転軸に相対回転及び軸方向に相対移動不能に取り付けられている。外周縁に形成された複数のスロットにそれぞれ2本又は4本のコイルが挿入されている。各コイルはスロットに挿入された中間部と、アーマチャコアの一端面から突出しコンミテータに接続された一端部と、他端面から突出した他端部とを含む。
<ウエイト挿入孔>
スロットの半径方向内側に複数(スロットの個数よりも少ない)のウエイト挿入孔が形成されている。各ウエイト挿入孔は軸方向に延び、円周方向に隔設されている。各ウエイト挿入孔は複数の平面部で区画される。具体的には、横断面は矩形状(例えば正方形)や、多角形状(例えば六角形)にできる。
<バランスウエイト>
全体的に棒形状のバランスウエイトは、少なくとも本体部を含み、更に一端又は両端に案内部を含むことができる。
▲1▼本体部は、挿入孔に挿入、保持されると共に、バランスウエイトの重量を調整する部分である。横断面形状は、ウエイト挿入口への挿入前は円形状であり、その直径は挿入孔の最小内径よりも少し大きく選定されている。その長さは適宜調整でき、長さの長短により重量が変化する。挿入後は、ほぼウエイト挿入孔の横断面形状に従う横断面形状に変化する。
▲2▼案内部は、挿入孔への挿入を案内、容易化にすると共に、バランスウエイトの重量を調整する部分である。横断面形状に特別の制約はないが、円形状であることが望ましい。その最大外径が本体部の直径よりも少し小さくなるように選定する。その長さは適宜調整でき、長さの長短により重量が変化する。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1に示すようにアーマチャ10は回転軸12と、アーマチャコア(以下、実施例では「コア」と呼ぶ)15と、コイル20及び22と、コンミテータ25と、バランスウエイト30とを含む。コア15は多数枚のラミネートを積層してなり、全体的に中空円形形状を持つ。その内周面に形成されたセレーション16が、回転軸12の外周面に形成されたセレーション13にかみ合っている。
【0015】
図1及び図2に示すように、コア15には半径方向に長い複数のスロット16が円周方向に隔設されている。各スロット16は軸方向に貫通し、その中に内コイル20及び外コイル22が挿入されている。内コイル20はスロット16に挿入された挿入部21aと、反コンミテータ25側の一端部21bと、コンミテータ25側の他端部21cとを持つ。外コイル22も同様に、スロット16に挿入された挿入部23aと、反コンミテータ25側の一端部23bと、コンミテータ25側の他端部23cとを持つ。
【0016】
コイル20及び22の中間部21a及び23aとコアとの間には両者を絶縁するために絶縁材が充填されている。また、一端部21bと一端部23bとがコア15の一端面で接着剤により接合され、他端部21cと他端部23cとがコア15の他端面で接着剤により接合されている。
【0017】
コンミテータ25は、回転軸12上においてアーマチャコア15の他端側に配置され、円周方向に分割された複数個のセグメントから成る。外コイル22は接続部材26を介してコンミテータ25に接続され、ブラシ(不図示)から電流が流れるようになっている。外コイル22の一部がコンミテータの一部となっており、導体コンミテータと呼ばれる。
【0018】
各ラミネート即ちコア15には、スロット16の内周側にウエイト挿入孔(以下、実施例では「挿入孔」と呼ぶ)18が円周方向に隔設され、軸方向に貫通している。図3に示すように、各挿入孔18は横断面がほぼ正方形(一辺の長さa)で、4つの平面部18aにより区画されている。挿入孔18の個数はスロット16の個数よりも少ない。
【0019】
バランスウエイト30を図4に示す。このバランスウエイト30は全体的に丸棒状で、軸方向中間部の大径部(本体部)32と、その両側の一対の小径部(案内部)34a及び34bとを含む。大径部32は横断面円形状で直径がd1、長さはl1である。この直径d1は上記挿入孔18の一辺の長さaよりも少し大きい。一端小径部34a及び他端小径部34bは対称とされ、共に横断面円形状で、直径はd2(大径部32の直径d1よりも小さい)で、長さはl2(大径部32の長さl1よりも長い)である。
(作用)
この実施例のアーマチャ10は電気自動車のアイドルストップ後のスタータとして使用される。コイル20及び22に流れる電流により磁界が発生し、固定子(不図示)との間の電磁作用により、回転軸12の回りに回転する。最大回転数は1万回/分以上にも及ぶ。
【0020】
次に、バランスウエイト30によるアーマチャ10のアンバランスの修正について説明する。公知の方法により、反コンミテータ25側及び/又はコンミテータ25側で、アーマチャ10の軸方向及び/又は円周方向におけるアンバランスを検査する。検査結果に応じて、重量が不足している軸方向及び/又は円周方向の場所にバランスウエイト30を挿入する。軸方向におけるアンバランスは、挿入孔18内におけるバランスウエイト30の軸方向位置を調整して修正する。円周方向のアンバランスの修正は、バランスウエイト30を挿入する挿入孔18を選択して行う。
【0021】
バランスウエイト30の挿入時は、一端小径部34aを挿入孔18に挿入し、他端小径部34bの端面に軸方向の押込力を加える。前述したように大径部32の直径d1は挿入部18の一辺の長さaよりも少し大きい。よって、図3に実線で示すように、挿入前は大径部32の4つの円周部分33cが挿入孔18の各辺の平面部分19a(4カ所)に線接触的に接触している。
【0022】
図3に二点鎖線で示すように、挿入に伴い大径部32の4つの円周部分33cは挿入孔18の4つの平面部分19aから半径方向内向きの力を受け、半径方向内向きに少し変形し、平面部分33aとなる。それに伴い、各円周部分33c間に位置する別の4つの円周部分が半径方向外向きに少し変形し、突出部33bとなる。こうして、当初断面円形状であった大径部32は、挿入孔18の平面部分19aに強く押圧される平面部分33aと、隅部19bを充填する突出部分33bとを有する、正方形に近似した形状に塑性変形する。
(効果)
この実施例によれば、以下の効果が得られる。先ず、挿入されたバランスウエイト30の挿入孔18への保持が確実である。これは、挿入孔18の当初横断面形状を正方形とし、大径部32の当初横断面形状を円形状にした。その上で、挿入後(変形後)横断面形状を挿入孔18の横断面円形状に近い形状としたことにより可能となった。変形後は、大径部32は4つの平面部分33aの広い領域で4つの平面部分19aに当接している。広い当接面積が大きな保持力を発生し、アーマチャ10は1万回/分以上で高速回転するにもかかわらず、抜き荷重が安定する。
【0023】
第2に、挿入孔18及び大径部32の寸法管理が容易である。正方形状の挿入孔18は各ラミネートに打ち抜き加工により容易に形成でき、しかも対向する平面部分19aの間隔寸法は正確に管理できる。また、バランスウエイト30の大径部32は円柱部材から成るので、直径寸法は正確に管理できる。よって一辺の長さaと直径d1との差、即ち押込時における大径部32の変形量を一定に管理できる。
【0024】
第3に、バランスウエイト30の挿入孔18への挿入が容易である。挿入孔 はコア15に放射状に形成されている。また、大径部32の両側の一端小径部34a及び他端小径部34bの直径(d2)は挿入孔18の一辺の長さaよりも小さいからである。よって、バランスウエイト30を圧入装置で保持しコア15を回動させるのみで、所望の挿入孔18にバランスウエイト30を挿入できる。
【0025】
最後に、モールドコンミテータに比べて強度が小さい導体コンミテータにおいて、アンバランスが修正できる。導体コンミテータはモールドコンミテータに比べて強度が小さく、従来のバランスウエイトを大きな押込荷重で押し込むと、圧入時にゆがみが生じ、モータ性能が低下することがある。この実施例のバランスウエイト30では、大径部32の外径と、挿入孔18の内径とが上述のように決定されているので、そのような心配はない。
【0026】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の直流電動機用回転子によれば、大きな保持力で挿入孔に保持されたバランスウエイトの抜き荷重が大きくなり、しかも安定する。その結果、回転子が高速で回転した場合でも、バランスウエイトがウエイト挿入孔内でずれたり、ウエイト挿入孔から抜け出すことが防止できる。
【0027】
請求項2の回転子によれば、横断面円形状のウエイト挿入孔は4つの平面部分を持つので、バランスウエイトの本体の4つの平面部分と確実に当接する。なお、アーマチャコアは複数の鋼板を積層して成り、各鋼板に矩形状の孔を形成するのは容易である。
【0028】
請求項3及び4の回転子によれば、丸棒形状の本体部をウエイト挿入孔への挿入時に平面部分で変形させることにより平面部分が形成でき、両方の平面部分は広い範囲で密着する。バランスウエイトの本体部の横断面円形状が当初か矩形状の場合、抜き荷重の設定不安定となり易い。
【0029】
請求項5の回転子によれば、案内部の形成により、バランスウエイトのウエイト挿入孔への挿入が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】挿入孔と大径部との関係を示す説明図である。
【図4】バランスウエイトの正面図である。
【図5】従来例の横断面図である。
【図6】(a)はバランスウエイトの正面図、(b)は横断面図である。
【符号の説明】
10:アーマチャ 15:アーマチャコア
16:スロット 18:ウエイト挿入孔
19a:平面部分 20,22:コイル
25:コンミテータ 30:バランスウエイト
32:本体部 33a:平面部分
34a,34b:案内部

Claims (5)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸上に取り付けられ、複数のスロットと、複数の平面部で区画された複数のウエイト挿入孔とが形成されたアーマチャコアと、
    前記各スロットに挿入された複数のコイルと、
    前記ウエイト挿入孔に挿入され、前記各平面部に当接された複数の平面部を持つ本体部を含む、棒状のバランスウエイトと、
    から成ることを特徴とする直流電動機用回転子。
  2. 前記各ウエイト挿入孔は横断面矩形状である請求項1に記載の回転子。
  3. 前記ウエイト挿入孔への挿入前、前記本体部は横断面円形状の丸棒形状を持つ請求項1に記載の回転子。
  4. 前記本体部の直径は該ウエイト挿入孔の最小内径よりも大きい請求項3に記載の回転子。
  5. 前記バランスウエイトは更に、前記本体部の少なくとも一端に案内部を含む請求項4に記載の回転子。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US9325218B2 (en) 2011-07-06 2016-04-26 General Electric Company Laminated rotor balancing provisions

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