JP2004343009A - レーザー照射装置及びレーザー照射方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】GaAlAsレーザーからなる半導体レーザー光源4を非晶質シリコン層3に対して斜めに配置し、半導体レーザー光源4から光ファイバー5を用いて、被処理面に立てた法線に対して60度の角度で入射光を照射して非晶質シリコン3の結晶化を行なう。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非晶質シリコン薄膜等に、長波長領域のレーザー光を照射し、レーザーアニールにより結晶性シリコン薄膜等を形成するレーザー照射装置及びレーザー照射方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶デバイス用TFT(Thin Film Transistor)や薄膜光電変換素子等への応用を目的として、非導電性の基板(例えばガラス基板)上にシリコン結晶薄膜を形成する研究が盛んに行なわれている。このようなシリコン結晶薄膜を形成する方法としては、ガラス基板上に形成された非晶質シリコン薄膜にレーザー光を照射して溶融させた後、冷却により結晶化させるレーザーアニール法がある。
【0003】
レーザーアニール法を用いて多結晶半導体膜を形成する一例として、特許文献1に示すものがある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−351863号
【0005】
この文献に開示された方法は、異種基板上に非晶質シリコンを形成し、帯状の連続波光源を非晶質シリコンに対して照射しつつ走査することで非晶質シリコン層を熔融し、多結晶シリコンを形成するもので、走査方向に長い結晶粒を成長させることを可能とするものである。
【0006】
このようなレーザーアニール法においては、従来より、大出力で照射面積の広いエキシマレーザー光を用いてシリコンを結晶化させるエキシマレーザーアニール法が主流であった。エキシマレーザーを用いて非晶質半導体膜の多結晶化を行う場合、レーザーの被照射領域の非晶質半導体膜を急激な加熱により一旦溶融させてから多結晶化することが可能である。しかしながら、例えば、XeClエキシマレーザーの波長は308nmであり、約53%の光が固体のアモルファスシリコン膜の表面で反射され、非晶質シリコン薄膜の吸収深さは160nmである。また、KrFエキシマレーザーの波長は248nmであり、約54%の光が固体のアモルファスシリコン膜の表面で反射され、非晶質シリコン薄膜の吸収深さは131nmとなる。即ち、通常のエキシマレーザーアニール処理では、半導体層のレーザー光照射面から約0.1〜0.2μmの深さまでしか十分に熱が届かないため、それよりも深いところでは結晶性が向上しない。その上、半導体層の厚み方向の温度勾配が大きいため、十分に加熱された部分が急冷され、多数の結晶核が発生して結晶粒径が小さくなる。結果として半導体層厚み方向に不均一な粒径が生じ、全体として結晶性は劣ってしまうという問題があった。
【0007】
また、上記連続波を用いて結晶化を行なう場合、Nd:YAGやNd:YVO4等の固体レーザーを用いて結晶化を行なうことも試みられている。しかしながら、これらの固体レーザーは中心波長532nmの第二高調波を用いているが、この波長のレーザー光においても非晶質シリコン層の表面から0.1μm以下の深さしか侵入せず、結晶シリコン層でも侵入深さは1μm以下である。一方、太陽光発電素子として十分な特性を出すためには、結晶シリコンの膜厚を1μm以上、好ましくは2μm以上の膜厚にする必要がある。このため、数μmの膜厚の非晶質シリコンに532nmのレーザー光を照射すると、表面近傍で急激にレーザー光が吸収され、シリコンの融点を大きく超える温度となるが、それに対して非晶質シリコンの内部はレーザー光が届かない為に温度上昇は緩やかとなる。その結果、膜全体を融解させるには表面を更に高温に加熱する必要があり、アブレーションを引き起こす要因となっていた。
【0008】
更に、上記の固体レーザーを用いる方法では、レーザー光の形状をシリコン膜の結晶化に使用できる形状に加工する必要があるが、加工後のレーザー光の大きさは長尺方向にせいぜい数百μm程度の大きさとなる。このため、一回の照射でレーザー光の照射できる面積は限られており、1m角の基板を全面結晶化するために多くの時間を必要としていた。具体的には、レーザー光の長尺方向の長さを500μmとし、走査速度が50cm/secと仮定すると、1回の走査に少なくとも2秒を要する。1m角の基板を全面結晶化するには、2000回の走査が必要となり、それに要する時間は約67分となる。このことから、太陽光発電素子等のような大面積の非晶質シリコン膜をレーザーアニール法により短時間かつ低コストで結晶シリコン膜に作製することが困難であった。
【0009】
これに対して、例えば、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーは、基本波として波長800nm付近に中心波長を持つレーザー光を発生する。この波長域では、非晶質シリコン中への侵入長が1μm前後であり、数μm程度の非晶質シリコン層を結晶化するのに適した波長である。しかしながら、上記AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーは波長が長すぎて薄いシリコン膜、特に非晶質シリコンを融解できないという致命的な欠点を有していた。従って、シリコン薄膜の膜厚が1μmを下回る場合でも上記のような長波長域の半導体レーザーを用いて十分に結晶化を行うことはこれまで困難であった。このため、さらに高パワーを注入しつつ長時間の照射を行ってシリコン薄膜を融解しようとすると、基板にも高熱が伝わってしまい、不純物の拡散や基板の変形などの副次的な問題を引き起こす場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、被処理膜内を均一に溶融することにより、厚み方向で均一な結晶化を得ることを課題とする。
【0011】
更に、本発明は、太陽光発電素子等のような大面積の非晶質シリコンが必要な場合でも、レーザーアニール法により短時間かる低コストで製造できるレーザー照射装置及びレーザー照射方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、これまであまり研究されてこなかった被処理膜中でのレーザー光の進路および溶融状態について鋭意検討を重ねることによりなされたものである。上記課題を解決するため、本発明のレーザー照射装置は、基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射装置において、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射するように導入するレーザー光導入手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のレーザー照射装置は、基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射装置において、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入するレーザー光散乱手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
前記レーザー光散乱手段は、前記被処理膜より前記レーザー光発生手段側に設けられた光透過性散乱板とすることができる。
【0015】
更に、前記レーザー光発生手段は、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーとすることが好ましい。
【0016】
また、本発明のレーザー照射方法は、基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射方法において、550nmより長波長のレーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明のレーザー照射方法は、基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射方法において、550nmより長波長のレーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入することを特徴とする。
【0018】
前記照射方法において、前記被処理膜上に光透過性散乱板を設けることによりレーザー光を光散乱させても良い。
【0019】
また、前記基板と前記被処理膜との間に光反射性散乱層を設けることによりレーザー光を光散乱させても良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザー照射装置及びレーザー照射方法の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
本発明のレーザー照射装置において用いられるレーザー光としては、エキシマレーザーやNd:YAGやNd:YVO4等の固体レーザーよりも長波長領域のレーザー光であり、好ましくは550nm以上、最も好ましくは700nm以上の波長を有するレーザー光である。上記波長にしたのは、550nm未満では、例えば非晶質シリコン中への侵入長が0.1μm程度であり、不十分だからである。本発明で用いられるレーザーとしては、具体的には、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーが挙げられる。このAlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーは、基本波として波長800nm付近に中心波長を持つレーザー光を発生する。この波長域は、非晶質シリコン中への侵入長が1μm前後であり、数μm程度の非晶質シリコン層を結晶化するのに適当な波長である。また、これ以外の半導体レーザーとしては、一例としてInP/InGaAsP系レーザーやInGaAlP系、InGaAsP系、GaN系レーザー等が挙げられる。長波長領域のさまざまな波長のレーザー光を用いることで、結晶化できるプリカーサ膜の吸収係数と膜厚の自由度が増すこととなり、作製プロセスの自由度が増すというメリットが生ずる。
【0022】
本発明のレーザー照射装置においては、レーザー光発生手段からのレーザ光を、被処理膜に対して斜めの方向から照射することを特徴としている。照射角度としては、被処理膜の概略表面に立てた法線に対して5°から85゜の間の範囲、好ましくは20°〜80°の間の範囲、最も好ましくは40°〜80°の間の範囲とすることができる。上記範囲にしたのは、5°未満では、光路長が垂直入射と実質的に変わらず、一方85°を超えるとあまりに水平に近く装置配置の問題で入射が困難になると考えられるからである。
【0023】
例えば、空気中からシリコン中へレーザー光を入射させるとき、屈折率の違いにより、入射角20°で屈折角5゜、入射角40°で屈折角10°、さらに、大きな入射角にすると最大屈折角15°程度とすることができる。また、反射率は、入射面に平行なp偏光が入射角の増加とともにゼロに近づくのに対して、入射面に垂直なs偏光は入射角の増加とともに単調増加する。したがってレーザー光はp偏光を用いることが有効である。
【0024】
レーザー光を被処理膜に対して斜めに入射させる手段としては、レーザーの照射角度を調整する光学系を配置したり、光ファイバー等を用いて所定の角度で入射させたりすることが挙げられる。また、被処理膜の上方に光透過性の散乱板を設けたり、被処理膜の上に直接、光透過性散乱層を形成したり、被処理膜と基板との間に光反射性の散乱層を設けることによって入射角度を変化させることも実用的な方法である。さらに、これらの方法によれば、本来レーザー光が持っている光強度の面内不均一性を低減することも期待できる。このようにレーザー光を斜入射させて実効的な光路長を増加させることによって、低照射パワーかつ短時間で結晶化を行うことが可能となる。
【0025】
上記の光透過性散乱板や光透過性散乱層に用いられる材料としては、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム等のいずれも可視光領域で透明な酸化物が挙げられる。これらの微粒子を膜状に固定することにより、微粒子間では光は屈折あるいは散乱するものの本質的に吸収はないため、最終的には被処理膜に入射する。入射側を若干融解させて凹凸のない面にすることで、レーザー光がその表面で反射されることを低減することが可能となる。また、上記の光反射性の散乱層に用いられる材料としては、銀、タングステン、モリブデンなどの金属やSUSなどの合金等が挙げられる。
【0026】
次に、本発明のレーザー照射方法の一例について説明する。
まず、ガラス基板のような異種基板上に結晶シリコン層の元となるプリカーサ膜を形成する。プリカーサ膜には従来から用いられている非晶質シリコンの他、多結晶シリコンや微結晶シリコン、また結晶成分を微量に含んでいる非晶質シリコンを用いても良い。また、炭素やゲルマニウムを混入させて結晶化膜のバンドギャツプエネルギーを制御することも可能である。このプリカーサ膜の膜厚は数十nmから数μmの厚さとすることができる。また、結晶化後に結晶シリコン中に基板から混入する不純物が問題となる場合には、基板とプリカーサ膜の間に拡散防止層を形成することが有効である。この拡散防止層としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化亜鉛、酸化錫、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化チタン等、不純物の混入を防ぐ作用を奏するものであればいずれも使用できる。また、裏面に高反射性の材料を敷いておくことで、裏面からの反射光を利用しさらに有効な光利用を図ることも出来る。例えば、光電変換素子用の結晶シリコン薄膜を形成する場合には基板側に反射率が高く、導電率の高い層を形成し、その上部に透明性があり、かつ導電性を有する層を形成する。一例として基板側にAg、その上部に酸化錫といった構成とすることができる。このような構成とすることで、光電変換素子の短絡電流密度を向上させることが可能となる。また、基板上にタングステンやモリブデン等の高融点材料を形成し、その上部にプリカーサ膜を形成することも可能である。
【0027】
また、アブレーションを防ぐには、プリカーサ膜の上部に例えば、酸化シリコンを形成することが有効である。さらに、プレカーサ膜の上部に透明な高屈折率材料、例えばTiO2やSiN膜を積層することで、シリコン膜への入射角度を大きくすることも有効である。
【0028】
このようにして形成した基板上のシリコン膜に、例えば、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーにより基本波として波長800nm付近に中心波長を持つレーザー光を照射する。この半導体レーザーは1つの半導体レーザーを用いて結晶化を行なってもよいが、レーザー単体の寸法が小さい為に、複数のレーザーを並べて同時に照射することが可能であり、スループットの低減に繋がる。例えば、10個の半導体レーザーを同時に一括照射すると、Nd:YAG等の固体レーザーで結晶化する場合と比べて、単純に10倍のスループットとなる。その上、エネルギー使用効率は10倍であることから、この工程に要するエネルギーは固体レーザーの場合と同じである。このことから、固体レーザーを使用する場合、劇的に作製コストを低減させることができる。
【0029】
また、レーザーによる結晶化では、そのレーザーの状態が結晶化に影響を及ぼす。半導体レーザーはレーザーの活性層の温度が変化すると出力する波長が僅かに変化してゆくことが知られている。このため、温度保持機能をレーザーに付与することで、結晶化をより安定的にすることが可能となる。
【0030】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
図1において、異種基板1としてガラス基板を用意し、拡散防止層2としてSiNを200nm形成した。拡散防止層を形成した基板上にプラズマCVDを用いて非晶質シリコン層3を1μm形成した。非晶質シリコン層3の形成には、プラズマCVDを用いた。この形成条件はSiH4:10ccm、PH4:0.01ccmの混合ガスを用い、基板温度500℃、プラズマ電源はRF周波数を用いた。この条件では、n型のドーパントを含んだ非晶質シリコンが形成された。
【0032】
GaAlAsレーザーからなる半導体レーザー光源4を非晶質シリコン層3に対して斜めに配置し、半導体レーザー光源4から光ファイバー5を用いて、被処理面に立てた法線に対して60度の角度で入射光を照射した。走査方向のレーザー光幅は垂直入射の場合の1/2になるよう光学系を調整し、結晶化を行った。なお、半導体レーザー光源4には、発振中の温度が一定となるように、図示しない水冷装置が設けられている。走査方法は10cm/secの速度で、図示の矢印の方向に直線状に走査する方法とした。
【0033】
レーザー照射光は非晶質シリコン層3中でかなり吸収され、反射光6は非常に弱いものとなった。基板1側への透過もあるがここでは省略した。このレーザー光の照射によって厚さ1μmの非晶質シリコンは全て融解し、結晶化した。図中には融解したリキッドシリコン7も示す。融解して結晶化したシリコンは多結晶シリコン層となった。
【0034】
本実施例では、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザー光を斜め方向から照射することにより、非晶質シリコン層3中の光路長が増加する分、非晶質シリコン3中のレーザー吸収量が増加する。このため、非晶質シリコン3の膜厚が1μm以下の場合に均一な結晶化シリコンの形成が可能となった。また、非晶質シリコン層3中の光路長が増加する分、従来の方法に比べて融解に必要な膜厚を低減したり、融解に必要なレーザー光パワーが低減でき、その分、長軸方向の幅を広げることができて、生産性を向上させることが可能となった。あるいは、レーザー光の短尺方向の幅をより狭くして結晶成長を均一化することも可能となった。また、従来と同程度のレーザー光パワーを用いても非晶質シリコン3中のレーザー吸収量が増加するため、1μmを上回る膜厚の場合でも従来のように長時間の照射が不要となり基板の過度な温度上昇を防止できた。
【0035】
更に、半導体レーザーを用いることにより、基本波をレーザー結晶化に使用できる上、固体レーザーと違って、そのサイズが小さい為、並列に並べて大面積を一括して斜照射することが可能となる。更に半導体レーザーは非晶質シリコンの結晶化に有利な形状のレーザー光を発振することも有利な点である。半導体レーザーは、長方形のレーザー光を発振するため、レーザー光を直線状に走査するのに都合がよい。このためレーザー光を大きく整形する必要がない。以上のことから、エネルギーの使用効率は、固体レーザーの10倍程度であり、低コスト化に有効である。
【0036】
以上のことより、本実施例によれば、低コスト、高スループットのレーザー照射装置及びレーザー照射方法を提供することが可能となった。
【0037】
なお、拡散防止層2は、上述したSiNの他にも、SiO、ZnO、SnO2、ITO、TiO2、SiON等を用いることが有効であった。
【0038】
(実施例2)
本実施例では、図2に示すように非晶質シリコン3の上方に半導体レーザー光源4を設け、非晶質シリコン3と半導体レーザー光源4との間に光透過性の散乱板8を配置している。散乱板8は、微粒子状シリカで形成されており、非晶質シリコン3側には凹凸が設けられている。本実施例では散乱板8により光を散乱させることにより、非晶質シリコン3に対して斜め方向に入射させたものと同一の作用を得ることができる。即ち、非晶質シリコン3の直上に配置した半導体レーザー光源4から散乱板8を通った光は散乱しない成分である、入射光9、反射光10のみでなく、さまざまな角度に、たとえば、散乱光11、12のように薄膜中を通り基板側もしくは大気側に吸収されながら進行する。なお図中では、散乱板8は非晶質シリコン3から少し離して示したが、試料に密着していても構わない。
【0039】
この実施例においても、レーザー光の散乱により実施例1と同様に、非晶質シリコン層3中の光路長が増加して非晶質シリコン3中のレーザー吸収量が増加するため、均一な結晶化シリコンの形成が可能となった。また、非晶質シリコン3の表面にSiN、SiOなどの薄膜を形成し、その上に散乱板8を置くと、さらに結晶性を向上させることができた。
【0040】
(実施例3)
本実施例では、実施例2と同様に半導体レーザー光源4を配置してあるが、図3に示すように異種基板1上に凹凸層13を酸化スズ結晶層で形成し、その上にタングステン膜14、ZnO層15を積層した後、非晶質シリコン層3を形成した。この場合には、半導体レーザー光源4から発せられたレーザー光が一旦非晶質シリコン層3を通過し、タングステン膜14によって反射される。この際、反射されるレーザー光は、凹凸層13の形状を引き継いだタングステン膜14によって散乱反射され、散乱光11、12となる。
【0041】
この実施例においても、レーザー光の散乱により実施例1と同様に、非晶質シリコン層3中の光路長が増加して非晶質シリコン3中のレーザー吸収量が増加するため、均一な結晶化シリコンの形成が可能となった。
【0042】
上記実施例においてはプラズマCVDを用いて非晶質シリコン層を形成する場合について示したが、成膜方法としては他の方法、減圧熱CVD法、スパッタ法、触媒CVD法、などのいずれであっても良い。ドーピングもPを用いたn型について示したが、この方法はp型あるいはアンドープでも同様に使用できる。また、膜中に他の元素、水素、酸素、窒素、さらに、炭素やゲルマニウムなどが入った合金膜であっても良い。さらにNi,Crなどのシリコンの結晶化において触媒作用を持つ元素が混入されていることで、より結晶化を促進できる。さらに、シリコン層としては非晶質層に限られるものではなく、微結晶層、多結晶層あるいはその混合層等でも良い。むしろ処理すべき膜厚が厚い場合には、吸収係数が小さくなる結晶成分の多い膜が望ましい。さらに、半導体材料としては、同じIV族材料の炭素やゲルマニウムや、GaAs,InPをベースとするIII−V族の化合物、CdTeなどのII−VI族の化合物についても高品質結晶化に用いることが出来る。散乱板を用いる場合、実施例2及び実施例3においては一方への設置を示したが、両側に設置することも可能である。これによりシリコン中での光学長が大きく増加することが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレーザ照射装置によれば、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射するように導入するレーザー光導入手段とを設けたので、被処理膜中におけるレーザー光路長が増加する分、レーザー吸収量が増加し、被処理膜を均一にレーザー処理することが可能となった。また、被処理膜中のレーザー光路長の増加により、従来の方法に比べてレーザー処理に必要な膜厚を低減したり、レーザー処理に必要なレーザー光パワーが低減でき、その分、長軸方向の幅を広げることができて、生産性を向上させることが可能となった。
【0044】
また、本発明のレーザー照射装置によれば、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入するレーザー光散乱手段とを設けたので、レーザー光の散乱により被処理膜中のレーザー光路長が増加してレーザー吸収量が増加するため、被処理膜を均一にレーザー処理することが可能となる。
【0045】
また、前記レーザー光発生手段として、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーを用いることにより、基本波をレーザー処理に使用できる上、そのサイズが小さい為、並列に並べて大面積を一括して斜照射することが可能となり、生産性を向上させることができる。
【0046】
更に、本発明のレーザー照射方法によれば、550nmより長波長のレーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射するので、被処理膜中のレーザー光路長を増加させることにより、レーザー吸収量が増加し、被処理膜を均一にレーザー処理することが可能となった。
【0047】
また、本発明のレーザー照射方法によれば、550nmより長波長のレーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入するので、光散乱により、上記の方法と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるレーザー照射装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例2におけるレーザー照射装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例3におけるレーザー照射装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 異種基板
2 拡散防止層
3 非晶質シリコン層
4 半導体レーザー光源
5 光ファイバ
6 反射光
7 リキッドシリコン
8 散乱板
9 入射光
10 反射光
11,12 散乱光
13 凹凸層
Claims (8)
- 基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射装置において、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射するように導入するレーザー光導入手段とを備えることを特徴とするレーザー照射装置。
- 基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射装置において、550nmより長波長のレーザー光を発生するレーザー光発生手段と、該レーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入するレーザー光散乱手段とを備えることを特徴とするレーザー照射装置。
- 前記レーザー光散乱手段は、前記被処理膜より前記レーザー光発生手段側に設けられた光透過性散乱板であることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
- 前記レーザー光発生手段は、AlGaAsを活性層に用いた半導体レーザーであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のレーザー照射装置。
- 基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射方法において、550nmより長波長のレーザー光を該被処理膜に対して斜めの方向から照射することを特徴とするレーザー照射方法。
- 基板上に形成された被処理膜にレーザー光を照射するレーザー照射方法において、550nmより長波長のレーザー光を光散乱させて該被処理膜に導入することを特徴とするレーザー照射方法。
- 前記被処理膜上に光透過性散乱板を設けることによりレーザー光を光散乱させることを特徴とする請求項6に記載のレーザー照射方法。
- 前記基板と前記被処理膜との間に光反射性散乱層を設けることによりレーザー光を光散乱させることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のレーザー照射方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006310445A (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 半導体装置の作製方法 |
JP2008066356A (ja) * | 2006-09-05 | 2008-03-21 | Ihi Corp | レーザアニール方法および装置 |
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JP2009252641A (ja) * | 2008-04-09 | 2009-10-29 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 超電導酸化物材料の製造方法 |
JP2013149897A (ja) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | Innovation & Infinity Global Corp | 複合型太陽電池用の多結晶シリコン基板の製造方法 |
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- 2003-05-19 JP JP2003140901A patent/JP4289018B2/ja not_active Expired - Fee Related
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