JP2004341395A - 光学素子 - Google Patents

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昇一 京谷
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Abstract

【課題】405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光とを結合または分離することのできる光学素子を提供する。
【解決手段】光学部材の表面3に階段状の回折格子2を多数設けてなる光学素子1において、
上記回折格子2は5ステップの階段状からなると共に、各段差はそれによって生じる位相差が405nm帯の青色光の波長の略2倍となる高さである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2つの異なる波長の入射光のうち一方を直進させ他方を回折させることで分離または結合する回折格子を有した光学素子に関し、特に405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光とを分離または結合させる光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2つの異なる波長のレーザ光を入射させ、一方の波長のレーザ光は直進させ、他方の波長のレーザ光は回折させることにより、これら2つのレーザ光を分離または結合する光学素子が知られている。例えば、CDとDVDの双方が使用可能なディスク装置において、CD用のレーザ光(波長785nm)と、DVD用のレーザ光(波長650nm)とを入射させ、このうちの一方を直進させ、他方を回折させることにより、これらのレーザ光を分離する光学素子が用いられている。また、逆にCD用のレーザ光(波長785nm)と、DVD用のレーザ光(波長650nm)について、それぞれの光軸がずれた状態で光学素子に入射し、その一方を直進させ、他方を回折させることにより、これらのレーザ光の受光位置を一致させる光学素子も用いられている。この光学素子としては例えば特許文献1に挙げるものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−311220号公報
【0004】
これらの光学素子は、いずれも表面に回折格子を形成してなるもので、回折格子の段差の高さを、その段差によって生じる位相差(n−1)d(ただしnは光学素子の屈折率、dは段差の高さ、以下同じ)が一方の光の波長の整数倍となるようにすることにより、一方の光を直進させることができ、他方の光は段差毎に位相差を生じるために回折させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、CD用のレーザ光(波長785nm)と、DVD用のレーザ光(波長650nm)については、波長が比較的近いためにこれらを分離または結合する光学素子は以前から知られていたものである。一方、いわゆるブルーレイディスクにおいては、405nm帯の青色光が用いられる。したがってブルーレイディスクと従来のDVDの両方を使用可能なディスク装置においては、405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光を分離または結合できる光学素子が望まれる。しかし、これらは波長に大きな差があるために、従来これらを分離または結合できる光学素子は存在しなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光とを結合または分離することのできる光学素子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、光学部材の表面に階段状の回折格子を多数設けてなる光学素子において、上記回折格子は5ステップの階段状からなると共に、各段差はそれによって生じる位相差が405nm帯の青色光の波長の略2倍となる高さであることを特徴として構成されている。
【0008】
また本発明は、上記回折格子は同心円状の格子に形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
また本発明は、上記回折格子は直線状の格子に形成されることを特徴として構成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に沿って詳細に説明する。図1は本実施形態における光学素子を模式的に示した正面図、図2は本実施形態における光学素子の回折格子を模式的に表した拡大断面図、図3は本実施形態における光学素子の回折格子を模式的に表した拡大斜視図である。
【0011】
本実施形態における光学素子1は、例えばブルーレイディスクとDVDの両方が利用可能なブルーレイディスク装置において、ブルーレイディスクに用いられる405nm帯の青色光と、DVDに用いられる650nm帯の赤色光とを分離できるようにするためのものである。光学素子1は光透過性の樹脂部材やガラス部材などの光学部材から形成されるものであり、図1に示すように略円形に形成される。この光学素子1の出射面3には回折格子2が形成されており、この回折格子2によって、405nm帯の青色光を直進させ、また650nm帯の赤色光を回折させる。
【0012】
回折格子2は図2に示すように、階段状に形成されてなる階段格子4から構成され、図2において下方から光が入射する。回折格子2を構成する階段格子4は、光学素子1の出射面3に同心円状に多数設けられ、そのピッチは外周の領域ほど小さく、したがって外周部において、階段格子4は最もピッチを小さく形成されている。なお、図2の左端の一点鎖線は、光学素子1の中心線を示している。階段格子4は、光の出射方向に沿う立上り面部5と、この立上り面部5から垂直方向に張出して細幅に形成された回折面部6とからなる段部7を所定段数備え、半径方向外側に階段が下がっていく外側傾斜となっている。なお図2は回折格子2を誇張して表した模式図である。したがって、回折格子2を構成する階段格子4は、実際には図2に示すよりも多数設けられる。
【0013】
このような階段格子4から構成される回折格子2は一般的に、階段格子4の各段の段差の高さ、すなわち立上り面部5の高さをd、光学素子の屈折率をn、直進させるレーザ光の波長をλとすると、(n−1)d=kλの関係が成り立つように形成される(kは正の整数とする)。すなわち本発明においては、階段格子4の立上り面部5の高さdによって生じる位相差(n−1)dが、405nm帯の青色光の波長の整数倍となるようにする。これにより図3に示すように、405nm帯の青色光は光学素子1の回折格子2において回折せずに直進し、一方、650nm帯の赤色光は回折面部6において回折するようになり、これら2つの波長のレーザ光を分離させることができる。
【0014】
ここで本発明は、図2に示すようにこの階段格子4の段数を4段とし、また倍数kを2とすることを特徴としている。すなわち、階段格子4は4段5ステップであり、立上り面部5の高さdは、階段格子4の1段によって生じる位相差(n−1)dが405nm帯の青色光の波長の略2倍となるように形成する。この構成により405nm帯の青色光の0次回折光と650nm帯の赤色光の1次回折光を高い回折効率で得ることができる。
図4はステップ数が5、倍数kが2の光学素子1において、半径方向、405nm帯の青色光の0次回折光及び650nm帯の赤色光の1次回折光の回折効率分布を示すグラフである。このグラフから、405nm帯の青色光の0次回折光は中心位置では約89%、外周部付近でも約73%、また650nm帯の赤色光の1次回折光は中心位置では77%、外周部付近でも約63%という高い回折効率が得られることがわかる。
【0015】
このような光学素子1を形成するには、光学素子1の回折格子2と凹凸が逆の回折格子部を成形面に有する成形金型を形成し、この成形金型によって射出成形を行う。つまり、階段格子が4段5ステップであり、立上り面部の高さを階段格子の1段によって生じる位相差(n−1)dが405nm帯の青色光の波長の略2倍となるように形成した回折格子部を成形金型の成形面に形成し、この成形金型によって光学部材を射出成形することにより光学素子1を形成する。このような成形金型は金属部材をバイトで切削することにより形成する。
【0016】
以上、本発明の実施形態について説明した。上記実施形態においては、階段格子4が半径方向外側に階段が下がっていく外側傾斜の場合について記載したが、本発明は特にこれに限られることなく、階段格子4が半径方向内側に階段が下がっていく内側傾斜、あるいは外側傾斜と内側傾斜が混在した形状としてもよい。
また上記実施形態においては、光学素子1の形状を略円形とし、この光学素子1の出射面3が、同心円状に多数形成された階段格子4から構成される回折格子2を有する形状とした。しかし本発明は特にこの形状に限られることなく、例えば図5に示すように、この光学素子1の出射面3が、直線状に多数形成された階段格子4から構成される回折格子2を有する形状など、他の形状であってもよい。このように光学素子の形状を変える場合も、階段格子4の段数、及び立上り面部5の高さdは上記実施形態と同様である。
【0017】
さらに上記実施形態では、405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光とを分離させる場合について記載したが、405nm帯の青色光と650nm帯の赤色光について、それぞれの光軸がずれた状態で光学素子1に入射させ、405nm帯の青色光を直進させ、650nm帯の赤色光を回折させることにより、これら2つの波長のレーザ光を結合させることも可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上本発明によれば、光学素子の回折格子は5ステップの階段状からなると共に、各段差はそれによって生じる位相差が405nm帯の青色光の波長の略2倍となる高さであることから、405nm帯の青色光の0次回折光と650nm帯の赤色光の1次回折光を高い回折効率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における光学素子を模式的に示した正面図である。
【図2】本実施形態における光学素子の回折格子を模式的に表した拡大断面図である。
【図3】本実施形態における光学素子の回折格子を模式的に表した拡大斜視図である。
【図4】本実施形態における光学素子の半径方向と回折効率分布の関係を示したグラフである。
【図5】他の形態における光学素子を模式的に示した正面図である。
【符号の説明】
1 光学素子
2 回折格子
3 出射面
4 階段格子
5 立上り面部
6 回折面部
7 段部

Claims (3)

  1. 光学部材の表面に階段状の回折格子を多数設けてなる光学素子において、
    上記回折格子は5ステップの階段状からなると共に、各段差はそれによって生じる位相差が405nm帯の青色光の波長の略2倍となる高さであることを特徴とする光学素子。
  2. 上記回折格子は同心円状の格子に形成されることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 上記回折格子は直線状の格子に形成されることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
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