JP2004341127A - 配線基板素材の製造方法、配線基板素材の短絡結線の除去方法、および配線基板素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】短絡結線除去に起因する品質不良の発生を防止する。
【解決手段】配線基板素材21の製造方法において、複数本の端子電極25を少なくとも含む回路23が基板22上に形成され、該端子電極25を相互に短絡するための短絡結線24が、該端子電極25と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線24の膜応力が端子電極25の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。短絡結線24の除去の際には、配線基板素材21の短絡結線24が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材26が接着させられ、次いで、該除去用部材25が配線基板素材21から引剥がされる。これによって、短絡結線除去後の後工程における不都合を防止することができ、また製造コストの増大を抑えることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】配線基板素材21の製造方法において、複数本の端子電極25を少なくとも含む回路23が基板22上に形成され、該端子電極25を相互に短絡するための短絡結線24が、該端子電極25と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線24の膜応力が端子電極25の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。短絡結線24の除去の際には、配線基板素材21の短絡結線24が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材26が接着させられ、次いで、該除去用部材25が配線基板素材21から引剥がされる。これによって、短絡結線除去後の後工程における不都合を防止することができ、また製造コストの増大を抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子電極と短絡結線とを含む配線基板素材およびその製造方法、ならびに、該配線基板素材から短絡結線を除くための除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
画面に画像を目視表示するための画像表示装置として、たとえば、陰極線管(CRT)および液晶パネルが挙げられる。液晶パネルは陰極線管と比べて薄型化および消費電力の低減が可能なため、液晶パネルの需要が近年益々増加している。中でも、いわゆるTFT液晶と称される構成の液晶パネルは、他の構成の画像表示装置よりも高精細であるため、現在製造されている液晶パネルの中でも主流になりつつある。
【0003】
TFT液晶とは、アクティブマトリクス型液晶パネルの1種類であって、スイッチング素子として電界効果型薄膜トランジスタ(TFT)素子を用いている。アクティブマトリクス型液晶パネルは、液晶層を2枚の配線基板ではさむ構成を有する。前記2枚の配線基板のうちの一方配線基板は、配向膜と回路とがガラス基板上に配置される構成を有し、該回路は、多数のスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続される外部接続用の複数の端子電極とを少なくとも含む。
【0004】
ところで、液晶パネルの製造工程において、製造中の配線基板に静電気が発生することがある。特に、配向膜のラビング工程および配線基板の分断工程において静電気が発生し易い。発生した静電気は、TFT素子の絶縁破壊に代表されるような、配線基板上の回路に静電破壊を引起すことがある。そこで、従来の液晶パネルの製造方法では、製造工程中の静電気等に起因する静電破壊を防ぐために、製造中の配線基板に所謂ショートリングである短絡結線をさらに追加し、該配線基板の複数の外部接続用の端子電極を該短絡結線を用いて相互に短絡させている。
【0005】
完成した液晶パネルにおいては、配線基板の複数の外部接続用の端子電極が相互に絶縁されていなければならない。このため、従来技術の液晶パネルの製造工程は、短絡結線を除去するための工程をさらに含んでいる。短絡結線の除去に関する従来技術として以下のような技術がある。
【0006】
第1の従来技術の液晶パネルの製造方法では、短絡結線であるショートリングが、TFT素子のゲート電極材料に用いられているアルミニウム(Al)から形成されている。かつ、前記製造方法では、液晶パネルの最終工程である割断された配線基板の端部の面取り工程が、短絡結線の除去工程を兼ねている(たとえば特許文献1参照)。
【0007】
第1の従来技術について、図3〜図5を用いて以下に詳細に説明する。
図3に示すように、液晶パネル1は、通常、CF側配線基板3とTFT側配線基板4と液晶材5とシール材6とを含む。TFT側配線基板4は、TFT素子と外部接続用の端子電極8とを含む回路がガラス基板9上に形成されている構成を有する。TFT素子を含む回路は、ガラス基板9上への薄膜の形成工程と該薄膜に対するフォトリソ工程とを交互に複数回繰返すことによって、形成される。CF側配線基板3は、カラーフィルタがガラス基板9上に形成されている構成を有する。CF側配線基板3とTFT側配線基板4との間の空間の周りにシール材6を用いて囲いが設けられ、2枚の該配線基板3,4とシール材6とによって形成される空間内部に液晶材5が閉込められる。
【0008】
液晶材封入後において、TFT側配線基板4のガラス基板9の一端部のほうがCF側配線基板3のガラス基板9の一端部よりも外側に長く伸びるように、2枚の配線基板3,4が配置されている。TFT側配線基板4のガラス基板9の前記一端部には、TFT側配線基板4の回路にFPC(フレキシブルプリント配線:Flexible Printed Circuit)11を接続するための端子電極8と、該端子電極8を相互に短絡するための短絡結線12とが設けられている。第1の従来技術では、図4(A)に示すように、TFT側配線基板4の端子電極8と短絡結線12とは同じ薄膜材料を用いて形成されている。
【0009】
配線基板端部の面取り工程では、通常、FPC11と回路との接点に当たるTFT側配線基板4の端部を回転する砥石13を用いて研磨することによって、短絡結線12ごと該TFT側配線基板4の端部の一部分を除去している。具体的には、図4(B)で示すように、TFT側配線基板4のガラス基板9の端部が、二点鎖線15の部分まで研磨によって除去される。この研磨によって、図5(A)および図5(B)に示すように、ガラス基板9の端部と共に短絡結線12が除去される。さらに、図5(B)に示すように、異方性導電性シート等を用いて、FPC11が端子電極8に接続される。
【0010】
また、第2の従来技術の液晶パネルの製造方法では、ショートリングを蒸発または分断させるために、短絡結線であるショートリングにレーザ光を照射する。かつ、直前にレーザ光が照射された領域に部分的に重なる領域、または該直前にレーザ光が照射された領域に接する領域に、レーザ光が新たに照射される(たとえば特許文献2参照)。
【0011】
さらにまた、以前には、大電流を短絡結線に通電することによって発生するジュール熱を用いて短絡結線を焼切る手法も用いられていた。しかしながら、大電流をショートリングに通電する際、ショートリングに印加される電位によってはTFT素子に悪影響を及ぼす可能性があるため、現在ではほとんど用いられていない。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−140488号公報
【特許文献2】
特開平8−204199号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第1の従来技術のように、砥石を用いる研磨によって短絡結線が除去される場合、研磨時に発生する削り粉が、研磨個所の周囲に付着する。付着した削り粉は、研磨工程後の工程において液晶パネルの品質を下げることがある。たとえば、研磨工程後に行われるTFT側配線基板裏面への偏光板貼付け工程等において、TFT側配線基板裏面に付着した削り粉周辺において、偏光板とTFT側配線基板裏面との間に気泡が入ることがある。また、液晶パネルのガラス基板の薄型化が近年進んでいるため、砥石を用いる研磨によって短絡結線を除去すると、TFT側配線基板に相当の負荷が掛かり、基板の欠け等の不良を多発させる恐れがある。
【0014】
また上述した第2の従来技術のように、レーザ光を用いて短絡結線が除去される場合、レーザ光の照射位置の位置決めのために光学系装置の導入が不可欠になる。このため、短絡結線除去に係る装置の設置面積の増大、およびの短絡結線除去のための設備コストの増大という問題が発生する。特に第2の従来技術では、短絡結線除去の加工精度を向上させるためには、複数の光学系装置を設ける必要があるため、短絡結線除去のための設備コストはさらに増大する。
【0015】
本発明の目的は、短絡結線の除去が容易となる配線基板およびその製造方法と、配線基板および該配線基板を備える装置の歩留まりの向上が可能な短絡結線の除去方法とを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数本の端子電極を少なくとも含む回路と該端子電極を相互に短絡するための短絡結線とを含む配線基板素材の製造方法であって、
膜状の端子電極を含む回路を、基板上に形成する工程と、
端子電極の膜応力の向きと相対的に逆方向になる膜応力を有する膜状の短絡結線を、少なくとも一部分が端子電極に重なるように形成する工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の製造方法である。
【0017】
本発明に従えば、配線基板の元となるべき配線基板素材の製造方法において、回路の端子電極を相互に短絡するための短絡結線は、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。この結果、短絡結線と端子電極との密着力が従来技術の配線基板素材よりも低下する。
【0018】
このように、本発明の配線基板素材の製造方法が用いられる場合、粘着材を該短絡結線に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって端子電極を傷つけることなく基板から短絡結線だけを引剥がすことが可能になるため、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0019】
本発明の配線基板素材の製造方法は、前記端子電極および短絡結線が、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された薄膜からそれぞれ形成されており、
端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が、3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれ、
短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が、0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれる事を特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、端子電極および短絡結線は、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された2枚の薄膜からそれぞれ形成されている。かつ、短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれているので、該薄膜の膜応力が圧縮方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。さらに、端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa未満の範囲内から選ばれているので、該薄膜の膜応力が引張り方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。これによって、短絡結線および端子電極の膜応力の調整を、成膜時の条件を調整するだけで、つまり成膜装置の操作だけで行うことができるため、調整が容易になる。したがって、短絡結線および端子電極の膜応力をより効率的に調整することができる。
【0021】
本発明の配線基板素材の製造方法は、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸をつける工程をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸が設けられる。これによって、凹凸形成後に形成される短絡結線と端子電極との接触面積が大きくなるので、短絡結線と端子電極との密着力が増加する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極の接触面積の調整とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0023】
本発明の配線基板素材の製造方法は、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理を加える工程をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理が加えられる。これによって、熱処理後の短絡結線および端子電極に塑性変形が起こり、膜応力が低下するため、密着力が増加する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極の熱処理とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0025】
本発明の配線基板素材の製造方法は、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕を発生させる工程をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕が発生させられる。これによって、電蝕発生後の短絡結線および端子電極の密着力が低下する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極間の電蝕発生処理とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0027】
本発明は、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材を接着させる工程と、
除去用部材を配線基板素材から引剥がす工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の短絡結線の除去方法である。
【0028】
本発明に従えば、配線基板素材の短絡結線の除去方法において、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材が接着させられ、次いで、該除去用部材が配線基板素材から引剥がされる。上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線の端子電極との密着力は適宜調整されているので、除去用部材を接着し引剥がすだけで、端子電極の膜剥がれを引起こすことなく、配線基板素材から該短絡結線だけを容易に除去することができる。これによって、配線基板素材の短絡結線を含む一部分を砥石を用いて削落とす第1の従来技術の除去方法と比較して、本発明の短絡結線の除去方法は、削り粉の発生がないので、後工程における不都合を防止することができる。また、これによって、レーザを用いて短絡結線を焼切る第2の従来技術の除去方法と比較して、本発明の短絡結線の除去方法は、レーザ発振装置および光学系装置を必要としないので、製造コストの増大を抑えることができる。
【0029】
本発明は、基板と、
複数本の膜状の端子電極を少なくとも含み、基板上に形成される回路と、
端子電極を相互に短絡するための膜状の短絡結線であって、少なくとも一部が端子電極と重なるように形成され、短絡結線の膜応力の向きが端子電極の膜応力の向きと逆方向になっている短絡結線とを含むことを特徴とする配線基板素材である。
【0030】
本発明に従えば、配線基板の元となるべき配線基板素材において、端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と逆方向になるように形成されている。この結果、短絡結線と端子電極との密着力が従来技術の配線基板素材よりも低下している。これによって、本発明の配線基板素材は、粘着材を該短絡結線に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって、端子電極を傷つけることなく基板から短絡結線だけを除去することが可能になるため、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1(A)は、本発明の実施の一形態である配線基板素材21の構成を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)の配線基板素材21の側面図である。また図2(A)は図1で示される配線素材から作製される配線基板28の正面図であり、図2(B)は図2(A)の配線基板28の側面図である。
【0032】
配線基板素材21は、基板22と、回路23と、短絡結線24とを最低限含む。回路23は、複数本の膜状の端子電極25を少なくとも含み、基板22上に形成されている。短絡結線24は、基板22上の回路23の端子電極25を相互に短絡するための所謂ショートリングである。短絡結線24は、少なくとも一部分が端子電極25と重なるように、基板22上に配置される。かつ、短絡結線24は、短絡結線24と端子電極25とが重なる部位において、該短絡結線24の膜応力の向きが端子電極25の膜応力の向きと相対的に逆方向になっている。図1の配線基板素材21の製造方法は、膜状の端子電極25を含む前記回路23を基板22上に形成する工程と、上述の膜応力を有する膜状の短絡結線24を少なくとも一部分が端子電極25に重なるように形成する工程とを含む。
【0033】
この結果、図1の配線基板素材21は、短絡結線24と端子電極25との密着力が、従来技術の配線基板素材21よりも低下している。これによって、図1の配線基板素材21は、粘着材を該短絡結線24に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって、端子電極25を傷つけることなく基板22から短絡結線24だけを除去することが可能になるため、短絡結線24の除去が容易になる。したがって、図1の配線基板素材21から製造される図2の配線基板28の歩留まりの改善、および該配線基板28を用いる装置の歩留まりの改善が可能になる。
【0034】
さらに、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法には、図1の配線基板素材21の短絡結線24が位置する部分に粘着材が塗布された除去用部材26を接着させる工程と、除去用部材26を配線基板素材21から引剥がす工程とを含む。図1の配線基板素材21の短絡結線24の端子電極25との密着力は適宜調整されているので、除去用部材26を接着し引剥がすだけで、端子電極25の膜剥がれを引起こすことなく、配線基板素材21から該短絡結線24だけを容易に除去することができる。これによって、配線基板素材21の短絡結線24を含む一部分を砥石を用いて削落とす第1の従来技術の除去方法と比較して、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法は、削り粉の発生がないので、後工程における不都合を防止することができる。また、これによって、レーザを用いて短絡結線24を焼切る第2の従来技術の除去方法と比較して、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法は、レーザ発振装置および光学系装置を必要としないので、製造コストの増大を抑えることができる。
【0035】
図1の短絡結線24および端子電極25は、たとえば、ガス雰囲気中で基板22上に成膜される薄膜から、それぞれ形成される。好ましくは、短絡結線24用の薄膜形成時のガス圧力が、0Pa以上3Pa以下の範囲内から選ばれ、かつ、端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が、3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれる。
【0036】
短絡結線24用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれる場合、該薄膜の膜応力が圧縮方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。さらに、端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれる場合、該薄膜の膜応力が引張り方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。すなわち、短絡結線24用および端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が上述の範囲内からそれぞれ選ばれていれば、短絡結線24の膜応力が端子電極25の膜応力と確実に逆方向になる。これによって、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整を、成膜時の条件を調整するだけで、つまり成膜装置の操作だけで行うことができるため、調整が容易になる。したがって、短絡結線24および端子電極25の膜応力をより効率的に調整することができるため、配線基板素材21の製造コストの増加をさらに抑制することができる。
【0037】
また、図1の配線基板素材21において、好ましくは、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整に加えて、以下の3工程のうちの少なくとも1つを配線基板素材21の製造方法にさらに追加することが好ましい。
【0038】
第1の工程は、端子電極25形成後、短絡結線24の形成に先だって、端子電極25の表面に凹凸をつける工程である。端子電極25の表面に凹凸を設けることによって、凹凸形成後に形成される短絡結線24と端子電極25との接触面積が大きくなるので、短絡結線24と端子電極25との密着力が増加する。第2の工程は、短絡結線24形成後、端子電極25および短絡結線24に熱処理を加える工程である。これによって、熱処理後の短絡結線24および端子電極25に塑性変形が起こり、膜応力が低下するため、密着力が増加する。第3の工程は、短絡結線24形成後、端子電極25と短絡結線24との間に電蝕を発生させる工程である。
【0039】
このような第1〜第3の工程のうちの少なくとも1つを図1の配線基板素材21の製造方法に取入れることによって、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整以外にも短絡結線24および端子電極25の密着力を増減させることができるため、短絡結線24および端子電極25の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。したがって、図1の配線基板素材21から製造される図2の配線基板28の製造方法、および該配線基板28を用いる装置の製造方法に最適な密着力を有する短絡結線24の形成が可能になる。
【0040】
上述した図1の配線基板素材21の製造方法および短絡結線24の除去方法は、たとえば、液晶パネルの製造方法に適用されることが好ましい。すなわち、液晶パネルの製造工程において、図2のTFT側配線基板28の外部基板接続用の端子電極25の形成後、該端子電極25を相互に短絡するための短絡結線24が、短絡結線24と端子電極25との密着力を低下させるために、該短絡結線24の膜応力の向きが該端子電極25の膜応力の向きと相対的に逆方向になるように形成される。さらに、前記製造工程において、短絡結線24除去時には、TFT側配線基板素材21の短絡結線24を含む端子部に粘着材が塗布されたテープ状の除去用部材26が接着させられた後に、該除去用部材26が引剥がされる。
【0041】
液晶パネルの製造工程においては、TFT側配線基板28上に形成されるTFT素子の静電破壊防止の為に、TFT側配線基板28の端子電極25が短絡結線24によって相互に短絡される。薄膜状の短絡結線24の形成時に、短絡結線24と下地の端子電極25との膜応力の向きが相互に等しくなるようにすれば、短絡結線24と端子電極25との密着力が増加し、短絡結線24と端子電極25との膜応力の向きが相互に反対向きになるようにすれば、短絡結線24と下地の端子電極25との密着力が減少する。
【0042】
短絡結線24と端子電極25との密着力は、粘着材を短絡結線24に接着させて短絡結線24を引剥がす際に粘着材と接着していた端子電極25がまったく引剥がされない程度の粘着力を持った粘着材を塗布した除去用部材26用いた場合において、短絡結線24の50%程度が粘着材側に転写する程度の密着力であることが好ましい。この結果、液晶パネルの製造工程途中に容易に膜剥がれを起こすことがなく、最終的に該短絡結線24を粘着材を用いて引剥がして除去することが可能になる。これによって、液晶パネルの製造工程において、短絡結線24除去のために砥石を用いる研磨が行われないので削り粉を発生することがなくなる。またこれによって、短絡結線除去用のレーザ発振装置および光学系装置を用いる場合のように設置面積ならびにコストの増大を招くことがなくなる。
【0043】
また、液晶パネルの製造工程においては、好ましくは、端子電極25の元となる薄膜および短絡結線24の元となる薄膜の成膜時に、基板22が封入される容器を満たすガス雰囲気のガス圧力を調整することによって、膜応力を制御する。薄膜成膜時のガス圧力が0Paから3Paまで変化させることによって、成膜される薄膜の膜応力が圧縮の向きに0Paから10GPaまで変化する。また薄膜成膜時のガス圧力が3Paから5Paまで変化させることによって、成膜される薄膜の膜応力が引張りの向きに0Paから10GPaまで変化する。
【0044】
このように短絡結線24形成時の薄膜成膜時のガス圧力を制御することによって、端子電極25の膜応力の方向および大きさに見合った、剥離に適する膜応力を短絡結線24に持たせることができる。これによって、端子電極25と短絡結線24との膜応力の調整が、デポジション条件の変更、すなわち薄膜成膜装置への操作だけで行うことが出来るため、より効率的に膜応力を調整することができる。
【0045】
さらにまた、液晶パネルの製造工程においては、好ましくは、短絡結線24の膜応力の調整と合わせて、端子電極25の表面状態の変化、端子電極25および短絡結線24への電蝕の発生、短絡結線24形成後のベーク処理のうちの少なくとも一つを組合わせる。これによって、膜応力の調整手法が増加するため、短絡結線24と端子電極25との膜密着力の調整をさらに細かく、かつ効率的に行うことができる。
【0046】
図1の配線基板素材21の具体的な製造方法を、以下に説明する。なお、以下の説明では、図1の配線基板素材21が液晶パネルのTFT側配線基板の元となるものである場合を例としている。また、図1の配線基板素材21の回路23が、端子電極25の他に、TFT素子、ゲート線およびソース線を含む配線、および画素電極をさらに含むものとする。以下の説明において、構成要素の材料は例示であり、他の材料から形成されていてもよい。
【0047】
最初に、図1の配線基板素材21の基板22が用意される。基板22は、絶縁材料であるたとえばガラス材料から形成されている。具体的には、ガラス材料から成る基板22の裏面をフッ酸処理することによって該裏面の微細クラックが除去される。これによって、液晶パネルの製造工程途中におけるガラス表面への負荷に起因する基板22の亀裂の発生が抑えられる。
【0048】
次に、TFT素子ならびにゲート線およびソース線を含む配線が、用意された基板22上に形成される。TFT素子ならびにゲート線およびソース線は、各種の薄膜形成装置を用いて基板22上に薄膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とを交互に繰返すことによって、それぞれ形成される。薄膜形成装置は、たとえば、スパッタ装置である。
【0049】
次いで、画素電極および端子電極25が、TFT素子および配線形成後の基板22上に形成される。画素電極は、ITO(インジウム−錫酸化物)に代表されるような、無色透明の導電材料から形成されており、端子電極25も同材料から形成されている。画素電極および端子電極25は、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いて基板22上に無色透明の導電材料の薄膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とによって、同時に形成される。このためには、パターニングに用いるステッパ用マスクを、画素電極だけでなく端子電極25も残るような形状に、予め形成しておけばよい。
【0050】
最後に、短絡結線24が、端子電極25形成後の基板22上に形成される。短絡結線24は、たとえば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、およびチタン(Ti)に代表されるような、導電材料から形成されている。短絡結線24は、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いて基板22上に導電材料の薄膜を形成する工程(Deposition)と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とによって、形成される。以上の工程によって、図1の配線基板素材21が形成される。
【0051】
次に、上述の製造方法で製造された配線基板素材21からの短絡結線24の具体的な除去方法を、以下に説明する。
【0052】
最初に、短絡結線24が完全に覆われるように、短絡結線24剥離用の粘着テープ材である除去用部材26が図1の配線基板素材21に貼付けられる。この際、除去用部材26は、短絡結線24だけに接着されてもよく、図1(A)に示すように、基板22および端子電極25に除去用部材26の一部が接着されていてもよい。次いで、粘着テープ材剥離に際しての静電気の発生に起因する回路23の構成部品の静電破壊を防止するために、図1に示すように、静電気除去用のプローブ27が端子電極25に接触させられる。
【0053】
静電気除去用のプローブ27は、グランド端子と接続されている。剥離帯電に起因する回路23の静電破壊を防止した状態で、除去用部材26を配線基板素材21から引剥がす。引剥がし後は、図2に示すように、除去用部材26上に短絡結線24が接着されるので、端子電極25上から該短絡結線24が引剥がされる。以上の手順によって、短絡結線24が配線基板素材21から除去されるので、複数の端子電極25は相互にそれぞれ絶縁される。この結果、図1の配線基板素材21から、回路23と基板22とだけを含む配線基板28が形成される。
【0054】
上述した図1の配線基板素材21の短絡結線24のテープを用いる引剥がしが可能な程度に端子電極25と短絡結線24との密着力を調整するために、前述した図1の配線基板素材21の製造方法において、以下の4種類の手法のうちの少なくとも1つがさらに採用されることが好ましい。
【0055】
第1の手法では、短絡結線24の材料となる薄膜材料を端子電極25上にスパッタ装置を用いてデポジションする際に、スパッタ装置内部のガス雰囲気のガス圧力を調整する。たとえば、端子電極25がITOから形成され、短絡電極がアルミニウム、モリブデン、またはチタンから形成される場合、スパッタ装置内部の基板22が載置される空間のガス雰囲気として、アルゴン(Ar)が選ばれる。スパッタ装置内のアルゴンガス圧力を調整することによって、アルミニウム、モリブデン、またはチタンから形成される薄膜の膜応力を、引張り方向または圧縮方向に制御することが可能になる。
【0056】
基板22上に成膜される薄膜には、通常、内部応力が残存する。このため、端子電圧用のITO薄膜時にも、該ITO薄膜の形成条件に応じた引張り方向または圧縮方向の膜応力が、該ITO薄膜の表面に残存している。そこで、短絡結線24用の薄膜材料をデポジションする際に、短絡結線24の下層膜であるITO薄膜の膜応力とは反対向きになるように上層となる短絡結線24用の金属薄膜に残存する応力を制御することによって、端子電極25と短絡結線24との密着性を悪くなる方向に調整することができる。
【0057】
薄膜形成時に用いるガスの圧力が形成された薄膜の膜応力の大きさおよび向きに大きく影響することは明らかである。これに基き、短絡結線24用の薄膜形成時に最適なガス圧力は、以下の手順で得られる。以下の説明では、短絡結線24がモリブデンから形成され、端子電極25がITOから形成され、短絡結線24用薄膜成膜時のガス雰囲気がアルゴンである場合を例としている。
【0058】
最初に、下地膜となるITOの端子電極25上に、配線基板28部材の他の構成部品に用いられるモリブテン薄膜の形成工程と同一の条件で、モリブテンをデポジションする。たとえば、ソース線にモリブテンを採用している場合、ソース線用のモリブテンデポジションの際のアルゴン圧力(Ar濃度)である0.3GPaが採用される。次いで、形成されたモリブテン薄膜から、短絡結線24を形成する。
【0059】
続いて、形成されたモリブテン短絡結線24を粘着テープ材を用いて引剥がす試験を行い、各端子電極25間の絶縁性が充分に確保されているかどうかを検査する。端子電極25間の短絡結線24が完全に除去されないために各端子電極25間の絶縁性が充分に確保できない個所があれば、密着性過剰であると判断する。密着性過剰であれば、下地である端子電極25の膜応力の向きと反対の方向に短絡結線24の膜応力が増加するように、アルゴン圧力を設定する。このようなに、薄膜成膜時のガス圧力を手制御することによって、下地のITO端子電極25の膜応力に応じた短絡結線24の膜応力が設定される。上記の試験を行ったところ、下地のITO端子電極25の膜応力が引張り方向の1GPaである場合、アルゴン雰囲気内で形成されるモリブテン短絡結線24の最適な膜応力は、圧縮方向の0.8GPaであることがわかった。
【0060】
膜応力の調整ための第2の手法では、端子電極25と短絡結線24との接触面積を調整する。たとえば、端子電極25用のITOのデポジション工程の直後に、ITOのべた薄膜の表面に凹凸をつける為の工程を追加する。ITO薄膜表面への凹凸形成工程は、具体的には、プラズマを用いるアッシング工程、またはドライエッチング工程によって実現される。これによって、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いてデポジションされる短絡結線24用の導電材料の薄膜とITO薄膜との接触面積が、凹凸形成工程を行わない場合よりも増加するため、短絡結線24と端子電極25との間の密着力を増すことができる。
【0061】
また膜応力調整のための第3の手法では、短絡結線24と端子電極25との積層後に、熱処理工程が追加される。2層の薄膜デポジション後のベーク処理に代表される熱処理も、膜密着力の調整には有効である。たとえば、下層の薄膜上にチタンがデポジションされた後に220度のクリーンオーブン内に1時間程度放置された場合、チタンの薄膜と下層の薄膜との密着力が大きく向上する。これは、熱処理によって、2層の薄膜の材料に塑性変形が起こり、膜応力が低下したので、膜密着力がアップしたためだと考えられる。
【0062】
膜応力の調整ための第4の手法では、短絡結線24と端子電極25との間に、電蝕が発生させられる。たとえば、短絡結線24の構成材料としてアルミニウムまたはモリブデンが用いられる場合、ITOからなる端子電極25上へのアルミニウムまたはモリブデンのデポジション後に、形成される薄膜をウエット条件にさらすことによって、すなわち洗浄工程に通すウエットエッチング処理を行う。これによって、ITOとアルミニウムまたはモリブデンとの標準電極電位の差に起因して、ITOの端子電極25とアルミニウムまたはモリブデンの薄膜との間に電蝕が発生し、結果としてITOの端子電極25とアルミニウムまたはモリブデンの薄膜との密着力が低下する。
【0063】
通常、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜とが密着し、かつ両薄膜の断面が水分にさらされ、さらに水分中にイオン性の不純物が取込まれる場合、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜との間に電蝕が発生する。実際のTFT液晶パネルの製造工程においては、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜とを基板22上にそれぞれデポジションした後に両薄膜をウエットエッチング法を用いてパターニングする際、あるいは両薄膜をウエットエッチング法を用いてパターニングした後にレジストの剥離洗浄を行う際には、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜との断面がイオン性の不純物を含む水溶液中にさらされるので、電蝕が発生する。
【0064】
以上の理由に基づき、液晶パネルのTFT側配線基板の製造工程の最後に、アルミニウムまたはモリブデンを用いて短絡結線24を形成する場合、アルミニウムまたはモリブデンのデポジション後、パターニング工程のレジスト剥離工程において、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜の間に電蝕を発生させ、両薄膜の膜密着性を弱める。
【0065】
以上説明したような、第1〜第4の手法を単独あるいは複数組合せて実行することによって、ITOから形成される端子電極25上に、粘着テープ材を用いて引剥がすことが可能であり、かつ配線基板28の製造工程途中で基板22から剥がれない程度の密着性を有する短絡結線24を製造することができる。
【0066】
本実施の形態の配線基板素材21およびその製造方法ならびに短絡結線24の除去方法は、装置は本発明の配線基板素材21およびその製造方法ならびに短絡結線24の除去方法の例示であり、主要な構成および動作が等しければ、他の様々な形で実現することができる。特に配線基板素材21の各構成部品の詳細な構成は、同じ機能が得られるならば、上述の構成に限らず、他の構成によって実現されてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、配線基板の元となるべき配線基板素材の製造方法において、回路の端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。これによって、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0068】
また本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、端子電極および短絡結線は、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された薄膜からそれぞれ形成されている。かつ、短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれており、端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa未満の範囲内から選ばれている。これによって、短絡結線および端子電極の膜応力をより効率的に調整することができる。
【0069】
さらにまた本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸が設けられる。これによって、短絡結線と端子電極との密着力が増加するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0070】
また本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理が加えられる。これによって、短絡結線および端子電極の密着力が増加するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0071】
さらにまた本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕が発生させられる。これによって、短絡結線および端子電極の密着力が低下するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0072】
また以上のように本発明によれば、配線基板素材の短絡結線の除去方法において、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材が接着させられ、次いで、該除去用部材が配線基板素材から引剥がされる。これによって、後工程における不都合を防止することができ、また製造コストの増大を抑えることができる。
【0073】
さらにまた以上のように本発明によれば、配線基板の元となるべき配線基板素材において、端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と逆方向になるように形成されている。これによって、本発明の配線基板素材は、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である配線基板素材の正面図および側面図である。
【図2】図1の配線基板素材から作製される配線基板の正面図および側面図である。
【図3】第1の従来技術の短絡結線の除去方法を説明するための模式図である。
【図4】図3の除去方法の実行前の配線基板素材の正面図および側面図である。
【図5】図3の除去方法の実行後の配線基板素材の正面図および側面図である。
【符号の説明】
21 配線基板素材
22 基板
23 回路
24 短絡結線
25 端子電極
26 除去用部材
27 プローブ
28 配線基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子電極と短絡結線とを含む配線基板素材およびその製造方法、ならびに、該配線基板素材から短絡結線を除くための除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
画面に画像を目視表示するための画像表示装置として、たとえば、陰極線管(CRT)および液晶パネルが挙げられる。液晶パネルは陰極線管と比べて薄型化および消費電力の低減が可能なため、液晶パネルの需要が近年益々増加している。中でも、いわゆるTFT液晶と称される構成の液晶パネルは、他の構成の画像表示装置よりも高精細であるため、現在製造されている液晶パネルの中でも主流になりつつある。
【0003】
TFT液晶とは、アクティブマトリクス型液晶パネルの1種類であって、スイッチング素子として電界効果型薄膜トランジスタ(TFT)素子を用いている。アクティブマトリクス型液晶パネルは、液晶層を2枚の配線基板ではさむ構成を有する。前記2枚の配線基板のうちの一方配線基板は、配向膜と回路とがガラス基板上に配置される構成を有し、該回路は、多数のスイッチング素子と、該スイッチング素子に接続される外部接続用の複数の端子電極とを少なくとも含む。
【0004】
ところで、液晶パネルの製造工程において、製造中の配線基板に静電気が発生することがある。特に、配向膜のラビング工程および配線基板の分断工程において静電気が発生し易い。発生した静電気は、TFT素子の絶縁破壊に代表されるような、配線基板上の回路に静電破壊を引起すことがある。そこで、従来の液晶パネルの製造方法では、製造工程中の静電気等に起因する静電破壊を防ぐために、製造中の配線基板に所謂ショートリングである短絡結線をさらに追加し、該配線基板の複数の外部接続用の端子電極を該短絡結線を用いて相互に短絡させている。
【0005】
完成した液晶パネルにおいては、配線基板の複数の外部接続用の端子電極が相互に絶縁されていなければならない。このため、従来技術の液晶パネルの製造工程は、短絡結線を除去するための工程をさらに含んでいる。短絡結線の除去に関する従来技術として以下のような技術がある。
【0006】
第1の従来技術の液晶パネルの製造方法では、短絡結線であるショートリングが、TFT素子のゲート電極材料に用いられているアルミニウム(Al)から形成されている。かつ、前記製造方法では、液晶パネルの最終工程である割断された配線基板の端部の面取り工程が、短絡結線の除去工程を兼ねている(たとえば特許文献1参照)。
【0007】
第1の従来技術について、図3〜図5を用いて以下に詳細に説明する。
図3に示すように、液晶パネル1は、通常、CF側配線基板3とTFT側配線基板4と液晶材5とシール材6とを含む。TFT側配線基板4は、TFT素子と外部接続用の端子電極8とを含む回路がガラス基板9上に形成されている構成を有する。TFT素子を含む回路は、ガラス基板9上への薄膜の形成工程と該薄膜に対するフォトリソ工程とを交互に複数回繰返すことによって、形成される。CF側配線基板3は、カラーフィルタがガラス基板9上に形成されている構成を有する。CF側配線基板3とTFT側配線基板4との間の空間の周りにシール材6を用いて囲いが設けられ、2枚の該配線基板3,4とシール材6とによって形成される空間内部に液晶材5が閉込められる。
【0008】
液晶材封入後において、TFT側配線基板4のガラス基板9の一端部のほうがCF側配線基板3のガラス基板9の一端部よりも外側に長く伸びるように、2枚の配線基板3,4が配置されている。TFT側配線基板4のガラス基板9の前記一端部には、TFT側配線基板4の回路にFPC(フレキシブルプリント配線:Flexible Printed Circuit)11を接続するための端子電極8と、該端子電極8を相互に短絡するための短絡結線12とが設けられている。第1の従来技術では、図4(A)に示すように、TFT側配線基板4の端子電極8と短絡結線12とは同じ薄膜材料を用いて形成されている。
【0009】
配線基板端部の面取り工程では、通常、FPC11と回路との接点に当たるTFT側配線基板4の端部を回転する砥石13を用いて研磨することによって、短絡結線12ごと該TFT側配線基板4の端部の一部分を除去している。具体的には、図4(B)で示すように、TFT側配線基板4のガラス基板9の端部が、二点鎖線15の部分まで研磨によって除去される。この研磨によって、図5(A)および図5(B)に示すように、ガラス基板9の端部と共に短絡結線12が除去される。さらに、図5(B)に示すように、異方性導電性シート等を用いて、FPC11が端子電極8に接続される。
【0010】
また、第2の従来技術の液晶パネルの製造方法では、ショートリングを蒸発または分断させるために、短絡結線であるショートリングにレーザ光を照射する。かつ、直前にレーザ光が照射された領域に部分的に重なる領域、または該直前にレーザ光が照射された領域に接する領域に、レーザ光が新たに照射される(たとえば特許文献2参照)。
【0011】
さらにまた、以前には、大電流を短絡結線に通電することによって発生するジュール熱を用いて短絡結線を焼切る手法も用いられていた。しかしながら、大電流をショートリングに通電する際、ショートリングに印加される電位によってはTFT素子に悪影響を及ぼす可能性があるため、現在ではほとんど用いられていない。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−140488号公報
【特許文献2】
特開平8−204199号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第1の従来技術のように、砥石を用いる研磨によって短絡結線が除去される場合、研磨時に発生する削り粉が、研磨個所の周囲に付着する。付着した削り粉は、研磨工程後の工程において液晶パネルの品質を下げることがある。たとえば、研磨工程後に行われるTFT側配線基板裏面への偏光板貼付け工程等において、TFT側配線基板裏面に付着した削り粉周辺において、偏光板とTFT側配線基板裏面との間に気泡が入ることがある。また、液晶パネルのガラス基板の薄型化が近年進んでいるため、砥石を用いる研磨によって短絡結線を除去すると、TFT側配線基板に相当の負荷が掛かり、基板の欠け等の不良を多発させる恐れがある。
【0014】
また上述した第2の従来技術のように、レーザ光を用いて短絡結線が除去される場合、レーザ光の照射位置の位置決めのために光学系装置の導入が不可欠になる。このため、短絡結線除去に係る装置の設置面積の増大、およびの短絡結線除去のための設備コストの増大という問題が発生する。特に第2の従来技術では、短絡結線除去の加工精度を向上させるためには、複数の光学系装置を設ける必要があるため、短絡結線除去のための設備コストはさらに増大する。
【0015】
本発明の目的は、短絡結線の除去が容易となる配線基板およびその製造方法と、配線基板および該配線基板を備える装置の歩留まりの向上が可能な短絡結線の除去方法とを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数本の端子電極を少なくとも含む回路と該端子電極を相互に短絡するための短絡結線とを含む配線基板素材の製造方法であって、
膜状の端子電極を含む回路を、基板上に形成する工程と、
端子電極の膜応力の向きと相対的に逆方向になる膜応力を有する膜状の短絡結線を、少なくとも一部分が端子電極に重なるように形成する工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の製造方法である。
【0017】
本発明に従えば、配線基板の元となるべき配線基板素材の製造方法において、回路の端子電極を相互に短絡するための短絡結線は、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。この結果、短絡結線と端子電極との密着力が従来技術の配線基板素材よりも低下する。
【0018】
このように、本発明の配線基板素材の製造方法が用いられる場合、粘着材を該短絡結線に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって端子電極を傷つけることなく基板から短絡結線だけを引剥がすことが可能になるため、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0019】
本発明の配線基板素材の製造方法は、前記端子電極および短絡結線が、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された薄膜からそれぞれ形成されており、
端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が、3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれ、
短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が、0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれる事を特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、端子電極および短絡結線は、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された2枚の薄膜からそれぞれ形成されている。かつ、短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれているので、該薄膜の膜応力が圧縮方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。さらに、端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa未満の範囲内から選ばれているので、該薄膜の膜応力が引張り方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。これによって、短絡結線および端子電極の膜応力の調整を、成膜時の条件を調整するだけで、つまり成膜装置の操作だけで行うことができるため、調整が容易になる。したがって、短絡結線および端子電極の膜応力をより効率的に調整することができる。
【0021】
本発明の配線基板素材の製造方法は、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸をつける工程をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸が設けられる。これによって、凹凸形成後に形成される短絡結線と端子電極との接触面積が大きくなるので、短絡結線と端子電極との密着力が増加する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極の接触面積の調整とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0023】
本発明の配線基板素材の製造方法は、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理を加える工程をさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理が加えられる。これによって、熱処理後の短絡結線および端子電極に塑性変形が起こり、膜応力が低下するため、密着力が増加する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極の熱処理とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0025】
本発明の配線基板素材の製造方法は、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕を発生させる工程をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕が発生させられる。これによって、電蝕発生後の短絡結線および端子電極の密着力が低下する。このように短絡結線および端子電極の膜応力の調整と短絡結線および端子電極間の電蝕発生処理とを組合わせることによって、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0027】
本発明は、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材を接着させる工程と、
除去用部材を配線基板素材から引剥がす工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の短絡結線の除去方法である。
【0028】
本発明に従えば、配線基板素材の短絡結線の除去方法において、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材が接着させられ、次いで、該除去用部材が配線基板素材から引剥がされる。上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線の端子電極との密着力は適宜調整されているので、除去用部材を接着し引剥がすだけで、端子電極の膜剥がれを引起こすことなく、配線基板素材から該短絡結線だけを容易に除去することができる。これによって、配線基板素材の短絡結線を含む一部分を砥石を用いて削落とす第1の従来技術の除去方法と比較して、本発明の短絡結線の除去方法は、削り粉の発生がないので、後工程における不都合を防止することができる。また、これによって、レーザを用いて短絡結線を焼切る第2の従来技術の除去方法と比較して、本発明の短絡結線の除去方法は、レーザ発振装置および光学系装置を必要としないので、製造コストの増大を抑えることができる。
【0029】
本発明は、基板と、
複数本の膜状の端子電極を少なくとも含み、基板上に形成される回路と、
端子電極を相互に短絡するための膜状の短絡結線であって、少なくとも一部が端子電極と重なるように形成され、短絡結線の膜応力の向きが端子電極の膜応力の向きと逆方向になっている短絡結線とを含むことを特徴とする配線基板素材である。
【0030】
本発明に従えば、配線基板の元となるべき配線基板素材において、端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と逆方向になるように形成されている。この結果、短絡結線と端子電極との密着力が従来技術の配線基板素材よりも低下している。これによって、本発明の配線基板素材は、粘着材を該短絡結線に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって、端子電極を傷つけることなく基板から短絡結線だけを除去することが可能になるため、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1(A)は、本発明の実施の一形態である配線基板素材21の構成を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)の配線基板素材21の側面図である。また図2(A)は図1で示される配線素材から作製される配線基板28の正面図であり、図2(B)は図2(A)の配線基板28の側面図である。
【0032】
配線基板素材21は、基板22と、回路23と、短絡結線24とを最低限含む。回路23は、複数本の膜状の端子電極25を少なくとも含み、基板22上に形成されている。短絡結線24は、基板22上の回路23の端子電極25を相互に短絡するための所謂ショートリングである。短絡結線24は、少なくとも一部分が端子電極25と重なるように、基板22上に配置される。かつ、短絡結線24は、短絡結線24と端子電極25とが重なる部位において、該短絡結線24の膜応力の向きが端子電極25の膜応力の向きと相対的に逆方向になっている。図1の配線基板素材21の製造方法は、膜状の端子電極25を含む前記回路23を基板22上に形成する工程と、上述の膜応力を有する膜状の短絡結線24を少なくとも一部分が端子電極25に重なるように形成する工程とを含む。
【0033】
この結果、図1の配線基板素材21は、短絡結線24と端子電極25との密着力が、従来技術の配線基板素材21よりも低下している。これによって、図1の配線基板素材21は、粘着材を該短絡結線24に接着した後に該粘着材を引剥がすことによって、端子電極25を傷つけることなく基板22から短絡結線24だけを除去することが可能になるため、短絡結線24の除去が容易になる。したがって、図1の配線基板素材21から製造される図2の配線基板28の歩留まりの改善、および該配線基板28を用いる装置の歩留まりの改善が可能になる。
【0034】
さらに、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法には、図1の配線基板素材21の短絡結線24が位置する部分に粘着材が塗布された除去用部材26を接着させる工程と、除去用部材26を配線基板素材21から引剥がす工程とを含む。図1の配線基板素材21の短絡結線24の端子電極25との密着力は適宜調整されているので、除去用部材26を接着し引剥がすだけで、端子電極25の膜剥がれを引起こすことなく、配線基板素材21から該短絡結線24だけを容易に除去することができる。これによって、配線基板素材21の短絡結線24を含む一部分を砥石を用いて削落とす第1の従来技術の除去方法と比較して、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法は、削り粉の発生がないので、後工程における不都合を防止することができる。また、これによって、レーザを用いて短絡結線24を焼切る第2の従来技術の除去方法と比較して、図1の配線基板素材21からの短絡結線24の除去方法は、レーザ発振装置および光学系装置を必要としないので、製造コストの増大を抑えることができる。
【0035】
図1の短絡結線24および端子電極25は、たとえば、ガス雰囲気中で基板22上に成膜される薄膜から、それぞれ形成される。好ましくは、短絡結線24用の薄膜形成時のガス圧力が、0Pa以上3Pa以下の範囲内から選ばれ、かつ、端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が、3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれる。
【0036】
短絡結線24用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれる場合、該薄膜の膜応力が圧縮方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。さらに、端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれる場合、該薄膜の膜応力が引張り方向に0Pa以上10GPa未満の範囲内の値になる。すなわち、短絡結線24用および端子電極25用の薄膜形成時のガス圧力が上述の範囲内からそれぞれ選ばれていれば、短絡結線24の膜応力が端子電極25の膜応力と確実に逆方向になる。これによって、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整を、成膜時の条件を調整するだけで、つまり成膜装置の操作だけで行うことができるため、調整が容易になる。したがって、短絡結線24および端子電極25の膜応力をより効率的に調整することができるため、配線基板素材21の製造コストの増加をさらに抑制することができる。
【0037】
また、図1の配線基板素材21において、好ましくは、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整に加えて、以下の3工程のうちの少なくとも1つを配線基板素材21の製造方法にさらに追加することが好ましい。
【0038】
第1の工程は、端子電極25形成後、短絡結線24の形成に先だって、端子電極25の表面に凹凸をつける工程である。端子電極25の表面に凹凸を設けることによって、凹凸形成後に形成される短絡結線24と端子電極25との接触面積が大きくなるので、短絡結線24と端子電極25との密着力が増加する。第2の工程は、短絡結線24形成後、端子電極25および短絡結線24に熱処理を加える工程である。これによって、熱処理後の短絡結線24および端子電極25に塑性変形が起こり、膜応力が低下するため、密着力が増加する。第3の工程は、短絡結線24形成後、端子電極25と短絡結線24との間に電蝕を発生させる工程である。
【0039】
このような第1〜第3の工程のうちの少なくとも1つを図1の配線基板素材21の製造方法に取入れることによって、短絡結線24および端子電極25の膜応力の調整以外にも短絡結線24および端子電極25の密着力を増減させることができるため、短絡結線24および端子電極25の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。したがって、図1の配線基板素材21から製造される図2の配線基板28の製造方法、および該配線基板28を用いる装置の製造方法に最適な密着力を有する短絡結線24の形成が可能になる。
【0040】
上述した図1の配線基板素材21の製造方法および短絡結線24の除去方法は、たとえば、液晶パネルの製造方法に適用されることが好ましい。すなわち、液晶パネルの製造工程において、図2のTFT側配線基板28の外部基板接続用の端子電極25の形成後、該端子電極25を相互に短絡するための短絡結線24が、短絡結線24と端子電極25との密着力を低下させるために、該短絡結線24の膜応力の向きが該端子電極25の膜応力の向きと相対的に逆方向になるように形成される。さらに、前記製造工程において、短絡結線24除去時には、TFT側配線基板素材21の短絡結線24を含む端子部に粘着材が塗布されたテープ状の除去用部材26が接着させられた後に、該除去用部材26が引剥がされる。
【0041】
液晶パネルの製造工程においては、TFT側配線基板28上に形成されるTFT素子の静電破壊防止の為に、TFT側配線基板28の端子電極25が短絡結線24によって相互に短絡される。薄膜状の短絡結線24の形成時に、短絡結線24と下地の端子電極25との膜応力の向きが相互に等しくなるようにすれば、短絡結線24と端子電極25との密着力が増加し、短絡結線24と端子電極25との膜応力の向きが相互に反対向きになるようにすれば、短絡結線24と下地の端子電極25との密着力が減少する。
【0042】
短絡結線24と端子電極25との密着力は、粘着材を短絡結線24に接着させて短絡結線24を引剥がす際に粘着材と接着していた端子電極25がまったく引剥がされない程度の粘着力を持った粘着材を塗布した除去用部材26用いた場合において、短絡結線24の50%程度が粘着材側に転写する程度の密着力であることが好ましい。この結果、液晶パネルの製造工程途中に容易に膜剥がれを起こすことがなく、最終的に該短絡結線24を粘着材を用いて引剥がして除去することが可能になる。これによって、液晶パネルの製造工程において、短絡結線24除去のために砥石を用いる研磨が行われないので削り粉を発生することがなくなる。またこれによって、短絡結線除去用のレーザ発振装置および光学系装置を用いる場合のように設置面積ならびにコストの増大を招くことがなくなる。
【0043】
また、液晶パネルの製造工程においては、好ましくは、端子電極25の元となる薄膜および短絡結線24の元となる薄膜の成膜時に、基板22が封入される容器を満たすガス雰囲気のガス圧力を調整することによって、膜応力を制御する。薄膜成膜時のガス圧力が0Paから3Paまで変化させることによって、成膜される薄膜の膜応力が圧縮の向きに0Paから10GPaまで変化する。また薄膜成膜時のガス圧力が3Paから5Paまで変化させることによって、成膜される薄膜の膜応力が引張りの向きに0Paから10GPaまで変化する。
【0044】
このように短絡結線24形成時の薄膜成膜時のガス圧力を制御することによって、端子電極25の膜応力の方向および大きさに見合った、剥離に適する膜応力を短絡結線24に持たせることができる。これによって、端子電極25と短絡結線24との膜応力の調整が、デポジション条件の変更、すなわち薄膜成膜装置への操作だけで行うことが出来るため、より効率的に膜応力を調整することができる。
【0045】
さらにまた、液晶パネルの製造工程においては、好ましくは、短絡結線24の膜応力の調整と合わせて、端子電極25の表面状態の変化、端子電極25および短絡結線24への電蝕の発生、短絡結線24形成後のベーク処理のうちの少なくとも一つを組合わせる。これによって、膜応力の調整手法が増加するため、短絡結線24と端子電極25との膜密着力の調整をさらに細かく、かつ効率的に行うことができる。
【0046】
図1の配線基板素材21の具体的な製造方法を、以下に説明する。なお、以下の説明では、図1の配線基板素材21が液晶パネルのTFT側配線基板の元となるものである場合を例としている。また、図1の配線基板素材21の回路23が、端子電極25の他に、TFT素子、ゲート線およびソース線を含む配線、および画素電極をさらに含むものとする。以下の説明において、構成要素の材料は例示であり、他の材料から形成されていてもよい。
【0047】
最初に、図1の配線基板素材21の基板22が用意される。基板22は、絶縁材料であるたとえばガラス材料から形成されている。具体的には、ガラス材料から成る基板22の裏面をフッ酸処理することによって該裏面の微細クラックが除去される。これによって、液晶パネルの製造工程途中におけるガラス表面への負荷に起因する基板22の亀裂の発生が抑えられる。
【0048】
次に、TFT素子ならびにゲート線およびソース線を含む配線が、用意された基板22上に形成される。TFT素子ならびにゲート線およびソース線は、各種の薄膜形成装置を用いて基板22上に薄膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とを交互に繰返すことによって、それぞれ形成される。薄膜形成装置は、たとえば、スパッタ装置である。
【0049】
次いで、画素電極および端子電極25が、TFT素子および配線形成後の基板22上に形成される。画素電極は、ITO(インジウム−錫酸化物)に代表されるような、無色透明の導電材料から形成されており、端子電極25も同材料から形成されている。画素電極および端子電極25は、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いて基板22上に無色透明の導電材料の薄膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とによって、同時に形成される。このためには、パターニングに用いるステッパ用マスクを、画素電極だけでなく端子電極25も残るような形状に、予め形成しておけばよい。
【0050】
最後に、短絡結線24が、端子電極25形成後の基板22上に形成される。短絡結線24は、たとえば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、およびチタン(Ti)に代表されるような、導電材料から形成されている。短絡結線24は、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いて基板22上に導電材料の薄膜を形成する工程(Deposition)と、フォトリソグラフィ技術を用いて該薄膜をパターニングする工程とによって、形成される。以上の工程によって、図1の配線基板素材21が形成される。
【0051】
次に、上述の製造方法で製造された配線基板素材21からの短絡結線24の具体的な除去方法を、以下に説明する。
【0052】
最初に、短絡結線24が完全に覆われるように、短絡結線24剥離用の粘着テープ材である除去用部材26が図1の配線基板素材21に貼付けられる。この際、除去用部材26は、短絡結線24だけに接着されてもよく、図1(A)に示すように、基板22および端子電極25に除去用部材26の一部が接着されていてもよい。次いで、粘着テープ材剥離に際しての静電気の発生に起因する回路23の構成部品の静電破壊を防止するために、図1に示すように、静電気除去用のプローブ27が端子電極25に接触させられる。
【0053】
静電気除去用のプローブ27は、グランド端子と接続されている。剥離帯電に起因する回路23の静電破壊を防止した状態で、除去用部材26を配線基板素材21から引剥がす。引剥がし後は、図2に示すように、除去用部材26上に短絡結線24が接着されるので、端子電極25上から該短絡結線24が引剥がされる。以上の手順によって、短絡結線24が配線基板素材21から除去されるので、複数の端子電極25は相互にそれぞれ絶縁される。この結果、図1の配線基板素材21から、回路23と基板22とだけを含む配線基板28が形成される。
【0054】
上述した図1の配線基板素材21の短絡結線24のテープを用いる引剥がしが可能な程度に端子電極25と短絡結線24との密着力を調整するために、前述した図1の配線基板素材21の製造方法において、以下の4種類の手法のうちの少なくとも1つがさらに採用されることが好ましい。
【0055】
第1の手法では、短絡結線24の材料となる薄膜材料を端子電極25上にスパッタ装置を用いてデポジションする際に、スパッタ装置内部のガス雰囲気のガス圧力を調整する。たとえば、端子電極25がITOから形成され、短絡電極がアルミニウム、モリブデン、またはチタンから形成される場合、スパッタ装置内部の基板22が載置される空間のガス雰囲気として、アルゴン(Ar)が選ばれる。スパッタ装置内のアルゴンガス圧力を調整することによって、アルミニウム、モリブデン、またはチタンから形成される薄膜の膜応力を、引張り方向または圧縮方向に制御することが可能になる。
【0056】
基板22上に成膜される薄膜には、通常、内部応力が残存する。このため、端子電圧用のITO薄膜時にも、該ITO薄膜の形成条件に応じた引張り方向または圧縮方向の膜応力が、該ITO薄膜の表面に残存している。そこで、短絡結線24用の薄膜材料をデポジションする際に、短絡結線24の下層膜であるITO薄膜の膜応力とは反対向きになるように上層となる短絡結線24用の金属薄膜に残存する応力を制御することによって、端子電極25と短絡結線24との密着性を悪くなる方向に調整することができる。
【0057】
薄膜形成時に用いるガスの圧力が形成された薄膜の膜応力の大きさおよび向きに大きく影響することは明らかである。これに基き、短絡結線24用の薄膜形成時に最適なガス圧力は、以下の手順で得られる。以下の説明では、短絡結線24がモリブデンから形成され、端子電極25がITOから形成され、短絡結線24用薄膜成膜時のガス雰囲気がアルゴンである場合を例としている。
【0058】
最初に、下地膜となるITOの端子電極25上に、配線基板28部材の他の構成部品に用いられるモリブテン薄膜の形成工程と同一の条件で、モリブテンをデポジションする。たとえば、ソース線にモリブテンを採用している場合、ソース線用のモリブテンデポジションの際のアルゴン圧力(Ar濃度)である0.3GPaが採用される。次いで、形成されたモリブテン薄膜から、短絡結線24を形成する。
【0059】
続いて、形成されたモリブテン短絡結線24を粘着テープ材を用いて引剥がす試験を行い、各端子電極25間の絶縁性が充分に確保されているかどうかを検査する。端子電極25間の短絡結線24が完全に除去されないために各端子電極25間の絶縁性が充分に確保できない個所があれば、密着性過剰であると判断する。密着性過剰であれば、下地である端子電極25の膜応力の向きと反対の方向に短絡結線24の膜応力が増加するように、アルゴン圧力を設定する。このようなに、薄膜成膜時のガス圧力を手制御することによって、下地のITO端子電極25の膜応力に応じた短絡結線24の膜応力が設定される。上記の試験を行ったところ、下地のITO端子電極25の膜応力が引張り方向の1GPaである場合、アルゴン雰囲気内で形成されるモリブテン短絡結線24の最適な膜応力は、圧縮方向の0.8GPaであることがわかった。
【0060】
膜応力の調整ための第2の手法では、端子電極25と短絡結線24との接触面積を調整する。たとえば、端子電極25用のITOのデポジション工程の直後に、ITOのべた薄膜の表面に凹凸をつける為の工程を追加する。ITO薄膜表面への凹凸形成工程は、具体的には、プラズマを用いるアッシング工程、またはドライエッチング工程によって実現される。これによって、スパッタ装置に代表される薄膜形成装置を用いてデポジションされる短絡結線24用の導電材料の薄膜とITO薄膜との接触面積が、凹凸形成工程を行わない場合よりも増加するため、短絡結線24と端子電極25との間の密着力を増すことができる。
【0061】
また膜応力調整のための第3の手法では、短絡結線24と端子電極25との積層後に、熱処理工程が追加される。2層の薄膜デポジション後のベーク処理に代表される熱処理も、膜密着力の調整には有効である。たとえば、下層の薄膜上にチタンがデポジションされた後に220度のクリーンオーブン内に1時間程度放置された場合、チタンの薄膜と下層の薄膜との密着力が大きく向上する。これは、熱処理によって、2層の薄膜の材料に塑性変形が起こり、膜応力が低下したので、膜密着力がアップしたためだと考えられる。
【0062】
膜応力の調整ための第4の手法では、短絡結線24と端子電極25との間に、電蝕が発生させられる。たとえば、短絡結線24の構成材料としてアルミニウムまたはモリブデンが用いられる場合、ITOからなる端子電極25上へのアルミニウムまたはモリブデンのデポジション後に、形成される薄膜をウエット条件にさらすことによって、すなわち洗浄工程に通すウエットエッチング処理を行う。これによって、ITOとアルミニウムまたはモリブデンとの標準電極電位の差に起因して、ITOの端子電極25とアルミニウムまたはモリブデンの薄膜との間に電蝕が発生し、結果としてITOの端子電極25とアルミニウムまたはモリブデンの薄膜との密着力が低下する。
【0063】
通常、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜とが密着し、かつ両薄膜の断面が水分にさらされ、さらに水分中にイオン性の不純物が取込まれる場合、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜との間に電蝕が発生する。実際のTFT液晶パネルの製造工程においては、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜とを基板22上にそれぞれデポジションした後に両薄膜をウエットエッチング法を用いてパターニングする際、あるいは両薄膜をウエットエッチング法を用いてパターニングした後にレジストの剥離洗浄を行う際には、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜との断面がイオン性の不純物を含む水溶液中にさらされるので、電蝕が発生する。
【0064】
以上の理由に基づき、液晶パネルのTFT側配線基板の製造工程の最後に、アルミニウムまたはモリブデンを用いて短絡結線24を形成する場合、アルミニウムまたはモリブデンのデポジション後、パターニング工程のレジスト剥離工程において、ITO薄膜とアルミニウムまたはモリブテンの薄膜の間に電蝕を発生させ、両薄膜の膜密着性を弱める。
【0065】
以上説明したような、第1〜第4の手法を単独あるいは複数組合せて実行することによって、ITOから形成される端子電極25上に、粘着テープ材を用いて引剥がすことが可能であり、かつ配線基板28の製造工程途中で基板22から剥がれない程度の密着性を有する短絡結線24を製造することができる。
【0066】
本実施の形態の配線基板素材21およびその製造方法ならびに短絡結線24の除去方法は、装置は本発明の配線基板素材21およびその製造方法ならびに短絡結線24の除去方法の例示であり、主要な構成および動作が等しければ、他の様々な形で実現することができる。特に配線基板素材21の各構成部品の詳細な構成は、同じ機能が得られるならば、上述の構成に限らず、他の構成によって実現されてもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、配線基板の元となるべき配線基板素材の製造方法において、回路の端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と相対的に逆方向になるように形成される。これによって、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【0068】
また本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、端子電極および短絡結線は、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された薄膜からそれぞれ形成されている。かつ、短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれており、端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が3Pa以上5Pa未満の範囲内から選ばれている。これによって、短絡結線および端子電極の膜応力をより効率的に調整することができる。
【0069】
さらにまた本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸が設けられる。これによって、短絡結線と端子電極との密着力が増加するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0070】
また本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理が加えられる。これによって、短絡結線および端子電極の密着力が増加するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0071】
さらにまた本発明によれば、配線基板素材の製造方法において、短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕が発生させられる。これによって、短絡結線および端子電極の密着力が低下するので、短絡結線および端子電極の密着力をさらに細かく効率的に調整することができる。
【0072】
また以上のように本発明によれば、配線基板素材の短絡結線の除去方法において、上述の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材が接着させられ、次いで、該除去用部材が配線基板素材から引剥がされる。これによって、後工程における不都合を防止することができ、また製造コストの増大を抑えることができる。
【0073】
さらにまた以上のように本発明によれば、配線基板の元となるべき配線基板素材において、端子電極を相互に短絡するための短絡結線が、該短絡結線が該端子電極と少なくとも一部が重なるように配置され、かつ、該短絡結線の膜応力が端子電極の膜応力と逆方向になるように形成されている。これによって、本発明の配線基板素材は、短絡結線の除去が容易になり、配線基板の歩留まりの改善が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である配線基板素材の正面図および側面図である。
【図2】図1の配線基板素材から作製される配線基板の正面図および側面図である。
【図3】第1の従来技術の短絡結線の除去方法を説明するための模式図である。
【図4】図3の除去方法の実行前の配線基板素材の正面図および側面図である。
【図5】図3の除去方法の実行後の配線基板素材の正面図および側面図である。
【符号の説明】
21 配線基板素材
22 基板
23 回路
24 短絡結線
25 端子電極
26 除去用部材
27 プローブ
28 配線基板
Claims (7)
- 複数本の端子電極を少なくとも含む回路と該端子電極を相互に短絡するための短絡結線とを含む配線基板素材の製造方法であって、
膜状の端子電極を含む回路を、基板上に形成する工程と、
端子電極の膜応力の向きと相対的に逆方向になる膜応力を有する膜状の短絡結線を、少なくとも一部分が端子電極に重なるように形成する工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の製造方法。 - 前記端子電極および短絡結線が、ガス雰囲気中で基板上に積層して成膜された薄膜からそれぞれ形成されており、
端子電極用の薄膜形成時のガス圧力が、3Pa以上5Pa以下の範囲内から選ばれ、
短絡結線用の薄膜形成時のガス圧力が、0Pa以上3Pa未満の範囲内から選ばれる事を特徴とする請求項1記載の配線基板素材の製造方法。 - 端子電極形成後、短絡結線の形成に先だって、端子電極の表面に凹凸をつける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の配線基板素材の製造方法。
- 短絡結線形成後、端子電極および短絡結線に熱処理を加える工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項記載の配線基板素材の製造方法。
- 短絡結線形成後、端子電極と短絡結線との間に電蝕を発生させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項記載の配線基板素材の製造方法。
- 請求項1〜5のうちのいずれか1項の製造方法によって製造された配線基板素材の短絡結線が位置する部分に、粘着材が塗布された除去用部材を接着させる工程と、
除去用部材を配線基板素材から引剥がす工程とを含むことを特徴とする配線基板素材の短絡結線の除去方法。 - 基板と、
複数本の膜状の端子電極を少なくとも含み、基板上に形成される回路と、
端子電極を相互に短絡するための膜状の短絡結線であって、少なくとも一部が端子電極と重なるように形成され、短絡結線の膜応力の向きが端子電極の膜応力の向きと逆方向になっている短絡結線とを含むことを特徴とする配線基板素材。
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JP2011123283A (ja) * | 2009-12-10 | 2011-06-23 | Seiko Epson Corp | 保護回路、電気光学装置用基板、電気光学装置、電気泳動表示装置、電子機器および電気光学装置の製造方法 |
US11090036B2 (en) | 2005-05-20 | 2021-08-17 | Neotract, Inc. | Devices, systems and methods for treating benign prostatic hyperplasia and other conditions |
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2003
- 2003-05-14 JP JP2003136107A patent/JP2004341127A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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