JP2004340054A - 内燃機関用ピストン - Google Patents
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Abstract
【課題】オイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能な内燃機関用ピストンを提供する。
【解決手段】有蓋円筒状のピストン上部体3の外周部の一部においてピストン頂面7とは反対側に向かって延設される上部スカート5aと、該上部スカート5aとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカート5aよりも上記ピストン頂面7から離れた位置に設けられる下部スカート8a、8bと、を有する内燃機関用ピストンを提供する。本ピストンでは、上部スカートと下部スカートが、周方向の位置が重ならないように配置されるので、掻き落とされたオイルが下部スカート上に滞留することがない。このため、油膜の厚さが厚くなりすぎず、オイルの引き摺りが低減されて、オイル消費の低減及びフリクションの低減を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】有蓋円筒状のピストン上部体3の外周部の一部においてピストン頂面7とは反対側に向かって延設される上部スカート5aと、該上部スカート5aとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカート5aよりも上記ピストン頂面7から離れた位置に設けられる下部スカート8a、8bと、を有する内燃機関用ピストンを提供する。本ピストンでは、上部スカートと下部スカートが、周方向の位置が重ならないように配置されるので、掻き落とされたオイルが下部スカート上に滞留することがない。このため、油膜の厚さが厚くなりすぎず、オイルの引き摺りが低減されて、オイル消費の低減及びフリクションの低減を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関用ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用ピストンとして、外周部にリング溝を有する有蓋円筒状のピストン上部体の下側の形状を骨格構造とし、軽量化及びスカートの摺動面面積の減少を図った、いわゆるスケルトン型ピストンが公知である。そして、このようなスケルトン型ピストンには、スカートがピストン頂面側の上部スカートとクランク軸側の下部スカートとに分割されたものが知られており、特に、特許文献1には、潤滑用のエンジンオイルを有効に作用させるべく上記下部スカートの上端面にオイル溜め用凹部を設けた構成が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
実開平3−104147号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成のピストンでは、実際には、ピストン下降時に上部スカートで掻き落とされたオイルが下部スカートの上端面に滞留することでシリンダボア内面に形成される油膜が厚くなりすぎてしまい、オイルの引き摺りが増加して、オイル消費量の増加やフリクションの増加等の不都合が生じる場合がある。
【0005】
このようなオイル消費量の増加はエミッションの悪化や排気浄化触媒の被毒の原因となる場合がある。また、フリクションの増加については、オイル粘度が高くなる低温時や、オイルの引き摺りによる摺動抵抗が大きくなる高回転時に影響が大きく、フリクションの増加に起因して燃費悪化や機関の始動性の悪化を生じる場合がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的はオイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能な内燃機関用ピストンを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関用ピストンを提供する。
1番目の発明は、有蓋円筒状のピストン上部体の外周部の一部においてピストン頂面とは反対側に向かって延設される上部スカートと、該上部スカートとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる下部スカートと、を有する内燃機関用ピストンを提供する。
【0007】
1番目の発明においては、上記上部スカートと上記下部スカートとが周方向の位置が重ならないように配置されるので、上記上部スカートやピストンリングによって掻き落とされたオイルは下部スカート上に滞留することなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行くことになる。これによりシリンダボアと上部スカートの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎず、上記上部スカートやピストンリングによって充分にオイルを掻くことができるようになるので、オイル消費を低減することができる。また、同時にオイルの引き摺りが低減されフリクションも低減することができる。更に、掻き落とす必要のあるオイル量が減るためにオイルリングの張力を小さく設定することができるので、更なるフリクションの低減を図ることが可能である。
【0008】
2番目の発明では1番目の発明において、上記上部スカートは、ピストンのスラスト側と反スラスト側の両外周部から延設されていて、上記下部スカートは、それぞれの上記上部スカートの周方向両側の位置に設けられている。
2番目の発明によれば、1番目の発明と同様の作用及び効果が得られると共に、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。すなわち、2番目の発明のような構成とすることで、上記下部スカートが上記スラスト側と反スラスト側とにおいて周方向に比較的離れた位置でシリンダボアと接触することになるので、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。これにより、シリンダボアへのスラスト力が低減されて発生する面圧(単位面積に作用する力)の低減が図られ、焼付きの発生が抑制される。また、いわゆるピストンの首振り現象によるスラップ音の発生も低減されるので騒音も抑制される。
【0009】
3番目の発明では2番目の発明において、上記スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積が上記反スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積より大きい。
4番目の発明では2番目または3番目の発明において、上記スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計が上記反スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計より大きい。
【0010】
一般に上記反スラスト側には上記スラスト側程大きなスラスト力はかからないため、反スラスト側に設けられた各スカートの摺動面面積をスラスト側に設けられた対応する各スカートの摺動面面積より小さくしても、各スカートにおいて生ずる面圧を同程度とすることができ、同程度の焼付き抑制効果等を得ることが可能である。したがって、3番目または4番目の発明によれば、各スカートの摺動面面積を所望する面圧低減効果に必要な最小面積とすることができ、各スカートにおいて所望する面圧の低減を実現しつつ、フリクションの更なる低減及びピストンの軽量化を図ることができる。
【0011】
5番目の発明では1番目から4番目の何れかの発明において、上記上部スカートよりも周方向の幅が小さい補助スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置において、上記上部スカートと周方向の位置が重なるように配設されている。
【0012】
5番目の発明によれば、上記補助スカートによってオイル掻きが補助されるので、更なるオイル消費の低減及びフリクションの低減が図られる。なお、上記補助スカートは、上記上部スカートと周方向の位置が重なるように配設されているが、その周方向の幅が上記上部スカートよりも小さいので、上記上部スカートやピストンリングによって掻き落とされたオイルが上記補助スカート上に滞留することはなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行く。このため、上記補助スカートの存在によりシリンダボアと上部スカートの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎてしまうといった不都合は生じない。
【0013】
6番目の発明では5番目の発明において、上記下部スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記補助スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる。
本発明のようにすることによって、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関する上記上部スカートと上記下部スカートとの間隔が比較的大きくなることになるので、上述のピストンの姿勢を良好に維持する効果が向上される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の第一実施形態の内燃機関用ピストン10のスラスト側から見た場合の側面図であり、図2は図1の場合から周方向に90°ずれた方向、すなわち、ピストンピン(図示なし)を挿入するピン穴11の軸線方向に見た場合の側面図である。また、図3は、ピストン10を図1及び図2における下方から見た場合の図である。なお、ここでスラスト側とは内燃機関の膨張行程において最も大きなスラスト力の加わる側を意味し、その反対側は反スラスト側と称する。通常、上記ピン穴11の開口側から90°をなす側がスラスト側及び反スラスト側に該当し、より詳細には、そのうちの内燃機関の膨張行程においてコンロッドが傾く側が反スラスト側であり、他方がスラスト側である。
【0015】
図1から図3に示したようにピストン10は、外周部にリング溝1を有する有蓋円筒状のピストン上部体3の下側の形状を骨格構造とした、いわゆるスケルトン型ピストンである。そして、本実施形態のピストン10においては、上部スカート5a、5bが、ピストン上部体3の外周部のスラスト側と反スラスト側においてピストン頂面7とは反対側に向かって延設されている。この上部スカート5a、5bは、そのシリンダボアとの摺動面面積をそこに生じる面圧(単位面積に作用する力)が焼付きを起こす面圧に達しない範囲でできるだけ小さくするように構成されることが好ましく、また、その円周方向の幅が比較的小さくなるように構成されることが好ましい。但し、本実施形態のピストン10においては、二つの上部スカート5a、5bは、その摺動面面積が同じになるように構成されている。
【0016】
また、本実施形態のピストン10においては、上記上部スカート5a、5bとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関しては上記上部スカート5a、5bよりも上記ピストン頂面7から離れた位置に下部スカート8a及び9a、8b及び9bが設けられている。より詳細には、これら下部スカート8a及び9a、8b及び9bは、各上部スカート5a、5bの周方向両側の位置に設けられている。また、これら下部スカート8a及び9a、8b及び9bは、図2及び図3に示されているように、ピンボス13から延設される支持部15a及び16a、15b及び16bによって支持されている。
【0017】
そして、このような構成のピストン10を用いることにより、オイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能となる。すなわち、本実施形態のピストン10では、上述したように上部スカート5a、5bと下部スカート8a及び9a、8b及び9bとが周方向の位置が重ならないように配置されている。つまり、上部スカート5a、5bの周方向の幅W1は、その上部スカート5a、5bを挟んで配置された下部スカート8a及び9a、8b及び9bの間の周方向の間隔W2よりも小さくされている(図1参照)。このため、本実施形態のピストン10では、上部スカート5a、5bやピストンリング等によって掻き落とされたオイルは下部スカート8a及び9a、8b及び9b上に滞留することなく、速やかにピストン10の下方(クランクケース内)へ流れて行くことになる。
【0018】
そして、このことによってシリンダボアと上部スカート5a、5bの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎることが防止され、上部スカート5a、5bやピストンリングによって充分にオイルを掻くことができるようになる。そしてその結果、オイル消費を低減することができると共に、オイルの引き摺りが低減されフリクションも低減することができる。更に、掻き落とす必要のあるオイル量が減るためにオイルリングの張力を小さく設定することができるので、更なるフリクションの低減を図ることが可能である。そしてこのようなフリクションの低減によって燃費及び出力の向上を図ることができる。
【0019】
更に、本実施形態のピストン10では、下部スカート8a及び9a、8b及び9bが、上部スカート5a、5bよりもピストン頂面7から離れた位置において、各上部スカート5a、5bの周方向両側の位置に設けられている。このような構成とすることで、下部スカート8a及び9a、8b及び9bが上記スラスト側と反スラスト側とにおいて周方向に比較的離れた位置でシリンダボアと接触することになり、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。これにより、シリンダボアへのスラスト力が低減されて発生面圧の低減が図られ、焼付きの発生を抑制することができる。また、いわゆるピストンの首振り現象によるスラップ音の発生も低減されるので騒音を抑制することができる。
【0020】
更に、上記スラスト側と反スラスト側とにおいて各上部スカート5a、5bの周方向両側に分割されて設けられる下部スカート8a及び9a、8b及び9bの構成は、ピストンの姿勢維持機能を損なわずに下部スカートのシリンダボアとの摺動面面積を小さくすることができるので、この構成によってピストンの姿勢維持機能とフリクションの低減との両立を図ることができる。
【0021】
次に図4及び図5を参照しつつ、本発明の第二実施形態の内燃機関用ピストン20について説明する。図4はピストン20をピン穴11の軸線方向に見た場合の側面図であり、ピストン上部体3の一部が切除されてその内部が示されている。図5はピストン20を図4における下方から見た場合の図である。ピストン20の構成は、基本的には第一実施形態のピストン10と同様であり、共通する部分については説明を省略する。
【0022】
第一実施形態のピストン10の構成とピストン20の構成との主な相違点は、ピストン10においては上部スカート及び下部スカートの摺動面面積がスラスト側と反スラスト側とで同じであるのに対して、ピストン20においては上部スカート及び下部スカートの摺動面面積がスラスト側と反スラスト側とで異なっている点である。より詳細には、本実施形態のピストン20においては、上記スラスト側に設けられた上部スカート5aの摺動面面積が上記反スラスト側に設けられた上部スカート5bの摺動面面積よりも大きく構成され、上記スラスト側に設けられた下部スカート8a及び9aの摺動面面積の合計が上記反スラスト側に設けられた下部スカート8b及び9bの摺動面面積の合計よりも大きく構成されている。
【0023】
この構成は、フリクションを低減すべく、各スカートの摺動面面積を、そこで生じる面圧が焼付きを起こす面圧に達しない範囲でできるだけ小さくするようにした結果である。すなわち、上記反スラスト側には上記スラスト側程大きなスラスト力はかからないため、反スラスト側に設けられた各スカート5b、8b及び9bの摺動面面積をスラスト側に設けられた対応する各スカート5a、8a及び9aの摺動面面積より小さくしても、各スカートにおいて生ずる面圧を同程度とすることができ、同程度の焼付き抑制効果等を得ることが可能となる。
【0024】
そして、本実施形態のピストン20によっても、上述の第一実施形態のピストン10の場合と同様の原理により、オイル消費量及びフリクションの低減、ピストンの姿勢維持等の作用及び効果を得ることができる。また、上述したようにスラスト側と反スラスト側とで各スカートの摺動面面積を異ならせて、各スカートの摺動面面積を所望する面圧低減効果に必要な最小面積とすることにより、各スカートにおいて所望する面圧の低減を実現しつつ、フリクションの更なる低減及びピストンの軽量化を図ることが可能となる。
【0025】
次に図6を参照して本発明の第三実施形態の内燃機関用ピストン30について説明する。図6は本実施形態のピストン30をスラスト側から見た場合の側面図であり、第一実施形態のピストン10についての図1に対応する図である。ピストン30の構成も、基本的には第一実施形態のピストン10と同様であり、共通する部分については説明を省略する。
【0026】
ピストン30の構成を第一実施形態のピストン10の構成と比較すると、その主たる相異点は、補助スカート17a、17b(反スラスト側の補助スカート17bは不図示)の有無である。すなわち、ピストン30は補助スカート17a、17bを有している。
図6に示されているように、この補助スカート17aは、上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して上部スカート5aよりもピストン頂面7から離れた位置において、上部スカート5aと周方向の位置が重なるように配設されている。本実施形態のピストン30において、補助スカート17aは、各下部スカート8a、9aから延設される支持部18a、19aによって支持されている。また、補助スカート17aは、その周方向の幅W3が上部スカート5aの周方向の幅W1よりも小さくなるように構成されている。なお、図6にはピストン30のスラスト側の構成のみが示されているが、反スラスト側についても同様の構成を有している。
【0027】
以上のような構成を有するピストン30によれば、上記補助スカート17a、17bによってオイル掻きが補助されるので、更なるオイル消費の低減及びフリクションの低減が図られる。なお、上記補助スカート17a、17bは、上部スカート5a、5bと周方向の位置が重なるように配設されているが、その周方向の幅W3が上部スカート5a、5bの幅W1よりも小さいので、上部スカート5a、5bやピストンリングによって掻き落とされたオイルが上記補助スカート17a、17b上に滞留することはなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行く。このため、上記補助スカート17a、17bの存在によりシリンダボアと上部スカート5a、5bの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎてしまうといった不都合は生じない。
【0028】
次に図7を参照して本発明の第四実施形態の内燃機関用ピストン40について説明する。図7は本実施形態のピストン40をスラスト側から見た場合の側面図であり、第一実施形態のピストン10についての図1及び第3実施形態についての図6に対応する図である。ピストン40の構成は、基本的には第三実施形態のピストン30と同様であり、共通する部分についての説明は省略する。
【0029】
ピストン40の構成は、第三実施形態のピストン30の構成と比較すると、下部スカート8a及び9a、8b及び9b(反スラスト側の下部スカート8b及び9bは不図示)が上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して補助スカート17a、17b(反スラスト側の補助スカート17bは不図示)よりも上記ピストン頂面7から離れた位置に設けられている点で異なっている。
【0030】
つまり、図7に示されているように、本実施形態のピストン40においては、下部スカート8a、9aが同下部スカート8a、9aに連結される支持部21aによって支持される補助スカート17aよりも下方に位置している。そしてその結果、上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関する上部スカート5aと下部スカート8a及び9aとの間隔が図6に示した第三実施形態のピストン30の場合に比べて大きくなっている。また、本実施形態のピストン40においては、図6に示された第三実施形態のピストン30と比較して、各スカートの摺動面面積が小さくなっている。なお、図7にはピストン40のスラスト側の構成のみが示されているが、反スラスト側についても同様の構成を有している。
【0031】
上述したように本実施形態のピストン40においては、上部スカート5a、5bと下部スカート8a及び9a、8b及び9bとのピストン上部体3の中心軸線に沿った方向の間隔が大きくなっているので、ピストン40の姿勢をより良好に維持することが可能となる。そして、このようにピストンの姿勢を良好に維持する効果が向上されると、シリンダボアへのスラスト力が低減されるため、各スカートの摺動面面積をより小さくすることが可能になる。本実施形態のピストン40において、第三実施形態のピストン30よりも各スカートの摺動面面積が小さくなっているのは、このためである。各スカートの摺動面面積をより小さくすることによって更なるフリクションの低減を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、オイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能な内燃機関用ピストンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【図2】図2は、第一実施形態の内燃機関用ピストンを図1の場合から周方向に90°ずれた方向、すなわち、ピストンピン(図示なし)を挿入するピン穴の軸線方向に見た場合の側面図である。
【図3】図3は、第一実施形態の内燃機関用ピストンを図1及び図2における下方から見た場合の図である。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態の内燃機関用ピストンをピン穴の軸線方向に見た場合の側面図である。
【図5】図5は、第二実施形態の内燃機関用ピストンを図4における下方から見た場合の図である。
【図6】図6は、本発明の第三実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【図7】図7は、本発明の第四実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【符号の説明】
10、20、30、40…内燃機関用ピストン
1…リング溝
3…ピストン上部体
5a、5b…上部スカート
7…ピストン頂面
8a、8b、9a、9b…下部スカート
11…ピン穴
13…ピンボス
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関用ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関用ピストンとして、外周部にリング溝を有する有蓋円筒状のピストン上部体の下側の形状を骨格構造とし、軽量化及びスカートの摺動面面積の減少を図った、いわゆるスケルトン型ピストンが公知である。そして、このようなスケルトン型ピストンには、スカートがピストン頂面側の上部スカートとクランク軸側の下部スカートとに分割されたものが知られており、特に、特許文献1には、潤滑用のエンジンオイルを有効に作用させるべく上記下部スカートの上端面にオイル溜め用凹部を設けた構成が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
実開平3−104147号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成のピストンでは、実際には、ピストン下降時に上部スカートで掻き落とされたオイルが下部スカートの上端面に滞留することでシリンダボア内面に形成される油膜が厚くなりすぎてしまい、オイルの引き摺りが増加して、オイル消費量の増加やフリクションの増加等の不都合が生じる場合がある。
【0005】
このようなオイル消費量の増加はエミッションの悪化や排気浄化触媒の被毒の原因となる場合がある。また、フリクションの増加については、オイル粘度が高くなる低温時や、オイルの引き摺りによる摺動抵抗が大きくなる高回転時に影響が大きく、フリクションの増加に起因して燃費悪化や機関の始動性の悪化を生じる場合がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的はオイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能な内燃機関用ピストンを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関用ピストンを提供する。
1番目の発明は、有蓋円筒状のピストン上部体の外周部の一部においてピストン頂面とは反対側に向かって延設される上部スカートと、該上部スカートとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる下部スカートと、を有する内燃機関用ピストンを提供する。
【0007】
1番目の発明においては、上記上部スカートと上記下部スカートとが周方向の位置が重ならないように配置されるので、上記上部スカートやピストンリングによって掻き落とされたオイルは下部スカート上に滞留することなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行くことになる。これによりシリンダボアと上部スカートの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎず、上記上部スカートやピストンリングによって充分にオイルを掻くことができるようになるので、オイル消費を低減することができる。また、同時にオイルの引き摺りが低減されフリクションも低減することができる。更に、掻き落とす必要のあるオイル量が減るためにオイルリングの張力を小さく設定することができるので、更なるフリクションの低減を図ることが可能である。
【0008】
2番目の発明では1番目の発明において、上記上部スカートは、ピストンのスラスト側と反スラスト側の両外周部から延設されていて、上記下部スカートは、それぞれの上記上部スカートの周方向両側の位置に設けられている。
2番目の発明によれば、1番目の発明と同様の作用及び効果が得られると共に、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。すなわち、2番目の発明のような構成とすることで、上記下部スカートが上記スラスト側と反スラスト側とにおいて周方向に比較的離れた位置でシリンダボアと接触することになるので、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。これにより、シリンダボアへのスラスト力が低減されて発生する面圧(単位面積に作用する力)の低減が図られ、焼付きの発生が抑制される。また、いわゆるピストンの首振り現象によるスラップ音の発生も低減されるので騒音も抑制される。
【0009】
3番目の発明では2番目の発明において、上記スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積が上記反スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積より大きい。
4番目の発明では2番目または3番目の発明において、上記スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計が上記反スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計より大きい。
【0010】
一般に上記反スラスト側には上記スラスト側程大きなスラスト力はかからないため、反スラスト側に設けられた各スカートの摺動面面積をスラスト側に設けられた対応する各スカートの摺動面面積より小さくしても、各スカートにおいて生ずる面圧を同程度とすることができ、同程度の焼付き抑制効果等を得ることが可能である。したがって、3番目または4番目の発明によれば、各スカートの摺動面面積を所望する面圧低減効果に必要な最小面積とすることができ、各スカートにおいて所望する面圧の低減を実現しつつ、フリクションの更なる低減及びピストンの軽量化を図ることができる。
【0011】
5番目の発明では1番目から4番目の何れかの発明において、上記上部スカートよりも周方向の幅が小さい補助スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置において、上記上部スカートと周方向の位置が重なるように配設されている。
【0012】
5番目の発明によれば、上記補助スカートによってオイル掻きが補助されるので、更なるオイル消費の低減及びフリクションの低減が図られる。なお、上記補助スカートは、上記上部スカートと周方向の位置が重なるように配設されているが、その周方向の幅が上記上部スカートよりも小さいので、上記上部スカートやピストンリングによって掻き落とされたオイルが上記補助スカート上に滞留することはなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行く。このため、上記補助スカートの存在によりシリンダボアと上部スカートの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎてしまうといった不都合は生じない。
【0013】
6番目の発明では5番目の発明において、上記下部スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記補助スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる。
本発明のようにすることによって、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関する上記上部スカートと上記下部スカートとの間隔が比較的大きくなることになるので、上述のピストンの姿勢を良好に維持する効果が向上される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の第一実施形態の内燃機関用ピストン10のスラスト側から見た場合の側面図であり、図2は図1の場合から周方向に90°ずれた方向、すなわち、ピストンピン(図示なし)を挿入するピン穴11の軸線方向に見た場合の側面図である。また、図3は、ピストン10を図1及び図2における下方から見た場合の図である。なお、ここでスラスト側とは内燃機関の膨張行程において最も大きなスラスト力の加わる側を意味し、その反対側は反スラスト側と称する。通常、上記ピン穴11の開口側から90°をなす側がスラスト側及び反スラスト側に該当し、より詳細には、そのうちの内燃機関の膨張行程においてコンロッドが傾く側が反スラスト側であり、他方がスラスト側である。
【0015】
図1から図3に示したようにピストン10は、外周部にリング溝1を有する有蓋円筒状のピストン上部体3の下側の形状を骨格構造とした、いわゆるスケルトン型ピストンである。そして、本実施形態のピストン10においては、上部スカート5a、5bが、ピストン上部体3の外周部のスラスト側と反スラスト側においてピストン頂面7とは反対側に向かって延設されている。この上部スカート5a、5bは、そのシリンダボアとの摺動面面積をそこに生じる面圧(単位面積に作用する力)が焼付きを起こす面圧に達しない範囲でできるだけ小さくするように構成されることが好ましく、また、その円周方向の幅が比較的小さくなるように構成されることが好ましい。但し、本実施形態のピストン10においては、二つの上部スカート5a、5bは、その摺動面面積が同じになるように構成されている。
【0016】
また、本実施形態のピストン10においては、上記上部スカート5a、5bとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関しては上記上部スカート5a、5bよりも上記ピストン頂面7から離れた位置に下部スカート8a及び9a、8b及び9bが設けられている。より詳細には、これら下部スカート8a及び9a、8b及び9bは、各上部スカート5a、5bの周方向両側の位置に設けられている。また、これら下部スカート8a及び9a、8b及び9bは、図2及び図3に示されているように、ピンボス13から延設される支持部15a及び16a、15b及び16bによって支持されている。
【0017】
そして、このような構成のピストン10を用いることにより、オイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能となる。すなわち、本実施形態のピストン10では、上述したように上部スカート5a、5bと下部スカート8a及び9a、8b及び9bとが周方向の位置が重ならないように配置されている。つまり、上部スカート5a、5bの周方向の幅W1は、その上部スカート5a、5bを挟んで配置された下部スカート8a及び9a、8b及び9bの間の周方向の間隔W2よりも小さくされている(図1参照)。このため、本実施形態のピストン10では、上部スカート5a、5bやピストンリング等によって掻き落とされたオイルは下部スカート8a及び9a、8b及び9b上に滞留することなく、速やかにピストン10の下方(クランクケース内)へ流れて行くことになる。
【0018】
そして、このことによってシリンダボアと上部スカート5a、5bの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎることが防止され、上部スカート5a、5bやピストンリングによって充分にオイルを掻くことができるようになる。そしてその結果、オイル消費を低減することができると共に、オイルの引き摺りが低減されフリクションも低減することができる。更に、掻き落とす必要のあるオイル量が減るためにオイルリングの張力を小さく設定することができるので、更なるフリクションの低減を図ることが可能である。そしてこのようなフリクションの低減によって燃費及び出力の向上を図ることができる。
【0019】
更に、本実施形態のピストン10では、下部スカート8a及び9a、8b及び9bが、上部スカート5a、5bよりもピストン頂面7から離れた位置において、各上部スカート5a、5bの周方向両側の位置に設けられている。このような構成とすることで、下部スカート8a及び9a、8b及び9bが上記スラスト側と反スラスト側とにおいて周方向に比較的離れた位置でシリンダボアと接触することになり、ピストンの姿勢を良好に維持することが可能となる。これにより、シリンダボアへのスラスト力が低減されて発生面圧の低減が図られ、焼付きの発生を抑制することができる。また、いわゆるピストンの首振り現象によるスラップ音の発生も低減されるので騒音を抑制することができる。
【0020】
更に、上記スラスト側と反スラスト側とにおいて各上部スカート5a、5bの周方向両側に分割されて設けられる下部スカート8a及び9a、8b及び9bの構成は、ピストンの姿勢維持機能を損なわずに下部スカートのシリンダボアとの摺動面面積を小さくすることができるので、この構成によってピストンの姿勢維持機能とフリクションの低減との両立を図ることができる。
【0021】
次に図4及び図5を参照しつつ、本発明の第二実施形態の内燃機関用ピストン20について説明する。図4はピストン20をピン穴11の軸線方向に見た場合の側面図であり、ピストン上部体3の一部が切除されてその内部が示されている。図5はピストン20を図4における下方から見た場合の図である。ピストン20の構成は、基本的には第一実施形態のピストン10と同様であり、共通する部分については説明を省略する。
【0022】
第一実施形態のピストン10の構成とピストン20の構成との主な相違点は、ピストン10においては上部スカート及び下部スカートの摺動面面積がスラスト側と反スラスト側とで同じであるのに対して、ピストン20においては上部スカート及び下部スカートの摺動面面積がスラスト側と反スラスト側とで異なっている点である。より詳細には、本実施形態のピストン20においては、上記スラスト側に設けられた上部スカート5aの摺動面面積が上記反スラスト側に設けられた上部スカート5bの摺動面面積よりも大きく構成され、上記スラスト側に設けられた下部スカート8a及び9aの摺動面面積の合計が上記反スラスト側に設けられた下部スカート8b及び9bの摺動面面積の合計よりも大きく構成されている。
【0023】
この構成は、フリクションを低減すべく、各スカートの摺動面面積を、そこで生じる面圧が焼付きを起こす面圧に達しない範囲でできるだけ小さくするようにした結果である。すなわち、上記反スラスト側には上記スラスト側程大きなスラスト力はかからないため、反スラスト側に設けられた各スカート5b、8b及び9bの摺動面面積をスラスト側に設けられた対応する各スカート5a、8a及び9aの摺動面面積より小さくしても、各スカートにおいて生ずる面圧を同程度とすることができ、同程度の焼付き抑制効果等を得ることが可能となる。
【0024】
そして、本実施形態のピストン20によっても、上述の第一実施形態のピストン10の場合と同様の原理により、オイル消費量及びフリクションの低減、ピストンの姿勢維持等の作用及び効果を得ることができる。また、上述したようにスラスト側と反スラスト側とで各スカートの摺動面面積を異ならせて、各スカートの摺動面面積を所望する面圧低減効果に必要な最小面積とすることにより、各スカートにおいて所望する面圧の低減を実現しつつ、フリクションの更なる低減及びピストンの軽量化を図ることが可能となる。
【0025】
次に図6を参照して本発明の第三実施形態の内燃機関用ピストン30について説明する。図6は本実施形態のピストン30をスラスト側から見た場合の側面図であり、第一実施形態のピストン10についての図1に対応する図である。ピストン30の構成も、基本的には第一実施形態のピストン10と同様であり、共通する部分については説明を省略する。
【0026】
ピストン30の構成を第一実施形態のピストン10の構成と比較すると、その主たる相異点は、補助スカート17a、17b(反スラスト側の補助スカート17bは不図示)の有無である。すなわち、ピストン30は補助スカート17a、17bを有している。
図6に示されているように、この補助スカート17aは、上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して上部スカート5aよりもピストン頂面7から離れた位置において、上部スカート5aと周方向の位置が重なるように配設されている。本実施形態のピストン30において、補助スカート17aは、各下部スカート8a、9aから延設される支持部18a、19aによって支持されている。また、補助スカート17aは、その周方向の幅W3が上部スカート5aの周方向の幅W1よりも小さくなるように構成されている。なお、図6にはピストン30のスラスト側の構成のみが示されているが、反スラスト側についても同様の構成を有している。
【0027】
以上のような構成を有するピストン30によれば、上記補助スカート17a、17bによってオイル掻きが補助されるので、更なるオイル消費の低減及びフリクションの低減が図られる。なお、上記補助スカート17a、17bは、上部スカート5a、5bと周方向の位置が重なるように配設されているが、その周方向の幅W3が上部スカート5a、5bの幅W1よりも小さいので、上部スカート5a、5bやピストンリングによって掻き落とされたオイルが上記補助スカート17a、17b上に滞留することはなく、速やかにピストン下方(クランクケース内)へ流れて行く。このため、上記補助スカート17a、17bの存在によりシリンダボアと上部スカート5a、5bの摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなりすぎてしまうといった不都合は生じない。
【0028】
次に図7を参照して本発明の第四実施形態の内燃機関用ピストン40について説明する。図7は本実施形態のピストン40をスラスト側から見た場合の側面図であり、第一実施形態のピストン10についての図1及び第3実施形態についての図6に対応する図である。ピストン40の構成は、基本的には第三実施形態のピストン30と同様であり、共通する部分についての説明は省略する。
【0029】
ピストン40の構成は、第三実施形態のピストン30の構成と比較すると、下部スカート8a及び9a、8b及び9b(反スラスト側の下部スカート8b及び9bは不図示)が上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関して補助スカート17a、17b(反スラスト側の補助スカート17bは不図示)よりも上記ピストン頂面7から離れた位置に設けられている点で異なっている。
【0030】
つまり、図7に示されているように、本実施形態のピストン40においては、下部スカート8a、9aが同下部スカート8a、9aに連結される支持部21aによって支持される補助スカート17aよりも下方に位置している。そしてその結果、上記ピストン上部体3の中心軸線に沿った方向に関する上部スカート5aと下部スカート8a及び9aとの間隔が図6に示した第三実施形態のピストン30の場合に比べて大きくなっている。また、本実施形態のピストン40においては、図6に示された第三実施形態のピストン30と比較して、各スカートの摺動面面積が小さくなっている。なお、図7にはピストン40のスラスト側の構成のみが示されているが、反スラスト側についても同様の構成を有している。
【0031】
上述したように本実施形態のピストン40においては、上部スカート5a、5bと下部スカート8a及び9a、8b及び9bとのピストン上部体3の中心軸線に沿った方向の間隔が大きくなっているので、ピストン40の姿勢をより良好に維持することが可能となる。そして、このようにピストンの姿勢を良好に維持する効果が向上されると、シリンダボアへのスラスト力が低減されるため、各スカートの摺動面面積をより小さくすることが可能になる。本実施形態のピストン40において、第三実施形態のピストン30よりも各スカートの摺動面面積が小さくなっているのは、このためである。各スカートの摺動面面積をより小さくすることによって更なるフリクションの低減を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、オイル消費を低減し、且つ、フリクションを低減することが可能な内燃機関用ピストンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【図2】図2は、第一実施形態の内燃機関用ピストンを図1の場合から周方向に90°ずれた方向、すなわち、ピストンピン(図示なし)を挿入するピン穴の軸線方向に見た場合の側面図である。
【図3】図3は、第一実施形態の内燃機関用ピストンを図1及び図2における下方から見た場合の図である。
【図4】図4は、本発明の第二実施形態の内燃機関用ピストンをピン穴の軸線方向に見た場合の側面図である。
【図5】図5は、第二実施形態の内燃機関用ピストンを図4における下方から見た場合の図である。
【図6】図6は、本発明の第三実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【図7】図7は、本発明の第四実施形態の内燃機関用ピストンをスラスト側から見た場合の側面図である。
【符号の説明】
10、20、30、40…内燃機関用ピストン
1…リング溝
3…ピストン上部体
5a、5b…上部スカート
7…ピストン頂面
8a、8b、9a、9b…下部スカート
11…ピン穴
13…ピンボス
Claims (6)
- 有蓋円筒状のピストン上部体の外周部の一部においてピストン頂面とは反対側に向かって延設される上部スカートと、
該上部スカートとは周方向にずれた位置であって上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる下部スカートと、を有する内燃機関用ピストン。 - 上記上部スカートは、ピストンのスラスト側と反スラスト側の両外周部から延設されていて、上記下部スカートは、それぞれの上記上部スカートの周方向両側の位置に設けられている、請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
- 上記スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積が上記反スラスト側に設けられた上部スカートの摺動面面積より大きい、請求項2に記載の内燃機関用ピストン。
- 上記スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計が上記反スラスト側に設けられた下部スカートの摺動面面積の合計より大きい、請求項2または3に記載の内燃機関用ピストン。
- 上記上部スカートよりも周方向の幅が小さい補助スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記上部スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置において、上記上部スカートと周方向の位置が重なるように配設されている、請求項1から4の何れか一項に記載の内燃機関用ピストン。
- 上記下部スカートが、上記ピストン上部体の中心軸線に沿った方向に関して上記補助スカートよりも上記ピストン頂面から離れた位置に設けられる、請求項5に記載の内燃機関用ピストン。
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- 2003-05-16 JP JP2003138588A patent/JP2004340054A/ja active Pending
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