JP2004339973A - 内燃機関の排気処理装置及び該排気処理装置の捕集状態判定方法 - Google Patents

内燃機関の排気処理装置及び該排気処理装置の捕集状態判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸入空気量に基づいて複数の排気通路のそれぞれに設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定する。
【解決手段】各バンク2L、2Rのシリンダ群3に対してインテークマニホールド8が共通に設けられ、かつ排気通路10L、10Rはバンク毎に設けられたV型エンジン1において、各バンクへの吸入空気量の合計値を検出するエアフロメータ9と、いずれか一方のバンク2L又は2Rに対応するフィルタ16L又は16Rにのみ排気が導かれ、他方のバンク2R又は2Lに対応するフィルタ16R又は16Lに対して排気が導かれない測定状態が生じるようにターボチャーa6のノズル開度を設定し、その測定状態にてエアフロメータ9が検出した吸入空気量に基づいて一方のバンク2L又は2Rに接続されたフィルタ16L又は16Rにおける粒子状物質の捕集状態を判定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガスを浄化する排気処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる粒子状物質(PMと呼ぶことがある。)を排気通路に設けられたパティキュレートフィルタにて捕集する排気処理装置において、粒子状物質の捕集前の基準状態における吸入空気量と、捕集が進んでいる状態における吸入空気量とを比較して粒子状物質の捕集状態を判定する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−152830号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した排気処理装置においては、内燃機関の全てのシリンダが共通の排気通路に接続され、エアフロメータにて検出される吸入空気量がパティキュレートフィルタを通過する排気量と一致するため、吸入空気量の変化とパティキュレートフィルタにおける粒子状物質の捕集量の変化とが相関し、吸入空気量の比較から粒子状物質の捕集状態を判定することができる。しかし、バンク毎に排気通路が分けられているV型エンジンのように複数系統の排気通路を備えた内燃機関であって、しかも吸気通路の少なくとも一部(例えばインテークマニホールド)が全てのシリンダ間で共用されている内燃機関においては、吸入空気量の変化と各排気通路のパティキュレートフィルタの捕集状態との相関関係が明確ではないため、単純に吸入空気量を比較するだけでは、各排気通路のパティキュレートフィルタの粒子状物質の捕集状態を正しく判定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、吸入空気量に基づいて複数の排気通路のそれぞれに設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定できる内燃機関の排気処理装置及び該処理装置に用いる捕集状態判定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の排気処理装置は、互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、該シリンダ群に接続される吸気通路の少なくとも一部は前記2つのシリンダ群に対して共通化され、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段が設けられ、各フィルタ手段への排気流量比が排気流量比調整手段にて調整可能とされた内燃機関に適用される排気処理装置において、前記シリンダ群への吸入空気量の合計値を検出する吸入空気量検出手段と、前記シリンダ群のうち、いずれか一方のシリンダ群に対応するフィルタ手段にのみ排気が導かれ、他方のシリンダ群に対応するフィルタ手段に対して排気が導かれない測定状態が生じるように前記排気流量比調整手段を操作する測定状態設定手段と、前記測定状態にて前記吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて前記一方のシリンダ群の排気通路に設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定する捕集状態判定手段と、を備えることにより上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
この発明によれば、測定状態において一方のシリンダ群に対応するフィルタ手段にのみ排気が導かれ、他方のシリンダ群に対応するフィルタ手段には排気が導かれないので、その状態で検出される吸入空気量は一方のシリンダ群と接続されたフィルタ手段の捕集状態を反映して変化し、他方のシリンダ群と接続されたフィルタ手段の捕集状態は吸入空気量の変化に影響しない。このため、全てのシリンダ群を同一の排気通路に接続する場合と同様に、吸入空気量と判定対象のいずれか一方のフィルタ手段の捕集状態とを相関させ、その相関関係を利用してフィルタ手段における捕集状態を判定できるようになる。
【0008】
本発明の第1の排気処理装置において、排気流量比調整手段は排気流量を直接変化させるものに限らず、例えば一部のシリンダ群における吸入空気量を変化させることによって結果的に排気流量比を変化させるような手段を含む。好適な一態様において、前記測定状態設定手段は、前記シリンダ群毎の排気通路に設けられた可変ノズル式ターボチャージャのノズル、又は排気絞り弁を前記排気流量比調整手段として操作して前記測定状態を生じさせてもよい(請求項2)。これらのノズル又は絞り弁を利用して排気通路を完全に閉じることにより、いずれか一方のフィルタ手段に排気を集中させて測定状態を生成することができる。なお、上記の他にも、吸気弁又は排気弁についての可変動弁機構を操作してシリンダ群毎の排気流量比を調整することもできる。
【0009】
なお、本発明の第1の排気処理装置においては、前記フィルタ手段の前後差圧を検出する差圧検出手段を具備し、前記捕集状態判定手段は、前記測定状態にて前記吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量と前記差圧と前記差圧検出手段が検出した差圧とに基づいて前記一方のシリンダ群の排気通路に設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定してもよい。フィルタ手段の捕集状態が一定であれば前後差圧と吸入空気量とは一定の関係を保って変化するが、捕集状態が変化すれば前後差圧と吸入空気量との関係も変化するから、その関係の変化を利用して捕集状態を判定することができる。
【0010】
本発明の第2の排気処理装置は、互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、前記シリンダ群に接続される吸気通路には、前記シリンダ群毎に分岐された分岐路とシリンダ群に対して共通化されたインテークマニホールドとが設けられ、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段と、排気エネルギを利用して前記分岐路に流入する吸入空気を過給する過給機とが設けられた内燃機関に適用される排気処理装置において、前記シリンダ群毎の前記分岐路のそれぞれにおける吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、前記内燃機関の吸入空気量に影響する機器類の操作状態が所定の基準状態に設定されている場合に前記吸入空気量検出手段が検出するシリンダ群毎の吸入空気量の合計値と第1の閾値との大小関係と、前記基準状態にて前記吸入空気量検出手段が検出する前記シリンダ群毎の吸入空気量と第2の閾値との大小関係とに基づいて、前記シリンダ群毎の前記フィルタ手段の捕集状態を判定する捕集状態判定手段と、を備えることにより上述した課題を解決する(請求項3)。
【0011】
第2の排気処理装置においては、吸入空気量に影響する機器類の操作状態を基準状態に設定しても、シリンダ群毎に設けられたフィルタ手段において捕集が進行する程にフィルタ手段における圧力損失が大きくなって排気流量が減少する。また、吸入通路側においては、排気流量の減少により過給機の過給効果が低下して当該過給機が設けられた側の分岐路にて検出される吸入空気量が減少する。このように第2の排気処理装置においては、フィルタ手段における捕集の進行状態と分岐路において検出される吸入空気量とがシリンダ群毎に相関関係を有する。
【0012】
そして、各分岐路における吸入空気量の合計値と第1の閾値とを大小比較することにより、いずれか一方のフィルタ手段が他方のフィルタ手段よりも先行して捕集量が所定レベル(例えば再生処理が必要な限度)に達していることを検出でき、また、各分岐路における吸入空気量と第2の閾値とを大小比較することにより、それぞれのフィルタ手段にて互いに等しく捕集が進行している場合でも、各フィルタ手段における捕集量が上述した所定レベルに達していることを検出できる。このように二つの閾値を利用して捕集状態を判定することにより、排気通路毎のフィルタ手段における粒子状物質の捕集が均等に進行している場合、及び不均一に進行している場合のいずれにおいても、捕集状態の判定に関する誤差を減らして判定精度を向上させることができる。
【0013】
なお、吸入空気量に影響する機器類には、吸入空気量を調整するために操作されるスロットル弁や吸気弁についての可変動弁機構、ターボチャージャ等の過給機に限らず、排気絞り弁やEGR弁のように吸入空気量に結果として影響を与えるような機器も含む。但し、捕集状態の判定精度からみて、吸入空気量に与える影響が無視できる程小さい機器については機器類に含めなくてよい。基準状態に設定されているときの吸入空気量は、上記の機器類を基準となる操作状態に実際に操作して吸入空気量検出手段により検出することができる。操作状態と吸入空気量に与える影響との関係が既知の機器に関しては現実に基準状態に設定することなく、現実の設定状態のままで吸入空気量検出手段にて吸入空気量を検出し、その検出値を機器の操作状態に応じて補正することにより、当該機器が基準状態に操作されたと仮定したときの吸入空気量を取得するようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の排気処理装置において、前記捕集状態判定手段は、前記吸入空気量の合計値が前記第1の閾値よりも小さく、かついずれか一方のシリンダ群に対応する吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量が前記第2の閾値よりも小さいと判断した場合に、各吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量を比較して前記粒子状物質の捕集が進んでいるフィルタ手段を特定してもよい(請求項4)。
【0015】
上述したように粒子状物質の捕集が進めば過給機の過給効果が低下して分岐路における吸入空気量が減少するので、分岐路の吸入空気量を相互に比較すればいずれの側のフィルタ手段において捕集がより進行しているかを特定することができる。捕集が進んでいると特定されたフィルタ手段に対して、反対側のフィルタ手段よりも先に、前記粒子状物質を除去する再生処理を実行する再生手段をさらに備えることにより(請求項5)、フィルタ手段の機能を効率よく回復させることができる。
【0016】
また、本発明の捕集状態判定方法は、互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、該シリンダ群に接続される吸気通路の少なくとも一部は前記2つのシリンダ群に対して共通化され、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段が設けられ、各フィルタ手段への排気流量比が排気流量比調整手段にて調整可能とされた内燃機関に適用され、前記フィルタ手段における前記粒子状物質の捕集状態を判定する排気処理装置の捕集状態判定方法において、前記シリンダ群への吸入空気量の合計値を検出する工程と、前記シリンダ群のうち、いずれか一方のシリンダ群に対応するフィルタ手段にのみ排気が導かれ、他方のシリンダ群に対応するフィルタ手段に対して排気が導かれない測定状態が生じるように前記排気流量比調整手段を操作する工程と、前記測定状態にて前記吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて前記一方のシリンダ群の排気通路に設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定する工程とを備えることにより、上述した課題を解決する(請求項6)。
【0017】
この判定方法によれば、上述した第1の排気処理装置と同様の理由により、吸入空気量と判定対象のいずれか一方のフィルタ手段の捕集状態とを相関させ、その相関関係を利用してフィルタ手段における捕集状態を判定できるようになる。
【0018】
なお、本発明の排気処理装置及びその捕集状態判定方法において、吸入空気量の検出はエアフロメータのように吸入空気量を直接検出する手段によるものに限らず、吸入空気量と相関する吸気圧等の他の物理量を検出することにより、吸入空気量を間接的に検出する場合も含む。フィルタ手段は、排気ガス中に含まれた粒子状物質を捕集する機能を有していれば足り、有害物質の酸化や還元による浄化を促す触媒機能の有無を問わない。捕集状態の判定は、粒子状物質の捕集量が所定の閾値に達したか否かを判定すること、粒子状物質の捕集量を推定すること等、各種の態様を含む。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る排気処理装置が組み込まれた内燃機関を示している。この実施形態において、内燃機関は左右のバンク2L、2Rに4つずつシリンダ3が設けられたV型8気筒のディーゼルエンジン1として構成されている。左バンク2Lのシリンダ3によって一つのシリンダ群が構成され、右バンク2Rのシリンダ3によって他の一つのシリンダ群が構成される。なお、一つのシリンダ群には少なくとも一つのシリンダ3が含まれていればよい。
【0020】
各シリンダ3に吸気を導くための吸気通路4はエアクリーナ5の下流においてバンク毎の分岐路4L、4Rに分かれており、その分岐路4L、4Rにターボチャージャ6のコンプレッサ6aが配置されている。コンプレッサ6aの下流において分岐路4L、4Rはインタークーラ7を通過し、吸気通路4の一部を構成する共通のインテークマニホールド8に接続される。吸気通路4の分岐路4L、4Rよりも上流には吸入空気量検出手段としてのエアフロメータ9が設けられている。
【0021】
一方、各バンクのシリンダ3からの排気は、バンク毎に設けられた排気通路10L、10Rのエキゾーストマニホールド11L、11Rからターボチャージャ6のタービン6bに導かれ、さらにタービン6bの下流側に導かれる。ターボチャージャ6は、開度調整が可能なノズル装置(不図示)をタービン6b側に備えた可変ノズルターボチャージャ(以下、VNTと呼ぶことがある。)である。各ターボチャージャ6のノズル開度はエンジンコントロールユニット(ECU)12にて全開状態と全閉状態との間で制御される。全閉状態においては排気通路10L、10Rが閉鎖される。なお、ECU12は各シリンダ3に設けられた燃料噴射弁20からの燃料噴射量等を調整してエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータである。
【0022】
エンジン1にはEGR通路13が設けられている。EGR通路13は、エキゾーストマニホールド11L、11Rにそれぞれ接続されたバンク毎のEGR通路13L、13Rと、EGR通路13L、13Rを結ぶ連絡通路13Cとを備えている。EGR通路13L、13RにはEGRガスを冷却するためのEGRクーラ14L、14Rが設けられ、連絡通路13Cは各クーラ14L、14Rの間に設けられている。このように連絡通路13Cを介してEGRクーラ14L、14Rが相互に接続されているため、EGRクーラ14Lに関してはその排気還流時の入口側(左端側)にEGR通路13Lの圧力が導入され、排気還流時の出口側(右端側)にはEGRクーラ14Rの出口側におけるEGR通路13Rの圧力が連絡通路13Cを介して導入される。また、EGRクーラ14Rに関してはその排気還流時の入口側(右端側)にEGR通路13Rの圧力が導入され、排気還流時の出口側(左端側)にはEGRクーラ14Lの出口側におけるEGR通路13Lの圧力が連絡通路13Cを介して導入される。
【0023】
さらに、連絡通路13Cは一対のEGR弁15を介してインテークマニホールド8に接続されている。EGR弁15の開度はECU12によりエンジン1の運転状態に応じて制御される。その開度制御の内容は通常の内燃機関のEGR制御と同様でよい。なお、EGR通路13には、EGRクーラ14L、14Rを迂回して排気ガスを流すためのバイパス通路21L、21Rと、排気ガスをEGRクーラ14L、14R又はバイパス通路21L、21Rに選択的に導く流路切替弁(不図示)とがさらに設けられる。
【0024】
ターボチャージャ6よりも下流の排気通路10L、10Rには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段としてのパティキュレートフィルタ(以下、フィルタと略称することがある。)16L、16Rが設けられている。なお、フィルタ16L、16RにはNOx吸蔵還元物質のような触媒物質が坦持されてもよい。タービン6bとフィルタ16L、16Rとの間には、フィルタ16、16Rに堆積した粒子状物質を燃やしてフィルタ16L、16Rを再生するための燃料添加弁17L、17Rが設けられている。また、フィルタ16L、16Rの取付位置にはフィルタ16L、16Rの前後差圧を検出する差圧センサ18L、18Rが設けられている。フィルタ16L、16Rの下流には排気圧力をバンク毎に調整するための排気絞り弁19L、19Rが設けられている。排気絞り弁19L、19Rの開度もECU12により全開状態と全閉状態との間で制御される。全閉状態においては排気通路10L、10Rが閉鎖される。排気絞り弁19L、19Rの下流にはさらに消音器等が設けられるが、その図示は省略した。
【0025】
次に、図2を参照してエンジン1におけるフィルタ16L、16Rの捕集状態の判定方法を説明する。
【0026】
左側のバンク2Lに対応するフィルタ16Lの捕集状態を判定するには、まず、右側のバンク2Rの排気通路10Rに設けられたタービン6bのノズルを全閉状態に操作し、又は排気絞り弁19Rを全閉状態に操作して排気通路10Rのフィルタ16Rへの排気ガスの流入を阻止する。左側のタービン6bのノズル及び排気絞り弁19Lは全閉状態以外の任意の開度でよい。EGR弁14L、14Rについても任意の開度でよい。
【0027】
以上の設定においては、図2(a)に矢印で示したように右バンク2Rのシリンダ3からの排気ガスはEGR通路13R、連絡通路13C及びEGR通路13Lを経てエキゾーストマニホールド11Lに流れて左バンク2Lのシリンダ3からの排気ガスと合流する。合流した排気ガスは左側のフィルタ16Lを通過して排出される。従って、エアフロメータ9が検出する吸入空気量は左側のフィルタ16Lを通過する排気量と一致し、これにより、エアフロメータ9が検出する吸入空気量からフィルタ16Lの捕集状態を判定することができる。
【0028】
一方、右側のバンク2Rに対応するフィルタ16Rの捕集状態を判定するには、まず、左側のバンク2Lの排気通路10Lに設けられたタービン6bのノズルを全閉状態に操作し、又は排気絞り弁19Lを全閉状態に操作して排気通路10Lのフィルタ16Lへの排気ガスの流入を阻止する。右側のタービン6bのノズル及び排気絞り弁19Rは全閉状態以外の任意の開度でよい。EGR弁14L、14Rについても任意の開度でよい。
【0029】
以上の設定によれば、図2(b)に矢印で示したように左バンク2Lのシリンダ3からの排気ガスはEGR通路13L、連絡通路13C及びEGR通路13Rを経てエキゾーストマニホールド11Rに流れて右バンク2Rのシリンダ3からの排気ガスと合流する。合流した排気ガスは右側のフィルタ16Rを通過して排出される。従って、エアフロメータ9が検出する吸入空気量は右側のフィルタ16Rを通過する排気量と一致し、これにより、エアフロメータ9が検出する吸入空気量からフィルタ16Rの捕集状態を判定することができる。
【0030】
図3は、上述した捕集状態の判定方法を実施するためにECU12が実行するフィルタ捕集状態判定ルーチンを示している。このルーチンはエンジン1の運転中において所定の周期で繰り返し実行される。フィルタ捕集状態判定ルーチンの最初のステップS1において、ECU12はエンジン1に対する燃料噴射量が0となる燃料無噴射状態か否か判断し、無噴射状態でなければ今回のルーチンを終える。つまり、図3のルーチンでは、排気通路10L、10Rを交互に閉じてフィルタ16L、16Rの捕集状態を判定するので、エンジン1の運転になるべく影響の少ない状態として燃料噴射量が0に設定されたいわゆる燃料カット中であることを判定実施の前提条件としている。但し、捕集状態を判定する前提としての運転条件はこれに限らず適宜に定めてよい。
【0031】
燃料無噴射状態であればステップS2へ進み、ECU12は判定対象の排気通路10L又は10Rを開き、反対側の排気通路10R又は10Lを閉じるようにターボチャージャ6のノズル開度及び排気絞り弁19L、19Rの開度を設定する。これにより、ECU12は測定状態設定手段として機能し、ターボチャージャ6及び排気絞り弁19L、19Rは排気流量比調整手段として機能する。
【0032】
続くステップS3において、判定対象の排気通路10L又は10Rに設けられたフィルタ16L又は16Rの前後差圧を差圧センサ18L又は18Rから取得し、次のステップS4ではエアフロメータ9から吸入空気量を取得する。続くステップS5において、取得された前後差圧を吸入空気量で除した商(=差圧/吸入空気量)を演算し、その商が規定値よりも大きいか否か判断する。ここで使用される規定値は、判定対象のフィルタ16L又は16Rの捕集状態が限界、つまりフィルタ16L又は16Rにおける粒子状物質の捕集量が限界に達し、再生処理が必要な程に詰まりが生じているか否かを判断するための閾値である。このような閾値は例えば実験的に求めることができる。ステップS5の処理によりECU12は捕集状態判定手段として機能する。
【0033】
そして、ステップS5で規定値より大きいときはステップS6に進み、現在の判定対象のフィルタ16L又は16Rに対する再生処理の実行を許可する。この許可に反応して、ECU12は図3のルーチンとは別に用意された不図示の再生処理ルーチンを実行し、再生処理が許可された側のフィルタ16L又は16Rに燃料添加弁17L又は17Rから燃料を添加して粒子状物質を燃焼させる再生処理を実行し、フィルタ16L又は16Rの詰まりの解消を図る。ステップS5で否定判断された場合にはステップS6がスキップされる。
【0034】
続くステップS7では、左右のフィルタ16L、16Rの両者について判定を終えたか否か判断し、いずれか一方のみが判定されている場合にはステップS8に進んで判定対象の排気通路を変更し、その後にステップS2へ戻る。ステップS7にて左右のフィルタ16L、16Rの双方に対して判定が終わっていると判断した場合にルーチンを終える。
【0035】
なお、以上の実施形態によれば、ターボチャージャ6のタービン6bの流量特性を検出することができる。この点を図4により説明する。
【0036】
図4は上記の手順によりフィルタ16L、16Rの捕集状態を判定した時の吸気及び排気の流量に影響を与える要素を流れ順序に沿って書き出したチャートであり、(a)が左側のフィルタ16Lの捕集状態の判定時に、(b)が右側のフィルタ16Rの捕集状態の判定時にそれぞれ対応する。これらを比較すれば明らかなように、左右のフィルタ16L、16Rのそれぞれの捕集状態を判定した時に、ターボチャージャ6のコンプレッサ6aの流量特性、インタークーラ7の圧力損失、及び左右のバンク2L、2Rのヘッドポートの流量特性が等しく影響しているので、それ以外のEGRクーラ14L、14Rの圧力損失、可変ノズル式のターボチャージャ6のタービン6bにおける流量特性、及びフィルタ16L、16Rにおける圧力損失が各判定時における排気流量に差を生じさせる要素となる。ここで、EGRガスの通路としてバイパス通路21L、21Rを選択することによりEGRクーラ14L、14Rにおける圧力損失の影響は除外できる。また、フィルタ16L、16Rにおける圧力損失に関しては差圧センサ18L、18Rにて検出することができる。この結果、排気流量の差からターボチャージャ6のタービン6bにおける流量特性の差を検出することが可能となる。そして、得られた流量特性の差に基づいて左右のターボチャージャ6のノズル開度に差を与えることにより、左右のターボチャージャ6のタービン6bを互いに等しく動作させ、左右のバンク2L、2Rの間におけるタービン6bの回転数や排気流量のばらつきを抑えてエンジン1の出力、排気性能を向上させることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態に係る排気処理装置が組み込まれた内燃機関を示している。なお、図1と共通する部分には同一符号を付してある。
【0038】
図5の内燃機関も左右のバンク2L、2Rに4つずつシリンダ3が設けられたV型8気筒のディーゼルエンジン1として構成され、左バンク2Lのシリンダ3によって一つのシリンダ群が構成され、右バンク2Rのシリンダ3によって他の一つのシリンダ群が構成されている。これらの点は図1のエンジン1と共通する。しかしながら、図5のエンジン1においては、分岐路4L、4Rのそれぞれにエアフロメータ9L、9Rが設けられ、フィルタ16L、16Rの取付位置において差圧センサが省略されている点で図1のエンジン1と相違する。そして、この実施形態では、左右のエアフロメータ9L、9Rの吸入空気量を利用してフィルタ16L、16Rのそれぞれの捕集状態を判定している。なお、図5においてEGRバイパス通路21L、21Rの図示は省略した。
【0039】
次に、図6及び図7により本実施形態におけるフィルタ16L、16Rの捕集状態とエアフロメータ9L、9Rが検出する吸入空気量との関係を説明する。
【0040】
図6(a)は、吸入空気量に影響する機器類、例えばスロットル弁、ターボチャージャ6のノズル、排気絞り弁19L、19R、吸排気弁についての可変動弁機構等の操作状態を所定の基準状態に固定した場合のフィルタ16L、16Rにおける粒子状物質の捕集量と、左右のエアフロメータ9L、9Rのそれぞれが検出する吸入空気量の合計値との関係を示している。図の横軸が捕集量を示し、右端が捕集量0であり、左端に向かうほど捕集量は増加する。吸入空気量は図の下方ほど減少する。図中の白丸を結ぶ線L1はフィルタ16L、16Rにおいて捕集が均等に進行している場合(均等詰まり)の吸入空気量の合計値を、図中の黒三角を結ぶ線L2はいずれか一方のフィルタ16L又は16Rに偏って捕集が進行している場合(片詰まり)の吸入空気量の合計値をそれぞれ示している。また、左右のフィルタ16L、16Rの捕集量の合計値が図中の縦線P、Q、Rのそれぞれの場合における左右のフィルタ16L、16Rの捕集量を水平方向の棒グラフX1〜X3で示している。なお、棒グラフX1〜X3においては左右のフィルタ16L、16Rのそれぞれの捕集量を互いに異なるトーンで示している。片詰まり時には、便宜的に一方のフィルタ16L又は16Rの捕集量が他方のフィルタ16R又は16Lの捕集量の2倍と見なしている。
【0041】
いま、左右のフィルタ16L、16Rにおいて捕集が均等に進行し、エアフロメータ9L、9Rの吸入空気量の合計値が判定値Cまで低下した縦線Pの位置で各フィルタ16L、16Rの合計の捕集量がPM再生を必要とする限界である再生要求捕集量に達したとする。従って、図6(a)において、横軸3マス分の捕集量が各フィルタ16L、16Rにおける捕集量の限界となる(最上段の棒グラフX1参照)。この場合には吸入空気量の合計値が判定値Cに達したか否かによりフィルタ16L、16Rの捕集量がそれぞれ限界に達したか否かを判断できる。しかし、フィルタ16L、16Rにおいて捕集が不均一に進行する片詰まりの場合には、吸入空気量の合計値の低下が均等詰まりの場合よりも早く現れるので、吸入空気量の合計値が判定値Cに達したか否かによって捕集量を判定すれば、棒グラフX2にて示したように一方のフィルタ16L又は16Rの捕集量が限界値よりも大きくなる。この場合、図6(b)に示すように一方のフィルタ16L又は16Rの捕集量は誤判定分△1だけ増加する。また、他方のフィルタ16R又は16Lの捕集量に関しては、合計捕集量が縦線Pよりも減少し、かつ反対側のフィルタ16L又は16Rの捕集量が要求捕集量よりも△1だけ増加しているため、要求捕集量に対して誤判定分△1よりもさらに大きい値だけ減少する。
【0042】
そこで、図6(a)の棒グラフX3のように、片詰まり状態にて捕集速度が高い側のフィルタ16L又は16Rの捕集量が限界(再生要求量)に達したときの合計捕集量(縦線R)に対応する吸入空気量の合計値Bを吸入空気量の合計値に対する判定値として使用する。この判定値Bによれば、均等詰まりの場合に図6(b)に棒グラフX4で示したように要求捕集量よりも誤判定分△2だけ早い時期に捕集量が限界と判定されるが、限界を超えて捕集を続けるような不都合がない。また、誤判定分△2は各フィルタ16L、16Rに等しく割り振られるので、各フィルタ16L、16Rの捕集量と要求捕集量との誤差は判定値Cを使う場合よりも遙かに小さい。
【0043】
一方、図7(a)は、フィルタ16L、16Rのそれぞれにおける粒子状物質の捕集量とエアフロメータ9L、9Rのそれぞれが検出する吸入空気量との関係を示している。なお、図7において、吸入空気量に影響する機器類、例えばスロットル弁、ターボチャージャ6のノズル、排気絞り弁19L、19R、吸排気弁についての可変動弁機構等の操作状態は図6の場合と同様に所定の基準状態に固定されている。また、図の横軸が捕集量を示し、右端が捕集量0であり、左端に向かうほど捕集量は増加する。吸入空気量は図の下方ほど減少する。図中の白丸及び黒丸を結ぶ線L3、L4はそれぞれフィルタ16L、16Rにおいて捕集が均等に進行している場合(均等詰まり)にエアフロメータ9L、9Rが検出した吸入空気量を、図中の黒三角及び白三角をそれぞれ結ぶ線L5、L6は、いずれか一方のフィルタ16L又は16Rに偏って捕集が進行している場合(片詰まり)にエアフロメータ9L、9Rが検出した吸入空気量をそれぞれ示している。
【0044】
図7(a)の線L3、L4から明らかなように、左右のフィルタ16L、16Rにおいて捕集が均等に進行している場合にはエアフロメータ9L、9Rのそれぞれが検出する吸入空気量は等しく低下する。判定値B′まで吸入空気量が低下した縦線Sの位置で各フィルタ16L、16Rの合計の捕集量がPM再生を必要とする限界である再生要求捕集量に達したとする。従って、図7(a)において、横軸6マス分の捕集量が各フィルタ16L、16Rにおける捕集量の限界となる(最上段の棒グラフY1参照)。この場合にはエアフロメータ9L、9Rが検出する吸入空気量が判定値B′に達したか否かによりフィルタ16L、16Rの捕集量がそれぞれ限界に達したか否かを判断できる。
【0045】
しかし、判定値B′を利用してフィルタ16L、16Rにおいて捕集が不均一に進行する片詰まりの場合の限界を判定しようとすれば、捕集速度が高い側のエアフロメータ9L又は9Rにおいて吸入空気量が均等詰まりの場合よりも早く低下するので、エアフロメータ9L又は9Rの吸入空気量が判定値B′に達する縦線Tの位置で捕集量が限界に達したと判定すれば、棒グラフY2にて示したようにいずれのフィルタ16L、16Rにおいても捕集量が限界値より少ないにも拘わらず限界と判断されることになる。この場合、図7(b)に示すように、捕集量の多い側のフィルタ16L又は16Rにおける誤判定分を△3とすれば、反対側のフィルタ16R又は16Lの誤判定分はそれよりも大きい。
【0046】
その一方、図7(a)に線L5で示された、片詰まり時における捕集速度が高い側の吸入空気量の変化に基づいて、その吸入空気量と判定値C′とを比較して捕集量が再生要求量に達したか否かを判定するものとすれば、図7(b)に棒グラフY3で示したように、一方の側のフィルタ16L又は16Rにおいて捕集量が再生要求量と一致し、反対側のフィルタ16R又は16Lにおいては捕集量が再生要求量よりも少ないので一見して合理的に見える。しかし、棒グラフY4で示したように、判定値C′にて判定した場合にはフィルタ16L、16Rの捕集が均等に進行する均等詰まり時において、それぞれの捕集量が限界である再生要求量を誤判定値△4だけ上回るまでは捕集量が限界と判断されない。これにより、判定値C′とエアフロメータ9L、9Rのそれぞれが検出した吸入空気量とを比較することは適当ではない。
【0047】
以上の検討からみて、均等詰まり時における捕集量の限界を個々のエアフロメータ9L、9Rが検出する吸入空気量と判定値B′との比較にて判定し、その一方で、片詰まり時における捕集量の限界をエアフロメータ9L、9Rが検出する吸入空気量の合計値と判定値Bとの比較にて判定することにより、均等詰まり及び片詰まりのいずれの場合でも、少なくともいずれか一方のフィルタ16L、16Rの捕集量が限界に達したことを検出でき、かつ、フィルタ16L、16Rのそれぞれの捕集量が限界を超えて増加することを回避できて都合がよいことが判る。なお、合計判定値Bの設定値と、片詰まり時の捕集量の比率によっては誤差が生じるが、吸入空気量の合計値又は個別値(エアフロメータ毎の検出値)のいずれか一方のみを判定値と比較して判断するよりは判定精度が向上する。
【0048】
図8は、以上の捕集状態の判定方法を実施するためにECU12が実行するフィルタ捕集状態判定ルーチンを示している。このルーチンはエンジン1の運転中において所定の周期で繰り返し実行される。フィルタ捕集状態判定ルーチンの最初のステップS21において、ECU12はエンジン1に対する燃料噴射量が0となる燃料無噴射状態か否か判断し、無噴射状態でなければ今回のルーチンを終える。図8のルーチンにおいては、エンジン1の燃焼に影響するターボチャージャ6のノズル開度等を所定の基準状態に操作するので、燃焼になるべく影響の少ない状態として図3の例と同様に燃料噴射量が0に設定されたいわゆる燃料カット中であることを判定実施の前提条件としている。但し、捕集状態を判定する前提としての運転条件はこれに限らず適宜に定めてよい。
【0049】
燃料無噴射状態であればステップS22へ進み、ECU12は吸入空気量に影響する機器類の操作状態を所定の基準状態に設定する。エアフロメータ9L、9Rがそれぞれ検出する吸入空気量は様々な要因で変化するため、フィルタ16L、16Rの捕集状態の影響による吸入空気量の変化を検出するためには、フィルタ16L、16R以外の要因による吸入空気量の変化を排除する必要があり、そのためにターボチャージャ6のノズル開度や排気絞り弁19L、19Rの開度、吸気側のスロットル弁の開度や可変動弁機構による吸排気弁の動弁特性を所定の基準状態に設定する。但し、操作状態が吸入空気量に与える影響が既知である機器についてはステップS22の操作対象から除外し、吸入空気量をその除外した機器の操作状態に応じて補正することにより、その機器が基準状態に操作されていたと仮定したときの吸入空気量を求めるようにしてもよい。また、フィルタ16L、16Rにおける捕集状態の判定精度に与える影響が無視できる程小さい機器についてもステップS22の操作対象から除外してよい。
【0050】
続くステップS23においてはエアフロメータ9L、9Rがそれぞれ検出する吸入空気量を取得する。そして、ステップS24で合計吸入空気量(各エアフロメータの検出値の合計値)が判定値B未満か否かを判定し、これが肯定された場合にステップS25に進んでエアフロメータ9L、9Rがそれぞれ検出した個別の吸入空気量が判定値B′未満か否か判定する。なお、エアフロメータ9L又は9Rのいずれの検出値が判定値B′未満であってもステップS25は肯定判断される。そして、ステップS24及びS25がいずれも肯定判断された場合にステップS26へ進み、エアフロメータ9L、9Rがそれぞれ検出した吸入空気量を大小比較する。続くステップS27においては、左側のエアフロメータ9Lが検出した吸入空気量が右側のエアフロメータ9Rのそれよりも少ないか否か判断し、これが肯定されるとステップS28へ、否定されるとステップS29へ処理を進める。
【0051】
ステップS28では左側のフィルタ16Lに対する再生処理を許可し、ステップS29では右側のフィルタ16Rに対する再生処理を許可する。ステップS28又はS29による再生処理の許可に反応して、ECU12は図8のルーチンとは別に用意された不図示の再生処理ルーチンを実行し、再生処理が許可された側のフィルタ16L又は16Rに燃料添加弁17L又は17Rから燃料を添加して粒子状物質を燃焼させる再生処理を実行し、フィルタ16L又は16Rの詰まりの解消を図る。これらの処理により、ECU12は再生制御手段として機能する。
【0052】
ステップS28又はS29の処理後はステップS30に進み、ステップS22で基準状態に操作した機器類の操作状態を元に戻す。そして、ステップS30の終了後にルーチンを終える。なお、ステップS24又はS25のいずれか一方の条件が否定された場合、ECU12はステップS26〜S29の処理をスキップしてステップS30に進む。
【0053】
以上の実施形態では、V型エンジンのバンク毎にシリンダ群を構成しているが、本発明はV型エンジンに限らない。直列エンジンや水平対向型のエンジンであっても、一部のシリンダ群と他のシリンダ群とをそれぞれ別々の排気通路に接続している限りは本発明を適用することができる。排気通路は、少なくとも一部においてシリンダ群毎に分岐され、その分岐された部分にフィルタ手段が設けられていれば足り、フィルタ手段の下流で排気通路が合流してもよいし、合流しなくてもよい。本発明が適用される内燃機関はディーゼルエンジンに限らず、ガソリンエンジンでもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の排気処理装置及びその捕集状態判定方法によれば、複数のシリンダ群のそれぞれへの吸入空気量の合計値と、シリンダ群毎の排気通路のフィルタ手段における捕集状態とを個々に相関させた測定状態を作り出し、その相関関係を利用して各フィルタ手段における捕集状態を判定できる。
【0055】
また、本発明の第2の排気処理装置によれば、吸気通路のシリンダ群毎に分岐された部分における吸入空気量を個別に検出し、それらの合計値と第1の閾値とを大小比較するとともに、個別の吸入空気量を第2の閾値と大小比較することにより、排気通路毎のフィルタ手段における粒子状物質の捕集が均等に進行している場合、及び不均一に進行している場合のいずれにおいてもフィルタ手段の捕集量が所定の限界に達する前にこれを検出でき、判定に関する誤差を減らして判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る排気処理装置が設けられた内燃機関の構成を示す図。
【図2】図1のエンジンにおけるパティキュレートフィルタの捕集状態の判定方法を示す図。
【図3】図1のECUがパティキュレートフィルタの捕集状態を判定するために実行するフィルタ捕集状態判定ルーチンを示すフローチャート。
【図4】図3の判定時において吸気及び排気の流量に影響を与える要素を流れ順序に従って書き出したチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る排気処理装置が設けられた内燃機関の構成を示す図。
【図6】第2の実施形態におけるパティキュレートフィルタの捕集量と吸入空気量の合計値との関係を示す図。
【図7】第2の実施形態におけるパティキュレートフィルタの捕集量と左右のバンク毎の吸入空気量との関係を示す図。
【図8】図5のECUがパティキュレートフィルタの捕集状態を判定するために実行するフィルタ捕集状態判定ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
2L、2R バンク
3 シリンダ
4 吸気通路
4L、4R 分岐路
5 エアクリーナ
6 ターボチャージャ(排気流量比調整手段)
7 インタークーラ
8 インテークマニホールド
9、9L、9R エアフロメータ(吸入空気量検出手段)
10L、10R 排気通路
11L、11R エキゾーストマニホールド
12 エンジンコントロールユニット(測定状態設定手段、捕集状態判定手段、再生制御手段)
13 EGR通路
14L、14R EGRクーラ
16、16R フィルタ(フィルタ手段)
18L、18R 差圧センサ
19L、19R 排気絞り弁(排気流量比調整手段)
20 燃料噴射弁
21L、21R バイパス通路

Claims (6)

  1. 互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、該シリンダ群に接続される吸気通路の少なくとも一部は前記2つのシリンダ群に対して共通化され、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段が設けられ、各フィルタ手段への排気流量比が排気流量比調整手段にて調整可能とされた内燃機関に適用される排気処理装置において、
    前記シリンダ群への吸入空気量の合計値を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記シリンダ群のうち、いずれか一方のシリンダ群に対応するフィルタ手段にのみ排気が導かれ、他方のシリンダ群に対応するフィルタ手段に対して排気が導かれない測定状態が生じるように前記排気流量比調整手段を操作する測定状態設定手段と、
    前記測定状態にて前記吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて前記一方のシリンダ群の排気通路に設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定する捕集状態判定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の排気処理装置。
  2. 前記測定状態設定手段は、前記シリンダ群毎の排気通路に設けられた可変ノズル式ターボチャージャのノズル、又は排気絞り弁を前記排気流量比調整手段として操作して前記測定状態を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気処理装置。
  3. 互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、前記シリンダ群に接続される吸気通路には、前記シリンダ群毎に分岐された分岐路とシリンダ群に対して共通化されたインテークマニホールドとが設けられ、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段と、排気エネルギを利用して前記分岐路に流入する吸入空気を過給する過給機とが設けられた内燃機関に適用される排気処理装置において、
    前記シリンダ群毎の前記分岐路のそれぞれにおける吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記内燃機関の吸入空気量に影響する機器類の操作状態が所定の基準状態に設定されている場合に前記吸入空気量検出手段が検出するシリンダ群毎の吸入空気量の合計値と第1の閾値との大小関係と、前記基準状態にて前記吸入空気量検出手段が検出する前記シリンダ群毎の吸入空気量と第2の閾値との大小関係とに基づいて、前記シリンダ群毎の前記フィルタ手段の捕集状態を判定する捕集状態判定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の排気処理装置。
  4. 前記捕集状態判定手段は、前記吸入空気量の合計値が前記第1の閾値よりも小さく、かついずれか一方のシリンダ群に対応する吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量が前記第2の閾値よりも小さいと判断した場合に、各吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量を比較して前記粒子状物質の捕集が進んでいるフィルタ手段を特定することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気処理装置。
  5. 前記捕集が進んでいると特定されたフィルタ手段に対して、反対側のフィルタ手段よりも先に、前記粒子状物質を除去する再生処理を実行する再生制御手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気処理装置。
  6. 互いに異なる排気通路に接続される2つのシリンダ群を有し、該シリンダ群に接続される吸気通路の少なくとも一部は前記2つのシリンダ群に対して共通化され、前記シリンダ群毎の排気通路のそれぞれには排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ手段が設けられ、各フィルタ手段への排気流量比が排気流量比調整手段にて調整可能とされた内燃機関に適用され、前記フィルタ手段における前記粒子状物質の捕集状態を判定する排気処理装置の捕集状態判定方法において、
    前記シリンダ群への吸入空気量の合計値を検出する工程と、
    前記シリンダ群のうち、いずれか一方のシリンダ群に対応するフィルタ手段にのみ排気が導かれ、他方のシリンダ群に対応するフィルタ手段に対して排気が導かれない測定状態が生じるように前記排気流量比調整手段を操作する工程と、
    前記測定状態にて前記吸入空気量検出手段が検出した吸入空気量に基づいて前記一方のシリンダ群の排気通路に設けられたフィルタ手段の捕集状態を判定する工程と、
    を備えたことを特徴とする排気処理装置の捕集状態判定方法。
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