JP2004339424A - 発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物 - Google Patents

発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的穏やかな条件下で架橋させることができ、有害物質を実質的に含まない堅牢な発泡層を繊維基材に形成するための発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の提供。
【解決手段】カルボニル基及びカルボキシル基を含有し、特定のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系共重合体の微粒子(A)、分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体(B)、起泡剤(C)及び気泡安定剤(D)を含有してなる発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然繊維、再生繊維、合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フェルト、紙など繊維基材に発泡層を形成するためのアクリル系共重合体水性組成物に関し、特に自動車のフロアカーペットの上に部分的に載置する、所謂「オプションマット」の構造の中に発泡層を形成するためのアクリル系共重合体水性組成物に関する。
【0002】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を用いた「オプションマット」などの製品の加工製造に際しては、熱により繊維基材を変形させるなどの不都合を生じさせることなく、乾燥温度程度の比較的低温で架橋を進行させることができ、且つホルムアルデヒドなど健康上有害な物質を発生させることのないカルボニル−ヒドラジド架橋により発泡層の架橋を行い、その結果得られる製品もホルムアルデヒドなどの有害物質を実質的に含まず、その発泡層は堅牢で防音効果の高いものとなると共に、繊維基材にパイル等が植設されているときにはその抜け止めの機能を兼ね、さらに発泡層の背面(繊維基材との接触面と反対側の面)に保護層などを有するときには、その保護層の接着剤としての機能をも兼ねることもできる。
【0003】
詳しくは、カルボニル基及びカルボキシル基を含有し、特定のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系共重合体の微粒子(A)、分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体(B)、起泡剤(C)及び気泡安定剤(D)を含有してなる発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物に関する。
【0004】
【従来の技術】
従来から、自動車室内のフロアカーペットの上に部分的に、所謂「オプションマット」が載置されることはよく知られている。このような「オプションマット」は、主として頻繁に人の足が接する部分に載置されて、カーペットが局部的に汚れたり摩耗したりすることを防止するものであるが、最近ではこの「オプションマット」に、自動車の走行中の床面からの騒音などを防止する機能を持たせようという試みがなされるようになった。
【0005】
例えば特許文献1には、パイル構造と、その裏面に貼着の、低密度、多空隙の吸音材を主体として構成される、フロアカーペットに追随・密着する柔軟性を有する「ピースマット」が開示されている。このパイル構造は、ポリエステル繊維等からなる基布にパイルを植設し、基布の裏面にパイルの抜け止めとしてラテックス加工を施したものであり、吸音材は、スラブウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリエステル繊維を主体としたフェルト等が適している旨記載されている。特許文献1に記載の発明には、このように構成することによって優れた吸音効果が発揮されることが開示されている。
【0006】
しかしながら特許文献1には、発泡層として本発明におけるようなアクリル系共重合体の使用についてなど全く記載されておらず、ましてカルボニル−ヒドラジド架橋についてなど何らの示唆も存在しない。また特許文献1においては、基布と発泡層とは、特に記載はないものの何らかの接着剤により接着されなければならず、従って少なくとも一工程余計に必要となってコスト上昇の原因となる。
【0007】
また特許文献2には、繊維シートの裏面に設けたバッキング層に、高さ及び形状の異なる複数種の突起を隙間なく形成した自動車用防音マットが開示されている。ここでのバッキング層は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのゴム系高分子で形成される旨記載されており、このバッキング層は繊維シート内に浸透固化するように設計することもできるので、これにより繊維シートのパイル糸の抜け止めが可能となることも開示されている。
【0008】
しかしながら特許文献2におけるバッキング層は発泡層ではなく、また消音の機構も本発明とは全く異なり、バッキング層の裏面に設けられた複数種の突起の作用と、バッキング層の一部が繊維シート内に浸透固化してできた異種の素材の作用による旨記載されている。
【0009】
さらに特許文献3には、表面がスキン層によって覆われた独立気泡構造を有する発泡樹脂層からなる遮音層を備えた遮音性繊維シートについて開示されている。遮音層は、ベース樹脂として、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン−ラバー(SBR)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニルなどの高分子を用い、これらに炭酸水素ナトリウムなどの加熱により気体を発生する発泡剤を配合して真空脱気後、加熱して独立気泡を形成させたものである。
【0010】
これに対して本発明における発泡層は、気体発生性の発泡剤などを使用せず、アクリル系共重合体の水性分散液を直接、機械攪拌などの手段により気体を巻き込んで発泡させたものをそのまま塗工して乾燥させることにより形成される、主として連続気泡からなるものであり、特許文献3の遮音層とはその構造において全く異なるものである。
【0011】
また本発明で用いられるカルボニル−ヒドラジド架橋を形成しうるアクリル系共重合体も知られており、例えば特許文献4には、ヒドラジン誘導体を含有するカルボニル基含有共重合物の水性分散液の使用について提案されている。
【0012】
しかしながら特許文献4に開示された水性分散液は、接着剤原料、水硬結合剤用の添加物、紙用塗料、繊維フリースの結合剤、織物、編物、皮革などの被覆、塗布、含浸などに使用されることは開示されているが、発泡層の形成用に用いられること、得られる発泡層が優れた吸音性を有していることなどについては、何らの記載も示唆も存在しない。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−47926号公報(特許請求の範囲、第3頁第4欄[0012]、図3及び図7)
【特許文献2】
特開2000−203353号公報(特許請求の範囲、第3頁第3欄[0015]及び[0016]、第4頁第5欄[0027]、図1及び図2)
【特許文献3】
特開2002−46203号公報(特許請求の範囲、第2頁第2欄[0012]〜第3頁第3欄[0014]、第3頁第3欄[0016]〜[0020]、図1、図3及び図5)
【特許文献4】
特開昭54−144432号公報(特許請求の範囲、第4頁右下欄第12〜16行)
【0014】
【発明が解決すべき課題】
本発明者等は、各種の繊維基材に発泡層を形成するためのアクリル系共重合体水性組成物、特に自動車のフロアカーペットの上に部分的に載置する、所謂「オプションマット」の構造の中に発泡層を形成するためのアクリル系共重合体水性組成物であって、「オプションマット」などの製品の加工製造に際して、ホルムアルデヒドなど健康上有害な物質を発生させることがなく、得られる製品にもホルムアルデヒドなどの有害物質を実質的に含まず、且つ優れた柔軟性、堅牢度、耐水性などと共に、卓越した防音効果を兼備する発泡層を形成することのできるアクリル系共重合体水性組成物を開発すべく研究を行ってきた。
【0015】
その結果、先ず架橋システムとして、ホルムアルデヒドなど有害物質の発生のないカルボニル基含有アクリル系共重合体をヒドラジン誘導体で架橋する方法を採用し、カルボニル基及びカルボキシル基を有するガラス転移点(Tg)−20℃程度のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液に、アジピン酸ジヒドラジドなど分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体の水溶液を配合し、さらにラウリル硫酸ナトリウムなどの起泡剤及び高級脂肪酸アンモニウム塩などの気泡安定剤を配合した組成物を、機械発泡により約3倍程度に発泡してオプションマット試料を作製して防音効果などの試験を行ったところ、優秀な性能を有していることを見出し、さらに検討を継続して本発明を完成した。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、下記(A)〜(D)、
(A) カルボニル基及びカルボキシル基を含有するガラス転移点(Tg)−10℃以下のアクリル系共重合体の微粒子、
(B) 分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体、
(C) 起泡剤、及び
(D) 気泡安定剤、
を含有してなる発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物が提供される。
以下本発明を詳細に説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔アクリル系共重合体の微粒子(A)及びその水性分散液〕
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、その主要成分として、分子内にカルボニル基及びカルボキシル基を含有する、ガラス転移点(Tg)−10℃以下のアクリル系共重合体の微粒子(A)を含んでなるものである。分子内にこれらの官能基を含有することにより、この組成物に含まれる後記するヒドラジン誘導体(B)と架橋構造を形成して、繊維基材への密着性、吸音性、柔軟性、反撥弾性、摩擦堅牢度、耐水性など優れた性能を発揮する発泡層を形成することができる。
【0018】
これら官能基の含有量は、必ずしも限定されるものではなく、得られる組成物の用途により、また共重合体のガラス転移点(Tg)により適宜選択することができるが、アクリル系共重合体の微粒子(A)の重量に基づいて、側鎖にカルボニル基を有する繰り返し単位の量が、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%、さらに好ましくは0.3〜2重量%の範囲であるのがよく、また側鎖にカルボキシル基を有する繰り返し単位の量が、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.6〜6重量%、さらに好ましくは0.8〜4重量%の範囲であるのがよい。
【0019】
さらに上記アクリル系共重合体は、そのガラス転移点(Tg)が−10℃以下であることが必要であり、−15〜−40℃の範囲であることが好ましい。Tgが該上限温度を超えて高すぎては、得られる発泡層の吸音性、柔軟性が損なわれがちとなるので好ましくない。一方、Tgが該下限温度以上であれば、発泡層の繊維基材への密着性、摩擦堅牢度、反撥弾性が優れているので好ましい。
【0020】
なお、本発明において、アクリル系共重合体のガラス転移点(Tg)は下記により測定された値である。
【0021】
ガラス転移点( Tg ):
厚さ約0.05mmアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに、アクリル系共重合体の水性分散液の試料約10mgを秤り取り、100℃で2時間乾燥したものを測定試料とする。セイコー電子工業(株)製SSC−5000型示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)を用い、−150℃から昇温速度10℃/minで測定する。
【0022】
なお本明細書において「アクリル系共重合体」なる用語は、通常、アクリル酸エステル又は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを50重量%以上含む単量体に由来する共重合体を示すために用いられる。
【0023】
本発明に用いられるアクリル系共重合体の微粒子(A)は、具体的には、必須単量体として一般式
C=CR−COOR (1)
(但し、式中Rは水素又はメチル基、Rは炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝アルキル基を表す)
で表される単量体(a)〔以下主単量体(a)ということがある〕、シアン化ビニル単量体(b)、カルボニル基含有単量体(c)及び炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(d)〔以下、単に不飽和カルボン酸(d)ということがある〕を乳化共重合してなるアクリル系共重合体により形成されることが好ましい。
【0024】
このような主単量体(a)としては、前記一般式(1)におけるRが水素であり、Rが炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝アルキル基である単量体、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体;前記一般式(1)におけるRがメチル基であり、XがCOORであって、Rが炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝アルキル基である単量体、具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−デシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル単量体;などを挙げることができる。
【0025】
これら主単量体(a)のうち、他の単量体との共重合性、重合安定性、得られる架橋型樹脂水性組成物を用いて加工された繊維製品の耐洗濯性などよさの観点から、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートの使用が特に好ましい。
【0026】
上記主単量体(a)の使用量は、所期のアクリル系共重合体の微粒子(A)の重量、すなわち該微粒子(A)を構成する単量体(a)〜(e)の合計100重量%に基づいて、好ましくは50〜94.4重量%、より好ましくは60〜90重量%、さらに好ましくは70〜85重量%の範囲であるのがよい。主単量体(a)の使用量が該下限値以上であれば、得られる発泡層の繊維基材への密着性、吸音性、耐水性などが優れたものとなるので好ましい。また該上限値以下であれば、相対的にシアン化ビニル単量体(b)、カルボニル基含有単量体(c)及び/又は不飽和カルボン酸(d)を所望量用いることができるため、発泡層の摩擦堅牢度、反撥弾性、吸音性などが優れたものとなるので好ましい。
【0027】
前記必須単量体(b)であるシアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。該単量体(b)の使用量は、前記単量体(a)〜(e)の合計100重量%に基づいて、好ましくは5〜23重量%、より好ましくは6〜22量%、さらに好ましくは7〜20重量%の範囲であるのがよい。該単量体(b)の使用量が、該下限値以上であれば、得られる発泡層の反撥弾性、吸音性が優れたものとなるので好ましく、また該上限値以下であれば、発泡層の柔軟性、耐水性、吸音性などが優れたものとなるので好ましい。
【0028】
前記必須単量体(c)であるカルボニル基含有単量体としては、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基と1個の重合可能な二重結合を有する単量体、すなわち、特に重合可能なモノエチレン系不飽和のアルド化合物及びケト化合物であって、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)又はカルボキシル基(−COOH)のみを有する化合物は除外される。
【0029】
このような単量体の具体例としては、例えば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナール、ジアセトンアクリレート、アセトニルアクリレート、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテートを挙げることができる。入手の容易性、重合反応操作の容易性などの観点から、これらの中でもジアセトンアクリルアミド及びビニルメチルケトンが好ましく、ジアセトンアクリルアミドが特に好ましい。
【0030】
上記カルボニル基含有単量体(c)の使用量は、前記単量体(a)〜(e)の合計100重量%に基づいて、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%、さらに好ましくは0.3〜2重量%の範囲であるのがよい。該単量体(c)の使用量が、該下限値以上であれば、得られる発泡層の摩擦堅牢度、反撥弾性、吸音性などが優れたものとなるので好ましく、また該上限値以下であれば、アクリル系共重合体の乳化重合に際して、重合安定性が損なわれることがなく、得られる発泡層の繊維基材への密着性が良好なものとなるので好ましい。
【0031】
前記必須単量体(d)である炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸(不飽和カルボン酸)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。これらの中では、アクリル系共重合体の乳化重合に際しての重合安定性、得られる水性分散液の機械的安定性の優秀さなどの観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸の利用が好ましく、得られる発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の、発泡層弾性の優秀さの観点からイタコン酸の使用が特に好ましい。
【0032】
不飽和カルボン酸(d)の使用量は、前記単量体(a)〜(e)の合計100重量%に基づいて、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.6〜6重量%、さらに好ましくは0.8〜4重量%の範囲であるのがよい。不飽和カルボン酸(d)の使用量が該上限値以下であれば、共重合に際して重合安定性が損なわれたり、貯蔵時に共重合体水性分散液が異状に増粘したりゲル化を起こしたりするなどの不都合が生じにくく、また得られる発泡層の耐水性が低下するなどの問題も生じにくいので好ましい。また該使用量が該下限値以上であれば、得られるアクリル系共重合体微粒子の水性分散液や発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の貯蔵安定性及び機械安定性(分散物を狭い間隙に充填してせん断力を加えた時の耐分散破壊性)が優れたものとなると共に、該水性組成物の機械発泡に際して好ましい粘度範囲への増粘が容易になるので好ましい。
【0033】
前記の、必要に応じて用いられる単量体(e)は、前記単量体(a)〜(d)と共重合可能な、該単量体(a)〜(d)以外の共単量体である。このような単量体の具体例としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)(好ましくは酢酸ビニル)等の飽和脂肪酸ビニルエステル;例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン(好ましくはスチレン)等の芳香族ビニル単量体;などを挙げることができる。
【0034】
さらにまた共単量体(e)としては、必要に応じて、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(b)及び(c)以外の単量体(以下、官能性共単量体ということがある)を共重合することもできる。
【0035】
このような官能性共単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシル基、エポキシ基、メルカプト基又は珪素含有基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用できる。
【0036】
これら官能性共単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0037】
例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0038】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等のエポキシ基含有単量体;アリルメルカプタン等のメルカプト基含有単量体;
【0039】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2−ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;
【0040】
例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体;等の単量体群を挙げることができる。
【0041】
このような共単量体(e)の使用量は、前記単量体(a)〜(e)の合計100重量%に対して、一般に0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲であるのがよい。該共単量体(e)の使用量は、その種類により変わるので一義的には決められないが、得られる本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の優れた性能を損なわないように上記範囲内の量で適宜に選択することができる。該共単量体(e)の使用量が上記範囲の上限値以下であれば、乳化重合安定性及び得られる共重合体微粒子の水性分散液の安定性が優れており、また、得られる発泡層の耐水性も良好なので好ましい。また該使用量を上記範囲内とした場合には共重合体微粒子の水性分散液の貯蔵安定性及び機械的安定性が損なわれず、また、得られる発泡層の摩擦堅牢度、吸音性、耐水性、反撥弾性、繊維基材への密着性などの特性の向上が期待できる。
【0042】
本発明に用いられるアクリル系共重合体の微粒子(A)の好適な製造方法としては、例えば、前記(a)〜(e)の単量体を、必要に応じて水溶性保護コロイドの存在下、適宜な界面活性剤を重合用乳化剤として用いて、水性媒体中で乳化共重合する態様を挙げることができる。
【0043】
本発明において、乳化共重合に使用しうる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、例えば、下記一般式(2)で示される、炭素数10〜20の脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル型ノニオン系界面活性剤を使用することができる。
O(EO)H (2)
(式中、Rは炭素鎖に結合する水素の一部がフッ素もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数8〜20の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基又はアルケニル基、EOは二価のエチレンオキシド基を表す)
【0044】
上記一般式(2)で示される好適なノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテル)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルケニルエーテルを例示することができる。
【0045】
また、上記のノニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(nの値)としては、好ましくは10〜120の範囲、より好ましくは15〜100の範囲、さらに好ましくは17〜90の範囲であるのがよい。nの値が該範囲内であれば、水性乳化重合の際の凝集物の発生が少なく、得られる水性分散液の機械的及び化学的安定性が良好なので好ましい。
【0046】
本発明のアクリル系共重合体の乳化共重合に際しては、前記一般式(2)で示されるノニオン系界面活性剤の他に、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー;例えば、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルジアルキル正リン酸エステル類;などを使用することも可能である。これらのノニオン系界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
さらに本発明に用いられるアクリル系共重合体の乳化共重合に際しては、必要に応じて、分子内にラジカル重合可能な不飽和基を有する、所謂「反応性乳化剤」を使用することもできる。
【0048】
これらのうちノニオン系反応性乳化剤としては、例えば、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」〔旭電化工業(株)製〕、「RMA−564」、「RMA−568」、「RMA−1114」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等などを挙げることができる。
【0049】
これらノニオン系界面活性剤の使用量は、得られるアクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して、すなわち前記単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して、有効成分で0.6〜10重量部であることが好ましく、1〜6重量部の範囲であることが特に好ましい。該ノニオン系界面活性剤の使用量が、該上限値以下であれば、水性乳化共重合に際して重合安定性が良好であると共に、得られる共重合体水性分散液に基づく組成物被膜の繊維基材への密着性を損なうことがなく、さらに得られる発泡層が優れた耐水強度を有しているので好ましい。一方、該下限値以上であれば、水性乳化共重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性の低下などの不都合を引き起こすことがないので好ましい。
【0050】
本発明におけるアクリル系共重合体の乳化重合に際しては、前記のノニオン系界面活性剤と共にアニオン系界面活性剤を併用することができる。
【0051】
このようなアニオン系界面活性剤としては、例えば、下記一般式(3)、
O(EO)SO (3)
〔式中、R及びEOは前記一般式(2)で定義したとおりであり、MはNa、K又はNH 等の一価の対イオンを表す〕
で示されるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩型アニオン系界面活性剤が好適に使用される。
【0052】
上記一般式(3)で示される好適なアニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸エステル塩等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等のポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩を例示することができる。
【0053】
また、上記のアニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(mの値)としては、好ましくは5〜50の範囲、より好ましくは10〜40の範囲、さらに好ましくは15〜30の範囲であるのがよい。
【0054】
本発明において用いることのできるアニオン系界面活性剤としては、また、下記一般式(4)、
【0055】
【化1】
Figure 2004339424
〔式中、Rは炭素数10〜20のアルキル基を表し、Mは一般式(3)で定義したとおりである〕
【0056】
で示されるアルキルアリールスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤を例示することができ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等を例示することができる。
【0057】
本発明において用いることのできるアニオン系界面活性剤としては、さらに、下記一般式(5)、
【0058】
【化2】
Figure 2004339424
〔式中、Rは1つ以上の芳香環を含む炭化水素基、EOは一般式(2)で、Mは一般式(3)で定義したとおりである〕
【0059】
上記一般式(5)におけるRは、下記3種の構造式で示されるジスチリルの何れか又はそれらの混合物から誘導されたものであることが好ましい。
【0060】
【化3】
Figure 2004339424
【0061】
前記のアニオン系界面活性剤におけるポリオキシエチレン鎖の長さ(pの値)としては、一般に4〜50の範囲であり、好ましく5〜45の範囲であるのがよい。
【0062】
前記一般式(5)で示されるアニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ハイテノールNF−13、ハイテノールNF−17〔商品名;以上第一工業製薬(株)製〕、ニューコール707SF、ニューコール710SF、ニューコール714SF、ニューコール723SF、ニューコール740SF〔商品名;以上日本乳化剤(株)製〕等を挙げることができる。
【0063】
また、これら乳化剤のアルキル基の水素の一部をフッ素で置換されたものも使用可能である。
【0064】
本発明で用いることのできるアニオン系界面活性剤としては、さらに、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩;例えば、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体;等を例示することができる。
【0065】
さらにアニオン系反応性乳化剤として、例えば、「エレミノールJS−2」、「エレミノールRS−30」〔以上、三洋化成工業(株)製〕、「アクアロンHS−10N」、「アクアロンHS−20N」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「アデカリアソープSE−10N」〔旭電化工業(株)製〕、「ラテムルS−120」、「ラテムルS−120A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルS−180A」〔以上、花王(株)製〕も使用可能である。
【0066】
これらアニオン系界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、得られるアクリル系共重合体の微粒子(A) 100重量部に対して、すなわち前記単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して、有効成分として5重量部以下であることが好ましく、0.1〜2重量部の範囲であることが特に好ましい。該アニオン系界面活性剤の使用量が、該上限値以下であれば、得られる水性分散液の機械的安定性、化学的安定性がよいので好ましい。また、該下限値以上用いることによって、水性乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊を防止し、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性を向上させる可能性があるので好ましい。
【0067】
さらに、アニオン系界面活性剤の使用の割合は、使用される全界面活性剤量に対して、有効成分比率で40重量%以下であることが好ましく、5〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。該使用割合が該上限値以下であれば、得られる水性分散液の化学的安定性が優れているので好ましい。また該下限値以上用いることにより、乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性を向上させることができるので好ましい。
【0068】
さらにまた、本発明におけるアクリル系共重合体の乳化共重合に際しての全界面活性剤の使用量は、アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して、すなわち前記単量体(a)〜(e)の合計100重量部に対して、有効成分として1〜10重量部の範囲であることが好ましく、1.5〜8重量部の範囲であることがより好ましく、2.5〜7重量部の範囲であることが特に好ましい。該使用割合が該上限値以下であれば、乳化重合安定性が優れており、得られる水性分散液の機械的安定性、化学的安定性が優れていると共に、水性分散液に基づく組成物被膜の基材への密着性を阻害することがないので好ましい。また該下限値以上用いることにより、乳化重合の際の凝集物の発生や乳化状態の破壊、得られる水性分散液の貯蔵安定性や機械的安定性を向上させることができるので好ましい。
【0069】
さらにまた、最近、アクリル系共重合体の水性分散液中に汎用されているアルキルフェニル基を含む界面活性剤が、排水中に含まれて河川等に排出されたとき、それら界面活性剤の加水分解によって生じるアルキルフェノールが、それら河川及びそれが流入する海の中に生息する生物、特に魚貝類に取り込まれて、それら生物の内分泌機能(エンドクリン)破壊物質(所謂、環境ホルモン)として作用することが知られるようになった。このようなアルキルフェノールは、これら魚介類の摂取を通して、又は直接それら河川等の水を使用する上水道の水を通して、人の体内に入る危険性が高いことが指摘されている。
【0070】
本発明においては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤の中から、上記のようなアルキルフェニル基を含まないものを選んで用いることにより上記の問題点を解消したアクリル系共重合体の水性分散液を得ることもできる。
【0071】
このような界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤類として、前記一般式(2)で示される炭素数10〜20の脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルジアルキル正リン酸エステル類などを使用することができる。またアニオン系界面活性剤類としては、前記一般式(3)で示されるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩類、前記一般式(4)で示されるアルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩類、アルキル(もしくはアルケニル)スルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類、アルキル(又はアルケニル)リン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、前記一般式(5)のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル型界面活性剤などを使用することができる。
【0072】
これらの界面活性剤を重合用乳化剤として用いる場合には、これらを適宜組み合わせて、前記の使用量範囲で使用するのがよい。
【0073】
本発明における水性アクリル系共重合体微粒子(A)の乳化共重合に際しては、前記のノニオン系及びアニオン系界面活性剤と共に、必要に応じ、且つ本発明の優れた効果を損なわない範囲において、保護コロイドを併用することができる。
【0074】
このような保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアーガムなどの天然多糖類;などが挙げられる。これら保護コロイドの使用量は、例えば、アクリル系共重合体の微粒子(A) 100重量部に対して0〜3重量部程度の量を例示できる。
【0075】
本発明におけるアクリル系共重合体の乳化重合に際しては、重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩類;t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、p−メンタンハイドロペルオキシドなどの有機過酸化物類;過酸化水素;などを、一種もしくは複数種併用して使用することができる。重合開始剤の使用量は適当に選択できるが、例えば、アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して約0.05〜1重量部、より好ましくは約0.1〜0.7重量部、特に好ましくは約0.1〜0.5重量部の如き使用量を例示することができる。
【0076】
また乳化重合に際して、所望により、還元剤を併用することができる。該還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物を例示できる。還元剤の使用量は適宜選択できるが、例えば、アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して約0.05〜1重量部の如き使用量を例示することができる。
【0077】
さらにまた、乳化重合に際して、所望により連鎖移動剤を用いることもできる。このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8アルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8アルキルエステル類;例えば、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;例えば、p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物類;例えば、ベンゾキノン、 2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノン等のベンゾキノン誘導体類;トリブチルボラン等のボラン誘導体;例えば、四臭化炭素、四塩化炭素、 1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペン等のハロゲン化炭化水素類;例えば、クロラール、フラルデヒド等のアルデヒド類;炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;例えば、チオフェノール、トルエンメルカプタン等の芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10アルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキルアルキルメルカプタン類;例えば、ビネン、テルピノレン等のテルペン類;等を挙げることができる。
【0078】
上記連鎖移動剤を用いる場合その使用量は、アクリル系共重合体の微粒子(A) 100重量部に対して約0.005〜3重量部であるのが好ましい。
【0079】
乳化共重合の好適な実施態様としては、前記の界面活性剤及び/又は保護コロイドを含有し、或いはこれらを含有しない水性媒体中に、前記単量体(a)〜(e)、界面活性剤及び/又は保護コロイド、重合開始剤、並びに、必要に応じて使用する還元剤を逐次添加する態様を例示することができる。共重合温度は、約40〜100℃、好ましくは約50〜90℃程度であるのがよい。
【0080】
かくして得られたアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液は、必要に応じて、アンモニア水等によってpH調節することができる。このような分散液は、通常、固形分濃度30〜65重量%、粘度10〜3000 mPa・s(BH型回転粘度計、25℃、20rpm;粘度測定条件以下同様)、pH2〜9程度であるが、アクリル系共重合体の乳化共重合の安定性、得られる共重合体水性分散液の機械的安定性、貯蔵安定性、本発明の組成物作製に際しての種々の添加剤の配合適性の優秀さなどの理由から、固形分濃度50〜65重量%であることが好ましい。また水性媒体中のアクリル系共重合体微粒子の平均粒子径は、好ましくは200〜500 nm、より好ましくは230〜350 nmであるのがよい。平均粒子径が該下限値以上であれば、比較的低粘度で固形分の高い共重合体水性分散液が得られやすく、各種添加剤との混和性も優れたものとなるので好ましく、また該上限値以下であれば、乳化重合に際して反応性を阻害することがなく、得られるエマルションの貯蔵安定性も良好なので好ましい。
【0081】
なお本明細書において、共重合体分散粒子の平均粒子径は、日本化学会編「新実験化学講座4 基礎技術3 光(II)」第725〜741頁(昭和51年7月20日丸善株式会社発行)に記載された動的光散乱法(以下、DLS法ということがある)により測定された値であり、具体的には以下に述べる方法で測定された値である。
【0082】
平均粒子径:
共重合体水性分散液を蒸留水で5万〜15万倍に希釈し、十分に攪拌混合した後、21mmφガラスセル中にパスツールピペットを用いて約10ml採取し、これを動的光散乱光度計「DLS−700」〔大塚電子(株)製〕の所定の位置にセットして、以下の測定条件下で測定し、測定結果をコンピュータ処理して平均粒子径を求める。
【0083】
〔測定条件〕
Figure 2004339424
【0084】
〔発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物〕
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、以上述べたアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液と共に、分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体(B)を含有してなるものである。このことにより本発明の共重合体水性組成物は、前記の如く比較的穏やかな加工条件下で加工することができ、ホルムアルデヒドなどの有害物質の発生がなく、得られる発泡層の繊維基材への密着性、吸音性、柔軟性、反撥弾性、摩擦堅牢度、耐水性などの特性を向上させることができる。
【0085】
本発明に用いることのできるヒドラジン誘導体(B)は、必ずしも限定されるものではないが、水100重量部に対して1重量部以上溶解するものが好ましく、また炭素数2〜10を含有する有機化合物であることが好ましい。このようなヒドラジン誘導体(B)としては、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜10を含有するジカルボン酸のジヒドラジド;例えば、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等の水溶性の炭素数2〜4を含有する有機ジヒドラジンを挙げることができる。これらのうち、炭素数2〜10を含有するジカルボン酸のジヒドラジド、中でもアジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、コハク酸ヒドラジドの使用が特に好ましい。
【0086】
これらヒドラジン誘導体(B)は、前記アクリル系共重合体の微粒子(A)中のカルボニル基1当量に対して、好ましくは0.25〜2当量、より好ましくは0.3〜1.5当量、さらに好ましくは0.4〜1.2当量の範囲であることが望ましい。カルボジヒドラジドの使用量が該下限値以上であれば、アクリル系共重合体の架橋が十分に行われ、得られる発泡層の摩擦堅牢度、反撥弾性、吸音性などが優れたものとなるので好ましく、また該上限値以下であれば発泡層の繊維基材への密着性が損なわれることがないので好ましい。
【0087】
かくして本発明に用いられるアクリル系共重合体は、実質的に乾燥させるだけで、ヒドラジン誘導体(B)のヒドラジン残基が該共重合体のカルボニル基と架橋反応して強固な架橋被膜を与えることができ、布、紙、繊維等の繊維基材に対し強い密着性を有する被膜を与えると共に、吸音性、柔軟性、反撥弾性、摩擦堅牢度、耐水性などを向上させる。
【0088】
一般に、共重合体の架橋度合はその共重合体から形成されるフィルムの動的粘弾性特性を測定することにより知ることができる。
【0089】
図1は、共重合体から形成されるフィルムの動的粘弾性特性を表す概念図である。縦軸に弾性率(例えばN/m)、横軸に温度(℃)をとるとき、一般に樹脂は、極低温域ではガラス状態を呈するガラス状領域で高い弾性率を維持しているが、温度上昇につれて次第に長鎖分子が全体としてゆっくりと動き始め、ある温度を超えると急激にその弾性率が低下する。この時の温度がその共重合体のガラス転移点(Tg)であり、温度上昇に伴って弾性率が急激に低下するこの領域が転移域である。さらに温度が上昇すると再び弾性率の低下率が小さい段丘状の領域、すなわちゴム状領域に至る。この領域では、樹脂の分子鎖の絡み合い(物理的)及び分子の架橋度合(化学的)によって弾性率が維持されるものといわれている。このゴム状領域が高温側にまで及んでいる共重合体は高温弾性率が高いことになる。さらに温度を上昇させると、共重合体は急激にその弾性率を低下させて流動域に至る。この領域では、共重合体の分子鎖は自由熱運動(ブラウン運動)を行うことになる。
【0090】
なお本明細書においては、ガラス状領域、転移域、ゴム状領域及び流動域における温度−弾性率曲線の接線の交点をそれぞれu、v及びwとし、それら交点のそれぞれに対応する温度をTu、Tv及びTwとするとき、温度Tuはガラス転移点Tgと一致するものとし、この温度より低温の領域をガラス状領域、温度TuとTvとの間を転移域、温度TvとTwとの間をゴム状領域、温度Twは軟化点Tmと一致するものとし、この温度より高温の領域を流動域と定義する。
【0091】
図2は、本発明におけるアクリル系共重合体の微粒子(A)中のカルボニル基とヒドラジン誘導体(B)との配合物により形成される架橋フィルム(x)と、従来のアクリル系共重合体の非架橋又は低架橋フィルム(y)の動的粘弾性特性を比較する概念図である。図2において、本発明に係る架橋フィルムの動的粘弾性特性を表す曲線(x)は、そのゴム状領域の上限が高温領域、例えば160℃以上の温度域にまで及んでいる。それに対して従来の非架橋又は低架橋フィルムの動的粘弾性特性を表す曲線(y)は、そのゴム状領域の上限がより低い温度、例えば140℃以下の温度域までしか及んでおらず、それ以上の温度では流動域に移行してしまう。このことは、本発明のアクリル系共重合体水性組成物が高温においても優れた弾性を有することを示している。
【0092】
なお、本明細書において、フィルムの動的粘弾性特性は下記により測定された値である。
【0093】
動的粘弾性特性の測定:
フィルムの動的粘弾性特性は、完全自動低駆動粘弾性測定器〔レオバイブロン DDV−III−EP;東洋ボールドウィン(株)製〕を用いて測定した。測定方法は、該測定器の取扱説明書V−1180に記載されている方法に従った。以下その方法を概説する。
【0094】
シリコーン製型枠に、乾燥皮膜の厚みが1〜2mmになる量のエマルションを流し込み、室温で3日間乾燥後さらに40℃の乾燥器中で8時間乾燥して、得られる乾燥皮膜を試料とした。測定は以下の条件下で行った。
Figure 2004339424
【0095】
Figure 2004339424
【0096】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、前記のアクリル系共重合体の微粒子(A)及びヒドラジン誘導体(B)と共に、起泡剤(C)及び気泡安定剤(D)を含有してなるものである。
【0097】
上記の起泡剤(C)は、特に限定されるものではなく、機械攪拌等により空気巻き込んで気泡を形成することを助けるものであれば何れも使用できるが、前記の界面活性剤の中から、適宜選択して使用するのが通例である。これら界面活性剤のうち、前記のごとく「環境ホルモン」を発生させない観点から、アルキルフェニル基を含まない前記のノニオン系界面活性剤類及びアニオン系界面活性剤類を用いることが好ましく、前記一般式(3)で示されるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩類、前記一般式(4)で示されるアルキルアリールスルホン酸塩類、アルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩類及びポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル硫酸エステル塩類を用いることがより好ましく、炭素数8〜20のアルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩であることがさらに好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムであることが特に好ましい。
【0098】
起泡剤(C)の使用量も、特に限定されるものではなく、本発明の組成物の用途、形成される発泡層の厚さ及びアクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液の特性値(例えば、粘度、固形分など)によって適宜の量使用することができるが、例えば該微粒子(A)100重量部に対して0.5〜5重量部用いることが好ましく、1〜3重量部用いることがさらに好ましい。
【0099】
本発明に用いることのできる前記気泡安定剤(D)も、特に限定されるものではなく、形成された気泡安定に保つために有効なものであれば何れも使用でき、例えば寒天、カラギーナン、ペクチン、アラビアガム、ローカストビーンガム、グァガム、コーンスターチ、ゼラチン、カゼインなどの天然糊料;例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの合成糊料;高級脂肪酸の塩などを例示することができるが、これらのうち、高級脂肪酸の塩、例えば炭素数12〜20の脂肪酸のアンモニウム塩の使用が好ましく、主としてステアリン酸からなる脂肪酸のアンモニウム塩の使用が特に好ましい。
【0100】
気泡安定剤(D)の使用量も、特に限定されるものではなく、本発明の組成物の用途及び形成される発泡層の厚さ、並びに、アクリル系共重合体微粒子(A)の水性分散液の特性値(例えば、粘度、固形分など)、起泡剤(C)の種類及び使用量などによって適宜の量使用することができるが、例えば該微粒子(A)100重量部に対して1〜10重量部用いることが好ましく、2〜7重量部用いることがさらに好ましい。
【0101】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物には、必要に応じて、無機質充填剤を含有させることができる。このような無機質充填剤としては、実質的に水に不溶性ないし難溶性の無機質個体粉末、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、マイカ、水酸化アルミニウム、ガラス粉、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等を例示することができる。
【0102】
これらの無機質充填剤の配合量は、その種類や本発明の組成物により発泡層が設けられる加工製品の用途に応じて広い範囲で変化させることができるが、得られる発泡層中に占める無機化合物(無機質充填剤及び下記無機着色顔料等の合計)の量が、該発泡層の重量に基づいて50重量%以下、さらには30重量%以下であることが好ましく、特に該発泡層が吸音性を求められる自動車室内のオプションマット中に設けられるものであるときには、無機質充填剤の配合量は20重量%以下であることが好ましい。
【0103】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物には、必要に応じて、さらに各種の添加剤を配合することができる。
【0104】
これらの添加剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機もしくは無機の着色顔料;例えばヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、例えばノプコスパース 44C(商品名)〔ポリカルボン酸系、サンノプコ(株)製〕等の有機質分散剤などの分散剤;例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂、界面活性剤系等の増粘剤及び粘性改良剤;例えば、シリコーン系などの消泡剤;例えば、ターペンエチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等の有機溶剤;老化防止剤;防腐剤・防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;等を挙げることができる。
【0105】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、特に限定されるものではないが、固形分、一般に約40〜80重量%、好ましくは約45〜75重量%、特に好ましくは約50〜70重量%の範囲;pH、一般に7〜11、好ましくは8〜10の範囲;粘度、一般に約3,000〜100,000mPa・s、好ましくは約5,000〜50,000mPa・sの範囲(B型回転粘度計、25℃、20rpmによる、以下同様)を有することができる。
【0106】
また本発明組成物の使用に際しては、以上述べた特定のアクリル系共重合体の微粒子(A)、ヒドラジン誘導体(B)、起泡剤(C)及び気泡安定剤(D)、さらに必要に応じて、前記の各種添加剤を配合し、均一に混合した後、適宜の機械撹拌装置、例えば櫂型、タービン型、プロペラ型などの攪拌翼を有する攪拌機を用い、必要に応じて、窒素又は空気を吹き込みながら攪拌することにより、該組成物を発泡させる。発泡の度合(発泡倍率)は、特に限定されるものではなく、発泡層が設けられる加工製品の用途に応じて広い範囲で変化させることができるが、発泡前の組成物の容量に基づいて、一般に1.5〜6倍、好ましくは2〜5倍程度であるが、特に該発泡層が吸音性を求められる自動車室内のオプションマット中に設けられるものであるときには、2〜4倍の範囲とすることが好ましい。
【0107】
この発泡した組成物は、次いで、適宜の塗工手段、例えばナイフコーター、ロールコーターなどにより、繊維基材の一方又は両方の表面に塗工し、例えば熱風乾燥法、熱シリンダー法、赤外線照射法などの慣用の乾燥方法により乾燥することにより、連続気泡を有する発泡層を形成することができる。得られる発泡層の密度も、該発泡層が設けられる加工製品の用途に応じて適宜選択することができ、一般に0.2〜0.7 g/cmの範囲であるのがよい。また発泡層を吸音性が求められる自動車室内のオプションマット中に設けるときには、0.3〜0.6 g/cmの範囲とすることが特に好ましい。
【0108】
なお、本明細書において、発泡層の密度は下記により測定された値である。
【0109】
発泡層の密度の測定:
予め重量を測定してある容積100mLのテフロン(登録商標)製シャーレ(w:単位g)に、厚みが約5mmになる様に発泡体組成物を充填し、80℃で3時間乾燥した後室温まで放冷して重量を測定した(w:単位g)。得られた発泡層の表面に、シールを目的として、約90℃で熱熔融させたワックス(融点約60℃)を刷毛を用いて塗布し、室温まで放冷して重量を測定した(w:単位g)。次いでこの発泡層を含むシャーレに、満杯になるまで水を充填し重量を測定した(w:単位g)。これらの測定値を用い、下記の計算式に従って発泡層の密度を求めた。
【0110】
【数1】
Figure 2004339424
但し、水1gの体積を1cmとする。またシールとして用いたワックスの厚さは10μm前後であるため、発泡体の厚さ(約5mm)に比較して無視小であると考える。
【0111】
適用される適当な繊維基材としては、例えば綿、麻、毛等の天然繊維;例えばレーヨン等の再生繊維;例えばアセテート繊維、プロミックス繊維などの半合成繊維;例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維等の合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フェルト、紙などを例示することができる。
【0112】
次に、本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物により発泡層が設けられた自動車室内のオプションマットについて説明する。
【0113】
図3は、本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を用いて作製されるオプションマットの概念図である。このオプションマット(10)において、本発明の組成物により形成された発泡層(1)は、パイル(3)の植設された繊維基材(2)と裏打ち不織布(4)の間に位置し、該裏打ち不織布(4)の背面〔発泡層(1)と接している面の反対側の面〕には、滑り止め層(5)が形成されている。パイル(3)、繊維基材(2)及び裏打ち不織布(4)は、例えばポリエステルなどの合成繊維からなるものである。発泡層(1)は、例えば、分子内にカルボニル基及びカルボキシル基を含有するガラス転移点(Tg)−20℃程度のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液に、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン誘導体を該微粒子中のカルボニル基1当量に対して0.5当量、ラウリル硫酸ナトリウムなどの起泡剤を該微粒子100重量部当たり1重量部程度、ステアリン酸を主体とする高級脂肪酸のアンモニウム塩などの気泡安定剤を該微粒子100重量部当たり8.5重量部程度配合し、これにポリカルボン酸系増粘剤を適宜の量配合した後、25%アンモニア水を添加して5000〜20000 mPa・s増粘し、次いでこれを機械攪拌により、発泡前の組成物の容量に基づいて約3倍程度まで発泡したものを、ナイフコーターなどの塗工手段により、直接繊維基材(2)に、乾燥時の塗布量が200〜2000 g/m程度の量となるように塗布し、その上に、直ちに裏打ち不織布(4)を重ねてから、熱風乾燥機等により、乾燥初期80℃前後、最終工程で150℃程度の温度で乾燥することによって形成される。こうした方法で発泡層(1)を形成することにより、パイル(3)の繊維基材(2)からの抜け落ちを防止することができると共に、該発泡層(1)を、別段の接着剤を解することなしに、該繊維基材(2)と裏打ち不織布(4)に強固に接合することができる。
【0114】
得られた発泡層(1)は、自動車の床面からの振動や騒音をできるだけ吸収するものとなることが好ましく、例えば、垂直入射吸音率法による周波数4000Hzでの吸音率が0.6以上、特には0.8以上となることが好ましい。
【0115】
滑り止め層(5)は、得られるオプションマット(10)を自動車の車内に敷設して使用するときに、人の足などによる外力によって簡単に滑って移動しない用にするために設けられるものであり、その材料はそのような機能に適合するものであれば必ずしも限定されるものではないが、例えば上記の発泡層(1)に用いられた組成物を発泡もしくは無発泡で、又はこの組成物にさらに適宜の無機質充填剤を加えたものを発泡もしくは無発泡で、裏打ち不織布(4)の背面に塗布し乾燥することにより形成することができる。滑り止め層(5)の乾燥時の塗布量は10〜100 g/m程度の量であることが好ましい。
【0116】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお本実施例における試験方法及び評価方法は以下のとおりである。
【0117】
1. 試験シートの作成
1−1. 試験シート (1)
繊維基材として、坪量約310 g/m、厚さ約5mmのポリエステル製スパンボンド不織布を用い、その一方の表面に所定のドクターブレードを用いて、発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を所定倍率に発泡させたものを、湿時の塗布量が約600 g/mになる様にドクターブレードのスリットを調整し塗布して、熱風循環式乾燥機中、80℃で30分間予備乾燥後、更に140℃で10分間乾燥して試験シート(1)とした。
【0118】
1−2. 試験シート (2)
試験シート(1)と同様に発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の発泡させたものを塗布した後、その塗装面に、湿時、該繊維基材と同じ不織布を貼り合わせて、5.3 kg/mの荷重をかけ、熱風循環式乾燥機中、80℃で30分間予備乾燥後、更に140℃で10分間乾燥して試験シート(2)とした。
【0119】
2. 発泡層の摩擦堅牢度
2−1. 常態堅牢度
前(1−1)項で作成した試験シート(1)を、23℃、60%RHの室内に1時間以上放置した後、学振型試験器を用いて以下の条件により測定した。
摩擦子 45R カナキン被覆(乾燥)
荷重 200g
回数 300回
評価の基準は次のとおり
○:表面層の損傷殆どなし。
△:表面層の損傷ややあり。
×:表面層の損傷著しい。
【0120】
2−2. 耐水堅牢度
前(1−1)項で作成した試験シート(1)を水に10分間浸漬した後、学振型試験器を用いて以下の条件で測定した。
摩擦子 45R カナキン被覆(水で充分に濡らす。)
荷重 200g
回数 100回
評価の基準は次のとおり
○ … 表面層の損傷殆どなし。
△ … 表面層の損傷ややあり。
× … 表面層の損傷著しい。
【0121】
3. 吸音性の評価
前(1−2)項で作成した試験シート(2)について、JIS A 1405−1998に準拠する方法により周波数800〜5000 Hzの垂直入射吸音率を測定し、周波数4000Hzにおける吸音率の値を吸音性の指針とした。
【0122】
周波数4000Hzにおける吸音率は、一般に0.3以上であることが必要であり、0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。
【0123】
4. 不織布基材接着力
前(1−2)項で作成した試験シート(2)について23℃、65%RHの恒温恒湿条件下に3時間以上放置した後、同条件下で常態剥離強度を測定した。測定にはテンシロンUYM−4100〔東洋ボールドウィン(株)製〕を用い、測定試験片は幅25mm、つかみ間隔100mmとし、引張速度は300mm/分とした。
【0124】
不織布基材への接着力は、一般に 600 g/25mm以上であることが好ましく、さらには 750 g/25mm以上、特には900 g/25mm以上であることが好ましい。
【0125】
5. 風合
前(1−2)項で作成した試験シート(2)について手触りにより風合を評価した。評価基準は次のとおり。
○:柔軟
△:やや硬い
×:硬い
【0126】
〔アクリル系共重合体微粒子の水性分散液の製造〕
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内にイオン交換水30重量部を仕込み、内温を60℃に昇温させた。一方、別の容器にイオン交換水20重量部と、乳化重合用の界面活性剤(以下、単に乳化剤ということがある)として、「DKS NL−180」〔ポリオキシエチレン(n=22)ラウリルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製〕(NL180)3重量部及び「ハイテノール08E」〔ポリオキシエチレン(n=8)オレイルエーテル硫酸エステル型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度約95重量%);第一工業製薬(株)製〕(H08E)0.5重量部(有効成分量約0.48重量部)を仕込んで攪拌溶解して乳化剤水溶液を作成し、次いでこれに、カルボニル含有単量体(c)としてジアセトンアクリルアミド(DAAM)1重量部及び不飽和カルボン酸(d)としてイタコン酸(IA)1重量部を仕込んで攪拌溶解した。次にこの水溶液に、主単量体(a)としてブチルアクリレート(BA)40.3重量部及びエチルアクリレート(EA)47.7重量部、並びにシアン化ビニル単量体(b)としてアクリロニトリル(AN)10重量部よりなる単量体混合物を加えて攪拌し、単量体乳化液を得た。
【0127】
反応器の内容物を窒素気流下に攪拌しながら加熱し、反応器内の水温が60℃に達した時点で、重合開始剤及び還元剤として、4重量%過硫酸アンモニウム(APS)水溶液及び4重量%メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)水溶液をそれぞれ1.67重量部添加した後、単量体乳化液並びに、4重量%過硫酸カリウム水溶液及び4重量%メタ重亜硫酸ナトリウムそれぞれ8.33重量部を逐次添加しながら60℃で約4時間重合反応を行った。重合反応終了後、同温度で約1時間攪拌を継続してから冷却し、次いで25重量%アンモニア水でpHを6〜8に調整してカルボニル基及びカルボキシル基含有アクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。得られた該水性分散液は、固形分59.6重量%、pH7.1、粘度150mPa・s(25℃、BH型回転粘度計20rpm;特に示すものを除き以下同様)、分散粒子の平均粒子径290 nmであり、該アクリル系共重合体のTgは−20℃であった。
【0128】
製造例2
製造例1において、乳化剤水溶液のうちの5重量%を反応器内に仕込み、残り95重量%の乳化剤水溶液にDAAM及びIAを溶解して、この水溶液を用いて製造例1と同様に単量体乳化液を作成する以外は製造例1と同様にしてアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。使用した単量体及び乳化剤の組成を表1に、得られたアクリル系共重合体の水性分散液の固形分、pH、粘度及び分散粒子の平均粒子径、並びに該アクリル系共重合体のTgを表2に示した。
【0129】
製造例3〜7
製造例1において、カルボニル含有単量体(c)としてDAAMの使用量を変え又はこれを用いず、必要に応じて主単量体(a)のBA及びEA使用量を加減し、さらに必要に応じて共単量体(e)として官能性共単量体グリシジルメタクリレート(GMA)又はトリアリルシアヌレート(TAC)を併用する以外は製造例1と同様にして、Tgがほぼ同じアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。使用した単量体及び乳化剤の組成を表1に、得られた水性分散液の固形分、pH、粘度及び分散粒子の平均粒子径、並びに該アクリル系共重合体のTgを表2に示した。
【0130】
製造例8〜12
製造例1において、不飽和カルボン酸(d)の種類及び/もしくは使用量を変え、又はこれを使用せず、必要に応じて主単量体(a)のBA及びEA使用量を加減し及び/又はシアン化ビニル単量体の使用量を加減する以外は製造例1と同様にして、Tgがほぼ同じアクリル系共重合体微粒子の水性分散液を得た。使用した単量体及び乳化剤の組成を表1に、得られた水性分散液の固形分、pH、粘度及び分散粒子の平均粒子径、並びに該アクリル系共重合体のTgを表2に示した。但し、不飽和カルボン酸(d)としてアクリル酸(AA)又はメタクリル酸(MAA)を使用するときには、単量体乳化液の作成に際して、カルボニル含有単量体(c)及び乳化剤と共に水に溶解させて乳化剤水溶液とする代わりに、主単量体(a)及びシアン化ビニル単量体(b)とともに単量体混合物として、これを乳化剤水溶液に添加・攪拌して単量体乳化液とした。
【0131】
なおこれらのうち、不飽和カルボン酸単量体(b)を共重合していない製造例8のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液は、凝集物が多く濾過が困難であり、また指でこするだけで簡単にエマルジョン破壊を起こすほど機械安定性が劣悪であった。一方、MAAをやや多く共重合した製造例12のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液は、室温放置約1週間後に分散液全体がプリン状にゲル化を起こしていた。さらにDAAMをやや多く共重合した製造例7のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液は、凝集物がやや多く濾過に時間がかかった。
【0132】
製造例13〜21
製造例1において、表1に示すように、主単量体(a)の種類及び/又は量を変え、シアン化ビニル単量体(b)の量を変え、必要に応じて、共単量体(e)を用い、乳化剤の種類を変え、さらに乳化剤水溶液の脱イオン水の量を加減する以外は製造例1と同様にして、Tgの異なるアクリル系共重合体の水性分散液を得た。使用した単量体及び乳化剤の組成を表1に、得られたアクリル系共重合体の水性分散液の固形分、pH、粘度及び分散粒子の平均粒子径、並びに該アクリル系共重合体のTgを表2に示した。
【0133】
なお、表1において用いられる単量体及び乳化剤の略号は次のとおりである。
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AN:アクリロニトリル
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
IA:イタコン酸
St:スチレン
TAC:トリアリルシアヌレート
【0134】
NL180:「DKS NL180」(商品名);ポリオキシエチレン(n=22)ラウリルルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製
NL250:「DKS NL250」(商品名);ポリオキシエチレン(n=25)ラウリルルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製
NL450:「DKS NL450」(商品名);ポリオキシエチレン(n=50)ラウリルルエーテル型ノニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製
Y500:「モノゲンY−500」(商品名);ラウリル硫酸エステル塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度100重量%);第一工業製薬(株)製
No.6:「ネオペレックスNo.6」(商品名);ドデシルベンゼンスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度60重量%);花王(株)製
H−08E:「ハイテノール−08E」(商品名);ポリオキシエチレン(n=8)オレイルエーテル硫酸エステル塩型アニオン系界面活性剤(有効成分濃度95重量%);第一工業製薬(株)製
【0135】
【表1】
Figure 2004339424
【0136】
【表2】
Figure 2004339424
【0137】
〔発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の作製〕
実施例1
製造例1のアクリル系共重合体微粒子の水性分散液175重量部〔固形分約104.3重量部;共重合体として約100重量部;カルボニル基含有量約0.00592当量部(なお「当量部」とは、100重量部を100gと読み替えたときの当量数をもって表すものとする)〕に、ヒドラジン誘導体(B)としてアジピン酸ジヒドラジド(ADH)0.257重量部(約0.00299当量部;共重合体のカルボニル基1当量に対して約0.51当量)を添加して溶解させ、次に起泡剤(C)として「モノゲンY−500」の30%水溶液(Y500)11.7重量部、(有効成分量約3.5重量部)、気泡安定剤(D)として「ノプコDC−100−A」〔商品名;ステアリン酸アンモニウム;有効成分濃度33重量%;サンノプコ(株)製〕(DC100)8.7重量部(有効成分量約2.9重量部)を添加して、ディスパー型攪拌機を用い均一に混合した。次いで増粘剤として「ニカゾールVT−253A」〔商品名;ポリカルボン酸系樹脂水性分散液(有効成分濃度約27重量%);日本カーバイド工業(株)製〕4.7重量部(有効成分量約1.3重量部)を加え、25%アンモニア水でpHを約8.5に調整し、固形分55.8重量%、粘度約10000mPa・sの発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を得た。
【0138】
また別に、製造例1のアクリル系共重合体微粒子水性分散液175重量部にADH 0.26重量部を加えただけの組成物を作成し、前記に従って、架橋フィルムの動的粘弾性特性を測定したところ、ゴム状領域の上限が185℃にまで及んでいる優れた弾性を有する架橋フィルムを形成することが確認された。
【0139】
実施例2〜5及び比較例1
実施例1において、ADHの使用量を変えもしくはこれを用いず、又はADHを0.5当量比用いる代わりに炭酸ジヒドラジド(CDH)を0.5当量比用い、必要に応じて、起泡剤(C)、気泡安定剤(D)及び/又は増粘剤の量を加減する以外は実施例1とほぼ同様にして発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を得た。また実施例1と同様にして、架橋フィルムの動的粘弾性特性を測定した。得られた組成物の配合組成を表3に、該組成物の特性値及び架橋フィルムの動的粘弾性特性を表4に示す。
【0140】
実施例6〜22及び比較例2〜4
実施例1において、製造例1のアクリル系共重合体微粒子水性分散液を用いる代わりに、製造例2〜21のアクリル系共重合体微粒子水性分散液を用い、またそれぞれのアクリル系共重合体微粒子中のカルボニル基1当量に対して、ADHの当量比0.5(但しカルボニル基当量0の製造例3では実施例1と同量)となるようにADHの使用量を調整し、必要に応じて、起泡剤(C)、気泡安定剤(D)及び/又は増粘剤の量を加減する以外は実施例1とほぼ同様にして発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を得た。また実施例1と同様にして、架橋フィルムの動的粘弾性特性を測定した。得られた組成物の配合組成を表3に、該組成物の特性値及び架橋フィルムの動的粘弾性特性を表4に示す。
【0141】
実施例23〜25
実施例1において、無機化合物として無機質充填剤である水酸化アルミニウム〔BW−703;商品名;日本軽金属(株)製〕又は重質炭酸カルシウム〔R重炭;商品名;丸尾カルシウム(株)製〕をそれぞれ所定量用い、必要に応じて、起泡剤(C)、気泡安定剤(D)及び/又は増粘剤の量を加減する以外は実施例1とほぼ同様にして、発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を得た。得られた組成物の配合組成を表3に、該組成物の特性値を表4に示す。
【0142】
なお、表3において用いられるヒドラジン誘導体及び無機化合物の略号は次のとおりである。
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
CDH:炭酸ジヒドラジド
BW703:「BW−703」(商品名);水酸化アルミニウム;日本軽金属(株)製
R重炭:「R重炭」(商品名);重質炭酸カルシウム;丸尾カルシウム(株)製
【0143】
【表3】
Figure 2004339424
【0144】
【表4】
Figure 2004339424
【0145】
実施例31
容量約500 mLのポリエチレン製ビーカーに、実施例1で得られた発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物100gを計量して入れ、直径約3cm羽根のディスパー型攪拌機を用い高速攪拌にて気泡を混入しながら約3倍の容量となるまで発泡を行った。得られた発泡組成物の粘度は約21000 mPa・sであった。この発泡組成物を用いて、前記の方法に従い発泡層の密度を測定し、また前記(1−1)及び(1−2)の方法に従い試験シート(1)及び(2)を作成して、これらの試験シート(1)及び(2)を用いて前記の各種試験を行った。得られた発泡層は、その断面のルーペによる目視観察では連続気泡により形成されていることが確認され、その密度は約0.34 g/cmであった。またこの試験シートの吸音性、基材接着力及び風合を表5に示す。
【0146】
実施例32〜33
実施例31において、必要に応じて使用する容器の大きさを変えて、発泡倍率を約1.5倍又は約6倍とする以外は実施例31と同様にして発泡組成物を得た。得られた発泡組成物を用いて前記の各種の試験を行った。発泡組成物の発泡倍率及び粘度、並びに得られた試験シートの発泡層密度及び各種物性を表5に示す。
【0147】
実施例34〜57及び比較例31〜34
実施例31において、実施例1の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を用いる代わりに、実施例2〜25及び比較例1〜4の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の何れかを用いる以外は、実施例31と同様にして発泡組成物を得た。得られた発泡組成物を用いて前記の各種の試験を行った。使用した発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物の種類及び得られた発泡組成物の粘度、並びに得られた試験シートの発泡層密度及び各種物性を表5に示す。
【0148】
なお比較例31の発泡組成物は、その中に凝集物をかなり含んでおり、試験シートの作成における繊維基材への塗布に際して、ノリすじが生じて平滑な発泡層表面が得られなかった。
【0149】
【表5】
Figure 2004339424
【0150】
【発明の効果】
本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、カルボニル基及びカルボキシル基を含有し、特定のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系共重合体の微粒子(A)、分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体(B)、起泡剤(C)及び気泡安定剤(D)を含有してなるものである。
【0151】
上記のように構成することにより本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物は、天然繊維、再生繊維、合成繊維等からなる織布、編布、不織布、フェルト、紙など繊維基材に発泡層を形成するとき、熱により繊維基材を変形させるなどの不都合を生じさせることなく、乾燥温度程度の比較的低温で架橋を進行させることができ、且つホルムアルデヒドなど健康上有害な物質を発生させることがなく、その結果得られる発泡層を含む製品もホルムアルデヒドなどの有害物質を実質的に含まない堅牢なものとなる。特に本発明の組成物を自動車のフロアカーペットの上に部分的に載置する、所謂「オプションマット」中に発泡層を形成するために使用するときには、その発泡層は防音効果が高く、且つ繊維基材にパイル等が植設されているときにはその抜け止めの機能を兼ね、さらに発泡層の背面に保護層などを有するときには、その保護層の接着剤としての機能をも兼ねることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、共重合体から形成されるフィルムの動的粘弾性特性を表す概念図である。
【図2】図2は、本発明のアクリル系共重合体の微粒子(A)とヒドラジン誘導体(B)の配合物より形成される架橋フィルム(x)と、従来のアクリル系共重合体の非架橋又は低架橋フィルム(y)の動的粘弾性特性を比較する概念図である。
【図3】図3は、本発明の発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物を用いて作製されるオプションマットの概念図である。
【符号の説明】
u:ガラス状領域及び転移域を表す曲線の交点。
v:転移域及びゴム状領域を表す曲線の交点。
w:ゴム状領域及び流動域を表す曲線の交点。
Tu:ガラス状領域及び転移域を表す曲線の交点の温度、ガラス転移点(Tg)と等しいものとして定義する。
Tv:転移域及びゴム状領域を表す曲線の交点の温度。
Tw:ゴム状領域及び流動域を表す曲線の交点の温度、軟化点(Tm)と等しいものとして定義する。
x:本発明のアクリル系共重合体の微粒子(A)とヒドラジン誘導体(B)の配合物より形成される架橋フィルム。
y:従来のアクリル系共重合体の非架橋又は低架橋フィルム。
1:発泡層
2:繊維基材(マット)
3:パイル
4:裏打ち不織布
5:滑り止め層
10:オプションマット

Claims (26)

  1. 下記(A)〜(D)、
    (A) 分子内にカルボニル基及びカルボキシル基を含有するガラス転移点(Tg)−10℃以下のアクリル系共重合体の微粒子、
    (B) 分子内に複数のヒドラジド残基を有するヒドラジン誘導体、
    (C) 起泡剤、及び
    (D) 気泡安定剤、
    を含有してなる発泡層形成用アクリル系共重合体水性組成物。
  2. アクリル系共重合体が、アクリル酸エステル又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを50重量%以上含む単量体に由来する共重合体である請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  3. アクリル系共重合体の微粒子(A)が、下記単量体(a)〜(e)、
    (a) 下記一般式(1)で表される単量体 50〜95.4重量%、
    C=CR−COOR・・・・・(1)
    (但し、式中Rは水素又はメチル基、Rは炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝アルキル基を表す)
    (b) シアン化ビニル単量体 4〜23重量%、
    (c) カルボニル基含有単量体 0.1〜5重量%、
    (d) 炭素数3〜5のα,β−不飽和モノ−又はジ−カルボン酸 0.5〜10重量%、
    (e) 上記単量体(a)〜(d)と共重合可能な、該単量体(a)〜(d)以外の共単量体 0〜20重量%、
    〔但し、上記(a)〜(e)の合計を100重量%とする〕
    を乳化共重合してなるアクリル系共重合体により形成される請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  4. 単量体(a)が、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートよりなる群から選ばれる1種以上の単量体である請求項3に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  5. 単量体(c)がジアセトン(メタ)アクリルアミドである請求項3に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  6. アクリル系共重合体の微粒子(A)の平均粒子径が200〜500nmの範囲である請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  7. 乳化共重合が、アルキルフェニル系界面活性剤を実質的に含まず、炭素数10〜20の脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル型ノニオン系界面活性剤を主成分として含む界面活性剤の存在下に行われる請求項3に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  8. 界面活性剤としてさらにアルキルフェニル系以外のアニオン系界面活性剤を含有する請求項7に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  9. 界面活性剤の合計使用量が、アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して、有効成分として1〜10重量部の範囲である請求項7に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  10. ヒドラジン誘導体(B)が水100重量部に対して 重量部以上溶解する請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  11. ヒドラジン誘導体(B)が炭素数2〜10を含有する有機化合物である請求項1又は10に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  12. ヒドラジン誘導体(B)がジカルボン酸ジヒドラジドである請求項1、10又は11に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  13. ヒドラジン誘導体(B)が、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド及びコハク酸ヒドラジドから選ばれる請求項1及び10〜12の何れか1項に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  14. ヒドラジン誘導体(B)を、アクリル系共重合体のカルボニル基1当量に対して0.25〜2当量含有する請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  15. アクリル系共重合体の微粒子(A)のヒドラジン誘導体(B)との架橋により得られる、厚さ3〜5mmの架橋フィルムの動的粘弾性曲線におけるゴム状領域の上限が、160℃以上の温度域まで及ぶ請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  16. 起泡剤(C)が炭素数8〜20のアルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル塩である請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  17. 起泡剤(C)がラウリル硫酸ナトリウムである請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  18. 気泡安定剤(D)が炭素数12〜20の脂肪酸のアンモニウム塩である請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  19. 脂肪酸が主としてステアリン酸からなるものである請求項18に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  20. アクリル系共重合体の微粒子(A)100重量部に対して、起泡剤(C)を0.5〜5重量部及び気泡安定剤(D)を1〜10重量部使用する請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  21. 繊維基材に発泡層を形成するために用いられる請求項1に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  22. 発泡層が連続気泡により構成される請求項1又は21に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  23. 発泡層中に占める無機化合物の量が、該発泡層の重量に基づいて50重量%以下である請求項21又は22に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  24. 発泡層の密度が0.2〜0.7 g/cmの範囲である請求項21〜23の何れか1項に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  25. 発泡層が、垂直入射吸音率法による周波数4000Hzで0.6以上の吸音率を有する請求項1及び21〜24の何れか1項に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
  26. 発泡層が自動車室内のオプションマット中に設けられる請求項1及び21〜25の何れか1項に記載のアクリル系共重合体水性組成物。
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