JP2004339106A - 油中水型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、シリコーン油、アスコルビン酸類及び水を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。アスコルビン酸類は油中水型乳化組成物全量中5〜15質量%という多量配合において特に効果的に効果を発揮する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アスコルビン酸類、特にリン酸アスコルビルマグネシウムが安定に含有された乳化状態が安定な油中水型乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アスコルビン酸類は還元作用を持ち、化粧料等の皮膚外用剤に薬効成分として配合されたり、配合が試みられたりしている。アスコルビン酸類は水溶液中特に高濃度で不安定であり、経時で変質等を起こし易い。また、油中水型乳化組成物の水相中に配合されることにより乳化物の乳化安定性を崩す等その扱いは非常に難しく、それを含有した製剤化に苦慮しており、優れた薬効の割には汎用性のない薬剤の一つである。ましてや、薬効を期待して多量配合することなど考えられないことであった。したがって、アスコルビン酸類が安定に含有され、しかも組成物の乳化安定性もよい油中水型乳化組成物の開発が望まれている。
【0003】
現在までに、本発明に関連する技術としては、例えば、アスコルビン酸類の安定化技術として、アミノ酸及び又はその塩、アルカノールアミン、並びに有機キレート剤から任意に選ばれた1種類以上の添加剤を用いることを特徴とするリン酸L−アスコルビルマグネシウムの溶液中での結晶化防止方法(特許文献1参照)、亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素、亜硫酸水素塩、チオ硫酸、チオ硫酸塩、ピロ亜硫酸、ピロ亜硫酸塩から選択される1種類、又は2種類以上を用いることを特徴とするL−アスコルビン酸−2−リン酸塩の溶液及び乳化組成物中での着色及び臭い発生の防止方法(特許文献2参照)等が開示されている。しかしながら、これらの技術ではアスコルビン酸類の安定化は不充分であり、また油中水型乳化組成物中に含有されたときの乳化安定化効果については不明である。
【0004】
また、アスコルビン酸類に焦点を当てた技術ではないが、水反応性有効成分についてこの有効成分が経時的にその特性を維持することが可能である安定な媒体として、外部水相と、内部水相を有する油中水型一次エマルションを構成する油相とを含有する水/油/水型三相エマルションであって、前記外部水相及び内部水相の一方が、0.85以下の水分活性値を有するエマルションの技術が開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この技術は本発明の乳化系とは異なり、しかも系が複雑である。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−226494号公報
【特許文献2】
特開2003−12439号公報
【特許文献3】
特開平9−175932号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、水系において、特に高濃度で不安定で、経時で変質等を起こし、さらに、油中水型乳化組成物に配合されると乳化状態を不安定にさせるアスコルビン酸類を、前記不具合が生じないように含有させた油中水型乳化組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アスコルビン酸類をシリコーン系化合物を含有した特定組成からなる油中水型乳化組成物に配合することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、シリコーン油、アスコルビン酸類及び水を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物である。
【0009】
本発明によれば、水系において、特に高濃度で不安定で、経時で変質等を起こすアスコルビン酸類を、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、シリコーン油及び水を含有した油中水型乳化組成物に配合することにより安定に存在させることができ、しかも油中水型乳化組成物に配合させても乳化状態を崩すことがなく経時でも安定である。アスコルビン酸類は本発明油中水型乳化組成物の内水相に安定に存在するものと思われる。
【0010】
本発明においては、さらに、架橋型メチルポリシロキサン類を含有することができる。それによりアスコルビン酸類の安定性、アスコルビン酸類を含有した油中水型乳化組成物の乳化安定性はさらに優れたものになる。前記架橋型メチルポリシロキサン類は架橋型メチルポリシロキサンであることが好ましい。
【0011】
本発明においては、前記アスコルビン酸類の含有量を油中水型乳化組成物全量中5〜15質量%とすることができる。このようにアスコルビン酸類を多量に配合した系においても効果を発揮する点に本発明の大きな特徴があり、本発明の好ましい態様である。
【0012】
本発明において、前記アスコルビン酸類としてはリン酸アスコルビルマグネシウムであることが好適であり、リン酸アスコルビルマグネシウムに対して特に優れた効果を発揮する。また前記油中水型乳化組成物は皮膚外用剤への応用が好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0014】
本発明油中水型乳化組成物(以下、単に乳化組成物という。)に含有されるアスコルビン酸類は公知の物質であり、強い還元作用をもち、この作用に関連した諸々の薬効を有しており、化粧品用原料として古くから知られている。
【0015】
本発明において用いられるアスコルビン酸類としては、例えば、アスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩等が挙げられ、これらのうちで水溶性のものが用いられる。
【0016】
本発明におけるアスコルビン酸誘導体としては、例えば、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸−2−硫酸エステル、アスコルビン酸−2−グルコシド等を挙げることができる。
【0017】
また、前記アスコルビン酸及びその誘導体の塩に用いられる塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。これら以外の塩であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであっても適宜使用することができる。
【0018】
アスコルビン酸類は1種または2種以上が任意に選択されて用いられる。
【0019】
本発明に用いられるアスコルビン酸類の具体例としては、前記以外に、アスコルビン酸塩としてアスコルビン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸マグネシウム塩等、アスコルビン酸リン酸エステル塩としてアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩等、アスコルビン酸−2−硫酸エステル塩としてアスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム塩等を挙げることができる。
【0020】
本発明において好ましいアスコルビン酸類としては、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩等のアスコルビン酸リン酸エステル塩、特に、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(リン酸アスコルビルマグネシウム)(以下、APMという。)が挙げられる。本発明においては、APMに対して特に優れた効果が発揮される。APMは、APM単独、あるいはAPMと他のアスコルビン酸類とを混合して用いられる。
【0021】
本発明においては、アスコルビン酸類を薬効を発揮するために必要な一般的な量に比べて多量に配合してもアスコルビン酸類は経時で変質等を起こすことなく安定であり、乳化組成物の乳化安定性を崩すことがなく安定化が図れる。例えば、他のものでも同様であるが、特にAPMを従来皮膚外用剤の薬効成分として配合の実績がほとんどない5〜15質量%、特に7〜15質量%という多量の範囲で乳化組成物中に含有させることができる。したがって、アスコルビン酸類の含有量としては、特に限定されるものではないが、乳化組成物全量中15質量%が好ましい上限である。なお、下限は薬効を発揮させることを考えれば0.1質量%で充分であるが、本発明の効果を効果的に発揮させることを考えれば5質量%以上が好ましい。したがって、アスコルビン酸類の好ましい含有量範囲は乳化組成物全量中0.1〜15質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。この5〜15質量%の範囲であれば特に経時で変質等を起こすことなく安定に充分な薬効を発揮できる乳化安定性に優れた乳化組成物が得られる。さらに好ましい含有量は、乳化組成物全量中7〜15質量%であり、さらに7〜12質量%が好ましい。特に、乳化組成物全量中7〜10質量%が好ましい。
【0022】
本発明において、アスコルビン酸類が含有される乳化組成物は、部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物(以下、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンという。)、シリコーン油及び水を含有する。この系におけるアスコルビン酸類は経時で変質等を起こすことなく、また乳化組成物の安定性は保持される。
【0023】
本発明における架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、オルガノポリシロキサンの一部をポリエーテル含有基で架橋したものであり、例えば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの一部をポリエチレングリコールジアリルエーテルで架橋反応した架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンが挙げられ、これが好ましく用いられる。本発明において、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、メチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
【0024】
本発明における架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、例えば、特開平4−272932号公報、特開平5−140320号公報等に記載されている公知になっているものであり、これらを用いることができる。本発明における架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、例えば、以下のようにして合成される。
【0025】
(架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの合成例)
反応器中に平均組成式が下記式(1)
【0026】
【化1】
【0027】
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン100g、エタノ−ル103.0g、平均組成式が下記式(2)
【0028】
【化2】
【0029】
で示されるポリオキシアルキレン23.6g、25℃における粘度が6cSであるジメチルポリシロキサン82.4gおよび塩化白金酸3質量%のエタノ−ル溶液0.3gを仕込み、内温を70〜80℃に維持して2時間撹拌したのち、減圧下で溶媒を除去して架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンを製造する。
【0030】
架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、本発明乳化組成物に配合するに当たっては、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンとシリコーン油とを剪断力下で混練処理してなる水分散性を有するペ−スト状シリコ−ン組成物として配合することが好適である。前記ペ−スト状シリコ−ン組成物は、例えば、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン100質量部に25℃における粘度が6cSであるジメチルポリシロキサンン100質量部を分散混合したのち、三本ロ−ルにより剪断力下で十分混練し、膨潤させて作製することができる。
【0031】
本発明の架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、KSG21(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。KSG21は、メチルポリシロキサン(粧原基No.104210)(68〜78質量%)とメチルハイドロジェンポリシロキサン由来の架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン(22〜32質量%)との混合物である。本発明の架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンは、1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。
【0032】
架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの含有量は、乳化組成物全量中0.1〜10質量%が好ましい。含有量が0.1質量%未満では本発明の効果を充分発揮することができず、また、10質量%を越えてもそれ以上の効果の増強が認められない。さらに好ましい含有量は乳化組成物全量中0.5〜6質量%である。特に、乳化組成物全量中0.5〜3.5質量%が好ましい。
【0033】
本発明における乳化組成物の油相中にはシリコーン油が油分として含有される。
【0034】
シリコーン油は、化粧料に配合できるシリコーン油であれば特に制限されないが、常温で液状のシリコーン油が好ましい。シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン,ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等環状シリコーン、アミノ変性ポリシロキサン,アルキル変性ポリシロキサン,フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等を挙げることができる。シリコーン油は1種または2種以上が任意に選択されて用いられる。本発明におけるシリコーン油は低粘度(1〜30cSt、さらに好ましくは1〜10cSt)のシリコーン油が好ましく、少なくとも前記低粘度のシリコーン油が含まれることが好ましい。
【0035】
シリコーン油の含有量は、乳化組成物全量中5〜30質量%が好ましい。含有量がこの範囲から外れると乳化安定性が充分でなくなってくる傾向がある。特に好ましい含有量は乳化組成物全量中10〜25質量%である。
【0036】
本発明の乳化組成物の油相中における油分は、前記シリコーン油のみから構成されることが好ましい。シリコーン油以外の他の油分が含有された場合でも実質的にシリコーン油からなることが好ましく、また前記他の油分の含有量を増やすとしても本発明の効果を損なわない範囲で含有されることが望ましい。他の油分が含有される場合の他の油分としては化粧料(医薬部外品を含む。)用油分、医薬品用油分等の中から選択されて用いられる。
【0037】
本発明においては、乳化組成物の水相を形成する水が含有される。
【0038】
本発明の乳化組成物には、さらに架橋型メチルポリシロキサン類を含有することができ、これらを含有することによりアスコルビン酸類の安定性はさらによくなり、アスコルビン酸類を含有した乳化組成物の乳化安定性はさらに優れたものとなる。架橋型メチルポリシロキサン類は、メチルポリシロキサン又はメチルフェニルポリシロキサンの鎖が架橋された架橋メチルポリシロキサン又は架橋メチルフェニルポリシロキサンであり、例えばジビニルジメチルポリシロキサンで架橋したジメチルポリシロキサンである架橋型メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンとビニルメチルフェニルポリシロキサンから得られた架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。架橋型メチルポリシロキサン類は1種または2種以上が任意に選択されて用いられる。
【0039】
本発明における架橋型メチルポリシロキサン類としては、前記架橋型メチルポリシロキサン及び/又は架橋型メチルフェニルポリシロキサンが好ましく用いられる。さらに好ましくは架橋型メチルポリシロキサンである。前記架橋型メチルポリシロキサンはINCI:DIMETHICONE/VINYL DIMETHICONE CROSSPOLYMERとして日本化粧品成分表示名称事典(発行株式会社薬事日報社、2001年4月27日第1版第1刷発行)にリストアップされている。
【0040】
本発明の架橋型メチルポリシロキサン類は、市販品を用いることが可能であり、市販品の例としては、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン(粧配規No.520778)(95質量%)と架橋型メチルポリシロキサン(粧配規No.523061)(5質量%)との混合物であるKSG15、メチルポリシロキサン(粧配規No.104210)(70〜80質量%)と架橋型メチルポリシロキサン(粧配規No.523061)(20〜30質量%)との混合物であるKSG16、メチルフェニルポリシロキサン(粧配規No.104207)(80〜90質量%)と架橋型メチルフェニルポリシロキサン(2)(粧配規No.532042)(10〜20質量%)との混合物であるKSG18(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0041】
架橋型メチルポリシロキサン類の含有量は、乳化組成物全量中0.01〜5質量%が好ましい。含有量が0.01質量%未満では架橋型メチルポリシロキサン類の添加効果を充分発揮することができず、また、5質量%を越えてもそれ以上の効果の増強が認められない。さらに好ましい含有量は乳化組成物全量中0.1〜3質量%である。特に、乳化組成物全量中0.2〜1.5質量%である
【0042】
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を適宜配合しても構わない。
【0043】
前記他の成分としては、成分中に含まれる物質が複数の成分に該当する場合がある記載であるが、例えば、多価アルコール、保湿剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、増粘剤、油ゲル化剤、粉末、顔料、染料、レーキ、低級アルコール、糖類、紫外線吸収剤、アミノ酸類、アスコルビン酸類以外のビタミン類、皮膚賦活剤,血行促進剤,抗脂漏剤,抗炎症剤等の薬剤、植物抽出物、有機酸、有機アミン、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、収斂剤、清涼剤、香料等を挙げることができる。なお、界面活性剤は特に配合を必要としない。この界面活性剤無配合は本発明の特徴の一つである。
【0044】
前記他の成分のうち、多価アルコールの配合は本発明の乳化組成物に保湿作用を付与する。多価アルコールの具体的な例としては、例えば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン等が挙げられる。多価アルコールは1種または2種以上が任意に選択されて配合することができる。
【0045】
多価アルコールの配合量は一般的に保湿作用を目的として配合する量で充分であり、本発明の乳化組成物全量中1〜12質量%で配合されることが好ましい。1質量%未満では保湿効果が充分でなく、12質量%を越えて配合するとべたつきを生じるようになってくる。さらに好ましくは、乳化組成物全量中2〜10質量%である。
【0046】
本発明においては、乳化組成物中の内相を水中油型乳化組成物としても構わない。これにより、前記他の配合成分のうち油性成分については乳化組成物の外相の油相中に配合することも、また、前記水中油型乳化組成物の内油相中に配合することもできる。また、乳化組成物の内相にリポソームを配合することもできる。これによりリポソームの機能を活用した薬剤の安定配合が可能となる。
【0047】
本発明乳化組成物は皮膚外用剤等に有効に使用することができ、皮膚外用剤としてアスコルビン酸類の有する薬効を充分に活用することができる。
【0048】
(調製法)
本発明に係る乳化組成物及び皮膚外用剤は前記成分を配合して常法にしたがって調製することができる。
【0049】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は質量%である。実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
【0050】
[アスコルビン酸類の安定性]
試料を室内(室温)、日光暴露下、4℃及び37℃の恒温槽にそれぞれ1ヶ月保存し、保存後の試料の色、においの変化でアスコルビン酸類の安定性を評価した。また、試料を37℃及び45℃の恒温槽にそれぞれ1ヶ月保存し、保存後の試料についてHPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いてアスコルビン酸類量を定量し、試料調製時の配合量に対する残存率を求めた。なお、HPLCによる測定は以下に示す測定条件で既存方法にて行った。なお、この条件で測定すれば、例えばAPMの場合、保持時間22.6分付近にピークが認められる。
【0051】
[HPLC測定条件]
カラム;CDS,80TM,1151,No.2(オクタデシル修飾したシリカゲル(5μm)を充填したもの4.6φ×150mm)、測定温度;室温、移動相;0.4%トリ−n−オクチルアミン,0.4%酢酸,0.1%EDTA−Na,50%アセトニトリルの混合溶液(pH≒4.8)、流速;1.0ml/min、検出波長;257nm、感度;0.08uS、注入量;20μl、試料調製;試料(標準アスコルビン酸類とほぼ同量になる量)または標準アスコルビン酸類(0.01g)にIPA5mlを加えて混合後、精製水で25mlにメスアップし、フィルター(ポアサイズ:0.45μm)処理を施す。
【0052】
それぞれについては下記の評価基準によって評価した。
【0053】
(評価基準)
(色)
◎:変化なし。
○:極わずかに褐変したが許容範囲内である。
×:褐変した。
【0054】
(におい)
◎:におい変化がない。
○:極わずかににおい変化が認められるが許容範囲内である。
×:明らかなにおい変化がある。
【0055】
(アスコルビン酸類の残存量)
◎:アスコルビン酸類の残存率が95%以上である。
○:アスコルビン酸類の残存率が90%以上、95%未満である。
△:アスコルビン酸類の残存率が80%以上、90%未満である。
×:アスコルビン酸類の残存率が80%未満である。
【0056】
[乳化安定性(1)]
前記アスコルビン酸類安定性試験で用いた試料1ヶ月保存品の25℃での粘度をBH型粘度計(ローターNo.5、回転数10ppm)にて測定し、その粘度値と、試料調製直後の前記同条件で測定した粘度値V0との差Vから求めた粘度の変化率(ΔV)で乳化安定性を判定した。乳化安定性のよいものは粘度変化率が小さい。
【0057】
ΔV(%)=(V/V0)×100
【0058】
(評価基準)
◎:ΔV≦5%
○:5%<ΔV≦10%
×:10%<ΔV
【0059】
[乳化安定性(2)]
前記アスコルビン酸類安定性試験で用いた試料1ヶ月保存品の外観変化を下記の評価基準によって評価した。
【0060】
(評価基準)
○:離水、分離等乳化の破壊が見られない。
×:離水、分離等乳化の破壊が見られる。
【0061】
[実施例1〜7]
表1に示す成分、配合量の処方(配合合計100質量%)の乳化組成物を以下の方法で調製した。
【0062】
(調製法)
APM(アスコルビン酸類)を水に溶解し、水相部を得た。次いで、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンとメチルポリシロキサンを混合溶解し、これに前記水相部を加えて乳化した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1中、
(注1)KSG21(信越化学株式会社製)を配合(表中の配合量はKSG21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量はKSG21中22〜32質量%である。)
(注2)KF96A−6cs(信越化学株式会社製)
【0065】
上記実施例1〜7の乳化組成物につき効果試験を行い、評価結果を表2に示した。
【0066】
【表2】
【0067】
表2から分かるように、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン、メチルポリシロキサン及びAPMを配合した実施例1〜7の乳化組成物は、いずれもAPM安定性に優れ、乳化安定性に優れるものであった。
【0068】
[実施例8〜11]
表3に示す成分、配合量の処方(配合合計100質量%)の乳化組成物を以下の方法で調製した。
【0069】
(調製法)
APM(アスコルビン酸類)を水に溶解し、水相部を得た。次いで、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン、メチルポリシロキサン及び架橋型メチルポリシロキサン類を混合溶解し、これに前記水相部を加えて乳化した。
【0070】
【表3】
【0071】
表3中、
(注1)KSG21(信越化学株式会社製)を配合(表中の配合量はKSG21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量はKSG21中22〜32質量%である。)
(注2)KF96A−6cs(信越化学株式会社製)
(注3)KSG15(信越化学株式会社製)を配合(表中の配合量はKSG15の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG15中5質量%である。)
(注4)KSG16(信越化学株式会社製)を配合(表中の配合量はKSG16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG16中20〜30質量%である。)
【0072】
上記実施例8〜11の乳化組成物につき効果試験を行い、評価結果を表4に示した。
【0073】
【表4】
【0074】
表4から分かるように、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン、メチルポリシロキサン及びAPMを配合した乳化組成物に、さらに架橋型メチルポリシロキサン類を配合した実施例8〜11の乳化組成物の乳化安定性及びAPM安定性は、いずれも架橋型メチルポリシロキサン類を配合しないものに比べさらに優れたものであった。
【0075】
以下、さらに本発明乳化組成物の実施例として皮膚外用剤への応用例を示す。なお、製造は実施例1〜11の方法に準じて行った。また、上記の効果試験をこれらに対して行ったところ、いずれも優れた結果が得られた。
【0076】
【0077】
(注1)KSG15(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG15の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG15中5質量%である。)
(注2)KSG16(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG16中20〜30質量%である。)
(注3)KSG21(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量はKSG21中22〜32質量%である。)
(注4)KF96A−6cs(信越化学株式会社製)
【0078】
【0079】
(注1)KSG15(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG15の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG15中5質量%である。)
(注2)KSG16(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG16中20〜30質量%である。)
(注3)KSG21(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量はKSG21中22〜32質量%である。)
(注4)KF96A−6cs(信越化学株式会社製)
【0080】
【0081】
(注1)KSG15(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG15の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG15中5質量%である。)
(注2)KSG16(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサン類の配合量はKSG16中20〜30質量%である。)
(注3)KSG21(信越化学株式会社製)を配合(処方中の配合量はKSG21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサンの配合量はKSG21中22〜32質量%である。)
(注4)KF96A−6cs(信越化学株式会社製)
【0082】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、架橋型ポリエーテル変性ポリシロキサン及びシリコーン油を含有した乳化組成物にアスコルビン酸類を含有させることにより、アスコルビン酸類の経時で変質等がない安定な乳化組成物が得られる。本発明においては、アスコルビン酸類としてAPMを用いた場合、特に優れた効果が得られる。さらに、前記乳化組成物中に架橋型メチルポリシロキサン類が含有されることにより、アスコルビン酸類、特にAPMの安定性、乳化組成物の乳化安定性はさらに優れたものとなる。本発明の乳化組成物は皮膚外用剤として活用され、特にAPM等のアスコルビン酸類を多量に配合して皮膚に対する薬効を効果的に発揮させることができる。
Claims (6)
- 部分架橋型ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン重合物、シリコーン油、アスコルビン酸類及び水を含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。
- さらに、架橋型メチルポリシロキサン類を含有することを特徴とする請求項1記載の油中水型乳化組成物。
- 架橋型メチルポリシロキサン類が架橋型メチルポリシロキサンであることを特徴とする請求項2記載の油中水型乳化組成物。
- アスコルビン酸類の含有量が油中水型乳化組成物全量中5〜15質量%である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
- アスコルビン酸類がリン酸アスコルビルマグネシウムである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
- 皮膚外用剤である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の油中水型乳化組成物。
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