JP2004339089A - 粉体化粧料 - Google Patents

Abstract

【課題】肌への密着性、伸び広がり及び化粧持続性が良好で、しかもプレス成型品に関しては耐衝撃性に優れた粉体化粧料に関する。
【解決手段】次の成分（ａ）及び（ｂ）を含有し、成分（ｂ）の水酸基価（ＯＨＶ）が１０〜１５０であることを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。
（ａ）粉体
（ｂ）ジトリメチロールプロパンと脂肪酸とのエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる１種又は２種以上
【選択図】なし

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジトリメチロールプロパン誘導体を含有する粉体化粧料に関し、更に詳しくは、肌への密着性及び伸び広がりや化粧持続性が良好で、プレス成型品とした場合には耐衝撃性に優れた粉体化粧料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ファンデーション、アイカラー、フェイスカラー等の粉体化粧料において、肌への付着性を向上させ、化粧持続性を高める技術としては、ポリブテンやポリイソブチレン等の高粘性油剤を配合する方法等が用いられてきた。そして、保湿性の付与や塗布具へのトレを良くする等の更なる効果を追加したり、肌への密着性や化粧持続性を更に向上させる技術が検討されてきた。例えば、室温で液体状のジグリセライド及び室温で該ジグセライドと自由混合可能なポリオール系の保湿剤とを組み合わせる技術（例えば特許文献１参照）や水溶性高分子粉末及び疎水化処理粉体とを組み合わせる技術（例えば特許文献２参照）が挙げられる。更に、化粧持続性に加えてプレス成型品の耐衝撃性を改善したものとして、特定の２種のエステル化合物を組み合わせる技術（例えば特許文献３）が挙げられる。又、塗布具への取れを良好にすることにより、化粧持続性を改善した技術として、２種のＨＬＢの異なる活性剤とを組み合わせて化粧持続性を向上させる技術（例えば特許文献４参照）が挙げられる。
【０００３】
【特許文献１】
特許公報第２５６５３９０号公報
【特許文献２】
特開平９−２２７３３９号公報
【特許文献３】
特許公報第２８３４３１６号公報
【特許文献４】
特開平１０−１４７５０８号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記記載の従来技術では、耐衝撃性に欠けるものやべたつき感により伸び広がりが悪化するもの、肌への密着性が充分ではないもの等、肌への密着性、伸び広がり、化粧持続性及び耐衝撃性の全てを満足するものは得られていなかった。そこで、これらの欠点を解決した粉体化粧料の開発が望まれていた。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
かかる事情において、本発明者らは、鋭意研究した結果、粉体化粧料に、粉体及び特定のジトリメチロールプロパン誘導体を含有させることで上記課題を解決する粉体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【０００６】
すなわち本発明は、次の成分（ａ）及び（ｂ）を含有し、成分（ｂ）の水酸基価（ＯＨＶ）が１０〜１５０であることを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。
（ａ）粉体
（ｂ）ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式（Ｉ）で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式（Ｉ）で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる１種又は２種以上
【化２】

（式中、Ｒ_１〜Ｒ_４はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。）。
なお、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物とは、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と、脂肪酸とのエステル化反応で得られた重縮合物のことを示す。
【０００７】
本発明は、成分（ａ）及び（ｂ）を含有するものであって、成分（ａ）を粉体化粧料全量中に７０〜９５質量％、成分（ｂ）を粉体化粧料全量中に０．１〜３０質量％含有する粉体化粧料を提供することである。
【０００８】
また、成分（ａ）の粉体が、粉体総量中に球状粉体を０．１〜１５質量％含有する粉体化粧料を提供することである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の粉体化粧料に用いられる成分（ａ）の粉体は、通常化粧料に使用される無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、シリコーン樹脂パウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、Ｎ−アシルリジン、赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２０５号、赤色２２６号、赤色２２８号、橙色２０３号、橙色２０４号、青色４０４号、黄色４０１号等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。
【００１０】
本発明に用いられる成分（ａ）の粉体は、表面処理を施して用いても良い。表面処理に用いられる処理剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等が挙げられ、これらの１種又は２種以上を使用して通常公知の方法により、表面処理を行い本発明における粉体化粧料に用いるのが好ましい。
【００１１】
本発明の粉体化粧料においては、成分（ａ）の粉体中に球状粉体を含有すると、滑らかな伸び広がり等の使用感がより向上するものが得られる。球状粉体とは、球状又は略球状の有機又は無機の粉体であり、その粒径は、使用感の観点より、１〜１００μｍが好ましく、１〜５０μｍがより好ましい。
【００１２】
球状粉体の具体例としては、無機球状粉体として、例えば、無水ケイ酸、酸化チタン、酸化珪素、球状シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられ、有機球状粉体として、例えば、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンパウダー、シルク、セルロース等が挙げられ、また、これら粉体の二種以上を複合化して球状にしたものでも良く、これらを１種又は２種以上を使用することができる。市販品として、チタンマイクロビードシリーズ、シリカマイクロビードシリーズ（何れも、触媒化成工業社製）、ゴッドボールシリーズ（鈴木油脂工業社製）、マツモトマイクロスフェアーシリーズ（松本油脂製薬社製）、ファインパールシリーズ（住友化学工業社製）、ナイロンシリーズ（東レ社製）、トレフィルシリーズ（何れも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製）、トスパールシリーズ（東芝シリコーン社製）等が例示できる。
【００１３】
本発明の粉体化粧料における成分（ａ）の含有量は、粉体化粧料全量中７０〜９５質量％であり、８０〜９０質量％が特に好ましい。成分（ａ）の含有量が９５質量％を超えると、成分（ｂ）と併用しても、肌への密着性を良好にすることができなく、７０質量％未満では、肌への伸び広がりや化粧持続性の点で劣るため好ましくない。
また、成分（ａ）の粉体総量中における球状粉体の含有量は、特に限定されないが、粉体総量中０．１〜１５質量％が好ましく、１〜１０質量％が特に好ましい。この範囲で用いると、肌への伸び広がりが格段に向上する。
【００１４】
本発明に用いられる成分（ｂ）は、ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式（Ｉ）で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式（Ｉ）で示される該エステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる１種又は２種以上である。
【化３】

（式中、Ｒ_１〜Ｒ_４はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す）
成分（ｂ）を形成するための脂肪酸としては、炭素数５〜２８の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が好ましく、特に分岐鎖の脂肪酸が好ましい。このような分岐鎖の脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、イソヘプタン酸、４−エチルペンタン酸、イソオクチル酸、２−エチルヘキサン酸、４，５−ジメチルヘキサン酸、４−プロピルペンタン酸、イソノナン酸、２−エチルヘプタン酸、３，５，５−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、２−メチルデカン酸、３−メチルデカン酸、４−メチルデカン酸、５−メチルデカン酸、６−メチルデカン酸、７−メチルデカン酸、９−メチルデカン酸、６−エチルノナン酸、５−プロピルオクタン酸、イソラウリン酸、３−メチルヘンデカン酸、６−プロピルノナン酸、イソトリデカン酸、２−メチルドデカン酸、３−メチルドデカン酸、４−メチルドデカン酸、５−メチルドデカン酸、１１−メチルドデカン酸、７−プロピルデカン酸、イソミリスチン酸、２−メチルトリデカン酸、１２−メチルトリデカン酸、イソパルミチン酸、２−ヘキシルデカン酸、１４−メチルペンタデカン酸、２−エチルテトラデカン酸、イソステアリン酸、メチル分岐型イソステアリン酸、２−へプチルウンデカン酸、２−イソへプチルイソウンデカン酸、２−エチルヘキサデカン酸、１４−エチルヘキサデカン酸、１４−メチルヘプタデカン酸、１５−メチルヘプタデカン酸、１６−メチルヘプタデカン酸、２−ブチルテトラデカン酸、イソアラキン酸、３−メチルノナデカン酸、２−エチルオクタデカン酸、イソヘキサコ酸、２４−メチルヘプタコサン酸、２−エチルテトラコサン酸、２−ブチルドコサン酸、２−ヘキシルイコサン酸、２−オクチルオクタデカン酸、２−デシルヘキサデカン酸などが挙げられ、これらを１種または混合して使用することができる。これらのうち炭素数８〜１８の脂肪酸、特にイソオクチル酸（さらに好ましくは、２−エチルヘキサン酸、４，５−ジメチルヘキサン酸）、イソノナン酸（さらに好ましくは、２−エチルヘプタン酸、３，５，５−トリメチルヘキサン酸）、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソステアリン酸（さらに好ましくは、メチル分岐型イソステアリン酸、２−ヘプチルウンデカン酸、２−イソヘプチルイソウンデカン酸）などの炭素数８〜１８の分岐飽和脂肪酸が好ましい。
直鎖脂肪酸とは、炭素数６から炭素数２８の直鎖飽和脂肪酸で、例えば、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、ノニル酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの飽和脂肪酸、また、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ブラシン酸などの直鎖不飽和脂肪酸が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。
【００１５】
本発明の成分（ｂ）のエステル化合物は、モノ、ジ、トリ、又はテトラのエステル化合物の１種又は２種以上からなるものである。
また、成分（ｂ）の重縮合物を調製するのに本発明で用いる多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸やセバシン酸などの炭素数２から炭素数１０の２塩基性カルボン酸が好ましい。これらは１種または２種以上を使用することができる。
本発明の成分（ｂ）は、水酸基価（以下、単に「ＯＨＶ」と略す。）が１０〜１５０のものが好ましく、３０〜１５０のものがより好ましく、４０〜１００のものが最も好ましい。ＯＨＶがこのような範囲にあると、他の油性成分に対する相溶性をより良好にするとともに、肌への密着性及び伸び広がりをより良好にすることができる。ここで、ＯＨＶとは、粧原基一般試験法水酸基価測定法により得られた値とする。本発明の成分（ｂ）は、室温で液状であるのが好ましく、粘度（２５℃）が１００〜３００００ｍＰａ・ｓであるのが好ましい。
本発明の成分（ｂ）は、例えば、ジトリメチロールプロパン１当量に対し脂肪酸及び／又は多価カルボン酸を１．５〜３．５当量仕込み、無触媒または触媒（たとえば塩化スズ）存在下、１８０〜２４０℃にてエステル化及び／又は脱水縮合反応を行う。反応終了後は、反応混合物を吸着処理等に付して触媒除去処理を行い、蒸留等により未反応原料など低分子分を除去して、最終製品を得る方法により調製することができる。
【００１６】
本発明に用いられる成分（ｂ）は、成分（ａ）の粉体に起因する粉っぽさを低減し、特に肌への密着性を高める成分である。
【００１７】
本発明における成分（ｂ）の含有量は、特に限定されないが、粉体化粧料全量中０．１〜３０質量％が好ましく、２〜１５質量％が特に好ましい。この範囲で用いると、肌への密着性及び伸び広がりが良好で、しかも化粧持続性に優れた粉体化粧料が得られる。また、プレス成型品としたものに関しては耐衝撃性により優れる粉体化粧料が得られる。
【００１８】
本発明の粉体化粧料には、上記成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、成分（ｂ）以外の油剤、界面活性剤、ベンゾフェノン系、ＰＡＢＡ系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、４−ｔｅｒｔ−ブチル−４’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等の紫外線吸収剤、グリセリン、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等の保湿剤、α−トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、トリメチルシロキシケイ酸等の被膜形成剤、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、ペクチン等の水溶性高分子、水、及び香料等を適宜配合することができる。
【００１９】
ここで用いられる成分（ｂ）以外の油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル等のエステル類、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸ジ（フィトステアリル・２−オクチルドデシル）、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸ジ（コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル）、Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸ジ（コレステリル・オクチルドデシル）等のアミノ酸系油剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等のシリコーン類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、１２−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。本発明の粉体化粧料における、これら油剤の配合量は、粉体化粧料全量中１〜３０質量％が好ましい。
【００２０】
ここで用いられる界面活性剤としては、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば、何れでも良く、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、Ｎ−メチル−Ｎ−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、Ｎ−アシルアミノ酸塩、Ｎ−アシル−Ｎ−アルキルアミノ酸塩、ｏ−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、Ｎ−アルキル−Ｎ，Ｎ−ジメチル−Ｎ−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、Ｎ，Ｎ−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、Ｎ，Ｎ，Ｎ−トリアルキル−Ｎ−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、Ｎ，Ｎ−ジアルキル−Ｎ，Ｎ−ビス（ポリオキシエチレン硫酸）アンモニウムベタイン、２−アルキル−１−ヒドロキシエチル−１−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられ、これらを１種又は２種以上を使用することができる。本発明の粉体化粧料における、界面活性剤の配合量は、界面活性剤の配合目的により異なるが、粉体化粧料全量中０．０１〜５質量％が好ましい。
【００２１】
本発明の粉体化粧料は、製品形態としてファンデーション、アイシャドー、頬紅、アイブロウ、白粉、ボディーパウダー等が挙げられ、その形状は、粉末状、固形状の何れでも良いが、本発明の効果が発揮されやすい形状としては、固形粉末状のメーキャップ化粧料である。
【００２２】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【００２３】
（製造例１）ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物の調製
ジトリメチロールプロパン（広栄化学社製：ジトリメチロールプロパン）１６８ｇ（０．８モル）、イソステアリン酸（ユニケマ社製：ＰＲＩＳＯＲＩＮＥ３５０５）３９２ｇ（１．３モル）、及びセバシン酸（小倉合成工業社製：セバシン酸）４１ｇ（０．２モル）を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた１Ｌの４つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の５質量％の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を１８０〜２４０℃で６時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンとイソステアリン酸とセバシン酸との重縮合物４３６ｇを得た。この重縮合物のＯＨＶは９２であった。
【００２４】
（製造例２）ジトリメチロールプロパンと２−エチルヘキサン酸とのエステル化合物の調製
ジトリメチロールプロパン（広栄化学社製：ジトリメチロールプロパン）２１１ｇ（０．８モル）と２−エチルヘキサン酸（チッソ社製：オクチル酸）３８９ｇ（２．７モル）を攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分離管を備えた１Ｌの４つ口フラスコに仕込み、還流溶剤として、キシロールを全仕込量の５質量％の量で一緒に加え、攪拌しながら混合物を１８０〜２４０℃で１９時間反応させた。反応終了後、活性白土を用いて脱色し、常法による脱臭を行い、ジトリメチロールプロパンと２−エチルヘキサン酸とのエステル化合物４２１ｇを得た。このエステル化合物のＯＨＶは８９であった。
【００２５】
実施例１〜８及び比較例１〜５：固形粉末状ファンデーション
表１に示す組成の固形粉末状ファンデーションを下記製造方法により調製し、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」、「耐衝撃性」の各項目について以下に示す評価方法により評価し、結果を併せて表１示した。
【００２６】
【表１】

【００２７】
注（１）：ガンツパール ＧＳ−０６０５（ガンツ化成社製）
【００２８】
（製造方法）
Ａ．成分１０〜１９を５０℃に加熱し、混合する。
Ｂ．成分１〜９を混合分散する。
Ｃ．Ｂ工程で得られた混合分散物にＡ工程で得られた混合物を添加し、混合する。
Ｄ．Ｃ工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形粉末状ファンデーションを得た。
【００２９】
（評価方法１）
２０名の化粧品専門パネルに、上記の実施例及び比較例の固形粉末状ファンデーションを使用してもらい、各々に対して、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」の各評価項目について、下記の評価基準に基づき７段階評価した。更に、その全パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。
【００３０】
（評価基準）
（評価） ：（評点）
非常に良好：６
良好 ：５
やや良好 ：４
普通 ：３
やや不良 ：２
不良 ：１
非常に不良：０
（判定基準）
（評点の平均点）：（判定）
５．５以上 ：◎
４．５点以上 ５．５点未満：○
２．５点以上 ４．５点未満：△
２．５点未満 ：×
【００３１】
（評価方法２）
「耐衝撃性」に関しては、成型品を容器にセットし、女性パネル２０名に１週間程度持ち運びと実使用を繰り返してもらい、成型品のかけ、割れ、はがれの状態を目視にて観察し、そのレベルを３段階基準にそって点数化したものを合計し、下記判定基準により判定した。
【００３２】
（３段階基準）
状態 ：点数
かけ、割れ、はがれが全くない ：０
かけ、割れ、はがれが少しある ：１
かけ、割れ、はがれがかなりある：２

【００３３】
表１の結果から明らかなように、本発明の固形粉末状ファンデーションは、比較例に比べて、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」、「耐衝撃性」の全てにおいて優れた特性を有していた。これに対して、本発明の構成成分である成分（ａ）の粉体量が、９５質量％以上の比較例１では、肌への密着性を満足させるものが得られず、一方、本発明の構成成分である成分（ａ）の粉体量が、７０質量％未満の比較例２では、肌への伸び広がりを満足できるものが得られなかった。更に、本発明の構成成分である成分（ｂ）の替わりに、２種の界面活性剤を組み合わせて配合した比較例３では、特に耐衝撃性を満足させられるものが得られず、本発明の構成成分である成分（ｂ）の替わりに、室温で液状のジグリセライドと保湿成分とを組み合わせて配合した比較例４は、特に肌への伸び広がり及び耐衝撃性を満足させるものが得られなかった。又、本発明の構成成分である成分（ｂ）の替わりに、２種のエステル化合物を組み合わせて配合した比較例５では、肌への密着性、肌への伸び広がり、化粧持続性を十分に満足させるものが得られなかった。
【００３４】
実施例９：固形粉末状白粉
（成分） （質量％）
１．酸化鉄雲母チタン ２０
２．セリサイト ５５．５
３．赤色２０２号 ０．５
４．球状シリカ（平均粒径１０μｍ） ７
５．パラオキシ安息香酸メチル ０．５
６．流動パラフィン ５
７．ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 注（２） ０．５
８．ジメチルポリシロキサン（１００ｃｓ） １
９．製造例１の重縮合物 １０
合計 １００
注（２）：コスモール １６８ＡＲＮ（日清オイリオ社製）
【００３５】
（製法）
Ａ：成分１〜５を混合分散する。
Ｂ：Ａ工程で得られた混合分散物に成分６〜９を添加し、均一混合する。
Ｃ：Ｂ工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形粉末状白粉を得た。
実施例９の固形粉末状白粉は、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」、「耐衝撃性」の全てにおいて優れた特性を有していた。
【００３６】
実施例１０：固形粉末状ケーキファンデーション（水使用）

注（３）：メチルハイドロジェンポリシロキサン５質量％処理
注（４）：パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩５質量％処理
【００３７】
（製造方法）
Ａ．成分１〜８を混合分散する。
Ｂ．成分９〜１３を５０℃に加熱し、混合する。
Ｃ．Ａ工程で得られた混合分散物にＢ工程で得られた混合物及び成分１４を添加し、均一混合する。
Ｄ．Ｃ工程で得られた混合物を粉砕し、皿に圧縮成型し、固形粉末状ケーキファンデーションを得た。
実施例１０の固形粉末状ケーキファンデーションは、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」、「耐衝撃性」の全てにおいて優れた特性を有していた。
【００３８】
実施例１１：粉末状頬紅
（成分） （質量％）
１．タルク ６０
２．マイカ １０．９
３．赤色２２６号 ２
４．窒化ホウ素粉末 １５
５．ナイロン粉末（略球状、平均粒径１５μｍ） ５
６．パラオキシ安息香酸メチル ０．１
７．製造例１の重縮合物 ７
合計 １００
【００３９】
（製造方法）
Ａ．成分１〜６を均一に混合分散する。
Ｂ．Ａ工程で得られた混合分散物に７を添加し、均一混合する。
Ｃ．Ｂ工程で得られた混合物を粉砕し、容器に充填し、粉末状頬紅を得た。
実施例１１の粉末状頬紅は、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」の全てにおいて優れた特性を有していた。
【００４０】
実施例１２：粉末状アイカラー
（成分） （質量％）
１．マイカ ３０
２．セリサイト １２．９
３．赤色２０２号 ２
４．雲母チタン ４０
５．ナイロン粉末（略球状、平均粒径１５μｍ） ５
６．パラオキシ安息香酸メチル ０．１
７．製造例２のエステル化合物 １０
合計 １００
【００４１】
（製造方法）
Ａ．成分１〜６を均一に混合分散する。
Ｂ．Ａ工程で得られた混合分散物に７を添加し、均一混合する。
Ｃ．Ｂ工程で得られた混合物を粉砕し、容器に充填し、粉末状アイカラーを得た。
実施例１２の粉末状アイカラーは、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」の全てにおいて優れた特性を有していた。
【００４２】
実施例１３：粉末状ボディーパウダー
（成分） （質量％）
１．タルク ７０
２．マイカ １９．９
３．ナイロン粉末（球状、平均粒径２０μｍ） ５
４．パラオキシ安息香酸メチル ０．１
５．製造例１の重縮合物 ５
合計 １００
【００４３】
（製造方法）
Ａ．成分１〜４を均一に混合分散する。
Ｂ．Ａ工程で得られた混合分散物に５を添加し、均一混合する。
Ｃ．Ｂ工程で得られた混合物を粉砕し、容器に充填し、粉末状ボディーパウダーを得た。
実施例１３の粉末状ボディーパウダーは、「肌への密着性」、「肌への伸び広がり」、「化粧持続性」の全てにおいて優れた特性を有していた。
【００４４】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明の粉体化粧料は、肌への密着性、肌への伸び広がり、化粧持続性に優れ、プレス成型品に関しては耐衝撃性に優れた品質を有するものであった。

Claims (3)

1. 次の成分（ａ）及び（ｂ）を含有し、成分（ｂ）の水酸基価（ＯＨＶ）が１０〜１５０であることを特徴とする粉体化粧料。
   （ａ）粉体
   （ｂ）ジトリメチロールプロパンと脂肪酸との下記一般式（Ｉ）で示されるエステル化合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物、下記一般式（Ｉ）で示されるエステル化合物と多価カルボン酸との重縮合物、ジトリメチロールプロパンと多価カルボン酸との重縮合物と脂肪酸との重縮合物、及びジトリメチロールプロパンと脂肪酸と多価カルボン酸との重縮合物からなる群から選ばれる１種又は２種以上。
   

   

   （式中、Ｒ_１〜Ｒ_４はそれぞれ独立して水素原子又は脂肪酸残基を表す。）
2. 前記成分（ａ）を粉体化粧料全量中に７０〜９５質量％、前記成分（ｂ）を粉体化粧料全量中に０．１〜３０質量％含有することを特徴とする請求項１記載の粉体化粧料。
3. 前記成分（ａ）の粉体が、粉体総量中に球状粉体を０．１〜１５質量％含有することを特徴とする請求項１又は２記載の粉体化粧料。