JP2004338532A - クローラ走行装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行振動を大幅に低減することができ、オペレータが体感する振動を抑えて、乗り心地の改善を実現するクローラ走行装置を提供する。
【解決手段】クローラ本体2の内周面と接触して転動する転輪14を回転自在に軸支するシャフト15を支持するトラックローラフレーム10を、クローラ走行装置のメインフレームに取り付けられる第1フレーム11と、シャフト15をナット16によって固定する第2フレーム12と、防振性を有する弾性材からなる弾性板13とから構成する。
【選択図】図1
【解決手段】クローラ本体2の内周面と接触して転動する転輪14を回転自在に軸支するシャフト15を支持するトラックローラフレーム10を、クローラ走行装置のメインフレームに取り付けられる第1フレーム11と、シャフト15をナット16によって固定する第2フレーム12と、防振性を有する弾性材からなる弾性板13とから構成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業機械や建設作業機械等に用いられるクローラ走行装置に関し、特に、転輪が取り付けられるトラックローラフレームにおける転輪の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、農業機械や建設作業機械等の走行装置として、クローラ走行装置が用いられている。
【0003】
図9は、従来におけるクローラ走行装置の構造を示す斜視図である。
このクローラ走行装置は、例えば、トラクタ1の走行装置として用いられ、メインフレーム7の前後方向の端部にスプロケット3とアイドラ4とを設け、メインフレーム7の前後方向の中央部に複数の転輪5およびキャリヤローラ8を設け、これらの輪体に無端状のクローラ本体2を巻き掛けることで構成される。
【0004】
このクローラ本体2は、鉄製またはゴム製の履板を連結させてなる無限軌道帯であり、内周面には、クローラ本体2の長手方向に一定ピッチをもってガイド突起2aが突設され、外周面には、ラグ2bが設けられている。
【0005】
また、スプロケット3は、トラクタ1のトランスミッションからの動力をクローラ本体2に伝達して駆動させるための駆動輪であり、アイドラ4は、メインフレーム7の内部に備えられたばねやグリスシリンダ等によって押し出され、クローラ本体2に所定の張力(テンション)を与える従動輪である。
【0006】
さらに、キャリヤローラ8は、クローラ本体2の重量を支えると同時に、スプロケット3とアイドラ4間のクローラ本体2の回転を円滑に行なわせるためのガイドの役割を果たす車輪であり、上部ローラとも称される。
【0007】
そして、転輪5は、クローラ本体2の内周面と接触して転動し、クローラ本体2のガイド突起2bと噛み合うことで脱輪を防止するとともに、トラクタ1の重量を支持する車輪であり、トラックローラまたは下部ローラとも称され、トラックローラフレーム6に取り付けられる。通常、この転輪5は、1つのクローラ走行装置に、左右一対となってメインフレーム7の前後方向の中央部に複数個配列される。
【0008】
図9の下方に、従来におけるトラックローラフレーム6における転輪5の取付構造を説明するため、トラックローラフレーム6の正面図を拡大して示す。
【0009】
このように、トラックローラフレーム6は、クローラ本体2とトラックローラフレーム6によって左右一対の転輪5を内包するように溝型に形成され、転輪5を回転自在に軸支するシャフト9がクローラ本体2と略平行するように取り付けられる構造となっている。
【0010】
また、このトラックローラフレーム6は、不整地等での足回りの接地性を保つため、回動自在となるようにメインフレーム7に取り付けられており、この取付部分(図示せず)を支点として揺動する機構を備えている。
【0011】
このように構成される従来のクローラ走行装置において、スプロケットおよびアイドラ間に設けられる転輪を数多く配置させるための転輪構造に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0012】
この転輪構造によれば、一対の転輪は、夫々独立して転輪の外より伸びる軸によって回転可能に軸支され、かつ、クローラ本体の内周面に設けたガイド突起の背丈と同一或いはこれよりもクローラ本体の内周面側に位置することで、配置される転輪の数を増やし、トラクタ等の車重を適切に分散させようとするものである。また、転輪を千鳥状に配置することによって、脱輪を防止し、オペレータに対する振動を低減させることができるとしている(特許文献1参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−362442号公報(明細書)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のクローラ走行装置では、トラックローラフレームに転輪を軸支するシャフト(軸)が直接取り付けられているため、機体の走行時に、転輪が路面の凹凸に応じて上下左右または前後に従動することによって発生する走行振動が直接機体を介してオペレータへ伝わりやすいという問題がある。
【0015】
一般に、この走行振動を抑えるために、クローラのラグパターンを改善したり、上記従来の転輪構造のように転輪の配置方法を改善したりすることが行なわれる。確かに、これらの改善は走行振動を低減する効果を発揮しうるが、いずれにおいても、トラックローラフレームに転輪を軸支する軸が直接取り付けられているので、路面の凹凸に応じて上下左右または前後に転輪が従動することで、この軸を介してトラックローラフレームが振動し、その振動周波数と共振して運転席が振動することを防ぐことができない。
【0016】
すなわち、これらクローラのラグパターンや転輪の配置方法等の改善によって走行振動を低減させるにも限界があるといわざるを得ないのが現状である。
【0017】
そこで、本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、走行振動を大幅に低減することができ、オペレータが体感する振動量を抑えて、乗り心地を改善するクローラ走行装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、従来の振動対策の手法から脱却して、新たな観点から振動対策を施している。すなわち、本発明に係るクローラ走行装置は、クローラの内周面と接触して転動する転輪を回転自在に軸支する軸を支持するフレームを備えたクローラ走行装置であって、前記フレームは、前記フレームの外郭となる第1フレームと、前記フレームの内郭となり、前記軸が固定される第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に介在し、防振性を有する弾性材からなる弾性板とを備えることを特徴とする。
【0019】
これによって、転輪が路面の凹凸に応じて従動しても、防振性を有する弾性板によって振動が吸収されるので、軸を介してトラックローラフレームに振動が伝達されることを防ぐことができ、走行振動を効果的に低減することができる。
【0020】
ここで、本発明に係るクローラ走行装置は、前記第1フレームは、前記軸を貫通させる第1フレーム貫通孔を有し、前記第2フレームは、前記軸を固定するための取付孔を有し、前記第1フレーム貫通孔の径は、前記取付孔の径よりも大きいとするのが好ましい。
【0021】
これによって、転輪が路面の凹凸に応じて従動しても、軸がこれに追従して動くことが可能となるので、軸を介して伝達される振動は、防振性を有する弾性板に吸収され、トラックローラフレームの外郭を構成する第1フレームへ伝達するのを抑えることができる。
【0022】
この結果、オペレータが機体の運転席において体感する振動を大幅に減少させることができるので、乗り心地に優れたクローラ走行装置が実現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るクローラ走行装置について、主に転輪が取り付けられるトラックローラフレームの構造を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係るクローラ走行装置について説明する。
図1は、本実施の形態1に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【0025】
図1に示すように、クローラ走行装置の転輪が取り付けられるトラックローラフレーム10は、夫々溝型に形成された第1フレーム11および第2フレーム12と、第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在する平板状の弾性板13とから構成される。そして、転輪14を回転自在に軸支するシャフト15が、クローラ本体2と略平行するように、第1フレーム11および第2フレーム12に固定されている。
【0026】
第1フレーム11は、トラックローラフレーム10の外郭となるフレーム部材であり、鋼材等によって溝型に成形される。この第1フレーム11は、クローラ走行装置のメインフレーム(本図では図示せず)に回動自在となるように取り付けられており、この取付部分を支点としてトラックローラフレーム10が揺動する機構を備えている。
【0027】
第2フレーム12は、トラックローラフレーム10の内郭となるフレーム部材であり、第1フレーム11と同様に、鋼材等によって溝型に成形される。そして、この第2フレーム12とクローラ本体2によって形成される空間に転輪14が内包されるようになっており、転輪14を軸支するシャフト15がナット16の挟持によって、第2フレーム12に固定されている。
【0028】
弾性板13は、第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在する板状体であり、防振性を備えたゴム等の弾性材で平板状に成形される。図中において、この弾性板13は、第1フレーム11および第2フレーム12と分離しているかのように示しているが、弾性板13は、第1フレーム11の内周面と第2フレーム12の外周面と夫々面接触して、ゴム用接着剤等によって貼り合わされている。
【0029】
このように、第1フレーム11および第2フレーム12の2層のフレーム材と、2層のフレーム材の間に介在させた防振性を有する弾性板13とからなる3層構造のトラックローラフレーム10を備えたクローラ走行装置は、転輪14が路面の凹凸に応じて上下に従動しても、弾性板13によって振動が吸収されるため、シャフト15を介してトラックローラフレーム10を振動させることがなく、走行振動を低減することができる。
ここで、トラックローラフレーム10は、図2に示すような構成としてもよい。
【0030】
図2は、トラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム10aは、第1フレーム11と第2フレーム12との間に、第1フレーム11および第2フレーム12と同様の溝型(コの字状)に成形された弾性板フレーム21を介在させた3層構造とすることもできる。
【0031】
このように、コの字状に成形された弾性板フレーム21を第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在させることによって、平板状の弾性板13と同様に、走行振動を低減することができる。また、この弾性板フレーム21は、コの字状となっているので、2層のフレーム材の間に介在している弾性板フレーム21がずれてしまうのを防止することができるとともに、左右方向への振動も吸収することができるので、走行振動をさらに低減することができる。
【0032】
なお、この弾性板フレーム21は、複数の平板を組み合わせて、つまり、第1フレーム11の下表面および第2フレーム12の上表面と面接触する平板(図1における弾性板13)と、第1フレーム11の内周側面および第2フレーム12の外周側面と面接触する側面板とを組み合わせることによって、コの字状に成形することとしてもよいが、弾性板フレーム21の耐久性を考慮して、平板部から側面部までを一体としてコの字状に成形するのが好ましい。
さらに、このトラックローラフレーム10aは、図3に示すような構成とすることもできる。
【0033】
図3は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム10bは、コの字状に成形された弾性板フレーム31の側面部がクローラ本体2の内周近傍まで延伸され、この側面部にシャフト15を通すための弾性板貫通孔32が設けられる構成としてもよい。より視覚的に捉えやすくするために、トラックローラフレーム10bの斜視図を、図4に示す。
【0034】
図4は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
図4に示すように、転輪14を軸支するシャフト15は、ナット16によって第2フレーム12に固定され、弾性板フレーム31の側面部に設けられた弾性板貫通孔32を介して弾性板フレーム31を貫通し、第1フレーム11に固定されている。
【0035】
このように、第1フレーム11および第2フレーム12からなる2層のフレーム材の間に防振性を有する弾性板フレーム31を介在させてなる3層構造のトラックローラフレーム10bを備えたクローラ走行装置は、転輪14が路面の凹凸に応じて上下左右に従動しても、弾性板フレーム31によって振動が吸収されるので、シャフト15を介してトラックローラフレーム10bを振動させることがなく、走行振動を効果的に低減することができる。
【0036】
また、この弾性板フレーム31の側面部に弾性板貫通孔32が形成され、ここにシャフト15が通されるので、転輪14からシャフト15を介して伝達される振動は、この弾性板貫通孔32から弾性板フレーム31に吸収されることとなって、オペレータが体感する走行振動を大幅に低減させることができる。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るクローラ走行装置について説明する。
図5は、本実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【0038】
図5に示すように、本実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレーム40は、上記実施の形態1に係るクローラ走行装置のそれと同様に、第1フレーム41および第2フレーム42と、第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在する平板状の弾性板43とから構成される。
【0039】
しかし、トラックローラフレーム40は、転輪44が、トラックローラフレーム40から左右方向に夫々伸ばされてトラックローラフレーム40に片持ち状に支持されるシャフト45によって、回転可能に軸支されている点において上記実施の形態1と異なる。
【0040】
第1フレーム41は、トラックローラフレーム40の外郭となるフレーム部材であり、鋼材等によって溝型に成形される。この第1フレーム41は、上記実施の形態1と同様に、クローラ走行装置のメインフレームに回動自在となるように取り付けられており、また、フレームの側面部には、シャフト45を通すための第1フレーム貫通孔47を備える。なお、この第1フレーム貫通孔47は、後述する第2フレーム42におけるシャフト取付孔よりも径が大きくされる。
【0041】
第2フレーム42は、トラックローラフレーム40の内郭となる、内部が中空のフレーム部材であり、鋼材等によって成形される。この第2フレーム42に、転輪44を軸支するシャフト45がナット46によって固定され、この固着部分からシャフト45が機体の幅方向左右へ伸ばされている。なお、本図では、第2フレーム42にシャフト45を取り付けるためのシャフト取付孔を図示していないが、このシャフト取付孔の径は、シャフト45の径と略同一とされ、第1フレーム貫通孔47の径よりも小さくされる。
【0042】
弾性板43は、第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在する板状体であり、防振性を備えたゴム等の弾性材によって平板状に成形される。なお、上記実施の形態1と同様に、この弾性板43も、第1フレーム41の内周面と第2フレーム42の外周面と夫々面接触して、ゴム用接着剤等によって貼り合わされている。
【0043】
このように、第1フレーム41および第2フレーム42の2層のフレーム材と、2層のフレーム材の間に介在させた防振性を有する弾性板43とからなる3層構造とされ、転輪44を軸支するシャフト45を片持ち状に支持するトラックローラフレーム40を備えたクローラ走行装置は、上記実施の形態1と同様に、弾性板43によって振動を吸収させることができるので、走行振動を大幅に抑えることができるという効果が奏される。
【0044】
また、第1フレーム貫通孔47の径が、第2フレーム42のシャフト取付孔の径よりも大きくされることで、転輪44が路面の凹凸に応じて上下または前後に従動しても、シャフト45はこれに追従して上下または前後に動くことが可能となるので、シャフト45を介してトラックローラフレーム40の外郭を構成する第1フレーム41へ振動が伝達するのを抑えることができる。
ここで、このトラックローラフレーム40は、図6に示すような構成としてもよい。
【0045】
図6は、トラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム40aは、上記実施の形態1と同様に、第1フレーム41と第2フレーム42との間に、溝型(コの字状)に成形された弾性板フレーム51を介在させた3層構造とすることもできる。
【0046】
このように、コの字状に成形された弾性板フレーム51を第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在させることによって、2層のフレーム材の間に介在している弾性板フレーム51のズレを防止するとともに、上下左右方向への振動を吸収させることができるので、効果的に走行振動の大幅な低減を図ることができる。
さらに、このトラックローラフレーム40aは、図7に示すような構成とすることもできる。
【0047】
図7は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム40bは、上記実施の形態1と同様に、コの字状に成形された弾性板フレーム61の側面部がクローラ本体2の内周近傍まで延伸され、この側面部にシャフト45を通すための弾性板貫通孔62が設けられる構成としてもよい。より視覚的に捉えやすくするために、トラックローラフレーム40bの斜視図を、図8に示す。
【0048】
図8は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
図8に示すように、シャフト45は、ナット46によって第2フレーム42に片持ち状に固定され、弾性板フレーム61の側面部に設けられた弾性板貫通孔62を介して弾性板フレーム61を貫通し、第1フレーム41の側面部に設けられた第1フレーム貫通孔47を介して第1フレーム41を貫通して、転輪44を軸支する。
【0049】
ここで、第1フレーム貫通孔47の径は、弾性板貫通孔62の径および第2フレーム42におけるシャフト取付孔の径よりも大きくされている。
【0050】
このように、第1フレーム41および第2フレーム42からなる2層のフレーム材の間に防振性を有する弾性板フレーム61を介在させた3層構造であり、転輪44を軸支するシャフト45を片持ち状に支持するトラックローラフレーム40bを備えたクローラ走行装置は、上記実施の形態1と同様に、転輪44が路面の凹凸に応じて上下左右に従動しても、弾性板フレーム61によって振動が吸収されるので、トラックローラフレーム40b全体の振動を抑えることができ、走行振動を大幅に低減することができる。
【0051】
また、この弾性板フレーム61の側面部に弾性板貫通孔62が形成され、ここにシャフト45が通されることによって、転輪44からシャフト45を介して伝達される振動が、弾性板フレーム61に吸収されるので、オペレータが体感する走行振動を大きく低減させることができる。
【0052】
さらに、第1フレーム貫通孔47の径は、弾性板貫通孔62の径および第2フレーム42のシャフト取付孔の径よりも大きくされることで、転輪44が路面の凹凸に応じて上下または前後に従動しても、シャフト45はこれに追従して動くことが可能となるので、シャフト45を介して伝達される振動は、防振性を有する弾性板フレーム61に吸収され、トラックローラフレーム40bの外郭を構成する第1フレーム41へ振動が伝達するのを抑えることができる。
【0053】
以上、本発明に係るクローラ走行装置について、各実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、上記各実施の形態において、弾性板および弾性板フレームは、第1フレームおよび第2フレームとゴム用接着剤等によって貼り合わされることとしているが、接着させないで、弾性板および弾性板フレームが損傷した場合に交換できるようにしてもよい。
【0055】
また、上記各実施の形態において、弾性板および弾性板フレームを形成する弾性材としてゴムを例示しているが、ポリウレタン等を加工したウレタン系の防振材を用いてもよく、さらに、弾性板に防振用のバネを埋設させることとしてもよい。
【0056】
さらにまた、トラックローラフレームは、3層構造に限られるものではなく、例えば、第1フレームと第2フレームとの間に平板状の弾性板とコの字状の弾性板フレームとを重畳させて、クローラ本体と平行するように介在させ、部分的にトラックローラフレームを4層構造として、上下への振動の吸収をさらに強化するとしてもよい。
【0057】
そして、第1フレーム、第2フレームおよび弾性板フレームの断面形状は、上記各実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るクローラ走行装置によれば、機体の走行時に生ずる走行振動を大幅に低減することができるという効果が奏される。その結果、オペレータが体感する振動量を抑えることができるので、乗り心地の飛躍的な改善を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【図2】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
【図3】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
【図4】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【図6】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
【図7】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
【図8】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
【図9】従来におけるクローラ走行装置の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 クローラ本体
3 スプロケット
4 アイドラ
5、14、44 転輪
6、10、10a、10b、40、40a、40b トラックローラフレーム
7 メインフレーム
8 キャリヤローラ
9、15、45 シャフト
11、41 第1フレーム
12、42 第2フレーム
13、43 弾性板
16、46 ナット
21、31、51、61 弾性板フレーム
32、62 弾性板貫通孔
47 第1フレーム貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業機械や建設作業機械等に用いられるクローラ走行装置に関し、特に、転輪が取り付けられるトラックローラフレームにおける転輪の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、農業機械や建設作業機械等の走行装置として、クローラ走行装置が用いられている。
【0003】
図9は、従来におけるクローラ走行装置の構造を示す斜視図である。
このクローラ走行装置は、例えば、トラクタ1の走行装置として用いられ、メインフレーム7の前後方向の端部にスプロケット3とアイドラ4とを設け、メインフレーム7の前後方向の中央部に複数の転輪5およびキャリヤローラ8を設け、これらの輪体に無端状のクローラ本体2を巻き掛けることで構成される。
【0004】
このクローラ本体2は、鉄製またはゴム製の履板を連結させてなる無限軌道帯であり、内周面には、クローラ本体2の長手方向に一定ピッチをもってガイド突起2aが突設され、外周面には、ラグ2bが設けられている。
【0005】
また、スプロケット3は、トラクタ1のトランスミッションからの動力をクローラ本体2に伝達して駆動させるための駆動輪であり、アイドラ4は、メインフレーム7の内部に備えられたばねやグリスシリンダ等によって押し出され、クローラ本体2に所定の張力(テンション)を与える従動輪である。
【0006】
さらに、キャリヤローラ8は、クローラ本体2の重量を支えると同時に、スプロケット3とアイドラ4間のクローラ本体2の回転を円滑に行なわせるためのガイドの役割を果たす車輪であり、上部ローラとも称される。
【0007】
そして、転輪5は、クローラ本体2の内周面と接触して転動し、クローラ本体2のガイド突起2bと噛み合うことで脱輪を防止するとともに、トラクタ1の重量を支持する車輪であり、トラックローラまたは下部ローラとも称され、トラックローラフレーム6に取り付けられる。通常、この転輪5は、1つのクローラ走行装置に、左右一対となってメインフレーム7の前後方向の中央部に複数個配列される。
【0008】
図9の下方に、従来におけるトラックローラフレーム6における転輪5の取付構造を説明するため、トラックローラフレーム6の正面図を拡大して示す。
【0009】
このように、トラックローラフレーム6は、クローラ本体2とトラックローラフレーム6によって左右一対の転輪5を内包するように溝型に形成され、転輪5を回転自在に軸支するシャフト9がクローラ本体2と略平行するように取り付けられる構造となっている。
【0010】
また、このトラックローラフレーム6は、不整地等での足回りの接地性を保つため、回動自在となるようにメインフレーム7に取り付けられており、この取付部分(図示せず)を支点として揺動する機構を備えている。
【0011】
このように構成される従来のクローラ走行装置において、スプロケットおよびアイドラ間に設けられる転輪を数多く配置させるための転輪構造に関する技術が特許文献1に開示されている。
【0012】
この転輪構造によれば、一対の転輪は、夫々独立して転輪の外より伸びる軸によって回転可能に軸支され、かつ、クローラ本体の内周面に設けたガイド突起の背丈と同一或いはこれよりもクローラ本体の内周面側に位置することで、配置される転輪の数を増やし、トラクタ等の車重を適切に分散させようとするものである。また、転輪を千鳥状に配置することによって、脱輪を防止し、オペレータに対する振動を低減させることができるとしている(特許文献1参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−362442号公報(明細書)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のクローラ走行装置では、トラックローラフレームに転輪を軸支するシャフト(軸)が直接取り付けられているため、機体の走行時に、転輪が路面の凹凸に応じて上下左右または前後に従動することによって発生する走行振動が直接機体を介してオペレータへ伝わりやすいという問題がある。
【0015】
一般に、この走行振動を抑えるために、クローラのラグパターンを改善したり、上記従来の転輪構造のように転輪の配置方法を改善したりすることが行なわれる。確かに、これらの改善は走行振動を低減する効果を発揮しうるが、いずれにおいても、トラックローラフレームに転輪を軸支する軸が直接取り付けられているので、路面の凹凸に応じて上下左右または前後に転輪が従動することで、この軸を介してトラックローラフレームが振動し、その振動周波数と共振して運転席が振動することを防ぐことができない。
【0016】
すなわち、これらクローラのラグパターンや転輪の配置方法等の改善によって走行振動を低減させるにも限界があるといわざるを得ないのが現状である。
【0017】
そこで、本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、走行振動を大幅に低減することができ、オペレータが体感する振動量を抑えて、乗り心地を改善するクローラ走行装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、従来の振動対策の手法から脱却して、新たな観点から振動対策を施している。すなわち、本発明に係るクローラ走行装置は、クローラの内周面と接触して転動する転輪を回転自在に軸支する軸を支持するフレームを備えたクローラ走行装置であって、前記フレームは、前記フレームの外郭となる第1フレームと、前記フレームの内郭となり、前記軸が固定される第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に介在し、防振性を有する弾性材からなる弾性板とを備えることを特徴とする。
【0019】
これによって、転輪が路面の凹凸に応じて従動しても、防振性を有する弾性板によって振動が吸収されるので、軸を介してトラックローラフレームに振動が伝達されることを防ぐことができ、走行振動を効果的に低減することができる。
【0020】
ここで、本発明に係るクローラ走行装置は、前記第1フレームは、前記軸を貫通させる第1フレーム貫通孔を有し、前記第2フレームは、前記軸を固定するための取付孔を有し、前記第1フレーム貫通孔の径は、前記取付孔の径よりも大きいとするのが好ましい。
【0021】
これによって、転輪が路面の凹凸に応じて従動しても、軸がこれに追従して動くことが可能となるので、軸を介して伝達される振動は、防振性を有する弾性板に吸収され、トラックローラフレームの外郭を構成する第1フレームへ伝達するのを抑えることができる。
【0022】
この結果、オペレータが機体の運転席において体感する振動を大幅に減少させることができるので、乗り心地に優れたクローラ走行装置が実現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るクローラ走行装置について、主に転輪が取り付けられるトラックローラフレームの構造を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係るクローラ走行装置について説明する。
図1は、本実施の形態1に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【0025】
図1に示すように、クローラ走行装置の転輪が取り付けられるトラックローラフレーム10は、夫々溝型に形成された第1フレーム11および第2フレーム12と、第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在する平板状の弾性板13とから構成される。そして、転輪14を回転自在に軸支するシャフト15が、クローラ本体2と略平行するように、第1フレーム11および第2フレーム12に固定されている。
【0026】
第1フレーム11は、トラックローラフレーム10の外郭となるフレーム部材であり、鋼材等によって溝型に成形される。この第1フレーム11は、クローラ走行装置のメインフレーム(本図では図示せず)に回動自在となるように取り付けられており、この取付部分を支点としてトラックローラフレーム10が揺動する機構を備えている。
【0027】
第2フレーム12は、トラックローラフレーム10の内郭となるフレーム部材であり、第1フレーム11と同様に、鋼材等によって溝型に成形される。そして、この第2フレーム12とクローラ本体2によって形成される空間に転輪14が内包されるようになっており、転輪14を軸支するシャフト15がナット16の挟持によって、第2フレーム12に固定されている。
【0028】
弾性板13は、第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在する板状体であり、防振性を備えたゴム等の弾性材で平板状に成形される。図中において、この弾性板13は、第1フレーム11および第2フレーム12と分離しているかのように示しているが、弾性板13は、第1フレーム11の内周面と第2フレーム12の外周面と夫々面接触して、ゴム用接着剤等によって貼り合わされている。
【0029】
このように、第1フレーム11および第2フレーム12の2層のフレーム材と、2層のフレーム材の間に介在させた防振性を有する弾性板13とからなる3層構造のトラックローラフレーム10を備えたクローラ走行装置は、転輪14が路面の凹凸に応じて上下に従動しても、弾性板13によって振動が吸収されるため、シャフト15を介してトラックローラフレーム10を振動させることがなく、走行振動を低減することができる。
ここで、トラックローラフレーム10は、図2に示すような構成としてもよい。
【0030】
図2は、トラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム10aは、第1フレーム11と第2フレーム12との間に、第1フレーム11および第2フレーム12と同様の溝型(コの字状)に成形された弾性板フレーム21を介在させた3層構造とすることもできる。
【0031】
このように、コの字状に成形された弾性板フレーム21を第1フレーム11と第2フレーム12との間に介在させることによって、平板状の弾性板13と同様に、走行振動を低減することができる。また、この弾性板フレーム21は、コの字状となっているので、2層のフレーム材の間に介在している弾性板フレーム21がずれてしまうのを防止することができるとともに、左右方向への振動も吸収することができるので、走行振動をさらに低減することができる。
【0032】
なお、この弾性板フレーム21は、複数の平板を組み合わせて、つまり、第1フレーム11の下表面および第2フレーム12の上表面と面接触する平板(図1における弾性板13)と、第1フレーム11の内周側面および第2フレーム12の外周側面と面接触する側面板とを組み合わせることによって、コの字状に成形することとしてもよいが、弾性板フレーム21の耐久性を考慮して、平板部から側面部までを一体としてコの字状に成形するのが好ましい。
さらに、このトラックローラフレーム10aは、図3に示すような構成とすることもできる。
【0033】
図3は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム10bは、コの字状に成形された弾性板フレーム31の側面部がクローラ本体2の内周近傍まで延伸され、この側面部にシャフト15を通すための弾性板貫通孔32が設けられる構成としてもよい。より視覚的に捉えやすくするために、トラックローラフレーム10bの斜視図を、図4に示す。
【0034】
図4は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
図4に示すように、転輪14を軸支するシャフト15は、ナット16によって第2フレーム12に固定され、弾性板フレーム31の側面部に設けられた弾性板貫通孔32を介して弾性板フレーム31を貫通し、第1フレーム11に固定されている。
【0035】
このように、第1フレーム11および第2フレーム12からなる2層のフレーム材の間に防振性を有する弾性板フレーム31を介在させてなる3層構造のトラックローラフレーム10bを備えたクローラ走行装置は、転輪14が路面の凹凸に応じて上下左右に従動しても、弾性板フレーム31によって振動が吸収されるので、シャフト15を介してトラックローラフレーム10bを振動させることがなく、走行振動を効果的に低減することができる。
【0036】
また、この弾性板フレーム31の側面部に弾性板貫通孔32が形成され、ここにシャフト15が通されるので、転輪14からシャフト15を介して伝達される振動は、この弾性板貫通孔32から弾性板フレーム31に吸収されることとなって、オペレータが体感する走行振動を大幅に低減させることができる。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るクローラ走行装置について説明する。
図5は、本実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【0038】
図5に示すように、本実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレーム40は、上記実施の形態1に係るクローラ走行装置のそれと同様に、第1フレーム41および第2フレーム42と、第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在する平板状の弾性板43とから構成される。
【0039】
しかし、トラックローラフレーム40は、転輪44が、トラックローラフレーム40から左右方向に夫々伸ばされてトラックローラフレーム40に片持ち状に支持されるシャフト45によって、回転可能に軸支されている点において上記実施の形態1と異なる。
【0040】
第1フレーム41は、トラックローラフレーム40の外郭となるフレーム部材であり、鋼材等によって溝型に成形される。この第1フレーム41は、上記実施の形態1と同様に、クローラ走行装置のメインフレームに回動自在となるように取り付けられており、また、フレームの側面部には、シャフト45を通すための第1フレーム貫通孔47を備える。なお、この第1フレーム貫通孔47は、後述する第2フレーム42におけるシャフト取付孔よりも径が大きくされる。
【0041】
第2フレーム42は、トラックローラフレーム40の内郭となる、内部が中空のフレーム部材であり、鋼材等によって成形される。この第2フレーム42に、転輪44を軸支するシャフト45がナット46によって固定され、この固着部分からシャフト45が機体の幅方向左右へ伸ばされている。なお、本図では、第2フレーム42にシャフト45を取り付けるためのシャフト取付孔を図示していないが、このシャフト取付孔の径は、シャフト45の径と略同一とされ、第1フレーム貫通孔47の径よりも小さくされる。
【0042】
弾性板43は、第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在する板状体であり、防振性を備えたゴム等の弾性材によって平板状に成形される。なお、上記実施の形態1と同様に、この弾性板43も、第1フレーム41の内周面と第2フレーム42の外周面と夫々面接触して、ゴム用接着剤等によって貼り合わされている。
【0043】
このように、第1フレーム41および第2フレーム42の2層のフレーム材と、2層のフレーム材の間に介在させた防振性を有する弾性板43とからなる3層構造とされ、転輪44を軸支するシャフト45を片持ち状に支持するトラックローラフレーム40を備えたクローラ走行装置は、上記実施の形態1と同様に、弾性板43によって振動を吸収させることができるので、走行振動を大幅に抑えることができるという効果が奏される。
【0044】
また、第1フレーム貫通孔47の径が、第2フレーム42のシャフト取付孔の径よりも大きくされることで、転輪44が路面の凹凸に応じて上下または前後に従動しても、シャフト45はこれに追従して上下または前後に動くことが可能となるので、シャフト45を介してトラックローラフレーム40の外郭を構成する第1フレーム41へ振動が伝達するのを抑えることができる。
ここで、このトラックローラフレーム40は、図6に示すような構成としてもよい。
【0045】
図6は、トラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム40aは、上記実施の形態1と同様に、第1フレーム41と第2フレーム42との間に、溝型(コの字状)に成形された弾性板フレーム51を介在させた3層構造とすることもできる。
【0046】
このように、コの字状に成形された弾性板フレーム51を第1フレーム41と第2フレーム42との間に介在させることによって、2層のフレーム材の間に介在している弾性板フレーム51のズレを防止するとともに、上下左右方向への振動を吸収させることができるので、効果的に走行振動の大幅な低減を図ることができる。
さらに、このトラックローラフレーム40aは、図7に示すような構成とすることもできる。
【0047】
図7は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
すなわち、トラックローラフレーム40bは、上記実施の形態1と同様に、コの字状に成形された弾性板フレーム61の側面部がクローラ本体2の内周近傍まで延伸され、この側面部にシャフト45を通すための弾性板貫通孔62が設けられる構成としてもよい。より視覚的に捉えやすくするために、トラックローラフレーム40bの斜視図を、図8に示す。
【0048】
図8は、トラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
図8に示すように、シャフト45は、ナット46によって第2フレーム42に片持ち状に固定され、弾性板フレーム61の側面部に設けられた弾性板貫通孔62を介して弾性板フレーム61を貫通し、第1フレーム41の側面部に設けられた第1フレーム貫通孔47を介して第1フレーム41を貫通して、転輪44を軸支する。
【0049】
ここで、第1フレーム貫通孔47の径は、弾性板貫通孔62の径および第2フレーム42におけるシャフト取付孔の径よりも大きくされている。
【0050】
このように、第1フレーム41および第2フレーム42からなる2層のフレーム材の間に防振性を有する弾性板フレーム61を介在させた3層構造であり、転輪44を軸支するシャフト45を片持ち状に支持するトラックローラフレーム40bを備えたクローラ走行装置は、上記実施の形態1と同様に、転輪44が路面の凹凸に応じて上下左右に従動しても、弾性板フレーム61によって振動が吸収されるので、トラックローラフレーム40b全体の振動を抑えることができ、走行振動を大幅に低減することができる。
【0051】
また、この弾性板フレーム61の側面部に弾性板貫通孔62が形成され、ここにシャフト45が通されることによって、転輪44からシャフト45を介して伝達される振動が、弾性板フレーム61に吸収されるので、オペレータが体感する走行振動を大きく低減させることができる。
【0052】
さらに、第1フレーム貫通孔47の径は、弾性板貫通孔62の径および第2フレーム42のシャフト取付孔の径よりも大きくされることで、転輪44が路面の凹凸に応じて上下または前後に従動しても、シャフト45はこれに追従して動くことが可能となるので、シャフト45を介して伝達される振動は、防振性を有する弾性板フレーム61に吸収され、トラックローラフレーム40bの外郭を構成する第1フレーム41へ振動が伝達するのを抑えることができる。
【0053】
以上、本発明に係るクローラ走行装置について、各実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、上記各実施の形態において、弾性板および弾性板フレームは、第1フレームおよび第2フレームとゴム用接着剤等によって貼り合わされることとしているが、接着させないで、弾性板および弾性板フレームが損傷した場合に交換できるようにしてもよい。
【0055】
また、上記各実施の形態において、弾性板および弾性板フレームを形成する弾性材としてゴムを例示しているが、ポリウレタン等を加工したウレタン系の防振材を用いてもよく、さらに、弾性板に防振用のバネを埋設させることとしてもよい。
【0056】
さらにまた、トラックローラフレームは、3層構造に限られるものではなく、例えば、第1フレームと第2フレームとの間に平板状の弾性板とコの字状の弾性板フレームとを重畳させて、クローラ本体と平行するように介在させ、部分的にトラックローラフレームを4層構造として、上下への振動の吸収をさらに強化するとしてもよい。
【0057】
そして、第1フレーム、第2フレームおよび弾性板フレームの断面形状は、上記各実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るクローラ走行装置によれば、機体の走行時に生ずる走行振動を大幅に低減することができるという効果が奏される。その結果、オペレータが体感する振動量を抑えることができるので、乗り心地の飛躍的な改善を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【図2】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
【図3】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
【図4】本実施の形態1におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るクローラ走行装置のトラックローラフレームの断面図である。
【図6】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第1構成変形例を示す断面図である。
【図7】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す断面図である。
【図8】本実施の形態2におけるトラックローラフレームの第2構成変形例を示す斜視図である。
【図9】従来におけるクローラ走行装置の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 クローラ本体
3 スプロケット
4 アイドラ
5、14、44 転輪
6、10、10a、10b、40、40a、40b トラックローラフレーム
7 メインフレーム
8 キャリヤローラ
9、15、45 シャフト
11、41 第1フレーム
12、42 第2フレーム
13、43 弾性板
16、46 ナット
21、31、51、61 弾性板フレーム
32、62 弾性板貫通孔
47 第1フレーム貫通孔
Claims (5)
- クローラの内周面と接触して転動する転輪を回転自在に軸支する軸を支持するフレームを備えたクローラ走行装置であって、
前記フレームは、
前記フレームの外郭となる第1フレームと、
前記フレームの内郭となり、前記軸が固定される第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとの間に介在し、防振性を有する弾性材からなる弾性板とを備える
ことを特徴とするクローラ走行装置。 - 前記弾性板は、
前記クローラの幅方向におけるその断面が、コの字状の断面となる形状を有している
ことを特徴とする請求項1記載のクローラ走行装置。 - 前記第1フレームは、
前記軸を貫通させる第1フレーム貫通孔を有し、
前記第2フレームは、
前記軸を固定するための取付孔を有し、
前記第1フレーム貫通孔の径は、前記取付孔の径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1または2記載のクローラ走行装置。 - 前記弾性板は、
前記軸を貫通させる弾性板貫通孔を有し、
前記弾性板貫通孔の径は、前記第1フレーム貫通孔の径よりも小さい
ことを特徴とする請求項3記載のクローラ走行装置。 - 前記弾性板は、
前記第1フレームおよび前記第2フレームと、着脱可能な形態で貼り合わされている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクローラ走行装置。
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Cited By (1)
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EP1726515A2 (en) | 2005-05-26 | 2006-11-29 | Dong-Il Rubber Belt Co., Ltd. | Tracked vehicle with undercarriage having shock absorption function |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003137055A patent/JP2004338532A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1726515A2 (en) | 2005-05-26 | 2006-11-29 | Dong-Il Rubber Belt Co., Ltd. | Tracked vehicle with undercarriage having shock absorption function |
JP2006327567A (ja) * | 2005-05-26 | 2006-12-07 | Dong-Il Rubber Belt Co Ltd | 衝撃吸収機能を有するアンダーキャリッジ |
EP1726515A3 (en) * | 2005-05-26 | 2007-06-27 | Dong-Il Rubber Belt Co., Ltd. | Tracked vehicle with undercarriage having shock absorption function |
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