JP5409679B2 - クローラ走行装置 - Google Patents
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この種のクローラ走行装置の従来技術においては、例えば、特許文献1に開示されているように、トラックフレームにテンション調整用前従動輪と遊転の従動輪とそれらの中間の遊転輪とを前後方向に配列支持し、前記遊転輪の上方に駆動輪を配置し、これら全輪にクローラを巻き掛け、前記前従動輪を支持しながらテンション調整方向に付勢するテンション調整機構をトラックフレーム上から前従動輪へ下向き傾斜配置し、前記トラックフレームを駆動輪の軸芯と平行でかつその下方に位置する軸芯回りに揺動自在とし、このトラックフレームの揺動範囲を設定する揺動範囲規制手段を揺動軸芯より従動輪側に配置し、前記前従動輪、従動輪及び遊転輪を、トラックフレームから外側方に突出した片持ちの支持軸で支持し、少なくとも遊転輪の支持軸を外側方下向き傾斜させている(特許請求の範囲)。
特に、荷重がトラックフレームの後部に加わっていると、前遊転輪が石等の障害物に乗り上げたとき最後部の遊転輪に過大な荷重かかかることになり、トラックフレームの上下振動も大きくなる。
本発明は、前遊転輪が石等の障害物に乗り上げたとき、トラックフレームの後側はイコライザリンクで枢支された2遊転輪で荷重を分担支持でき、上下振動も小さくでき、かつ駆動輪からクローラへの動力伝達も良好にできるようにしたクローラ走行装置を提供することを目的とする。
第1に、走行機体30の後車軸ケース34に対して揺動軸8を介してトラックフレーム2を揺動自在に支持し、このトラックフレーム2の前後端部に前後従動輪3、4を配置するとともに中途部に前後方向3輪の遊転輪5を設け、前記トラックフレーム2の前後方向中途部上方に後車軸ケース34に支持された後車軸33から動力が伝達される駆動輪6を配置し、前記駆動輪6、前後従動輪3、4及び遊転輪5にクローラ7を巻き掛けており、
接地時の前記揺動軸8から前従動輪3までの水平距離L1を揺動軸8から後従動輪4までの水平距離L2より長く設定しており、
前記各遊転輪5はマタギ転輪で形成されていて、トラックフレーム2の左右側部下方に配置されており、
前記遊転輪5の内の後側2輪の遊転輪5をイコライザリンク20に枢支し、このイコライザリンク20の前後中途部をトラックフレーム2の下部に枢支軸22を介して取り付けており、
前記揺動軸8から枢支軸22までの水平距離S1を揺動軸8から前記遊転輪5の内の前側遊転輪5の輪軸5Aまでの水平距離S2より短く設定し、かつ、前後方向において前記イコライザリンク20に枢支された後側2輪の遊転輪5の内の前側遊転輪5の輪軸5Aと前記枢支軸22との間に前記駆動輪6の中心を配置しており、
前記揺動軸8を、高さ方向でトラックフレーム2と駆動輪6の中心との間に配置し、前後方向でイコライザリンク20に枢支された後側2輪の遊転輪5の内の前側遊転輪5の輪軸5Aと枢支軸22との間に配置し、かつ左右方向でイコライザリンク20及びトラックフレーム2のイコライザリンク20を取り付けている部分よりも走行機体30側に配置しており、
前記トラックフレーム2は断面背面形状において上半分が左右幅広の角筒形状に形成されかつ下半分が左右幅狭の角筒形状に形成されていることを特徴とする。
接地時の前記揺動軸8から前従動輪3までの水平距離L1を揺動軸8から後従動輪4までの水平距離L2より長く設定し、前記揺動軸8を駆動輪6の中心より下方に配置しており、
前記遊転輪5の内の後側2輪の遊転輪5をイコライザリンク20に枢支し、このイコライザリンク20の前後中途部をトラックフレーム2に枢支軸22を介して枢支しており、
前記揺動軸8から枢支軸22までの水平距離S1を揺動軸8から前記遊転輪5の内の前側遊転輪5の輪軸5Aまでの水平距離S2より短く設定し、かつ、前後方向において前記イコライザリンク20に枢支された後側2輪の遊転輪5の内の前側遊転輪5の輪軸5Aと前記枢支軸22との間に前記駆動輪6の中心及び揺動軸8を配置しており、
前記トラックフレーム2は断面背面形状において上半分が左右幅広の角筒形状に形成されかつ下半分が左右幅狭の角筒形状に形成され、前記幅広上半分と幅狭下半分とは内部が連通されていることを特徴とする。
第4に、前記後車軸ケース34から外側方に後車軸33を突出し、この後車軸33に駆動輪6を装着しており、前記揺動軸8が後車軸33の直下から前方へ偏位していてその偏位している寸法Kは前記揺動軸8から枢支軸22までの水平距離S1より短く設定され、前記イコライザリンク20における枢支軸22から後側2輪の遊転輪5の輪軸5Aまでの距離T1、T2は同一であることを特徴とする。
3輪の内の前遊転輪5が石等の障害物Mに乗り上げると、イコライザリンク20に枢支された後側の2遊転輪5は、イコライザリンク20の揺動によって同時に接地することになり、トラックフレーム2の後部にかかる荷重は後側の2遊転輪5が分担して支持することになり、前側の前遊転輪5にかかる荷重も軽減される。
4輪の遊転輪5が前後イコライザリンク20F、20Rに枢支されていて、前イコライザリンク20Fの2遊転輪5が石等の障害物Mに乗り上げた場合も、後イコライザリンク20Rに枢支された後側の2遊転輪5は同時に接地して荷重を分担支持し、前イコライザリンク20Fにかかる荷重は軽減され、トラックフレーム2の振動も抑制される。
図1〜5に示す第1の実施の形態おいて、クローラ走行装置1を装備するトラクタは、エンジン、ミッションケース31及び前車軸フレーム等で走行機体30を構成し、前車軸フレームに駆動可能な操向輪としての前輪を縣架し、エンジンをボンネットで被っており、キャビン又はロプスを搭載して操縦部及び運転席を被っており、走行機体30の後部に油圧装置及び3点リンク機構を介してロータリ耕耘機等の後部作業機を牽引装着している。
テンション調整機構9は、トラックフレーム2の上面の前下向き傾斜した傾斜台2aに固定の支持体11と、この支持体11に長手方向摺動自在に支持されていて前従動輪3の支軸3Aを支持する軸支体10と、この軸支体10を前従動輪3側へ弾発するテンションスプリング12と、クローラ7が伸びたときに軸支体10を前従動輪3側へ移動して伸びを吸収する弛み修正手段13とを有している。図1の符号17はテンション調整機構9を被うカバーを示している。
前記弛み修正手段13は軸支体10の支持板10aの背面に固定の内筒体14と、この内筒体14に外嵌されていて傾斜台2aに固定の外筒体15と、前記内筒体14内に配置されていて支持体11に対して軸支体10を前方へ押動する押動具16とを有する。押動具16はクローラ7が伸びて軸支体10が前方へ移動したときに、グリスが浸入して軸支体10の後戻りを阻止する油圧構造となっている。但し、押動具16は押しネジ式でもよい。
前記ガイド棒10cを左右一対設けていることにより軸支体10の回り止めが行われており、この左右一対のガイド棒10cのそれぞれにテンションスプリング12が設けられていることにより、前従動輪3の支持はダブルサスペンション構造となり、前従動輪3によるテンション調整の左右方向安定性及び耐久性を向上している。
遊転輪5は、前従動輪3及び後従動輪4よりも小径であり、トラックフレーム2に輪軸5Aを介して前後3輪配置されており、遊転可能なマタギ転輪を例示している。
前記遊転輪5の内の前側の1輪の遊転輪5は、輪軸5Aがトラックフレーム2に下面に固定の単独ブラケット24を介して支持されており、前記遊転輪5の内の後側の2輪(中途部及び後部)の遊転輪5は、輪軸5Aをイコライザリンク20に枢支し、このイコライザリンク20の前後中途部をトラックフレーム2に固定のブラケット21に枢支軸22を介してシーソ揺動自在に枢支している。
前記揺動軸8からイコライザリンク20の枢支軸22までの水平距離S1は、揺動軸8から前記遊転輪の内の前側遊転輪5の輪軸5Aまでの水平距離S2より短く設定されており、トラックフレーム2にかかる荷重を前側遊転輪5よりも後側の2輪で主に担持するようになっている。
駆動輪6が遊転輪5の上方に配置されていることにより、前従動輪3及び後従動輪4とは三角配置となり、駆動輪6は三角形の上側頂点を形成し、前従動輪3及び後従動輪4はそれぞれ下側一頂点を形成する。それら全輪に巻き掛けられたクローラ(弾性履帯)7は、側面視において略三角形(おむすび形)となり、遊転輪5は略三角形の底辺に位置する。
補強枠37は、前記左右の後車軸ケース34にボルト固定された取付け枠体38と、ミッションケース31の下面にボルト固定されていて左右両端が取付け枠体38と連結されている連結材39とを有している。前記取付け枠体38の上止め板38aにキャビン支持台40が設けられている。
前記揺動軸8の軸芯が後車軸33の直下又はそれより前方に位置し、かつクローラ走行装置1の揺動軸8の軸芯から前側部分の水平距離L1が後側部分のそれよりも若干長く形成されていると、クローラ走行装置1を浮かした状態でクローラ7にテンションを付与すると、クローラ走行装置1は駆動輪6と前従動輪3及び後従動輪4との間のテンションが平衡になるように前部が浮き上がることになり、その状態で接地させると、走行装置前部に上方向の力を付与する。この上方向の力により障害物への乗り上がりが容易になり、クローラ走行装置1は圃場における走破性が向上し、走行安定性及び牽引力増大を図ることができる。
前記第1の実施の形態における3輪の遊転輪5の機能を、図1、2、5において更に詳述する。
図5イのように前遊転輪5が障害物Mに乗り上げたとき、イコライザリンク20がシーソ揺動してイコライザ作用を発揮し、中途遊転輪5も後遊転輪5とともに接地する。揺動軸8から枢支軸22までの水平距離S1は揺動軸8から前遊転輪5までの水平距離S2より短いので、従来の前遊転輪5と後遊転輪5の2輪で支持する場合よりも、前遊転輪5と枢支軸22で支持する場合の方が、枢支軸22にかかる荷重は大になり、前遊転輪5にかかる荷重は小になる。
従って、前遊転輪5が障害物Mに乗り上げたときに、3輪が荷重を分担し、相対的に前遊転輪5の分担する荷重が小になるので、前従動輪3側の浮き上がり力を抑えようとする荷重が減少する。
図6は第2の実施の形態を示しており、トラックフレーム2の中途部に前後方向4輪の遊転輪5を設け、前側2輪と後側2輪の遊転輪5をそれぞれイコライザリンク20F、20Rに枢支し、このイコライザリンク20F、20Rのそれぞれの前後中途部をトラックフレーム2に枢支軸22F、22Rを介して枢支しており、前記揺動軸8から後枢支軸22Rまでの水平距離S1を揺動軸8から前枢支軸22Fまでの水平距離S3より短く設定している。
前後従動輪3、4が遊転輪5の地面側の水平な接線より寸法Hだけ上位に位置していることも相まって、前後イコライザリンク20F、20Rにそれぞれ枢支された前後計4輪の遊転輪5は、イコライザ作用によって同時に接地して荷重を分担支持し、前イコライザリンク20Fにかかる荷重も軽減され、トラックフレーム2の振動も抑制される。
例えば、クローラ7にテンションを付与したときに走行装置前部に上方向の力を付与するなら、揺動軸8は駆動輪6の中心より下方で真下より僅かに後方に位置しても支障はなく、遊転輪5が4輪ある場合は、後側2輪のみをイコライザリンク20で支持し、残りの前側2輪をトラックフレーム2に個別支持してもよい。
2 トラックフレーム
3 前従動輪
4 後従動輪
5 遊転輪
5A 輪軸
6 駆動輪
7 クローラ
8 揺動軸
20 イコライザリンク
22 枢支軸
Claims (4)
- 走行機体(30)の後車軸ケース(34)に対して揺動軸(8)を介してトラックフレーム(2)を揺動自在に支持し、このトラックフレーム(2)の前後端部に前後従動輪(3、4)を配置するとともに中途部に前後方向3輪の遊転輪(5)を設け、前記トラックフレーム(2)の前後方向中途部上方に後車軸ケース(34)に支持された後車軸(33)から動力が伝達される駆動輪(6)を配置し、前記駆動輪(6)、前後従動輪(3、4)及び遊転輪(5)にクローラ(7)を巻き掛けており、
接地時の前記揺動軸(8)から前従動輪(3)までの水平距離(L1)を揺動軸(8)から後従動輪(4)までの水平距離(L2)より長く設定しており、
前記各遊転輪(5)はマタギ転輪で形成されていて、トラックフレーム(2)の左右側部下方に配置されており、
前記遊転輪(5)の内の後側2輪の遊転輪(5)をイコライザリンク(20)に枢支し、このイコライザリンク(20)の前後中途部をトラックフレーム(2)の下部に枢支軸
(22)を介して取り付けており、
前記揺動軸(8)から枢支軸(22)までの水平距離(S1)を揺動軸(8)から前記遊転輪(5)の内の前側遊転輪(5)の輪軸(5A)までの水平距離(S2)より短く設定し、かつ、前後方向において前記イコライザリンク(20)に枢支された後側2輪の遊転輪(5)の内の前側遊転輪(5)の輪軸(5A)と前記枢支軸(22)との間に前記駆動輪(6)の中心を配置しており、
前記揺動軸(8)を、高さ方向でトラックフレーム(2)と駆動輪(6)の中心との間に配置し、前後方向でイコライザリンク(20)に枢支された後側2輪の遊転輪(5)の内の前側遊転輪(5)の輪軸(5A)と枢支軸(22)との間に配置し、かつ左右方向でイコライザリンク(20)及びトラックフレーム(2)のイコライザリンク(20)を取り付けている部分よりも走行機体(30)側に配置しており、
前記トラックフレーム(2)は断面背面形状において上半分が左右幅広の角筒形状に形成されかつ下半分が左右幅狭の角筒形状に形成されていることを特徴とするクローラ走行装置。 - 走行機体(30)の後車軸ケース(34)に対して揺動軸(8)を介してトラックフレーム(2)を揺動自在に支持し、このトラックフレーム(2)の前後端部に前後従動輪(3、4)を配置するとともに中途部に前後方向3輪の遊転輪(5)を設け、前記トラックフレーム(2)の前後方向中途部上方に後車軸ケース(34)に支持された後車軸(33)から動力が伝達される駆動輪(6)を配置し、前記駆動輪(6)、前後従動輪(3、4)及び遊転輪(5)にクローラ(7)を巻き掛けており、
接地時の前記揺動軸(8)から前従動輪(3)までの水平距離(L1)を揺動軸(8)から後従動輪(4)までの水平距離(L2)より長く設定し、前記揺動軸(8)を駆動輪(6)の中心より下方に配置しており、
前記遊転輪(5)の内の後側2輪の遊転輪(5)をイコライザリンク(20)に枢支し、このイコライザリンク(20)の前後中途部をトラックフレーム(2)に枢支軸(22)を介して枢支しており、
前記揺動軸(8)から枢支軸(22)までの水平距離(S1)を揺動軸(8)から前記遊転輪(5)の内の前側遊転輪(5)の輪軸(5A)までの水平距離(S2)より短く設定し、かつ、前後方向において前記イコライザリンク(20)に枢支された後側2輪の遊転輪(5)の内の前側遊転輪(5)の輪軸(5A)と前記枢支軸(22)との間に前記駆動輪(6)の中心及び揺動軸(8)を配置しており、
前記トラックフレーム(2)は断面背面形状において上半分が左右幅広の角筒形状に形成されかつ下半分が左右幅狭の角筒形状に形成され、前記幅広上半分と幅狭下半分とは内部が連通されていることを特徴とするクローラ走行装置。 - 前記トラックフレーム(2)の幅狭下半分の下面に前記枢支軸(22)を支持するブラケット(21)が固定され、前記遊転輪(5)はマタギ転輪で形成されていて、前記幅狭下半分の左右外側でかつ幅広上半分の左右側部下方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクローラ走行装置。
- 前記後車軸ケース(34)から外側方に後車軸(33)を突出し、この後車軸(33)に駆動輪(6)を装着しており、前記揺動軸(8)が後車軸(33)の直下から前方へ偏位していてその偏位している寸法(K)は前記揺動軸(8)から枢支軸(22)までの水平距離(S1)より短く設定され、前記イコライザリンク(20)における枢支軸(22)から後側2輪の遊転輪(5)の輪軸(5A)までの距離(T1、T2)は同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクローラ走行装置。
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