JP2004338003A - 超仕上げ盤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケース(44)に揺動可能に支持される砥石揺動軸(48)と、前記砥石揺動軸(48)の端部に取り付けられ、砥石(52)を保持する砥石ホルダー(54)とを備えた超仕上げ盤(40)において、前記砥石揺動軸(48)は軸方向に中空部(66)を備え、被加工物(70)を中空部(66)内に通過させながら超仕上げ加工可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超仕上げ盤、特に、産業機械等に用いられる直動転がり案内装置の軌道溝を超仕上げする超仕上げ盤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的に使用される直動転がり案内装置(リニアガイド装置)としては、例えば、図6に示すような、軸方向に延びる案内レール1と、その案内レール1を跨いで組み付けられたスライダ2とを備えたものが知られている。案内レール1の両側面1b,1bには、軸方向に転動体転動溝3が形成されている。
【0003】
また、スライダ2は、スライダ本体2Aとその軸方向の両端部に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bとからなり、スライダ本体2Aは両袖部6の内側面に案内レール1の転動体転動溝3に対向する転動体転動溝4を有するとともに、袖部6の肉厚部分を軸方向に貫通する転動体戻し路11を有している(図7を参照)。そして、これら対向する転動体転動溝3,4から転動体転動路10が形成されている。
【0004】
エンドキャップ2Bは、転動体転動路10とこれに平行な転動体戻し路11とを連通させる湾曲路を有しており、転動体転動路10と転動体戻し路11と両端の湾曲路とで、転動体循環路が形成されている。この転動体循環路内には、例えば鋼球からなる多数の転動体5が装填されている。
【0005】
案内レール1に組み付けられたスライダ2は、転動体転動路10内の転動体5の転動を介して案内レール1に沿って滑らかに移動し、その移動中、転動体5はスライダ2内の前記転動体循環路内を転動しつつ無限循環する。また、スライダ2には、案内レール1との間の隙間の開口をシールするサイドシール7が、両端部(各エンドキャップ2Bの端面)に装着されている。なお、図6中の符号8で示すものは、グリースニップルである。
【0006】
上記のような直動転がり案内装置において、案内レール1とスライダ2に形成された転動体転動溝3,4は、研削加工により仕上げられていたが、使用の初期段階(走行数kmの段階)で部材間のなじみに伴う摩耗(初期摩耗)が生じ、摺動抵抗の低下や摩耗粉の発生が生じやすいという問題があった。また、直動転がり案内装置が組込まれる機器においては、近年、高精度化、高速化、低振動化、低騒音化の要求が高まっている。このため、転動体転動溝の面精度が要求されるようになり、転動体転動溝の超仕上げ加工が必要となってきた(特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特願2002−130271号公報(4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、転動体転動溝を研削後に超仕上げすることは記載されているが、超仕上げを行う具体的な装置については記載されていない。
図8は、直動転がり案内装置の転動体転動溝を超仕上げ加工する従来の超仕上げ盤20を示す。超仕上げ盤20は、案内レール22の転動体転動溝の曲率中心と砥石ホルダー26に保持された砥石24の揺動中心が一致するように、支持回転治具(図示なし)により案内レール22を回転支持する。この状態で、砥石加圧機構28により砥石24を転動溝に押し付けると共に揺動軸30により砥石24を所定角βで揺動させながら、案内レール22を軸方向に往復動させて、転動溝の超仕上げ加工を行う。
【0009】
しかしながら、案内レール22の全長に亘って転動体転動溝を超仕上げする場合には、超仕上げ盤20は砥石ホルダー26を必然的に長くする必要があり、例えば、長さ1mの案内レールを超仕上げする場合には、砥石ホルダー26も1m以上の長さを必要とする。また、砥石ホルダー26が大型化すると、それに伴い超仕上げ盤20全体も大きくなってしまうため、装置のコストが高くなるとともに、大きな設置スペースが必要となる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、被加工物の長さに左右されず、コンパクトで低価格な超仕上げ盤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
(1)ケースに揺動可能に支持される砥石揺動軸と、砥石揺動軸の端部に取り付けられ、砥石を保持する砥石ホルダーとを備えた超仕上げ盤において、
前記砥石揺動軸は軸方向に中空部を備え、被加工物を中空部内に通過させながら超仕上げ加工可能であることを特徴とする。
(2)前記砥石揺動軸は、筒状の中空軸であることを特徴とする(1)に記載の超仕上げ盤である。
上記構成の超仕上げ盤によれば、中空部を有する砥石揺動軸により、長尺の被加工物を中空部内に通過させながら超仕上げ加工することができるので、砥石ホルダーを被加工物の長さに係わらずコンパクトな大きさにすることができると共に、コンパクトで低価格な超仕上げ盤を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1、2は、被加工物としての案内レールを加工する超仕上げ盤40を示す。超仕上げ盤40は、台座42(図2参照)に固定された揺動軸ケース(ケース)44に、軸受46を介して回転可能に支持された砥石揺動軸48と、砥石揺動軸48の一端部に設けられたフランジ部50に取付けられ、砥石52をスライド可能に保持する砥石ホルダー54とを備える。また、砥石ホルダー54の中間部には、砥石52を加圧する砥石加圧機構56が設けられている。
【0013】
砥石加圧機構56は、砥石ホルダー54内に配置され圧力室を形成する筒状の加圧ケース58と、加圧ケース58内に設けられたスプリング60の上部に載置された加圧ピストン62と、加圧ピストン62に連結されて加圧ケース58の外周面に沿って軸方向に移動可能な加圧部材64とを備える。加圧ピストン62は、圧力室に送り込まれたエアーによってスプリング60に抗して押し下げられ、砥石52は加圧ピストン62に連結された加圧部材64によって加圧される。
【0014】
砥石揺動軸48は、中空部66を構成する筒状の中空軸であり、砥石ホルダー54に形成された貫通孔68と連通する。被加工物である案内レール70は、砥石揺動軸48の中空部66、砥石ホルダー54の貫通孔68内を軸方向に移動可能であるように、図示しない支持回転治具によって回転支持されている。
【0015】
また、図2に示されるように、揺動軸ケース44の側方には、中間軸ケース72が並設されている。中間軸ケース72には、一端に従動プーリ74が固定された中間軸76を備えており、従動プーリ74はモータ(図示せず)に連結された駆動プーリ78によりベルト80を介して回転する。また、従動プーリ74の側部には、中間軸76に対し偏心した位置に固定されたクランクピン82が設けられており、連結棒84の一端を支持している。また、連結棒84の他端は、砥石揺動軸48の他端部に取付けられた揺動アーム86に軸受88を介して支持されている。
【0016】
次に、本実施形態における超仕上げ盤を用いて、被加工物である案内レールを加工する動作について説明する。
案内レール70は、転動体転動溝の曲率中心が砥石52の揺動中心と一致するように支持回転治具(図示せず)により回転支持される。砥石加圧機構56の圧力室内にエアーを送り込むことによって、加圧ピストン62に連結された加圧部材64が砥石52を案内レール70の転動体転動溝に押し付けている。これと同時に、モータ(図示せず)を駆動すると、中間軸76が駆動プーリ78、ベルト80、従動プーリ74を介して回転駆動される。また、中間軸76の回転駆動により、クランクピン82に取付けられた連結棒84が揺動アーム86を矢印Aの方向に揺動させる。これにより、揺動アーム86に固定された砥石揺動軸48が砥石52を所定角度βで揺動する。この状態で、案内レール70が砥石揺動軸48の中空部66内を軸方向に往復動して、転動体転動溝の超仕上げ加工が行われる。
【0017】
本実施形態においては、砥石揺動軸48は中空軸として構成されたことで、案内レール70を加工中に中空軸内に通すことが可能となり、案内レール70の長さに左右されずに超仕上げを行うことができる。このため、砥石ホルダー54を従来例のように大きくする必要がなく、砥石ホルダー54を速く振ることができ、加工時間を短縮することができる。また、超仕上げ盤40全体をコンパクトにすることができるとともに、省スペースを計ることができる。
【0018】
次に、本発明の他の実施形態に係わる超仕上げ盤について説明する。
図3に示されるように、他の実施形態では、砥石の代わりに、先端が砥石の先端円弧形状と同じ形状をなす押圧治具115と、押圧治具115の先端に密着される研磨テープ118が用いられる。
研磨テープ118の片面、即ち、研磨作用面には研磨材が付着されている。研磨テープ118は押圧治具115の両側に配置された支持ロール117に掛け渡され、押圧治具115の先端に一体的に張り付くように張力が与えられる。
【0019】
押圧治具115は軸方向に往復動する案内レールに向けて押し付けられながら、押圧治具115、研磨テープ118、支持ロール117が一体で案内レールの転動溝断面円弧中心を中心に揺動することで案内レールの転動溝は超仕上げ加工される。
なお、その他の構成及び作用は、上記の実施形態のものと同じであり、詳細な説明は省略する。
【0020】
なお、本実施形態では、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更、改良等が可能である。
上記実施形態では、被加工物として長尺の案内ワークが加工されたが、図4に示された直動転がり案内装置のスライダ90や、図5に示されたボールスプライン軸100等、被加工物の長さに係わらず加工することができる。また、適宜砥石を選択することで、単一円弧溝やゴシックアーク溝等、所望の溝形状に加工することができる。
【0021】
また、上記実施形態の超仕上げ盤において、砥石揺動軸は中空軸として形成されていたが、アーム側は開口している必要はなく、超仕上げの際に案内レールを十分に収容できる程度の中空部を有していればよい。
さらに、砥石ホルダーは、砥石揺動軸の中空部と連通する貫通孔として形成されたが、砥石揺動軸のフランジ部の一部に確実に固定されればよく、砥石ホルダーに貫通孔を設けなくてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る超仕上げ盤によれば、中空部を有する砥石揺動軸により、砥石ホルダーを被加工物の長さに係わらずコンパクトな大きさにすることができると共に、コンパクトで低価格な超仕上げ盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の超仕上げ盤の一実施例を示し、(a)は超仕上げ盤の縦断面図であり、(b)は(a)の正面図である。
【図2】本実施形態の超仕上げ盤の砥石揺動機構を示す右側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態の超仕上げ盤の一部を示す斜視図である。
【図4】本発明の超仕上げ盤により直動転がり案内軸受のスライダが加工される例を示す図である。
【図5】本発明の超仕上げ盤によりボールスプライン軸が加工される例を示す図である。
【図6】一般的な直動転がり案内装置を示す斜視図である。
【図7】図6の直動転がり案内装置を示す正面図である。
【図8】従来の超仕上げ盤を説明する図であり、(a)はその縦断面図で、(b)は(a)の正面図である。
【符号の説明】
40 超仕上げ盤
44 揺動軸ケース(ケース)
48 砥石揺動軸
52 砥石(研磨手段)
54 砥石ホルダー
56 砥石加圧機構
66 中空部
70 案内レール(被加工物)
Claims (2)
- ケースに揺動可能に支持される砥石揺動軸と、前記砥石揺動軸の端部に取り付けられ、砥石を保持する砥石ホルダーとを備えた超仕上げ盤において、
前記砥石揺動軸は軸方向に中空部を備え、被加工物を中空部内に通過させながら超仕上げ加工可能であることを特徴とする超仕上げ盤。 - 前記砥石揺動軸は、筒状の中空軸であることを特徴とする請求項1に記載の超仕上げ盤。
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