JP2004335313A - 固体高分子形燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】加湿ガスと無加湿ガスとを、露点調節して燃料電池に供給可能に構成される燃料電池システムにおいて、発電電圧の変動がないものとする。
【解決手段】加湿ガスの温度・湿度を加湿器3で決める場合に、無加湿ガスおよび、加湿ガスと無加湿ガスの合流部7から燃料電池1に至る流路部位にウオータジャケット10を設け、このウオータジャケット10内に燃料電池1から排出される冷却水wを回す。
【選択図】 図1
【解決手段】加湿ガスの温度・湿度を加湿器3で決める場合に、無加湿ガスおよび、加湿ガスと無加湿ガスの合流部7から燃料電池1に至る流路部位にウオータジャケット10を設け、このウオータジャケット10内に燃料電池1から排出される冷却水wを回す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子形燃料電池システムに関するものであり、さらに詳細には、水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
反応ガスの少なくとも一方を固体高分子形燃料電池に導入するに、
反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して加湿ガスと無加湿ガスとを固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の固体高分子形燃料電池(以下単に燃料電池と称する)は、加湿回路と無加湿回路とを備え、これらそれぞれの回路を経て得られる加湿ガス及び無加湿ガスを、それら単独で、あるいは適宜混合して、燃料電池に導入する。
このように、加湿ガスと無加湿ガスとを適宜調節して、燃料電池に供給することで、反応ガスの露点は、所定の適切な範囲に制御され、部分負荷運転状態にあっても、電池内で結露が発生する等の問題を解消することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに具体的には、例えば、図6(イ)に示すように、燃料電池への反応ガスの導入部位に、加湿器を備えて反応ガスを加湿する場合、無加湿回路は、この加湿器に対するバイパス路として構成される。
【0004】
そして、加湿器より下流側の部位に加湿ガスと無加湿ガスとを流量制御を伴って混合する流量制御弁が設けられ、この流量制御弁部位(合流部)で、混合割合を変化させる等して、所望の露点の混合ガスが生成される。
即ち、部分負荷状態にあっては、ある程度無加湿ガスが混合された状態の反応ガスを生成して、燃料電池へ送っている。
【0005】
このような流量制御弁を備えることなく、単なる流路切換弁を設け、加湿ガスを電池側へ送る時間と、無加湿ガスを電池側へ送る時間との時間比を変更しても、所定の周期で、電池側へ送られる反応ガスの露点を調節することができる。
【0006】
一方、通常負荷状態にあっては、基本的には、加湿器側で生成される加湿ガスが、無加湿ガスと混合されることなく、そのまま、燃料電池に供給されていた。
この運転状態では、例えば、燃料電池の反応ガス出口におけるガス温度・露点(通常、この位置の温度・露点で電池の状態が定義される)がガス温度70℃・露点70℃の場合、燃料電池の反応ガス入口において、上記状態に相応する入口状態が実現するように、加湿器の運転状態が調整される。
【0007】
さて、従来、ガスの加湿が実行されない、所謂、バイパス側の無加湿回路を流れる無加湿ガスに関しては、図6(イ)に示すように、このガスが、温度操作、加湿操作を受けることなく、直接合流部まで導かれていた。
【0008】
さらに、上記流量制御弁から燃料電池に至る流入ガス流路に関しては、公開特許に示されるように、ガス配管の保温は、この流路周りに巻き付けた保温材・断熱材のみで行っており、ヒーター等を利用した温度調節がおこなわれていなかった(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−141085号公報
【特許文献2】
特開平10−64569号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
今般、発明者らの実験により、上記した図6(イ)に示す反応ガスの導入構成において、一般的な通常運転時の作動のように、加湿器で加湿された加湿ガスのみで燃料電池を運転する場合にあっても、図6(ロ)に示すような、出力電圧の乱れが発生することが判明した。図6(ロ)は、横軸に時間を、縦軸に電池出力電圧を取ったものであり、その電圧変動幅が、大きなところで、6〜8mV程度に達している瞬間があることが判る。
【0011】
この現象は、今般、前述のバイパス路を設けた構成において見られるようになったものであり、電池に供給される反応ガスは加湿器を経たもののみとされる運転形態で発生している。
【0012】
本発明の目的は、加湿ガスと無加湿ガスとを、露点が調節された反応ガスとして燃料電池に供給可能に構成される燃料電池システムにおいて、発電電圧の変動が実質的にない燃料電池システムを得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して前記加湿ガスと前記無加湿ガスとのいずれか一方又は両方を固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムに関する、特徴構成は、請求項1に記載されているように、
前記燃料電池を冷却して、前記燃料電池から排出される冷却水により、前記合流部に導かれる前記無加湿ガスを、加温する無加湿ガス加温手段を備えたことにある。
【0014】
この燃料電池において、燃料電池から排出される冷却水は、燃料電池の冷却の用に供されたものであるため、吸熱して、燃料電池温度とほぼ同等の温度となっている。一方、合流部に導かれる無加湿ガスが常温状態のものである場合も、この冷却水により加温され、結果的に燃料電池温度に近いものとなる。
【0015】
一方、加湿回路を経て合流部に至る加湿ガスは、本願構成では、燃料電池温度近くまで昇温されており、さらに加湿を受けている。従って、合流部において、いずれかのガスが低温側となることを原因として、燃料電池に流入されるガスが冷却され、結露等を生じることは少ない。
【0016】
結果、先に説明しているような、燃料電池に導入されるガスの結露水により、電池発電電圧が変動するという問題を解消することができる。
【0017】
さらに、上記構成の燃料電池システムにおいて、請求項2に記載されているように、前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調整して、前記燃料電池に送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス加温手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスを前記冷却水により加温する構成とされることが好ましい。
【0018】
制御弁を備えることにより、加湿ガス、無加湿ガスのいずれか一方を燃料電池に導入する運転状態、さらには、両ガスを混合して導入する運転状態を実現できる。ここで、両ガスのいずれか一方を燃料電池に導入する時間を交互に切り換えて運転する、あるいは、制御弁部位で流量比を変えて混合して燃料電池に導入する等の操作により、電池に導入されるガスの露点を所望のものとすることができる。
【0019】
そして、少なくとも、この制御弁の流入部位で、制御弁に導かれる無加湿ガスを冷却水により加温する構成を採用することで、無加湿ガスが低温側となることを回避でき、発電電圧の安定化に寄与できる。
【0020】
また、請求項3に記載されているように、前記合流部から前記燃料電池の流入口に至る流入ガス流路内を流れるガスと、前記燃料電池から流出する前記冷却水が熱交換可能に構成されていることが好ましい。
【0021】
この構成を採用する場合は、流入ガス流路内を流れるガス温度を冷却水との熱交換により、燃料電池温度とほぼ等しい温度に保つ、もしくは、加温することが可能となり、燃料電池に導入されるガスの状態を、ほぼ、電池内のガスの状態とでき、結果的に電池の運転状態が格段に安定化される。
また、このシステムでは、流入ガス流路の保温・温調に用いるヒーター、温度コントローラー等の外付け機器を必要とすることはない。
【0022】
さて、上記目的を達成するための、さらなる特徴構成は、
水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を前記固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの何れか一方又は両方を前記固体高分子形燃料電池に導入可能な燃料電池システムにおいて、請求項4に記載されているように、
前記無加湿ガスを、前記加湿手段を経て加湿された前記加湿ガスの温度に調節して、前記合流部に導く無加湿ガス温度調節手段を備えたことにある。
【0023】
この構成の場合も、無加湿ガスが低温側となるのを避けるためのものであるが、この構成の場合は、加湿ガスとの温度差を問題とする。
そして、無加湿ガス側のガス温度を積極的に加湿ガス側のそれに合わせる。このようにすると、加湿ガスと無加湿ガス間で温度差を無くすることが可能となり、何れかのガスを燃料電池に導入する場合、これらガスを混合して電池に導入する場合に係わらず、ガスの温度低下に伴う結露の問題を解消できる。
合流部から燃料電池間は、一般に徐々に温度が上昇するか、ほぼ、同温に維持される部位であるため、この間においても問題を生じることはない。
【0024】
この構成において、請求項5に記載されているように、
前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調整して、前記燃料電池へ送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス温度調節手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスの温度を調節するものとされていることが好ましい。
【0025】
制御弁の役割は、請求項2に関して述べたと同様であり、制御弁の流入部位を温度調節することで、無加湿ガス側が温度低下することを原因として、結露等を発生し、電圧変動の要因となることが避けられる。
【0026】
同様に、請求項6に記載されているように、
前記加湿手段が、ガスを温水内でバブリングさせて水分を添加する加湿器であり、
前記無加湿ガス温度調節手段を構成するに、
前記無加湿ガスが前記温水との熱交換により前記加湿ガスの温度に調節されることが好ましい。
【0027】
この場合、加湿手段を備えることで、加湿ガス側の温度、露点は加湿手段の運転条件により決定される。加湿をバブリング形態で実行する加湿器にあっては、容器内に加湿用の温水が収容されているため、例えば、無加湿ガスが流れる回路を、この温水内を通るように構成し、温水により無加湿ガスが加温されるようにする。こうすることで、結果的に、加湿ガスと無加湿ガスとの温度をほぼ同一とすることで、合流部以下の部位で、結露が発生することを回避でき、本願の課題である、発電電力の変動の問題を解消できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本願の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本願の実施の形態は、第一の実施形態と第二の実施形態からなる。
第一の実施形態は、燃料電池1から排出される冷却水wにより、燃料電池1に導入される反応ガスの状態(温度等)設定するものであり、第二の実施形態は、燃料電池1に導入される反応ガスの状態を適切に設定すべく、無加湿ガスの温度を調節するものである。
【0029】
さらに、以下に説明する実施の形態では、酸化剤ガスa である空気側に対して本願独特の構成を採用する例について説明する。水素を含む燃料ガスf側に関しては説明を省略するが、当然に、燃料ガスで、加湿ガス、無加湿ガスを形成し、露点を調節して燃料電池に導入する構成を採用する場合は、本願の構成を採用できる。
【0030】
1 第一の実施形態
〔システム構成〕
この実施の形態のシステム構成例を図1に示した。
a 全体構成
システムは、燃料ガスfと酸化剤ガスaとが電気化学反応をして発電をする燃料電池1、この電池1に燃料ガスfに含まれる水素を供給するための改質器2、電池に供給される酸化剤ガスaである酸素を含む空気を加湿するための加湿器3を備えて構成されるとともに、電池冷却用の冷却水wが循環する冷却水循環系統Wを備えている。
冷却水wは、燃料電池1であるセルスタックCSと、排熱回収用の熱交換器4との間で循環される。
【0031】
以下、燃料ガスの供給排出系統F、酸化剤ガスの供給排出系統A、冷却水の循環系統Wの順に、このシステムの基本構成を説明する。
【0032】
b 燃料ガスの供給排出系統F
燃料電池1では、水素が燃料として使用されるが、このシステムにあっては、都市ガスが、その出発原料として使用される。
即ち、改質器2に供給される都市ガスが、所定の改質反応により水素に改質され、燃料電池1に送られる。
この改質器2で得られた水素を含む燃料ガスfは、セルスタックCS内に備えられる燃料ガス流路CSfに導入され、所定の電気化学反応により発電の用に供される。発電に伴って燃料ガスfは加熱される。発電を終えた燃料ガスfは、改質器2に戻され、改質器2での加熱に供された後、排出される。
【0033】
c 酸化剤ガスの供給排出系統A
燃料電池1では、酸素が他方の燃料として使用されるが、このシステムにあっては、空気が、酸化剤ガスaとして使用される。
この酸化剤ガスaは、燃料電池1を所定の加湿状態に保つ意味から、加湿器3を介するものとされ、燃料電池1での酸化剤ガスaの状態(温度・露点)に近い状態に加湿器3において、温度・露点が調節される。さらに詳細には、温度に関しては、両者間でほぼ同一に設定され、湿度に関しては、飽和に近い状態に調節される。この加湿器3の下部域には加熱機構32が備えられ、この加熱温度を調節することで、加湿ガスの温度及び露点が調節されることとなる。但し、この加熱機構32は、燃料電池1から排出され・戻されてくる酸化剤ガスaが有する排熱では不足する場合に使用される。
【0034】
この加湿器3で得られた、加湿状態の酸化剤ガスaは、セルスタックCS内に備えられる酸化剤ガス流路CSaに導入され、所定の電気化学反応により発電の用に供される。この発電に伴って酸化剤ガスaは加熱される。発電を終え、加熱された酸化剤ガスaは、加湿器3に導かれ、加湿器3で加熱の用に供された後、排ガスとして排出される。
【0035】
d 冷却水循環系統W
この系統は、基本的には燃料電池1の温度を適正な温度に維持するために設けられているものであり、セルスタックCS内に設けられる冷却水流路CSwと排熱回収用の熱交換器4内の給熱側流路4aとの間を循環する循環路として構成されている。結果、燃料電池1側でその冷却に使用された後、熱交換器4で排熱を回収することが可能とされている。
【0036】
e 特徴構成
以上が、本願システムの基本構成である。以下、本願の特徴部分に関して説明する。
【0037】
図1に示すように、前記酸化剤ガスaを加湿器3を介して燃料電池1に導く供給系統に、この加湿器3をバイパスする形態でバイパス路5が備えられている。
バイパス路5は加湿器3の上流側の分岐部6で流路が分岐されるとともに、加湿の下流側、燃料電池1の上流側に位置する合流部7で流路が合流されるように構成されている。ガスを加湿する回路を加湿回路と、加湿することなく加湿されないガス(無加湿ガス)を得る回路を無加湿回路と呼ぶ。
【0038】
これら分岐部6および合流部7には、それぞれ三方弁である流路切換え弁Vが設けられており、燃料電池1に導入される酸化剤ガスaを、加湿ガスもしくは無加湿ガスとすることが可能な構成が採用されている。加湿器3を介して酸化剤ガスaが流れる場合は加湿ガスが形成されるのであり、バイパス路5を介して酸化剤ガスaが流れる場合は無加湿ガスが形成されることとなる。
【0039】
これら切換え弁Vに対しては、制御器8が設けられていおり、この制御器8の設定により、流路の切換え制御が実行される。制御器8は、これら弁Vに対する制御の他、加湿器3の運転制御、燃料電池1の運転制御、改質器2の運転制御を受け持つ。
【0040】
さらに、前記の冷却水循環系Wに関して、前記合流部7からセルスタックCSに至る酸化剤ガスaの流入ガス流路9,および、合流部7に設けられる流路切換え弁Vへのバイパス路5の連結部位に、この冷却水循環系Wを循環する冷却水が流れるウオータジャケット10が設けられている。
このウオータジャケット10内を流れる冷却水wは、燃料電池1を冷却したものであるため、その温度は、ほぼ燃料電池1の温度となっており、前記流入ガス流路9の温度を燃料電池温度に保つこととなるとともに、合流部7に設けられた流路切換え弁Vに導かれる(流れているといないとを問わない)無加湿ガスを室温状態から電池温度に昇温することとなる。
本願にあっては、合流部に導かれる無加湿ガスを冷却水により加温する手段を無加湿ガス加温手段と称する。
【0041】
〔システム動作と発電電力〕
上記構成の燃料電池1の運転状況に関して、通常運転、部分負荷運転、停止運転時の状況を、以下、説明する。
燃料電池1には燃料ガスfと酸化剤ガスaが共に供給されるとともに、冷却水wが循環されて運転が行われるが、本願にあっては、酸化剤ガスaの処理にその特徴があるため、このガス側に関して主に説明する。
【0042】
通常運転
この状態にあっては、燃料電池1の適正な運転状態が設定されると、この設定に従って、加湿器3の設定、改質器2の設定が成される。この状態で流路切換え弁Vは共に、加湿器3側の流路が開かれる構成とされ、加湿状態の酸化剤ガスaが燃料電池1に導入される。
燃料電池1の運転条件を70℃とする場合(この状態で電池出口では湿度100%・露点70℃である)、加湿器3における設定は、露点が、この温度よりわずかに低いものに調整され、例えば、加湿温度65℃程度(ガス温度65℃・露点65℃)に調整される。
バイパス側に関しては、常温の無加湿ガスが合流部7まで導かれる。しかしながら、上述のように、燃料電池1から排出される冷却水w(温度70℃)が、ウオータジャケット10内を流れ、合流部7から燃料電池1まで、さらに、合流部近傍の無加湿ガスを加温調節する。
結果、合流部7から燃料電池1に至るまでの加湿ガスの冷却が起こることなく、むしろ、加温されるため、結果的に、ガス温度が露点を下回る現象は起こらず、流路内で結露を起こすことはない。
【0043】
この状態における、発電電圧を図2に示した。連続運転の条件は、運転温度70℃、燃料利用率60%、酸素利用率40%、電流密度300mA/cm2 である。
先に説明した図6(ロ)に示す従来型の発電形態では、6〜8mVの変動がみられたが、この変動は見られず、1〜2mVとなっており、良好である。
【0044】
さて、この種の通常運転状態にあっては、加湿側の供給系統を単独で使用するのみならず、流路切換え弁Vを周期的に切り換えて、加湿系統を流す時間と、バイパス系統を流す時間の比を所定の割合にして運転を行うことも可能である。
このような運転を行った場合にあっても、本例の場合、加湿ガスの温度・露点は加湿器3の設定で決まるとともに、無加湿ガスの温度は冷却水wの温度として決まる。結果、燃料電池1の上流側で、電池に供給されるガスが冷却される可能性はほぼ無く、本願が問題とする結露水の発生を回避でき、電圧に変動が起こる等の問題を回避できる。
【0045】
部分負荷運転
この運転状態にあっては、電池自体の温度が低下する等の傾向にあるため、例えば、冷却水wの循環量を通常運転状態と同一とし、加湿器3における加湿条件を同一とした場合、燃料電池1側での結露の確率が上昇することとなる。
従って、燃料電池1に供給するガスの露点を下げる目的から、加湿ガスに対する無加湿ガスの量的割合を増加させて、システムを運転する。
即ち、流路切換え弁Vの切換え制御で、流量比を制御する場合、バイパス路側からの無加湿ガスの供給時間を、通常運転時のそれより、部分負荷に合わせて増加させる。
この種の部分負荷運転を行っても、本願構造を採用する場合、通常運転の項で説明したように、燃料電池の上流側で、電池に供給されるガスが冷却される可能性が低下するため、本願が問題とする結露水の発生を回避でき、電圧に変動が起こる等の問題を回避できる。
【0046】
停止運転
この運転にあっては、燃料電池1が運転を停止し、燃料電池1の温度が電池周りの環境雰囲気温度まで低下した場合も、結露が発生しないようにすることが必要である。発明者らの研究により、燃料電池1を停止し、電池温度が低下した場合に、電池内で結露が発生すると、停止期間中に、この結露水が電池電極の劣化を発生させることとなることが判明したためである。
従って、燃料電池1に対して電池停止指令が入力されると、電池停止動作の前段階として、あるいは、電池停止後に引き続く連続処理として、通常もしくは部分負荷運転において電池に供給されるガスの露点より低い露点のガスを供給する。
即ち、順次、無加湿ガスの量を増加させ、最終的には、外気とほぼ同一の状態の酸化剤ガスaを、実質、無加湿ガスとしてバイパス路5のみを介して、電池停止動作の前段階、あるいは電池停止操作直後に燃料電池1に送り込む。
このような操作を実行することで、停止状態で燃料電池内部は、ほぼ電池1の周囲環境温度と同等の温度に維持され、電池温度が周囲環境温度まで低下しても、結露を起こすことはない。
【0047】
さて、この種の停止運転を実行する場合にあっても、本願の場合、電池に導かれる酸化剤ガスaは、電池1から排出される冷却水により温度調節を受けるため、電池1に熱段差を有して酸化剤ガスaが導かれることはなく、また、露点が適切に調節されるため、燃料電池1の停止期間を含めた結露の問題を確実に解消できる。
【0048】
2 第二の実施形態
〔システム構成〕
この実施の形態の構成に関して、酸化剤ガスaである空気の燃料電池1までの供給系を図3に示した。この系統以外のシステム構成は、図1で説明したシステム構成機器と同じであり、構成的に異なる部位を主に説明する。
【0049】
このシステムにあっても、燃料電池1、改質器、加湿器30および熱交換器を備える点は、第一の実施の形態の場合と同様であり、燃料電池に対する燃料ガスの供給排出系統、酸化剤ガスaの供給排出系統A、さらに冷却水循環系統が設けられる。
【0050】
第一の実施形態にあっては、前記ウオータジャケット10を設けることで、燃料電池1から排出される冷却水wにより、合流部7から燃料電池1に至る流入ガス流路9の温度調整が実行されるとともに、合流部7に導かれる無加湿ガスの温度調整が実行されるのに対して、第二の実施形態にあっては、それを設けていない。
【0051】
そして、第二の実施の形態にあっては、酸化剤ガスaの加湿用に使用される加湿器30の構成が独特なものとされる。
図3に示すように、加湿器30は、容器31内の温水に加湿対象のガス(この例の場合は酸化剤ガスaである空気)を噴出させ、バブリングによりガスの加湿を行うものである。この場合、加湿器30の下部域には加熱機構32が備えられ、この加熱温度を調節することで、加湿ガスの温度及び露点が調節されることとなる。但し、この加熱機構32は、第一の実施の形態と同様に戻されてくる酸化剤ガスaが有する排熱では不足する場合に使用される。
【0052】
さて、この第二の実施の形態で採用する加湿器30にあっては、図示するように、無加湿ガスが流れるバイパス路50が、その一部において加湿器30内に導入され熱交換用のコイル51を経て、合流部7に導かれるように構成されている。
従って、コイル51において無加湿ガスは、バブリング用の温水と熱交換し、加湿ガスとほぼ同等の温度まで昇温される。結果、無加湿ガス側が低温となり、燃料電池1に導入されるガス(例えば加湿ガス)が冷却され、このガスで結露等の問題を発生することはない。
本願にあっては、加湿後の加湿ガスの温度に無加湿ガスを調節して、合流部に導く手段を無加湿ガス温度調節手段と称する。
【0053】
〔システム動作〕
この実施の形態の場合は、加湿器30の運転により、無加湿ガス及び加湿ガスの両方の温度がほぼ同一とできるため、何れか一方のガスを電池に導入する運転状態、または、両方のガスを電池1に導入する運転状態に関係なく、無加湿側の温度が低いために、結露が起こる問題が発生することが避けられる。
【0054】
通常運転、及び、部分負荷運転は、第一の実施の形態で採用したと同様な加湿器30の設定で対応できる。
停止運転に関しては、順次、燃料電池1内の状態を、環境雰囲気の状態に持って行くこととなるため、加湿器30の温度設定を加温状態から加温停止に導くこととなるが、この操作により、自動的に、加湿ガス、無加湿ガスの状態を設定できる。一方、この場合、合流部7に備えられる制御弁V側の操作としては、無加湿ガスの割合を順次増加していくこととなる。
【0055】
さて、この第二の実施の形態にあっては、加湿器30から燃料電池側の管路(加湿側・無加湿側共)に関しては、従来型の断熱構成で充分である。但し、この場合、加湿器30における加湿条件を適切に設定することが必要となる。
【0056】
一方、第一の実施形態のように、燃料電池1から排出される冷却水が流れるウオータジャケットを設けてもよい。この場合は、燃料電池1の運転状態に対応した温度状態に、電池1に導入されるガスを制御することができ、燃料電池の運転が安定化できることは、これまで説明してきた通りである。
【0057】
〔別実施の形態〕
以下、本願の別実施の形態に関して説明する。
(1) 上記の第一の実施形態にあっては、燃料電池1から排出される冷却水wにより合流部7近傍および、それより燃料電池側の流入ガス流路9に対するウオータジャケット10を設けて、無加湿ガスの加温、燃料電池1に導入されるガスの保温若しくは温度調節を実行するものとしたが、この種の温度調節としての熱源は、燃料電池1に限定されるものではない。
即ち、別熱源により得られる温水等により、該当部位を加温、もしくは温度調節するものとしてもよい。このような構成の例を図4に示した。この図のシステムにあっては、第一の実施の形態と同様にウオータジャケット10が設けられているが、このジャケット10内には温水循環装置40から発生される温水が循環される。この温水の温度は、燃料電池1の運転温度とする。
この様にシステムを構成する場合も、無加湿ガス側の加温、導入ガスの温度調節を実行することができる。
【0058】
この種の温度循環装置40に使用できる熱源としては、バーナを使用した加熱、その他の熱機器からの排熱を利用した加熱等の構成とできる。
【0059】
(2) 上記の第二の実施の形態にあっては、無加湿ガスが流れるバイパス路50の一部を、加湿器30内の加湿用水と熱交換可能に設けて、無加湿ガスを昇温するものとしたが、この加熱操作のための熱源が別異のものとされても一向に、構わない。
加湿ガスと無加湿ガスとを、ほぼ同等な温度状態にもっていければ、実際上、燃料電池1に導入されるガスが不測に冷却されるのを抑制することができ、発電電圧の安定化という目的を達成できる。
【0060】
この種のシステム構成例を図5に示した。この構成の場合、加熱器を設けてバイパス路50および合流部7を経て燃料電池1に至る流路を積極的に加温している。
【0061】
(3) 上記の実施の形態では、加温状態の加湿ガスを得るのに加湿器を利用するものとしたが、加湿可能な機構としては、バブリング構造の加湿器の他、水蒸気透過膜を使用して加湿を実行するもの、全熱交換器に採用される様な水蒸気を別のガス内に導入して実質的な加湿が行えるものとしてもよい。
この種の加湿を実行する手段を加湿手段と呼ぶ。
加湿器にあっては、ガスの加温と加湿とが共に実行されるが、これらが別の工程で実行されても一向に構わない。
(4) 上記の実施の形態においては、制御弁が流路切換え弁Vであり、露点の調整にあたって、加湿ガスを流す時間、無加湿ガスを流す時間を交互に所定周期で切換え制御して、その時間比により露点を制御する場合を示したが、制御弁を流量制御弁として、加湿ガスと無加湿ガスとの混合割合を変えて、燃料電池側へ送る構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の第一実施の形態の構成を示す図
【図2】本願の第一実施の形態における電圧変化の状況を示す図
【図3】本願の第二実施の形態の構成を示す図
【図4】本願の別実施の形態の構成を示す図
【図5】本願の別実施の形態の構成を示す図
【図6】従来の燃料電池システムの構成例及び電圧変動を示す図
【符号の説明】
1 燃料電池
2 改質器
3 加湿器
4 熱交換器
5 バイパス路
7 合流部
8 制御器
9 流入ガス流路
10 ウオータジャケット
V 流路切換え弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子形燃料電池システムに関するものであり、さらに詳細には、水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
反応ガスの少なくとも一方を固体高分子形燃料電池に導入するに、
反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して加湿ガスと無加湿ガスとを固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の固体高分子形燃料電池(以下単に燃料電池と称する)は、加湿回路と無加湿回路とを備え、これらそれぞれの回路を経て得られる加湿ガス及び無加湿ガスを、それら単独で、あるいは適宜混合して、燃料電池に導入する。
このように、加湿ガスと無加湿ガスとを適宜調節して、燃料電池に供給することで、反応ガスの露点は、所定の適切な範囲に制御され、部分負荷運転状態にあっても、電池内で結露が発生する等の問題を解消することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに具体的には、例えば、図6(イ)に示すように、燃料電池への反応ガスの導入部位に、加湿器を備えて反応ガスを加湿する場合、無加湿回路は、この加湿器に対するバイパス路として構成される。
【0004】
そして、加湿器より下流側の部位に加湿ガスと無加湿ガスとを流量制御を伴って混合する流量制御弁が設けられ、この流量制御弁部位(合流部)で、混合割合を変化させる等して、所望の露点の混合ガスが生成される。
即ち、部分負荷状態にあっては、ある程度無加湿ガスが混合された状態の反応ガスを生成して、燃料電池へ送っている。
【0005】
このような流量制御弁を備えることなく、単なる流路切換弁を設け、加湿ガスを電池側へ送る時間と、無加湿ガスを電池側へ送る時間との時間比を変更しても、所定の周期で、電池側へ送られる反応ガスの露点を調節することができる。
【0006】
一方、通常負荷状態にあっては、基本的には、加湿器側で生成される加湿ガスが、無加湿ガスと混合されることなく、そのまま、燃料電池に供給されていた。
この運転状態では、例えば、燃料電池の反応ガス出口におけるガス温度・露点(通常、この位置の温度・露点で電池の状態が定義される)がガス温度70℃・露点70℃の場合、燃料電池の反応ガス入口において、上記状態に相応する入口状態が実現するように、加湿器の運転状態が調整される。
【0007】
さて、従来、ガスの加湿が実行されない、所謂、バイパス側の無加湿回路を流れる無加湿ガスに関しては、図6(イ)に示すように、このガスが、温度操作、加湿操作を受けることなく、直接合流部まで導かれていた。
【0008】
さらに、上記流量制御弁から燃料電池に至る流入ガス流路に関しては、公開特許に示されるように、ガス配管の保温は、この流路周りに巻き付けた保温材・断熱材のみで行っており、ヒーター等を利用した温度調節がおこなわれていなかった(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−141085号公報
【特許文献2】
特開平10−64569号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
今般、発明者らの実験により、上記した図6(イ)に示す反応ガスの導入構成において、一般的な通常運転時の作動のように、加湿器で加湿された加湿ガスのみで燃料電池を運転する場合にあっても、図6(ロ)に示すような、出力電圧の乱れが発生することが判明した。図6(ロ)は、横軸に時間を、縦軸に電池出力電圧を取ったものであり、その電圧変動幅が、大きなところで、6〜8mV程度に達している瞬間があることが判る。
【0011】
この現象は、今般、前述のバイパス路を設けた構成において見られるようになったものであり、電池に供給される反応ガスは加湿器を経たもののみとされる運転形態で発生している。
【0012】
本発明の目的は、加湿ガスと無加湿ガスとを、露点が調節された反応ガスとして燃料電池に供給可能に構成される燃料電池システムにおいて、発電電圧の変動が実質的にない燃料電池システムを得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して前記加湿ガスと前記無加湿ガスとのいずれか一方又は両方を固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムに関する、特徴構成は、請求項1に記載されているように、
前記燃料電池を冷却して、前記燃料電池から排出される冷却水により、前記合流部に導かれる前記無加湿ガスを、加温する無加湿ガス加温手段を備えたことにある。
【0014】
この燃料電池において、燃料電池から排出される冷却水は、燃料電池の冷却の用に供されたものであるため、吸熱して、燃料電池温度とほぼ同等の温度となっている。一方、合流部に導かれる無加湿ガスが常温状態のものである場合も、この冷却水により加温され、結果的に燃料電池温度に近いものとなる。
【0015】
一方、加湿回路を経て合流部に至る加湿ガスは、本願構成では、燃料電池温度近くまで昇温されており、さらに加湿を受けている。従って、合流部において、いずれかのガスが低温側となることを原因として、燃料電池に流入されるガスが冷却され、結露等を生じることは少ない。
【0016】
結果、先に説明しているような、燃料電池に導入されるガスの結露水により、電池発電電圧が変動するという問題を解消することができる。
【0017】
さらに、上記構成の燃料電池システムにおいて、請求項2に記載されているように、前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調整して、前記燃料電池に送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス加温手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスを前記冷却水により加温する構成とされることが好ましい。
【0018】
制御弁を備えることにより、加湿ガス、無加湿ガスのいずれか一方を燃料電池に導入する運転状態、さらには、両ガスを混合して導入する運転状態を実現できる。ここで、両ガスのいずれか一方を燃料電池に導入する時間を交互に切り換えて運転する、あるいは、制御弁部位で流量比を変えて混合して燃料電池に導入する等の操作により、電池に導入されるガスの露点を所望のものとすることができる。
【0019】
そして、少なくとも、この制御弁の流入部位で、制御弁に導かれる無加湿ガスを冷却水により加温する構成を採用することで、無加湿ガスが低温側となることを回避でき、発電電圧の安定化に寄与できる。
【0020】
また、請求項3に記載されているように、前記合流部から前記燃料電池の流入口に至る流入ガス流路内を流れるガスと、前記燃料電池から流出する前記冷却水が熱交換可能に構成されていることが好ましい。
【0021】
この構成を採用する場合は、流入ガス流路内を流れるガス温度を冷却水との熱交換により、燃料電池温度とほぼ等しい温度に保つ、もしくは、加温することが可能となり、燃料電池に導入されるガスの状態を、ほぼ、電池内のガスの状態とでき、結果的に電池の運転状態が格段に安定化される。
また、このシステムでは、流入ガス流路の保温・温調に用いるヒーター、温度コントローラー等の外付け機器を必要とすることはない。
【0022】
さて、上記目的を達成するための、さらなる特徴構成は、
水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を前記固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの何れか一方又は両方を前記固体高分子形燃料電池に導入可能な燃料電池システムにおいて、請求項4に記載されているように、
前記無加湿ガスを、前記加湿手段を経て加湿された前記加湿ガスの温度に調節して、前記合流部に導く無加湿ガス温度調節手段を備えたことにある。
【0023】
この構成の場合も、無加湿ガスが低温側となるのを避けるためのものであるが、この構成の場合は、加湿ガスとの温度差を問題とする。
そして、無加湿ガス側のガス温度を積極的に加湿ガス側のそれに合わせる。このようにすると、加湿ガスと無加湿ガス間で温度差を無くすることが可能となり、何れかのガスを燃料電池に導入する場合、これらガスを混合して電池に導入する場合に係わらず、ガスの温度低下に伴う結露の問題を解消できる。
合流部から燃料電池間は、一般に徐々に温度が上昇するか、ほぼ、同温に維持される部位であるため、この間においても問題を生じることはない。
【0024】
この構成において、請求項5に記載されているように、
前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調整して、前記燃料電池へ送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス温度調節手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスの温度を調節するものとされていることが好ましい。
【0025】
制御弁の役割は、請求項2に関して述べたと同様であり、制御弁の流入部位を温度調節することで、無加湿ガス側が温度低下することを原因として、結露等を発生し、電圧変動の要因となることが避けられる。
【0026】
同様に、請求項6に記載されているように、
前記加湿手段が、ガスを温水内でバブリングさせて水分を添加する加湿器であり、
前記無加湿ガス温度調節手段を構成するに、
前記無加湿ガスが前記温水との熱交換により前記加湿ガスの温度に調節されることが好ましい。
【0027】
この場合、加湿手段を備えることで、加湿ガス側の温度、露点は加湿手段の運転条件により決定される。加湿をバブリング形態で実行する加湿器にあっては、容器内に加湿用の温水が収容されているため、例えば、無加湿ガスが流れる回路を、この温水内を通るように構成し、温水により無加湿ガスが加温されるようにする。こうすることで、結果的に、加湿ガスと無加湿ガスとの温度をほぼ同一とすることで、合流部以下の部位で、結露が発生することを回避でき、本願の課題である、発電電力の変動の問題を解消できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本願の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本願の実施の形態は、第一の実施形態と第二の実施形態からなる。
第一の実施形態は、燃料電池1から排出される冷却水wにより、燃料電池1に導入される反応ガスの状態(温度等)設定するものであり、第二の実施形態は、燃料電池1に導入される反応ガスの状態を適切に設定すべく、無加湿ガスの温度を調節するものである。
【0029】
さらに、以下に説明する実施の形態では、酸化剤ガスa である空気側に対して本願独特の構成を採用する例について説明する。水素を含む燃料ガスf側に関しては説明を省略するが、当然に、燃料ガスで、加湿ガス、無加湿ガスを形成し、露点を調節して燃料電池に導入する構成を採用する場合は、本願の構成を採用できる。
【0030】
1 第一の実施形態
〔システム構成〕
この実施の形態のシステム構成例を図1に示した。
a 全体構成
システムは、燃料ガスfと酸化剤ガスaとが電気化学反応をして発電をする燃料電池1、この電池1に燃料ガスfに含まれる水素を供給するための改質器2、電池に供給される酸化剤ガスaである酸素を含む空気を加湿するための加湿器3を備えて構成されるとともに、電池冷却用の冷却水wが循環する冷却水循環系統Wを備えている。
冷却水wは、燃料電池1であるセルスタックCSと、排熱回収用の熱交換器4との間で循環される。
【0031】
以下、燃料ガスの供給排出系統F、酸化剤ガスの供給排出系統A、冷却水の循環系統Wの順に、このシステムの基本構成を説明する。
【0032】
b 燃料ガスの供給排出系統F
燃料電池1では、水素が燃料として使用されるが、このシステムにあっては、都市ガスが、その出発原料として使用される。
即ち、改質器2に供給される都市ガスが、所定の改質反応により水素に改質され、燃料電池1に送られる。
この改質器2で得られた水素を含む燃料ガスfは、セルスタックCS内に備えられる燃料ガス流路CSfに導入され、所定の電気化学反応により発電の用に供される。発電に伴って燃料ガスfは加熱される。発電を終えた燃料ガスfは、改質器2に戻され、改質器2での加熱に供された後、排出される。
【0033】
c 酸化剤ガスの供給排出系統A
燃料電池1では、酸素が他方の燃料として使用されるが、このシステムにあっては、空気が、酸化剤ガスaとして使用される。
この酸化剤ガスaは、燃料電池1を所定の加湿状態に保つ意味から、加湿器3を介するものとされ、燃料電池1での酸化剤ガスaの状態(温度・露点)に近い状態に加湿器3において、温度・露点が調節される。さらに詳細には、温度に関しては、両者間でほぼ同一に設定され、湿度に関しては、飽和に近い状態に調節される。この加湿器3の下部域には加熱機構32が備えられ、この加熱温度を調節することで、加湿ガスの温度及び露点が調節されることとなる。但し、この加熱機構32は、燃料電池1から排出され・戻されてくる酸化剤ガスaが有する排熱では不足する場合に使用される。
【0034】
この加湿器3で得られた、加湿状態の酸化剤ガスaは、セルスタックCS内に備えられる酸化剤ガス流路CSaに導入され、所定の電気化学反応により発電の用に供される。この発電に伴って酸化剤ガスaは加熱される。発電を終え、加熱された酸化剤ガスaは、加湿器3に導かれ、加湿器3で加熱の用に供された後、排ガスとして排出される。
【0035】
d 冷却水循環系統W
この系統は、基本的には燃料電池1の温度を適正な温度に維持するために設けられているものであり、セルスタックCS内に設けられる冷却水流路CSwと排熱回収用の熱交換器4内の給熱側流路4aとの間を循環する循環路として構成されている。結果、燃料電池1側でその冷却に使用された後、熱交換器4で排熱を回収することが可能とされている。
【0036】
e 特徴構成
以上が、本願システムの基本構成である。以下、本願の特徴部分に関して説明する。
【0037】
図1に示すように、前記酸化剤ガスaを加湿器3を介して燃料電池1に導く供給系統に、この加湿器3をバイパスする形態でバイパス路5が備えられている。
バイパス路5は加湿器3の上流側の分岐部6で流路が分岐されるとともに、加湿の下流側、燃料電池1の上流側に位置する合流部7で流路が合流されるように構成されている。ガスを加湿する回路を加湿回路と、加湿することなく加湿されないガス(無加湿ガス)を得る回路を無加湿回路と呼ぶ。
【0038】
これら分岐部6および合流部7には、それぞれ三方弁である流路切換え弁Vが設けられており、燃料電池1に導入される酸化剤ガスaを、加湿ガスもしくは無加湿ガスとすることが可能な構成が採用されている。加湿器3を介して酸化剤ガスaが流れる場合は加湿ガスが形成されるのであり、バイパス路5を介して酸化剤ガスaが流れる場合は無加湿ガスが形成されることとなる。
【0039】
これら切換え弁Vに対しては、制御器8が設けられていおり、この制御器8の設定により、流路の切換え制御が実行される。制御器8は、これら弁Vに対する制御の他、加湿器3の運転制御、燃料電池1の運転制御、改質器2の運転制御を受け持つ。
【0040】
さらに、前記の冷却水循環系Wに関して、前記合流部7からセルスタックCSに至る酸化剤ガスaの流入ガス流路9,および、合流部7に設けられる流路切換え弁Vへのバイパス路5の連結部位に、この冷却水循環系Wを循環する冷却水が流れるウオータジャケット10が設けられている。
このウオータジャケット10内を流れる冷却水wは、燃料電池1を冷却したものであるため、その温度は、ほぼ燃料電池1の温度となっており、前記流入ガス流路9の温度を燃料電池温度に保つこととなるとともに、合流部7に設けられた流路切換え弁Vに導かれる(流れているといないとを問わない)無加湿ガスを室温状態から電池温度に昇温することとなる。
本願にあっては、合流部に導かれる無加湿ガスを冷却水により加温する手段を無加湿ガス加温手段と称する。
【0041】
〔システム動作と発電電力〕
上記構成の燃料電池1の運転状況に関して、通常運転、部分負荷運転、停止運転時の状況を、以下、説明する。
燃料電池1には燃料ガスfと酸化剤ガスaが共に供給されるとともに、冷却水wが循環されて運転が行われるが、本願にあっては、酸化剤ガスaの処理にその特徴があるため、このガス側に関して主に説明する。
【0042】
通常運転
この状態にあっては、燃料電池1の適正な運転状態が設定されると、この設定に従って、加湿器3の設定、改質器2の設定が成される。この状態で流路切換え弁Vは共に、加湿器3側の流路が開かれる構成とされ、加湿状態の酸化剤ガスaが燃料電池1に導入される。
燃料電池1の運転条件を70℃とする場合(この状態で電池出口では湿度100%・露点70℃である)、加湿器3における設定は、露点が、この温度よりわずかに低いものに調整され、例えば、加湿温度65℃程度(ガス温度65℃・露点65℃)に調整される。
バイパス側に関しては、常温の無加湿ガスが合流部7まで導かれる。しかしながら、上述のように、燃料電池1から排出される冷却水w(温度70℃)が、ウオータジャケット10内を流れ、合流部7から燃料電池1まで、さらに、合流部近傍の無加湿ガスを加温調節する。
結果、合流部7から燃料電池1に至るまでの加湿ガスの冷却が起こることなく、むしろ、加温されるため、結果的に、ガス温度が露点を下回る現象は起こらず、流路内で結露を起こすことはない。
【0043】
この状態における、発電電圧を図2に示した。連続運転の条件は、運転温度70℃、燃料利用率60%、酸素利用率40%、電流密度300mA/cm2 である。
先に説明した図6(ロ)に示す従来型の発電形態では、6〜8mVの変動がみられたが、この変動は見られず、1〜2mVとなっており、良好である。
【0044】
さて、この種の通常運転状態にあっては、加湿側の供給系統を単独で使用するのみならず、流路切換え弁Vを周期的に切り換えて、加湿系統を流す時間と、バイパス系統を流す時間の比を所定の割合にして運転を行うことも可能である。
このような運転を行った場合にあっても、本例の場合、加湿ガスの温度・露点は加湿器3の設定で決まるとともに、無加湿ガスの温度は冷却水wの温度として決まる。結果、燃料電池1の上流側で、電池に供給されるガスが冷却される可能性はほぼ無く、本願が問題とする結露水の発生を回避でき、電圧に変動が起こる等の問題を回避できる。
【0045】
部分負荷運転
この運転状態にあっては、電池自体の温度が低下する等の傾向にあるため、例えば、冷却水wの循環量を通常運転状態と同一とし、加湿器3における加湿条件を同一とした場合、燃料電池1側での結露の確率が上昇することとなる。
従って、燃料電池1に供給するガスの露点を下げる目的から、加湿ガスに対する無加湿ガスの量的割合を増加させて、システムを運転する。
即ち、流路切換え弁Vの切換え制御で、流量比を制御する場合、バイパス路側からの無加湿ガスの供給時間を、通常運転時のそれより、部分負荷に合わせて増加させる。
この種の部分負荷運転を行っても、本願構造を採用する場合、通常運転の項で説明したように、燃料電池の上流側で、電池に供給されるガスが冷却される可能性が低下するため、本願が問題とする結露水の発生を回避でき、電圧に変動が起こる等の問題を回避できる。
【0046】
停止運転
この運転にあっては、燃料電池1が運転を停止し、燃料電池1の温度が電池周りの環境雰囲気温度まで低下した場合も、結露が発生しないようにすることが必要である。発明者らの研究により、燃料電池1を停止し、電池温度が低下した場合に、電池内で結露が発生すると、停止期間中に、この結露水が電池電極の劣化を発生させることとなることが判明したためである。
従って、燃料電池1に対して電池停止指令が入力されると、電池停止動作の前段階として、あるいは、電池停止後に引き続く連続処理として、通常もしくは部分負荷運転において電池に供給されるガスの露点より低い露点のガスを供給する。
即ち、順次、無加湿ガスの量を増加させ、最終的には、外気とほぼ同一の状態の酸化剤ガスaを、実質、無加湿ガスとしてバイパス路5のみを介して、電池停止動作の前段階、あるいは電池停止操作直後に燃料電池1に送り込む。
このような操作を実行することで、停止状態で燃料電池内部は、ほぼ電池1の周囲環境温度と同等の温度に維持され、電池温度が周囲環境温度まで低下しても、結露を起こすことはない。
【0047】
さて、この種の停止運転を実行する場合にあっても、本願の場合、電池に導かれる酸化剤ガスaは、電池1から排出される冷却水により温度調節を受けるため、電池1に熱段差を有して酸化剤ガスaが導かれることはなく、また、露点が適切に調節されるため、燃料電池1の停止期間を含めた結露の問題を確実に解消できる。
【0048】
2 第二の実施形態
〔システム構成〕
この実施の形態の構成に関して、酸化剤ガスaである空気の燃料電池1までの供給系を図3に示した。この系統以外のシステム構成は、図1で説明したシステム構成機器と同じであり、構成的に異なる部位を主に説明する。
【0049】
このシステムにあっても、燃料電池1、改質器、加湿器30および熱交換器を備える点は、第一の実施の形態の場合と同様であり、燃料電池に対する燃料ガスの供給排出系統、酸化剤ガスaの供給排出系統A、さらに冷却水循環系統が設けられる。
【0050】
第一の実施形態にあっては、前記ウオータジャケット10を設けることで、燃料電池1から排出される冷却水wにより、合流部7から燃料電池1に至る流入ガス流路9の温度調整が実行されるとともに、合流部7に導かれる無加湿ガスの温度調整が実行されるのに対して、第二の実施形態にあっては、それを設けていない。
【0051】
そして、第二の実施の形態にあっては、酸化剤ガスaの加湿用に使用される加湿器30の構成が独特なものとされる。
図3に示すように、加湿器30は、容器31内の温水に加湿対象のガス(この例の場合は酸化剤ガスaである空気)を噴出させ、バブリングによりガスの加湿を行うものである。この場合、加湿器30の下部域には加熱機構32が備えられ、この加熱温度を調節することで、加湿ガスの温度及び露点が調節されることとなる。但し、この加熱機構32は、第一の実施の形態と同様に戻されてくる酸化剤ガスaが有する排熱では不足する場合に使用される。
【0052】
さて、この第二の実施の形態で採用する加湿器30にあっては、図示するように、無加湿ガスが流れるバイパス路50が、その一部において加湿器30内に導入され熱交換用のコイル51を経て、合流部7に導かれるように構成されている。
従って、コイル51において無加湿ガスは、バブリング用の温水と熱交換し、加湿ガスとほぼ同等の温度まで昇温される。結果、無加湿ガス側が低温となり、燃料電池1に導入されるガス(例えば加湿ガス)が冷却され、このガスで結露等の問題を発生することはない。
本願にあっては、加湿後の加湿ガスの温度に無加湿ガスを調節して、合流部に導く手段を無加湿ガス温度調節手段と称する。
【0053】
〔システム動作〕
この実施の形態の場合は、加湿器30の運転により、無加湿ガス及び加湿ガスの両方の温度がほぼ同一とできるため、何れか一方のガスを電池に導入する運転状態、または、両方のガスを電池1に導入する運転状態に関係なく、無加湿側の温度が低いために、結露が起こる問題が発生することが避けられる。
【0054】
通常運転、及び、部分負荷運転は、第一の実施の形態で採用したと同様な加湿器30の設定で対応できる。
停止運転に関しては、順次、燃料電池1内の状態を、環境雰囲気の状態に持って行くこととなるため、加湿器30の温度設定を加温状態から加温停止に導くこととなるが、この操作により、自動的に、加湿ガス、無加湿ガスの状態を設定できる。一方、この場合、合流部7に備えられる制御弁V側の操作としては、無加湿ガスの割合を順次増加していくこととなる。
【0055】
さて、この第二の実施の形態にあっては、加湿器30から燃料電池側の管路(加湿側・無加湿側共)に関しては、従来型の断熱構成で充分である。但し、この場合、加湿器30における加湿条件を適切に設定することが必要となる。
【0056】
一方、第一の実施形態のように、燃料電池1から排出される冷却水が流れるウオータジャケットを設けてもよい。この場合は、燃料電池1の運転状態に対応した温度状態に、電池1に導入されるガスを制御することができ、燃料電池の運転が安定化できることは、これまで説明してきた通りである。
【0057】
〔別実施の形態〕
以下、本願の別実施の形態に関して説明する。
(1) 上記の第一の実施形態にあっては、燃料電池1から排出される冷却水wにより合流部7近傍および、それより燃料電池側の流入ガス流路9に対するウオータジャケット10を設けて、無加湿ガスの加温、燃料電池1に導入されるガスの保温若しくは温度調節を実行するものとしたが、この種の温度調節としての熱源は、燃料電池1に限定されるものではない。
即ち、別熱源により得られる温水等により、該当部位を加温、もしくは温度調節するものとしてもよい。このような構成の例を図4に示した。この図のシステムにあっては、第一の実施の形態と同様にウオータジャケット10が設けられているが、このジャケット10内には温水循環装置40から発生される温水が循環される。この温水の温度は、燃料電池1の運転温度とする。
この様にシステムを構成する場合も、無加湿ガス側の加温、導入ガスの温度調節を実行することができる。
【0058】
この種の温度循環装置40に使用できる熱源としては、バーナを使用した加熱、その他の熱機器からの排熱を利用した加熱等の構成とできる。
【0059】
(2) 上記の第二の実施の形態にあっては、無加湿ガスが流れるバイパス路50の一部を、加湿器30内の加湿用水と熱交換可能に設けて、無加湿ガスを昇温するものとしたが、この加熱操作のための熱源が別異のものとされても一向に、構わない。
加湿ガスと無加湿ガスとを、ほぼ同等な温度状態にもっていければ、実際上、燃料電池1に導入されるガスが不測に冷却されるのを抑制することができ、発電電圧の安定化という目的を達成できる。
【0060】
この種のシステム構成例を図5に示した。この構成の場合、加熱器を設けてバイパス路50および合流部7を経て燃料電池1に至る流路を積極的に加温している。
【0061】
(3) 上記の実施の形態では、加温状態の加湿ガスを得るのに加湿器を利用するものとしたが、加湿可能な機構としては、バブリング構造の加湿器の他、水蒸気透過膜を使用して加湿を実行するもの、全熱交換器に採用される様な水蒸気を別のガス内に導入して実質的な加湿が行えるものとしてもよい。
この種の加湿を実行する手段を加湿手段と呼ぶ。
加湿器にあっては、ガスの加温と加湿とが共に実行されるが、これらが別の工程で実行されても一向に構わない。
(4) 上記の実施の形態においては、制御弁が流路切換え弁Vであり、露点の調整にあたって、加湿ガスを流す時間、無加湿ガスを流す時間を交互に所定周期で切換え制御して、その時間比により露点を制御する場合を示したが、制御弁を流量制御弁として、加湿ガスと無加湿ガスとの混合割合を変えて、燃料電池側へ送る構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の第一実施の形態の構成を示す図
【図2】本願の第一実施の形態における電圧変化の状況を示す図
【図3】本願の第二実施の形態の構成を示す図
【図4】本願の別実施の形態の構成を示す図
【図5】本願の別実施の形態の構成を示す図
【図6】従来の燃料電池システムの構成例及び電圧変動を示す図
【符号の説明】
1 燃料電池
2 改質器
3 加湿器
4 熱交換器
5 バイパス路
7 合流部
8 制御器
9 流入ガス流路
10 ウオータジャケット
V 流路切換え弁
Claims (6)
- 水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を前記固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して前記加湿ガスと前記無加湿ガスとのいずれか一方又は両方を前記固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムにおいて、
前記固体高分子形燃料電池を冷却して、前記固体高分子形燃料電池から排出される冷却水により、前記合流部に導かれる前記無加湿ガスを、加温する無加湿ガス加温手段を備えた固体高分子形燃料電池システム。 - 前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調節して、前記固体高分子形燃料電池側へ送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス加温手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスを前記冷却水により加温する請求項1記載の固体高分子形燃料電池システム。 - 前記合流部から前記固体高分子形燃料電池の流入口に至る流入ガス流路内を流れるガスと、前記固体高分子形燃料電池から排出する前記冷却水とが熱交換可能に構成されている請求項1又は2記載の固体高分子形燃料電池システム。
- 水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとが反応ガスとして導入され、電気化学反応を用いて電気エネルギーを得る固体高分子形燃料電池を備え、
前記反応ガスの少なくとも一方を前記固体高分子形燃料電池に導入するに、
前記反応ガスの少なくとも一方に、水分を添加して加温状態の加湿ガスを得る加湿手段を備えた加湿回路と、前記加湿手段を備えず、無加湿ガスを得る無加湿回路とを備え、合流部を介して前記加湿ガスと前記無加湿ガスとのいずれか一方又は両方を前記固体高分子形燃料電池に導入可能な固体高分子形燃料電池システムにおいて、
前記無加湿ガスを、前記加湿手段を経て加湿された前記加湿ガスの温度に調節して、前記合流部に導く無加湿ガス温度調節手段を備えた固体高分子形燃料電池システム。 - 前記合流部に、前記加湿ガスと前記無加湿ガスとの流量割合を調節して、前記固体高分子形燃料電池側へ送る制御弁が備えられ、
前記無加湿ガス温度調節手段が、少なくとも前記制御弁の流入部位で、前記制御弁に導かれる前記無加湿ガスの温度を調節する請求項4記載の固体高分子形燃料電池システム。 - 前記加湿手段が、ガスを温水内でバブリングさせて水分を添加する加湿器であり、
前記無加湿ガス温度調節手段を構成するに、
前記無加湿ガスが前記温水との熱交換により前記加湿ガスの温度に調節される請求項4記載の固体高分子形燃料電池システム。
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