JP2004335185A - コイン形非水二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池において、前記正極を厚み500μm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成し、かつ前記正極の側面に導電層を設ける。
前記導電層は、カーボン、黒鉛などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉の少なくとも1種とバインダーとで形成されていることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池において、前記正極を厚み500μm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成し、かつ前記正極の側面に導電層を設ける。
前記導電層は、カーボン、黒鉛などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉の少なくとも1種とバインダーとで形成されていることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイン形非水二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源としては主としてリチウムイオン二次電池が用いられている。その理由としてはニッケル−カドミウム二次電池や金属水素化二次電池などに代表される従来の二次電池に比べて、軽量化が可能になったことと高電圧化が可能になったことが挙げられる。
【0003】
現在使用されているリチウムイオン二次電池では、LiCoO2 などの金属酸化物を正極に用い、黒鉛を負極に用いていて、市販されている円筒形や角形のリチウムイオン二次電池では、その電極として金属箔に活物質を含む合剤塗膜を形成した塗布型電極が一般的に用いられている。このリチウムイオン二次電池の負荷特性を考えると、主として正極の負荷特性が律速になっており、また、導電助剤の選定も負荷特性に重要な影響を与えることから、導電助剤としては、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが用いられ、また、合剤層と集電体との間に前記導電性物質からなる層を形成し、導電性を確保することも提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−97625号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平11−312516号公報(第1頁)
【0005】
しかしながら、正極合剤のペレット状成形体を正極に用いる場合は、その成形体の厚みが通常の塗布型電極で採用されている厚み(通常、100μm程度)よりもかなり厚く、厚みが数百μmまたはそれ以上になる場合が多いため、厚み方向の導電性は前記のような方法では充分に向上させることができない。また、導電助剤についても、その添加量を一意的に増加させることによって導電性を向上させることができるものの、それに伴って、活物質の充填比率が低下するため、容量密度を高くするという観点からは好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような正極合剤のペレット形成形体を正極に用いるコイン形非水二次電池における問題点を解決し、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池にあって、前記正極が厚み500μm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成される場合に、正極の側面に導電層を設けることによって、前記課題を解決したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明が上記構成を採用することによって、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することができる理由を、以下に本発明の実施の形態とともに説明する。
【0009】
コイン形非水二次電池の負荷特性を向上させるためには正極の負荷特性を向上させることが重要であり、一般的には黒鉛などの導電助剤を正極合剤中に添加する方法が採用されているが、このような導電助剤を多く添加すると、活物質の含有率が低下し、単位体積当たりの容量が低下する。そこで、本発明では、正極合剤のペレット状成形体からなる正極の厚み方向に対する導電性を確保するために、正極の側面に導電層を設け、厚み方向に導電経路を確保することにより解決できることを見出したのである。
【0010】
この導電層の形成にあたっては、次のような方法を採用することができる。例えば、カーボンや黒鉛などといった一般的な導電助剤をバインダーと溶剤の存在下で混合して調製した導電性塗料を正極合剤のペレット状成形体からなる正極の側面に塗布し、乾燥することによって、正極の側面に導電層を形成することができる。また、AlやPtなどのリチウムイオン二次電池の正極電位で安定な金属粉をバインダーと溶剤の存在下で混合して調製した導電性塗料を正極の側面に塗布し、乾燥することによって、正極の側面に導電層を形成することができる。また、金属などの導電性材料で枠を作り、それを正極に嵌め込んだり、導電性を有するスポンジ状保持体を正極の側面に設けることも可能であるが、これらの場合、正極とそれらの別部材との隙間に電解液の層が存在することによって負荷特性が低下するおそれがあるため、必ずしも好ましくない。また、組み込みやすさなど工程上の容易さを考慮すると、上記の導電性塗料の塗布により導電層を形成する方法が簡便で、正極との密着性が良く、それらの間に電解液が存在することもない。さらに、密着性を重視すると、導電性物質を蒸着などで正極の側面に蒸着させて導電層を形成することも可能であるが、この場合もコスト面で必ずしも好ましくない。
【0011】
コイン形非水二次電池では、正極から正極缶への集電が重要となるが、最も集電がとり難しいのは正極缶からの距離が遠くなるセパレータ側の正極表面である。特に正極の面積が広い場合には厚み方向より正極缶の側面部への方が距離が遠くなるが、正極のセパレータ側の表面では、電解液の通路がセパレータとの境界で確保されていて、集電がとりやすい上に、正極缶の近傍では厚み方向への導電経路が効率的となるため、正極の厚みが500μmより薄い場合には、導電層を形成してもほとんど効果が見出せない。しかしながら、正極の厚みが500μm以上になると、電解液の通路などに基づく導電経路の形成だけでは、セパレータ側の正極の集電が充分に行うことができず、正極の側面に導電層を形成した効果が発現する。
【0012】
導電層の厚みは、特に限定されることなく、形成可能であれば、薄くてもよいが、通常、0.1〜10μm程度の厚みが実用的である。
【0013】
本発明において、正極の活物質としては、特に限定されることはないが、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 などのリチウムイオンの挿入・脱離が可能なリチウム含有複合酸化物が好ましい。
【0014】
正極の作製にあたっては、通常、導電助剤とバインダーを必要とするが、その導電助剤としては、特に限定されることはないものの、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、気相成長炭素繊維などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉などが好ましい。また、バインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレンなどが好ましい。
【0015】
そして、正極の作製にあたっては、上記正極活物質、導電助剤、バインダーなどを混合して、正極合剤を調製し、それを金型に充填して加圧成形によって厚み500μm以上のペレット状成形体に成形される。また、上記正極合剤の調製にあたって、正極活物質、導電助剤、バインダーを溶剤の存在下で混合し、それを乾燥して、粉砕すると、各成分がより均一に分散した正極合剤が得られる。
【0016】
本発明において、負極は、負極活物質を含む負極合剤のペレット状成形体で構成してもよいし、また、金属リチウムやリチウム合金のみで構成してもよいが、負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、負極活物質としては、リチウムイオンが挿入・脱離できるものであれば特に限定されることはないが、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、低結晶カーボンなどの炭素質材料、Si、Snなどの金属の酸化物などが好ましい。
【0017】
また、負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、その作製にあたって、上記負極活物質以外にバインダーが必要であり、そのバインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロースとの混合物、ポリアミドイミドなどが好ましい。また、負極合剤の調製にあたっては、上記負極活物質、バインダー以外に、必要に応じて、導電助剤を加えてもよく、その導電助剤としては、特に限定されることはないが、例えば、気相成長炭素繊維、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが好ましい。
【0018】
本発明において、非水系の電解液、正極缶、負極缶、セパレータ、環状の絶縁性ガスケットなどは、特に限定されることはなく、従来構成のものも用いることができ、また、電解液は液状のまま用いる場合ばかりでなく、ゲル化剤でゲル化してゲル状で用いてもよい。
【0019】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
正極活物質としてLiCoO2 を用い、導電助剤としてカーボンブラックを用い、前記LiCoO2 83質量部とカーボンブラック10質量部とを混合し、得られた混合物93質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン7質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって、合剤含有塗料を調製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた正極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより直径16mm、厚さ900μmのペレット状成形体を作製し、これを正極とした。
【0021】
上記正極の側面に導電層を形成するための導電性塗料は、N−メチル−2−ピロリドンの存在下でカーボンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比3:2の割合で混合することによって調製し、得られた導電性塗料を上記正極の側面に塗布し、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンが完全に除去されるまで乾燥して、正極の側面に厚み約5μmの導電層を形成した。
【0022】
上記正極と対向させる負極は、次に示すように作製した。すなわち、負極活物質としてのメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化処理したもの92質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン8質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって合剤含有塗料を作製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた負極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより直径16.5mm、厚み700μmのペレット状成形体を作製して、これを負極とした。
【0023】
電解液としては、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解させて調製した非水系電解液を用い、セパレータとしては微孔性ポリプロピレンフィルムを用い、正極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、負極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、環状の絶縁性ガスケットとしてはポリプロピレン製のものを用い、これらと前記の側面に導電層を形成した正極と負極とを用いて図1に示すようなコイン形非水二次電池を作製した。
【0024】
ここで、図1に示すコイン形非水二次電池について説明すると、1は前記の正極で、2は前記の負極で、3はセパレータで、4は正極缶、5は負極缶、6は環状の絶縁性ガスケットで、7は前記正極1の側面に形成された導電層であり、この導電層7が側面に形成された正極1と負極2との間にはセパレータ3が介在し、これらの正極1と負極2とセパレータ3と前記電解液とは正極缶4と負極缶5と環状の絶縁性ガスケット6とで形成される密閉空間内に収容されている。
【0025】
これを詳細に説明すると、正極1は側面に導電層7が形成された状態で正極缶4に収容され、その正極1上にセパレータ3を載置し、電解液を注入し、負極2を載置し、その上から周辺部に絶縁性ガスケット6を取り付けた負極缶5をかぶせ、正極缶4の開口端部を内方に締めつけて絶縁性ガスケット6を負極缶5の周辺部と正極缶4の開口端部の内面に圧接することによって正極缶4と負極缶5との間隙を密閉することによってコイン形非水二次電池が組み立てられている。
【0026】
実施例2
正極の側面に導電層を形成するための導電性塗料として、Al粉とバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比2:3の割合で溶剤としてのトルエンの存在下で混合して調製したものを用いた以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0027】
比較例1
正極の側面に導電層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0028】
比較例2
正極を構成する正極合剤のペレット状成形体の厚みを450μmにし、負極を構成する負極合剤のペレット状成形体の厚みを3350μmにした以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0029】
上記実施例1〜2および比較例1〜2の電池について、充電電流密度1mA/cm2 で4.2Vまで充電し、放電電流密度1mA/cm2 、5mA/cm2 、10mA/cm2 、20mA/cm2 で、それぞれ3.0Vまで放電して初回放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示すように、実施例1〜2の電池は、比較例1〜2の電池に比べて、特に放電電流密度が10mA/cm2 、20mA/cm2 と大きくなった場合の放電容量が大きく、負荷特性が優れていた。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイン形非水二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 環状の絶縁性ガスケット
7 導電層
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイン形非水二次電池に関し、さらに詳しくは、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源としては主としてリチウムイオン二次電池が用いられている。その理由としてはニッケル−カドミウム二次電池や金属水素化二次電池などに代表される従来の二次電池に比べて、軽量化が可能になったことと高電圧化が可能になったことが挙げられる。
【0003】
現在使用されているリチウムイオン二次電池では、LiCoO2 などの金属酸化物を正極に用い、黒鉛を負極に用いていて、市販されている円筒形や角形のリチウムイオン二次電池では、その電極として金属箔に活物質を含む合剤塗膜を形成した塗布型電極が一般的に用いられている。このリチウムイオン二次電池の負荷特性を考えると、主として正極の負荷特性が律速になっており、また、導電助剤の選定も負荷特性に重要な影響を与えることから、導電助剤としては、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが用いられ、また、合剤層と集電体との間に前記導電性物質からなる層を形成し、導電性を確保することも提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−97625号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平11−312516号公報(第1頁)
【0005】
しかしながら、正極合剤のペレット状成形体を正極に用いる場合は、その成形体の厚みが通常の塗布型電極で採用されている厚み(通常、100μm程度)よりもかなり厚く、厚みが数百μmまたはそれ以上になる場合が多いため、厚み方向の導電性は前記のような方法では充分に向上させることができない。また、導電助剤についても、その添加量を一意的に増加させることによって導電性を向上させることができるものの、それに伴って、活物質の充填比率が低下するため、容量密度を高くするという観点からは好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような正極合剤のペレット形成形体を正極に用いるコイン形非水二次電池における問題点を解決し、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池にあって、前記正極が厚み500μm以上の正極合剤のペレット状成形体で構成される場合に、正極の側面に導電層を設けることによって、前記課題を解決したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明が上記構成を採用することによって、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することができる理由を、以下に本発明の実施の形態とともに説明する。
【0009】
コイン形非水二次電池の負荷特性を向上させるためには正極の負荷特性を向上させることが重要であり、一般的には黒鉛などの導電助剤を正極合剤中に添加する方法が採用されているが、このような導電助剤を多く添加すると、活物質の含有率が低下し、単位体積当たりの容量が低下する。そこで、本発明では、正極合剤のペレット状成形体からなる正極の厚み方向に対する導電性を確保するために、正極の側面に導電層を設け、厚み方向に導電経路を確保することにより解決できることを見出したのである。
【0010】
この導電層の形成にあたっては、次のような方法を採用することができる。例えば、カーボンや黒鉛などといった一般的な導電助剤をバインダーと溶剤の存在下で混合して調製した導電性塗料を正極合剤のペレット状成形体からなる正極の側面に塗布し、乾燥することによって、正極の側面に導電層を形成することができる。また、AlやPtなどのリチウムイオン二次電池の正極電位で安定な金属粉をバインダーと溶剤の存在下で混合して調製した導電性塗料を正極の側面に塗布し、乾燥することによって、正極の側面に導電層を形成することができる。また、金属などの導電性材料で枠を作り、それを正極に嵌め込んだり、導電性を有するスポンジ状保持体を正極の側面に設けることも可能であるが、これらの場合、正極とそれらの別部材との隙間に電解液の層が存在することによって負荷特性が低下するおそれがあるため、必ずしも好ましくない。また、組み込みやすさなど工程上の容易さを考慮すると、上記の導電性塗料の塗布により導電層を形成する方法が簡便で、正極との密着性が良く、それらの間に電解液が存在することもない。さらに、密着性を重視すると、導電性物質を蒸着などで正極の側面に蒸着させて導電層を形成することも可能であるが、この場合もコスト面で必ずしも好ましくない。
【0011】
コイン形非水二次電池では、正極から正極缶への集電が重要となるが、最も集電がとり難しいのは正極缶からの距離が遠くなるセパレータ側の正極表面である。特に正極の面積が広い場合には厚み方向より正極缶の側面部への方が距離が遠くなるが、正極のセパレータ側の表面では、電解液の通路がセパレータとの境界で確保されていて、集電がとりやすい上に、正極缶の近傍では厚み方向への導電経路が効率的となるため、正極の厚みが500μmより薄い場合には、導電層を形成してもほとんど効果が見出せない。しかしながら、正極の厚みが500μm以上になると、電解液の通路などに基づく導電経路の形成だけでは、セパレータ側の正極の集電が充分に行うことができず、正極の側面に導電層を形成した効果が発現する。
【0012】
導電層の厚みは、特に限定されることなく、形成可能であれば、薄くてもよいが、通常、0.1〜10μm程度の厚みが実用的である。
【0013】
本発明において、正極の活物質としては、特に限定されることはないが、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 などのリチウムイオンの挿入・脱離が可能なリチウム含有複合酸化物が好ましい。
【0014】
正極の作製にあたっては、通常、導電助剤とバインダーを必要とするが、その導電助剤としては、特に限定されることはないものの、例えば、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、気相成長炭素繊維などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉などが好ましい。また、バインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレンなどが好ましい。
【0015】
そして、正極の作製にあたっては、上記正極活物質、導電助剤、バインダーなどを混合して、正極合剤を調製し、それを金型に充填して加圧成形によって厚み500μm以上のペレット状成形体に成形される。また、上記正極合剤の調製にあたって、正極活物質、導電助剤、バインダーを溶剤の存在下で混合し、それを乾燥して、粉砕すると、各成分がより均一に分散した正極合剤が得られる。
【0016】
本発明において、負極は、負極活物質を含む負極合剤のペレット状成形体で構成してもよいし、また、金属リチウムやリチウム合金のみで構成してもよいが、負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、負極活物質としては、リチウムイオンが挿入・脱離できるものであれば特に限定されることはないが、例えば、黒鉛、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、低結晶カーボンなどの炭素質材料、Si、Snなどの金属の酸化物などが好ましい。
【0017】
また、負極を負極合剤のペレット状成形体で構成する場合、その作製にあたって、上記負極活物質以外にバインダーが必要であり、そのバインダーとしては、特に限定されることはないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムとカルボキシメチルセルロースとの混合物、ポリアミドイミドなどが好ましい。また、負極合剤の調製にあたっては、上記負極活物質、バインダー以外に、必要に応じて、導電助剤を加えてもよく、その導電助剤としては、特に限定されることはないが、例えば、気相成長炭素繊維、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどが好ましい。
【0018】
本発明において、非水系の電解液、正極缶、負極缶、セパレータ、環状の絶縁性ガスケットなどは、特に限定されることはなく、従来構成のものも用いることができ、また、電解液は液状のまま用いる場合ばかりでなく、ゲル化剤でゲル化してゲル状で用いてもよい。
【0019】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0020】
実施例1
正極活物質としてLiCoO2 を用い、導電助剤としてカーボンブラックを用い、前記LiCoO2 83質量部とカーボンブラック10質量部とを混合し、得られた混合物93質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン7質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって、合剤含有塗料を調製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた正極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより直径16mm、厚さ900μmのペレット状成形体を作製し、これを正極とした。
【0021】
上記正極の側面に導電層を形成するための導電性塗料は、N−メチル−2−ピロリドンの存在下でカーボンブラックとバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比3:2の割合で混合することによって調製し、得られた導電性塗料を上記正極の側面に塗布し、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンが完全に除去されるまで乾燥して、正極の側面に厚み約5μmの導電層を形成した。
【0022】
上記正極と対向させる負極は、次に示すように作製した。すなわち、負極活物質としてのメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化処理したもの92質量部とあらかじめバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン8質量部をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて調製しておいたバインダー溶液とを混合、攪拌することによって合剤含有塗料を作製した。この塗料を一旦乾燥して、溶剤を除去した後、粉砕し、得られた負極合剤粉末を金型に充填して加圧成形することにより直径16.5mm、厚み700μmのペレット状成形体を作製して、これを負極とした。
【0023】
電解液としては、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解させて調製した非水系電解液を用い、セパレータとしては微孔性ポリプロピレンフィルムを用い、正極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、負極缶としてはステンレス鋼製のものを用い、環状の絶縁性ガスケットとしてはポリプロピレン製のものを用い、これらと前記の側面に導電層を形成した正極と負極とを用いて図1に示すようなコイン形非水二次電池を作製した。
【0024】
ここで、図1に示すコイン形非水二次電池について説明すると、1は前記の正極で、2は前記の負極で、3はセパレータで、4は正極缶、5は負極缶、6は環状の絶縁性ガスケットで、7は前記正極1の側面に形成された導電層であり、この導電層7が側面に形成された正極1と負極2との間にはセパレータ3が介在し、これらの正極1と負極2とセパレータ3と前記電解液とは正極缶4と負極缶5と環状の絶縁性ガスケット6とで形成される密閉空間内に収容されている。
【0025】
これを詳細に説明すると、正極1は側面に導電層7が形成された状態で正極缶4に収容され、その正極1上にセパレータ3を載置し、電解液を注入し、負極2を載置し、その上から周辺部に絶縁性ガスケット6を取り付けた負極缶5をかぶせ、正極缶4の開口端部を内方に締めつけて絶縁性ガスケット6を負極缶5の周辺部と正極缶4の開口端部の内面に圧接することによって正極缶4と負極缶5との間隙を密閉することによってコイン形非水二次電池が組み立てられている。
【0026】
実施例2
正極の側面に導電層を形成するための導電性塗料として、Al粉とバインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比2:3の割合で溶剤としてのトルエンの存在下で混合して調製したものを用いた以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0027】
比較例1
正極の側面に導電層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0028】
比較例2
正極を構成する正極合剤のペレット状成形体の厚みを450μmにし、負極を構成する負極合剤のペレット状成形体の厚みを3350μmにした以外は、実施例1と同様にコイン形非水二次電池を作製した。
【0029】
上記実施例1〜2および比較例1〜2の電池について、充電電流密度1mA/cm2 で4.2Vまで充電し、放電電流密度1mA/cm2 、5mA/cm2 、10mA/cm2 、20mA/cm2 で、それぞれ3.0Vまで放電して初回放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示すように、実施例1〜2の電池は、比較例1〜2の電池に比べて、特に放電電流密度が10mA/cm2 、20mA/cm2 と大きくなった場合の放電容量が大きく、負荷特性が優れていた。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高容量で、かつ負荷特性が優れたコイン形非水二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイン形非水二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 環状の絶縁性ガスケット
7 導電層
Claims (3)
- 正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在するセパレータと、非水系の電解液とを、正極缶と負極缶と環状の絶縁性ガスケットとで形成される密閉空間内に収容してなるコイン形非水二次電池であって、前記正極が厚み500μm以上の正極合剤のペレット状成形体からなり、かつ前記正極の側面に導電層を有することを特徴とするコイン形非水二次電池。
- 導電層が、カーボン、黒鉛などの炭素質材料、Al、Ptなどの金属粉の少なくとも1種とバインダーとで形成されていることを特徴とする請求項1記載のコイン形非水二次電池。
- 正極活物質が、LiCoO2 、LiNiO2 、LiNix Co1−x O2 、LiMnO2 、LiMn2 O4 などのリチウムイオンの挿入・脱離が可能なリチウム含有複合酸化物からなることを特徴とする請求項1または2記載のコイン形非水二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003126817A JP2004335185A (ja) | 2003-05-02 | 2003-05-02 | コイン形非水二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003126817A JP2004335185A (ja) | 2003-05-02 | 2003-05-02 | コイン形非水二次電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004335185A true JP2004335185A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33503586
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JP2003126817A Withdrawn JP2004335185A (ja) | 2003-05-02 | 2003-05-02 | コイン形非水二次電池 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004335185A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012017546A1 (ja) * | 2010-08-05 | 2012-02-09 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池 |
US11996544B2 (en) | 2018-05-17 | 2024-05-28 | Ngk Insulators, Ltd. | Coin-shaped lithium secondary battery and IoT device |
-
2003
- 2003-05-02 JP JP2003126817A patent/JP2004335185A/ja not_active Withdrawn
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WO2012017546A1 (ja) * | 2010-08-05 | 2012-02-09 | トヨタ自動車株式会社 | 二次電池 |
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