JP2004335176A - 絶縁・結束処理液と該処理液を用いた電気機器部品の絶縁・結束処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のワニス処理等による電気機器部品の導体処理技術に代わる新しい絶縁・結束処理液及びその処理技術を提案する。
【解決手段】有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2に換算して固形分として10〜40質量%の範囲とする。有機珪素化合物としてはは下記化学式(1)で表される1種または2種以上である。
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6の炭化水素基またはフェニル基、X:(OR2)で表わされるアルコキシ基、R2:炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)
【選択図】 図1
【解決手段】有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2に換算して固形分として10〜40質量%の範囲とする。有機珪素化合物としてはは下記化学式(1)で表される1種または2種以上である。
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6の炭化水素基またはフェニル基、X:(OR2)で表わされるアルコキシ基、R2:炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気機器部品、特に鉄心に巻く導線のような導体部品に、絶縁性と結束力を付与するための処理液と、該処理液を用いた電気機器部品の絶縁・結束処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機、アクチュエータ、発電機や変圧器、リアクトルなどからなる電気機器は、一般に磁気回路を形成するコアが使用され、導線の巻き加工を施されている。これら電気機器に用いられる導線等の導体部品の銅表面には、結束とともに絶縁性、耐電圧性、耐熱性、耐磨耗性や耐蝕性等を付与する目的から、ワニス処理が施されている。
【0003】
従来、これらのワニス処理剤としては、油性系またはアルキッド、エポキシエステル、アクリル、スチレン、ポリウレタン、イミド、シリコーン等の樹脂系のものが、電気機器、電線、ケーブル等に対する絶縁材料として適用されている。特に耐熱性を要求される場合は無機系の絶縁材料が用いられる。
【0004】
従来用いられている無機系絶縁材料は、加熱硬化のために400℃以上の高温で数時間の処理を必要とするため、焼鈍を簡略化する手段が研究されている。例えば特許文献1には、高温炉で耐熱絶縁電線を焼成する際に、当該コイルに電流を流すことでコイル全体を加熱し、これによって焼成時間を短縮する技術が開示されている。
【0005】
この発明においては、絶縁層として既焼成タイプの場合には、シリカ系セラミックスをコーティングしたセラミック系絶縁が用いられ、未焼成タイプの場合には、ポリボロシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラスチレン、ポリシラザン、ポリチタノカルボロシラン系及びオルガノシロキサンから選ばれた一種または二種以上からなる樹脂と無機充填材とを溶剤に溶解または分散させたセラミック系絶縁剤が用いられることが述べられている。
【0006】
特許文献1をはじめとする従来技術に用いられてきた絶縁処理剤においては、既焼成タイプの場合、使用される溶剤が高温分解性で、かなりの刺激臭があることから作業環境の面で問題がある。また、未焼成タイプの場合には、既焼成タイプの溶液成分ほどではないにしても、高温熱分解物の問題、処理剤コスト、液の安定性等において問題があり、改善が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−186083号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の電気機器導体部品のワニス処理により、絶縁性、耐電圧、耐熱性、耐磨耗性、耐蝕性等の付与や結束力付与処理を行う場合には、作業性(作業環境、乾燥性等の作業効率)や絶縁性、結束力、コスト等において多大な問題点だあった。これらの解決策として、環境問題が大幅に改善され、絶縁被膜性能に優れる絶縁・結束液と電気機器導体部品の簡便な処理技術を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のワニス処理等による電気機器部品の導体処理技術に代わる新しい絶縁と結束処理液及びその処理技術として、以下の構成を要旨とする。
〔1〕有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2として10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔2〕前記有機珪素化合物が下記化学式(1)で表される1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕の絶縁・結束処理液。
【0010】
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
但し、n=0〜2の整数、
R1:炭素数1〜6の炭化水素基またはフェニル基、
X:(OR2)で表わされるアルコキシ基、
R2:炭素数1〜6のアルキル基、
R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。
〔3〕前記化学式(1)で示される前記有機珪素化合物として、n=0及びn=1のものの合計が質量比で全有機珪素化合物の28%以上である〔1〕または〔2〕記載の絶縁・結束処理液。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかの項に記載の処理液にさらにシリカゾルを含有し、前記シリカゾルの含有量がSiO2に換算して0.0003〜30質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔5〕前記シリカゾルが下記式(2)を満足するシリカゾルである〔4〕記載の絶縁・結束処理液。
【0011】
0.02<△{log(ηsp/C)}/△C<0.20 ・・・(2)
但し、ηsp/C;還元粘度、
C;シリカ濃度、
△{log(ηsp/C)}/△C;還元粘度(ηsp/C)と
シリカ濃度(C)との相関を示す線の勾配。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかの項に記載の処理液がさらに増粘剤を含有し、前記増粘剤の含有量が0.001〜20質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔7〕前記増粘剤がセルロース類である〔6〕記載の絶縁・結束処理液。
〔8〕溶剤として、水及び/または沸点120℃未満のアルコールを用いる〔1〕〜〔7〕のいずれかの項に記載の絶縁・結束処理液。
〔9〕電気機器部品に〔1〕〜〔8〕のいずれかの項に記載の処理液を塗布し、次いで乾燥することを特徴とする電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔10〕前記乾燥温度が80℃〜200℃の範囲にある〔9〕記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔11〕得られる絶縁被膜の平均膜厚が0.02〜30μmであることを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔12〕前記塗布及び乾燥を2回以上繰り返し行う〔9〕〜〔11〕のいずれかの項に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする電気機器部品は、モーター、アクチエーター、発電機、トランス、リアクトル等のエネルギー変換機器であり、鉄心と導体部品とを含む構成になるものである。このうち鉄心としては、電磁鋼板(磁性材料として用いられるステンレス鋼板、鉄板も含む)を積層したものの他、線状、棒状、塊状等の鉄心、粉末鉄心、粉末成型鉄心等が用いられる。また導体部品としては主に銅線が用いられている。
【0013】
導体部品には通常、ワニスと呼ばれる前述のような油性系またはアルキド、エポキシエステル、アクリル、スチレン、ポリウレタン、イミド、シリコーン等樹脂系の有機系化合物によって絶縁処理が施されている。これらの絶縁被覆剤は、一般に使用時の温度上昇、振動、摩擦や経時変化等によって、絶縁性の低下が生じ、劣化が生じると銅損を高めたり、極端な場合、絶縁破壊を起こす。また、防錆効果にも影響する。このような問題から、導線表面被覆の絶縁性の向上は、特に重要で、とりわけ、温度上昇や振動を伴う機器に使用される場合には、その役割が極めて重要となる。
【0014】
しかしながら、従来の有機化合物系剤を処理する技術においては、前述のような使用条件下における絶縁剤の劣化は否めない問題があり、電気機器の寿命は導線被覆の絶縁性の寿命といっても過言ではない。
【0015】
本発明者らは、このような問題を解決すべく絶縁剤の液組成、塗布条件、乾燥条件に着目して、絶縁被膜性能の改善に取り組んだ。その結果、特殊なシリコン化合物を主成分とする絶縁被膜剤の開発により、作業環境と作業性が優れ。絶縁性、結束力及び密着性、耐熱性等の被膜性能を大幅に改善した絶縁被膜処理液とその処理方法を見出した。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明においては、電気機器導体部品の絶縁と結束を行うための処理液とその処理方法に特徴がある。
【0018】
まず、処理液としては、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2に換算して10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする。この溶液を例えば、導線を巻きつけ処理した鉄心のような電気機器導体部品にスプレー、刷毛塗り、滴下或いはディップ処理により塗布後、乾燥することにより、極めて簡便に作業性に優れ、絶縁性及び接着強度が優れ、耐熱性、密着性等の優れる被膜処理が可能である。
【0019】
特に、基本成分として、下記の化学式(1)、
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
(但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6炭化水素基またはフェニル基、Xは(OR2)で表わされるアルコキシ基でR2は炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)で表わされる有機珪素化合物もしくはその加水分解・脱水縮合物の溶液であり、好ましくはさらにシリカゾル及び/又は増粘剤を混合した溶液を用いることにより、塗れ性が優れ、均一な被膜処理が可能で、絶縁性、結束力はもとより、耐熱性、密着性等の優れた被膜が形成できる。
【0020】
前記有機珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロキシシラン、テトラブトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリイソポキシシラン、モノメチルトリブトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリイソポキシシラン、モノエチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の一種または二種以上が用いられる。アルキル基或いはフェニル基の導入は被膜に柔軟性や加工性を付与することが出来るとともに、他の有機官能基に比較して耐熱性を発現することも出来る。しかしながら、アルキル基の炭素数の増加につれて耐熱性の低下、増膜性の低下、乾燥条件の高温化、長時間化などの問題があり、6以下の炭素数が望ましい。特に、耐熱性を要する用途には、炭素数は3以下であるのが望ましい。
【0021】
本発明の有機珪素化合物としては、前記化学式(1)においてn=0〜2のものが、耐熱性や被膜の強度を得るために好ましい条件である。特に望ましいのはn=0,1の成分で、これらの成分の合計量が全有機珪素化合物の28%質量以上の場合に、極めて緻密で、優れた耐熱性と被膜性能が得られる。n=3すなわち1官能のものではシリコンポリマーを形成できない。n=2すなわち2官能では直鎖状のポリマーとなり、3,4官能のものと比べ結合力に劣る。
【0022】
本発明においてはこの有機珪素化合物の成分形態に最も特徴がある。即ち、本発明の有機珪素化合物が加水分解と脱水縮合することで生成されるシリコンポリマーは、化学式(1)においてn=1,2のものについては、有機基(R1)を一部有しており、その量が多いほど被膜形成能に関しては良好であり、膜厚を大きく出来る利点があるが、耐熱性が劣化する。一方、n=0すなわち4官能の有機珪素化合物のみでは、特に脱水縮合による体積減少が大きくなり、膜厚を大きくしようとすると収縮が起こり、膜割れの問題が発生する。
【0023】
これら有機珪素化合物を用いた処理液は、塗布・乾燥において脱溶剤と脱水が同時に生じるため、極めて乾燥性が良く、乾燥過程において緻密で、強固なSi−O−Si構造のシリコンポリマーからなる被膜を形成する。この被膜は、被膜構造からも類推できるように有機被膜と類似の構造であり、強い粘着力を有する特徴がある。この結果、強力な結束力を発揮することが出来る。このような性質は、曲げ、摩擦、振動等による過酷な使用条件においても、極めて良好な密着性と強度を保つことが出来ることから、振動や温度上昇をもたらす電気機器の絶縁・結束剤として、極めて優れた効果が発揮できる。
【0024】
本発明においてはさらに、シリコンポリマーに対して、膜の基板への接着強度向上のみならず、耐熱性を改善するために、異方形状シリカゾルまたは球状シリカゾルを内添し、さらに、膜性能の改善で増粘剤の組み合わせることで耐久性のある絶縁被膜を提供することにある。
【0025】
有機珪素化合物は、3官能が主体であれば、有機基の残存により、柔軟性を有する膜となり、膜割れの問題は少なくなるが、硬度が不足する。また4官能が主体となると加水分解で得られる水酸基が多く、架橋密度が高くなり、膜硬度は高くなる傾向であるが、膜厚が大きいと収縮が大きいために割れやすくなる欠点がある。これらの欠点を解消するために、異方形状シリカゾルの組み合わせが効果的である。
【0026】
本発明の処理液に球状シリカゾルや異方形状シリカゾルを組み合わせることは何れも効果的であるが、特に、異方形状シリカゾルの場合が効果的である。尚、球状シリカゾル又は異方形状シリカゾルの平均粒子径は、球状と換算して比表面積から求めた値で3〜50nmの範囲が好ましい。
【0027】
したがって、n=1すなわち3官能のものを主体とし、さらに異形状シリカゾルを組み合わせることで、被膜形成能を阻害することなく、膜硬度と強度を向上するばかりでなく、耐熱性も向上させることができる。
【0028】
また、膜厚の制御のために増粘剤を添加することも可能である、増粘剤の種類は従来周知のものでかまわないが、特にセルロース類、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロプロピルセルロース等が好ましい。これらを添加することにより、数十〜数千mP・sの範囲で粘度が調整可能となり、膜厚のコントロールが容易となる。
【0029】
これら新規の被膜成分溶液を処理すれば、被膜性能や電気機器導体の結束力向上のほか、本発明では作業性と作業環境が著しく改善される。
【0030】
即ち、従来のワニス処理技術においては、その乾燥・硬化性の問題から高温(150〜400℃)で長時間(3〜6時間)の乾燥条件を要していた。しかしながら、本発明のような有機珪素化合物を絶縁・結束液として使用する場合には、80〜200℃の低温かつ20〜60分の短時間で硬化処理が可能である。このため、処理工程における作業費コスト改善効果が得られる。
【0031】
従来のワニス処理技術においては、その溶剤がキシレン、トルエン等の高温分解型の有害物質が多く、樹脂成分としての、アクリル、スチレン、エポキシ、フェノール等や硬化剤触媒等に含有する成分の溶液自体と乾燥時の揮発物による臭気は大きい作業環境問題となっている。これに対して本発明の処理液は、溶剤として、低温揮発性を有する低沸点のアルコール及び/又は水を使用できることにある。このため、乾燥時に若干のアルコール類の揮発は発生するものの、従来ワニスにおけるような有害な溶剤成分、樹脂成分、硬化触媒物質のは揮発しない。本発明においては、その絶縁被膜成分に有機成分の含有が極端に少なく、乾燥時や使用時に分解反応を生じ難い。このことが、本発明溶液を用いた場合の緻密で耐熱性の優れた絶縁被膜と耐熱性の優れた結束液が得られる一因となっている。
【0032】
次に、本発明を用いた電気機器導体の処理方法においては、例えば、モーター、トランス等の鉄心材料に導体を巻き線処理した部品の処理においては、処理液をスプレー、刷毛塗り、滴下やディップ処理を行うことができる。塗布処理は、乾燥を挟む2回以上の重ね塗り処理を行うとより好ましい。塗布処理に際しては、本発明液を用いる場合、溶液塗れ性が極めて良いことから、電気機器等への前処理は必要としない。
【0033】
乾燥においても、本発明液の場合には、基本的に低温揮発性の低沸点アルコール類及び/または水を溶剤に使用していることから、極めて乾燥性が優れる。通常、乾燥温度は80〜200℃で行われるが、1時間以下の短時間乾燥で優れた被膜性能と強度が発揮できる。
【0034】
次に、本発明の限定理由について述べる。
【0035】
まず、本発明に使用する処理液の限定理由について述べる。
【0036】
本発明処理液の第一の特徴は、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2として10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする。SiO2として10質量%未満では、塗布・乾燥後の被膜を十分な厚みにすることが困難で、耐熱性、緻密性、絶縁性等の低下が生じるために制限される。一方40質量%を超えると、塗布・乾燥後の被膜が割れやすくなり、また処理液の安定性も低下しやすくなる。
【0037】
次に、有機珪素化合物としては、下記の化学式(1)、
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
(但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6炭化水素基またはフェニル基、Xは(OR2)で表わされるアルコキシ基でR2は炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)
で表わされる物質、もしくはそれをの加水分解と脱水縮合して生成される純シリコンポリマーの一種または二種以上を混合することを特徴とする。
【0038】
本発明の場合、絶縁性、耐熱性、耐蝕性のほか、優れた被膜の接着力を得るためには、化学式(1)においてn=0,1,2のいわゆる4官能、3官能、2官能の有機珪素化合物を用いるのが良い。特に、高温下で使用される用途においては、n=0,1の場合がより好ましい条件である。n=0,1成分を少なくとも28質量%以上含有する様に成分を調整すれば、耐熱性の問題は解消される。
【0039】
以上の有機珪素化合物を本発明の処理液に使用するに際しては、ある程度加水分解・脱水縮合させた部分縮合物としておくのが、乾燥処理の短時間化などの上で好ましい。この場合、所望の割合で混合し、この混合物を加水分解する方法により、或いはまた、各成分を別々に加水分解し、しかる後それぞれの加水分解生成物を混合する方法により調整することができる。このとき、酸やアルカリなどの触媒作用を有する物質を適量添加するのが好ましい。処理液の調整は、以上の溶液に、加水分解に必要な当量以上の水分を加えることで得られる。
【0040】
次に、本発明の処理液へのシリカゾルの添加量としては、SiO2に換算して0.001〜30質量%の範囲が好ましい。0.001%以下では、耐熱性が不足し、30%以上になるとシリカ粒子の結合による収縮が大きくなり、均一な膜が得られず、絶縁性が悪くなる。
【0041】
また用いられるシリカゾルとしては、下記の式(2)
0.02<△{log(ηsp/C)}/△C<0.20 ・・・(2)
(但し、ηsp/C;還元粘度、C;シリカ濃度、△{log(ηsp/C)}/△C;還元粘度(ηsp/C)とシリカ濃度(C)との相関を示す線の勾配。)
の関係を満たすものを用いるのが好ましい。△{log(ηsp/C)}/△Cが0.02以下では、被膜の割れ抑制効果が十分に得られず、また処理液を塗布する時の塗れ性も低下する。一方0.20以上では、有機珪素化合物による接着力が低下し、割れが生じやすくなり、また処理液の安定性も低下し、さらに乾燥時の乾燥性がやや低下する。
【0042】
次に、本発明の処理液には、増粘剤を、0.001〜20質量%の範囲で添加しても良い。0.001%未満では増粘剤の効果が生じず、20%を超えて多量に添加すると、乾燥による膜化がしにくく、膜硬度も弱くなり、膜形成能に問題を生じることがある。増粘剤の種類は従来周知のものでかまわないが、特にセルロース類、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロプロピルセルロース等が好ましい。
【0043】
次に、本発明の処理液に適用される溶剤としては、水及び/または沸点120℃以下のアルコールがより好ましい条件である。沸点120℃以下のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコール、イソアミルアルコールが用いられる。最も好ましいのはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールであり、その沸点が低いために、水を混合溶剤に使用した場合においても、水乾燥の補助効果が容易に得られる。このため、低温で極めて優れた乾燥性能を示し、乾燥炉等の設置なしに、簡単な熱風設備程度で安定した乾燥性能が得られる。
【0044】
以上のような本発明の処理液を電気機器部品、主として銅線を巻いた鉄心に塗布し乾燥させる。乾燥温度は80〜200℃の低温で良い。このため、使用する設備の一例としては、熱風設備のように簡略なもので十分である。乾燥温度が80℃未満の場合には、部品に浸透した溶液の乾燥に長時間を要する。一方、200℃を超えると部位による乾燥速度の差が大きくなり、安定した乾燥条件を得るためには乾燥炉のような高価な設備が必要となる。
【0045】
より好ましい乾燥条件の一例としては、前記乾燥温度までの加熱途中の65〜100℃間を10℃/10〜60分程度の徐加熱により乾燥するのが、均一な塗布膜と被膜性能が得られる。これは、あまり急速な加熱速度を取ると、本発明の低沸点溶剤を使用した系においては、導体に染み込んだ溶液中の急激な溶剤の放出反応により、溶液の突沸が生じ、極端な場合には、塗膜面を粗し、不均一にし、塗膜の品質を損なうためである。
【0046】
次に、本発明液による塗布膜の好ましい厚みは0.02〜30μmである。本発明の処理液による塗布膜は緻密で、絶縁性、接着性及び耐熱性、密着性、耐蝕等に優れており、前記厚みの範囲であれば良好な被膜性能が得られる。0.02μm未満の場合は絶縁性の向上効果が十分に得られない。一方、30μm超の場合には、乾燥に長時間必要とし、コストアップになり、また導体部品全面における均一な塗布膜が得られにくくなる。最も好ましい条件は2〜15μmである。この範囲であれば、絶縁及び結束力はもとより、耐熱性、耐蝕性、密着性等により安定して優れた性能が発揮される。
【0047】
本発明液の塗膜処理において、1回または乾燥を挟む2回以上のスプレー、刷毛塗り、滴下、ディップの一種または二種以上の方法で塗布処理することが出来る。二回以上の重ね塗りに際しては、各回ごとに80〜200℃で乾燥を完了後更に重ね塗りし乾燥するのが良いが、途中の乾燥においては50〜100℃の低温で予備乾燥するのでも良い。
【0048】
【実施例】
<実施例1>
サーボモータの電機子巻線に本発明を適用し、高絶縁、高結束の巻線体を造った。
【0049】
まず、本発明1の処理液を、以下の手順で調合した。
【0050】
イソプロピルアルコール164gを5Lフラスコに秤取り、この中へ有機珪素化合物モノメチルトリエトキシシラン(信越シリコン社製KBM−13)636gを添加し、混合した。この中に、メチルシリケート−51(多摩川化学社MS−51)を235g添加して、混合した。この中に、更に、攪拌しながら960gの純水と4gの酢酸を添加し、50℃で60分間加熱した。その後、有機分散シリカゾル(触媒化成工業(株)製OSCAL−1432、SiO2 30%)を133g混合した。
【0051】
以上による本発明1の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して14.4%、シリカゾルは同じく1.9%である。
【0052】
サーボモータは誘導型であり、電機子である固定子のスロットにインサータで巻線を挿入し、その後、巻線を施した固定子を、本発明1の処理液にディップした後、120℃で30分間、温風中で乾燥した。
【0053】
またこの試験において、別のテストピースとして、厚み0.5mmでSi 1.0質量%を含有する無方向性電磁鋼板を用いて、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。
【0054】
なおこのとき比較例としては、SR2114アルキド変性品を用い、150℃×3時間の乾燥処理条件で、上記と同様のテストピースを作成し、同様の試験を行った。
【0055】
表面外観及び耐電圧については、幅10cm×長さ30cmの単板に、サーボモータ製作の場合と同様の条件で本発明1の処理液にディップして乾燥して、表面外観の観察及び耐電圧の測定を行った。
【0056】
なおこのときの被膜厚みは、端面を研磨して光学顕微鏡で確認したところ、ほぼ2μmであった。
【0057】
また耐熱性評価として、前記単板およびサーボモータに、175℃×7日間の空気中熱処理を行った後、それぞれの表面外観の観察および単板の耐電圧測定を行った。
【0058】
また接着力については、幅5cm×長さ20cmの2枚の鋼板を本発明1の処理液にディップした後、接着面積が5×15cmとなるようずらして張り合わせし、ダブルクリップ((株)ミツヤ製DC190)にて重ね合わせ部2箇所をはさんで、サーボモータ製作の場合と同様の条件で乾燥処理後、引っ張り試験機で鋼板の重なっていない部分を引っ張って、破断力を評価した。
【0059】
この試験の結果、サーボモータをPWM駆動する場合、本発明を用いたモータの騒音は、従来の巻線結束してないものに比較して、3dB程度低くなった。また、インサータで導線の絶縁被膜が剥離しても、本処理で、被膜が成型させるので、絶縁での問題がなくなり、PWM制御する電源から発生するサージ電圧に対しても、問題は発生しなかった。更に、サーボモータの耐熱試験を実施したのち冷却し、導線部分の乾燥膜の観察を行ったところ、絶縁被膜の割れ、脱落等の異常は認められなかった。
【0060】
また表1に示す如く、表面外観、耐電圧、接着力、膜の密着性等において、従来品である比較例と同等以上の優れた結果が得られ、耐熱性試験後の結果においても変化は生じなかった。また、熱処理前後における処理膜表面の顕微鏡観察においても異常は認められず、優れた耐熱性が確認された。
【0061】
【表1】
【0062】
<実施例2>
コアレスモータの電機子巻線を、本発明の新処理液を用いて、電機子に固着固定する試験を行った。
【0063】
まず、本発明2の処理液を、以下の手順で調合した。
【0064】
イソプロピルアルコール190gを5Lフラスコに秤取り、この中へ有機珪素化合物モノメチルトリエトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)636gを添加し、混合した。次いで、攪拌しながら1440gの純水と6gの酢酸を添加し、50℃で60分間加熱した。その後、有機分散シリカゾル(触媒化成工業(株)製OSCAL−1432)を200g混合した。この溶液3200gに6400gのイソプロピルアルコールを混合し、減圧式エバポレーターのフラスコ容器に移し、加熱減圧により、溶解物の合計濃度が30%になるように濃縮した。その後、内容物を取り出し、冷却の後、異方形状シリカゾル(触媒化成工業(株)カタロイドF−120 SiO2 30%) 1.0gを添加した。
【0065】
以上による本発明2の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して16.0%、シリカゾルは同じく4.5%である。
【0066】
次に、図1に示す如く、電機子巻線12を成型し、次いで、電機子の接続端子13、13’を回転子軸11に半田で接続、固定し、更に、同様に、電機子巻線12の上に重ねるように、同じく成型した電機子巻線14を回転子軸11に半田で接続、固定する。これを一周分行い、電機子を作った。その後、この電機子を本発明2の処理液中に浸漬処理し、150℃×60分の乾燥処理を行った。
【0067】
またこの試験においても、実施例1の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ6μmであった。
【0068】
この試験の結果、従来のモールドした電機子を有するモータと比較しても、定格回転数3000rpmで問題なく、騒音振動の増加も殆どなかった。
【0069】
また、表2に示す如く、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。
【0070】
【表2】
【0071】
<実施例3>
分割コアの巻線に本発明の処理液を適用した。
【0072】
まず本発明3の処理液として、本発明2と同一の製法に従い、異方性シリカゾル(触媒化成工業(株)製カタロイドF−120の表面処理品)の添加量を0.3gから52.0gに変更した以外は同様な処理によって調合した。
【0073】
以上による本発明3の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して14.5%、シリカゾルは同じく13.2%である。
【0074】
ブラシレスDCモータの電機子鉄心は12個一組の分割コアである。図2に示す如く、積層コアを一点カシメで結束された分割コア21の歯22は幅が一定で、成型した巻線23を挿入できるようになっている。歯部22に挿入する巻線23は巻いたものをコアの歯形状に合わせて、成型した。次いで、本発明3の処理液をスポイド状容器にて溶液を滴下塗布した後、100℃×30分の乾燥を行い、固着した成型巻線にした。その後、分割コア21の歯22に成型巻線23を挿入し、更に、成型巻線が挿入されている分割コア24を同じ処理液を同様にして塗布した後、140℃×60分の乾燥を行い、分割コアと巻線を一体化した。
【0075】
分割コアは当初、仮止めの一点カシメで強度的には問題であるが、巻線と共に、分割コアの積層結束を行い、分割コアを一体化したことで、強度も十分なものが得られた。この様にして処理し一体化分割コアを組み立て、モータを製作した。
【0076】
またこの試験においても実施例1,2の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ9μmであった。
【0077】
この試験の結果、分割コアには、絶縁処理を施さずに、巻線の絶縁を保ちつつ、導線結束を行ったが、定格運転条件で1時間の連続運転をしたが、巻線温度は本発明を用いない場合より、5℃程度低く、60℃となり、また、強度、電気絶縁や振動なども問題なかった。
【0078】
また、従来の分割コアではコアの積層結束のため、カシメは2個以上あり、また、分割コア同士の電気短絡、また、分割コアを固定するモータケースとの電気短絡も生じ、コアの層間短絡により、損失が増大していたが、本発明を用いることにより、分割コア同士やモータケースと分割コアの電気的に絶縁が保たれ、コアの1点カシメはあるものの、一点の短絡では短絡電流は流れないため、短絡電流は抑制でき、本発明を用いることにより、高効率で、制御性の良いモータとなった。
【0079】
また表3に示す如く、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。特に、添加した異方性シリカゾルの効果により、耐電圧、接着力の改善が見られた。
【0080】
【表3】
【0081】
<実施例4>
本発明の処理液を用いて、モータの配線を固着した。
【0082】
まず本発明4の処理液として、本発明2と同一の製法に従い、さらに増粘剤としてハイドロキシプロピルセルロースを8.8g添加した以外は同様な処理によって調合した。
【0083】
以上による本発明4の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して質量比で15.9%、シリカゾルは同じく4.5%、増粘剤は0.5%である。
【0084】
モータと駆動電源の間のリード線をモータ土台、ケース床や電源壁にはわせて、配線状態して、リード線に本発明4の処理液を十分に滴る程度にスプレー塗布し、140℃×30分の乾燥を行ってモータ土台、ケース床や電源壁に固着させた。
【0085】
また、この試験においても実施例1〜3の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ20μmであった。
【0086】
この試験の結果、本液処理液を処理した場合には、絶縁性、結束力に富むため、金属製のモータ土台、ケース床や電源壁に本方法で固着させても、電気的、また機械的にも問題なく、良好な結果を得た。
【0087】
また、表4に示すように、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。特に、増粘剤を添加したことにより、付着性が向上し、耐電圧、接着力が極めて優れる結果となった。
【0088】
【表4】
【0089】
【発明の効果】
モータの電機子巻線はインサータで挿入したり、歯に成型巻線を挿入すると、このままでは巻線が固定できない。また、コアレスモータでは巻線を固定するものがほとんどない。この場合、振動や巻線の振動による切れを防止するため、巻線を固定する必要がある。
【0090】
また、巻線を挿入などする場合、絶縁被膜が剥がれる場合もある。本発明の処理法は絶縁性をアップさせ、巻線全体を固着するもので、巻線全体の機械剛性を高くし、巻線の固定も兼ねてできる。
【0091】
本発明はモータ自身が振動する場合には、特に効果的であり、工業生産ラインで振動がある部分や、可動部分にあるモータに適用できると、長時間信頼性の高いものとなる。ロボット部品や自動車の電装品、電気自動車の駆動モータなど、可動装置に使用されるモータ、トランスなどに使用すると効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】コアレスモータの電機子。
【図2】分割コアと成型巻線。
【図3】巻線と一体化した分割コア。
【符号の説明】
11…回転子軸
12…電機子巻線
13,13’…電機子巻線の端子
14…電機子巻線(12の上に重ねられる)
21…分割コア
22…歯
23…成型した巻線
24…巻線と一体化した分割コア
25…カシメ
【発明の属する技術分野】
本発明は電気機器部品、特に鉄心に巻く導線のような導体部品に、絶縁性と結束力を付与するための処理液と、該処理液を用いた電気機器部品の絶縁・結束処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機、アクチュエータ、発電機や変圧器、リアクトルなどからなる電気機器は、一般に磁気回路を形成するコアが使用され、導線の巻き加工を施されている。これら電気機器に用いられる導線等の導体部品の銅表面には、結束とともに絶縁性、耐電圧性、耐熱性、耐磨耗性や耐蝕性等を付与する目的から、ワニス処理が施されている。
【0003】
従来、これらのワニス処理剤としては、油性系またはアルキッド、エポキシエステル、アクリル、スチレン、ポリウレタン、イミド、シリコーン等の樹脂系のものが、電気機器、電線、ケーブル等に対する絶縁材料として適用されている。特に耐熱性を要求される場合は無機系の絶縁材料が用いられる。
【0004】
従来用いられている無機系絶縁材料は、加熱硬化のために400℃以上の高温で数時間の処理を必要とするため、焼鈍を簡略化する手段が研究されている。例えば特許文献1には、高温炉で耐熱絶縁電線を焼成する際に、当該コイルに電流を流すことでコイル全体を加熱し、これによって焼成時間を短縮する技術が開示されている。
【0005】
この発明においては、絶縁層として既焼成タイプの場合には、シリカ系セラミックスをコーティングしたセラミック系絶縁が用いられ、未焼成タイプの場合には、ポリボロシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラスチレン、ポリシラザン、ポリチタノカルボロシラン系及びオルガノシロキサンから選ばれた一種または二種以上からなる樹脂と無機充填材とを溶剤に溶解または分散させたセラミック系絶縁剤が用いられることが述べられている。
【0006】
特許文献1をはじめとする従来技術に用いられてきた絶縁処理剤においては、既焼成タイプの場合、使用される溶剤が高温分解性で、かなりの刺激臭があることから作業環境の面で問題がある。また、未焼成タイプの場合には、既焼成タイプの溶液成分ほどではないにしても、高温熱分解物の問題、処理剤コスト、液の安定性等において問題があり、改善が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−186083号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の電気機器導体部品のワニス処理により、絶縁性、耐電圧、耐熱性、耐磨耗性、耐蝕性等の付与や結束力付与処理を行う場合には、作業性(作業環境、乾燥性等の作業効率)や絶縁性、結束力、コスト等において多大な問題点だあった。これらの解決策として、環境問題が大幅に改善され、絶縁被膜性能に優れる絶縁・結束液と電気機器導体部品の簡便な処理技術を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のワニス処理等による電気機器部品の導体処理技術に代わる新しい絶縁と結束処理液及びその処理技術として、以下の構成を要旨とする。
〔1〕有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2として10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔2〕前記有機珪素化合物が下記化学式(1)で表される1種または2種以上であることを特徴とする〔1〕の絶縁・結束処理液。
【0010】
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
但し、n=0〜2の整数、
R1:炭素数1〜6の炭化水素基またはフェニル基、
X:(OR2)で表わされるアルコキシ基、
R2:炭素数1〜6のアルキル基、
R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。
〔3〕前記化学式(1)で示される前記有機珪素化合物として、n=0及びn=1のものの合計が質量比で全有機珪素化合物の28%以上である〔1〕または〔2〕記載の絶縁・結束処理液。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかの項に記載の処理液にさらにシリカゾルを含有し、前記シリカゾルの含有量がSiO2に換算して0.0003〜30質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔5〕前記シリカゾルが下記式(2)を満足するシリカゾルである〔4〕記載の絶縁・結束処理液。
【0011】
0.02<△{log(ηsp/C)}/△C<0.20 ・・・(2)
但し、ηsp/C;還元粘度、
C;シリカ濃度、
△{log(ηsp/C)}/△C;還元粘度(ηsp/C)と
シリカ濃度(C)との相関を示す線の勾配。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかの項に記載の処理液がさらに増粘剤を含有し、前記増粘剤の含有量が0.001〜20質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
〔7〕前記増粘剤がセルロース類である〔6〕記載の絶縁・結束処理液。
〔8〕溶剤として、水及び/または沸点120℃未満のアルコールを用いる〔1〕〜〔7〕のいずれかの項に記載の絶縁・結束処理液。
〔9〕電気機器部品に〔1〕〜〔8〕のいずれかの項に記載の処理液を塗布し、次いで乾燥することを特徴とする電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔10〕前記乾燥温度が80℃〜200℃の範囲にある〔9〕記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔11〕得られる絶縁被膜の平均膜厚が0.02〜30μmであることを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
〔12〕前記塗布及び乾燥を2回以上繰り返し行う〔9〕〜〔11〕のいずれかの項に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする電気機器部品は、モーター、アクチエーター、発電機、トランス、リアクトル等のエネルギー変換機器であり、鉄心と導体部品とを含む構成になるものである。このうち鉄心としては、電磁鋼板(磁性材料として用いられるステンレス鋼板、鉄板も含む)を積層したものの他、線状、棒状、塊状等の鉄心、粉末鉄心、粉末成型鉄心等が用いられる。また導体部品としては主に銅線が用いられている。
【0013】
導体部品には通常、ワニスと呼ばれる前述のような油性系またはアルキド、エポキシエステル、アクリル、スチレン、ポリウレタン、イミド、シリコーン等樹脂系の有機系化合物によって絶縁処理が施されている。これらの絶縁被覆剤は、一般に使用時の温度上昇、振動、摩擦や経時変化等によって、絶縁性の低下が生じ、劣化が生じると銅損を高めたり、極端な場合、絶縁破壊を起こす。また、防錆効果にも影響する。このような問題から、導線表面被覆の絶縁性の向上は、特に重要で、とりわけ、温度上昇や振動を伴う機器に使用される場合には、その役割が極めて重要となる。
【0014】
しかしながら、従来の有機化合物系剤を処理する技術においては、前述のような使用条件下における絶縁剤の劣化は否めない問題があり、電気機器の寿命は導線被覆の絶縁性の寿命といっても過言ではない。
【0015】
本発明者らは、このような問題を解決すべく絶縁剤の液組成、塗布条件、乾燥条件に着目して、絶縁被膜性能の改善に取り組んだ。その結果、特殊なシリコン化合物を主成分とする絶縁被膜剤の開発により、作業環境と作業性が優れ。絶縁性、結束力及び密着性、耐熱性等の被膜性能を大幅に改善した絶縁被膜処理液とその処理方法を見出した。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明においては、電気機器導体部品の絶縁と結束を行うための処理液とその処理方法に特徴がある。
【0018】
まず、処理液としては、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2に換算して10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする。この溶液を例えば、導線を巻きつけ処理した鉄心のような電気機器導体部品にスプレー、刷毛塗り、滴下或いはディップ処理により塗布後、乾燥することにより、極めて簡便に作業性に優れ、絶縁性及び接着強度が優れ、耐熱性、密着性等の優れる被膜処理が可能である。
【0019】
特に、基本成分として、下記の化学式(1)、
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
(但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6炭化水素基またはフェニル基、Xは(OR2)で表わされるアルコキシ基でR2は炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)で表わされる有機珪素化合物もしくはその加水分解・脱水縮合物の溶液であり、好ましくはさらにシリカゾル及び/又は増粘剤を混合した溶液を用いることにより、塗れ性が優れ、均一な被膜処理が可能で、絶縁性、結束力はもとより、耐熱性、密着性等の優れた被膜が形成できる。
【0020】
前記有機珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロキシシラン、テトラブトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリイソポキシシラン、モノメチルトリブトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリイソポキシシラン、モノエチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等の一種または二種以上が用いられる。アルキル基或いはフェニル基の導入は被膜に柔軟性や加工性を付与することが出来るとともに、他の有機官能基に比較して耐熱性を発現することも出来る。しかしながら、アルキル基の炭素数の増加につれて耐熱性の低下、増膜性の低下、乾燥条件の高温化、長時間化などの問題があり、6以下の炭素数が望ましい。特に、耐熱性を要する用途には、炭素数は3以下であるのが望ましい。
【0021】
本発明の有機珪素化合物としては、前記化学式(1)においてn=0〜2のものが、耐熱性や被膜の強度を得るために好ましい条件である。特に望ましいのはn=0,1の成分で、これらの成分の合計量が全有機珪素化合物の28%質量以上の場合に、極めて緻密で、優れた耐熱性と被膜性能が得られる。n=3すなわち1官能のものではシリコンポリマーを形成できない。n=2すなわち2官能では直鎖状のポリマーとなり、3,4官能のものと比べ結合力に劣る。
【0022】
本発明においてはこの有機珪素化合物の成分形態に最も特徴がある。即ち、本発明の有機珪素化合物が加水分解と脱水縮合することで生成されるシリコンポリマーは、化学式(1)においてn=1,2のものについては、有機基(R1)を一部有しており、その量が多いほど被膜形成能に関しては良好であり、膜厚を大きく出来る利点があるが、耐熱性が劣化する。一方、n=0すなわち4官能の有機珪素化合物のみでは、特に脱水縮合による体積減少が大きくなり、膜厚を大きくしようとすると収縮が起こり、膜割れの問題が発生する。
【0023】
これら有機珪素化合物を用いた処理液は、塗布・乾燥において脱溶剤と脱水が同時に生じるため、極めて乾燥性が良く、乾燥過程において緻密で、強固なSi−O−Si構造のシリコンポリマーからなる被膜を形成する。この被膜は、被膜構造からも類推できるように有機被膜と類似の構造であり、強い粘着力を有する特徴がある。この結果、強力な結束力を発揮することが出来る。このような性質は、曲げ、摩擦、振動等による過酷な使用条件においても、極めて良好な密着性と強度を保つことが出来ることから、振動や温度上昇をもたらす電気機器の絶縁・結束剤として、極めて優れた効果が発揮できる。
【0024】
本発明においてはさらに、シリコンポリマーに対して、膜の基板への接着強度向上のみならず、耐熱性を改善するために、異方形状シリカゾルまたは球状シリカゾルを内添し、さらに、膜性能の改善で増粘剤の組み合わせることで耐久性のある絶縁被膜を提供することにある。
【0025】
有機珪素化合物は、3官能が主体であれば、有機基の残存により、柔軟性を有する膜となり、膜割れの問題は少なくなるが、硬度が不足する。また4官能が主体となると加水分解で得られる水酸基が多く、架橋密度が高くなり、膜硬度は高くなる傾向であるが、膜厚が大きいと収縮が大きいために割れやすくなる欠点がある。これらの欠点を解消するために、異方形状シリカゾルの組み合わせが効果的である。
【0026】
本発明の処理液に球状シリカゾルや異方形状シリカゾルを組み合わせることは何れも効果的であるが、特に、異方形状シリカゾルの場合が効果的である。尚、球状シリカゾル又は異方形状シリカゾルの平均粒子径は、球状と換算して比表面積から求めた値で3〜50nmの範囲が好ましい。
【0027】
したがって、n=1すなわち3官能のものを主体とし、さらに異形状シリカゾルを組み合わせることで、被膜形成能を阻害することなく、膜硬度と強度を向上するばかりでなく、耐熱性も向上させることができる。
【0028】
また、膜厚の制御のために増粘剤を添加することも可能である、増粘剤の種類は従来周知のものでかまわないが、特にセルロース類、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロプロピルセルロース等が好ましい。これらを添加することにより、数十〜数千mP・sの範囲で粘度が調整可能となり、膜厚のコントロールが容易となる。
【0029】
これら新規の被膜成分溶液を処理すれば、被膜性能や電気機器導体の結束力向上のほか、本発明では作業性と作業環境が著しく改善される。
【0030】
即ち、従来のワニス処理技術においては、その乾燥・硬化性の問題から高温(150〜400℃)で長時間(3〜6時間)の乾燥条件を要していた。しかしながら、本発明のような有機珪素化合物を絶縁・結束液として使用する場合には、80〜200℃の低温かつ20〜60分の短時間で硬化処理が可能である。このため、処理工程における作業費コスト改善効果が得られる。
【0031】
従来のワニス処理技術においては、その溶剤がキシレン、トルエン等の高温分解型の有害物質が多く、樹脂成分としての、アクリル、スチレン、エポキシ、フェノール等や硬化剤触媒等に含有する成分の溶液自体と乾燥時の揮発物による臭気は大きい作業環境問題となっている。これに対して本発明の処理液は、溶剤として、低温揮発性を有する低沸点のアルコール及び/又は水を使用できることにある。このため、乾燥時に若干のアルコール類の揮発は発生するものの、従来ワニスにおけるような有害な溶剤成分、樹脂成分、硬化触媒物質のは揮発しない。本発明においては、その絶縁被膜成分に有機成分の含有が極端に少なく、乾燥時や使用時に分解反応を生じ難い。このことが、本発明溶液を用いた場合の緻密で耐熱性の優れた絶縁被膜と耐熱性の優れた結束液が得られる一因となっている。
【0032】
次に、本発明を用いた電気機器導体の処理方法においては、例えば、モーター、トランス等の鉄心材料に導体を巻き線処理した部品の処理においては、処理液をスプレー、刷毛塗り、滴下やディップ処理を行うことができる。塗布処理は、乾燥を挟む2回以上の重ね塗り処理を行うとより好ましい。塗布処理に際しては、本発明液を用いる場合、溶液塗れ性が極めて良いことから、電気機器等への前処理は必要としない。
【0033】
乾燥においても、本発明液の場合には、基本的に低温揮発性の低沸点アルコール類及び/または水を溶剤に使用していることから、極めて乾燥性が優れる。通常、乾燥温度は80〜200℃で行われるが、1時間以下の短時間乾燥で優れた被膜性能と強度が発揮できる。
【0034】
次に、本発明の限定理由について述べる。
【0035】
まず、本発明に使用する処理液の限定理由について述べる。
【0036】
本発明処理液の第一の特徴は、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2として10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする。SiO2として10質量%未満では、塗布・乾燥後の被膜を十分な厚みにすることが困難で、耐熱性、緻密性、絶縁性等の低下が生じるために制限される。一方40質量%を超えると、塗布・乾燥後の被膜が割れやすくなり、また処理液の安定性も低下しやすくなる。
【0037】
次に、有機珪素化合物としては、下記の化学式(1)、
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
(但し、n=0〜2の整数、R1:炭素数1〜6炭化水素基またはフェニル基、Xは(OR2)で表わされるアルコキシ基でR2は炭素数1〜6のアルキル基、R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。)
で表わされる物質、もしくはそれをの加水分解と脱水縮合して生成される純シリコンポリマーの一種または二種以上を混合することを特徴とする。
【0038】
本発明の場合、絶縁性、耐熱性、耐蝕性のほか、優れた被膜の接着力を得るためには、化学式(1)においてn=0,1,2のいわゆる4官能、3官能、2官能の有機珪素化合物を用いるのが良い。特に、高温下で使用される用途においては、n=0,1の場合がより好ましい条件である。n=0,1成分を少なくとも28質量%以上含有する様に成分を調整すれば、耐熱性の問題は解消される。
【0039】
以上の有機珪素化合物を本発明の処理液に使用するに際しては、ある程度加水分解・脱水縮合させた部分縮合物としておくのが、乾燥処理の短時間化などの上で好ましい。この場合、所望の割合で混合し、この混合物を加水分解する方法により、或いはまた、各成分を別々に加水分解し、しかる後それぞれの加水分解生成物を混合する方法により調整することができる。このとき、酸やアルカリなどの触媒作用を有する物質を適量添加するのが好ましい。処理液の調整は、以上の溶液に、加水分解に必要な当量以上の水分を加えることで得られる。
【0040】
次に、本発明の処理液へのシリカゾルの添加量としては、SiO2に換算して0.001〜30質量%の範囲が好ましい。0.001%以下では、耐熱性が不足し、30%以上になるとシリカ粒子の結合による収縮が大きくなり、均一な膜が得られず、絶縁性が悪くなる。
【0041】
また用いられるシリカゾルとしては、下記の式(2)
0.02<△{log(ηsp/C)}/△C<0.20 ・・・(2)
(但し、ηsp/C;還元粘度、C;シリカ濃度、△{log(ηsp/C)}/△C;還元粘度(ηsp/C)とシリカ濃度(C)との相関を示す線の勾配。)
の関係を満たすものを用いるのが好ましい。△{log(ηsp/C)}/△Cが0.02以下では、被膜の割れ抑制効果が十分に得られず、また処理液を塗布する時の塗れ性も低下する。一方0.20以上では、有機珪素化合物による接着力が低下し、割れが生じやすくなり、また処理液の安定性も低下し、さらに乾燥時の乾燥性がやや低下する。
【0042】
次に、本発明の処理液には、増粘剤を、0.001〜20質量%の範囲で添加しても良い。0.001%未満では増粘剤の効果が生じず、20%を超えて多量に添加すると、乾燥による膜化がしにくく、膜硬度も弱くなり、膜形成能に問題を生じることがある。増粘剤の種類は従来周知のものでかまわないが、特にセルロース類、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロプロピルセルロース等が好ましい。
【0043】
次に、本発明の処理液に適用される溶剤としては、水及び/または沸点120℃以下のアルコールがより好ましい条件である。沸点120℃以下のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコール、イソアミルアルコールが用いられる。最も好ましいのはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールであり、その沸点が低いために、水を混合溶剤に使用した場合においても、水乾燥の補助効果が容易に得られる。このため、低温で極めて優れた乾燥性能を示し、乾燥炉等の設置なしに、簡単な熱風設備程度で安定した乾燥性能が得られる。
【0044】
以上のような本発明の処理液を電気機器部品、主として銅線を巻いた鉄心に塗布し乾燥させる。乾燥温度は80〜200℃の低温で良い。このため、使用する設備の一例としては、熱風設備のように簡略なもので十分である。乾燥温度が80℃未満の場合には、部品に浸透した溶液の乾燥に長時間を要する。一方、200℃を超えると部位による乾燥速度の差が大きくなり、安定した乾燥条件を得るためには乾燥炉のような高価な設備が必要となる。
【0045】
より好ましい乾燥条件の一例としては、前記乾燥温度までの加熱途中の65〜100℃間を10℃/10〜60分程度の徐加熱により乾燥するのが、均一な塗布膜と被膜性能が得られる。これは、あまり急速な加熱速度を取ると、本発明の低沸点溶剤を使用した系においては、導体に染み込んだ溶液中の急激な溶剤の放出反応により、溶液の突沸が生じ、極端な場合には、塗膜面を粗し、不均一にし、塗膜の品質を損なうためである。
【0046】
次に、本発明液による塗布膜の好ましい厚みは0.02〜30μmである。本発明の処理液による塗布膜は緻密で、絶縁性、接着性及び耐熱性、密着性、耐蝕等に優れており、前記厚みの範囲であれば良好な被膜性能が得られる。0.02μm未満の場合は絶縁性の向上効果が十分に得られない。一方、30μm超の場合には、乾燥に長時間必要とし、コストアップになり、また導体部品全面における均一な塗布膜が得られにくくなる。最も好ましい条件は2〜15μmである。この範囲であれば、絶縁及び結束力はもとより、耐熱性、耐蝕性、密着性等により安定して優れた性能が発揮される。
【0047】
本発明液の塗膜処理において、1回または乾燥を挟む2回以上のスプレー、刷毛塗り、滴下、ディップの一種または二種以上の方法で塗布処理することが出来る。二回以上の重ね塗りに際しては、各回ごとに80〜200℃で乾燥を完了後更に重ね塗りし乾燥するのが良いが、途中の乾燥においては50〜100℃の低温で予備乾燥するのでも良い。
【0048】
【実施例】
<実施例1>
サーボモータの電機子巻線に本発明を適用し、高絶縁、高結束の巻線体を造った。
【0049】
まず、本発明1の処理液を、以下の手順で調合した。
【0050】
イソプロピルアルコール164gを5Lフラスコに秤取り、この中へ有機珪素化合物モノメチルトリエトキシシラン(信越シリコン社製KBM−13)636gを添加し、混合した。この中に、メチルシリケート−51(多摩川化学社MS−51)を235g添加して、混合した。この中に、更に、攪拌しながら960gの純水と4gの酢酸を添加し、50℃で60分間加熱した。その後、有機分散シリカゾル(触媒化成工業(株)製OSCAL−1432、SiO2 30%)を133g混合した。
【0051】
以上による本発明1の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して14.4%、シリカゾルは同じく1.9%である。
【0052】
サーボモータは誘導型であり、電機子である固定子のスロットにインサータで巻線を挿入し、その後、巻線を施した固定子を、本発明1の処理液にディップした後、120℃で30分間、温風中で乾燥した。
【0053】
またこの試験において、別のテストピースとして、厚み0.5mmでSi 1.0質量%を含有する無方向性電磁鋼板を用いて、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。
【0054】
なおこのとき比較例としては、SR2114アルキド変性品を用い、150℃×3時間の乾燥処理条件で、上記と同様のテストピースを作成し、同様の試験を行った。
【0055】
表面外観及び耐電圧については、幅10cm×長さ30cmの単板に、サーボモータ製作の場合と同様の条件で本発明1の処理液にディップして乾燥して、表面外観の観察及び耐電圧の測定を行った。
【0056】
なおこのときの被膜厚みは、端面を研磨して光学顕微鏡で確認したところ、ほぼ2μmであった。
【0057】
また耐熱性評価として、前記単板およびサーボモータに、175℃×7日間の空気中熱処理を行った後、それぞれの表面外観の観察および単板の耐電圧測定を行った。
【0058】
また接着力については、幅5cm×長さ20cmの2枚の鋼板を本発明1の処理液にディップした後、接着面積が5×15cmとなるようずらして張り合わせし、ダブルクリップ((株)ミツヤ製DC190)にて重ね合わせ部2箇所をはさんで、サーボモータ製作の場合と同様の条件で乾燥処理後、引っ張り試験機で鋼板の重なっていない部分を引っ張って、破断力を評価した。
【0059】
この試験の結果、サーボモータをPWM駆動する場合、本発明を用いたモータの騒音は、従来の巻線結束してないものに比較して、3dB程度低くなった。また、インサータで導線の絶縁被膜が剥離しても、本処理で、被膜が成型させるので、絶縁での問題がなくなり、PWM制御する電源から発生するサージ電圧に対しても、問題は発生しなかった。更に、サーボモータの耐熱試験を実施したのち冷却し、導線部分の乾燥膜の観察を行ったところ、絶縁被膜の割れ、脱落等の異常は認められなかった。
【0060】
また表1に示す如く、表面外観、耐電圧、接着力、膜の密着性等において、従来品である比較例と同等以上の優れた結果が得られ、耐熱性試験後の結果においても変化は生じなかった。また、熱処理前後における処理膜表面の顕微鏡観察においても異常は認められず、優れた耐熱性が確認された。
【0061】
【表1】
【0062】
<実施例2>
コアレスモータの電機子巻線を、本発明の新処理液を用いて、電機子に固着固定する試験を行った。
【0063】
まず、本発明2の処理液を、以下の手順で調合した。
【0064】
イソプロピルアルコール190gを5Lフラスコに秤取り、この中へ有機珪素化合物モノメチルトリエトキシシラン(信越化学(株)製KBM−13)636gを添加し、混合した。次いで、攪拌しながら1440gの純水と6gの酢酸を添加し、50℃で60分間加熱した。その後、有機分散シリカゾル(触媒化成工業(株)製OSCAL−1432)を200g混合した。この溶液3200gに6400gのイソプロピルアルコールを混合し、減圧式エバポレーターのフラスコ容器に移し、加熱減圧により、溶解物の合計濃度が30%になるように濃縮した。その後、内容物を取り出し、冷却の後、異方形状シリカゾル(触媒化成工業(株)カタロイドF−120 SiO2 30%) 1.0gを添加した。
【0065】
以上による本発明2の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して16.0%、シリカゾルは同じく4.5%である。
【0066】
次に、図1に示す如く、電機子巻線12を成型し、次いで、電機子の接続端子13、13’を回転子軸11に半田で接続、固定し、更に、同様に、電機子巻線12の上に重ねるように、同じく成型した電機子巻線14を回転子軸11に半田で接続、固定する。これを一周分行い、電機子を作った。その後、この電機子を本発明2の処理液中に浸漬処理し、150℃×60分の乾燥処理を行った。
【0067】
またこの試験においても、実施例1の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ6μmであった。
【0068】
この試験の結果、従来のモールドした電機子を有するモータと比較しても、定格回転数3000rpmで問題なく、騒音振動の増加も殆どなかった。
【0069】
また、表2に示す如く、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。
【0070】
【表2】
【0071】
<実施例3>
分割コアの巻線に本発明の処理液を適用した。
【0072】
まず本発明3の処理液として、本発明2と同一の製法に従い、異方性シリカゾル(触媒化成工業(株)製カタロイドF−120の表面処理品)の添加量を0.3gから52.0gに変更した以外は同様な処理によって調合した。
【0073】
以上による本発明3の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して14.5%、シリカゾルは同じく13.2%である。
【0074】
ブラシレスDCモータの電機子鉄心は12個一組の分割コアである。図2に示す如く、積層コアを一点カシメで結束された分割コア21の歯22は幅が一定で、成型した巻線23を挿入できるようになっている。歯部22に挿入する巻線23は巻いたものをコアの歯形状に合わせて、成型した。次いで、本発明3の処理液をスポイド状容器にて溶液を滴下塗布した後、100℃×30分の乾燥を行い、固着した成型巻線にした。その後、分割コア21の歯22に成型巻線23を挿入し、更に、成型巻線が挿入されている分割コア24を同じ処理液を同様にして塗布した後、140℃×60分の乾燥を行い、分割コアと巻線を一体化した。
【0075】
分割コアは当初、仮止めの一点カシメで強度的には問題であるが、巻線と共に、分割コアの積層結束を行い、分割コアを一体化したことで、強度も十分なものが得られた。この様にして処理し一体化分割コアを組み立て、モータを製作した。
【0076】
またこの試験においても実施例1,2の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ9μmであった。
【0077】
この試験の結果、分割コアには、絶縁処理を施さずに、巻線の絶縁を保ちつつ、導線結束を行ったが、定格運転条件で1時間の連続運転をしたが、巻線温度は本発明を用いない場合より、5℃程度低く、60℃となり、また、強度、電気絶縁や振動なども問題なかった。
【0078】
また、従来の分割コアではコアの積層結束のため、カシメは2個以上あり、また、分割コア同士の電気短絡、また、分割コアを固定するモータケースとの電気短絡も生じ、コアの層間短絡により、損失が増大していたが、本発明を用いることにより、分割コア同士やモータケースと分割コアの電気的に絶縁が保たれ、コアの1点カシメはあるものの、一点の短絡では短絡電流は流れないため、短絡電流は抑制でき、本発明を用いることにより、高効率で、制御性の良いモータとなった。
【0079】
また表3に示す如く、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。特に、添加した異方性シリカゾルの効果により、耐電圧、接着力の改善が見られた。
【0080】
【表3】
【0081】
<実施例4>
本発明の処理液を用いて、モータの配線を固着した。
【0082】
まず本発明4の処理液として、本発明2と同一の製法に従い、さらに増粘剤としてハイドロキシプロピルセルロースを8.8g添加した以外は同様な処理によって調合した。
【0083】
以上による本発明4の処理液において、有機珪素化合物含有量はSiO2に換算して質量比で15.9%、シリカゾルは同じく4.5%、増粘剤は0.5%である。
【0084】
モータと駆動電源の間のリード線をモータ土台、ケース床や電源壁にはわせて、配線状態して、リード線に本発明4の処理液を十分に滴る程度にスプレー塗布し、140℃×30分の乾燥を行ってモータ土台、ケース床や電源壁に固着させた。
【0085】
また、この試験においても実施例1〜3の場合と同様に鋼板サンプルを処理し、表面外観、耐電圧および接着力を評価した。このときの被膜厚みを確認したところ、ほぼ20μmであった。
【0086】
この試験の結果、本液処理液を処理した場合には、絶縁性、結束力に富むため、金属製のモータ土台、ケース床や電源壁に本方法で固着させても、電気的、また機械的にも問題なく、良好な結果を得た。
【0087】
また、表4に示すように、鋼板サンプルによる被膜特性を調査した結果においても、極めて安定して良好な被膜特性が得られた。特に、増粘剤を添加したことにより、付着性が向上し、耐電圧、接着力が極めて優れる結果となった。
【0088】
【表4】
【0089】
【発明の効果】
モータの電機子巻線はインサータで挿入したり、歯に成型巻線を挿入すると、このままでは巻線が固定できない。また、コアレスモータでは巻線を固定するものがほとんどない。この場合、振動や巻線の振動による切れを防止するため、巻線を固定する必要がある。
【0090】
また、巻線を挿入などする場合、絶縁被膜が剥がれる場合もある。本発明の処理法は絶縁性をアップさせ、巻線全体を固着するもので、巻線全体の機械剛性を高くし、巻線の固定も兼ねてできる。
【0091】
本発明はモータ自身が振動する場合には、特に効果的であり、工業生産ラインで振動がある部分や、可動部分にあるモータに適用できると、長時間信頼性の高いものとなる。ロボット部品や自動車の電装品、電気自動車の駆動モータなど、可動装置に使用されるモータ、トランスなどに使用すると効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】コアレスモータの電機子。
【図2】分割コアと成型巻線。
【図3】巻線と一体化した分割コア。
【符号の説明】
11…回転子軸
12…電機子巻線
13,13’…電機子巻線の端子
14…電機子巻線(12の上に重ねられる)
21…分割コア
22…歯
23…成型した巻線
24…巻線と一体化した分割コア
25…カシメ
Claims (12)
- 有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物と、水及び/または有機溶剤からなる溶剤とを混合した処理液であって、有機珪素化合物及び/または有機珪素化合物の加水分解・脱水縮合物の含有量が、SiO2として10〜40質量%の範囲にあることを特徴とする絶縁・結束処理液。
- 前記有機珪素化合物が下記化学式(1)で表される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁・結束処理液。
(R1)nSi(X)4−n ・・・(1)
但し、n=0〜2の整数、
R1:炭素数1〜6の炭化水素基またはフェニル基、
X:(OR2)で表わされるアルコキシ基、
R2:炭素数1〜6のアルキル基、
R1,R2が複数の時は、それぞれが異なるものでも良い。 - 前記化学式(1)で示される前記有機珪素化合物として、n=0及びn=1のものの合計が質量比で全有機珪素化合物の28%以上であることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の絶縁・結束処理液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の処理液がさらにシリカゾルを含有し、前記シリカゾルの含有量がSiO2に換算して0.0003〜30質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
- 前記シリカゾルが下記式(2)を満足するシリカゾルであることを特徴とする請求項4記載の絶縁・結束処理液。
0.02<△{log(ηsp/C)}/△C<0.20 ・・・(2)
但し、ηsp/C;還元粘度、
C;シリカ濃度、
△{log(ηsp/C)}/△C;還元粘度(ηsp/C)と
シリカ濃度(C)との相関を示す線の勾配。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の処理液がさらに増粘剤を含有し、前記増粘剤の含有量が0.001〜20質量%の範囲であることを特徴とする絶縁・結束処理液。
- 前記増粘剤がセルロース類であることを特徴とする請求項6に記載の絶縁・結束処理液。
- 溶剤として、水及び/または沸点120℃未満のアルコールを用いることを特徴とする特許請求項1〜7のいずれかに記載の絶縁・結束処理液。
- 電気機器部品に請求項1〜8のいずれかに記載の処理液を塗布し、次いで乾燥することを特徴とする電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
- 前記乾燥温度を80℃〜200℃の範囲とすることを特徴とする請求項9に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
- 被膜の平均膜厚が0.02〜30μmであることを特徴とする請求項9または10に記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
- 前記塗布及び乾燥を2回以上繰り返し行うことを特徴とする請求項99〜11のいずれかに記載の電気機器部品の絶縁・結束処理方法。
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GB2454819A (en) * | 2008-09-30 | 2009-05-20 | Sidny Thain | An Electric Liquid Insulator |
JP2020076054A (ja) * | 2018-09-06 | 2020-05-21 | 花王株式会社 | スプレー用組成物 |
-
2003
- 2003-05-01 JP JP2003126498A patent/JP2004335176A/ja active Pending
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