JP2006351409A - 抜熱性の優れる絶縁被膜剤とその処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、電気絶縁性、機械特性、耐錆性に優れた高性能なエネルギー変換機器および高性能エネルギー変換機器用部材を提供する。
【解決手段】 電気機器部品の表面に施す絶縁被膜剤に、シリコンポリマ−のベ−ス液に酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩の1種または2種以上を添加した高抜熱性絶縁被膜剤。添加剤の平均粒子径が20μm未満。硬化剤として,Zn系,Al系,Fe系,燐酸系,アミン系のいずれか1種または2種以上の硬化剤が縁被膜剤全体の1〜20質量%添加する。添加剤の分散方法として,添加剤をあらかじめ、シリコンポリマ−系の被膜剤で被覆処理し,溶剤に分散処理し,超音波処理を施して均一分散の後、ベ−ス液に添加する高抜熱性絶縁被膜剤の分散方法。沸点が100℃超の溶剤を用いる。まず40℃以上,80℃以下にて30分〜180分保持して乾燥させた後,さらに120℃〜250℃で高温乾燥を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 電気機器部品の表面に施す絶縁被膜剤に、シリコンポリマ−のベ−ス液に酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩の1種または2種以上を添加した高抜熱性絶縁被膜剤。添加剤の平均粒子径が20μm未満。硬化剤として,Zn系,Al系,Fe系,燐酸系,アミン系のいずれか1種または2種以上の硬化剤が縁被膜剤全体の1〜20質量%添加する。添加剤の分散方法として,添加剤をあらかじめ、シリコンポリマ−系の被膜剤で被覆処理し,溶剤に分散処理し,超音波処理を施して均一分散の後、ベ−ス液に添加する高抜熱性絶縁被膜剤の分散方法。沸点が100℃超の溶剤を用いる。まず40℃以上,80℃以下にて30分〜180分保持して乾燥させた後,さらに120℃〜250℃で高温乾燥を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気機器等の部品表面に施される抜熱性の優れた被膜に関するものである。
電気機器として、電動機、アクチュエータ、発電機や変圧器、リアクトルなどがあり、小形高出力化、高信頼性が図られている。小形高出力化には、高電流駆動、高電圧駆動がなされ、それに伴い発熱する熱も多くなり、温度上昇を伴う。しかし、この発熱による温度上昇は、逆に、小形高出力化を抑制し、また、装置の信頼性を低下させる。そこで、発生熱を電気機器より抜熱することが要求される。電気機器は、導線や、コイル、コンデンサ、抵抗、半導体素子などの部品、また、その他の部品(材)で構成されるが、発生する熱を外部に抜熱させるために、これらの部品(材)に高熱伝導性あるいは高放熱性を持たせることが求められる。電気機器の筐体からの放熱性を高めるものとしては、特許文献1のように高放熱塗膜などの適用が考えられている。また筐体内部において高熱伝導性を持たせるために、部品として高熱伝導性のものを用いるが、部品(材)間の伝熱性が低いと、高い抜熱性を得ることができない。高い抜熱性を得るためには、部品(材)に高熱伝導性のものを使用したり、部品(材)間の空隙を熱伝導性の良いものを充填したり、放熱板を設けたりしているが、更に良い手段が求められている。
また、Siの酸化物を有機溶剤に添加するものとして、特許文献2に開示してあるが、電磁鋼板の端面の絶縁性・耐食性が目的である。
また、Siの酸化物を有機溶剤に添加するものとして、特許文献2に開示してあるが、電磁鋼板の端面の絶縁性・耐食性が目的である。
しかし、本発明のように電機機器部品の表面の絶縁皮膜に特に抜熱性を高めるために、特に、シリコンポリマ−に添加剤を加えかつその重量%と粒径を規定していることとシリコンポリマ−の縁被膜剤全体の質量%を規定したものはない。
本発明は、電磁機器等の部品に施される皮膜において、高熱伝導性が優れる被膜剤を適用することにより、高抜熱性の部品を提供する。
本発明の特徴とするところは、電気機器部品の表面に施す絶縁被膜剤において、シリコンポリマ−のベース液に酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩の1種または2種以上を添加し、シリコンポリマ−として,ポリエステル,エポキシ,アクリル,アルキド,アミノ,フッ素樹脂の1種または2種以上の複合シリコンポリマ−を絶縁被膜剤全体の20質量%以上含有するか、または、ベース液が変性シリコンポリマ−,混合シリコンポリマ−の1種または2種以上を絶縁被膜剤全体の50質量%以上含有する高抜熱性絶縁被膜剤である。
ここで、シリコンポリマーとは、(R3)nSi(X2)4-n(但し、n=0〜3の整数、R3はアルキル基またはフェニル基以外の有機官能基で、n=2,3の時は複数のR3が異なっていてもよく、X2はClまたはO(R4)で表されるアルコキシル基で、R4はアルコキシル基でありn=0,1,2の時は複数のR4が異なっていてもよい)で表されるシランの縮合重合体である。これらのシランの縮合重合方法は知られており、そのいずれでもよい。
また、変性シリコンポリマ−とは、有機基により純シリコンポリマ−の一部が置換された構造のものを指し,混合シリコンポリマ−とは有機分子とシリコンポリマ−の混合物を指す。
また、変性シリコンポリマ−とは、有機基により純シリコンポリマ−の一部が置換された構造のものを指し,混合シリコンポリマ−とは有機分子とシリコンポリマ−の混合物を指す。
添加剤として,Al,Mg,Ca,Znのいずれかの酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩あるいはSiの酸化物,水酸化物,炭酸塩の1種または2種以上を、固形分比でベ-ス液100質量部に対し10〜200質量部添加され、添加剤の平均粒子径が20μm未満であるか、添加剤が平均粒子径5μ未満の微粒子を50質量%超、含有する。また、添加剤が平均粒子径2μ未満の水酸化物および/または珪酸塩を少なくとも、絶縁被膜剤全体の25質量%以上、含有するものである。さらに、硬化剤として,Zn系,Al系,Fe系,燐酸系,アミン系のいずれか1種または2種以上の硬化剤が絶縁被膜剤全体の1〜20質量%添加されている高抜熱性絶縁被膜剤である。
添加剤の分散方法としては,添加剤をあらかじめ、シリコンポリマ−系の被膜剤で被覆処理し,溶剤に分散処理し,超音波処理を施して均一分散の後、ベ−ス液に添加し、沸点が100℃超の溶剤を用いる高抜熱性絶縁被膜剤の分散方法であり、かつ高抜熱性絶縁被膜剤を塗布した後、まず40℃以上,80℃以下にて30分〜180分保持して乾燥させた後,さらに120℃〜250℃で高温乾燥を行うことを特徴とする高抜熱性絶縁被膜剤の乾燥方法である。
本発明で得られる絶縁皮膜は、シリコンポリマ−のベ−ス液に酸化物,水酸化物等の1種または2種以上を添加することにより、高耐熱性、高機械強度であり、均一で割れにくいものになり、熱伝導性を無添加の場合に比較して、それらを合計で100重量部添加すると約3倍程度の熱伝導度が得られる。これにより,抜熱性,密着性,絶縁性,耐熱性等の優れる被膜を得る。
本発明の絶縁皮膜を得る方法を用いると、沈降し難い良質の被膜液を得ることができ、また、迅速に、良い作業環境で、高性能の絶縁被膜を得ることができる。
本発明で得られる絶縁皮膜は高温下で使用することもでき、高強度で、アウトガスの少ないものにできる。
本発明で得られる絶縁皮膜は高温下で使用することもでき、高強度で、アウトガスの少ないものにできる。
本発明を適用する電気機器部品とは、電動機、アクチュエータ、発電機や変圧器、リアクトルなどで、流される電流、印加される電圧や機器内で生じる電磁気により発熱し温度上昇を引き起こすものがあり、その部品としては、導線や、コイル、コンデンサ、抵抗、半導体素子などの電気部品、永久磁石、鉄心、継鉄などの磁性部品、また、その他の部品として、磁気シールド板、電磁波シールド板、放熱板、基板などがある。これらの部品は通常、筐体あるいはケースに内蔵、あるいは設置されて用いられる。
本発明では、上記の電気機器の部品表面に施される被膜に適用する。被膜は電気絶縁被膜、接着被膜、防錆被膜、あるいは粉塵発生抑制、欠落防止、欠け防止、アウトガス抑制のための被膜である。電気絶縁被膜としては、導線間、導線と鉄心の間、あるいはコイル、コンデンサ、抵抗、半導体素子などの電気部品間、導線や電気部品と磁気シールド板、電磁波シールド板、放熱板、基板との間などである。接着被膜としては、同様に、導線間、導線と鉄心の間、あるいはコイル、コンデンサ、抵抗、半導体素子などの電気部品間、導線や電気部品と磁気シールド板、電磁波シールド板、放熱板、基板との間などで結束、固定を目的として行うものである。防錆被膜は、鉄板、電磁鋼板やその他の鋼材の表面に施されるもので、粉塵発生抑制、欠落防止、欠け防止、アウトガス抑制のための被膜は、電気部品、磁性部品や温度上昇する部分や可動部の部品の表面に施されるものである。
本発明においては、電気機器やその部品の温度上昇を抑制する目的で、熱伝導を改善するため、被膜を施す部品と他の部品の間の熱伝導を高めたり、被膜を施す部品からの放熱を効率よくさせるために、熱伝導性の良い被膜を表面に施す。
本発明においては、電気機器やその部品の温度上昇を抑制する目的で、熱伝導を改善するため、被膜を施す部品と他の部品の間の熱伝導を高めたり、被膜を施す部品からの放熱を効率よくさせるために、熱伝導性の良い被膜を表面に施す。
電気材料の表面に施す絶縁皮膜剤において、シリコンポリマ−のベ−ス液に酸化物,水酸化物、炭酸塩、珪酸塩の1種または2種以上を添加したものを用いる。特に、高耐熱性、あるいは割れにくい生成膜を得るためには、シリコンポリマ−として,ポリエステル,エポキシ,アクリル,アルキド,アミノ,フッ素樹脂の一種または2種以上複合ポリマ−を縁被膜剤全体の20質量%以上配合し、または、べ−ス液が変性シリコンポリマ−,混合シリコンポリマ−の1種または2種以上を縁被膜剤全体の50%以上含有するものとする。これらより含有量が低いと、耐熱性が低く、更に割れやすい。ここで,本発明でいう変成シリコンポリマ−は有機基により純シリコンポリマ−の一部が置換された構造のものを指し,混合シリコンポリマ−とは有機分子とシリコンポリマ−分子の分子の集団同士が結合したブロック構造をなしたものを指す。
高熱伝導性を得るため、また、混合性を得るために、添加剤として,Al,Mg,Ca,Zn,Siからなる酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩の1種または2種以上を、固形分比でベ-ス液100質量部に対し10〜200質量部添加する。高熱伝導性などを得るためには、実施例1のように、10質量部以上必要であり、200質量部以上であれば良質の被膜を得ることができない。添加剤の粒子径は、沈降し難い平均粒子径で20μm未満とする。20μm超の場合,沈降して良い被膜液を得ることができない。特に,沈降し難い5μm未満が50質量%超の微粒子を使用することが好ましい。また,粒子径2μ未満の水酸化物,珪酸塩を少なくとも25質量%以上含有させると良い。このような場合,特に,水酸化Al,水酸化Mg,水酸化Ca等の水酸化物や珪酸Al,珪酸Mg,珪酸Ca等の珪酸塩を用いると分散性がよく,均一な被膜層ができる。
硬化剤として,Zn系,Al系,Fe系,燐酸系,アミン系のいずれか1種または2種以上の硬化剤を被膜剤全体の1〜20質量%添加すると、高性能の被膜を迅速に生成することができる。
高性能の高抜熱性被膜を生成するための液を調合するためには、前記添加剤をあらかじめ、シリコンポリマ−系の被膜剤で被覆処理し,更に、アルコールやグリコールなどの溶剤を使って分散処理し,超音波処理を施して均一分散の後に,ベ−ス液に添加するとよい。べ−ス液と添加剤の混合物の総量100質量部に対し,溶剤を10〜100質量部程度配合すると均一で発泡性の少ない乾燥膜を得ることができる。溶液の発泡性防止や添加粒子の分散性向上のための溶剤の役割を果たすためには10質量部以上の配合が必要であり、100質量部以上を配合すると、濃度が低くなり過ぎ、また、多すぎる溶剤をとばす必要があり作業環境が悪くなる。この溶剤の量は添加する粉体化合物量や溶液の粘性の状態によって決められる。溶剤は沸点が100℃超の溶剤、すなわち、プロピレングリコ−ル,プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル,プロピレングリコ−ルモノメチルエーテルアセテ−ト等を用いると乾燥時の処理材の積層部,結束部,締め付け部当に染み込んだ処理溶液の乾燥時の凸沸や不均一乾燥が生じず,均一な乾燥膜が得られる。
高抜熱性絶縁皮膜剤を乾燥させるにあたり、先ず、低温乾燥を行い、その後、高温乾燥を行う。低温乾燥で、溶剤乾燥を徐々に行わせることで,均一な被膜を生成させ、その後、高温乾燥させることで、硬度,接着力向上を行うことにより,高強度で、アウトガスの少ないものにできる。従って、低温乾燥は溶剤の沸点以下の40℃以上80℃以下で行い、30分〜180分保持して乾燥させると良質の被膜が得られる。次いで、完全に乾燥させ十分な強度とその後アウトガスが出ないように、高温の120℃〜250℃で処理する。
(実施例1)
0.8mmφの導線を20本束ねた導線を自動車のスタータの導線として利用する場合に、導線束を固定し、導線間の絶縁性を確保し、導線に発生する熱を抜熱するために、ベ−ス液としてポリエステル50質量部+シリコ−ン樹脂50質量部からなるポリエステルシリコ−ン型のべ−ス液100質量部に対し,平均粒子径1μmのアルミナ粉末75質量部を添加した被膜剤を用いて,処理し,150℃×3hrの乾燥処理を行った。この際の絶縁皮膜厚みは約100μmであった。添加剤の添加量と、熱伝導性の関係は、図1に示されるように、添加剤を増やすほど熱伝導性が良くなるが、75質量部のところが、添加割合に対して熱伝導向上率が高く、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が2.7倍改善されており、効果的であることが分かる。図1はポリエステルシリコ−ン樹脂100gに対する添加剤の添加量と、熱伝導性の関係であり、熱伝導測定は円板熱流量計法(ASTM E1530)を用いた。
0.8mmφの導線を20本束ねた導線を自動車のスタータの導線として利用する場合に、導線束を固定し、導線間の絶縁性を確保し、導線に発生する熱を抜熱するために、ベ−ス液としてポリエステル50質量部+シリコ−ン樹脂50質量部からなるポリエステルシリコ−ン型のべ−ス液100質量部に対し,平均粒子径1μmのアルミナ粉末75質量部を添加した被膜剤を用いて,処理し,150℃×3hrの乾燥処理を行った。この際の絶縁皮膜厚みは約100μmであった。添加剤の添加量と、熱伝導性の関係は、図1に示されるように、添加剤を増やすほど熱伝導性が良くなるが、75質量部のところが、添加割合に対して熱伝導向上率が高く、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が2.7倍改善されており、効果的であることが分かる。図1はポリエステルシリコ−ン樹脂100gに対する添加剤の添加量と、熱伝導性の関係であり、熱伝導測定は円板熱流量計法(ASTM E1530)を用いた。
(実施例2)
EV駆動モータの電機子巻線を施した鉄心とケースに、結束、絶縁性強化と高抜熱性化を兼ねた被膜を行うに当たり、次の絶縁処理を行った。ベ−ス液として,ポリエステルシリコ−ン樹脂30質量部、エポキシ樹脂30質量部、シリコ−ン樹脂40質量部からなる混合シリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1μmのMgO50重量%とAl(OH)350重量%からなる混合物を100質量部を配合した絶縁皮膜剤を使用した。電機子巻線を施した鉄心をケースに圧入したものをこの絶縁被膜剤の液に浸漬し、十分な浸透処理を行った後,60℃で2Hrの低温乾燥と140℃×2Hrの乾燥硬化処理を行った。これにより突沸等の問題が生じず,均一な厚膜が得られた。この処理で、乾燥後の皮膜厚み約500μmが得られた。今回の絶縁処理を行うことにより、添加剤なしの絶縁処理剤の場合より、モータの従来の最大駆動状態で導線温度は約5℃低減でき、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が3.3倍改善されており、効果的であることが分かる。従って、駆動電流の増加が可能となり、モータの高出力化が実現できた。
EV駆動モータの電機子巻線を施した鉄心とケースに、結束、絶縁性強化と高抜熱性化を兼ねた被膜を行うに当たり、次の絶縁処理を行った。ベ−ス液として,ポリエステルシリコ−ン樹脂30質量部、エポキシ樹脂30質量部、シリコ−ン樹脂40質量部からなる混合シリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1μmのMgO50重量%とAl(OH)350重量%からなる混合物を100質量部を配合した絶縁皮膜剤を使用した。電機子巻線を施した鉄心をケースに圧入したものをこの絶縁被膜剤の液に浸漬し、十分な浸透処理を行った後,60℃で2Hrの低温乾燥と140℃×2Hrの乾燥硬化処理を行った。これにより突沸等の問題が生じず,均一な厚膜が得られた。この処理で、乾燥後の皮膜厚み約500μmが得られた。今回の絶縁処理を行うことにより、添加剤なしの絶縁処理剤の場合より、モータの従来の最大駆動状態で導線温度は約5℃低減でき、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が3.3倍改善されており、効果的であることが分かる。従って、駆動電流の増加が可能となり、モータの高出力化が実現できた。
(実施例3)
工作機器用主軸モータに、ベ−ス液として,エポキシ樹脂70質量部、シリコ−ン樹脂30質量部からなるシリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1.0μmのAl(OH)3100質量部を配合した絶縁皮膜剤を使用した。電機子巻線を施した鉄心において、巻線部に、この絶縁処理液を塗布することで巻線間と巻線鉄心間に浸みこませた。その後、60℃×2Hrの低温乾燥と160℃×2Hrの乾燥処理を行った。この処理で、乾燥後の皮膜厚み約200μmが得られた。今回の絶縁処理を行うことにより、絶縁処理なしのモータを使用した場合より、モータ温度が低減でき、外部温度で約3℃低減でき、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が3.3倍改善されており、効果的であることが分かる。このモータによる工作精度を向上できた。
工作機器用主軸モータに、ベ−ス液として,エポキシ樹脂70質量部、シリコ−ン樹脂30質量部からなるシリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1.0μmのAl(OH)3100質量部を配合した絶縁皮膜剤を使用した。電機子巻線を施した鉄心において、巻線部に、この絶縁処理液を塗布することで巻線間と巻線鉄心間に浸みこませた。その後、60℃×2Hrの低温乾燥と160℃×2Hrの乾燥処理を行った。この処理で、乾燥後の皮膜厚み約200μmが得られた。今回の絶縁処理を行うことにより、絶縁処理なしのモータを使用した場合より、モータ温度が低減でき、外部温度で約3℃低減でき、添加剤なし(比較材)に比べて熱伝導率が3.3倍改善されており、効果的であることが分かる。このモータによる工作精度を向上できた。
(実施例4)
HDDスピンドルモータに、ベ−ス液として,ポリエステル樹脂40質量部+フェニル樹脂10質量部+シリコ−ン樹脂50質量部からなるシリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径0.5μmのAl2O350質量%+平均粒子径0.5μmのSiO250質量%からなる添加剤75質量部と、溶剤としてプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト50質量部と、硬化剤として,Al系硬化剤(信越化学工業製CAT-AC)5質量部を配合した絶縁皮膜剤を用いた。モータのインナー電機子鉄心の電機子巻線を施されている歯とスロット部を乾燥後の皮膜厚み100μmになるように浸漬塗布し,50℃×2Hrの低温乾燥と135℃×2Hrの乾燥処理を行った。すなわち、高抜熱性絶縁皮膜剤を乾燥させるにあたり、先ず、低温乾燥を行い、その後、高温乾燥を行う。低温乾燥で、溶剤乾燥を徐々に行わせることで,均一な被膜を生成させ、その後、高温乾燥させることで、硬度,接着力向上を行うことができた。
HDDスピンドルモータに、ベ−ス液として,ポリエステル樹脂40質量部+フェニル樹脂10質量部+シリコ−ン樹脂50質量部からなるシリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径0.5μmのAl2O350質量%+平均粒子径0.5μmのSiO250質量%からなる添加剤75質量部と、溶剤としてプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト50質量部と、硬化剤として,Al系硬化剤(信越化学工業製CAT-AC)5質量部を配合した絶縁皮膜剤を用いた。モータのインナー電機子鉄心の電機子巻線を施されている歯とスロット部を乾燥後の皮膜厚み100μmになるように浸漬塗布し,50℃×2Hrの低温乾燥と135℃×2Hrの乾燥処理を行った。すなわち、高抜熱性絶縁皮膜剤を乾燥させるにあたり、先ず、低温乾燥を行い、その後、高温乾燥を行う。低温乾燥で、溶剤乾燥を徐々に行わせることで,均一な被膜を生成させ、その後、高温乾燥させることで、硬度,接着力向上を行うことができた。
(実施例5)
HDDスピンドルモータに、ベ−ス液として,RSi(OR)3であらわされる純シリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1.0μmのAl2O350質量%とSiO250質量%からなる添加剤100質量部とアミン系硬化剤5質量部及び溶剤とし、プロピレングリコ−ル50質量部からなる絶縁皮膜剤を用いた。モータのインナー電機子鉄心の電機子巻線を施されている歯とスロット部を乾燥後の皮膜厚み50μmになるように浸漬塗布し,60℃×0.5Hrの低温乾燥の後,175℃×1Hrの乾燥処理を行った。ここで、純シリコンポリマ−,アミン系硬化剤と高温乾燥を行ったことにより、アウトガスが少ない被膜を導線に施したので、HDD駆動状態相当の環境で、アウトガスの量が30%程度低減できた。この試験においては,溶液の溶剤による希釈と硬化剤の効果により,極めて液の浸透性と乾燥性が改善され,良好な皮膜特性と共に優れた作業性が得られた。
HDDスピンドルモータに、ベ−ス液として,RSi(OR)3であらわされる純シリコンポリマ−100質量部に対し,添加剤として平均粒子径1.0μmのAl2O350質量%とSiO250質量%からなる添加剤100質量部とアミン系硬化剤5質量部及び溶剤とし、プロピレングリコ−ル50質量部からなる絶縁皮膜剤を用いた。モータのインナー電機子鉄心の電機子巻線を施されている歯とスロット部を乾燥後の皮膜厚み50μmになるように浸漬塗布し,60℃×0.5Hrの低温乾燥の後,175℃×1Hrの乾燥処理を行った。ここで、純シリコンポリマ−,アミン系硬化剤と高温乾燥を行ったことにより、アウトガスが少ない被膜を導線に施したので、HDD駆動状態相当の環境で、アウトガスの量が30%程度低減できた。この試験においては,溶液の溶剤による希釈と硬化剤の効果により,極めて液の浸透性と乾燥性が改善され,良好な皮膜特性と共に優れた作業性が得られた。
(実施例6)
DCモータに使用する永久磁石とコミュテータの接着に本発明の絶縁被膜剤を使用した。モータは高回転用のもので、高トルクを必要とするため、磁石は希土類磁石を使用した。磁石はロータのスロットによる空間高調波による発熱が問題であり、本発明の絶縁被膜剤で接着し固定すると共に、この絶縁被膜剤の高熱伝導性のため、磁石と接するケース兼ヨークからの抜熱を図った。また、ロータの鉄心には、カシメレスで本絶縁被膜剤で積層間接着を施すことで、従来のかしめによる層間電流による損失を抑制し、その損失による熱を、回転軸と共に、鉄心積層方向への抜熱でも行うことを試みた。さらに、コミュテータでの発熱も、本絶縁被膜剤を接着剤とかねて使用したため、コミュテータとコミュテータ設置部品、その設置部品と回転軸の間の抜熱性を向上でき、従来より昇温を抑えることとした。今回使用した絶縁被膜剤は、ポリエステル樹脂60質量部、シリコ−ン40質量部、溶剤イソプロパノ−ル30質量部からなるベ−ス液100質量部に対し,平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニュウム35質量部、平均粒子径1μmのAl2O335質量部からなる溶液である。磁石とケースの間、鉄心積層間、コミュテータとコミュテータ設置部品、設置部品と回転軸の間に、塗布し,60℃×1Hrの低温乾燥と145℃×2Hrの乾燥硬化処理を行った。膜厚は、磁石などの表面粗度を埋める厚さとした。
DCモータに使用する永久磁石とコミュテータの接着に本発明の絶縁被膜剤を使用した。モータは高回転用のもので、高トルクを必要とするため、磁石は希土類磁石を使用した。磁石はロータのスロットによる空間高調波による発熱が問題であり、本発明の絶縁被膜剤で接着し固定すると共に、この絶縁被膜剤の高熱伝導性のため、磁石と接するケース兼ヨークからの抜熱を図った。また、ロータの鉄心には、カシメレスで本絶縁被膜剤で積層間接着を施すことで、従来のかしめによる層間電流による損失を抑制し、その損失による熱を、回転軸と共に、鉄心積層方向への抜熱でも行うことを試みた。さらに、コミュテータでの発熱も、本絶縁被膜剤を接着剤とかねて使用したため、コミュテータとコミュテータ設置部品、その設置部品と回転軸の間の抜熱性を向上でき、従来より昇温を抑えることとした。今回使用した絶縁被膜剤は、ポリエステル樹脂60質量部、シリコ−ン40質量部、溶剤イソプロパノ−ル30質量部からなるベ−ス液100質量部に対し,平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニュウム35質量部、平均粒子径1μmのAl2O335質量部からなる溶液である。磁石とケースの間、鉄心積層間、コミュテータとコミュテータ設置部品、設置部品と回転軸の間に、塗布し,60℃×1Hrの低温乾燥と145℃×2Hrの乾燥硬化処理を行った。膜厚は、磁石などの表面粗度を埋める厚さとした。
この絶縁被膜剤に本発明のように添加剤を入れると、従来の絶縁被膜剤(添加剤なし)を使用した場合に比べ、2.6倍、熱伝導率が大きくなり、この結果,モ−タ−の温度上昇が顕著に改善できた。
Claims (8)
- 電気機器部品の表面に施す絶縁被膜剤において、シリコンポリマ−のべース液に添加剤としてAl,Mg,Ca,Znのいずれかの酸化物,水酸化物,炭酸塩,珪酸塩あるいはSiの酸化物,水酸化物,炭酸塩の1種または2種以上を、固形分比でベ-ス液100質量部に対し10〜200質量部添加されたことを特徴とする高抜熱性絶縁被膜剤。
- シリコンポリマ−のベース液として,ポリエステル,エポキシ,アクリル,アルキド,アミノ,フッ素樹脂の1種または2種以上の複合シリコンポリマ−を縁被膜剤全体の20質量%以上含有するか、または、べ−ス液が変性シリコンポリマ−,混合シリコンポリマ−の1種または2種以上を縁被膜剤全体の50質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の高抜熱性絶縁被膜剤。
- 添加剤の平均粒子径が20μm未満である請求項1記載の高抜熱性絶縁被膜剤。
- 添加剤が平均粒子径5μ未満の微粒子を50質量%超、含有する請求項3記載の高抜熱性絶縁被膜剤。
- 添加剤が平均粒子径2μ未満の水酸化物および/または珪酸塩を少なくとも、縁被膜剤全体の25質量%以上、含有する請求項3ないし4のいずれかに記載の高抜熱性絶縁被膜剤。
- 硬化剤として,Zn系,Al系,Fe系,燐酸系,アミン系のいずれか1種または2種以上の硬化剤が縁被膜剤全体の1〜20質量%添加された請求項1ないし5のいずれかに記載の高抜熱性絶縁被膜剤。
- 添加剤の分散方法として,添加剤をあらかじめ、シリコンポリマ−系の被膜剤で被覆処理し,溶剤に分散処理し,超音波処理を施して均一分散の後、ベ−ス液に添加し、沸点が100℃超の溶剤を用いることを特徴とする高抜熱性絶縁被膜剤の分散方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の高抜熱性絶縁被膜剤を塗布した後、まず40℃以上,80℃以下にて30分〜180分保持して乾燥させた後,さらに120℃〜250℃で高温乾燥を行うことを特徴とする高抜熱性絶縁被膜剤の乾燥方法。
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