JP2004334563A - 情報処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイバネーション状態等のシステムステートを制御する機能をもつ情報処理装置において、状態遷移に消費される電力を削減する。
【解決手段】システムの状態を低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させる場合に消費される電力を削減するために電力削減手段29を設け、状態遷移に必要とされる最低限度の電力量を確保し、それ以外の電力の余力分をユーザが使用可能な電力として利用できるようにした。
【選択図】 図9
【解決手段】システムの状態を低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させる場合に消費される電力を削減するために電力削減手段29を設け、状態遷移に必要とされる最低限度の電力量を確保し、それ以外の電力の余力分をユーザが使用可能な電力として利用できるようにした。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置において、システムの状態制御(ハイバネーション状態等への遷移)に必要な消費電力を削減することで省電力化を図るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ機器等において電力供給源であるバッテリ残量が少なくなった場合に講じられる対策として、システムの状態(メモリ内容やデバイスのレジスタの設定等)を不揮発性記憶手段(ハードディスクや不揮発性メモリ等)に一時退避させておき、その後の動作再開時に元の状態に復帰させる機能(所謂「ハイバネーション(Hibernation)機能」)が知られている(例えば、特許文献1参照)。つまり、バッテリ残量の低下による突然の電源供給停止が起き、ユーザが不利益(データ消失等)を被らないための安全対策が必要とされ、例えば、携帯型機器等においてACアダプタを使用できない場合に有用である。
【0003】
バッテリ残量を常に監視して、残量が閾値以下になった時(ローバッテリ時)に上記ハイバネーション機能(以下、「ローバッテリハイバネーション」と呼び、「LBH」と略記する。)が働くように構成することで、バッテリ残量が少なくなった場合でも、不測の事態を回避することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−324012号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、システムの状態遷移に係る制御において充分な電力削減対策が講じられていないという問題がある。
【0006】
例えば、バッテリの電圧降下が問題となる使用環境(低温環境等)を考慮して、LBH機能を発動させて安全な状態に遷移させるための、バッテリ残量の閾値(LBH閾値)が規定されており、装置システムで使用できる電力量としては、「(実際にユーザが使用できるバッテリ量)=(放電開始時残容量[最大100%])−(LBH閾値)」という関係式が成立する。よって、LBH閾値の余裕分が多過ぎると使用可能なバッテリ量が減り、ユーザの利便性に影響を及ぼす。即ち、LBH機構が有効に働くときに必要な電力以上の余力をもってLBH状態への遷移が行われる場合には、ユーザが電力を未だ使えるにも関わらず、実際に使用可能な時間(実バッテリライフあるいはバッテリ持続時間)が短くなってしまうという問題がある。
【0007】
ハイバネーション状態へ遷移させる場合の条件としてバッテリ残量を閾値と比較する場合において、該閾値は、「(状態遷移に必要な電力相当分)+(余裕分)」いう式から決められるが、該電力相当分を削減できれば、その削減量をユーザの使用電力量とすることができる。
【0008】
そこで、本発明は、ハイバネーション状態等のシステムステートの遷移を制御する機能をもつ情報処理装置において、状態遷移に消費される電力を削減することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させるのに必要な消費電力を削減するための電力削減手段を備えた構成したものである。
【0010】
従って、本発明によれば、状態遷移に必要とされる最低限度の電力量を確保し、それ以外の電力の余力分をユーザの使用可能な電力として融通を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、情報処理装置において、バッテリ装置の実使用可能時間を長くすることでユーザの利便性を高めることを目的とする。例えば、バッテリ装置で駆動される携帯型機器(ノート型のパーソナルコンピュータ等)では、バッテリ残量が少なくなると、データ消失を防ぐために安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる機構が働くが、該状態への遷移時に消費される電力を削減することにより、ユーザが実際にバッテリを使用可能な時間を長くすることができる。
【0012】
図1は本発明に係るシステムの基本構成を示す概念図であり、電力管理システム1は、電源部2と、該電源部2から電力供給を受ける電力供給対象3、そして、電力状態の監視及び給電制御等を行う制御部4から構成されている。
【0013】
電源部2を構成するバッテリ装置としては、例えば、一次電池や、二次電池(リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池等)が挙げられ、その他、燃料電池(ダイレクトメタノール型等)のような発電装置も含まれる。
【0014】
また、電力供給対象3については、例えば、コンピュータ機器やPDA(Personal Digital Assistance)、映像機器や撮像機器等へ適用が可能である。
【0015】
制御部4は、例えば、バッテリ装置の残容量や状態を監視して給電制御等を行うものであり、残容量を閾値又は基準範囲と比較して該残容量が低下したと判断された場合に、動作状態と比べて低消費電力とされる制御状態又は消費電力がゼロ若しくはほぼゼロの制御状態に遷移させる機能や、該制御状態への遷移時に消費される電力量を削減する機能を有する。尚、ここで「基準範囲」については、例えば、閾値を基準として不感帯を含む比較基準範囲や、安全率を見込んだ許容範囲等が含まれる。
【0016】
実施態様としては、例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0017】
(I)電源部2及び制御部4を備えたバッテリ装置を、電力供給対象3に対して装着して使用する形態
(II)電力供給対象3及び制御部4を備えた装置本体部に、電源部2を装着して使用する形態
(III)電源部2、電力供給対象3及び制御部4を装置本体部が備えた形態。
【0018】
先ず、形態(I)としては、例えば、バッテリ装置が残容量や状態を自己監視し又は管理する機能、あるいは情報処理装置との間で双方向性通信又は一方向性通信を行う機能や状態の表示機能等、高度な処理機能を有する構成例(所謂「Intelligent Battery」)が挙げられ、残容量等の情報が電力供給対象3を有する情報処理装置に通知される。この場合、制御部4としてはバッテリ装置に内蔵されたマイクロコンピュータ及びCPU(中央処理装置)により実行される制御プログラム等が用いられる。
【0019】
また、形態(II)では、制御部4が情報処理装置の本体部に設けられており、電源状態の管理や給電制御等は装置本体部において行われる。
【0020】
形態(III)では、情報処理装置の本体部に、電源部2、電力供給対象3(各種デバイス)、制御部4がすべて組み込まれている。
【0021】
尚、形態(II)や(III)において、制御部4には、例えば、各種コントローラ(後述の組み込みコントローラやI/O制御ハブ、電源コントローラ等)が用いられ、電力管理機能をもつオペレーティングシステム(以下、「OS」という。)を搭載した装置では、OSの電源管理部(プログラム)により実現される制御機構等が使用される。
【0022】
図2はハードウェアに係る構成例の要部を示したものであり、以下ではコンピュータ機器への適用例について説明する。
【0023】
情報処理装置5は、下記の要素を有する(括弧内の数字は各部に付した符号を示す。)。
【0024】
・CPU(6)
・第一制御部(7)
・メインメモリ(8)
・グラフィックスカード(9)
・第二制御部(10)
・第三制御部(11)
・ハードディスクドライブ装置(12、12)
・光学式ディスクのドライブ装置(13、13)
・デバイス制御部(14)
・ACアダプター(15)
・バッテリパック(16)。
【0025】
尚、図には、入力操作装置(キーボードやマウス等)、表示装置(液晶式ディスプレイや陰極線管(CRT)等)といった各種装置の図示を一切省略している。また、補助記憶装置としては、ハードディスク等の磁気ディスクドライブ装置や、光学式ディスクドライブ装置(光ディスクや光磁気ディスク等、光学読取式ディスクのドライブ装置)を示している。
【0026】
第一乃至第三制御部(7、10、11)は、CPU(中央処理装置)6から近い順に番号を付して区別している。
【0027】
先ず、第一制御部(MCH:Memory Control Hub)7はメモリ制御やシステムバスとのリンク等の役目をもつチップセットである。AT互換機では「ノースブリッジ」と呼ばれ、CPU6とメインメモリ8、グラフィックスカード9、各種バス(PCI、AGP等)が接続される。
【0028】
また、第二制御部(ICH:I/O Control Hub)10は、デバイスのバスリンクや電力制御等を行うためのチップセットである。AT互換機では「サウスブリッジ」と呼ばれ(別名「PCI to ISA bridge」)、ノースブリッジに繋がっているバス(PCI:Peripheral Component Interconnect bus)を、低速なバス(ISA:Industry Standard Architecture bus等)に橋渡しする役目をもち、ISAコントローラ、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラ等の機能をもつ回路部が内蔵されている。
【0029】
尚、図には、説明の便宜上、第二制御部10のIDEコントローラ「IDE HC」にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態と、デバイス制御部14にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態とを併せて示している。デバイス制御部14は、「IEEE 1394」規格(シリアルデバイスをコンピュータに追加するためのハードウェアの仕様を定義する。)に従ってサポートされるデバイスを制御するものであり、第二制御部10に接続されている。
【0030】
第三制御部11は、本例では「EC」(Embedded Controller:組み込みコントローラ)とされ、システムの電源制御やシステムの付加機能等について制御を行うために設けられており、携帯型機器等ではマイクロコンピュータが搭載されている。例えば、ECは、ACアダプター15や、二次電池等を用いたバッテリパック16の接続や装着の状態を検出して把握する等の役目をもっている。
【0031】
図3は本発明に係る実施態様について要部の構成を例示したものである。
【0032】
図中に示す破線よりも下方に示す部分がハードウェア階層を示し、本例ではECとバッテリ装置17、17(図には大容量タイプと小容量タイプの2種類)を示している。
【0033】
バッテリ装置17には、残容量や状態を検出してECに通知する制御手段18としてマイクロコンピュータが内蔵されている。そして、該制御手段18は、バッテリ温度や湿度等の環境条件、給電状態(残容量や負荷状態等)やその変化について検出する各種センサや、劣化状態(例えば、二次電池における充放電回数等)を把握して、バッテリの出力制御(放電の許可又は停止、放電電流の増減等)を行う。
【0034】
図中に示す破線よりも上方に示す部分はソフトウェア階層を示しており、本例では、ACPI19、API20、OS電源制御部21、デバイスドライバ22、ユーティリティ(プログラム)23を示している。
【0035】
ACPI仕様(Advanced Configuration and Power Interface Specification)は、コンピュータのパワーマネージメントをOSで一元管理するための仕様であり、ACPI19はACPI機構を構成するインターフェース部である。尚、ACPIでは、S0乃至S5のシステムステートが定義されており、「S0」(動作状態)は、装置システムの電源が投入され(オン状態)、OSが動作してソフトウェアが実行されている状態とされる。また「S5」(オフ状態)はソフトウェアの実行が終了し、装置システムの電源が切断された状態である。S0とS5の間の中間段階であるS1〜S4の状態(スリープ状態)について、例えば、「S3」は、装置システムに電源は入っているが、動作が停止している状態(スタンバイ状態あるいはサスペンド状態等の待機状態)とされ、また、「S4」は、電源は切れているが、作業内容(RAMのデータ)等はハードディスク等に保存されていて、データロスト等が発生しない状態(ハイバネーション状態)とされる。尚、「ハイバネーション状態」では、メインメモリ等の内容がハードディスク(図2のドライブ装置12参照。)やシリコンメモリ等の不揮発性記憶装置(non−Volatile storage)の所定領域(ハイバネーション領域)に保存された後、電源が全て切断されるため、スリープ状態のうちで消費電力が最小である(S5の状態と同じ消費電力)。そして、退避されたデータや設定情報等はその後におけるシステムの復帰時に復元されるため、S0状態への遷移によりソフトウェアの続行が可能となる。
【0036】
OSで提供されるAPI(Application Programming Interface)20は、ACPI19の上層(レイヤー)に位置し、ACPI19と、OS電源制御部21又はユーティリティ23を仲介する。また、デバイスドライバ22はECとユーティリティ23との間を仲介する。
【0037】
OS電源制御部21は、電源管理や電力制御を行うための仕様(ACPI仕様等)をもつオペレーティングシステムが装置に搭載されている場合に標準で提供される機能を実現するプログラム等で構成される。例えば、バッテリ残量の情報(残容量はバッテリセルの電圧から把握することができる。)に基いて上記制御状態(スリープ状態)への遷移について制御する状態制御手段を設けた構成形態において、バッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを遷移条件として、ハイバネーション状態への遷移が行われる(LBH機構)。
【0038】
図4は状態遷移図を例示したものであり、S0状態への遷移後、監視状態に移り、ここではバッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態等に基づく遷移条件に応じた状態制御が行われる。例えば、バッテリ装置の温度や残容量等に基いて予め規定されている遷移条件が満たされた場合に「SI」(例えば、I=3又はI=4)の状態へと遷移した後、さらに「SJ」(例えば、J=4又はJ=5)の状態への遷移が行われる。一例として、LBH機構に関する状態遷移について説明すると、S5状態からシステムを起動してS0状態に遷移して状態監視中となる。ここではバッテリ装置の残容量を閾値又は基準範囲と比較し、残容量が充分であって供給余力に問題がない場合には監視状態が続行されるが、残容量が充分でない場合には、S4状態に遷移して作業内容等の退避を行ってからシステムの電源を落とす。その後、S0状態への遷移の際には、退避された情報が復元されて元の状態に復帰する。
【0039】
電源管理や電力制御を行うための仕様をもつOSとして「Windows」(マイクロソフト社の商標)等が搭載される場合には、ユーザが電源設定画面上でローバッテリ時の状態遷移についてバッテリ残量に係る閾値の設定を相対容量(最大容量に対する百分率)で行うことができる。つまり、バッテリ残量が設定値である相対容量に相当する値(閾値)に達したときに、予め設定しておいた状態(スタンバイ状態やハイバネーション状態)に遷移させることができる。
【0040】
ユーザがこのような設定を行った場合に、OS電源制御部21が、API20、ACPI19を経てECからバッテリ装置17にバッテリ残量を問い合わせ、ポーリング(Polling)で残容量を監視し、ユーザ設定に応じて上記状態に遷移させることで、品質事故(データロスト等)の発生を未然に防止することができる。
【0041】
尚、ユーザによる上記設定については、OS電源制御部21が標準で提供している機構を用いることなく、ユーティリティ23とデバイスドライバ22又はAPI20を用いて同様の機能を提供する構成形態も可能であり、図3には両形態を併せて示している。つまり、ローバッテリ時における遷移条件をバッテリの相対容量で設定する方法では、例えば、装置セットに対して満充電容量の異なるバッテリ装置を装着して利用することができる構成形態の場合、閾値の標準化が難しいという問題がある。満充電容量が異なる複数種のバッテリを同一のセットで使用する場合において、ハイバネーション状態等の安全な状態へ遷移させるための遷移条件として、バッテリ装置の残容量の閾値又は基準範囲には、絶対容量(Wh:ワット時)を用いることが好ましい。何故なら、安全な状態へ遷移させるために必要とされる電力量は、装置毎に異なる(つまり、バッテリ単位ではない)ので、相対容量ではなく絶対容量を用いる方が、標準化が容易になるからである。例えば、小容量バッテリと大容量バッテリを選択的に装置本体に装着して使用できる形態において、相対容量の%値(設定上の閾値)を同じとした場合に、安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させるために必要な電力量について、大容量バッテリの使用時には十分に供給されるが、小容量バッテリの使用時に不充分であったり、あるいは、小容量バッテリの使用時を基準として閾値を相対容量で設定した場合には、大容量バッテリの使用時に供給余力が十分であるにも関わらずハイバネーション状態等への遷移が行われてしまう結果、大容量バッテリを使用することの利点が生かされない等の不都合がある。
【0042】
そこで、状態遷移条件として、バッテリ装置の残容量について絶対容量を用いる場合には、OSで用意されている残量閾値の%(パーセント)設定機能を使わずに、専用のユーティリティ等を別途用意してユーザが残量閾値の設定を行えるようにすることが好ましい。
【0043】
尚、OSやユーティリティがバッテリ情報、例えば、バッテリ残量を取得する際の手順の流れは概ね下記に示す通りである(図3参照)。
【0044】
(1)OS電源制御部やユーティリティからACPIへの残量取得要求
(2)残量取得要求の受信(ACPI)
(3)ECへの残量取得要求
(4)残量取得要求の受信(EC)
(5)残量取得済みの場合には(9)に進むが、取得していない場合には(6)に進む
(6)バッテリ装置(内蔵のマイクロコンピュータ)への残量取得要求
(7)ECへの残量返信
(8)残量受信(EC)
(9)ACPIへの残量返信
(10)残量取得(ACPI)
(11)OS電源制御部やユーティリティへの残量返信
(12)残量取得(OS電源制御部やユーティリティ)。
【0045】
このように、OS電源制御部21やユーティリティ23は、ACPI機構を介してバッテリ情報(残量等)を取得する。尚、その詳細について、ACPI機構では、例えば、AML(ACPI Machine Language)と呼ばれる中間言語による制御プログラムにおいて、「どのようにバッテリ情報を取得するか?」といった記述をすることができる。尚、AMLはACPI機構上で動作するプログラムを記述するための言語であり、システム記述用言語ASL(ACPI Source Language)のソースファイルをコンパイルすることにより、AMLのコード(中間コード)が作成され、これを解釈して実行するACPI機構の本体部がOSで用意されている。AMLのプログラムはシステムBIOS(Basic Input/Output System)の一部として含まれている。AMLの使用は、OSからみたハードウェアの抽象化という観点から好ましい(機器構成の特殊性を隠蔽できる。)。
【0046】
例えば、AMLのプログラムにおいて、ECに対してバッテリ残量を問い合わせ、ECがその問い合わせを受けてバッテリ残量を返すといった処理について記述することができる(実際には、上記したようにECがバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータに対して残量の問い合わせを行い、残量を取得してからその値を返すといった処理が行われる。)。
【0047】
尚、別の実施態様例としては、AMLのプログラム記述の中で、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータとの間で通信を行うことにより、残量を取得する形態が挙げられ、本発明はこのような態様例に対しても適用可能である。また、ユーティリティ23からドライバ経由でECにアクセスして必要な情報を取得する構成形態も勿論可能である。
【0048】
次に、バッテリ装置の残容量や、バッテリ装置の環境条件(バッテリ温度等)や劣化状態、給電状態に応じて、上記した制御状態への遷移条件を変更するための構成形態について説明する。
【0049】
例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0050】
(A)バッテリ装置の残容量と閾値又は基準範囲との比較結果を遷移条件として用い、該閾値又は基準範囲をバッテリ装置の環境条件又は劣化状態又は給電状態に応じて変更する形態
(B)バッテリ装置の残容量と閾値又は基準範囲との比較結果を遷移条件として用いるとともに、閾値又は基準範囲については固定されているが、残容量やバッテリ温度等を含む条件に応じて実際の残容量に修正を加えた、見せ掛けの情報を用いて状態制御を行う形態。
【0051】
先ず、上記形態(A)では、バッテリ装置の残容量を閾値又は基準範囲と比較することで状態遷移の許否が決定されることを基本とする。そして、閾値又は基準範囲については固定されたものではなく、バッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態に応じて動的に変更される。
【0052】
例えば、LBH機構における残容量の閾値を、バッテリセルの温度等に応じて動的に変更し、複数の閾値を使い分けることでユーザが実際に利用できるバッテリ(駆動)時間をのばすことができる。
【0053】
本形態における制御主体は、例えば、図3においてEC(組み込みコントローラ)とされ、バッテリ装置17の残容量を監視し、残容量が少ないときにシステムを安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる。尚、実際の制御では、後述するように、ECから状態制御手段24を構成するユーティリティ23又はOS電源制御部21に通知を行うことで状態遷移が行われる。
【0054】
図5は処理例を示すフローチャート図であり、ECにおける制御手順を示している。
【0055】
本例では、バッテリ温度に応じた2種類の残量閾値「R_cld」と「R_nt」が決められていて、「R_cld」が低温用、「R_nt」が通常温度用(低温域を判別するための閾値以上の温度領域用)とされる。「R_cld>R_nt」の関係を満たすように各閾値が設定されているが、これは低温環境の使用で残容量の低下が大きいことを考慮したものである(つまり、低温の場合には状態遷移においてより多くの消費電力を必要とするため。)。また、以下に示す「通知済みフラグ」とは、状態制御手段24を構成するシステムに対してLBH要求を通知済みであるか否かを区別するために用意されているフラグを意味する(例えば、セット状態で「通知済み」を表す。)。
【0056】
先ず、ステップS1においてバッテリ情報(温度や残量等)を取得した上で、次ステップS2では、商用交流電源(AC)の供給を受けて装置が駆動されているかを判断する。つまり、装置にACアダプター15が接続されて電源供給を受けている場合には、ステップS3に進み、ACアダプター15の非接続時又は該アダプタから電源供給を受けていない場合にはステップS4に進む。
【0057】
ステップS3では、通知済みフラグの設定を解除した後、ステップS1に戻る。
【0058】
ステップS4では、ステップS1で取得したバッテリ温度をその閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値以下である場合にはステップS5に進むが、そうでない場合にはステップS6に進む。
【0059】
ステップS5では、バッテリ残量に係る閾値を低温用の閾値R_cldに規定してからステップS7に進む。また、ステップS6では、バッテリ残量に係る閾値を通常温度用の閾値R_ntに規定してからステップS7に進む。
【0060】
ステップS7において、ステップS1で取得した現在のバッテリ残量を閾値と比較する。つまり、低温環境下ではバッテリ残量をR_cldと比較し、また、通常温度領域ではバッテリ残量をR_ntと比較する。そして、バッテリ残量が閾値以下である場合にはステップS8に進むが、そうでない場合にはステップS9に進む。
【0061】
ステップS8では、通知済みフラグを調べ、該フラグがセットされている場合には、LBH要求が既に通知されているので何もせずにステップS1に戻る。また、通知済みフラグがセットされていない場合(クリア)には、ステップS10に進み、システムに対してLBH要求を通知した後、ステップS11に進んで通知済みフラグをセットしてからステップS1に戻る。尚、LBH要求を通知する対象はシステム(図3の破線より上方に位置する部分を参照)における状態制御処理の制御主体(OS電源制御部やユーティリティ等)である。
【0062】
ステップS9では、バッテリ残量が充分であるため、通知済みフラグのクリアの後でステップS1に戻る。
【0063】
このように、LBH要求を通知する際の判断に用いるバッテリ残量閾値については、バッテリ温度(セル温度)に応じて動的に変更することにより、通常温度領域における使用時には、残量閾値を低く設定することができる。即ち、前記したLBH閾値を下げることで、ユーザが実際に使用可能なバッテリ持続時間が長くなる(低温用閾値R_cldを用いる場合に比較して、閾値R_ntの方が小さいので、両者の差に対応する電力相当分だけ、バッテリで駆動できる時間がのびることになる)。また、低温環境等において、バッテリが所期の性能を充分に発揮できない環境下であっても、バッテリ残量として十分な閾値R_cldを、正常に安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させることができる値に設定することで、品質事故等を未然に防止できる。
【0064】
尚、本例では、温度について1つの閾値を設定し、残量については温度条件に応じて2つの閾値を設定しているが、これに限らず、さらに数多くの閾値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が可能である。
【0065】
また、図5の処理については制御主体としてECを想定したが、前記形態(I)の場合には、制御主体がバッテリ装置17内の制御手段18(マイクロコンピュータ等)であり、該制御手段によってLBH要求の通知又は該通知に必要なコマンドや情報等がEC等を通じてシステムの状態制御手段24に伝達される。
【0066】
図6は、バッテリ装置17について構成例を示す概念図であり、電圧検出手段25V及び温度検出手段25T、供給制御部26を備えている(尚、図示は省略するが電流検出や容量判別等のための各種検出手段が必要に応じて設けられる。)。
【0067】
電圧検出手段25Vは、バッテリセル27(図にはその1つだけを示す。)のセル電圧を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0068】
また、温度検出手段25Tは、バッテリセル27の温度を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0069】
供給制御部26は、バッテリセル27の状態を常に把握しており、外部回路(例えば、EC)との通信処理を行ったり、電力制御用素子28(図には、単にスイッチの記号で示すが、電界効果トランジスタや、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子が使用される。)を制御して、バッテリセルの放電により電力供給対象への電源供給を許可したり、電力制御用素子28をオフ状態にすることで放電を停止させる等の制御を行う。
【0070】
前記形態(I)では、各要素がバッテリ装置に組み込まれていて、各検出手段や供給制御部26の機能は、前記した制御手段18を構成する内蔵のマイクロコンピュータ及びそのCPUにより実行される制御プログラムによって実現される。また、前記形態(II)や(III)では、供給制御部26等が情報処理装置本体に設けられる。
【0071】
バッテリ使用に係る安全性の確保及び劣化防止等を目的として、バッテリの駆動には最低電圧(駆動電圧の閾値)を設定することが必要である(この電圧は放電曲線等に基いて決められている。)。つまり、セル電圧を常時又は定期的に監視するとともに、該電圧が予め決められた設定値(閾値)以下になった場合において、例えば、上記電力制御用素子28を強制的にオフ状態にすることでバッテリセルの放電を停止させるといった保護機構が働く。
【0072】
セル内部のインピーダンスが高い電池を用いる場合(例えば、電池の化学的特性によっては、低温になるほどインピーダンスが大きくなる。)や、低温環境で重負荷がかかった場合には、放電時の電圧降下が著しいため、セル電圧が直ぐに上記設定値を下回り、放電停止となって装置本体がシャットダウンしたり、ハイバネーション状態等への移行処理が間に合わなくなってしまう虞が生じる。
【0073】
また、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下等が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止により、シャットダウン等を誘発する虞がある。
【0074】
そこで、対処法としては、バッテリの環境条件や給電状態の変化、劣化状態等を考慮した上で、バッテリ装置に係る放電制御を行うことが好ましく、例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0075】
・バッテリ温度を検出するとともに、温度検出値に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態
・バッテリ残量に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態。
【0076】
いずれの形態でも、バッテリ電圧をその閾値と比較したり、バッテリ電圧が基準範囲にあるかどうかを調べた結果、該電圧が低下していないと判断された場合には、バッテリの放電が許可されて装置への電源供給が行われる。
【0077】
次に上記形態(B)について、図7及び図8を用いて説明する。
【0078】
本形態では、バッテリ装置の残容量の情報に基いてハイバネーション状態等の制御状態への遷移について制御するための状態制御手段24に対して、バッテリ残量及びバッテリ温度を含む条件に応じて実際のバッテリ残量に修正を加えた、見せ掛けの情報を通知する手段を設けることで、状態遷移について制御を行う。
【0079】
本実施態様例での制御主体(図7参照)は、ECやICH、AMLコードの制御プログラム(以下、単に「AML」と略記する。)等のいずれかで良い。例えば、ACPI仕様のOSからバッテリ残量の取得要求を受けた場合に、該OSにおいて電源状態制御を行う部分に残量情報を返答する際に、システムを制御する(安全な状態に遷移させる)目的で、バッテリ残量の情報操作により残量情報を意図的に制御する(残量を実際よりも多く見せかけたり、逆に少なく見せかけたりする)。つまり、残量情報の要求主体に対して残量情報を返す伝達経路上に存在する制御主体であれば、その如何は問わないことに注意を要する。
【0080】
尚、図7では、バッテリ装置17内の制御手段18(内蔵マイクロコンピュータ)との接続がEC又はICHとなっている。これは、装置構成によっては、ECがバッテリ装置17の内蔵マイクロコンピュータに接続されず、バッテリの監視を行わない場合があり、そのような場合には、ICHのシリアルバス(SMBus等)に該マイクロコンピュータを接続してバッテリの監視が行われることに依る。
【0081】
制御主体の相違に応じて、例えば、下記に示す3つの形態が挙げられる。
【0082】
1. バッテリ装置 <−>「EC」 <−>AML <−> API
2. バッテリ装置 <−> EC <−>「AML」 <−> API
3. バッテリ装置 <−>ICH<−>「AML」 <−>API
尚、「」で囲んで示すものが制御主体であり、また「<−>」はその両側に示す要素同士の相互通信を意味する。また、「1.」や「2.」においてECとAMLとの間の情報伝達はICH(South Bridge)のLPC(Low Pin Count:シリアルバス)やパラレルバス(X−bus compatible等)で行われ、また、「3.」ではICHのシリアルバス(SMBus)を用いてバッテリ情報がAMLに伝達される。そして、APIの先にはOS電源制御部21(標準のLBH機構を構成する部分)又はユーティリティ23が上位に存在する。
【0083】
図8は上記制御主体によって実行される処理手順を例示したフローチャート図である。
【0084】
尚、バッテリ温度に応じた2種類の残量閾値「R_cld」と「R_nt」については前記した形態(A)の場合と同じである。また、本例ではOS電源制御部21において低温用閾値R_cld(温度条件等を考慮して状態遷移に必要な最低限度以上の電力量に規定されている。)が設定されていて、バッテリ残量が該閾値以下である場合に安全な状態(ハイバネーション状態)へと遷移させる処理が行われるものとする。
【0085】
以下では、商用交流電源の供給を受けて装置が駆動されていないこと(バッテリだけで装置が駆動されている状態)を前提として説明する。
【0086】
先ず、ステップS21においてバッテリ情報(温度や残量等)を取得した上で、次ステップS22に進み、バッテリ温度(セル温度)をその閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値以下である場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS23に進む。
【0087】
ステップS23では、現在のバッテリ残量を通常温度用閾値R_ntと比較し、該閾値以下の場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS24に進む。
【0088】
ステップS24において、現在のバッテリ残量を低温用閾値R_cldと比較する。そして、バッテリ残量が閾値R_cld以上である場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS25に進む。
【0089】
ステップS25では、低温用閾値R_cldに対してオフセット値(これを「α」(>0)と記す。)を加えた値、「R_cld+α」をバッテリ残量としてシステムに通知した後、ステップS21に戻る。
【0090】
また、ステップS26では、ステップS21で得たバッテリ残量(正しい残量)をシステムに通知した後でステップS21に戻る。
【0091】
尚、ステップS25、S26でバッテリ残量を通知する対象はシステム(図7の破線より上方に位置する部分を参照)における状態制御処理の制御主体(本例ではOS電源制御部)である。また、ステップS25におけるオフセット値αは絶対容量を示しており、図7においてAPI20よりも下層の範囲ではバッテリ残量が絶対容量として取り扱われるが、前記したように相対容量での設定方式を採用するOSの場合、API20の上層(OS電源制御部等)では、最大容量等を基準とする相対値(%値)に換算されて相対容量として取り扱われることに注意を要する。
【0092】
図8から分かるように、バッテリ残量として「R_cld+α」の通知が行われる条件は以下に示す通りである。
【0093】
・「(バッテリ温度>閾値)&&(バッテリ残量>R_nt)&&(バッテリ残量<R_cld)」
尚、「&&」は、括弧内に示す各条件についての論理積(AND)を意味する。
【0094】
つまり、低温環境ではバッテリ残量として正しい値の通知がなされないと、安全な状態への遷移が保証されなくなる虞がある。また、通常の使用温度領域において、バッテリ残量が閾値R_nt以下である場合も同様である。そして、低温環境でない場合において、バッテリ残量が閾値R_cld以上の場合には残量が充分であり、また、バッテリ残量が閾値R_cld以下であってもR_ntを超えている場合には、「R_cld+α」の残量通知が行われる(ハイバネーション状態に遷移しない。)。
【0095】
このように、バッテリ温度が閾値を超えており、かつバッテリ残量が閾値(R_cld)を下回る場合において、該閾値に対して所定のオフセット値を加算(又は減算)した検出値を状態制御手段24に通知することで、安全な状態への遷移について意図的に制御することができる(ゼロでないオフセット値を用いることで、状態遷移の許否を決定することができる。)。これにより、通常温度領域における使用時には、残量閾値R_ntとの比較結果に応じて状態制御を行うことができ、前記LBH閾値を下げることで、ユーザが実際に使用可能なバッテリ持続時間が長くなる。また、低温環境等においてバッテリが所期の性能を充分に発揮できない環境下であっても、バッテリ残量として十分な閾値R_cldとして、正常に安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させることができる値に設定することで、品質事故等を未然に防止できる。
【0096】
尚、本例において、温度条件や残量閾値、オフセット値の設定については、さらに数多くの閾値やオフセット値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値又はオフセット値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が勿論可能である。
【0097】
また本形態(B)によれば、OSにおける標準の電源管理機能において、バッテリ残量の相対容量での設定方式しか用意されていない場合でも、バッテリ残量に関して絶対容量(電力量)として閾値の設定を行うことができる。例えば、OSの電源管理プログラム等によってローバッテリ時の閾値(相対容量)を2%等に設定している場合において、安全な状態に遷移しなければいけない閾値に達したときには、残量が2%未満(1%等)になるように逆算される残量(絶対容量)を制御主体からOSに対して通知すれば良い(API経由で相対容量としてOSに通知される。)。この処理により、同じ装置で満充電容量の異なるバッテリ装置を使う場合であっても、統一的に閾値(絶対容量)を決定できることになる。尚、このような相対容量での閾値設定方式に限らず、絶対容量での閾値設定方式を採用する場合において形態(B)を用いることは勿論可能であり、その場合には、システムを構成する状態制御手段に対して残量値(絶対容量)の通知が一貫して行われる。
【0098】
形態(B)と前記形態(A)との相違点は、形態(A)において、制御主体(EC)が常にバッテリ状態を監視してバッテリ残量が閾値を下回った時に、システムステートを安全な状態に遷移させるための特別なメッセージの通知を必要とするのに対して、形態(B)では、例えば、OS電源制御部21からのバッテリ残量の取得要求に応じて、現在のバッテリ残量を返す際に、通常(前記条件を満たさない場合)は正しい残量値を返すが、バッテリ残量が少ない時には、バッテリ温度等に応じて、返す残量値を正しい値とは異なる値(見せ掛けの値)にして返送することである。これにより、システムにおいて実際とは異なる値をバッテリ残量と信じ込ませることでシステムステートを制御することができる(例えば、見せ掛けの値の通知を、安全な状態へ遷移させるためのトリガーとして利用することができ、状態遷移のために特別なメッセージ通知を必要としない。)。
【0099】
また、本形態(B)においても、前記形態(I)の適用が可能であり、その場合の制御主体は、バッテリ装置17内の制御手段18である。例えば、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータが、装置本体部からのバッテリ残量取得の要求に対して返答する際に、残量値を正しい値とは異なる値にして通知すれば良い。但し、通常、安全な状態へ遷移させるための閾値は、バッテリ装置を使用する対象のシステムによって異なるので、該バッテリ装置がその対象のシステムにしか接続されないこと、あるいは、該バッテリ装置が接続相手(対象のシステム)を通信等で識別しているといった前提が必要である。
【0100】
そして、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止することに伴う弊害の発生防止策については、形態(A)において説明した構成及び方法を形態(B)でもそのまま使用できる。
【0101】
ところで、上記したシステムステートの制御に関して、待機状態(スタンバイ状態等)又は休止状態(ハイバネーション状態等)に遷移するときに消費される電力を削減するための手段を講じることが好ましい。このことは、例えば、待機状態への遷移に必要な消費電力を削減することで、ローバッテリ時にユーザが装置にACアダプターを接続するまでの時間を確保したり、あるいは、休止状態(安全な状態)に遷移させる過程で必要とされる消費電力を削減する方法を用いることで、遷移条件の判断に用いられる残量閾値を低下させることができることを意味する。
【0102】
図9は基本構成を示す概念図である。
【0103】
例えば、状態監視中において、予め規定されている遷移条件に従ってSX(X=1〜4)状態への遷移が行われる場合に、その旨が状態制御手段24から電力削減手段(あるいは省電力化手段)29に通知されると、該電力削減手段29は制御対象の消費電力を低減させ又はゼロ若しくはほぼゼロにするために必要な処理を行う。
【0104】
例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0105】
(a)状態遷移時に表示デバイスへの電源供給を遮断し又は表示輝度を低減させる形態
(b)状態遷移時にCPU等の演算処理デバイスの処理能力を低下させる形態
(c)状態遷移時に、該遷移処理のために使用されないデバイスへの電力供給を遮断する形態。
【0106】
尚、状態遷移の原因や条件等についての如何は問わない。例えば、バッテリ残量が少なくなったり、ACアダプタ等の接続外れや断線等、電源供給能力を低下したことや、一定時間以上に亘る不動作や不使用状態等、各種のトリガー原因が挙げられる。また、形態(a)乃至(c)についてはそれぞれ単独に採用しても良いが、それらを組み合わせて利用することも勿論可能である。
【0107】
先ず、形態(a)について説明すると、状態遷移時には画像表示の必要性が乏しいことに鑑みて、電力削減手段29によって表示デバイスへの電源供給を遮断したり、表示輝度を低減する。つまり、システムステートに関して安全な状態へ遷移させる必要があると判断された場合(例えば、前記したLBH要求の通知時や、バッテリ残量の取得要求に対して見せ掛けの情報を返答した時等)において、状態遷移の制御に必要のない表示デバイスの光源を消灯させたり、表示輝度を暗くする等の処理を行う。液晶表示装置を例にすると、下記の形態が挙げられる。
【0108】
(a−1)バックライトの電源切断(バックライトのオフ)
(a−2)バックライトの輝度を低下させること。
【0109】
図10はバックライト制御について要部を例示したものである。
【0110】
描画処理部30を構成するグラフィックスチップの制御出力として、バックライト制御信号「Sbkl」が2入力AND(論理積)回路31に送出される。この信号はバックライト部32に電源電圧を供給するか否かを制御するための信号である。尚、図示は省略するが、グラフィックスチップの映像信号出力が図示しない液晶表示パネルに供給されて画像表示が行われる。
【0111】
表示輝度調整部(例えば、EC等)33は、バックライトの明るさを制御するための信号「Sbrt」を出力し、アンプ部34を介してバックライト部32に供給する。また、上記信号Sbklに対するマスク信号「Smsk」をAND回路31に送出する。
【0112】
AND回路31は信号SbklとSmskとの論理積演算を行い、演算結果をバックライトのオン/オフ制御用の信号としてバックライト部32に送出する。つまり、SmskがH(ハイ)レベルである場合には信号Sbklがそのままバックライト部32に送られるが、SmskがL(ロー)レベルである場合には演算結果としてLレベル信号がバックライト部32に送られ、バックライトがオフ(消灯)状態となる。
【0113】
バックライト部32は、バックライトと駆動用インバータ回路を有し、例えば、PWM(パルス幅変調)制御方式では、アンプ部34の出力に応じて制御デューティーが可変制御されることでバックライトの明るさが変化するように構成されている。また、AND回路31の出力する信号を受けて電源供給状態が規定され、該信号がHレベルの場合に電源電圧が供給され、Lレベルの場合に電源電圧の供給が停止される。
【0114】
本例では、表示輝度調整部33やAND回路31が電力削減手段を構成しており、上記形態(a−1)では、ハイバネーション状態等への遷移時に表示輝度調整部33がマスク信号SmskをLレベルにすることでバックライト部32への電源が切断されるように構成すれば良い。即ち、制御主体がLBH要求をシステムに通知する等によって、安全な状態に遷移させる必要があると判断された場合において、マスク信号Smskを用いてバックライト制御信号について制御し、バックライトを強制的に消灯させることで無駄な消費電力を削減する。尚、バックライトに係るマスク信号の解除(SmskをHレベルにすること)は、安全な状態に遷移した後で行われる。
【0115】
また、上記形態(a−2)では、図10において、バックライト制御信号Sbklをマスクするための部分(AND回路31)は不要である(つまり、Sbklがグラフィックスチップからバックライト部32に直接送られる。)。制御主体がLBH要求をシステムに通知する等によって、安全な状態に遷移させる必要があると判断された場合に、表示輝度調整部33は、信号Sbrtとして表示輝度を最小にするための信号をバックライト部32に送る。例えば、D/A変換された制御値を一番暗い輝度にするための値に規定したり、あるいは、PWM制御のデューティー(デューティーサイクル)をゼロ又は最低値(一番暗い)に指示することで、バックライトの消費電力を必要最小限に抑制する。その結果、安全な状態に遷移するまでの間の消費電力が削減され、閾値(バッテリ残量閾値)を下げることができる(バッテリ駆動時間をのばすことができる。)。
【0116】
尚、LBH機能等に基く状態遷移時に、表示画面が不意に暗くなったりすると、その理由を知らないユーザに困惑や不安等を与える虞があるので、電源表示用素子(LED)等の発光手段を点滅させたり、ビープ音等で警報するといった手段を講じることが望ましい。
【0117】
次に形態(b)について説明すると、状態遷移時に電力削減手段29によって演算処理デバイスの処理速度等を低下させることで消費電力を削減したり、状態遷移に必要のないデバイスへの電源供給を断つことで処理負担を軽減する。
【0118】
CPUを例にすると、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0119】
(b−1)CPUの処理速度やパフォーマンスモードを変更して消費電力を下げる形態
(b−2)CPU停止に係るスロットリング(Throttling)機能を利用してパフォーマンスを落とすことで消費電力を下げる形態
(b−3) 安全な状態へ遷移させるのに必要の無いデバイスやチップへの電源供給を断つ形態。
【0120】
尚、電力削減手段を構成するためのハードウェアやソフトウェアについては後述するように形態別に異なる。
【0121】
先ず、形態(b−1)では、CPUに関して多段階の電圧階級をもって使用することができ、かつ各電圧に応じた動作可能周波数が規定されている場合において、周波数及び電圧の設定を変更することでパフォーマンスについての制御を行うことができる。
【0122】
本形態では制御主体がECであるか又はAMLであるかによって処理が異なる。
【0123】
先ず、制御主体がECである場合について、図2を用いて説明する。
【0124】
システムステートを安全な状態に遷移させる必要があると判断する実質的な主体がECであり、ECがCPU6のパフォーマンスを変更するためには、その変更通知を行う必要がある。そのためには、SMI(System Management Interrupt)又はSCI(System Control Interrupt)のいずれかを用いる。尚、SMIはCPU i386SL(インテル社製)以降に具備された割り込みであり、また、SCIはACPI仕様をもつOSで使用可能な割り込みである。
【0125】
これによってSMIであればシステムBIOS(Basic Input/Output System)に制御を移し、またSCIであればAMLに制御を移すことができる。尚、図2においてECからICHに向かう信号線「EXTSMI#」を用いてSMI要求が行われ、信号線「EXTSCI#」を用いてSCI要求が行われてICHに入力される。
【0126】
システムBIOSや、BIOSの一種であるAMLに制御が移ると、CPUのパフォーマンスを変更する操作及び処理が行われる。例えば、システムBIOSでは、CPUのレジスタ(MSR:Model Specific Register)に必要な値を書き込むことで行い、動作周波数を下げる場合には、CPUを一時停止させてから、てい倍率、電圧の変更、停止解除の手順で行う。
【0127】
また、AMLの場合には、OSに対して、新しい使用可能なリスト(遷移可能リスト)を渡すことにより行う。例えば、搭載されているCPUに関して、1600MHz、1200MHz、600MHzの周波数が使用可能であったと仮定した場合に、最も低い周波数である600MHzでしか使えないCPUであることをOSに通知することで、CPUのパフォーマンスについて600MHzに低下させることができる。
【0128】
尚、コンピュータ機器において、BIOSには、搭載可能な複数種のCPUについて複数の動作状態(Operating Point:動作点)が設定されており、それぞれリスト化されてデータベースに格納されている。そして、各CPUについてはそれぞれに固有の識別(Identification)情報を用いて区別されるようになっており、識別情報をもとに該当するCPUに割り当てられたリストがデータベースから読み出される(つまり、CPUの識別情報をインデックスとしてそれに対応するリストが関連付けられて管理されている。)。各リストに記述されている複数の動作点は特定のCPUにおいて使用可能な選択肢であり、プログラム処理によって任意に削除し得るので、削除により変更された後のリストをOSに通知すると、リストの範囲内で動作点が選択されて動作周波数及び電圧が制御される(実際の制御では、ACPIドライバ(ウィンドウズでは「ACPI.SYS」)及びBIOS内のAMLを用いる)。
【0129】
制御手順の概要は下記の通りである。
【0130】
1.割り込み要求の発行
2.動作点を削除したリストの引渡し
3.レジスタ値の書き込み
4.パフォーマンスモードの変更。
【0131】
システムを安全な状態に遷移させる必要があると判断する実質的な制御主体がAMLである場合には、CPUのMSRに値を書き込むか、あるいは、上記と同様にリスト(遷移可能リスト)を渡すことで、動作点について制限を加え、CPUのパフォーマンスを落として消費電力を削減する。
【0132】
このように、CPUに関して使用可能な動作点を記載したリストに基づいて、動作周波数及び電圧を制御する場合には、ハイバネーション等の安全な状態に遷移させる処理に支障を来さない範囲内で、リスト中で1つ以上の動作点を削除したり、あるいは特定の動作点のみを指定するといった処理を行い、リストに示される許容範囲内でCPUの処理能力を制御する手段を講じることが好ましい(特に、システムに搭載されたCPUが高性能であり、状態遷移処理に最低限必要とされる処理能力を上回っている場合において有効である。)。
【0133】
システムを安全な状態(待機状態やハイバネーション状態)に遷移させる必要性が生じた場合の手順を簡単にまとめると下記の通りである。
(1)CPUのパフォーマンスを必要最低限に設定する
(2)システムに対して、安全な状態に遷移させるように通知を行う
(3)安全な状態に遷移し終えた後、該状態から元の状態に戻す(Resume)場合に、CPUの動作周波数を元の値に戻す。そして、復帰処理に移る。
【0134】
次に、形態(b−2)について、制御主体EC又はAMLの場合をそれぞれに説明する。
【0135】
先ず、制御主体がECである場合には、安全な状態への遷移を行う必要があると判断された際にCPUスロットリング機能を働かせる。具体的には、図2に示す信号線「THRM#」を使用して、CPU6の端子に接続される信号線(これを「STPCLK#」と記す。)のレベルをICHから制御する。つまり、ECがTHRM#の設定をHレベル又はLレベルにすることで、スロットリング機能をオン/オフさせることができ、THRM#をLレベルに設定すると、STPCLK#の制御信号が送られてスロットリング機能が働き(Enable)、CPUが間欠的に動作してパフォーマンスが低下する(結果として消費電力を削減できる。)。尚、THRM#に係る解除条件については、安全な状態に遷移した後で判断される。
【0136】
また、制御主体がAMLである場合には、システムを安全な状態に遷移させる必要があると判断されたときに、AMLがICHのCPUスロットリングに関するレジスタに対して設定を行うことで、ICHからCPUにSTPCLK#の信号を生成させる。これにより、スロットリング機能が働いている間はCPUのパフォーマンスが低下し、消費電力が削減される。尚、THRM#に係る解除条件については、安全な状態に遷移した後で判断される。
【0137】
いずれの形態においても、LBH要求等の発行時にのみスロットリング機能を働かせる点が共通しており、それ以外の状況(バッテリ残量が充分である場合等)では該機能を使用しない。
【0138】
図11はCPUスロットリング機能に係る処理の一例を示すフローチャート図であり、本例において「スロットルオン」の場合には、CPUスロットリング機能を働かせて、予め設定された時間(電力抑制保持時間)中、消費電力が抑制される。また、「スロットルオフ」では、CPUスロットリング機能を働かせないように設定される。
【0139】
先ず、ステップS31では、システムを安全な状態(ハイバネーション状態等)遷移させる必要があるか否かを制御主体が判断し、状態遷移が必要である場合にはステップS32に進むが、必要なしの場合には、ステップS35に進む。
【0140】
ステップS32において、内部タイマー(電力抑制保持時間の計時用タイマー)を初期化して、ステップS33に進む。
【0141】
ステップS33では、既にスロットルオンとされているか否かを調べ、そうであれば何もせずにステップS31に戻るが、スロットルオフの場合には、ステップS34に進んでスロットルオンの処置をとる。
【0142】
ステップS35において、スロットルオンとされているか否かを調べ、そうであればステップS36に進むが、スロットルオフの場合には何もせずにステップS31に戻る。
【0143】
ステップS36では、上記内部タイマーをダウンカウントする。つまり、1単位時間だけタイマー値をデクリメントして、ステップS37に進み、ここでタイムアップの如何を判断する。タイマー値がゼロであれば、電力抑制保持時間が経過したと判断されステップS38に進むが、ゼロでなければステップS31に戻る。
【0144】
ステップS38では、スロットルオフの処置をとる。
【0145】
尚、ステップS34、S38の後、ステップS31に戻る。
【0146】
上記の例では計時用タイマーを使用したが、安全な状態への遷移の間、CPUのパフォーマンスを低下させたままとする場合には、タイマーは不要であって、システムを安全な状態(待機状態やハイバネーション状態)に遷移させる必要が生じた場合に、下記の手順で処理を行えば良い。
(1)CPUのパフォーマンスを必要最低限に設定する(スロットリングオン)
(2)システムに対して、安全な状態に遷移させるように通知を行う
(3)安全な状態に遷移し終えたら、元の状態に戻す(スロットリングオフ)。
あるいは、安全な状態から元の状態に戻す(Resume)ときにスロットリングオフとする。
【0147】
次に、前記形態(b−3)や形態(c)について説明する。
【0148】
本形態では、ハイバネーション状態等に遷移させる場合において、必要のないデバイス、例えば、光学式メディア(光ディスク、光磁気ディスク等)のドライブ装置や、主メモリの作業内容等の退避に使用しないハードディスクドライブ装置(セカンドハードディスク等)、テープストリーマ等のストレージデバイス、モデムやネットワーク接続用の通信デバイス等への電源供給を遮断することで、消費電力を削減する。
【0149】
以下では、電力削減の対象デバイスとして、光学式メディア(例えば、CD−ROM/DVD−ROM/CD−R/RW等)のドライブ装置を例にして説明する。
【0150】
図12は構成例の要部を示すものであり、電力制御部35、論理デバイス制御部36を有する。
【0151】
電力制御部35は、ユーティリティ23、ドライバ22、GPIO(General Purpose Input/Output)37及びこれに接続された電力供給部(Power Supply Circuit)38から構成される。
【0152】
実際に電源供給や遮断を行うのはハードウェア下層の電力供給部38である。尚、GPIO37は、上記EC又はICH等に設けられる。
【0153】
論理デバイス制御部36は、ユーティリティ23、API20、バスコントローラ(Bus Controller)39から構成される。尚、本例では、光ディスク等の光学メディアのドライブ装置13が、IDE、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)等で接続されている(図2参照)。
【0154】
本例では、図13の状態遷移図に示すように、3つの状態を有する。
【0155】
・通常状態
・省電力試行状態
・省電力状態。
【0156】
先ず、「通常状態」とは、対象デバイスに電力が供給された状態であり、例えば、S0状態において該デバイスが使用され、電力が消費されている状態である。
【0157】
また、「省電力状態」とは、対象デバイスへの電力供給を遮断することで電力消費がゼロとされた状態である(システムステートをS1〜S4のいずれかに遷移させる場合にこの状態に移行させる。)。尚、対象デバイスを復帰可能な状態で電源を切って一時的に停止させた状態とされる。
【0158】
「省電力試行状態」とは、通常状態から省電力状態に移行する途中状態であり、省電力状態への移行に成功した場合には省電力状態となるが、省電力状態への移行に失敗した場合には通常状態に戻る。
【0159】
尚、省電力状態への遷移条件については、デバイスの種類、特性等を考慮して決めることができ、例えば、対象デバイスがメディアを使用するデバイスである場合において、該メディアの有り無し(ドライブへの装着の有無)を検出して、メディアが装着されていないことを条件に省電力状態へと遷移させる。省電力状態から通常状態への遷移条件についても同様に、デバイスの種類、特性等を考慮して決めることができ、例えば、ドライブ装置のメディアイジェクト用ボタンが操作されたことを検出して、イジェクト動作の要求と同時に通常状態へ遷移させてデバイスに電源を投入するといった処理等が可能である。
【0160】
システムステートを、例えば、S0からS3又はS4に遷移させる必要があると判断された場合において、ドライブ装置13の電源を切断する場合の手順はほぼ下記のようになる。
【0161】
1. バスコントローラ (2nd IDE Host Controller等)を停止する(無効化)
2. ドライブ装置への電源供給を停止する
3. システムを安全な状態へ遷移させる。
【0162】
逆に、S3又はS4からS0へ復帰させる場合の手順は以下のようになる。
【0163】
1. システムを安全な状態から復帰させる
2. ドライブ装置に電源を投入する
3. バスコントローラを有効化する。
【0164】
対象デバイスへの電力供給の遮断処理例について、図14に示すフローチャート図を用いて説明する。尚、ドライブ装置13がIDEバス上に接続されているものとする。
【0165】
先ず、ステップS41では、IDEコントローラを無効化する。つまり、IDEコントローラのディセーブル(Disable)処理を行うが、IDEに限らず、IEEE1394やUSB等の場合は、デバイスが接続されているホストコントローラに係る無効化(Disable)処理が行われる(例えば、OS(ウインドウズ)の「Configuration Manager」というソフトウェアレイヤが提供するAPIのファンクションコールで行われる。)。
【0166】
次ステップS42では、バスコントローラの無効化に成功したかどうかを判断する。つまり、上記APIをコールした結果、失敗の場合に省電力試行状態からS44の通常状態へ戻る(試行回数については、1回に限らないので、必要に応じた回数をもって再試行を繰り返しても良い。)。
【0167】
ステップS42において無効化に成功した場合には、ステップS43に進み、所定の待ち(Wait)時間の後、ステップS45に進んでデータバスを切断する。そして、次ステップS46で対象デバイスの電源を切断し、S47の省電力状態となる。
【0168】
実際の処理は、デバイスドライバ、あるいはシステムBIOSやAMLによって行われる(図12のGPIO37の出力レベルを制御することにより、電源供給及び遮断の制御を実現できる。)。
【0169】
図14のステップS45では、バス切断の際に、データバス(Data Bus)を「Hi−Z」(ハイ・インピーダンス状態)に設定しているが、これは安全策のために入れたものである。例えば、IDEバスに接続されるデバイスの場合、IDEホストコントローラの設定を変更したり、バスSW(スィッチ)を介することによって設定を行うことができ、上記した電力供給及び遮断の制御と同様に、ドライバやシステムBIOS、AMLを用いて実現できる。
【0170】
次に、省電力状態から通常状態への移行処理例について、図15に示すフローチャート図を用いて説明する。
【0171】
先ず、ステップS51では、ドライバやシステムBIOS、AML経由でドライブ装置(対象デバイス)の電源状態を確認する。次ステップS52において、対象デバイスの電源がオフである時には、ステップS53に進み、対象デバイスに電源を投入する。そして、次ステップS54での待ち時間を経てステップS55に進む。
【0172】
ステップS52において対象デバイスの電源がオン状態である時には、そのままステップS55に進んで、データバスを接続する。具体的には、省電力試行状態において、前記のように、ハイ・インピーダンス状態に設定されたデータバスを元の状態に戻す処理を行う。尚、この処理は上記したように省電力状態での安全策を考慮した場合に必要とされる。
【0173】
対象デバイスに対してアクセスが可能になったら、ステップS56に進み、バスコントローラを有効化し、S57の通常状態へと移行させる。
【0174】
尚、本発明の適用において、IDEコントローラの使用に限られる訳ではないので、対象デバイスが接続されるバスのホストコントローラ(IEEE1394 やUSB等)をイネーブル(Enable)にして有効化すれば良い。
【0175】
上記したバスコントローラの有効化や無効化の処理、対象デバイスの電源切断や供給処理については、一般に、状態遷移制御に係る処理主体(これを「第一の主体」という。)とは異なる処理主体(これを「第二の主体」という。)により行われる。よって、第一の主体がAMLの場合は、該AMLから処理の開始をドライバ経由で第二の主体に通知し、また、第一の主体がECの場合は、該ECから処理の開始をドライバ経由で第二の主体へ通知する。
【0176】
第二の主体としては、例えば、ユーティリティ等のアプリケーション(プログラム)が挙げられるが、AMLで処理を行うこともできる。
【0177】
よって、第一及び第二の主体の組み合わせとして、下記に示す形態が挙げられる。
【0178】
・第一の主体=AML → 第二の主体=AML
・第一の主体=AML →ドライバ → 第二の主体=Application(Utility)
・第一の主体=EC →(ドライバ)→ 第二の主体=AML
・第一の主体=EC →ドライバ → 第二の主体=Application(Utility)
尚、「→」は制御指令系統の向きを表し、「()」は括弧内の要素が任意であることを意味する。
【0179】
いずれの形態でも、第一の主体からの通知により、状態遷移を行う必要がある場合(LBH等)において、第二の主体は、バスコントローラを無効化して電力削減の対象デバイスへの電力供給を遮断して、該デバイスを再帰可能な状態で一時的に停止させる。そして、S0状態への遷移等、対象デバイスを使用状態へと移行させる場合において、第二の主体がバスコントローラの有効化や対象デバイスへの電力供給を行い、遮断時の原状に復帰させる。
【0180】
しかして、以上の説明した構成によれば、下記に示す利点を得ることができる。
【0181】
・状態遷移中に各種デバイスの消費電力を下げることができるため、システムを安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる場合の条件判断に使用される残量閾値を下げることができる。また、低温環境下や大電力での放電時を考慮して、安全な状態へ遷移させるための残量閾値を、ユーザの実使用状況等に応じて設定することができるようになり、ユーザが実際に使用できるバッテリ時間が長くなる。
【0182】
・バッテリ残容量の設定について絶対容量(Wh)での閾値設定を行うことができ、また前記形態(B)によれば、OSで標準に提供される機能において相対容量での閾値設定方式にしか対応していない場合であっても、絶対容量での閾値設定及び制御を実現することができ、そのために複雑な制御や機構を要しない。
【0183】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、システムステートの遷移制御において無駄な消費電力を削減することにより、節電効果を高めることができ、特に、電源容量が制限されている構成形態(バッテリ駆動式等)への適用において有効である。
【0184】
請求項2に係る発明によれば、表示デバイスで消費される電力を削減することができる。
【0185】
請求項3に係る発明によれば、演算処理デバイスにおいて必要以上に消費される電力を削減することができる。
【0186】
請求項4に係る発明によれば、状態遷移に必要のないデバイスで消費される電力を削減することができる。
【0187】
請求項5に係る発明によれば、状態遷移時にデバイスの電力消費をゼロにすることができるとともに、その後、該デバイスに電力供給を再開して状態復帰させて速やかに使用可能な状態に移行させることで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0188】
請求項6に係る発明によれば、バッテリ駆動の場合に、バッテリの環境条件や劣化状態等に基いてシステムステートの遷移制御を適正に行うことで、バッテリの使用可能時間を長くしてユーザの利便性を高めることができる。
【0189】
請求項7に係る発明によれば、環境条件等に応じて閾値又は基準範囲を変化させることで遷移制御を詳細に行うことができる。
【0190】
請求項8に係る発明によれば、バッテリ装置の残容量に係る閾値に変更を加える必要がなく、既存の遷移制御に対して大幅な変更を伴わない。
【0191】
請求項9に係る発明によれば、オフセット値の加減算だけで状態遷移について容易に制御することができ、しかもシステムの状態制御手段が残量情報(検出値)の真偽について関知する必要がない。
【0192】
請求項10に係る発明によれば、待機状態や休止状態への遷移処理において、省電力機能や、データ消失等に対する防止機能を有効に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成例を示す概念図である。
【図2】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】システム構成例の要部を示す図である。
【図4】状態遷移を例示した図である。
【図5】LBHに係る処理例を示すフローチャート図である。
【図6】バッテリ装置の出力制御について構成例を示す図である。
【図7】図8とともに制御形態について説明するための図であり、本図はシステム構成例の要部を示す説明図である。
【図8】LBHに係る処理例を示すフローチャート図である。
【図9】電力削減制御の基本構成例を示す概念図である。
【図10】バックライト制御について説明するための図である。
【図11】CPUスロットリング機能について処理例を示すフローチャート図である。
【図12】対象デバイス(光学式情報記録媒体のドライブ装置)への電源供給制御について説明するための図である。
【図13】対象デバイスに関する状態遷移図である。
【図14】対象デバイスへの電力供給の遮断処理例を示すフローチャート図である。
【図15】通常状態への移行処理例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
5…情報処理装置、17…バッテリ装置、24…状態制御手段、29…電力削減手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置において、システムの状態制御(ハイバネーション状態等への遷移)に必要な消費電力を削減することで省電力化を図るための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ機器等において電力供給源であるバッテリ残量が少なくなった場合に講じられる対策として、システムの状態(メモリ内容やデバイスのレジスタの設定等)を不揮発性記憶手段(ハードディスクや不揮発性メモリ等)に一時退避させておき、その後の動作再開時に元の状態に復帰させる機能(所謂「ハイバネーション(Hibernation)機能」)が知られている(例えば、特許文献1参照)。つまり、バッテリ残量の低下による突然の電源供給停止が起き、ユーザが不利益(データ消失等)を被らないための安全対策が必要とされ、例えば、携帯型機器等においてACアダプタを使用できない場合に有用である。
【0003】
バッテリ残量を常に監視して、残量が閾値以下になった時(ローバッテリ時)に上記ハイバネーション機能(以下、「ローバッテリハイバネーション」と呼び、「LBH」と略記する。)が働くように構成することで、バッテリ残量が少なくなった場合でも、不測の事態を回避することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−324012号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、システムの状態遷移に係る制御において充分な電力削減対策が講じられていないという問題がある。
【0006】
例えば、バッテリの電圧降下が問題となる使用環境(低温環境等)を考慮して、LBH機能を発動させて安全な状態に遷移させるための、バッテリ残量の閾値(LBH閾値)が規定されており、装置システムで使用できる電力量としては、「(実際にユーザが使用できるバッテリ量)=(放電開始時残容量[最大100%])−(LBH閾値)」という関係式が成立する。よって、LBH閾値の余裕分が多過ぎると使用可能なバッテリ量が減り、ユーザの利便性に影響を及ぼす。即ち、LBH機構が有効に働くときに必要な電力以上の余力をもってLBH状態への遷移が行われる場合には、ユーザが電力を未だ使えるにも関わらず、実際に使用可能な時間(実バッテリライフあるいはバッテリ持続時間)が短くなってしまうという問題がある。
【0007】
ハイバネーション状態へ遷移させる場合の条件としてバッテリ残量を閾値と比較する場合において、該閾値は、「(状態遷移に必要な電力相当分)+(余裕分)」いう式から決められるが、該電力相当分を削減できれば、その削減量をユーザの使用電力量とすることができる。
【0008】
そこで、本発明は、ハイバネーション状態等のシステムステートの遷移を制御する機能をもつ情報処理装置において、状態遷移に消費される電力を削減することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させるのに必要な消費電力を削減するための電力削減手段を備えた構成したものである。
【0010】
従って、本発明によれば、状態遷移に必要とされる最低限度の電力量を確保し、それ以外の電力の余力分をユーザの使用可能な電力として融通を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、情報処理装置において、バッテリ装置の実使用可能時間を長くすることでユーザの利便性を高めることを目的とする。例えば、バッテリ装置で駆動される携帯型機器(ノート型のパーソナルコンピュータ等)では、バッテリ残量が少なくなると、データ消失を防ぐために安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる機構が働くが、該状態への遷移時に消費される電力を削減することにより、ユーザが実際にバッテリを使用可能な時間を長くすることができる。
【0012】
図1は本発明に係るシステムの基本構成を示す概念図であり、電力管理システム1は、電源部2と、該電源部2から電力供給を受ける電力供給対象3、そして、電力状態の監視及び給電制御等を行う制御部4から構成されている。
【0013】
電源部2を構成するバッテリ装置としては、例えば、一次電池や、二次電池(リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池等)が挙げられ、その他、燃料電池(ダイレクトメタノール型等)のような発電装置も含まれる。
【0014】
また、電力供給対象3については、例えば、コンピュータ機器やPDA(Personal Digital Assistance)、映像機器や撮像機器等へ適用が可能である。
【0015】
制御部4は、例えば、バッテリ装置の残容量や状態を監視して給電制御等を行うものであり、残容量を閾値又は基準範囲と比較して該残容量が低下したと判断された場合に、動作状態と比べて低消費電力とされる制御状態又は消費電力がゼロ若しくはほぼゼロの制御状態に遷移させる機能や、該制御状態への遷移時に消費される電力量を削減する機能を有する。尚、ここで「基準範囲」については、例えば、閾値を基準として不感帯を含む比較基準範囲や、安全率を見込んだ許容範囲等が含まれる。
【0016】
実施態様としては、例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0017】
(I)電源部2及び制御部4を備えたバッテリ装置を、電力供給対象3に対して装着して使用する形態
(II)電力供給対象3及び制御部4を備えた装置本体部に、電源部2を装着して使用する形態
(III)電源部2、電力供給対象3及び制御部4を装置本体部が備えた形態。
【0018】
先ず、形態(I)としては、例えば、バッテリ装置が残容量や状態を自己監視し又は管理する機能、あるいは情報処理装置との間で双方向性通信又は一方向性通信を行う機能や状態の表示機能等、高度な処理機能を有する構成例(所謂「Intelligent Battery」)が挙げられ、残容量等の情報が電力供給対象3を有する情報処理装置に通知される。この場合、制御部4としてはバッテリ装置に内蔵されたマイクロコンピュータ及びCPU(中央処理装置)により実行される制御プログラム等が用いられる。
【0019】
また、形態(II)では、制御部4が情報処理装置の本体部に設けられており、電源状態の管理や給電制御等は装置本体部において行われる。
【0020】
形態(III)では、情報処理装置の本体部に、電源部2、電力供給対象3(各種デバイス)、制御部4がすべて組み込まれている。
【0021】
尚、形態(II)や(III)において、制御部4には、例えば、各種コントローラ(後述の組み込みコントローラやI/O制御ハブ、電源コントローラ等)が用いられ、電力管理機能をもつオペレーティングシステム(以下、「OS」という。)を搭載した装置では、OSの電源管理部(プログラム)により実現される制御機構等が使用される。
【0022】
図2はハードウェアに係る構成例の要部を示したものであり、以下ではコンピュータ機器への適用例について説明する。
【0023】
情報処理装置5は、下記の要素を有する(括弧内の数字は各部に付した符号を示す。)。
【0024】
・CPU(6)
・第一制御部(7)
・メインメモリ(8)
・グラフィックスカード(9)
・第二制御部(10)
・第三制御部(11)
・ハードディスクドライブ装置(12、12)
・光学式ディスクのドライブ装置(13、13)
・デバイス制御部(14)
・ACアダプター(15)
・バッテリパック(16)。
【0025】
尚、図には、入力操作装置(キーボードやマウス等)、表示装置(液晶式ディスプレイや陰極線管(CRT)等)といった各種装置の図示を一切省略している。また、補助記憶装置としては、ハードディスク等の磁気ディスクドライブ装置や、光学式ディスクドライブ装置(光ディスクや光磁気ディスク等、光学読取式ディスクのドライブ装置)を示している。
【0026】
第一乃至第三制御部(7、10、11)は、CPU(中央処理装置)6から近い順に番号を付して区別している。
【0027】
先ず、第一制御部(MCH:Memory Control Hub)7はメモリ制御やシステムバスとのリンク等の役目をもつチップセットである。AT互換機では「ノースブリッジ」と呼ばれ、CPU6とメインメモリ8、グラフィックスカード9、各種バス(PCI、AGP等)が接続される。
【0028】
また、第二制御部(ICH:I/O Control Hub)10は、デバイスのバスリンクや電力制御等を行うためのチップセットである。AT互換機では「サウスブリッジ」と呼ばれ(別名「PCI to ISA bridge」)、ノースブリッジに繋がっているバス(PCI:Peripheral Component Interconnect bus)を、低速なバス(ISA:Industry Standard Architecture bus等)に橋渡しする役目をもち、ISAコントローラ、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラ等の機能をもつ回路部が内蔵されている。
【0029】
尚、図には、説明の便宜上、第二制御部10のIDEコントローラ「IDE HC」にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態と、デバイス制御部14にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態とを併せて示している。デバイス制御部14は、「IEEE 1394」規格(シリアルデバイスをコンピュータに追加するためのハードウェアの仕様を定義する。)に従ってサポートされるデバイスを制御するものであり、第二制御部10に接続されている。
【0030】
第三制御部11は、本例では「EC」(Embedded Controller:組み込みコントローラ)とされ、システムの電源制御やシステムの付加機能等について制御を行うために設けられており、携帯型機器等ではマイクロコンピュータが搭載されている。例えば、ECは、ACアダプター15や、二次電池等を用いたバッテリパック16の接続や装着の状態を検出して把握する等の役目をもっている。
【0031】
図3は本発明に係る実施態様について要部の構成を例示したものである。
【0032】
図中に示す破線よりも下方に示す部分がハードウェア階層を示し、本例ではECとバッテリ装置17、17(図には大容量タイプと小容量タイプの2種類)を示している。
【0033】
バッテリ装置17には、残容量や状態を検出してECに通知する制御手段18としてマイクロコンピュータが内蔵されている。そして、該制御手段18は、バッテリ温度や湿度等の環境条件、給電状態(残容量や負荷状態等)やその変化について検出する各種センサや、劣化状態(例えば、二次電池における充放電回数等)を把握して、バッテリの出力制御(放電の許可又は停止、放電電流の増減等)を行う。
【0034】
図中に示す破線よりも上方に示す部分はソフトウェア階層を示しており、本例では、ACPI19、API20、OS電源制御部21、デバイスドライバ22、ユーティリティ(プログラム)23を示している。
【0035】
ACPI仕様(Advanced Configuration and Power Interface Specification)は、コンピュータのパワーマネージメントをOSで一元管理するための仕様であり、ACPI19はACPI機構を構成するインターフェース部である。尚、ACPIでは、S0乃至S5のシステムステートが定義されており、「S0」(動作状態)は、装置システムの電源が投入され(オン状態)、OSが動作してソフトウェアが実行されている状態とされる。また「S5」(オフ状態)はソフトウェアの実行が終了し、装置システムの電源が切断された状態である。S0とS5の間の中間段階であるS1〜S4の状態(スリープ状態)について、例えば、「S3」は、装置システムに電源は入っているが、動作が停止している状態(スタンバイ状態あるいはサスペンド状態等の待機状態)とされ、また、「S4」は、電源は切れているが、作業内容(RAMのデータ)等はハードディスク等に保存されていて、データロスト等が発生しない状態(ハイバネーション状態)とされる。尚、「ハイバネーション状態」では、メインメモリ等の内容がハードディスク(図2のドライブ装置12参照。)やシリコンメモリ等の不揮発性記憶装置(non−Volatile storage)の所定領域(ハイバネーション領域)に保存された後、電源が全て切断されるため、スリープ状態のうちで消費電力が最小である(S5の状態と同じ消費電力)。そして、退避されたデータや設定情報等はその後におけるシステムの復帰時に復元されるため、S0状態への遷移によりソフトウェアの続行が可能となる。
【0036】
OSで提供されるAPI(Application Programming Interface)20は、ACPI19の上層(レイヤー)に位置し、ACPI19と、OS電源制御部21又はユーティリティ23を仲介する。また、デバイスドライバ22はECとユーティリティ23との間を仲介する。
【0037】
OS電源制御部21は、電源管理や電力制御を行うための仕様(ACPI仕様等)をもつオペレーティングシステムが装置に搭載されている場合に標準で提供される機能を実現するプログラム等で構成される。例えば、バッテリ残量の情報(残容量はバッテリセルの電圧から把握することができる。)に基いて上記制御状態(スリープ状態)への遷移について制御する状態制御手段を設けた構成形態において、バッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを遷移条件として、ハイバネーション状態への遷移が行われる(LBH機構)。
【0038】
図4は状態遷移図を例示したものであり、S0状態への遷移後、監視状態に移り、ここではバッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態等に基づく遷移条件に応じた状態制御が行われる。例えば、バッテリ装置の温度や残容量等に基いて予め規定されている遷移条件が満たされた場合に「SI」(例えば、I=3又はI=4)の状態へと遷移した後、さらに「SJ」(例えば、J=4又はJ=5)の状態への遷移が行われる。一例として、LBH機構に関する状態遷移について説明すると、S5状態からシステムを起動してS0状態に遷移して状態監視中となる。ここではバッテリ装置の残容量を閾値又は基準範囲と比較し、残容量が充分であって供給余力に問題がない場合には監視状態が続行されるが、残容量が充分でない場合には、S4状態に遷移して作業内容等の退避を行ってからシステムの電源を落とす。その後、S0状態への遷移の際には、退避された情報が復元されて元の状態に復帰する。
【0039】
電源管理や電力制御を行うための仕様をもつOSとして「Windows」(マイクロソフト社の商標)等が搭載される場合には、ユーザが電源設定画面上でローバッテリ時の状態遷移についてバッテリ残量に係る閾値の設定を相対容量(最大容量に対する百分率)で行うことができる。つまり、バッテリ残量が設定値である相対容量に相当する値(閾値)に達したときに、予め設定しておいた状態(スタンバイ状態やハイバネーション状態)に遷移させることができる。
【0040】
ユーザがこのような設定を行った場合に、OS電源制御部21が、API20、ACPI19を経てECからバッテリ装置17にバッテリ残量を問い合わせ、ポーリング(Polling)で残容量を監視し、ユーザ設定に応じて上記状態に遷移させることで、品質事故(データロスト等)の発生を未然に防止することができる。
【0041】
尚、ユーザによる上記設定については、OS電源制御部21が標準で提供している機構を用いることなく、ユーティリティ23とデバイスドライバ22又はAPI20を用いて同様の機能を提供する構成形態も可能であり、図3には両形態を併せて示している。つまり、ローバッテリ時における遷移条件をバッテリの相対容量で設定する方法では、例えば、装置セットに対して満充電容量の異なるバッテリ装置を装着して利用することができる構成形態の場合、閾値の標準化が難しいという問題がある。満充電容量が異なる複数種のバッテリを同一のセットで使用する場合において、ハイバネーション状態等の安全な状態へ遷移させるための遷移条件として、バッテリ装置の残容量の閾値又は基準範囲には、絶対容量(Wh:ワット時)を用いることが好ましい。何故なら、安全な状態へ遷移させるために必要とされる電力量は、装置毎に異なる(つまり、バッテリ単位ではない)ので、相対容量ではなく絶対容量を用いる方が、標準化が容易になるからである。例えば、小容量バッテリと大容量バッテリを選択的に装置本体に装着して使用できる形態において、相対容量の%値(設定上の閾値)を同じとした場合に、安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させるために必要な電力量について、大容量バッテリの使用時には十分に供給されるが、小容量バッテリの使用時に不充分であったり、あるいは、小容量バッテリの使用時を基準として閾値を相対容量で設定した場合には、大容量バッテリの使用時に供給余力が十分であるにも関わらずハイバネーション状態等への遷移が行われてしまう結果、大容量バッテリを使用することの利点が生かされない等の不都合がある。
【0042】
そこで、状態遷移条件として、バッテリ装置の残容量について絶対容量を用いる場合には、OSで用意されている残量閾値の%(パーセント)設定機能を使わずに、専用のユーティリティ等を別途用意してユーザが残量閾値の設定を行えるようにすることが好ましい。
【0043】
尚、OSやユーティリティがバッテリ情報、例えば、バッテリ残量を取得する際の手順の流れは概ね下記に示す通りである(図3参照)。
【0044】
(1)OS電源制御部やユーティリティからACPIへの残量取得要求
(2)残量取得要求の受信(ACPI)
(3)ECへの残量取得要求
(4)残量取得要求の受信(EC)
(5)残量取得済みの場合には(9)に進むが、取得していない場合には(6)に進む
(6)バッテリ装置(内蔵のマイクロコンピュータ)への残量取得要求
(7)ECへの残量返信
(8)残量受信(EC)
(9)ACPIへの残量返信
(10)残量取得(ACPI)
(11)OS電源制御部やユーティリティへの残量返信
(12)残量取得(OS電源制御部やユーティリティ)。
【0045】
このように、OS電源制御部21やユーティリティ23は、ACPI機構を介してバッテリ情報(残量等)を取得する。尚、その詳細について、ACPI機構では、例えば、AML(ACPI Machine Language)と呼ばれる中間言語による制御プログラムにおいて、「どのようにバッテリ情報を取得するか?」といった記述をすることができる。尚、AMLはACPI機構上で動作するプログラムを記述するための言語であり、システム記述用言語ASL(ACPI Source Language)のソースファイルをコンパイルすることにより、AMLのコード(中間コード)が作成され、これを解釈して実行するACPI機構の本体部がOSで用意されている。AMLのプログラムはシステムBIOS(Basic Input/Output System)の一部として含まれている。AMLの使用は、OSからみたハードウェアの抽象化という観点から好ましい(機器構成の特殊性を隠蔽できる。)。
【0046】
例えば、AMLのプログラムにおいて、ECに対してバッテリ残量を問い合わせ、ECがその問い合わせを受けてバッテリ残量を返すといった処理について記述することができる(実際には、上記したようにECがバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータに対して残量の問い合わせを行い、残量を取得してからその値を返すといった処理が行われる。)。
【0047】
尚、別の実施態様例としては、AMLのプログラム記述の中で、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータとの間で通信を行うことにより、残量を取得する形態が挙げられ、本発明はこのような態様例に対しても適用可能である。また、ユーティリティ23からドライバ経由でECにアクセスして必要な情報を取得する構成形態も勿論可能である。
【0048】
次に、バッテリ装置の残容量や、バッテリ装置の環境条件(バッテリ温度等)や劣化状態、給電状態に応じて、上記した制御状態への遷移条件を変更するための構成形態について説明する。
【0049】
例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0050】
(A)バッテリ装置の残容量と閾値又は基準範囲との比較結果を遷移条件として用い、該閾値又は基準範囲をバッテリ装置の環境条件又は劣化状態又は給電状態に応じて変更する形態
(B)バッテリ装置の残容量と閾値又は基準範囲との比較結果を遷移条件として用いるとともに、閾値又は基準範囲については固定されているが、残容量やバッテリ温度等を含む条件に応じて実際の残容量に修正を加えた、見せ掛けの情報を用いて状態制御を行う形態。
【0051】
先ず、上記形態(A)では、バッテリ装置の残容量を閾値又は基準範囲と比較することで状態遷移の許否が決定されることを基本とする。そして、閾値又は基準範囲については固定されたものではなく、バッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態に応じて動的に変更される。
【0052】
例えば、LBH機構における残容量の閾値を、バッテリセルの温度等に応じて動的に変更し、複数の閾値を使い分けることでユーザが実際に利用できるバッテリ(駆動)時間をのばすことができる。
【0053】
本形態における制御主体は、例えば、図3においてEC(組み込みコントローラ)とされ、バッテリ装置17の残容量を監視し、残容量が少ないときにシステムを安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる。尚、実際の制御では、後述するように、ECから状態制御手段24を構成するユーティリティ23又はOS電源制御部21に通知を行うことで状態遷移が行われる。
【0054】
図5は処理例を示すフローチャート図であり、ECにおける制御手順を示している。
【0055】
本例では、バッテリ温度に応じた2種類の残量閾値「R_cld」と「R_nt」が決められていて、「R_cld」が低温用、「R_nt」が通常温度用(低温域を判別するための閾値以上の温度領域用)とされる。「R_cld>R_nt」の関係を満たすように各閾値が設定されているが、これは低温環境の使用で残容量の低下が大きいことを考慮したものである(つまり、低温の場合には状態遷移においてより多くの消費電力を必要とするため。)。また、以下に示す「通知済みフラグ」とは、状態制御手段24を構成するシステムに対してLBH要求を通知済みであるか否かを区別するために用意されているフラグを意味する(例えば、セット状態で「通知済み」を表す。)。
【0056】
先ず、ステップS1においてバッテリ情報(温度や残量等)を取得した上で、次ステップS2では、商用交流電源(AC)の供給を受けて装置が駆動されているかを判断する。つまり、装置にACアダプター15が接続されて電源供給を受けている場合には、ステップS3に進み、ACアダプター15の非接続時又は該アダプタから電源供給を受けていない場合にはステップS4に進む。
【0057】
ステップS3では、通知済みフラグの設定を解除した後、ステップS1に戻る。
【0058】
ステップS4では、ステップS1で取得したバッテリ温度をその閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値以下である場合にはステップS5に進むが、そうでない場合にはステップS6に進む。
【0059】
ステップS5では、バッテリ残量に係る閾値を低温用の閾値R_cldに規定してからステップS7に進む。また、ステップS6では、バッテリ残量に係る閾値を通常温度用の閾値R_ntに規定してからステップS7に進む。
【0060】
ステップS7において、ステップS1で取得した現在のバッテリ残量を閾値と比較する。つまり、低温環境下ではバッテリ残量をR_cldと比較し、また、通常温度領域ではバッテリ残量をR_ntと比較する。そして、バッテリ残量が閾値以下である場合にはステップS8に進むが、そうでない場合にはステップS9に進む。
【0061】
ステップS8では、通知済みフラグを調べ、該フラグがセットされている場合には、LBH要求が既に通知されているので何もせずにステップS1に戻る。また、通知済みフラグがセットされていない場合(クリア)には、ステップS10に進み、システムに対してLBH要求を通知した後、ステップS11に進んで通知済みフラグをセットしてからステップS1に戻る。尚、LBH要求を通知する対象はシステム(図3の破線より上方に位置する部分を参照)における状態制御処理の制御主体(OS電源制御部やユーティリティ等)である。
【0062】
ステップS9では、バッテリ残量が充分であるため、通知済みフラグのクリアの後でステップS1に戻る。
【0063】
このように、LBH要求を通知する際の判断に用いるバッテリ残量閾値については、バッテリ温度(セル温度)に応じて動的に変更することにより、通常温度領域における使用時には、残量閾値を低く設定することができる。即ち、前記したLBH閾値を下げることで、ユーザが実際に使用可能なバッテリ持続時間が長くなる(低温用閾値R_cldを用いる場合に比較して、閾値R_ntの方が小さいので、両者の差に対応する電力相当分だけ、バッテリで駆動できる時間がのびることになる)。また、低温環境等において、バッテリが所期の性能を充分に発揮できない環境下であっても、バッテリ残量として十分な閾値R_cldを、正常に安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させることができる値に設定することで、品質事故等を未然に防止できる。
【0064】
尚、本例では、温度について1つの閾値を設定し、残量については温度条件に応じて2つの閾値を設定しているが、これに限らず、さらに数多くの閾値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が可能である。
【0065】
また、図5の処理については制御主体としてECを想定したが、前記形態(I)の場合には、制御主体がバッテリ装置17内の制御手段18(マイクロコンピュータ等)であり、該制御手段によってLBH要求の通知又は該通知に必要なコマンドや情報等がEC等を通じてシステムの状態制御手段24に伝達される。
【0066】
図6は、バッテリ装置17について構成例を示す概念図であり、電圧検出手段25V及び温度検出手段25T、供給制御部26を備えている(尚、図示は省略するが電流検出や容量判別等のための各種検出手段が必要に応じて設けられる。)。
【0067】
電圧検出手段25Vは、バッテリセル27(図にはその1つだけを示す。)のセル電圧を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0068】
また、温度検出手段25Tは、バッテリセル27の温度を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0069】
供給制御部26は、バッテリセル27の状態を常に把握しており、外部回路(例えば、EC)との通信処理を行ったり、電力制御用素子28(図には、単にスイッチの記号で示すが、電界効果トランジスタや、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子が使用される。)を制御して、バッテリセルの放電により電力供給対象への電源供給を許可したり、電力制御用素子28をオフ状態にすることで放電を停止させる等の制御を行う。
【0070】
前記形態(I)では、各要素がバッテリ装置に組み込まれていて、各検出手段や供給制御部26の機能は、前記した制御手段18を構成する内蔵のマイクロコンピュータ及びそのCPUにより実行される制御プログラムによって実現される。また、前記形態(II)や(III)では、供給制御部26等が情報処理装置本体に設けられる。
【0071】
バッテリ使用に係る安全性の確保及び劣化防止等を目的として、バッテリの駆動には最低電圧(駆動電圧の閾値)を設定することが必要である(この電圧は放電曲線等に基いて決められている。)。つまり、セル電圧を常時又は定期的に監視するとともに、該電圧が予め決められた設定値(閾値)以下になった場合において、例えば、上記電力制御用素子28を強制的にオフ状態にすることでバッテリセルの放電を停止させるといった保護機構が働く。
【0072】
セル内部のインピーダンスが高い電池を用いる場合(例えば、電池の化学的特性によっては、低温になるほどインピーダンスが大きくなる。)や、低温環境で重負荷がかかった場合には、放電時の電圧降下が著しいため、セル電圧が直ぐに上記設定値を下回り、放電停止となって装置本体がシャットダウンしたり、ハイバネーション状態等への移行処理が間に合わなくなってしまう虞が生じる。
【0073】
また、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下等が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止により、シャットダウン等を誘発する虞がある。
【0074】
そこで、対処法としては、バッテリの環境条件や給電状態の変化、劣化状態等を考慮した上で、バッテリ装置に係る放電制御を行うことが好ましく、例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0075】
・バッテリ温度を検出するとともに、温度検出値に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態
・バッテリ残量に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態。
【0076】
いずれの形態でも、バッテリ電圧をその閾値と比較したり、バッテリ電圧が基準範囲にあるかどうかを調べた結果、該電圧が低下していないと判断された場合には、バッテリの放電が許可されて装置への電源供給が行われる。
【0077】
次に上記形態(B)について、図7及び図8を用いて説明する。
【0078】
本形態では、バッテリ装置の残容量の情報に基いてハイバネーション状態等の制御状態への遷移について制御するための状態制御手段24に対して、バッテリ残量及びバッテリ温度を含む条件に応じて実際のバッテリ残量に修正を加えた、見せ掛けの情報を通知する手段を設けることで、状態遷移について制御を行う。
【0079】
本実施態様例での制御主体(図7参照)は、ECやICH、AMLコードの制御プログラム(以下、単に「AML」と略記する。)等のいずれかで良い。例えば、ACPI仕様のOSからバッテリ残量の取得要求を受けた場合に、該OSにおいて電源状態制御を行う部分に残量情報を返答する際に、システムを制御する(安全な状態に遷移させる)目的で、バッテリ残量の情報操作により残量情報を意図的に制御する(残量を実際よりも多く見せかけたり、逆に少なく見せかけたりする)。つまり、残量情報の要求主体に対して残量情報を返す伝達経路上に存在する制御主体であれば、その如何は問わないことに注意を要する。
【0080】
尚、図7では、バッテリ装置17内の制御手段18(内蔵マイクロコンピュータ)との接続がEC又はICHとなっている。これは、装置構成によっては、ECがバッテリ装置17の内蔵マイクロコンピュータに接続されず、バッテリの監視を行わない場合があり、そのような場合には、ICHのシリアルバス(SMBus等)に該マイクロコンピュータを接続してバッテリの監視が行われることに依る。
【0081】
制御主体の相違に応じて、例えば、下記に示す3つの形態が挙げられる。
【0082】
1. バッテリ装置 <−>「EC」 <−>AML <−> API
2. バッテリ装置 <−> EC <−>「AML」 <−> API
3. バッテリ装置 <−>ICH<−>「AML」 <−>API
尚、「」で囲んで示すものが制御主体であり、また「<−>」はその両側に示す要素同士の相互通信を意味する。また、「1.」や「2.」においてECとAMLとの間の情報伝達はICH(South Bridge)のLPC(Low Pin Count:シリアルバス)やパラレルバス(X−bus compatible等)で行われ、また、「3.」ではICHのシリアルバス(SMBus)を用いてバッテリ情報がAMLに伝達される。そして、APIの先にはOS電源制御部21(標準のLBH機構を構成する部分)又はユーティリティ23が上位に存在する。
【0083】
図8は上記制御主体によって実行される処理手順を例示したフローチャート図である。
【0084】
尚、バッテリ温度に応じた2種類の残量閾値「R_cld」と「R_nt」については前記した形態(A)の場合と同じである。また、本例ではOS電源制御部21において低温用閾値R_cld(温度条件等を考慮して状態遷移に必要な最低限度以上の電力量に規定されている。)が設定されていて、バッテリ残量が該閾値以下である場合に安全な状態(ハイバネーション状態)へと遷移させる処理が行われるものとする。
【0085】
以下では、商用交流電源の供給を受けて装置が駆動されていないこと(バッテリだけで装置が駆動されている状態)を前提として説明する。
【0086】
先ず、ステップS21においてバッテリ情報(温度や残量等)を取得した上で、次ステップS22に進み、バッテリ温度(セル温度)をその閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値以下である場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS23に進む。
【0087】
ステップS23では、現在のバッテリ残量を通常温度用閾値R_ntと比較し、該閾値以下の場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS24に進む。
【0088】
ステップS24において、現在のバッテリ残量を低温用閾値R_cldと比較する。そして、バッテリ残量が閾値R_cld以上である場合にはステップS26に進むが、そうでない場合にはステップS25に進む。
【0089】
ステップS25では、低温用閾値R_cldに対してオフセット値(これを「α」(>0)と記す。)を加えた値、「R_cld+α」をバッテリ残量としてシステムに通知した後、ステップS21に戻る。
【0090】
また、ステップS26では、ステップS21で得たバッテリ残量(正しい残量)をシステムに通知した後でステップS21に戻る。
【0091】
尚、ステップS25、S26でバッテリ残量を通知する対象はシステム(図7の破線より上方に位置する部分を参照)における状態制御処理の制御主体(本例ではOS電源制御部)である。また、ステップS25におけるオフセット値αは絶対容量を示しており、図7においてAPI20よりも下層の範囲ではバッテリ残量が絶対容量として取り扱われるが、前記したように相対容量での設定方式を採用するOSの場合、API20の上層(OS電源制御部等)では、最大容量等を基準とする相対値(%値)に換算されて相対容量として取り扱われることに注意を要する。
【0092】
図8から分かるように、バッテリ残量として「R_cld+α」の通知が行われる条件は以下に示す通りである。
【0093】
・「(バッテリ温度>閾値)&&(バッテリ残量>R_nt)&&(バッテリ残量<R_cld)」
尚、「&&」は、括弧内に示す各条件についての論理積(AND)を意味する。
【0094】
つまり、低温環境ではバッテリ残量として正しい値の通知がなされないと、安全な状態への遷移が保証されなくなる虞がある。また、通常の使用温度領域において、バッテリ残量が閾値R_nt以下である場合も同様である。そして、低温環境でない場合において、バッテリ残量が閾値R_cld以上の場合には残量が充分であり、また、バッテリ残量が閾値R_cld以下であってもR_ntを超えている場合には、「R_cld+α」の残量通知が行われる(ハイバネーション状態に遷移しない。)。
【0095】
このように、バッテリ温度が閾値を超えており、かつバッテリ残量が閾値(R_cld)を下回る場合において、該閾値に対して所定のオフセット値を加算(又は減算)した検出値を状態制御手段24に通知することで、安全な状態への遷移について意図的に制御することができる(ゼロでないオフセット値を用いることで、状態遷移の許否を決定することができる。)。これにより、通常温度領域における使用時には、残量閾値R_ntとの比較結果に応じて状態制御を行うことができ、前記LBH閾値を下げることで、ユーザが実際に使用可能なバッテリ持続時間が長くなる。また、低温環境等においてバッテリが所期の性能を充分に発揮できない環境下であっても、バッテリ残量として十分な閾値R_cldとして、正常に安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させることができる値に設定することで、品質事故等を未然に防止できる。
【0096】
尚、本例において、温度条件や残量閾値、オフセット値の設定については、さらに数多くの閾値やオフセット値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値又はオフセット値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が勿論可能である。
【0097】
また本形態(B)によれば、OSにおける標準の電源管理機能において、バッテリ残量の相対容量での設定方式しか用意されていない場合でも、バッテリ残量に関して絶対容量(電力量)として閾値の設定を行うことができる。例えば、OSの電源管理プログラム等によってローバッテリ時の閾値(相対容量)を2%等に設定している場合において、安全な状態に遷移しなければいけない閾値に達したときには、残量が2%未満(1%等)になるように逆算される残量(絶対容量)を制御主体からOSに対して通知すれば良い(API経由で相対容量としてOSに通知される。)。この処理により、同じ装置で満充電容量の異なるバッテリ装置を使う場合であっても、統一的に閾値(絶対容量)を決定できることになる。尚、このような相対容量での閾値設定方式に限らず、絶対容量での閾値設定方式を採用する場合において形態(B)を用いることは勿論可能であり、その場合には、システムを構成する状態制御手段に対して残量値(絶対容量)の通知が一貫して行われる。
【0098】
形態(B)と前記形態(A)との相違点は、形態(A)において、制御主体(EC)が常にバッテリ状態を監視してバッテリ残量が閾値を下回った時に、システムステートを安全な状態に遷移させるための特別なメッセージの通知を必要とするのに対して、形態(B)では、例えば、OS電源制御部21からのバッテリ残量の取得要求に応じて、現在のバッテリ残量を返す際に、通常(前記条件を満たさない場合)は正しい残量値を返すが、バッテリ残量が少ない時には、バッテリ温度等に応じて、返す残量値を正しい値とは異なる値(見せ掛けの値)にして返送することである。これにより、システムにおいて実際とは異なる値をバッテリ残量と信じ込ませることでシステムステートを制御することができる(例えば、見せ掛けの値の通知を、安全な状態へ遷移させるためのトリガーとして利用することができ、状態遷移のために特別なメッセージ通知を必要としない。)。
【0099】
また、本形態(B)においても、前記形態(I)の適用が可能であり、その場合の制御主体は、バッテリ装置17内の制御手段18である。例えば、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータが、装置本体部からのバッテリ残量取得の要求に対して返答する際に、残量値を正しい値とは異なる値にして通知すれば良い。但し、通常、安全な状態へ遷移させるための閾値は、バッテリ装置を使用する対象のシステムによって異なるので、該バッテリ装置がその対象のシステムにしか接続されないこと、あるいは、該バッテリ装置が接続相手(対象のシステム)を通信等で識別しているといった前提が必要である。
【0100】
そして、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止することに伴う弊害の発生防止策については、形態(A)において説明した構成及び方法を形態(B)でもそのまま使用できる。
【0101】
ところで、上記したシステムステートの制御に関して、待機状態(スタンバイ状態等)又は休止状態(ハイバネーション状態等)に遷移するときに消費される電力を削減するための手段を講じることが好ましい。このことは、例えば、待機状態への遷移に必要な消費電力を削減することで、ローバッテリ時にユーザが装置にACアダプターを接続するまでの時間を確保したり、あるいは、休止状態(安全な状態)に遷移させる過程で必要とされる消費電力を削減する方法を用いることで、遷移条件の判断に用いられる残量閾値を低下させることができることを意味する。
【0102】
図9は基本構成を示す概念図である。
【0103】
例えば、状態監視中において、予め規定されている遷移条件に従ってSX(X=1〜4)状態への遷移が行われる場合に、その旨が状態制御手段24から電力削減手段(あるいは省電力化手段)29に通知されると、該電力削減手段29は制御対象の消費電力を低減させ又はゼロ若しくはほぼゼロにするために必要な処理を行う。
【0104】
例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0105】
(a)状態遷移時に表示デバイスへの電源供給を遮断し又は表示輝度を低減させる形態
(b)状態遷移時にCPU等の演算処理デバイスの処理能力を低下させる形態
(c)状態遷移時に、該遷移処理のために使用されないデバイスへの電力供給を遮断する形態。
【0106】
尚、状態遷移の原因や条件等についての如何は問わない。例えば、バッテリ残量が少なくなったり、ACアダプタ等の接続外れや断線等、電源供給能力を低下したことや、一定時間以上に亘る不動作や不使用状態等、各種のトリガー原因が挙げられる。また、形態(a)乃至(c)についてはそれぞれ単独に採用しても良いが、それらを組み合わせて利用することも勿論可能である。
【0107】
先ず、形態(a)について説明すると、状態遷移時には画像表示の必要性が乏しいことに鑑みて、電力削減手段29によって表示デバイスへの電源供給を遮断したり、表示輝度を低減する。つまり、システムステートに関して安全な状態へ遷移させる必要があると判断された場合(例えば、前記したLBH要求の通知時や、バッテリ残量の取得要求に対して見せ掛けの情報を返答した時等)において、状態遷移の制御に必要のない表示デバイスの光源を消灯させたり、表示輝度を暗くする等の処理を行う。液晶表示装置を例にすると、下記の形態が挙げられる。
【0108】
(a−1)バックライトの電源切断(バックライトのオフ)
(a−2)バックライトの輝度を低下させること。
【0109】
図10はバックライト制御について要部を例示したものである。
【0110】
描画処理部30を構成するグラフィックスチップの制御出力として、バックライト制御信号「Sbkl」が2入力AND(論理積)回路31に送出される。この信号はバックライト部32に電源電圧を供給するか否かを制御するための信号である。尚、図示は省略するが、グラフィックスチップの映像信号出力が図示しない液晶表示パネルに供給されて画像表示が行われる。
【0111】
表示輝度調整部(例えば、EC等)33は、バックライトの明るさを制御するための信号「Sbrt」を出力し、アンプ部34を介してバックライト部32に供給する。また、上記信号Sbklに対するマスク信号「Smsk」をAND回路31に送出する。
【0112】
AND回路31は信号SbklとSmskとの論理積演算を行い、演算結果をバックライトのオン/オフ制御用の信号としてバックライト部32に送出する。つまり、SmskがH(ハイ)レベルである場合には信号Sbklがそのままバックライト部32に送られるが、SmskがL(ロー)レベルである場合には演算結果としてLレベル信号がバックライト部32に送られ、バックライトがオフ(消灯)状態となる。
【0113】
バックライト部32は、バックライトと駆動用インバータ回路を有し、例えば、PWM(パルス幅変調)制御方式では、アンプ部34の出力に応じて制御デューティーが可変制御されることでバックライトの明るさが変化するように構成されている。また、AND回路31の出力する信号を受けて電源供給状態が規定され、該信号がHレベルの場合に電源電圧が供給され、Lレベルの場合に電源電圧の供給が停止される。
【0114】
本例では、表示輝度調整部33やAND回路31が電力削減手段を構成しており、上記形態(a−1)では、ハイバネーション状態等への遷移時に表示輝度調整部33がマスク信号SmskをLレベルにすることでバックライト部32への電源が切断されるように構成すれば良い。即ち、制御主体がLBH要求をシステムに通知する等によって、安全な状態に遷移させる必要があると判断された場合において、マスク信号Smskを用いてバックライト制御信号について制御し、バックライトを強制的に消灯させることで無駄な消費電力を削減する。尚、バックライトに係るマスク信号の解除(SmskをHレベルにすること)は、安全な状態に遷移した後で行われる。
【0115】
また、上記形態(a−2)では、図10において、バックライト制御信号Sbklをマスクするための部分(AND回路31)は不要である(つまり、Sbklがグラフィックスチップからバックライト部32に直接送られる。)。制御主体がLBH要求をシステムに通知する等によって、安全な状態に遷移させる必要があると判断された場合に、表示輝度調整部33は、信号Sbrtとして表示輝度を最小にするための信号をバックライト部32に送る。例えば、D/A変換された制御値を一番暗い輝度にするための値に規定したり、あるいは、PWM制御のデューティー(デューティーサイクル)をゼロ又は最低値(一番暗い)に指示することで、バックライトの消費電力を必要最小限に抑制する。その結果、安全な状態に遷移するまでの間の消費電力が削減され、閾値(バッテリ残量閾値)を下げることができる(バッテリ駆動時間をのばすことができる。)。
【0116】
尚、LBH機能等に基く状態遷移時に、表示画面が不意に暗くなったりすると、その理由を知らないユーザに困惑や不安等を与える虞があるので、電源表示用素子(LED)等の発光手段を点滅させたり、ビープ音等で警報するといった手段を講じることが望ましい。
【0117】
次に形態(b)について説明すると、状態遷移時に電力削減手段29によって演算処理デバイスの処理速度等を低下させることで消費電力を削減したり、状態遷移に必要のないデバイスへの電源供給を断つことで処理負担を軽減する。
【0118】
CPUを例にすると、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0119】
(b−1)CPUの処理速度やパフォーマンスモードを変更して消費電力を下げる形態
(b−2)CPU停止に係るスロットリング(Throttling)機能を利用してパフォーマンスを落とすことで消費電力を下げる形態
(b−3) 安全な状態へ遷移させるのに必要の無いデバイスやチップへの電源供給を断つ形態。
【0120】
尚、電力削減手段を構成するためのハードウェアやソフトウェアについては後述するように形態別に異なる。
【0121】
先ず、形態(b−1)では、CPUに関して多段階の電圧階級をもって使用することができ、かつ各電圧に応じた動作可能周波数が規定されている場合において、周波数及び電圧の設定を変更することでパフォーマンスについての制御を行うことができる。
【0122】
本形態では制御主体がECであるか又はAMLであるかによって処理が異なる。
【0123】
先ず、制御主体がECである場合について、図2を用いて説明する。
【0124】
システムステートを安全な状態に遷移させる必要があると判断する実質的な主体がECであり、ECがCPU6のパフォーマンスを変更するためには、その変更通知を行う必要がある。そのためには、SMI(System Management Interrupt)又はSCI(System Control Interrupt)のいずれかを用いる。尚、SMIはCPU i386SL(インテル社製)以降に具備された割り込みであり、また、SCIはACPI仕様をもつOSで使用可能な割り込みである。
【0125】
これによってSMIであればシステムBIOS(Basic Input/Output System)に制御を移し、またSCIであればAMLに制御を移すことができる。尚、図2においてECからICHに向かう信号線「EXTSMI#」を用いてSMI要求が行われ、信号線「EXTSCI#」を用いてSCI要求が行われてICHに入力される。
【0126】
システムBIOSや、BIOSの一種であるAMLに制御が移ると、CPUのパフォーマンスを変更する操作及び処理が行われる。例えば、システムBIOSでは、CPUのレジスタ(MSR:Model Specific Register)に必要な値を書き込むことで行い、動作周波数を下げる場合には、CPUを一時停止させてから、てい倍率、電圧の変更、停止解除の手順で行う。
【0127】
また、AMLの場合には、OSに対して、新しい使用可能なリスト(遷移可能リスト)を渡すことにより行う。例えば、搭載されているCPUに関して、1600MHz、1200MHz、600MHzの周波数が使用可能であったと仮定した場合に、最も低い周波数である600MHzでしか使えないCPUであることをOSに通知することで、CPUのパフォーマンスについて600MHzに低下させることができる。
【0128】
尚、コンピュータ機器において、BIOSには、搭載可能な複数種のCPUについて複数の動作状態(Operating Point:動作点)が設定されており、それぞれリスト化されてデータベースに格納されている。そして、各CPUについてはそれぞれに固有の識別(Identification)情報を用いて区別されるようになっており、識別情報をもとに該当するCPUに割り当てられたリストがデータベースから読み出される(つまり、CPUの識別情報をインデックスとしてそれに対応するリストが関連付けられて管理されている。)。各リストに記述されている複数の動作点は特定のCPUにおいて使用可能な選択肢であり、プログラム処理によって任意に削除し得るので、削除により変更された後のリストをOSに通知すると、リストの範囲内で動作点が選択されて動作周波数及び電圧が制御される(実際の制御では、ACPIドライバ(ウィンドウズでは「ACPI.SYS」)及びBIOS内のAMLを用いる)。
【0129】
制御手順の概要は下記の通りである。
【0130】
1.割り込み要求の発行
2.動作点を削除したリストの引渡し
3.レジスタ値の書き込み
4.パフォーマンスモードの変更。
【0131】
システムを安全な状態に遷移させる必要があると判断する実質的な制御主体がAMLである場合には、CPUのMSRに値を書き込むか、あるいは、上記と同様にリスト(遷移可能リスト)を渡すことで、動作点について制限を加え、CPUのパフォーマンスを落として消費電力を削減する。
【0132】
このように、CPUに関して使用可能な動作点を記載したリストに基づいて、動作周波数及び電圧を制御する場合には、ハイバネーション等の安全な状態に遷移させる処理に支障を来さない範囲内で、リスト中で1つ以上の動作点を削除したり、あるいは特定の動作点のみを指定するといった処理を行い、リストに示される許容範囲内でCPUの処理能力を制御する手段を講じることが好ましい(特に、システムに搭載されたCPUが高性能であり、状態遷移処理に最低限必要とされる処理能力を上回っている場合において有効である。)。
【0133】
システムを安全な状態(待機状態やハイバネーション状態)に遷移させる必要性が生じた場合の手順を簡単にまとめると下記の通りである。
(1)CPUのパフォーマンスを必要最低限に設定する
(2)システムに対して、安全な状態に遷移させるように通知を行う
(3)安全な状態に遷移し終えた後、該状態から元の状態に戻す(Resume)場合に、CPUの動作周波数を元の値に戻す。そして、復帰処理に移る。
【0134】
次に、形態(b−2)について、制御主体EC又はAMLの場合をそれぞれに説明する。
【0135】
先ず、制御主体がECである場合には、安全な状態への遷移を行う必要があると判断された際にCPUスロットリング機能を働かせる。具体的には、図2に示す信号線「THRM#」を使用して、CPU6の端子に接続される信号線(これを「STPCLK#」と記す。)のレベルをICHから制御する。つまり、ECがTHRM#の設定をHレベル又はLレベルにすることで、スロットリング機能をオン/オフさせることができ、THRM#をLレベルに設定すると、STPCLK#の制御信号が送られてスロットリング機能が働き(Enable)、CPUが間欠的に動作してパフォーマンスが低下する(結果として消費電力を削減できる。)。尚、THRM#に係る解除条件については、安全な状態に遷移した後で判断される。
【0136】
また、制御主体がAMLである場合には、システムを安全な状態に遷移させる必要があると判断されたときに、AMLがICHのCPUスロットリングに関するレジスタに対して設定を行うことで、ICHからCPUにSTPCLK#の信号を生成させる。これにより、スロットリング機能が働いている間はCPUのパフォーマンスが低下し、消費電力が削減される。尚、THRM#に係る解除条件については、安全な状態に遷移した後で判断される。
【0137】
いずれの形態においても、LBH要求等の発行時にのみスロットリング機能を働かせる点が共通しており、それ以外の状況(バッテリ残量が充分である場合等)では該機能を使用しない。
【0138】
図11はCPUスロットリング機能に係る処理の一例を示すフローチャート図であり、本例において「スロットルオン」の場合には、CPUスロットリング機能を働かせて、予め設定された時間(電力抑制保持時間)中、消費電力が抑制される。また、「スロットルオフ」では、CPUスロットリング機能を働かせないように設定される。
【0139】
先ず、ステップS31では、システムを安全な状態(ハイバネーション状態等)遷移させる必要があるか否かを制御主体が判断し、状態遷移が必要である場合にはステップS32に進むが、必要なしの場合には、ステップS35に進む。
【0140】
ステップS32において、内部タイマー(電力抑制保持時間の計時用タイマー)を初期化して、ステップS33に進む。
【0141】
ステップS33では、既にスロットルオンとされているか否かを調べ、そうであれば何もせずにステップS31に戻るが、スロットルオフの場合には、ステップS34に進んでスロットルオンの処置をとる。
【0142】
ステップS35において、スロットルオンとされているか否かを調べ、そうであればステップS36に進むが、スロットルオフの場合には何もせずにステップS31に戻る。
【0143】
ステップS36では、上記内部タイマーをダウンカウントする。つまり、1単位時間だけタイマー値をデクリメントして、ステップS37に進み、ここでタイムアップの如何を判断する。タイマー値がゼロであれば、電力抑制保持時間が経過したと判断されステップS38に進むが、ゼロでなければステップS31に戻る。
【0144】
ステップS38では、スロットルオフの処置をとる。
【0145】
尚、ステップS34、S38の後、ステップS31に戻る。
【0146】
上記の例では計時用タイマーを使用したが、安全な状態への遷移の間、CPUのパフォーマンスを低下させたままとする場合には、タイマーは不要であって、システムを安全な状態(待機状態やハイバネーション状態)に遷移させる必要が生じた場合に、下記の手順で処理を行えば良い。
(1)CPUのパフォーマンスを必要最低限に設定する(スロットリングオン)
(2)システムに対して、安全な状態に遷移させるように通知を行う
(3)安全な状態に遷移し終えたら、元の状態に戻す(スロットリングオフ)。
あるいは、安全な状態から元の状態に戻す(Resume)ときにスロットリングオフとする。
【0147】
次に、前記形態(b−3)や形態(c)について説明する。
【0148】
本形態では、ハイバネーション状態等に遷移させる場合において、必要のないデバイス、例えば、光学式メディア(光ディスク、光磁気ディスク等)のドライブ装置や、主メモリの作業内容等の退避に使用しないハードディスクドライブ装置(セカンドハードディスク等)、テープストリーマ等のストレージデバイス、モデムやネットワーク接続用の通信デバイス等への電源供給を遮断することで、消費電力を削減する。
【0149】
以下では、電力削減の対象デバイスとして、光学式メディア(例えば、CD−ROM/DVD−ROM/CD−R/RW等)のドライブ装置を例にして説明する。
【0150】
図12は構成例の要部を示すものであり、電力制御部35、論理デバイス制御部36を有する。
【0151】
電力制御部35は、ユーティリティ23、ドライバ22、GPIO(General Purpose Input/Output)37及びこれに接続された電力供給部(Power Supply Circuit)38から構成される。
【0152】
実際に電源供給や遮断を行うのはハードウェア下層の電力供給部38である。尚、GPIO37は、上記EC又はICH等に設けられる。
【0153】
論理デバイス制御部36は、ユーティリティ23、API20、バスコントローラ(Bus Controller)39から構成される。尚、本例では、光ディスク等の光学メディアのドライブ装置13が、IDE、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)等で接続されている(図2参照)。
【0154】
本例では、図13の状態遷移図に示すように、3つの状態を有する。
【0155】
・通常状態
・省電力試行状態
・省電力状態。
【0156】
先ず、「通常状態」とは、対象デバイスに電力が供給された状態であり、例えば、S0状態において該デバイスが使用され、電力が消費されている状態である。
【0157】
また、「省電力状態」とは、対象デバイスへの電力供給を遮断することで電力消費がゼロとされた状態である(システムステートをS1〜S4のいずれかに遷移させる場合にこの状態に移行させる。)。尚、対象デバイスを復帰可能な状態で電源を切って一時的に停止させた状態とされる。
【0158】
「省電力試行状態」とは、通常状態から省電力状態に移行する途中状態であり、省電力状態への移行に成功した場合には省電力状態となるが、省電力状態への移行に失敗した場合には通常状態に戻る。
【0159】
尚、省電力状態への遷移条件については、デバイスの種類、特性等を考慮して決めることができ、例えば、対象デバイスがメディアを使用するデバイスである場合において、該メディアの有り無し(ドライブへの装着の有無)を検出して、メディアが装着されていないことを条件に省電力状態へと遷移させる。省電力状態から通常状態への遷移条件についても同様に、デバイスの種類、特性等を考慮して決めることができ、例えば、ドライブ装置のメディアイジェクト用ボタンが操作されたことを検出して、イジェクト動作の要求と同時に通常状態へ遷移させてデバイスに電源を投入するといった処理等が可能である。
【0160】
システムステートを、例えば、S0からS3又はS4に遷移させる必要があると判断された場合において、ドライブ装置13の電源を切断する場合の手順はほぼ下記のようになる。
【0161】
1. バスコントローラ (2nd IDE Host Controller等)を停止する(無効化)
2. ドライブ装置への電源供給を停止する
3. システムを安全な状態へ遷移させる。
【0162】
逆に、S3又はS4からS0へ復帰させる場合の手順は以下のようになる。
【0163】
1. システムを安全な状態から復帰させる
2. ドライブ装置に電源を投入する
3. バスコントローラを有効化する。
【0164】
対象デバイスへの電力供給の遮断処理例について、図14に示すフローチャート図を用いて説明する。尚、ドライブ装置13がIDEバス上に接続されているものとする。
【0165】
先ず、ステップS41では、IDEコントローラを無効化する。つまり、IDEコントローラのディセーブル(Disable)処理を行うが、IDEに限らず、IEEE1394やUSB等の場合は、デバイスが接続されているホストコントローラに係る無効化(Disable)処理が行われる(例えば、OS(ウインドウズ)の「Configuration Manager」というソフトウェアレイヤが提供するAPIのファンクションコールで行われる。)。
【0166】
次ステップS42では、バスコントローラの無効化に成功したかどうかを判断する。つまり、上記APIをコールした結果、失敗の場合に省電力試行状態からS44の通常状態へ戻る(試行回数については、1回に限らないので、必要に応じた回数をもって再試行を繰り返しても良い。)。
【0167】
ステップS42において無効化に成功した場合には、ステップS43に進み、所定の待ち(Wait)時間の後、ステップS45に進んでデータバスを切断する。そして、次ステップS46で対象デバイスの電源を切断し、S47の省電力状態となる。
【0168】
実際の処理は、デバイスドライバ、あるいはシステムBIOSやAMLによって行われる(図12のGPIO37の出力レベルを制御することにより、電源供給及び遮断の制御を実現できる。)。
【0169】
図14のステップS45では、バス切断の際に、データバス(Data Bus)を「Hi−Z」(ハイ・インピーダンス状態)に設定しているが、これは安全策のために入れたものである。例えば、IDEバスに接続されるデバイスの場合、IDEホストコントローラの設定を変更したり、バスSW(スィッチ)を介することによって設定を行うことができ、上記した電力供給及び遮断の制御と同様に、ドライバやシステムBIOS、AMLを用いて実現できる。
【0170】
次に、省電力状態から通常状態への移行処理例について、図15に示すフローチャート図を用いて説明する。
【0171】
先ず、ステップS51では、ドライバやシステムBIOS、AML経由でドライブ装置(対象デバイス)の電源状態を確認する。次ステップS52において、対象デバイスの電源がオフである時には、ステップS53に進み、対象デバイスに電源を投入する。そして、次ステップS54での待ち時間を経てステップS55に進む。
【0172】
ステップS52において対象デバイスの電源がオン状態である時には、そのままステップS55に進んで、データバスを接続する。具体的には、省電力試行状態において、前記のように、ハイ・インピーダンス状態に設定されたデータバスを元の状態に戻す処理を行う。尚、この処理は上記したように省電力状態での安全策を考慮した場合に必要とされる。
【0173】
対象デバイスに対してアクセスが可能になったら、ステップS56に進み、バスコントローラを有効化し、S57の通常状態へと移行させる。
【0174】
尚、本発明の適用において、IDEコントローラの使用に限られる訳ではないので、対象デバイスが接続されるバスのホストコントローラ(IEEE1394 やUSB等)をイネーブル(Enable)にして有効化すれば良い。
【0175】
上記したバスコントローラの有効化や無効化の処理、対象デバイスの電源切断や供給処理については、一般に、状態遷移制御に係る処理主体(これを「第一の主体」という。)とは異なる処理主体(これを「第二の主体」という。)により行われる。よって、第一の主体がAMLの場合は、該AMLから処理の開始をドライバ経由で第二の主体に通知し、また、第一の主体がECの場合は、該ECから処理の開始をドライバ経由で第二の主体へ通知する。
【0176】
第二の主体としては、例えば、ユーティリティ等のアプリケーション(プログラム)が挙げられるが、AMLで処理を行うこともできる。
【0177】
よって、第一及び第二の主体の組み合わせとして、下記に示す形態が挙げられる。
【0178】
・第一の主体=AML → 第二の主体=AML
・第一の主体=AML →ドライバ → 第二の主体=Application(Utility)
・第一の主体=EC →(ドライバ)→ 第二の主体=AML
・第一の主体=EC →ドライバ → 第二の主体=Application(Utility)
尚、「→」は制御指令系統の向きを表し、「()」は括弧内の要素が任意であることを意味する。
【0179】
いずれの形態でも、第一の主体からの通知により、状態遷移を行う必要がある場合(LBH等)において、第二の主体は、バスコントローラを無効化して電力削減の対象デバイスへの電力供給を遮断して、該デバイスを再帰可能な状態で一時的に停止させる。そして、S0状態への遷移等、対象デバイスを使用状態へと移行させる場合において、第二の主体がバスコントローラの有効化や対象デバイスへの電力供給を行い、遮断時の原状に復帰させる。
【0180】
しかして、以上の説明した構成によれば、下記に示す利点を得ることができる。
【0181】
・状態遷移中に各種デバイスの消費電力を下げることができるため、システムを安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させる場合の条件判断に使用される残量閾値を下げることができる。また、低温環境下や大電力での放電時を考慮して、安全な状態へ遷移させるための残量閾値を、ユーザの実使用状況等に応じて設定することができるようになり、ユーザが実際に使用できるバッテリ時間が長くなる。
【0182】
・バッテリ残容量の設定について絶対容量(Wh)での閾値設定を行うことができ、また前記形態(B)によれば、OSで標準に提供される機能において相対容量での閾値設定方式にしか対応していない場合であっても、絶対容量での閾値設定及び制御を実現することができ、そのために複雑な制御や機構を要しない。
【0183】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、システムステートの遷移制御において無駄な消費電力を削減することにより、節電効果を高めることができ、特に、電源容量が制限されている構成形態(バッテリ駆動式等)への適用において有効である。
【0184】
請求項2に係る発明によれば、表示デバイスで消費される電力を削減することができる。
【0185】
請求項3に係る発明によれば、演算処理デバイスにおいて必要以上に消費される電力を削減することができる。
【0186】
請求項4に係る発明によれば、状態遷移に必要のないデバイスで消費される電力を削減することができる。
【0187】
請求項5に係る発明によれば、状態遷移時にデバイスの電力消費をゼロにすることができるとともに、その後、該デバイスに電力供給を再開して状態復帰させて速やかに使用可能な状態に移行させることで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0188】
請求項6に係る発明によれば、バッテリ駆動の場合に、バッテリの環境条件や劣化状態等に基いてシステムステートの遷移制御を適正に行うことで、バッテリの使用可能時間を長くしてユーザの利便性を高めることができる。
【0189】
請求項7に係る発明によれば、環境条件等に応じて閾値又は基準範囲を変化させることで遷移制御を詳細に行うことができる。
【0190】
請求項8に係る発明によれば、バッテリ装置の残容量に係る閾値に変更を加える必要がなく、既存の遷移制御に対して大幅な変更を伴わない。
【0191】
請求項9に係る発明によれば、オフセット値の加減算だけで状態遷移について容易に制御することができ、しかもシステムの状態制御手段が残量情報(検出値)の真偽について関知する必要がない。
【0192】
請求項10に係る発明によれば、待機状態や休止状態への遷移処理において、省電力機能や、データ消失等に対する防止機能を有効に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成例を示す概念図である。
【図2】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】システム構成例の要部を示す図である。
【図4】状態遷移を例示した図である。
【図5】LBHに係る処理例を示すフローチャート図である。
【図6】バッテリ装置の出力制御について構成例を示す図である。
【図7】図8とともに制御形態について説明するための図であり、本図はシステム構成例の要部を示す説明図である。
【図8】LBHに係る処理例を示すフローチャート図である。
【図9】電力削減制御の基本構成例を示す概念図である。
【図10】バックライト制御について説明するための図である。
【図11】CPUスロットリング機能について処理例を示すフローチャート図である。
【図12】対象デバイス(光学式情報記録媒体のドライブ装置)への電源供給制御について説明するための図である。
【図13】対象デバイスに関する状態遷移図である。
【図14】対象デバイスへの電力供給の遮断処理例を示すフローチャート図である。
【図15】通常状態への移行処理例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
5…情報処理装置、17…バッテリ装置、24…状態制御手段、29…電力削減手段
Claims (10)
- 状況に応じて低消費電力の制御状態又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させる機能を備えた情報処理装置において、
上記制御状態への遷移時に消費される電力を削減するための電力削減手段を備えている
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記制御状態への遷移時に表示デバイスへの電源供給が遮断され又は表示輝度が低減される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記制御状態への遷移時に演算処理デバイスの処理能力を低下させる
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記制御状態への遷移時に、該遷移のために使用されないデバイスへの電力供給が遮断される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項4に記載した情報処理装置において、
上記デバイスへの電力供給を遮断して該デバイスを再帰可能な状態で一時的に停止させるとともに、その後、該デバイスを使用状態へと移行させる場合に電力供給を行って遮断時の原状に復帰させる
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
バッテリ装置の残容量を監視して該残容量が低下した場合に上記制御状態に遷移させるに際して、該残容量を示す情報と上記バッテリ装置の環境条件又は劣化状態又は給電状態に係る情報に応じて上記制御状態への遷移条件が変更される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項6に記載した情報処理装置において、
上記残容量を閾値又は基準範囲と比較することで上記制御状態への遷移の許否が決定されるとともに、該閾値又は基準範囲が上記バッテリ装置の環境条件又は劣化状態又は給電状態に応じて変更される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項6に記載した情報処理装置において、
上記残容量の情報を閾値又は基準範囲と比較した結果に基いて上記制御状態への遷移について制御する状態制御手段を備え、
上記残容量及びバッテリ温度を含む条件に応じて実際の残容量に修正を加えた、見せ掛けの情報を状態制御手段に対して通知する
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項8に記載した情報処理装置において、
バッテリ温度がその閾値を超えており、かつ上記残容量が閾値以下である場合に、該残容量の閾値に対してオフセット値を加算又は減算した検出値を上記状態制御手段に通知することで、上記制御状態への遷移の許否が決定される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記制御状態が待機状態又は休止状態である
ことを特徴とする情報処理装置。
Priority Applications (1)
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