JP2004334476A - 情報処理装置及びバッテリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報処理装置及びバッテリ装置において、環境条件等に応じて適切な電力供給を行うことで、ユーザの利便性を高める。
【解決手段】バッテリ温度等の環境条件や、バッテリの劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリの放電制御を行う制御手段18を設ける。バッテリ装置17から情報処理装置本体への電源供給の続行条件や停止条件等について適正な判断を下すことができるので、例えば、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず、一時的な電圧降下等に起因してバッテリの放電が停止されてしまうといった事態を回避できる。
【選択図】 図3
【解決手段】バッテリ温度等の環境条件や、バッテリの劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリの放電制御を行う制御手段18を設ける。バッテリ装置17から情報処理装置本体への電源供給の続行条件や停止条件等について適正な判断を下すことができるので、例えば、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず、一時的な電圧降下等に起因してバッテリの放電が停止されてしまうといった事態を回避できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置及びバッテリ装置において、環境変化等に起因する不意の電源供給停止を回避するとともに、バッテリを長持ちさせることでユーザの利便性を高めるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ機器等において電力供給源であるバッテリの残量が少なくなった場合に講じられる対策としては、例えば、ユーザが予め設定しておいたバッテリ残量に達した場合に警報等を行う方法が挙げられる。また、バッテリ残量の低下によって突然に装置への電源供給が遮断されてしまうと、データ消失等によってユーザが不利益を被る虞が生じるため、システムの状態(メモリ内容やデバイスのレジスタの設定等)を不揮発性記憶手段(ハードディスクや不揮発性メモリ等)に一時退避させておき、その後の動作再開時に元の状態に復帰させる機能(所謂「ハイバネーション(Hibernation)機能」)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−324012号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、バッテリが置かれた環境条件や劣化状態等を考慮した対策が充分に講じられていないという問題がある。
【0005】
例えば、低温環境下における問題として、放電開始時の電圧が低くなることや、バッテリの消耗が大きくなってしまうこと等が挙げられ、低温下での急激な負荷増大によりバッテリの電圧ドロップが発生した場合には、システムがシャットダウンしてしまう虞がある。
【0006】
これを防ぐ為には、バッテリ残量を常に監視して、残量が閾値以下になった時(ローバッテリ時)に上記ハイバネーション機能(以下、「ローバッテリハイバネーション」と呼び、「LBH」と略記する。)が働くように構成し、バッテリ残量が少なくなった場合でも、不測の事態(データロスト等)を回避することができるが、以下のような問題が残る。
【0007】
例えば、低温時の重負荷によりバッテリ電圧降下が著しい場合には、バッテリ電圧が許容電圧(バッテリ自身のセル供給許可電圧閾値)を一時的に下回ったときに保護機構が働いてバッテリの放電が停止されてしまう。尚、この保護機構は、バッテリの電気化学的特性により低温時の放電では電圧降下が顕著であることを考慮して設けられるものである。よって、このような放電停止が発生した場合には、バッテリ残量の監視に基づくLBH機構では防ぎきれない不都合が発生する虞がある。つまり、LBH機構が機能する前に、急激な電圧降下が起きて装置への電力供給が停止してしまうと、品質事故等につながる危険性が高まる。また、このような電圧降下が一時的なものである場合には、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず放電停止によって突然のシャットダウンが起きてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、情報処理装置及びバッテリ装置において、環境条件等に応じて適切な電力供給を行うことで、ユーザの利便性を高めることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、バッテリ温度等の環境条件又は劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリ装置の出力制御を行う制御手段を設けたものである。
【0010】
従って、本発明によれば、バッテリ装置の置かれた環境や劣化の度合い等に応じてバッテリ装置の出力制御を行うことで、電源供給の続行条件又は停止条件等について適正な判断を下すことができるので、例えば、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず、一時的な電圧降下等に起因して放電が停止されてしまうといった事態を回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、情報処理装置及びこれに用いられるバッテリ装置において、電源管理や給電制御の適正化を目的とし、バッテリ装置の使用可能時間を長くすることでユーザの利便性を高めることを目的とする。
【0012】
図1は本発明に係るシステムの基本構成を示す概念図であり、電力管理システム1は、電源部2と、該電源部2から電力供給を受ける電力供給対象3、そして、電力状態の監視及び給電制御を行う制御部4から構成されている。
【0013】
電源部2を構成するバッテリ装置としては、例えば、一次電池や、二次電池(リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池等)が挙げられ、その他、燃料電池(ダイレクトメタノール型等)のような発電装置も含まれる。
【0014】
また、電力供給対象3については、例えば、コンピュータ機器やPDA(Personal Digital Assistance)、映像機器や撮像機器等へ適用が可能である。
【0015】
制御部4は、例えば、バッテリ装置の残容量や状態を監視して給電制御を行うものであり、実施形態に応じてハードウェアやソフトウェアにより適宜構成される。
【0016】
実施態様としては、例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0017】
(I)電源部2及び制御部4を備えたバッテリ装置を、電力供給対象3に対して装着して使用する形態
(II)電力供給対象3及び制御部4を備えた装置本体部に、電源部2を装着して使用する形態
(III)電源部2、電力供給対象3及び制御部4を装置本体部が備えた形態。
【0018】
先ず、形態(I)としては、例えば、バッテリ装置が残容量や状態を自己監視し又は管理する機能、あるいは情報処理装置との間で双方向性通信又は一方向性通信を行う機能や状態の表示機能等、高度な処理機能を有する構成例(所謂「Intelligent Battery」)が挙げられ、残容量等の情報が、電力供給対象3を有する情報処理装置に通知される。この場合、制御部4としてはバッテリ装置に内蔵されたマイクロコンピュータ及びCPU(中央処理装置)により実行される制御プログラム等が用いられる。
【0019】
また、形態(II)では、例えば、電源部2には電力供給に必要な手段だけが装備されており、制御部4が情報処理装置の本体部に設けられる。つまり、電源状態の管理や給電制御等は装置本体部において行われる。
【0020】
形態(III)では、情報処理装置の本体部に、電源部2、電力供給対象3(各種デバイス)、制御部4が組み込まれている。
【0021】
尚、形態(II)や(III)において、制御部4には、例えば、各種コントローラ(後述の組み込みコントローラやI/O制御ハブ、電源コントローラ等)が用いられ、電力管理機能をもつオペレーティングシステム(以下、「OS」という。)を搭載した装置では、OSの電源管理部(プログラム)により実現される制御機構等が使用される。
【0022】
図2はハードウェアに係る構成例の要部を示したものであり、以下ではコンピュータ機器への適用例について説明する。
【0023】
情報処理装置5は、下記の要素を有する(括弧内の数字は各部に付した符号を示す。)。
【0024】
・CPU(6)
・第一制御部(7)
・メインメモリ(8)
・グラフィックスカード(9)
・第二制御部(10)
・第三制御部(11)
・ハードディスクドライブ装置(12、12)
・光学式ディスクのドライブ装置(13、13)
・デバイス制御部(14)
・ACアダプター(15)
・バッテリパック(16)。
【0025】
尚、図には、入力操作装置(キーボードやマウス等)、表示装置(液晶式ディスプレイや陰極線管(CRT)等)といった各種装置の図示を一切省略している。また、補助記憶装置としては、ハードディスク等の磁気ディスクドライブ装置や、光学式ディスクドライブ装置(光ディスクや光磁気ディスク等、光学読取式ディスクのドライブ装置)を示している。
【0026】
第一乃至第三制御部(7、10、11)は、CPU(中央処理装置)6から近い順に番号を付して区別している。
【0027】
先ず、第一制御部(MCH:Memory Control Hub)7はメモリ制御やシステムバスとのリンク等の役目をもつチップセットである。AT互換機では「ノースブリッジ」と呼ばれ、CPU6とメインメモリ8、グラフィックスカード9、各種バス(PCI、AGP等)が接続される。
【0028】
また、第二制御部(ICH:I/O Control Hub)10は、デバイスのバスリンクや電力制御等を行うためのチップセットである。AT互換機では「サウスブリッジ」と呼ばれ(別名「PCI to ISA bridge」)、ノースブリッジに繋がっているバス(PCI:Peripheral Component Interconnect bus)を、低速なバス(ISA:Industry Standard Architecture bus等)に橋渡しする役目をもち、ISAコントローラ、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラ等の機能をもつ回路部が内蔵されている。
【0029】
尚、図には、説明の便宜上、第二制御部10のIDEコントローラ「IDE HC」にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態と、デバイス制御部14にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態とを併せて示している。デバイス制御部14は、「IEEE 1394」規格(シリアルデバイスをコンピュータに追加するためのハードウェアの仕様を定義する。)に従ってサポートされるデバイスを制御するものであり、第二制御部10に接続されている。
【0030】
第三制御部11は、本例では「EC」(Embedded Controller:組み込みコントローラ)とされ、システムの電源制御やシステムの付加機能等の制御を行うために設けられており、携帯型機器等ではマイクロコンピュータが搭載されている。例えば、ECは、ACアダプター15や、二次電池等を用いたバッテリパック16の接続や装着の状態を検出して把握する等の役目をもっている。
【0031】
図3は本発明に係る実施態様について要部の構成を示したものであり、上記形態(I)の一例を示している。
【0032】
図中に示す破線よりも下方に示す部分がハードウェア階層を示し、本例では上記組み込みコントローラ(EC)と、バッテリ装置17を示している。
【0033】
バッテリ装置17には、残容量や状態を検出してECに通知する制御手段18としてマイクロコンピュータが内蔵されている。そして、該制御手段18は、バッテリ温度や湿度等の環境条件、給電状態(残容量や負荷状態等)やその変化について検出するための手段や、劣化状態(例えば、二次電池における充放電回数等)を把握して、バッテリの出力制御(放電の許可又は停止、放電電流の増減等)を行う。
【0034】
図中に示す破線よりも上方に示す部分はソフトウェア階層を示しており、本例では、ACPI19、API20、OS電源制御部21、デバイスドライバ22、ユーティリティ(プログラム)23を示している。
【0035】
ACPI仕様(Advanced Configuration and Power Interface Specification)は、コンピュータのパワーマネージメントをOSで一元管理するための仕様であり、ACPI19はACPI機構を構成するインターフェース部である。尚、ACPIでは、S0乃至S5のシステムステートが定義されており、「S0」(動作状態)は、装置システムの電源が投入され(オン状態)、OSが動作してソフトウェアが実行されている状態である。また「S5」(オフ状態)はソフトウェアの実行が終了し、装置システムの電源が切断された状態である。S0とS5の間の中間段階であるS1〜S4の状態(スリープ状態)について、例えば、「S3」は、装置システムに電源は入っているが、動作が停止している状態(スタンバイ状態あるいはサスペンド状態等の待機状態)とされ、また、「S4」は、電源は切れているが、作業内容(RAMのデータ)等はハードディスク等に保存されていて、データロスト等が発生しない状態(ハイバネーション状態)とされる。尚、「ハイバネーション状態」では、メインメモリ等の内容がハードディスク(図2のドライブ装置12参照)やシリコンメモリ等の不揮発性記憶装置(non−Volatile storage)の所定領域(ハイバネーション領域)に保存された後、電源が全て切断されるため、スリープ状態のうち消費電力が最小である(S5の状態と同じ消費電力)。そして、退避されたデータや設定情報等はその後におけるシステムの復帰時に復元されるため、S0状態への遷移によりソフトウェアの続行が可能となる。
【0036】
OSで提供されるAPI(Application Programming Interface)20は、ACPI19の上層(レイヤー)に位置し、ACPI19と、OS電源制御部21又はユーティリティ23を仲介する。また、デバイスドライバ22はECとユーティリティ23との間を仲介する。
【0037】
OS電源制御部21は、電源管理や電力制御を行うための仕様(ACPI仕様等)をもつオペレーティングシステムが装置に搭載されている場合に標準で提供される機能を実現するプログラム等で構成される。例えば、バッテリ残量の情報(残容量はバッテリセルの電圧から把握することができる。)に基いて上記制御状態(スリープ状態)への遷移について制御する状態制御手段を設けた構成形態において、バッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを遷移条件として、ハイバネーション状態への遷移が行われる(LBH機構)。OSとして「Windows」(マイクロソフト社の商標)等の場合について説明すると、ユーザは電源設定画面上でローバッテリ時の状態遷移についてバッテリ残量に係る閾値の設定を相対容量(最大容量に対する百分率)で行うことができる。つまり、バッテリ残量が設定値である相対容量に相当する閾値に達したときに、予め設定しておいた状態(スタンバイ状態やハイバネーション状態)に遷移させることができる。
【0038】
ユーザがこのような設定を行った場合に、OS電源制御部21が、API20、ACPI19を経てECからバッテリ装置17にバッテリ残量を問い合わせ、ポーリング(Polling)で残容量を監視し、ユーザ設定に応じて上記状態に遷移させることで、品質事故(データロスト等)の発生を未然に防止することができる。
【0039】
尚、ユーザによる上記設定については、OS電源制御部21が標準で提供している機構を用いることなく、ユーティリティ23とデバイスドライバ22又はAPI20を用いて同様の機能を提供する構成形態も可能であり、図3には両形態を併せて示している。つまり、ローバッテリ時における遷移条件をバッテリの相対容量で設定する方法では、例えば、装置セットに対して満充電容量の異なるバッテリ装置を装着して利用することができる構成形態の場合、閾値の標準化が難しいという問題がある。満充電容量が異なる複数種のバッテリ装置を同一のセットで使用する場合、ハイバネーション状態等の安全な状態へ遷移させるための遷移条件として、バッテリ装置の残容量の閾値には、絶対容量(Wh:ワット時)を用いることが好ましい。何故なら、安全な状態へ遷移させるために必要とされる電力量は、装置毎に異なる(つまり、バッテリ単位ではない)ので、相対容量ではなく絶対容量を用いる方が、標準化が容易になるからである。例えば、小容量バッテリと大容量バッテリを選択的に装置本体に装着して使用できる形態において、相対容量の%値(閾値)を同じとした場合に、安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させるために必要な電力量について、大容量バッテリの使用時には十分に供給されるが、小容量バッテリの使用時に不充分であったり、あるいは、小容量バッテリの使用時を基準として閾値を相対容量で設定した場合には、大容量バッテリの使用時に供給余力が十分であるにも関わらずハイバネーション状態等への遷移が行われてしまう結果、大容量バッテリを使用することの利点が生かされない等の不都合がある。
【0040】
そこで、状態遷移条件として、バッテリ装置の残容量について絶対容量を用いる場合には、OSで用意されている残量設定機能を使わずに、専用のユーティリティ等を別途用意してユーザが残量の閾値設定を行えるようにすることが好ましい。
【0041】
尚、OSやユーティリティがバッテリ情報、例えば、バッテリ残量を取得する際の手順の流れは概ね下記に示す通りである(図3参照)。
【0042】
(1)OS電源制御部やユーティリティからACPIへの残量取得要求
(2)残量取得要求の受信(ACPI)
(3)ECへの残量取得要求
(4)残量取得要求の受信(EC)
(5)残量取得済みの場合には(9)に進むが、取得していない場合には(6)に進む
(6)バッテリ装置(内蔵のマイクロコンピュータ)への残量取得要求
(7)ECへの残量返信
(8)残量受信(EC)
(9)ACPIへの残量返信
(10)残量取得(ACPI)
(11)OS電源制御部やユーティリティへの残量返信
(12)残量取得(OS電源制御部やユーティリティ)。
【0043】
このように、OS電源制御部21又はユーティリティ23は、ACPI機構を介してバッテリ情報(残量等)を取得する。尚、その詳細については、ACPI機構では、例えば、AML(ACPI Machine Language)と呼ばれる中間言語による制御プログラムにおいて、「どのようにバッテリ情報を取得するか?」といった記述をすることができる。尚、AMLはACPI機構上で動作するプログラムを記述するための言語であり、システム記述用言語ASL(ACPI Source Language)のソースファイルをコンパイルすることにより、AMLのコード(中間コード)が作成され、これを解釈して実行するACPI機構の本体部がOSで用意されている。AMLのプログラムはシステムBIOS(Basic Input/Output System)の一部として含まれている。AMLの使用は、OSからみたハードウェアの抽象化という観点から好ましい(機器構成の特殊性を隠蔽できる。)。
【0044】
例えば、AMLのプログラムにおいて、ECに対してバッテリ残量を問い合わせ、ECがその問い合わせを受けてバッテリ残量を返すといった処理について記述することができる(実際には、上記したようにECがバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータに対して残量の問い合わせを行い、残量を取得してからその値を返すといった処理が行われる)。
【0045】
尚、別の実施態様例としては、AMLのプログラム記述の中で、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータとの間で通信を行うことにより、残量を取得する形態が挙げられ、本発明はこのような態様例に対しても適用可能である。また、ユーティリティ23からドライバ経由でECにアクセスして必要な情報を取得する構成形態も勿論可能である。
【0046】
図4は、電力供給制御例について説明するための概念図であり、電圧検出手段24及び温度検出手段25、供給制御部26を備えている(尚、図示は省略するが電流検出や容量判別等のための各種検出手段が必要に応じて設けられる。)。
【0047】
電圧検出手段24は、バッテリセル27(図にはその1つだけを示す。)のセル電圧を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0048】
また、温度検出手段25は、バッテリセル27の温度を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。尚、セル毎に温度を検出する方法と、複数のセルについて温度を代表する場所を決めて、その温度を検出する方法等が挙げられる。
【0049】
供給制御部26は、常にバッテリセル27の状態を把握しており、外部回路(例えば、EC)からのバッテリ情報の取得要求を受けて必要な情報を返信したり、電力制御用素子28(図4には、単にスイッチの記号で示すが、電界効果トランジスタや、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子が使用される。)を制御して、バッテリセル27の放電により電力供給対象への電源供給を許可したり、電力制御用素子28をオフ状態にすることで放電を停止させる等の制御を行う。
【0050】
尚、前記形態(I)では、各要素がバッテリ装置に組み込まれていて、各検出手段や供給制御部26の機能は、前記した制御手段18を構成する内蔵のマイクロコンピュータ及びそのCPUにより実行される制御プログラムによって実現される。また、前記形態(II)や(III)では、供給制御部26等が情報処理装置本体に設けられる。
【0051】
バッテリ使用に係る安全性の確保及び劣化防止等を目的として、バッテリの駆動には最低電圧(駆動電圧の閾値)を設定することが必要である(この電圧は放電曲線等に基いて決められている。)。つまり、セル電圧を常時又は定期的に監視するとともに、該電圧が予め決められた設定値(閾値)以下になった場合において、例えば、上記電力制御用素子28を強制的にオフ状態にすることでバッテリセルの放電を停止させるといった保護機構が働く。
【0052】
セル内部のインピーダンスが高い電池を用いる場合(例えば、電池の化学的特性によっては、低温になるほどインピーダンスが大きくなる。)や、低温環境で重負荷がかかった場合には、放電時の電圧降下が著しいため、セル電圧が直ぐに上記設定値を下回り、放電停止となって装置本体がシャットダウンしたり、ハイバネーション状態等への移行処理が間に合わなくなってしまう虞が生じる。
【0053】
特に、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下等が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止により、シャットダウン等を誘発する虞がある。
【0054】
その原因は、電圧の検出値と、常に固定された閾値とを単に比較していることに由来しており、よって、対処法としては、バッテリの環境条件や給電状態の変化、劣化状態等を考慮した上で、バッテリ装置に係る放電制御を行うことが必要である。
【0055】
例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0056】
・バッテリ温度を検出するとともに、温度検出値に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態
・バッテリ装置の残容量に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態。
【0057】
尚、「基準範囲」については、例えば、閾値を基準とする不感帯を含む比較基準範囲や、安全率を見込んだ許容範囲等が含まれる。
【0058】
いずれの形態でも、バッテリ電圧を閾値と比較したり、バッテリ電圧が基準範囲にあるかどうかを調べた結果、該電圧が過度に低下していないと判断された場合には、バッテリの放電が許可されて装置への電源供給が行われる。
【0059】
図5は制御に係る処理手順の一例を示したフローチャート図であり、例えば、前記形態(I)ではバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータにおいて実行される制御プログラムの処理ステップにより実現される。
【0060】
先ず、ステップS1においてバッテリ情報(温度や残量、電圧等)を取得した上で、次ステップS2では、温度検出手段25によって得られるバッテリ温度を予め決められた閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値を超える場合にはステップS3に進むが、バッテリ温度が閾値以下の場合にはステップS5に進む。
【0061】
ステップS3では、バッテリ電圧を閾値(これを「Vsh1」と記す。)と比較し、Vsh1以下である場合にはステップS4に進み、バッテリ電圧がVsh1を超えている場合にはステップS7に進む。
【0062】
ステップS4において、バッテリの放電が停止され、装置への電源供給が遮断される。
【0063】
ステップS5では、バッテリ残量を予め決められた閾値と比較し、バッテリ残量が該閾値以上である場合にはステップS6に進むが、バッテリ残量が閾値未満の場合にはステップS3に進む。
【0064】
ステップS6では、バッテリ電圧を閾値(これを「Vsh2」と記す。「Vsh2<Vsh1」とされている。)と比較し、Vsh2以下である場合にはステップS4に進み、バッテリ電圧がVsh2を超えている場合にはステップS7に進む。
【0065】
ステップS7において、バッテリの放電が許可され、装置への電源供給が行われる。
【0066】
このように、バッテリ温度やバッテリ残量に応じて電圧閾値(Vsh1、Vsh2)が異なっており、バッテリ温度が閾値よりも高い場合や、バッテリ温度が閾値以下で、かつバッテリ残量が閾値未満である場合の電圧閾値「Vsh1」に比べて、バッテリ温度が閾値以下であって、かつバッテリ残量が閾値以上である場合の電圧閾値「Vsh2」の方が小さい値に規定されている。従って、バッテリ温度が低くてもバッテリ残量に余裕があれば電圧閾値が「Vsh2」とされ、バッテリ電圧が該閾値を超えている場合にはバッテリ装置の放電が許可される。そして、温度低下や負荷の増加によって電圧降下が大きくなったとしても、残容量が十分であって供給余力に問題がない場合にはバッテリ放電を極力持続させることで、シャットダウン等が不意に起こらないように防止できる。
【0067】
また、バッテリ残量が低下した場合に、動作状態と比べて低消費電力又は消費電力がゼロ若しくはほぼゼロの制御状態に遷移する機能を備えた情報処理装置において、該制御状態への遷移が完了する前に、急激なバッテリ電圧の低下が起きてしまうといった不都合を未然に防止することができる。尚、「低消費電力」の制御状態には、例えば、上記したサスペンド状態やスタンバイ状態のように、メモリや設定の内容が保持されている待機状態が含まれ、また、「消費電力がゼロ若しくはほぼゼロ」の制御状態には、上記ハイバネーション状態等の休止状態が含まれる。
【0068】
本例では、温度や残量について1つの閾値を設定し、バッテリ電圧については条件に応じて2つの閾値を設定しているが、これに限らず、さらに数多くの閾値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が勿論可能である。
【0069】
また、上記形態(II)、(III)において、図5で説明したような処理を行う制御主体は、実施態様によって異なる。例えば、バッテリ装置の状態監視をECが行う形態と、ECではなく別の制御部、例えば、ICH(図2参照)が状態監視を行う形態等が挙げられる。あるいはAMLの制御プログラムが主導的役割をもつ形態や、複数の制御主体が協働して供給制御を行う形態等が挙げられる。
【0070】
ECを制御主体とする場合のLBH機構では、ECがバッテリ残量を常に監視し、残量が少ない場合にシステムを安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させる(ECがユーティリティ23又はOS電源制御部21に状態遷移させるように通知を行う。)。
【0071】
ECにおける処理手順の概要は、以下の通りである。
【0072】
(1)バッテリ情報を取得する
(2)ACアダプタからの電源供給の有無を判断し、外部からの電源供給が受けられない場合において(3)に進む
(3)バッテリ残量を判定する
(4)(3)でバッテリ残量が閾値以下であると判断された場合には、ハイバネーション状態に遷移させるための通知(LBH要求)をシステムの上層部(ソフトウェア階層)に対して行う(図3のACPI19、API20を経てユーティリティ23又はOS電源制御部21で要求が受諾される。)。
【0073】
尚、ハイバネーション状態等の安全な状態への遷移条件については、バッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態の変化等に応じて動的に変更することが好ましく、例えば、手順(3)におけるバッテリ残量の閾値を、バッテリ温度やバッテリの劣化状態等に応じて変更することにより、バッテリ装置の使用可能時間を長くすることが望ましい。
【0074】
また、上記形態(I)では、バッテリ装置内蔵の制御手段18が、上記(1)乃至(4)の処理を行うが、(2)に示す判断については、例えば、装置本体部から通知される情報を用い、また、(4)に示す状態遷移の要求通知が制御手段18からEC、ICH等を介してシステムに対して行われることになる。
【0075】
しかして、以上の説明した構成によれば、下記に示す利点を得ることができる。
【0076】
・低温環境下等での放電時に電圧降下が増加するといったバッテリの化学特性に起因して、重負荷時に大電力を放電すると、装置のシャットダウン等を引き起こしてしまうという問題を解決できる。
【0077】
・繰り返しの使用でバッテリが劣化した場合等において、電圧が降下し、正規の状態よりも早めに閾値に達してしまうことが知られているが、バッテリ残量が十分にあるときには閾値を下げられるため、バッテリの持続時間が長くなる(バッテリが劣化すると、実際にはバッテリ残量が十分残っているにも関わらず、バッテリ残量の検出値が過小な値を示し、実際よりも小さめの値となる場合がある。)。
【0078】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項9に係る発明によれば、バッテリの環境条件や劣化状態等を考慮することなく電圧閾値等で一律にバッテリの出力制御を行うことに起因する弊害の発生を防ぎ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0079】
請求項2や請求項10に係る発明によれば、環境条件等に応じて閾値又は基準範囲を変化させることで放電許可や停止の制御を詳細に行うことができる。
【0080】
請求項3や請求項11に係る発明によれば、バッテリ温度を監視することにより、環境変化に応じた制御が可能である。
【0081】
請求項4や請求項6に係る発明によれば、温度条件に応じてバッテリ電圧の閾値を動的に変更することによって、低温や高温環境への対策を講じることができる。
【0082】
請求項5や請求項13に係る発明によれば、バッテリの残容量を監視することにより、供給余力に応じた制御が可能である。
【0083】
請求項12や請求項14に係る発明によれば、残容量に応じてバッテリ電圧の閾値を動的に変更することによって、十分な供給余力がある場合に電力供給を維持することができる。
【0084】
請求項7や請求項15、請求項8や請求項16に係る発明によれば、低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態への遷移時において、給電が不用意に停止されないようにして、省電力化の機能を保証することができる。また、データ消失等を回避して、品質事故等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成例を示す概念図である。
【図2】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】システム構成例の要部を示す図である。
【図4】電力供給制御例について説明するための概念図である。
【図5】制御例について説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
5…情報処理装置、17…バッテリ装置、18…制御手段、24…電圧検出手段、25…温度検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置及びバッテリ装置において、環境変化等に起因する不意の電源供給停止を回避するとともに、バッテリを長持ちさせることでユーザの利便性を高めるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ機器等において電力供給源であるバッテリの残量が少なくなった場合に講じられる対策としては、例えば、ユーザが予め設定しておいたバッテリ残量に達した場合に警報等を行う方法が挙げられる。また、バッテリ残量の低下によって突然に装置への電源供給が遮断されてしまうと、データ消失等によってユーザが不利益を被る虞が生じるため、システムの状態(メモリ内容やデバイスのレジスタの設定等)を不揮発性記憶手段(ハードディスクや不揮発性メモリ等)に一時退避させておき、その後の動作再開時に元の状態に復帰させる機能(所謂「ハイバネーション(Hibernation)機能」)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−324012号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置にあっては、バッテリが置かれた環境条件や劣化状態等を考慮した対策が充分に講じられていないという問題がある。
【0005】
例えば、低温環境下における問題として、放電開始時の電圧が低くなることや、バッテリの消耗が大きくなってしまうこと等が挙げられ、低温下での急激な負荷増大によりバッテリの電圧ドロップが発生した場合には、システムがシャットダウンしてしまう虞がある。
【0006】
これを防ぐ為には、バッテリ残量を常に監視して、残量が閾値以下になった時(ローバッテリ時)に上記ハイバネーション機能(以下、「ローバッテリハイバネーション」と呼び、「LBH」と略記する。)が働くように構成し、バッテリ残量が少なくなった場合でも、不測の事態(データロスト等)を回避することができるが、以下のような問題が残る。
【0007】
例えば、低温時の重負荷によりバッテリ電圧降下が著しい場合には、バッテリ電圧が許容電圧(バッテリ自身のセル供給許可電圧閾値)を一時的に下回ったときに保護機構が働いてバッテリの放電が停止されてしまう。尚、この保護機構は、バッテリの電気化学的特性により低温時の放電では電圧降下が顕著であることを考慮して設けられるものである。よって、このような放電停止が発生した場合には、バッテリ残量の監視に基づくLBH機構では防ぎきれない不都合が発生する虞がある。つまり、LBH機構が機能する前に、急激な電圧降下が起きて装置への電力供給が停止してしまうと、品質事故等につながる危険性が高まる。また、このような電圧降下が一時的なものである場合には、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず放電停止によって突然のシャットダウンが起きてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、情報処理装置及びバッテリ装置において、環境条件等に応じて適切な電力供給を行うことで、ユーザの利便性を高めることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、バッテリ温度等の環境条件又は劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリ装置の出力制御を行う制御手段を設けたものである。
【0010】
従って、本発明によれば、バッテリ装置の置かれた環境や劣化の度合い等に応じてバッテリ装置の出力制御を行うことで、電源供給の続行条件又は停止条件等について適正な判断を下すことができるので、例えば、バッテリ残量が未だ十分にあるにも関わらず、一時的な電圧降下等に起因して放電が停止されてしまうといった事態を回避することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、情報処理装置及びこれに用いられるバッテリ装置において、電源管理や給電制御の適正化を目的とし、バッテリ装置の使用可能時間を長くすることでユーザの利便性を高めることを目的とする。
【0012】
図1は本発明に係るシステムの基本構成を示す概念図であり、電力管理システム1は、電源部2と、該電源部2から電力供給を受ける電力供給対象3、そして、電力状態の監視及び給電制御を行う制御部4から構成されている。
【0013】
電源部2を構成するバッテリ装置としては、例えば、一次電池や、二次電池(リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池等)が挙げられ、その他、燃料電池(ダイレクトメタノール型等)のような発電装置も含まれる。
【0014】
また、電力供給対象3については、例えば、コンピュータ機器やPDA(Personal Digital Assistance)、映像機器や撮像機器等へ適用が可能である。
【0015】
制御部4は、例えば、バッテリ装置の残容量や状態を監視して給電制御を行うものであり、実施形態に応じてハードウェアやソフトウェアにより適宜構成される。
【0016】
実施態様としては、例えば、下記に示す形態が挙げられる。
【0017】
(I)電源部2及び制御部4を備えたバッテリ装置を、電力供給対象3に対して装着して使用する形態
(II)電力供給対象3及び制御部4を備えた装置本体部に、電源部2を装着して使用する形態
(III)電源部2、電力供給対象3及び制御部4を装置本体部が備えた形態。
【0018】
先ず、形態(I)としては、例えば、バッテリ装置が残容量や状態を自己監視し又は管理する機能、あるいは情報処理装置との間で双方向性通信又は一方向性通信を行う機能や状態の表示機能等、高度な処理機能を有する構成例(所謂「Intelligent Battery」)が挙げられ、残容量等の情報が、電力供給対象3を有する情報処理装置に通知される。この場合、制御部4としてはバッテリ装置に内蔵されたマイクロコンピュータ及びCPU(中央処理装置)により実行される制御プログラム等が用いられる。
【0019】
また、形態(II)では、例えば、電源部2には電力供給に必要な手段だけが装備されており、制御部4が情報処理装置の本体部に設けられる。つまり、電源状態の管理や給電制御等は装置本体部において行われる。
【0020】
形態(III)では、情報処理装置の本体部に、電源部2、電力供給対象3(各種デバイス)、制御部4が組み込まれている。
【0021】
尚、形態(II)や(III)において、制御部4には、例えば、各種コントローラ(後述の組み込みコントローラやI/O制御ハブ、電源コントローラ等)が用いられ、電力管理機能をもつオペレーティングシステム(以下、「OS」という。)を搭載した装置では、OSの電源管理部(プログラム)により実現される制御機構等が使用される。
【0022】
図2はハードウェアに係る構成例の要部を示したものであり、以下ではコンピュータ機器への適用例について説明する。
【0023】
情報処理装置5は、下記の要素を有する(括弧内の数字は各部に付した符号を示す。)。
【0024】
・CPU(6)
・第一制御部(7)
・メインメモリ(8)
・グラフィックスカード(9)
・第二制御部(10)
・第三制御部(11)
・ハードディスクドライブ装置(12、12)
・光学式ディスクのドライブ装置(13、13)
・デバイス制御部(14)
・ACアダプター(15)
・バッテリパック(16)。
【0025】
尚、図には、入力操作装置(キーボードやマウス等)、表示装置(液晶式ディスプレイや陰極線管(CRT)等)といった各種装置の図示を一切省略している。また、補助記憶装置としては、ハードディスク等の磁気ディスクドライブ装置や、光学式ディスクドライブ装置(光ディスクや光磁気ディスク等、光学読取式ディスクのドライブ装置)を示している。
【0026】
第一乃至第三制御部(7、10、11)は、CPU(中央処理装置)6から近い順に番号を付して区別している。
【0027】
先ず、第一制御部(MCH:Memory Control Hub)7はメモリ制御やシステムバスとのリンク等の役目をもつチップセットである。AT互換機では「ノースブリッジ」と呼ばれ、CPU6とメインメモリ8、グラフィックスカード9、各種バス(PCI、AGP等)が接続される。
【0028】
また、第二制御部(ICH:I/O Control Hub)10は、デバイスのバスリンクや電力制御等を行うためのチップセットである。AT互換機では「サウスブリッジ」と呼ばれ(別名「PCI to ISA bridge」)、ノースブリッジに繋がっているバス(PCI:Peripheral Component Interconnect bus)を、低速なバス(ISA:Industry Standard Architecture bus等)に橋渡しする役目をもち、ISAコントローラ、IDE(Integrated Drive Electronics)コントローラ等の機能をもつ回路部が内蔵されている。
【0029】
尚、図には、説明の便宜上、第二制御部10のIDEコントローラ「IDE HC」にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態と、デバイス制御部14にハードディスクドライブ装置12や光学式ディスクのドライブ装置13が接続された状態とを併せて示している。デバイス制御部14は、「IEEE 1394」規格(シリアルデバイスをコンピュータに追加するためのハードウェアの仕様を定義する。)に従ってサポートされるデバイスを制御するものであり、第二制御部10に接続されている。
【0030】
第三制御部11は、本例では「EC」(Embedded Controller:組み込みコントローラ)とされ、システムの電源制御やシステムの付加機能等の制御を行うために設けられており、携帯型機器等ではマイクロコンピュータが搭載されている。例えば、ECは、ACアダプター15や、二次電池等を用いたバッテリパック16の接続や装着の状態を検出して把握する等の役目をもっている。
【0031】
図3は本発明に係る実施態様について要部の構成を示したものであり、上記形態(I)の一例を示している。
【0032】
図中に示す破線よりも下方に示す部分がハードウェア階層を示し、本例では上記組み込みコントローラ(EC)と、バッテリ装置17を示している。
【0033】
バッテリ装置17には、残容量や状態を検出してECに通知する制御手段18としてマイクロコンピュータが内蔵されている。そして、該制御手段18は、バッテリ温度や湿度等の環境条件、給電状態(残容量や負荷状態等)やその変化について検出するための手段や、劣化状態(例えば、二次電池における充放電回数等)を把握して、バッテリの出力制御(放電の許可又は停止、放電電流の増減等)を行う。
【0034】
図中に示す破線よりも上方に示す部分はソフトウェア階層を示しており、本例では、ACPI19、API20、OS電源制御部21、デバイスドライバ22、ユーティリティ(プログラム)23を示している。
【0035】
ACPI仕様(Advanced Configuration and Power Interface Specification)は、コンピュータのパワーマネージメントをOSで一元管理するための仕様であり、ACPI19はACPI機構を構成するインターフェース部である。尚、ACPIでは、S0乃至S5のシステムステートが定義されており、「S0」(動作状態)は、装置システムの電源が投入され(オン状態)、OSが動作してソフトウェアが実行されている状態である。また「S5」(オフ状態)はソフトウェアの実行が終了し、装置システムの電源が切断された状態である。S0とS5の間の中間段階であるS1〜S4の状態(スリープ状態)について、例えば、「S3」は、装置システムに電源は入っているが、動作が停止している状態(スタンバイ状態あるいはサスペンド状態等の待機状態)とされ、また、「S4」は、電源は切れているが、作業内容(RAMのデータ)等はハードディスク等に保存されていて、データロスト等が発生しない状態(ハイバネーション状態)とされる。尚、「ハイバネーション状態」では、メインメモリ等の内容がハードディスク(図2のドライブ装置12参照)やシリコンメモリ等の不揮発性記憶装置(non−Volatile storage)の所定領域(ハイバネーション領域)に保存された後、電源が全て切断されるため、スリープ状態のうち消費電力が最小である(S5の状態と同じ消費電力)。そして、退避されたデータや設定情報等はその後におけるシステムの復帰時に復元されるため、S0状態への遷移によりソフトウェアの続行が可能となる。
【0036】
OSで提供されるAPI(Application Programming Interface)20は、ACPI19の上層(レイヤー)に位置し、ACPI19と、OS電源制御部21又はユーティリティ23を仲介する。また、デバイスドライバ22はECとユーティリティ23との間を仲介する。
【0037】
OS電源制御部21は、電源管理や電力制御を行うための仕様(ACPI仕様等)をもつオペレーティングシステムが装置に搭載されている場合に標準で提供される機能を実現するプログラム等で構成される。例えば、バッテリ残量の情報(残容量はバッテリセルの電圧から把握することができる。)に基いて上記制御状態(スリープ状態)への遷移について制御する状態制御手段を設けた構成形態において、バッテリ残量が予め決められた閾値を下回ったことを遷移条件として、ハイバネーション状態への遷移が行われる(LBH機構)。OSとして「Windows」(マイクロソフト社の商標)等の場合について説明すると、ユーザは電源設定画面上でローバッテリ時の状態遷移についてバッテリ残量に係る閾値の設定を相対容量(最大容量に対する百分率)で行うことができる。つまり、バッテリ残量が設定値である相対容量に相当する閾値に達したときに、予め設定しておいた状態(スタンバイ状態やハイバネーション状態)に遷移させることができる。
【0038】
ユーザがこのような設定を行った場合に、OS電源制御部21が、API20、ACPI19を経てECからバッテリ装置17にバッテリ残量を問い合わせ、ポーリング(Polling)で残容量を監視し、ユーザ設定に応じて上記状態に遷移させることで、品質事故(データロスト等)の発生を未然に防止することができる。
【0039】
尚、ユーザによる上記設定については、OS電源制御部21が標準で提供している機構を用いることなく、ユーティリティ23とデバイスドライバ22又はAPI20を用いて同様の機能を提供する構成形態も可能であり、図3には両形態を併せて示している。つまり、ローバッテリ時における遷移条件をバッテリの相対容量で設定する方法では、例えば、装置セットに対して満充電容量の異なるバッテリ装置を装着して利用することができる構成形態の場合、閾値の標準化が難しいという問題がある。満充電容量が異なる複数種のバッテリ装置を同一のセットで使用する場合、ハイバネーション状態等の安全な状態へ遷移させるための遷移条件として、バッテリ装置の残容量の閾値には、絶対容量(Wh:ワット時)を用いることが好ましい。何故なら、安全な状態へ遷移させるために必要とされる電力量は、装置毎に異なる(つまり、バッテリ単位ではない)ので、相対容量ではなく絶対容量を用いる方が、標準化が容易になるからである。例えば、小容量バッテリと大容量バッテリを選択的に装置本体に装着して使用できる形態において、相対容量の%値(閾値)を同じとした場合に、安全な状態(ハイバネーション状態等)に遷移させるために必要な電力量について、大容量バッテリの使用時には十分に供給されるが、小容量バッテリの使用時に不充分であったり、あるいは、小容量バッテリの使用時を基準として閾値を相対容量で設定した場合には、大容量バッテリの使用時に供給余力が十分であるにも関わらずハイバネーション状態等への遷移が行われてしまう結果、大容量バッテリを使用することの利点が生かされない等の不都合がある。
【0040】
そこで、状態遷移条件として、バッテリ装置の残容量について絶対容量を用いる場合には、OSで用意されている残量設定機能を使わずに、専用のユーティリティ等を別途用意してユーザが残量の閾値設定を行えるようにすることが好ましい。
【0041】
尚、OSやユーティリティがバッテリ情報、例えば、バッテリ残量を取得する際の手順の流れは概ね下記に示す通りである(図3参照)。
【0042】
(1)OS電源制御部やユーティリティからACPIへの残量取得要求
(2)残量取得要求の受信(ACPI)
(3)ECへの残量取得要求
(4)残量取得要求の受信(EC)
(5)残量取得済みの場合には(9)に進むが、取得していない場合には(6)に進む
(6)バッテリ装置(内蔵のマイクロコンピュータ)への残量取得要求
(7)ECへの残量返信
(8)残量受信(EC)
(9)ACPIへの残量返信
(10)残量取得(ACPI)
(11)OS電源制御部やユーティリティへの残量返信
(12)残量取得(OS電源制御部やユーティリティ)。
【0043】
このように、OS電源制御部21又はユーティリティ23は、ACPI機構を介してバッテリ情報(残量等)を取得する。尚、その詳細については、ACPI機構では、例えば、AML(ACPI Machine Language)と呼ばれる中間言語による制御プログラムにおいて、「どのようにバッテリ情報を取得するか?」といった記述をすることができる。尚、AMLはACPI機構上で動作するプログラムを記述するための言語であり、システム記述用言語ASL(ACPI Source Language)のソースファイルをコンパイルすることにより、AMLのコード(中間コード)が作成され、これを解釈して実行するACPI機構の本体部がOSで用意されている。AMLのプログラムはシステムBIOS(Basic Input/Output System)の一部として含まれている。AMLの使用は、OSからみたハードウェアの抽象化という観点から好ましい(機器構成の特殊性を隠蔽できる。)。
【0044】
例えば、AMLのプログラムにおいて、ECに対してバッテリ残量を問い合わせ、ECがその問い合わせを受けてバッテリ残量を返すといった処理について記述することができる(実際には、上記したようにECがバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータに対して残量の問い合わせを行い、残量を取得してからその値を返すといった処理が行われる)。
【0045】
尚、別の実施態様例としては、AMLのプログラム記述の中で、バッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータとの間で通信を行うことにより、残量を取得する形態が挙げられ、本発明はこのような態様例に対しても適用可能である。また、ユーティリティ23からドライバ経由でECにアクセスして必要な情報を取得する構成形態も勿論可能である。
【0046】
図4は、電力供給制御例について説明するための概念図であり、電圧検出手段24及び温度検出手段25、供給制御部26を備えている(尚、図示は省略するが電流検出や容量判別等のための各種検出手段が必要に応じて設けられる。)。
【0047】
電圧検出手段24は、バッテリセル27(図にはその1つだけを示す。)のセル電圧を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。
【0048】
また、温度検出手段25は、バッテリセル27の温度を検出して、その検出情報を供給制御部26に送出する。尚、セル毎に温度を検出する方法と、複数のセルについて温度を代表する場所を決めて、その温度を検出する方法等が挙げられる。
【0049】
供給制御部26は、常にバッテリセル27の状態を把握しており、外部回路(例えば、EC)からのバッテリ情報の取得要求を受けて必要な情報を返信したり、電力制御用素子28(図4には、単にスイッチの記号で示すが、電界効果トランジスタや、バイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子が使用される。)を制御して、バッテリセル27の放電により電力供給対象への電源供給を許可したり、電力制御用素子28をオフ状態にすることで放電を停止させる等の制御を行う。
【0050】
尚、前記形態(I)では、各要素がバッテリ装置に組み込まれていて、各検出手段や供給制御部26の機能は、前記した制御手段18を構成する内蔵のマイクロコンピュータ及びそのCPUにより実行される制御プログラムによって実現される。また、前記形態(II)や(III)では、供給制御部26等が情報処理装置本体に設けられる。
【0051】
バッテリ使用に係る安全性の確保及び劣化防止等を目的として、バッテリの駆動には最低電圧(駆動電圧の閾値)を設定することが必要である(この電圧は放電曲線等に基いて決められている。)。つまり、セル電圧を常時又は定期的に監視するとともに、該電圧が予め決められた設定値(閾値)以下になった場合において、例えば、上記電力制御用素子28を強制的にオフ状態にすることでバッテリセルの放電を停止させるといった保護機構が働く。
【0052】
セル内部のインピーダンスが高い電池を用いる場合(例えば、電池の化学的特性によっては、低温になるほどインピーダンスが大きくなる。)や、低温環境で重負荷がかかった場合には、放電時の電圧降下が著しいため、セル電圧が直ぐに上記設定値を下回り、放電停止となって装置本体がシャットダウンしたり、ハイバネーション状態等への移行処理が間に合わなくなってしまう虞が生じる。
【0053】
特に、バッテリ残量が十分にあって供給余力としては問題がないにも関わらず、低温環境等での負荷増加による一時的な電圧降下等が原因となって、セル電圧が閾値以下となり、放電停止により、シャットダウン等を誘発する虞がある。
【0054】
その原因は、電圧の検出値と、常に固定された閾値とを単に比較していることに由来しており、よって、対処法としては、バッテリの環境条件や給電状態の変化、劣化状態等を考慮した上で、バッテリ装置に係る放電制御を行うことが必要である。
【0055】
例えば、下記に示す構成形態が挙げられる。
【0056】
・バッテリ温度を検出するとともに、温度検出値に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態
・バッテリ装置の残容量に応じて電圧閾値又は基準範囲を変更する形態。
【0057】
尚、「基準範囲」については、例えば、閾値を基準とする不感帯を含む比較基準範囲や、安全率を見込んだ許容範囲等が含まれる。
【0058】
いずれの形態でも、バッテリ電圧を閾値と比較したり、バッテリ電圧が基準範囲にあるかどうかを調べた結果、該電圧が過度に低下していないと判断された場合には、バッテリの放電が許可されて装置への電源供給が行われる。
【0059】
図5は制御に係る処理手順の一例を示したフローチャート図であり、例えば、前記形態(I)ではバッテリ装置内蔵のマイクロコンピュータにおいて実行される制御プログラムの処理ステップにより実現される。
【0060】
先ず、ステップS1においてバッテリ情報(温度や残量、電圧等)を取得した上で、次ステップS2では、温度検出手段25によって得られるバッテリ温度を予め決められた閾値と比較する。そして、バッテリ温度が閾値を超える場合にはステップS3に進むが、バッテリ温度が閾値以下の場合にはステップS5に進む。
【0061】
ステップS3では、バッテリ電圧を閾値(これを「Vsh1」と記す。)と比較し、Vsh1以下である場合にはステップS4に進み、バッテリ電圧がVsh1を超えている場合にはステップS7に進む。
【0062】
ステップS4において、バッテリの放電が停止され、装置への電源供給が遮断される。
【0063】
ステップS5では、バッテリ残量を予め決められた閾値と比較し、バッテリ残量が該閾値以上である場合にはステップS6に進むが、バッテリ残量が閾値未満の場合にはステップS3に進む。
【0064】
ステップS6では、バッテリ電圧を閾値(これを「Vsh2」と記す。「Vsh2<Vsh1」とされている。)と比較し、Vsh2以下である場合にはステップS4に進み、バッテリ電圧がVsh2を超えている場合にはステップS7に進む。
【0065】
ステップS7において、バッテリの放電が許可され、装置への電源供給が行われる。
【0066】
このように、バッテリ温度やバッテリ残量に応じて電圧閾値(Vsh1、Vsh2)が異なっており、バッテリ温度が閾値よりも高い場合や、バッテリ温度が閾値以下で、かつバッテリ残量が閾値未満である場合の電圧閾値「Vsh1」に比べて、バッテリ温度が閾値以下であって、かつバッテリ残量が閾値以上である場合の電圧閾値「Vsh2」の方が小さい値に規定されている。従って、バッテリ温度が低くてもバッテリ残量に余裕があれば電圧閾値が「Vsh2」とされ、バッテリ電圧が該閾値を超えている場合にはバッテリ装置の放電が許可される。そして、温度低下や負荷の増加によって電圧降下が大きくなったとしても、残容量が十分であって供給余力に問題がない場合にはバッテリ放電を極力持続させることで、シャットダウン等が不意に起こらないように防止できる。
【0067】
また、バッテリ残量が低下した場合に、動作状態と比べて低消費電力又は消費電力がゼロ若しくはほぼゼロの制御状態に遷移する機能を備えた情報処理装置において、該制御状態への遷移が完了する前に、急激なバッテリ電圧の低下が起きてしまうといった不都合を未然に防止することができる。尚、「低消費電力」の制御状態には、例えば、上記したサスペンド状態やスタンバイ状態のように、メモリや設定の内容が保持されている待機状態が含まれ、また、「消費電力がゼロ若しくはほぼゼロ」の制御状態には、上記ハイバネーション状態等の休止状態が含まれる。
【0068】
本例では、温度や残量について1つの閾値を設定し、バッテリ電圧については条件に応じて2つの閾値を設定しているが、これに限らず、さらに数多くの閾値を用いることで多段階に亘る判断処理を行う形態、あるいは条件に応じて閾値を連続的に変化させて判断処理を行う形態等、各種の実施態様が勿論可能である。
【0069】
また、上記形態(II)、(III)において、図5で説明したような処理を行う制御主体は、実施態様によって異なる。例えば、バッテリ装置の状態監視をECが行う形態と、ECではなく別の制御部、例えば、ICH(図2参照)が状態監視を行う形態等が挙げられる。あるいはAMLの制御プログラムが主導的役割をもつ形態や、複数の制御主体が協働して供給制御を行う形態等が挙げられる。
【0070】
ECを制御主体とする場合のLBH機構では、ECがバッテリ残量を常に監視し、残量が少ない場合にシステムを安全な状態(ハイバネーション状態)に遷移させる(ECがユーティリティ23又はOS電源制御部21に状態遷移させるように通知を行う。)。
【0071】
ECにおける処理手順の概要は、以下の通りである。
【0072】
(1)バッテリ情報を取得する
(2)ACアダプタからの電源供給の有無を判断し、外部からの電源供給が受けられない場合において(3)に進む
(3)バッテリ残量を判定する
(4)(3)でバッテリ残量が閾値以下であると判断された場合には、ハイバネーション状態に遷移させるための通知(LBH要求)をシステムの上層部(ソフトウェア階層)に対して行う(図3のACPI19、API20を経てユーティリティ23又はOS電源制御部21で要求が受諾される。)。
【0073】
尚、ハイバネーション状態等の安全な状態への遷移条件については、バッテリ装置の環境条件や劣化状態、給電状態の変化等に応じて動的に変更することが好ましく、例えば、手順(3)におけるバッテリ残量の閾値を、バッテリ温度やバッテリの劣化状態等に応じて変更することにより、バッテリ装置の使用可能時間を長くすることが望ましい。
【0074】
また、上記形態(I)では、バッテリ装置内蔵の制御手段18が、上記(1)乃至(4)の処理を行うが、(2)に示す判断については、例えば、装置本体部から通知される情報を用い、また、(4)に示す状態遷移の要求通知が制御手段18からEC、ICH等を介してシステムに対して行われることになる。
【0075】
しかして、以上の説明した構成によれば、下記に示す利点を得ることができる。
【0076】
・低温環境下等での放電時に電圧降下が増加するといったバッテリの化学特性に起因して、重負荷時に大電力を放電すると、装置のシャットダウン等を引き起こしてしまうという問題を解決できる。
【0077】
・繰り返しの使用でバッテリが劣化した場合等において、電圧が降下し、正規の状態よりも早めに閾値に達してしまうことが知られているが、バッテリ残量が十分にあるときには閾値を下げられるため、バッテリの持続時間が長くなる(バッテリが劣化すると、実際にはバッテリ残量が十分残っているにも関わらず、バッテリ残量の検出値が過小な値を示し、実際よりも小さめの値となる場合がある。)。
【0078】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1や請求項9に係る発明によれば、バッテリの環境条件や劣化状態等を考慮することなく電圧閾値等で一律にバッテリの出力制御を行うことに起因する弊害の発生を防ぎ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0079】
請求項2や請求項10に係る発明によれば、環境条件等に応じて閾値又は基準範囲を変化させることで放電許可や停止の制御を詳細に行うことができる。
【0080】
請求項3や請求項11に係る発明によれば、バッテリ温度を監視することにより、環境変化に応じた制御が可能である。
【0081】
請求項4や請求項6に係る発明によれば、温度条件に応じてバッテリ電圧の閾値を動的に変更することによって、低温や高温環境への対策を講じることができる。
【0082】
請求項5や請求項13に係る発明によれば、バッテリの残容量を監視することにより、供給余力に応じた制御が可能である。
【0083】
請求項12や請求項14に係る発明によれば、残容量に応じてバッテリ電圧の閾値を動的に変更することによって、十分な供給余力がある場合に電力供給を維持することができる。
【0084】
請求項7や請求項15、請求項8や請求項16に係る発明によれば、低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態への遷移時において、給電が不用意に停止されないようにして、省電力化の機能を保証することができる。また、データ消失等を回避して、品質事故等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基本構成例を示す概念図である。
【図2】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】システム構成例の要部を示す図である。
【図4】電力供給制御例について説明するための概念図である。
【図5】制御例について説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
5…情報処理装置、17…バッテリ装置、18…制御手段、24…電圧検出手段、25…温度検出手段
Claims (16)
- バッテリ装置から電源供給を受けるとともに、該バッテリ装置の残容量や状態を監視して給電制御を行う機能を備えた情報処理装置において、
上記バッテリ装置の環境条件又は劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリ装置の出力制御を行う制御手段を設けた
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ装置に係るバッテリ電圧を検出する電圧検出手段を備え、検出されたバッテリ電圧を、上記環境条件又は劣化状態又は給電状態に応じて可変される閾値又は基準範囲と比較し、比較結果に応じて上記バッテリ装置に係る放電が許可され又は停止される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項2に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ装置の温度を検出する温度検出手段を備え、検出されたバッテリ温度に応じて上記閾値又は基準範囲が変更される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項3に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ電圧の閾値として第一の閾値及び該第一の閾値よりも小さい第二の閾値が規定されており、
バッテリ温度がその閾値を超えており、かつバッテリ電圧が上記第一の閾値以下の場合には上記制御手段により上記バッテリ装置の放電が停止され、また、バッテリ温度が閾値以下であって、かつバッテリ電圧が上記第二の閾値を超えている場合には上記制御手段により上記バッテリ装置の放電が許可される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項2に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ装置の残容量に応じて上記閾値又は基準範囲が変更される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項5に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ電圧の閾値として第一の閾値及び該第一の閾値よりも小さい第二の閾値が規定されており、
上記バッテリ装置の残容量がその閾値以下であり、かつバッテリ電圧が上記第一の閾値以下の場合には上記制御手段により上記バッテリ装置の放電が停止され、また、上記バッテリ装置の残容量がその閾値を超えており、かつバッテリ電圧が上記第二の閾値を超えている場合には上記制御手段により上記バッテリ装置の放電が許可される
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1に記載した情報処理装置において、
上記バッテリ装置の残容量が低下した場合に、低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移する
ことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項7に記載した情報処理装置において、
上記制御状態が待機状態又は休止状態である
ことを特徴とする情報処理装置。 - 情報処理装置に装着して使用され、残容量や状態を監視して該情報処理装置に通知する機能を備えたバッテリ装置において、
環境条件又は劣化状態又は給電状態を検出して、バッテリの出力制御を行う制御手段を設けた
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項9に記載したバッテリ装置において、
バッテリ電圧を検出して、これを上記環境条件又は劣化状態又は給電状態に応じて可変される閾値又は基準範囲と比較し、比較結果に応じてバッテリの放電が許可され又は停止される
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項10に記載したバッテリ装置において、
バッテリ温度を検出して、該バッテリ温度に応じて上記閾値又は基準範囲が変更される
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項11に記載したバッテリ装置において、
上記バッテリ電圧の閾値として第一の閾値及び該第一の閾値よりも小さい第二の閾値が規定されており、
バッテリ温度がその閾値を超えており、かつバッテリ電圧が上記第一の閾値以下の場合には上記制御手段によりバッテリの放電が停止され、また、バッテリ温度が閾値以下であって、かつバッテリ電圧が上記第二の閾値を超えている場合には上記制御手段によりバッテリの放電が許可される
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項10に記載したバッテリ装置において、
上記残容量に応じて上記閾値又は基準範囲が変更される
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項13に記載したバッテリ装置において、
上記バッテリ電圧の閾値として第一の閾値及び該第一の閾値よりも小さい第二の閾値が規定されており、
上記残容量がその閾値以下であり、かつバッテリ電圧が上記第一の閾値以下の場合には上記制御手段によりバッテリの放電が停止され、また、上記残容量がその閾値を超えており、かつバッテリ電圧が上記第二の閾値を超えている場合には上記制御手段によりバッテリの放電が許可される
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項9に記載したバッテリ装置において、
上記残容量が低下した場合に、上記情報処理装置を低消費電力又は消費電力がゼロの制御状態に遷移させるための情報を該情報処理装置に対して送信する
ことを特徴とするバッテリ装置。 - 請求項15に記載したバッテリ装置において、
上記制御状態が待機状態又は休止状態である
ことを特徴とするバッテリ装置。
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- 2003-05-07 JP JP2003128808A patent/JP2004334476A/ja active Pending
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