JP2004333289A - ガスセンサ - Google Patents

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Masashi Kida
真史 喜田
Shinichi Nakagawa
伸一 中川
Yuichi Kamiyama
雄一 神山
Takio Kojima
多喜男 小島
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Abstract

【課題】十分な耐熱性を有し、応答性等の経時変化が小さいガスセンサを提供する。
【解決手段】本発明のガスセンサは、被検知ガス(一酸化炭素ガス、二酸化窒素ガス等の窒素酸化物ガスなど)によって電気的特性が変化する感応層を有するガスセンサにおいて、感応層は、酸化スズを主体とする層に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化マグネシウムのうちの少なくとも1種が分散されてなり、酸化スズの結晶子径が60nm以下である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサに関する。更に詳しくは、十分な耐熱性を有し、且つガス感応層の検知性能が大きなガスセンサに関する。
本発明は、一酸化炭素、窒素酸化物等の各種ガスの検知及び濃度の測定に広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
酸化スズ等の酸化物半導体を主成分とする薄膜型ガスセンサが知られている。このようなガスセンサは、消費電力が小さく応答性が良好であるが、耐熱性が十分ではなく、また、経時とともに応答性等のセンサ特性が変化することがある。このような問題を解決するため、酸化スズ等からなる半導体薄膜と酸化ケイ素等からなる絶縁性薄膜とを交互に積層した構造のガス感応層を形成し、それを熱処理することで、センサ特性の経時変化を抑えたガスセンサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、酸化第二スズ粉末にコロイド状シリカを添加して焼結させた焼結体を感応膜とすることにより、耐久性を向上させたガス検出素子も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−127147号公報
【特許文献2】
特開平8−320302号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載のガスセンサでは、絶縁性薄膜によって半導体薄膜間の電子伝導が妨げられ、ガス感応層の検知性能(感度等)が十分に発揮されない可能性がある。更に、この特許文献1には、酸化スズ等の粒径と耐熱耐久性(高温下での耐久性)との相関などについての具体的な記載もない。また、焼結体を感応膜とする特許文献2に記載のガス検出素子では、耐久性は向上するものの、薄膜型ガス感応層に比べ消費電力が多く、応答性に劣る。
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱耐久性を有し、且つガス感応層の検知性能が大きなガスセンサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下のとおりである。
1.被検知ガスによって電気的特性が変化する感応層を有するガスセンサにおいて、該感応層は、酸化スズを主体とする層に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化マグネシウムのうちの少なくとも1種が分散されてなり、該酸化スズの結晶子径が60nm以下であることを特徴とするガスセンサ。
2.上記酸化スズと、上記酸化ケイ素、上記酸化アルミニウム、上記酸化タンタル及び上記酸化マグネシウムとの合計を100質量%とした場合に、該酸化ケイ素、該酸化アルミニウム、該酸化タンタル及び該酸化マグネシウムの合計が20質量%以下である上記1.に記載のガスセンサ。
3.上記感応層の表面の少なくとも一部に、Auを主成分とし、且つ通気性を有する触媒層を備える上記1.又は2.に記載のガスセンサ。
【0006】
【発明の効果】
感応層が酸化スズを主体とする層に酸化ケイ素等の特定の酸化物を分散してなり、酸化スズの結晶子径が60nm以下である本発明のガスセンサは、耐熱耐久性に優れ、長期の使用にともなう感度の低下が少ない。また、特定の酸化物が酸化スズを主体とする層に分散している構成となっているため、特定の酸化物により感応層中の電子伝導が妨げられることがなく、感応層の検知性能が大きなガスセンサとすることができる。
また、酸化スズと、特定の酸化物との合計を100質量%とした場合に、特定の酸化物の合計が20質量%以下である場合は、感度が大きいガスセンサとすることができる。
更に、感応層の表面の少なくとも一部に、Auを主成分とし、且つ通気性を有する触媒層を備える場合は、より優れた感度を有するガスセンサとすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]被検知ガス
上記「被検知ガス」としては、酸化性ガス及び還元性ガスが挙げられる。還元性ガスとしては、一酸化炭素ガス、炭化水素系ガス(液化プロパンガス、都市ガス、天然ガス、メタンガス、ハロゲン化炭化水素ガス等)、アルコール系ガス、アルデヒド系ガス、水素ガス、硫化水素ガスなどが挙げられる。また、酸化性ガスとしては、二酸化窒素ガス等の窒素酸化物ガス、塩素ガス、フッ素ガス等のハロゲン系ガスなどが挙げられる。本発明のガスセンサは、還元性ガスとしては一酸化炭素ガス、酸化性ガスとしては二酸化窒素ガスの検知に特に有用である。
【0008】
[2]感応層
(1)感応層の材質
上記「感応層」は薄膜型の感応層である。そして、この感応層は酸化スズを主体とする層に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化マグネシウム(以下、「耐熱酸化物」ということもある。)のうちの少なくとも1種が分散されてなる。
上記「酸化スズ」の結晶構造は特に限定されないが、この酸化スズ結晶の結晶子径は60nm以下であり、特に50nm、更には40nm以下であることが好ましい。この結晶子径が60nmを越えると、ガスセンサを高温(例えば400℃)において使用した場合に、経時とともに感度が大きく低下する。尚、本明細書では、ガスセンサを高温において使用したときにおける、ガス感度等のセンサ特性の経時変化のことを耐熱耐久性という。また、この酸化スズは化学式SnO2−X(0≦x<2)で表すことができ、xは0〜1.5、特に0〜1.0であることが好ましい。
【0009】
酸化スズ結晶の結晶子径は、X線回折により測定した酸化スズ結晶の(110)面に相当する回折ピーク[2θ=26.6°付近に現れる回折ピーク(θ;回折角)]の半価幅を用いて、デバイ−シェラー式により算出することができる。
【0010】
上記「酸化ケイ素」、上記「酸化アルミニウム」、上記「酸化タンタル」及び上記「酸化マグネシウム」は、いずれも耐熱性が高く、酸化スズと熱膨張係数が大きく相違しない酸化物である。これらの耐熱酸化物を酸化スズを主体とする層に分散させた感応層とすることにより、耐熱耐久性に優れたガスセンサ(高温下で使用した場合においても経時にともなう感度の低下を十分に抑えることができるガスセンサ)とすることができる。尚、耐熱酸化物は、酸化スズを主体とする層に分散している。これにより、感応層の検知性能が大きいガスセンサとすることができる。特に、耐熱酸化物は酸化スズを主体とする層に均一に分散していることが好ましい。ここで、均一に分散とは、例えば、XPS(X線光電子分光法)やオージェ電子分光法等にて感応層を元素分析したときに、スズ(Sn)と耐熱酸化物の金属成分(SiやAl等)とが、感応層全体に渡って略同じ比率で分布している状態を意味している。
【0011】
感応層における酸化スズの結晶子径は、耐熱酸化物の含有量が増加するにつれて小さくなり、それにより、ガスセンサの耐熱耐久性が向上する。これは、耐熱酸化物の含有量が増加することで、酸化スズの粒成長を抑制する効果が高くなるためであると考えられる。しかしながら、耐熱酸化物の含有量の増加により、相対的に酸化スズの含有量が減少し、感度が低下する。従って、優れた耐熱耐久性を備え、且つ高感度なガスセンサとするには、耐熱酸化物の含有量(2種以上の耐熱酸化物を含有する場合はそれらの合計)は、酸化スズのSnO換算値と耐熱酸化物(耐熱酸化物が酸化ケイ素の場合はSiO換算値、酸化アルミニウムの場合はAl換算値、酸化タンタルの場合はTa換算値、酸化マグネシウムの場合はMgO換算値)との合計を100質量%とした場合に、20質量%以下、特に10質量%以下、更には5質量%以下であることが好ましい。また、より優れた感度を有するセンサとするためには、耐熱酸化物が3質量%以下、特に2質量%以下であることがより好ましい。但し、耐熱酸化物の含有量は0.1質量%以上である。これ未満であると、酸化スズの結晶子径が60nmよりも大きくなり、耐熱耐久性が低下してしまうからである。また、感応層における耐熱酸化物の含有量が20質量%を越えると、耐熱耐久性は向上するものの、相対的に感応層における酸化スズの含有量が少なくなるため、感度の絶対値が小さくなり、好ましくない。
【0012】
(2)感応層の作製方法
感応層の形成方法は特に限定されず、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等により付着堆積させ(以下、「付着堆積」は、これらの種々の方法を意味する。)、その後、不要な部分をエッチングして除去することにより形成することができる。また、酸化スズを主体とする層に耐熱酸化物を分散させるには、スパッタリング法が好ましく、酸化スズのターゲットと耐熱酸化物のターゲットとを同時にスパッタリングさせることによって、酸化スズを主体とする層に耐熱酸化物を均一に分散させることができる。尚、このスパッタリングは基板を200℃以上、特に300℃以上、例えば、400℃に加熱して行うことが好ましい。
【0013】
(3)感応層の構成及び形成位置
感応層は単層でもよく、複層でもよいが、通常は単層である。また、この感応層は、図3のような連続した膜41でもよく、図示しないが絶縁層の表面に島状に形成された不連続な膜でもよい。更に、連続した膜である場合、その平面形状は角部が面取りされた四辺形、略円形又は略楕円形等であることが好ましく、角部が面取りされた四辺形であることがより好ましい。また、感応層の厚さは特に限定されず、0.1nm〜100μm、好ましくは100nm〜1μmとすることができる。この厚さが0.1nm未満であると、耐久性が劣り、100μmを越えると、感応層の形成に長時間を必要とし好ましくない。
【0014】
感応層の形成位置は特に限定されないが、後記の絶縁層の表面に形成することが好ましい。更に、ガスセンサが後記の発熱体を有する場合は、発熱体に近接する位置に形成することが好ましい。また、基板に後記の空間部が形成されている場合は、発熱体が絶縁層の内部であって空間部に対応する位置に形成され、感応層は、発熱体に対応する位置に形成されている構成が好ましい。尚、この発熱体に対応する位置とは、絶縁層の厚み方向に感応層及び発熱体を投影したとき、感応層と発熱体の少なくとも一部が重なっているという意味であり、感応層の全体が発熱体と重なっていることがより好ましい。
【0015】
[3]触媒層
上記「触媒層」は感応層の表面の少なくとも一部に形成され、この触媒層と感応層とにより感応体が構成される。触媒層の形成位置は感応層の表面であれば特に限定されない。例えば、図3のように、触媒層の絶縁層と接している面とは反対面のみに形成されていてもよいし、この反対面及び感応層の側面に形成されていてもよい。また、触媒層はAuを主成分とする。この「主成分」とは、触媒層の全体を100質量%とした場合に、Auが80質量%以上(100質量%であってもよい。)であることを意味する。更に、触媒層は通気性を有していなければならない。この「通気性を有する」とは、被検知ガスが感応層の表面に到達し得るという意味である。通気性を有する触媒層の構造は特に限定されないが、触媒層を海島構造にすること等が挙げられる。尚、海島構造とは、感応層の表面にAuを主成分とする粒子が島状に散在している構造のことをいう。また、触媒層が連続した膜である場合は、厚さを0.5〜90nmとすることにより通気性を有する触媒層とすることができる。
【0016】
触媒層の形成方法は特に限定されないが、例えば、感応層の表面及び絶縁層の表面等に触媒層となる成分を付着堆積させた後、不要な部分をエッチングして除去することにより形成することができる。また、スパッタリング法により連続した触媒層を形成する場合は、基板を200℃以上に加熱した状態でスパッタリングすることにより形成することができる。一方、海島構造の触媒層を形成する場合は、室温においてスパッタリングしてAuを主成分とする連続膜を形成し、その後、350℃以上、好ましくは350〜650℃に加熱することで形成することができる。
【0017】
[4]その他の部分の構成
(1)基板
本発明のガスセンサは、通常、基板を備える。この基板の材質は特に限定されないが、一般にシリコン等の半導体が用いられる。基板の平面形状は特に限定されず、例えば、矩形又は円形等とすることができる。また、その大きさも限定されず、縦横がそれぞれ0.1〜10mmである矩形の基板、及び同程度の面積を有した円形の基板とすることができる。更に、基板の厚さも特に限定されないが、400〜500μmとすることができる。また、基板は、その一部が切り欠かれて形成された空間部を備えていてもよい。この空間部としては、例えば、基板の表裏両面に開口して貫通する空洞、及び基板の表裏面の一方にのみ開口している凹部等が挙げられる。
【0018】
また、開口部の形状及び空間部の内部の断面形状等は特に限定されないが、通常、矩形、円形等の単純な形状である。更に、空間部の大きさも特に限定されないが、空間部が空洞の場合は基板の表裏の開口のうちの一方の開口面積が大きくなるように形成されることが好ましい。この面積も特に限定されないが、大きい方の開口面積を0.01〜4mm、特に0.25〜2mmとすることができる。更に、空間部が凹部の場合は、開口面積は空洞と同様の範囲とすることができる。
【0019】
空間部の形成方法は特に限定されず、例えば、基板の一部をエッチングによって除去することにより形成することができる。この際、エッチング方法は特に限定されず、ウェットエッチング法及びドライエッチング法(それぞれ異方性エッチングでもよいし、等方性エッチングでもよい。)等のいずれを用いてもよい。尚、空洞を形成する場合は、異方性エッチング液を用いたウェットエッチング法が一般的である。
【0020】
(2)絶縁層
本発明のガスセンサは、通常、絶縁層を備える。この絶縁層により後記の電極が基板から電気的に絶縁される。絶縁層は基板の全面に形成されていてもよいし、基板の一部のみに形成されていてもよい。更に、絶縁層の形成位置は基板の表面であれば特に限定されず、用途、目的によって所要位置に形成することができる。基板が空間部を有する場合、絶縁層は空間部の開口部を覆い、且つ基板により支持されるように形成される。また、絶縁層は、通常、開口部の全面を覆うように形成されるが、基板により絶縁層を支持することができれば、開口部の一部のみに絶縁層が形成されていてもよい。
【0021】
絶縁層は十分な絶縁性を有すればよく、その材質は特に限定されない。例えば、SiO並びにSi及びSiO等のケイ素化合物が挙げられる。更に、絶縁層の形状及び厚さ等も特に限定されず、また、単層であっても複層であってもよい。
【0022】
絶縁層の形成方法は特に限定されず、例えば、熱酸化法等により基板の表面を酸化させ改質させて形成することができる。更に、基板の表面に絶縁層となる成分を付着堆積させて形成することもでき、予め形成しておいた絶縁層を基板の表面に貼合して形成することもできる。
【0023】
(3)発熱体
本発明のガスセンサは、通常、絶縁層の内部に発熱体を備える。また、発熱体には、外部回路から電力を供給するためのリード部が接続されている。この発熱体は電圧の印加により発熱し、それにより、感応層が昇温して活性化され、測定が可能となる。発熱体を配設する位置は絶縁層の内部であれば特に限定されないが、基板に空間部が形成されている場合は、空間部に対応する位置に配設されていることが好ましい。発熱体を空間部に対応する位置に配設することにより、発熱体からの熱が基板に逸散してしまうことを抑えることができる。また、感応層に効率よく伝熱することができ、感応層の温度をより精度よく制御することができる。尚、空間部に対応する位置とは、基板の厚み方向において、発熱体と空間部との少なくとも一部が重なっている位置関係であるという意味であり、発熱体の全体が空間部と重なっていることがより好ましい。
【0024】
発熱体は導電性を有しておればよく、その材質は特に限定されない。例えば、白金単体、白金合金、ニッケル合金、クロム合金及びニッケルクロム合金等を用いることができる。これらのうちでは、抵抗温度係数が大きく、長期の繰り返し使用においても抵抗値及び抵抗温度係数が変化し難い白金単体又はニッケルクロム合金を用いることが好ましい。
【0025】
発熱体の形成方法は特に限定されず、例えば、発熱体となる成分を絶縁層の表面に付着堆積させ、その後、前記の空間部の形成方法において例示された方法と同様な各種のエッチング方法により不必要な部位を除去し、次いで、その表面に他の絶縁層を付着堆積させることにより、絶縁層の内部に発熱体を形成することができる。
【0026】
(4)電極
本発明のガスセンサ素子は、通常、感応層に接する電極を備える。この電極は、感応層に電圧を印加し、また、出力信号を取り出すためのものであり、一対の電極が感応層に接して形成される。電極の厚さは特に限定されないが、感応層の厚さと同等か、又はそれ以下の厚さであることが好ましい。電極及び感応層の形成方法にもよるが、電極が感応層より厚い場合は、感応層を連続層として形成することができない場合がある。
【0027】
電極は導電性が高ければよく、その材質は特に限定されない。例えば、Pt、Au、Al等を用いることができ、Ptが特に好ましい。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、電極は単層であっても複層であってもよい。複層の電極としては、例えば、10〜40nm程度の厚さのTi層を形成した後、このTi層の上面に10〜70nm程度の厚さのPt層を形成したものが挙げられる。この電極の形成方法は特に限定されず、電極となる成分を絶縁層の表面に付着堆積させて形成することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1(感応層が1質量%の酸化ケイ素を含有するガスセンサ)
[1]実施例1のガスセンサの構成
実施例1のガスセンサの構成について説明する。
このガスセンサ1では、図2のように、縦3mm×横5mmのシリコン基板2(以下、「基板2」ということもある。)の表裏面に絶縁層3が形成されている。絶縁層3は酸化ケイ素(SiO)により形成された絶縁層31と、絶縁層31の表面に積層され、窒化ケイ素(Si)により形成された絶縁層32、33とからなる。
【0029】
基板2には、絶縁層32が形成されている側の面に開口するように空間部21が形成されており、空間部21の開口部の面積は1mmである。また、絶縁層33の内部には空間部21に対応する位置に発熱体5が形成されている。この発熱体5には給電のための発熱体用リード部(図示せず)が接続されており、発熱体用リード部は外部回路と接続するためのコンタクト部を有している。尚、発熱体5及び発熱体用リード部は、Pt層とTi層とからなる2層構造である。
【0030】
更に、図3のように、絶縁層33の表面には、発熱体5に対応する位置に一対の櫛歯状の電極6が形成されている。また、絶縁層33の表面の発熱体5に対応する位置には感応体4が形成されている。更に、感応体4は電極6の上面に接するように絶縁層33表面に形成されている。尚、この一対の電極6には電極用リード部(図示せず)が接続されており、この電極用リード部は外部回路と接続するための電極用コンタクト部を有している。
【0031】
電極6は、絶縁層33の表面に形成され、且つTiからなる下層電極61と、この下層電極61の上面に形成され、且つPtからなる上層電極62とを有する。下層電極61の厚さは20nmであり、上層電極62の厚さは40nmである。
また、感応体4は、感応層41と触媒層42とからなる。感応層41は99質量%の酸化スズに1質量%の酸化ケイ素が分散、含有されてなる。更に、感応層41の上面にはAuからなる触媒層42が形成されている。また、感応層41及び触媒層42の平面形状は角部が面取りされた四角形である。
【0032】
[2]ガスセンサの製造
実施例1のガスセンサは以下の工程により製造した。
(1)シリコン基板の洗浄
厚さ400μmのシリコン基板2を洗浄液に浸漬し、洗浄処理を行った。
(2)絶縁層31の形成
洗浄したシリコン基板2を熱処理炉に収容し、熱酸化処理により、絶縁層31となる厚さが100nmの酸化ケイ素膜を基板2の全面に形成した。
【0033】
(3)絶縁層32、33及び発熱体5(発熱体用リード部を含む。)の形成
基板2の一方の面に絶縁層32となる厚さ400nmの窒化ケイ素膜、及び他方の面に絶縁層33のうちの下部絶縁層331(図2参照)となる厚さ200nmの窒化ケイ素膜を、プラズマCVDによりSiH及びNHをソースガスとして形成した。その後、この下部絶縁層331の表面に、DCスパッタリング装置により発熱体5を形成した。具体的には、下部絶縁層331の表面に厚さ25nmのTi層を形成し、更にこのTi層の表面に厚さ250nmのPt層を形成することで発熱体5を形成した。次いで、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行ってエッチング処理により発熱体5のパターンを形成した。その後、絶縁層33のうちの上部絶縁層332(図2参照)となる厚さ400nmの窒化ケイ素膜を、下部絶縁層331の場合と同様の方法で形成した。このようにして絶縁層32、33及び絶縁層33の内部に配設された発熱体5を形成した。
【0034】
(4)発熱体用コンタクト部の形成
ドライエッチング法により絶縁層33のエッチングを行って発熱体用コンタクト部となる部分を穿孔し、発熱体用コンタクト部となる部位(発熱体の一部)を露出させた。その後、DCスパッタリング装置により、厚さ20nmのTi層を形成し、次いで、厚さ40nmのPt層を形成し、スパッタリング後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行って発熱体用コンタクト部を形成した。
【0035】
(5)電極(電極用リード部及び電極用コンタクト部を含む。)の形成
DCスパッタリング装置を用いて、下層電極61となる厚さ20nmのTi層を形成し、その後、上層電極62となる厚さ40nmのPt層を形成した。次いで、スパッタリング後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行って、上層電極62と下層電極61とからなる電極6、並びに電極用リード部及び電極用コンタクト部(いずれも図示せず)を形成した。
【0036】
(6)コンタクトパッドの形成
上記(5)の工程の後、DCスパッタリング装置を用いて、基板に厚さ50nmのCr層を形成し、次いで、その表面に厚さ1μmのAu層を形成した。その後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、エッチング処理して電極用及び発熱体用コンタクト部(いずれも図示せず)の表面に各々のコンタクトパッド(図示せず)を形成した。
【0037】
(7)空間部の形成
上記(6)の工程の後、基板をTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)溶液に浸漬し、シリコンの異方性エッチングを行い、発熱体5と対応する位置に、且つ絶縁層32が形成されている面が開口するように空間部21を形成した。
【0038】
(8)感応層及び触媒層からなる感応体の形成
RFスパッタリング装置を用いて、基板2を400℃に加熱しながら酸化スズターゲット及び酸化ケイ素ターゲットを同時にスパッタリングし、絶縁層33の表面の発熱体5及び空間部21と対応する位置に、99質量%の酸化スズと1質量%の酸化ケイ素とを含有し、厚さが200nmの感応層41を形成した。その後、この感応層41の表面に、RFスパッタリング装置を用いて、触媒層42となるAu層を形成し、感応体4を作製した。
このようにして、酸化スズ層に酸化ケイ素が分散された感応層を有するガスセンサを製造した。
【0039】
実施例2〜5(感応層における酸化ケイ素の含有量を変化させた場合)及び比較例1(感応層が酸化ケイ素を含有しない場合)
感応層に含有される酸化ケイ素が0.5質量%(実施例2)、8質量%(実施例3)、20質量%(実施例4)、30質量%(実施例5)である他は、実施例1と同様にしてガスセンサを作製した。また、感応層が酸化ケイ素を含有していない他は実施例1と同様にして比較例1のガスセンサを作製した。
【0040】
比較例2(酸化スズ層と酸化ケイ素層とが積層された構造の感応層である場合)
酸化スズ層と酸化ケイ素層とが交互に積層されてなる感応層(酸化スズ層が3層、酸化ケイ素層が2層の感応層)とした他は、実施例1と同様にしてガスセンサを作製した。尚、これら酸化スズ層及び酸化ケイ素層の厚さはいずれも200nmである。
【0041】
[3]性能評価
(1)感応層における酸化ケイ素の含有量と感度との相関
実施例1〜5及び比較例1のガスセンサを使用し、NO濃度が1ppmの場合のNO感度を、温度が25℃及び組成等がO;20.9%、N;残量、相対湿度40%であるベースガスを用いて、発熱体の温度が250℃となるように通電しながら測定した。この通電は、ガスセンサのコンタクトパッドと測定治具間をAuワイヤーによりボンディングして行った。結果を表1及び図1(比較例1は除く。)に示す。
【0042】
(2)耐熱試験による感度の変化
実施例1〜5及び比較例1のガスセンサを使用し、発熱体の温度が400℃となるように100時間連続通電した後の感度を上記(1)と同様にして測定し、上記(1)における耐熱試験前の感度と比べて耐熱耐久性を評価した。結果を表1に併記する。
【0043】
(3)酸化スズと酸化ケイ素とを混合、分散させた感応層と、酸化スズ層と酸化ケイ素層とを積層してなる感応層との感度の比較
比較例2のガスセンサを使用し、上記(1)と同様にして感度を測定した。また、発熱体の温度が400℃となるように100時間連続通電した後の感度を上記(1)と同様にして測定し、耐熱試験前の感度と比べて耐熱耐久性を評価した。その結果、感度は耐熱試験前が1.2、耐熱試験後が1.1であった。このように、酸化スズ層と酸化ケイ素層とを積層してなる感応層とした場合は、耐熱試験を行うまでもなく、極めて感度が低く、実用的でないことが分かる。
【0044】
【表1】
Figure 2004333289
【0045】
表1の実施例1及び比較例1によれば、感応層に酸化ケイ素が含有されていない比較例1では、酸化スズの結晶子径が大きく、耐熱試験前の感度は十分に高いものの、耐熱試験後の感度は大きく低下している。一方、感応層が1質量%と少量の酸化ケイ素を含有する実施例1では、結晶子径が耐熱試験後でも27nmと小さく、耐熱試験前の感度が高く、且つ耐熱試験後の感度の低下が小さく、耐熱耐久性が向上していることが分かる。また、感応層が0.5質量%と更に少量の酸化ケイ素を含有する実施例2でも、耐熱試験後の結晶子径は54nmと小さく、耐熱試験前の感度が高く、且つ耐熱試験後の感度の低下も十分に抑えられ、耐熱耐久性が向上していることが分かる。
【0046】
更に、表1の実施例1〜5及び図1によれば、感度は酸化ケイ素の含有量の増加とともに低下するが、20質量%の酸化ケイ素を含有する実施例4では、感度は9であり、30質量%の酸化ケイ素を含有する実施例5では、感度は5であり、耐熱試験による感度の低下が小さいことを併せて考えると、いずれも十分に実用的なガスセンサであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】感応層における酸化ケイ素の含有量と感度との相関を示すグラフである。
【図2】実施例1のガスセンサの断面を示す模式図である。
【図3】実施例1のガスセンサの感応体等の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1;ガスセンサ、2;基板、21;空間部、3,31,32,33;絶縁層、4;感応体、41;感応層、42;触媒層、5;発熱体、6;電極、61;下層電極、62;上層電極。

Claims (3)

  1. 被検知ガスによって電気的特性が変化する感応層を有するガスセンサにおいて、該感応層は、酸化スズを主体とする層に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化マグネシウムのうちの少なくとも1種が分散されてなり、該酸化スズの結晶子径が60nm以下であることを特徴とするガスセンサ。
  2. 上記酸化スズと、上記酸化ケイ素、上記酸化アルミニウム、上記酸化タンタル及び上記酸化マグネシウムとの合計を100質量%とした場合に、該酸化ケイ素、該酸化アルミニウム、該酸化タンタル及び該酸化マグネシウムの合計が20質量%以下である請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 上記感応層の表面の少なくとも一部に、Auを主成分とし、且つ通気性を有する触媒層を備える請求項1又は2に記載のガスセンサ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106556628A (zh) * 2016-11-28 2017-04-05 重庆大学 一种基于多孔衬底的电阻式no2气体传感器及其制备方法
CN108760832A (zh) * 2018-05-22 2018-11-06 芜湖美智空调设备有限公司 气敏元件敏感材料及其制备方法

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