JP4033575B2 - センサ及び湿度ガス検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿度または所定のガスに感応して電気特性が変化する感応体を備え、その電気特性の変化に基づいて湿度または所定のガスを検出するセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のセンサでは、当該電気特性の静特性、つまり湿度やガス濃度に対する定常状態における特性値の変化に基づいて湿度または所定のガスを検出を行っていた。
例えば、感応体としてSnO2 やZnO等のn型酸化物半導体を用いて、200〜400℃の加熱状態で還元性ガスを検出するセンサの場合、n型酸化物半導体表面で還元性ガスの吸着酸素による酸化反応に起因してn型酸化物半導体の導電率が増加するので、この導電率の定常値の変化に基づいて還元性ガスの存在を検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のセンサでは、一つの感応体の所定の電気特性に基づいて検出できる検出対象は湿度またはガスの一方に限定されていた。つまり、湿度とガスの両方を検出するためには、湿度に反応する感応体とガス反応する感応体を各別に設ける必要があった。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、一つの感応体で湿度とガスの両方を検出可能なセンサを提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係るの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した通り、所定の電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が検出対象である湿度または所定のガスに感応して変化する感応体と、前記感応体を間欠的に加熱可能な加熱手段と、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて前記検出対象を検出する検出手段とを備えてなる点にある。
【0006】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した通り、所定の電気特性が所定のガスに感応して変化し、且つ、前記電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体と、前記感応体を間欠的に加熱可能な加熱手段と、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて湿度を検出する湿度検出手段と、前記感応体の電気特性値を計測し定常状態の特性値との変化量に基づいてガスを検出するガス検出手段とを備えてなる点にある。
【0007】
同第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した通り、上記第一または第二の特徴構成に加えて、前記加熱手段が加熱用金属配線を含み、前記加熱用金属配線の抵抗値を計測し、その抵抗値に基づいて温度を検出する温度検出手段とを備えてなる点にある。
【0008】
同第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した通り、上記第一、第二または第三の特徴構成に加えて、前記加熱手段の加熱部をマイクロブリッジ内に加熱用金属配線を設けることにより形成し、前記感応体を前記マイクロブリッジの上面に薄膜状に形成してなる点にある。
【0009】
尚、本明細書において、マイクロブリッジとは、ブリッジ状の中空で支持される微小構造物体としてマイクロマシーニング技術で加工されたものをいう。
【0010】
同第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した通り、上記第一、第二、第三または第四の特徴構成に加えて、前記感応体がSnO2 またはZnOまたはIn2 O3 である点にある。
【0011】
この目的を達成するための本発明に係る湿度ガス検出方法の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した通り、所定の電気特性が所定のガスに感応して変化し、且つ、前記電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体を間欠的に加熱し、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて湿度を検出し、前記感応体の電気特性値を計測し定常状態の特性値との変化量に基づいてガスを検出する点にある。
【0012】
以下に上記特徴構成による作用並びに効果を説明する。
上記本発明に係るセンサの第一の特徴構成によれば、感応体の電気特性の定常値が加熱時と非加熱時で異なるため、加熱手段によって感応体を間欠的に加熱することで、特性値が両定常値間で変化するが、加熱時の特性値から非加熱時の特性値に復帰する時の過渡特性、即ち復帰時間が湿度や所定ガスの存在により変化するという本願発明者の新知見を利用することにより、検出手段が湿度または所定のガスを検出することができるのである。
この結果、感応膜の湿度または所定のガスの変化に対する電気特性の静特性に基づかずに湿度または所定のガスを検出できため、感応体自体の特性や外乱等により静特性に基づく検出が困難な場合でも、湿度または所定のガスが検出できるのである。
また、感応体を間欠的に加熱することにより、感応体に吸着した不純物等の脱離が促進され、セルフクリーニング型のセンサを提供することができるのである。
【0013】
更に、適切な感応体を選択することにより、過渡特性に基づいて検出される検出対象とは別の検出対象を同じ感応体の電気特性の静特性に基づいて検出することにより、異なる二つの検出対象を同じ感応体を用いて検出することができるのである。
具体的には、同第二の特徴構成により、湿度検出手段が過渡特性に基づき、ガス検出手段が静特性に基づき、同じ感応体を用いて湿度とガスを検出することができるのである。
【0014】
同第三の特徴構成によれば、温度検出用の感応体を追加することなく、湿度またはガスの検出に加えて、温度検出が可能となるのである。
【0015】
同第四の特徴構成によれば、マイクロブリッジ構造により熱容量が小さくできるため、感応体の加熱冷却の応答が高速化され、高速応答性に優れた湿度及びガス検出が可能となるのである。
【0016】
同第五の特徴構成によれば、電気抵抗が所定のガスに感応して変化し、且つ、電気抵抗の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体を実現することができるのである。
【0017】
上記本発明に係る湿度ガス検出方法の特徴構成によれば、感応体の電気特性の定常値が加熱時と非加熱時で異なるため、感応体を間欠的に加熱することで、特性値が両定常値間で変化するが、加熱時の特性値から非加熱時の特性値に復帰する時の過渡特性、即ち復帰時間が湿度により変化するという本願発明者が新たに見い出した現象を利用して湿度の検出ができるとともに、加熱時或いは非加熱時における電気特性の定常値が所定のガスに感応して変化するため、湿度検出用の用いる感応体の電気特性の静特性に基づいてガスの検出もできるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るセンサは、図1に示すように、電気抵抗が所定のガスに感応して変化し、且つ、電気抵抗の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体1と、前記感応体1を間欠的に加熱可能な加熱手段2と、前記感応体1の電気抵抗が加熱終了後に加熱時の抵抗値から非加熱時の抵抗値に向けて復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて湿度を検出する湿度検出手段3と、前記感応体1の抵抗値を計測し当該ガスの存在しない定常状態の基準抵抗値との差に基づいてガスを検出するガス検出手段4とを備えている。
【0019】
前記感応体1には電気抵抗を測定するための一対の電極5が設けられており、前記電極を介して前記感応体1の前記電気抵抗を測定しディジタル信号化する第1抵抗測定部6が設けられている。この第1抵抗測定部6は前記湿度検出手段3と前記ガス検出手段4とで共有されている。
更に、前記湿度検出手段3は、前記第1抵抗測定部6で測定された抵抗値を所定時間間隔でサンプリングして前記復帰時間を求めて湿度検出を行う第1演算処理部7を備えている。また、前記ガス検出手段4は、前記第1抵抗測定部6で測定された抵抗値の定常状態の値をサンプリングして前記基準抵抗値と比較してガス検出を行う第2演算処理部8を備えている。
【0020】
前記加熱手段2は加熱用金属配線2aと加熱用電源2bと前記加熱用電源2bを間欠的に作動させる間欠加熱制御部2cからなっている。
また、前記加熱用金属配線2aの電気抵抗を測定しディジタル信号化する第2抵抗測定部9とその抵抗値に基づいて前記感応体1の周囲温度を検出する第3演算処理部10とを備えた温度検出手段11が設けられている。
【0021】
尚、前記第1乃至第3演算処理部7,8,10はマイクロプロセッサ等のディジタル信号処理装置で構成されており、前記間欠加熱制御部2cが発生するパルス信号Pに同期して各演算処理を実行する。
【0022】
次に、前記感応体1と前記加熱用金属配線2aを一体化して作製した実施例について説明する。
【0023】
図2及び図3に示すように、前記感応体1がマイクロブリッジ12の上部に形成され、前記加熱用金属配線2aが前記マイクロブリッジ12の内部の前記感応体1に近接する位置に形成されている。このようにマクロブリッジ構造を採ることにより、熱容量を低減でき、高速応答性が図られる。
尚、前記感応体1として、電気抵抗が所定のガスに感応して変化し、且つ、電気抵抗の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化するSnO2膜を使用する。また、前記加熱用金属配線2aは、電気抵抗が温度変化に対してリニアに変化するPt/Ti配線を使用する。
前記マイクロブリッジ12は所定の基板上に薄膜積層技術と基板の異方性エッチング技術を用いて形成され、前記マイクロブリッジ12の周囲にはパッケージングの際のボンディングパッドを設けた周辺部13が形成される。
【0024】
前記マイクロブリッジ12となる部分及び前記周辺部13は結晶面(100)のSi基板14に形成され、前記Si基板14の内の上部に前記マイクロブリッジ12が形成される部分が後述するSi異方性エッチングによって除去されて空隙部22が形成され、前記周辺部13の4カ所の支持部13aで側方から中空支持される前記マイクロブリッジ12が形成される。また、前記マイクロブリッジ12と前記周辺部13は、前記支持部13aを除き、側方開口部21で相互に分離されている。
【0025】
図1に示すように、前記マイクロブリッジ12は、下から順に熱酸化SiO2 膜15、中層SiO2 膜16、SiN膜17、上層SiO2 膜18からなる4層絶縁膜を有し、加熱用金属配線2aが前記熱酸化SiO2 膜15と前記中層SiO2 膜16の間に形成され、前記感応体1の電気抵抗を検出するための1対の電極用金属配線5aが前記SiN膜17上に形成され、前記上層SiO2 膜18の一部が開口して前記電極用金属配線5aを露出させる開口部20が形成された積層構造となっている。
図2に示すように、前記加熱用金属配線2aは電気抵抗を大きくするため蛇行形状にパターニングされ、その両端部が夫々前記4カ所の支持部13aの内の2カ所を介して前記周辺部13に延設されている。また、前記1対の電極用金属配線5aは夫々櫛形状にパターニングされ、その櫛形部分が前記開口部20内で噛合対向するよう配置されている。そして、前記各電極用金属配線5aは前記4カ所の支持部13aの内の他の2カ所を介して前記周辺部13に延設されている。前記加熱用金属配線2aの両端部及び前記電極用金属配線5aは夫々、図1に示す前記周辺部13に形成された電極パッド19,5bと接続している。
【0026】
次に、前記マイクロブリッジ12の作製工程を、図4及び図5に示す工程図に基づいて説明する。前記マイクロブリッジ12の作製工程は、図4(イ)〜図5(チ)に示す各工程からなり、当該各工程を順次実行することにより前記マイクロブリッジ12と前記周辺部が同時に形成される。
【0027】
図4(イ)に示すように、前記Si基板14の表面を熱酸化して膜厚1000Åの前記熱酸化SiO2 膜15を形成する(第1工程)。
【0028】
引き続き、図4(ロ)に示すように、前記熱酸化SiO2 膜15上にPt(1000Å)/Ti(200Å)を成膜し、前記加熱用金属配線2aと前記電極パッド19をリフトオフ法等によりパターニングし、更に、前記電極パッド19と前記加熱用金属配線2aの内の前記周辺部13の配線用にAu(3000Å)/Cr(100Å)を成膜し、前記電極パッド19と前記周辺部13の配線パターンをリフトオフ法等によりパターニングする(第2工程)。
【0029】
引き続き、図4(ハ)に示すように、前記熱酸化SiO2 膜15、前記加熱用金属配線2a、前記電極パッド19上にスパッタリング法により膜厚4500Åの前記中層SiO2 膜16と膜厚1500Åの前記SiN膜17を順番に成膜する(第3工程)。
【0030】
引き続き、図4(ニ)に示すように、前記SiN膜17上にPt(1000Å)/Ti(200Å)を成膜し、前記電極用金属配線5aと前記電極パッド5bをパターニングし、更に、前記電極パッド5bと前記電極用金属配線5aの内の前記周辺部13の配線用にAu(3000Å)/Cr(100Å)を成膜し、前記電極パッド5bと前記周辺部13の配線パターンをパターニングする(第4工程)。
前記電極用金属配線5aと前記電極パッド5bで前記電極5が形成される。
【0031】
引き続き、図5(ホ)に示すように、前記SiN膜17、前記電極用金属配線5a、前記電極パッド5b上にスパッタリング法により膜厚3000Åの前記上層SiO2 膜18を成膜する(第5工程)。
【0032】
引き続き、図5(ヘ)に示すように、前記電極用金属配線5aの前記櫛形部分を露出させるべく、前記上層SiO2 膜18の前記開口部20に相当する部分をウェットエッチングで除去して、前記開口部20を形成する(第6工程)。尚、前記第3工程で形成された前記SiN膜17がエッチングストッパとして働くのである。
【0033】
引き続き、図5(ト)に示すように、前記4層絶縁膜15、16、17、18の内の前記マイクロブリッジ12の前記側方開口部21となる部分と前記電極パッド19,5bのボンディング用の開口窓をRIE(反応性イオンエッチング)でエッチングして、前記側方開口部21を形成し、前記Si基板14の表面を露出させ、前記電極パッド19,5bの中央部を露出させる(第7工程)。
【0034】
引き続き、図5(チ)に示すように、前記Si基板14を、TMAH(tetramethylammonium hydroxide)により前記側方開口部21の前記Si基板14の露出部分から異方性エッチングして前記空隙部22を形成する(第8工程)。尚、前記空隙部22は前記側方開口部21の外周辺より内側で(111)面に囲まれる部分に形成される。
ここで、前記空隙部22の大きさ、つまり、前記マイクロブリッジ12の大きさ(図3参照)は150μmである。
【0035】
次に、前記マイクロブリッジ12の作製工程後、前記第6工程で形成された前記開口部20に前記感応体1を部分的に成膜する工程について説明する。
前記感応体1であるSnO2 膜を、前記開口部20より僅かに大きな開口を有するメタルマスクを用いて蒸着法を用いて前記開口部20及びその周縁部に膜厚2000Åに蒸着形成する。これにより、全面に前記感応体1を成膜してエッチングによりパターニングするためのフォトマスクが不要になるとともに、当該エッチングで前記感応体1に対してダメージが与えられる危険性が回避される。また、CVD法で金属酸化物を析出させる方法に比べて、原料が固体であるため、装置の設置及び維持管理に要するコスト等の低減が図れる。尚、この成膜手法は他の金属酸化膜の感応体にも使用できる。
【0036】
また、前記感応体1が導電性高分子膜の場合は、導電性高分子の電解液をマイクロピペットで前記開口部20に滴下し、前記電極用金属配線5a間に電流を流すことによる電解重合法により前記感応体1を前記開口部20に部分的に形成することができる。
【0037】
次に、前記湿度検出手段3の湿度検出方法及び検出結果について説明する。
前記間欠加熱制御部2cが発生するパルス信号Pはパルス幅が0.1秒でパルス周期が1秒である。従って、前記加熱用金属配線2aは前記加熱用電源2bによって1秒間隔で0.1秒間通電し、前記感応体1を間欠的に加熱する。
図6に示すように、前記感応体1の電気抵抗は、前記加熱手段2によって加熱されると抵抗値が急激に低下し、0.1秒間の加熱が終了すると、雰囲気中の湿度に応じた復帰時間で非加熱時の抵抗値に復帰する。このときの復帰時間は、加熱終了時から、非加熱時の定常状態の抵抗値に所定の誤差範囲内で復帰するまでの時間である。また、前記パルス周期は高湿度状態でも非加熱時に十分に抵抗値が定常状態にまで復帰できるように、また、比加熱時に後述する他の検出が可能なように十分長く設定してある。
【0038】
前記第1抵抗測定部6は前記感応体1の抵抗値を連続的に計測し、所定のサンプリング間隔でA/D変換してディジタル信号化する。このサンプリング間隔は前記復帰時間に対して十分短く設定されており、本実施例では1m秒である。前記第1演算処理部7は前記パルス信号Pから加熱終了時を認識して内蔵のカウンタタイマをリセットするとともに起動し、前記ディジタル信号化された抵抗値が前記非加熱時の定常状態の抵抗値より所定の誤差分低く設定した値に達した時点で前記カウンタタイマの動作を停止し、そのときのカウント値から予め実験データに基づいて設定された関係より相対湿度を算出する。尚、前記非加熱時の定常状態の抵抗値及び前記所定に誤差分は、前記第1抵抗測定部6によって自動的に設定される。また、図7に、前記感応体1にSnO2 膜を使用した場合であって、前記パルス信号Pが、パルス電圧が2V、パルス幅が0.1秒、パルス周期が1秒の場合の相対湿度と前記復帰時間の関係を示す実測データを示す。
図7より、本湿度検出方法によれば、低湿度から高湿度まで検出可能であることが分かる。
【0039】
次に、前記ガス検出手段4のガス検出方法及び検出結果について説明する。
上述したように、前記湿度検出手段3と前記ガス検出手段4は前記第1抵抗測定部6を共用している。前記ガス検出手段4は、前記非加熱時におけるディジタル信号化された前記基準抵抗値を所定の記憶領域に記憶しておき、非加熱時の定常状態における抵抗値との差を求め、その抵抗値の差が所定閾値以上あれば、検出対象ガスが所定濃度以上あると判定し、当該ガス検出を実行する。非加熱時の定常状態における抵抗値は非加熱期間終了直前の値を使用するのが好ましいが、前記定常状態は、検出対象ガスの有無の2状態の相対比較である場合は、完全な定常状態でなくても構わない。
【0040】
前記感応体1にSnO2 膜を使用した場合、本検出方法によりH2 (水素ガス)を検出することができる。図8に、空気雰囲気中とH2 500ppm雰囲気中におけるSnO2 膜の抵抗値の変化を示す。これより、両雰囲気間の抵抗値の変化量は、非加熱時同士を比較した方が、加熱時同士を比較するより大きいため好ましいことが分かる。しかし、前記感応体1や検出対象ガスによっては、加熱時の抵抗値を使用したり、また、非加熱時と加熱時の両方の抵抗値を使用するようにしても構わない。
図9に、本ガス検出方法における過渡特性を示す。0分の時点で空気雰囲気からH2 500ppm雰囲気に変化し、30分後に空気雰囲気に復帰した場合を示す。図中、上側の線は非加熱時の抵抗値を便宜上連続的に連結して示してあり、下側の線は同様に加熱時の抵抗値を連続的に連結したものである。
【0041】
次に、前記温度検出手段11による温度検出方法及び検出結果について説明する。
前記パルス信号Pのオフ期間中は、前記加熱用電源2bはオフしており且つ高インピーダンス状態にあり、また、前記加熱用金属配線2aはそのため通電状態とはなっていないため、当該オフ期間中は前記第2抵抗測定部9によって、前記加熱用金属配線2aの電気抵抗を測定することができる。従って、前記パルス信号Pがオフした後、前記第2抵抗測定部9が前記加熱用金属配線2aの電気抵抗を測定しディジタル信号化し、その抵抗値に基づいて前記第3演算処理部10が予め実験データに基づいて設定された関係より前記感応体1の周囲温度を検出する。図10に、前記加熱用金属配線2aに電気抵抗が温度変化に対してリニアに変化するPt/Ti配線を使用した場合の、前記加熱用金属配線2aの抵抗値と周囲温度の関係の実測データを示す。
【0042】
以上説明したように、本発明に係るセンサにより、前記加熱手段2、前記湿度検出手段3、前記ガス検出手段4、前記温度検出手段11の各手段を同期させて協働させることにより、湿度検出とガス検出と温度検出を同時に実行できる複合センサが実現できるようになった。
【0043】
以下、本発明の別実施形態を列記する。
〈1〉上記実施の形態では、本発明に係るセンサは前記湿度検出手段3、前記ガス検出手段4、前記温度検出手段11の三つの検出手段を備えていたが、前記湿度検出手段3だけの構成または前記湿度検出手段3と前記ガス検出手段4だけを備えた構成であっても構わない。かかる構成でも、前記湿度検出手段3を使用することにより低湿度から高湿度までの広範囲にわたる湿度検出を行うことができる。
また、前記湿度検出手段3、前記ガス検出手段4、前記温度検出手段11は夫々ディジタル処理を含む構成としていたが、全ての処理をアナログ処理で行う構成としても構わない。
【0044】
〈2〉上記実施の形態では、前記感応体1がマイクロブリッジ12の上部に形成され、前記加熱用金属配線2aが前記マイクロブリッジ12の内部の前記感応体1に近接する位置に形成されたマイクロブリッジ構造を採用していたが、各部の寸法や材料、或いは、その製造方法等は上記実施の形態以外のものであっても構わない。また、必ずしもマイクロブリッジ構造を採用しなくてもよい。例えば、前記感応体1と前記加熱用金属配線2aが別体で構成されていても構わない。
【0045】
〈3〉前記感応体1及び前記加熱用金属配線2aは必ずしもSnO2 膜やPt/Ti配線でなくても構わない。
例えば、前記感応体1は、ZnO膜またはIn2 O3 であってもよい。
【0046】
〈4〉前記湿度検出手段3、前記ガス検出手段4、前記温度検出手段11の一部または全部を前記マイクロブリッジ構造における前記周辺部13に形成して、本発明に係るセンサの一部または全部を集積回路化するのも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサのシステム構成図
【図2】本発明に係るセンサのマイクロブリッジ構造を示す縦断面図
【図3】本発明に係るセンサのマイクロブリッジ部分を示す平面図
【図4】本発明に係るセンサのマイクロブリッジ作製工程の前半工程を示す工程図
【図5】本発明に係るセンサのマイクロブリッジ作製工程の後半工程を示す工程図
【図6】感応体の電気抵抗値の温度変化に対する過渡応答特性を示す特性図
【図7】感応体の電気抵抗値の復帰時間と相対湿度との関係を示す特性図
【図8】空気雰囲気中とH2 500ppm雰囲気中の温度変化に対する過渡応答時の感応体の電気抵抗値を示す特性図
【図9】感応体の電気抵抗値のガス濃度変化に対する過渡応答特性を示す特性図
【図10】加熱用金属配線の抵抗値と周囲温度の関係を示す特性図
【符号の説明】
1 感応体
2 加熱手段
2a 加熱用金属配線
2b 加熱用電源
2c 間欠加熱制御部
3 湿度検出手段
4 ガス検出手段
5 電極
5a 電極用金属配線
5b 電極パッド
6 第1抵抗測定部
7 第1演算処理部
8 第2演算処理部
9 第2抵抗測定部
10 第3演算処理部10
11 温度検出手段
12 マイクロブリッジ
13 周辺部
13a 支持部
14 Si基板
15 熱酸化SiO2 膜
16 中層SiO2 膜
17 SiN膜
18 上層SiO2 膜
19 電極パッド
20 開口部
21 側方開口部
22 空隙部
Claims (6)
- 所定の電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が検出対象である湿度または所定のガスに感応して変化する感応体と、前記感応体を間欠的に加熱可能な加熱手段と、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて前記検出対象を検出する検出手段とを備えてなるセンサ。
- 所定の電気特性が所定のガスに感応して変化し、且つ、前記電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体と、前記感応体を間欠的に加熱可能な加熱手段と、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて湿度を検出する湿度検出手段と、前記感応体の電気特性値を計測し定常状態の特性値との変化量に基づいてガスを検出するガス検出手段とを備えてなるセンサ。
- 前記加熱手段が加熱用金属配線を含み、前記加熱用金属配線の抵抗値を計測し、その抵抗値に基づいて温度を検出する温度検出手段とを備えてなる請求項1または2記載のセンサ。
- 前記加熱手段の加熱部をマイクロブリッジ内に加熱用金属配線を設けることにより形成し、前記感応体を前記マイクロブリッジの上面に薄膜状に形成してなる請求項1、2または3記載のセンサ。
- 前記感応体がSnO2 またはZnOまたはIn2 O3 である請求項1、2、3または4記載のセンサ。
- 所定の電気特性が所定のガスに感応して変化し、且つ、前記電気特性の温度変化に対する過渡応答特性が湿度に感応して変化する感応体を間欠的に加熱し、前記感応体の前記電気特性が加熱終了後に加熱時の特性値から非加熱時の特性値に向けて所定量復帰する復帰時間を計測しその復帰時間に基づいて湿度を検出し、前記感応体の電気特性値を計測し定常状態の特性値との変化量に基づいてガスを検出することを特徴とする湿度ガス検出方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07564399A JP4033575B2 (ja) | 1999-03-19 | 1999-03-19 | センサ及び湿度ガス検出方法 |
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