JP3969645B2 - ガスセンサ素子 - Google Patents

ガスセンサ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP3969645B2
JP3969645B2 JP2002255582A JP2002255582A JP3969645B2 JP 3969645 B2 JP3969645 B2 JP 3969645B2 JP 2002255582 A JP2002255582 A JP 2002255582A JP 2002255582 A JP2002255582 A JP 2002255582A JP 3969645 B2 JP3969645 B2 JP 3969645B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
sensitive
insulating layer
gas sensor
sensor element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002255582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004093390A (ja
Inventor
真史 喜田
伸一 中川
卓也 水野
多喜男 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP2002255582A priority Critical patent/JP3969645B2/ja
Publication of JP2004093390A publication Critical patent/JP2004093390A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3969645B2 publication Critical patent/JP3969645B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ素子に関する。更に詳しくは、被測定雰囲気に含まれる被検知ガスである酸化性ガスの検知を行うことができ、酸化性ガス感応部における感応層の層厚と電極の層厚との比を最適化することにより、高い選択性を示すことができるガスセンサ素子に関する。
本発明のガスセンサ素子は、例えば、窒素酸化物ガス、アンモニアガス及び塩素ガスやフッ素ガス等のハロゲン系ガス等の酸化性ガスの検知及び濃度測定に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マイクロマシニング技術を用い、基板に空間部を設け、少なくともその空間部上に絶縁層を配し、この絶縁層上に酸化スズを主成分とする感応層を設け、基板と感応層とを熱的及び電気的に隔離したガスセンサ素子が知られている。このようなガスセンサ素子では、感応層及び電極の層厚、更に感応層の微細構造がその検知性能向上にとって重要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
感応層及び電極の層厚に関しては、特開平7−198646号公報、特開平11−183420号公報及び特開平9−318578号公報に開示されている。しかし、上記公報により説明されているガスセンサ素子は主としてCO等の還元性ガスを検知、測定するものであり、NO等の酸化性ガスを検知、測定するガスセンサ素子においては検知性能(感度、選択性等)を向上するために感応層と電極との層厚比を最適化することが行われていなかった。
【0004】
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、酸化性ガスを検知、測定するガスセンサ素子において、感応層及び電極の層厚の関係を最適化することによって優れた検知性能を有するガスセンサ素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と、該基板の表面の少なくとも一部に形成された絶縁層と、該絶縁層表面の少なくとも一部に形成された酸化性ガス感応部とを備えるガスセンサ素子であって、上記基板は空間部を有し、上記絶縁層は少なくとも該空間部上に位置し且つ上記基板により支持され、上記絶縁層内部の該空間部上に発熱体が形成され、上記酸化性ガス感応部は、上記絶縁層表面であり上記発熱体上に形成され且つ酸化スズを主成分とする感応層と、該感応層に接するように上記絶縁層表面に形成された電極とを具備し、上記電極は、Ti、Ta、及びTaのうちの少なくとも1種を主成分とし且つ該絶縁層表面に形成された下層と、上記下層上面に形成され且つPt、Au、及びAlのうちの少なくとも1種を主成分とする上層とを有し、上記感応層の層厚xと、上記電極の層厚yとの比(x/y)は、0.19〜3.5であり且つ該層厚yは40〜80nmであることを特徴とする。
また、上記感応層は感応層となる成分を付着堆積させてなるものとすることができる。
更に、上記感応層の平面形状は、角部が面取りされた四辺形であるものとすることができる。
また、上記感応層の全体を100質量%とした場合に、酸化スズが90質量%以上含有されるものとすることができる。
更に、上記電極の上記下層の全質量を100質量%とした場合に、Ti、Ta、Ta のうちの少なくとも1種が95質量%以上であるものとすることができる。
また、上記電極の上記上層の全質量を100質量%とした場合に、Pt、Au、Alのうちの少なくとも1種が95質量%以上であるものとすることができる。
【0006】
【発明の効果】
本発明のガスセンサ素子は、感応層と電極との層厚比を上記所定の値としたので酸化性ガスに対する選択性に優れたガスセンサ素子を提供することができる。また、感応層の微細構造を微結晶の酸化スズ結晶集合体からなるものとすることで、酸化性ガスに対する選択性がより高いガスセンサ素子を得ることができる。
更に、基板が空間部を有し、絶縁層内部に発熱体が形成され、更に空間部、発熱体、酸化性ガス感応部が所定の位置関係を有する構造とすることで、発熱体から発せられた熱を酸化性ガス感応部に効率よく伝達することができ、これにより、酸化性ガス感応部の正確な温度制御を行うことができるガスセンサ素子を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のガスセンサ素子は、基板と、この基板の表面の少なくとも一部に形成された絶縁層と、この絶縁層表面に形成され且つ被検知ガスとの接触により出力信号に変化を生じる酸化性ガス感応部とを備えるものである。
【0008】
[1]基板
上記「基板」を構成する材料は特に限定されないが、通常、半導体材料が用いられる。中でも、シリコンが多用される。この基板の平面形状は特に限定されないが、例えば、矩形又は円形等とすることができる。また、その大きさも限定はされないが、縦0.1mm〜10mm、横0.1mm〜10mmであることが好ましい。また、その基板の厚さも特に限定されないが400〜500μmであることが好ましい。
【0009】
また、上記基板は、空間部を備える。上記「空間部」は、基板の一部が欠損した部分である。この欠損として、例えば、基板の表裏両面に開口して貫通する空洞、基板の表裏面の一方にのみ開口された凹部等を挙げることができる。
【0010】
この基板開口部の開口形状及び内部形状等は特に限定されない。但し、通常、開口形状は単純な形状であり、例えば、矩形、円形等であることが好ましい。また、この空間部の大きさも特に限定されないが、通常、空間部が基板の表裏両面に開口して貫通する空洞の場合、2つの基板開口部のうちの大きい開口部の開口面積、或いは、空間部が凹部の場合、基板開口部の開口面積は0.01〜4mm、特に0.25〜2mmが好ましい。空間部の数は特に限定されないが、1〜8個形成することができ、通常2〜4個である。
【0011】
また、空間部の形成方法は特に限定されないが、基板の一部をエッチングにより除去することで形成することができる。この際に用いるエッチングの方法は特に限定されず、ウェットエッチング法及びドライエッチング法(各々、異方性エッチング及び等方性エッチングを含む)等いずれを用いても良い。なかでも、上述した空洞を形成する場合には、異方性エッチング液を用いたウェットエッチング法が一般的に用いられる。
【0012】
[2]絶縁層
上記「絶縁層」は、後述する酸化性ガス感応部の電極を基板から電気的に絶縁する層である。この絶縁層を形成する場所は、基板の表面であれば特に限定されず、用途、設計に合わせて必要な場所に形成しても良いが、基板に空間部を有するときは、通常、少なくとも空間部上に位置し、且つ、基板により支持されるように形成する。
上記「空間部上」とは、基板の表裏両面に開口して貫通する空洞の場合では、少なくともそのうちの一方の基板開口部に対応する領域の真上の一部又は全部、好ましくは全部に絶縁層が形成されているという意味である。また、基板の表裏面の一方のみ開口された凹部等の場合では、基板開口部に対応する領域の真上の一部又は全部、好ましくは全部に絶縁層が形成されているという意味である。
また、上記「支持される」とは、絶縁層が空間部上に位置するように基板表面によって支えられるように絶縁層を形成するという意味である。
この絶縁層は、絶縁性を有すればどのような材料から構成されても良く、特に限定はされないが、例えば、SiO2、Si34及びSiOxy等のケイ素化合物等から構成することができる。また、絶縁層の形状及び厚さ等は特に限定されず、単層であっても複層であっても良い。
【0013】
この絶縁層の形成方法は特に限定されないが、例えば、熱酸化法等により基板の表面を改質して得ることができる。また、基板の表面に絶縁層となる成分を付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)させて得ることができる。その他、基板の表面に予め形成した絶縁層を貼り付けて得ることも可能である。
【0014】
[3]酸化性ガス感応部
上記「酸化性ガス感応部(以下、単に「感応部」とも言う。)」は、被検知ガスとの接触により出力信号に変化を生じるものである。この感応部は、絶縁層表面に形成された「電極」と、この電極と接するように絶縁層表面に形成された「感応層」とを備える。感応部の形成位置は上記絶縁層表面であれば特に限定されないが、絶縁層内部に後述する発熱体が形成されている場合、この発熱体上に形成されていることが好ましい。
上記「発熱体上」とは、発熱体の上方に間接的に位置しているという意味であり、即ち、絶縁層表面のうち発熱体の真上に位置する部分に少なくともこの感応層の一部が設けられているという意味である。このとき、通常、感応部の全部が発熱体の真上に位置していることが好ましい。
また、上記「電極」は、上記感応層に電圧を印加し、また、出力信号を取り出すためのものであり、一対の電極が上記感応層に接して形成されている。
更に、この電極及び感応層の位置関係において、電極は感応層に接するように形成されていれば特に限定されないが、絶縁層表面に電極が形成され、この電極の少なくとも上面に感応層が接するように形成されていることが好ましい。ここで、上記「上面」とは、絶縁層に接している面と対向している位置にある面である。
【0015】
(1)感応層
上記「感応層」は、酸化スズを主成分とするものである。この感応層は、被検知ガスとの接触時と非接触時との間で抵抗値に変化を生じる層であり、感応部の出力信号の変化の原因となるものである。この感応層は単層であっても、複層であっても良いが、通常は、単層である。また、この感応層にはその全体を100質量%とした場合に、酸化スズが90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上(即ち主成分とする)含有される。尚、本明細書において、「酸化スズ」とは、SnO2−X(0≦X<2)のことをいう。感応層中の酸化スズの含有量が90質量%未満となると、ガスセンサ素子の感度が十分に得られ難くなる傾向にあり好ましくない。
【0016】
この感応層を構成する酸化スズの形態は、主構造が、微結晶の結晶集合体からなるものである。これにより、酸化性ガスに対する感度を向上させることができる。
また、上記「微結晶」とは、下記XRD装置により以下の測定条件で測定を行った場合、2θ≧1°となる結晶構造のことを意味する。
XRD装置
▲1▼製造メーカー:理学電機株式会社
▲2▼型番:RINT2500V
▲3▼測定条件
X線 : Cu K−ALPHA1/50kV/100mA
カウンタ : PSPC(湾曲型)
フィルタ : Kβフィルタ
走査モード : FT
サンプリング時間 : 1176.00秒
ステップ幅 : 0.020
走査軸 : 2θ
走査範囲 : 20.000〜80.000°
θ : 20.000°
固定角 : 0.000°
【0017】
更に、この微結晶は、この酸化スズを主成分とする層の断面を透過型電子顕微鏡で50万倍の倍率で観察したとき、通常、結晶集合体が確認できない程度の微細な結晶構造を有する。
また、上記「主構造」とは、感応層に含有される酸化スズの全質量を100質量%とした場合、通常、この微結晶の酸化スズ結晶集合体の含有量が95質量%以上(100質量%も含む。)という意味である。
更に、この微結晶酸化スズ層は、図1及び図2のように連続した膜、或いは、不連続な海島構造等が挙げられるが、図1及び図2のように連続した膜を用いることが好ましい。
【0018】
また、感応層の平面形状は、角部が面取りされた四辺形(図3参照)、略円形又は略楕円形等、より好ましくは、角部が面取りされた四辺形であることが好ましい。
【0019】
感応層は、絶縁層表面に感応層となる成分を付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)させ、次いで、不要な部分をエッチングすることにより得ることができる。
また、スパッタ法により感応層を形成する場合、基板温度を室温にてスパッタした後、アニールすることが好ましい。
【0020】
(2)電極
上記電極は、絶縁層表面に形成された「下層」と、この下層の上面に形成された「上層」とを有する。ここで、上記「上面」とは、下層において絶縁層表面に接している面と対向している位置にある面という意味である。
上記「下層」は、電圧を印加し、また、出力信号を取り出す電極として機能する他に、上層と絶縁層との接着性を向上させる機能をも有する。この下層の材料としてTi、Ta、Taのうちの少なくとも1種を主成分とするものが挙げられ、これらのうちTiが好ましい。上記「主成分」とは、通常、下層の全質量を100質量%とした場合、Ti、Ta、Taのうちの少なくとも1種が95質量%以上(100質量%も含む。)であることを意味する。
【0021】
上記「上層」の材質は、Pt、Au、Al等を主成分とするものであり、これらのうちPtを主成分とすることが好ましい。また、これらは1種のみを用いても良いし2種以上を併用しても良い。上記「主成分」とは、通常、上層の全質量を100質量%とした場合、Pt、Au、Alのうちの少なくとも1種が95質量%以上(100質量%も含む。)であることを意味する。
更に、電極の形成方法は特に限定されないが、通常、所定の材料を付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)により下層を形成し、その後所定の材料を付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)により上層を形成してエッチングすることにより得ることができる。
【0022】
(3)感応層の層厚と電極の層厚との関係
上記感応層の層厚をx、上記電極(上層+下層)の層厚をyとすると(図2参照)、その層厚比(x/y)は0.19〜3.5、好ましくは0.19〜3.0、より好ましくは0.20〜2.7、更に好ましくは0.60〜2.3、特に好ましくは0.8〜2.0である。層厚比(x/y)が0.19未満の場合、感応層の下面に形成された電極によって感応層が分断されてしまうのでガス感度が低下し、3.5を超える場合、被検知ガス成分が感応層中に十分拡散できなくなるので感度が低下するからである。
【0023】
[4]発熱体
また、本発明のガスセンサ素子は、絶縁層内部に発熱体を備えることができる。上記「発熱体」は、電圧の印加により発熱し、昇温するものであり、この発熱体が発熱することにより、上記感応部を活性化させ、測定を可能としている。
また、通常、この発熱体には、外部回路からの電圧を伝えるためのリード部が接続されている。
【0024】
更に、発熱体の位置は、上記絶縁層内部であれば特に限定されないが、基板に空間部が形成されている場合、空間部上に形成されていることが好ましい。発熱体が空間部上に位置することにより、発熱体からの熱が基板を介して逃げることを防止し、感応部の温度をより精度良くコントロールでき、ガスセンサ素子の感度を向上させることができるからである。上記「空間部上」とは、間接的に空間部の上方に位置するという意味である。即ち、空間部が、基板の表裏両面に開口して貫通する空洞の場合、一方の基板開口部に対応する部分の真上に少なくとも発熱体の一部、好ましくは全部が位置し、また、基板の表裏面の一方のみ開口された凹部等の場合、基板開口部に対応する部分の真上に少なくとも発熱体の一部、好ましくは全部が位置するという意味である。
【0025】
発熱体を構成する材料は導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、白金単体、白金合金、ニッケル合金、クロム合金等を用いることができる。これらは、1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。また、中でも、抵抗温度係数が大きく、長期の繰り返し使用においても抵抗値及び抵抗温度係数が変化し難いことから白金単体及びニッケルクロム合金のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0026】
この発熱体の形成方法は特に限定されないが、所定の材料を絶縁層表面に付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)させ、その後、前述の空間部の形成方法にて例示したものと同様な各種のエッチング方法により、不必要な部位を除去し、その後、更にその表面を付着堆積(蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法等により行うことができる)によって他の絶縁層で覆うことで、絶縁層内部に発熱体を形成することができる。
【0027】
[5]本発明のガスセンサの性能について
上記感応部を有するガスセンサ素子は、酸化性ガスを検知するものとして用いることができる。
上記ガスセンサ素子は、NOの感度が20以上、好ましくは40以上、より好ましくは60以上であることが好ましい。尚、このNOの感度は、NO濃度が0ppmの場合の抵抗値RairとNO濃度が150ppmの場合の抵抗値Rの比(R/Rair)である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。
1.感応層の厚さを変化させた場合
〔1〕ガスセンサ素子(実施例1〜3、比較例1〜3)の構成
ガスセンサ素子(実施例1〜3、比較例1〜3)の構成について説明する。尚、上記ガスセンサ素子の寸法(縦×横)は3mm×5mmである。
上記ガスセンサ素子1は、図1、図2及び図3に示されるように、シリコン基板2(以下、単に、「基板2」とも言う。)の表裏面に絶縁層3が形成されている。絶縁層3は酸化ケイ素で構成されている絶縁層31と、絶縁層31の表面に積層され、窒化ケイ素で構成された絶縁層32、33とからなる。
また、この基板2の絶縁層32が形成されている側の面で開口するように空間部21が形成されている。また、この空間部21における開口部の面積は1mmである。絶縁層33の内部には、空間部21上に発熱体5が形成されている。尚、図示されていないが、この発熱体5には、給電するための発熱体用リード部が接続されており、この発熱体用リード部は、外部回路を接続するためのコンタクト部を有している。この発熱体5及び発熱体用リード部は、Pt層とTi層によって構成されている。
【0029】
絶縁層33の表面には、発熱体5上に位置するように一対の電極42が形成されている。また、絶縁層33の表面には、感応層41が発熱体5上に位置するように形成されている。また、感応層41は電極42の上面に接するように絶縁層33表面に形成されている。尚、この感応層41及び電極42が感応部(酸化性ガス感応部)4として機能する。また、感応部4は、NO等の酸化性ガスを検知するためのものである。尚、図示されていないが、この一対の電極42には、電極用リード部が接続され、この電極用リード部に外部回路を接続するための電極用コンタクト部を有している。
【0030】
電極42は、絶縁層33に形成され且つTiにより構成される下層421と、この下層421の上面に形成され且つPtにより構成される上層422とを有する。ここで、下層421の層厚は、20nm、上層422の層厚は、40nmである。
【0031】
感応層41は、酸化スズからなるものである。この感応層41は、図4に示されるように、微結晶の酸化スズ結晶集合体411が、連続的に形成された薄膜であり、また、この微結晶の酸化スズ結晶集合体の存在は、感応層41の断面を透過型電子顕微鏡で50万倍の倍率で観察したときに、結晶集合体が確認できない程度の微細な結晶構造として確認される。
更に、感応層41の平面形状は、図3に示されるような角部がR形状である四辺形である。また、実施例1〜3、比較例1〜3では、形状膜厚計測法で測定した場合における感応層41の層厚が以下の表1に示したガスセンサ素子をそれぞれ形成して、感応層41の層厚の異なった素子を形成することによって感応層41の層厚xと電極の層厚yとの比(x/y)を変化させた。下記表1に感応層41の層厚xと電極の層厚yとの比(x/y)を示す。
【0032】
〔2〕製造方法
以下の工程により実施例1〜3、比較例1〜3のガスセンサ素子を製造した。(1)シリコン板の洗浄
まず、洗浄液中に、基板2となるシリコン板を浸し、洗浄処理を行った。
(2)絶縁層31の形成
上記シリコン板を熱処理炉に入れ、熱酸化処理にて膜厚が100nmの絶縁層31となる酸化ケイ素膜を上記シリコン板(以下、基板2とする。)の全面に形成した。
【0033】
(3)絶縁層32、33及び発熱体5(発熱体用リード部を含む)の形成
一方の面に絶縁層32となる窒化ケイ素膜、及び、他方の面に絶縁層33のうちの下半分の部分である下部絶縁層331(図2参照)となる窒化ケイ素膜(膜厚200nm)をプラズマCVDにて、SiH,NHをソースガスとして形成した。その後、この下部絶縁層331表面にDCスパッタ装置を用いて、発熱体5となるTi層(膜厚25nm)を形成後、Pt層(膜厚250nm)を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、エッチング処理で発熱体5のパターンを形成した。次いで、絶縁層33のうちの上半分の部分である上部絶縁層332(図2参照)を上述した方法と同様にして形成した。このようにして、絶縁層32、33及び絶縁層33内部に配置された発熱体5を形成した。
【0034】
(4)発熱体用コンタクト部の形成
次いで、ドライエッチング法で絶縁層33のエッチングを行い、発熱体用コンタクト部となる部分上に穴をあけて発熱体用コンタクト部となる部分を露出させた。その後、DCスパッタ装置を用いて、Ti層(膜厚20nm)を形成後、Pt層(膜厚40nm)を形成し、スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行うことによって、発熱体用コンタクト部を形成した。
(5)電極42(電極用リード部及び電極用コンタクト部を含む。)の形成
DCスパッタ装置を用いて、下層421となるTi層(膜厚20nm)を形成後、上層422となるPt層(膜厚40nm)を形成し、スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行うことによって、下層421及び上層422を形成した。
【0035】
(7)コンタクトパッドの形成
その後、上記工程を終えた基板にDCスパッタ装置を用いて、Cr層(膜厚50nm)を形成後、その表面にAu層(膜厚1μm)を形成した。スパッタ後、フォトリソグラフィによりレジストのパターニングを行い、エッチング処理で電極用及び発熱体用コンタクト部上に各コンタクトパッドを形成した。
【0036】
(8)空間部21の形成
次いで、TMAH溶液中に上記工程を終えた基板を浸し、シリコンの異方性エッチングを行い、発熱体と対向するように、且つ絶縁層32が形成されている面が開口するように空間部21を形成した。
(9)感応層41の形成
その後、絶縁層33表面に、感応層41を次の方法で形成した。即ち、RFスパッタ装置を用いて、発熱体5及び空間部21と対向するように酸化スズ層(膜厚は表1参照。)を形成した。スパッタは基板温度を室温にてスパッタした後、アニールを行い、感応層形成時間を変化させることによってそれぞれ層厚が異なる感応層を有するガスセンサ素子を製造した。
酸化スズ層の層厚は下記表1に示すとおりである。尚、このとき感応層41の層厚は、形状膜厚測定法で測定したものである。このようにして、実施例1〜3及び比較例1〜3のガスセンサ素子を得た。
【0037】
【表1】
Figure 0003969645
【0038】
2.電極の厚さを変化させた場合
形状膜厚計測法で測定した場合における感応層の層厚を50nmとし、電極の層厚が以下の表2の実施例〜6、比較例4〜6、参考例1に示されるものとなるガスセンサ素子をそれぞれ形成して、電極の層厚が異なった素子を形成することにより感応層41の層厚xと電極42の層厚yとの比(x/y)を変化させた。以下の表2に感応層41の層厚xと電極42の層厚yとの比(x/y)を示す。それ以外の構成及び製造方法は上記ガスセンサ素子(実施例1〜3、比較例1〜3)と同じである。
【0039】
【表2】
Figure 0003969645
【0040】
3.感応層の断面の観察
上記ガスセンサ素子(実施例1〜3、実施例5〜6、比較例1〜6、参考例1)において、感応層41の断面形状を透過型電子顕微鏡で50万倍の倍率で観察し、その撮影を行った。その結果、全てのガスセンサ素子の感応層41は、微結晶の酸化スズの結晶集合体の連続膜であることが確認された。
【0041】
4.性能評価
ベースガスとして、20.9%のOと残部がNからなるガスに、相対湿度が40%になるように水蒸気を含有させたものを使用した。また、酸化性ガスとしてNOを選択し、各実施例、比較例のガスセンサ素子において、ベースガスにガスセンサ素子を5分間保持した場合の抵抗値Rair及び、ベースガスにNO濃度150ppmを添加したガスに上記ガスセンサ素子を5分間保持した場合の抵抗値Rを測定し、その比(R/Rair)により感度を評価した。その結果のうち感応層の厚さを変化させたものを上記表1に示し、また、電極の層厚を変化させたものを上記表2にす。更に、表1及び表2の両方における層厚比(x/y)とNO感度との関係を図5に示す。
【0042】
5.実施例の効果
表1、表2及び図5によれば、層厚比(x/y)が0.19未満、又は3.5を超える場合(比較例1〜6)、NO感度は、9以下であり、酸化性ガスに対する感度が低い。
これに対し、表1、表2及び図5によれば、層厚比(x/y)が0.19〜3.5の場合、NOの感度が20〜70である。これによりNOの濃度を測定するセンサ素子としての性能が優れていることが判る。
また、図5において、NOの感度は、層厚比(x/y)が0.83〜1.25のときにピークとなる予期せぬ挙動を示した。
表1、表2及び図5によれば、層厚比(x/y)が0.19〜3.14の場合、NO感度は、20〜70とすることができる。また、層厚比(x/y)が0.20〜2.61の場合、NO感度は、30〜70とすることができる。また、層厚比(x/y)が0.20〜2.17の場合、NO感度は、40〜70とすることができる。更に、層厚比(x/y)が0.63〜1.80の場合、NO感度は、50〜70とすることができる。また、層厚比(x/y)が0.83〜1.50の場合、NO感度は、60〜70とすることができ、NO感度が特に優れていることが判る。
【0043】
上記ガスセンサ素子(実施例1〜3、実施例5〜、参考例1)は、感応層41が図4に示されるような微結晶の酸化スズの結晶集合体の連続膜からなるものなので、表1、表2及び図5に示されるようにNO2の感度が優れていることが判る。特に、層厚比(x/y)を0.19〜3.5とすることにより、高感度の酸化性ガス用ガスセンサ素子とすることができる
【0044】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に記載されたものに限らず、目的及び用途に応じて、本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、本実施例では、感応部を1つだけ設けているが、また、感応部を複数設けても良い。また、絶縁層表面に酸化性ガス感応部だけでなく、還元性ガスを測定するための還元性ガス感応部を更に設けても良い。
更に、本実施例において、上記感応層41の平面形状は、角部がアール形状となっているものであるが、応力が集中しない形状であれば、他の形状、例えば、角部がテーパー形状の四辺形、略円形、略楕円形、略卵形、略ひょうたん形、又は五角形以上の多角形等とすることができる。
また、本実施例のガスセンサ素子は、酸化性ガスの感度の性能評価としてNOを用いたが、他の酸化性ガス(例えば、他の窒素酸化物ガス、アンモニアガス及び塩素ガスやフッ素ガス等のハロゲン系ガス等)を検知する場合であっても同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のガスセンサ素子の断面を示す説明図である。
【図2】本実施例のガスセンサ素子における感応部の断面を示す説明図である。
【図3】本実施例のガスセンサ素子における感応層の平面形状を示す説明図である。
【図4】本実施例のガスセンサ素子における拡大した感応層の断面を示す模式図である。
【図5】表1及び表2における層厚比と、NO感度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1;ガスセンサ素子、2;基板、21;空間部、3,31,32,33;絶縁層、4;感応部(酸化性ガス感応部)、41;感応層、411;酸化スズ結晶集合体、42;電極、421;下層、422;上層、5;発熱体。

Claims (6)

  1. 基板と、該基板の表面の少なくとも一部に形成された絶縁層と、該絶縁層表面の少なくとも一部に形成された酸化性ガス感応部とを備えるガスセンサ素子であって、
    上記基板は空間部を有し、上記絶縁層は少なくとも該空間部上に位置し且つ上記基板により支持され、上記絶縁層内部の該空間部上に発熱体が形成され、
    上記酸化性ガス感応部は、上記絶縁層表面であり上記発熱体上に形成され且つ酸化スズを主成分とする感応層と、該感応層に接するように上記絶縁層表面に形成された電極とを具備し、
    上記電極は、Ti、Ta、及びTaのうちの少なくとも1種を主成分とし且つ該絶縁層表面に形成された下層と、上記下層上面に形成され且つPt、Au、及びAlのうちの少なくとも1種を主成分とする上層とを有し、
    上記感応層の層厚xと、上記電極の層厚yとの比(x/y)は、0.19〜3.5であり且つ該層厚yは40〜80nmであることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 上記感応層は感応層となる成分を付着堆積させてなる請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 上記感応層の平面形状は、角部が面取りされた四辺形である請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。
  4. 上記感応層の全体を100質量%とした場合に、酸化スズが90質量%以上含有される請求項3に記載のガスセンサ素子。
  5. 上記電極の上記下層の全質量を100質量%とした場合に、Ti、Ta、Ta のうちの少なくとも1種が95質量%以上である請求項4に記載のガスセンサ素子。
  6. 上記電極の上記上層の全質量を100質量%とした場合に、Pt、Au、Alのうちの少なくとも1種が95質量%以上である請求項5に記載のガスセンサ素子。
JP2002255582A 2002-08-30 2002-08-30 ガスセンサ素子 Expired - Fee Related JP3969645B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002255582A JP3969645B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 ガスセンサ素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002255582A JP3969645B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 ガスセンサ素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004093390A JP2004093390A (ja) 2004-03-25
JP3969645B2 true JP3969645B2 (ja) 2007-09-05

Family

ID=32061072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002255582A Expired - Fee Related JP3969645B2 (ja) 2002-08-30 2002-08-30 ガスセンサ素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3969645B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6879093B2 (ja) * 2017-07-11 2021-06-02 富士電機株式会社 酸化性ガスセンサ、ガス警報器、制御装置、および制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004093390A (ja) 2004-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20020142478A1 (en) Gas sensor and method of fabricating a gas sensor
JP4873659B2 (ja) 流体の沸点をダイレクトに求める方法
US20070062812A1 (en) Gas sensor and method for the production thereof
JP4590764B2 (ja) ガスセンサ及びその製造方法
JP6052614B2 (ja) 温度センサ
JP3969645B2 (ja) ガスセンサ素子
JP2000348903A (ja) 薄膜サーミスタ素子および薄膜サーミスタ素子の製造方法
JP4219330B2 (ja) 酸化性ガスセンサ
JP4160806B2 (ja) ガスセンサ素子
JP4603001B2 (ja) ガスセンサ素子
JP2005030907A (ja) ガスセンサ
JPH0213739B2 (ja)
JPH09292285A (ja) 基板温度の測定方法
JP2004093389A (ja) ガスセンサ素子
JPS61191953A (ja) ガス検出装置
JPH0755523A (ja) 流量センサ
JP4461634B2 (ja) 薄膜型ガスセンサ及びその製造方法
JP4320588B2 (ja) 薄膜ガスセンサおよびその製造方法
JP2004333289A (ja) ガスセンサ
US8076245B2 (en) MOS low power sensor with sacrificial membrane
JP2004093387A (ja) ガスセンサ
WO2023210266A1 (ja) ガスセンサ及びガスセンサの製造方法
WO2023210265A1 (ja) ガスセンサ及びガスセンサの製造方法
JP2003294670A (ja) 薄膜ガスセンサ
JP4074368B2 (ja) 発熱型薄膜素子センサとその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050606

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070515

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070601

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3969645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees