JP2004332906A - 転がり軸受用保持器及び転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】自励振動量を抑制すると同時に、適量の潤滑剤を転動体に常時付着させることで、保持器音の発生防止と共に音響耐久性の向上を図ることが可能な転がり軸受用保持器及び転がり軸受を提供する。
【解決手段】各ポケット4は、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部10と、筒状部の基端を閉鎖する底部12と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口Pが形成された先端部14とを備え、各転動体2は、筒状部で周側が保持されると同時に底部と先端部でポケット内の動き量が抑制される。筒状部には転動体の周側を保持する円筒面10a,10b、底部には転動体に点接触して保持する底面12a、先端部には開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片14a,14bがそれぞれ形成され、一対の爪片には転動体を保持する湾曲面16a,16bが形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】各ポケット4は、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部10と、筒状部の基端を閉鎖する底部12と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口Pが形成された先端部14とを備え、各転動体2は、筒状部で周側が保持されると同時に底部と先端部でポケット内の動き量が抑制される。筒状部には転動体の周側を保持する円筒面10a,10b、底部には転動体に点接触して保持する底面12a、先端部には開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片14a,14bがそれぞれ形成され、一対の爪片には転動体を保持する湾曲面16a,16bが形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば一般電化製品に組み込まれるモータ(エアコン用ファンモータ等)や、自動車部品用小型モータ等の回転支持部分を構成する転がり軸受用保持器及び転がり軸受用保持器を組み込んだ転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転がり軸受(例えば玉軸受)に組み込まれる保持器として、図5(a),(b)に示すように、全体が円環状を成した冠型保持器100が知られている。このような冠型保持器100には、周方向に沿って所定間隔で複数のポケット102が設けられており、各ポケット102には、転動体104を転動自在に収容保持可能な球面状のポケット面106がそれぞれ形成されている。各ポケット102のポケット面106の直径は、転動体104の直径よりも若干大きく設定されていると共に、各ポケット102のアキシアル方向の一方側には、転動体104の直径よりも開口幅の小さい開口部108が形成されている。そして、開口部108を介して転動体104を押し込むことによって、ポケット102内に転動体104を収容保持させることができるようになっている(例えば、非特許文献1参照)。
このような冠型保持器100を備えた転がり軸受の回転動作時において、内輪と外輪との相対回転に伴って複数の転動体104は、冠型保持器100に保持された状態で自転しながら内外輪間を公転する。
【0003】
【非特許文献1】
JIS用語解説シリーズ「ころがり軸受用語 JIS B 0104−1991準拠」社団法人 日本ベアリング工業会編集、財団法人 日本規格協会発行、1993年7月20日発行、p.31
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の保持器(冠型保持器100)が組み込まれた転がり軸受では、その回転動作中において、保持器の振動が起因する、いわゆる保持器音が発生する場合がある。保持器音は、転がり軸受の回転動作中における冠型保持器100の転動体104に対する動き量が大きいことに起因して、転動体104と保持器との間の滑り摩擦によって保持器がアキシアル方向あるいはラジアル方向に自励振動し、その際、各ポケット102(ポケット面106)に転動体104が衝突することで発生する。
【0005】
そこで、保持器音の発生を防止するために、例えば図6(a)に示すように、各ポケット面106の曲率半径を小さくし、保持器の自励振動量を抑制する方法(以下、第1の方法という)が提案されている。
この第1の方法では、転動体104に対する保持器(冠型保持器100)の動き量を小さくした分だけ保持器の自励振動量をある程度小さくすることはできる。しかし、転動体104表面に付着した潤滑剤(グリース、油)の多くが各ポケット102(開口部108)のエッジで掻き取られて潤滑性が低下してしまうため、転動体104とポケット102(ポケット面106)との間の摩擦力が増加してしまう。この場合、保持器の自励振動を完全に抑制することが困難になると共に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し難くなるため、音響耐久性が低下してしまう。
【0006】
第2の方法として、例えば図6(b)に示すように、各ポケット102(ポケット面106)の一部(底面)に平坦部110を設けることによって、保持器の自励振動量を抑制する方法が提案されている(特開平7−208482号公報、特開2000−55055号公報など)。
しかし、この第2の方法では、平坦部110以外のポケット面106は球面状を成しているため、転動体104に付着した潤滑剤(グリース、油)の多くが各ポケット102(開口部108)のエッジで掻き取られ、潤滑性が低下してしまう。
【0007】
潤滑性を向上させるために、第3の方法として、例えば図6(c)に示すように、ポケット面106を円筒面106aと球面106bとを組み合わせて構成する方法が提案されている(特開平10−238543号公報など)。この場合、円筒面106aは、アキシアル方向に沿って開口部108から球面106bまで延出し、内径が転動体104の直径よりも僅かに大きく設定されている。また、球面106b及び開口部108は、円筒面106aよりも大きな曲率となっている。この第3の方法では、各ポケット102内の転動体104は、転がり軸受の回転動作中において円筒面106aに対して転動体104に付着した潤滑剤が掻き取られ難くなり、潤滑性を向上させることができる。しかし、保持器は円筒面106aに沿って常時移動自在な状態となるため、保持器の自励振動を完全に抑制することは難しい。
【0008】
そこで、第4の方法として、例えば図6(d)に示すように、球面106b及び開口部108を円筒面106aよりも大きな曲率に設定すると共に、これらの曲率中心を互いに交差させる方法が提案されている。この第4の方法では、保持器の自励振動を開口部108と球面106bとの間で抑制することができる。
しかし、開口部108と球面106bとによって転動体104に付着した潤滑剤が掻き取られ易くなるため、潤滑性が低下してしまう。
【0009】
また、第5の方法として、例えば図6(e),(f)に示すように、各ポケット102の開口部108の開口径dを小さくし、保持器の自励振動量(アキシアル方向動き量)を抑制すると共に、保持器内径100aを小さく、あるいは外径100bを大きくすることにより、保持器ポケット102による転動体104の抱え込み量を多くし、保持器の自励振動量(ラジアル方向の動き量)を抑制する方法が考えられている。図中、破線はこの方法以前の保持器の外径と内径を示す。しかし、この場合、ポケット開口径については、保持器成形時あるいは保持器組込み時の爪割れが問題となる。また、保持器内径を小さく、あるいは外径を大きくするためには、保持器内径面と内輪300の外径面、および保持器外径面と外輪400の内径面との間に十分な隙間が確保されないと実現が難しく、小径の軸受の場合にはその隙間を確保し難い設計となっている。
また、ポケット102の形状が球面であるため、上記同様転動体104に付着したグリースが保持器ポケット102のエッジ部により掻き取られ、潤滑性が悪くなり、転動体とポケットとの摩擦力が増大し、保持器の自励振動を完全に抑制することは難しい。また、内外輪の軌道溝への潤滑剤の流入が悪く、音響耐久性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されており、その目的は、自励振動量を抑制すると同時に、適量の潤滑剤を転動体に常時付着させることで、保持器音の発生防止と共に音響耐久性の向上を図ることが可能な転がり軸受用保持器及び転がり軸受を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられた転がり軸受用保持器であって、各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによってポケット内の動き量が抑制されるように構成されており、筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されている。
前記筒状部の円筒面の内径は、転動体の直径よりも比較的大きく設定され、前記先端部の湾曲面の内径は、筒状部の内径よりも比較的大きく設定されている。また、前記底部の底面は、平坦状に形成されている。更に、前記底部と筒状部との間の境界領域、及び、前記先端部と筒状部との間の境界領域には、筒状部の円筒面の内径よりも比較的大きな内径を有する境界面が形成されている。なお、前記底部の底面には、転動体に向けて突出した凸状部が設けられている。
このような構成によれば、転がり軸受動作中において、転動体は、底部(底面)と先端部(湾曲面)とによって、ポケット内の動き量が抑制される(保持器のアキシアル方向動き量が抑制される)と同時に、筒状部(円筒面)によって転動体の潤滑性が確保される。
【0012】
また、上記構成と共に、ポケットのP.C.D(Pitch Circle Diameter:ピッチ円直径)を転動体のP.C.D(Pitch Circle Diameter:ピッチ円直径)に対して保持器内径側若しくは外径側に偏在させる構成を採用することもできる。
このように、ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器外径側に偏在、すなわち、ポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dの構成を採用した場合、上述のアキシアル方向の動き量の抑制と共に、保持器爪先端部の内径側で、弾性的にかつ保持器全体としてラジアル方向の動き量を抑制できる。他方、ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器内径側に偏在、すなわち、ポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dの構成を採用した場合、上述のアキシアル方向の動き量の抑制と共に、保持器爪先端部の外径側で、弾性的にかつ保持器全体としてラジアル方向の動き量を抑制できる。
また、このようにポケットのP.C.Dと転動体のP.C.Dを偏在させることにより、保持器の動き量を抑制できるため、保持器の内外径寸法を変える必要もない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器について、添付図面を参照して説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態では、転がり軸受用保持器の一例として冠型保持器を想定しており、この冠型保持器は、上記従来技術で説明した図5(a)のように、転動体2を転動自在に収容保持するための複数のポケット4が周方向に沿って所定間隔で設けられている。このような冠型保持器は、例えば図4に示すように、転がり軸受を構成する外輪6と内輪8との間に組み込まれ、複数の転動体2を転動自在に案内保持することによって内外輪6,8を相対的に回転させることができるようになっている。この場合、転がり軸受の回転動作中(内外輪6,8が矢印R1,R2方向に回転中)において、外輪6と内輪8との相対回転に伴って複数の転動体2は、冠型保持器に保持された状態で自転しながら内外輪間を公転する。なお、図4の転がり軸受には、密封板(シール、シールド)が示されていないが、密封板は必要に応じて取り付けられる。
【0014】
図1(a),(b)に示すように、各々のポケット4は、基端から先端に向って一方向{具体的には、転がり軸受(冠型保持器)の軸方向Sに沿った方向}に延出した筒状部10と、この筒状部10の基端を閉鎖するように設けられた底部12と、筒状部10の先端に設けられ且つその一部に開口Pが形成された先端部14とを備えている。この場合、転動体2は、ポケット4内において筒状部10によって周側が保持されると同時に、底部12と先端部14とによってポケット4内の動き量が抑制されるように構成されている。
【0015】
筒状部10には、転動体2を保持可能な円筒面10a,10bが形成され、底部12には、転動体2に点接触しながら転動体2を保持可能な底面12aが形成されている。円筒面10a,10bは、転動体2の周側を両側から保持するように対向配置されており、これら円筒面10a,10bの内径は、転動体2の直径よりも比較的大きく設定されている。この場合、転動体2は、その周速の大きい部分(自転軸Tから離れた部分)が円筒面10a,10bに円滑に接触しつつ案内される。
また、先端部14には、開口Pを閉鎖する方向に突出した一対の爪片14a,14bが形成され、各々の爪片14a,14bには、転動体2を底部12(底面12a)に向けて保持可能な湾曲面16a,16bが形成されている。湾曲面16a,16bは、転動体2に向って互いに対向して位置付けられており、これら湾曲面16a,16bの内径は、筒状部10の内径よりも比較的大きく設定されている。この場合、転動体2は、その周速の小さい部分(自転軸Tに接近した部分)が底面12aと湾曲面16a,16bとによって保持案内されるため、転動体2の自転における冠型保持器の摩擦抵抗が小さく抑えられつつ、冠型保持器の自励振動量が抑制される。なお、湾曲面16a,16bとしては、例えば球面或いは円錐面などの形状を適用することが可能である。
また、本実施の形態において、底部12の底面12aは、平坦状に形成されている。この場合、転動体2と底面12aとは略点接触状態となるため、転がり軸受の回転動作中(転動体2の自転中)における摩擦抵抗が抑制される。
【0016】
以上、本実施の形態によれば、平坦状の底面12aが形成された底部12と、湾曲面16a,16bが形成された先端部14(爪片14a,14b)とによってポケット内の転動体2の動き量が抑制されると同時に、円筒面10a,10bが形成された筒状部10によって転動体2の周側が両側から保持される。このとき、転動体2は、底面12aに対して点接触し、湾曲面16a,16bに案内されながら自転する。この場合、転動体2の周速の小さい部分(自転軸Tに接近した部分)が底部12(底面12a)と先端部14(湾曲面16a,16b)とによって保持案内されるため、転動体2の自転における冠型保持器の摩擦抵抗を小さく抑えつつ、冠型保持器の自励振動量を抑制することができる。これと同時に、転動体2の周速の大きい部分(自転軸Tから離れた部分)が筒状部10(円筒面10a,10b)によって保持案内されるため、潤滑剤(図示しない)の掻き取りが抑制されて常時適量の潤滑剤を転動体2に付着させることができる。この結果、保持器音の発生を抑制することができると同時に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し易くなるため、音響耐久性を向上させることができる。
【0017】
さらに、上記した図1(a)(b)の構成に、図1(c)に示す構成を加えることができる。すなわち、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側あるいは内径d2側に偏在させる構成である。
具体的には、例えば、筒状部10の円筒面10a,10b、先端部14の湾曲面16a,16bの中心軸を通るポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側に偏在、すなわち、ポケット4のP.C.D>転動体2のP.C.Dとの構成を採用した。
このような構成を採用した場合、転動体2は接触角に直角な自転軸T(図1(b)参照)で自転し、転動体表面の周速の小さい保持器ポケット4の爪先端部14の湾曲面16a,16bの内径側、及び底部12の平坦状の底面12aにより保持案内され、アキシアル方向の動き量が抑制されると共に、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側に偏在させることにより、ラジアル方向の動き量が抑制される。その他の作用効果は図1(a)(b)と同じである。
また、図1(c)の構成に代えて図1(d)の構成を加えることもできる。
具体的には、例えば、筒状部10の円筒面10a,10b、先端部14の湾曲面16a,16bの中心軸を通るポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器内径d2側に偏在、すなわち、ポケット4のP.C.D<転動体2のP.C.Dとの構成を採用した。
このような構成を採用した場合、転動体2は接触角に直角な自転軸Tで自転し、転動体表面の周速の小さい保持器ポケット4の爪先端部14の湾曲面16a,16bの外径側、及び底部12の平坦状の底面12aにより保持案内され、アキシアル方向の動き量が抑制されると共に、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器内径d2側に偏在させることにより、ラジアル方向の動き量が抑制される。その他の作用効果は図1(a)(b)と同じである。
上述のように、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側あるいは内径d2側に偏在させるにあたり、その偏在の程度は特に限定はされず、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0018】
本発明の改良として、例えば図2(a),(b)に示すように、底部12と筒状部10との間の境界領域、及び、先端部14と筒状部10との間の境界領域に、筒部10の円筒面10a,10bの内径よりも比較的大きな内径を有する境界面18a,18bを形成することも好ましい。この場合、境界面18a,18bとしては、例えば球面或いは円錐面などの形状を適用することが可能である。
このように境界面18a,18bを形成することによって、冠型保持器の剛性を上げることができると共に、例えば保持器成型に用いるアキシアルドロー方式による先端部14(一対の爪14a,14b)の開きや折れ等を防止することができる。なお、その他の効果は、上述した図1に示した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
また、本実施形態にあっても、上述した実施形態と同様に、図1(c)に示すようなポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dとの構成や、図1(d)に示すようなポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dとの構成を加えることもできる。この構成を採用することによる作用効果は上述の実施形態の場合と同じである。
【0019】
また、本発明は、上述した実施の形態及び改良に限定されることはなく、以下のように種々変更することが可能である。
例えば図3(a),(b)に示すように、底部12の底面12aに、転動体2に向けて突出した凸状部20,22を設けることが好ましい。同図において、凸状部20,22は、底面12aから転動体2に向けて円弧状に突出した球面形状を成しており、その凸状部20,22と転動体2とは互いに点接触となっている。
このように底面12aに凸状部20,22を形成することによって、転動体2と各ポケット4との間に潤滑剤を保留するための空間を広く確保できるため、転動体2の潤滑性を維持することができると共に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し易くなるため、音響耐久性を更に向上させることができる。なお、その他の効果は、上述した実施の形態及び改良と同様であるため、その説明は省略する。
また、本実施形態にあっても、上述した実施形態と同様に、図1(c)に示すようなポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dとの構成や、図1(d)に示すようなポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dとの構成を加えることもできる。この構成を採用することによる作用効果は上述の実施形態の場合と同じである。
【0020】
なお、この変形例では、凸状部20,22を球面状に形成したが、これに限定されることはなく、例えば円筒状或いは多角形状など、底面12aから転動体2に向けて突出した形状であれば任意の形状を適用することが可能である。
また、図面に表された各ポケット4の構成は、本発明の一例であり、全てのポケット4を同一仕様にする必要はなく、例えば本発明と従来例とを組み合わせたり、上述した実施の形態、改良及び変形例を任意に組み合わせてもよい。
【0021】
ここで、上述した実施の形態、改良及び変形例にかかる構成の冠型保持器の効果(保持器音の発生抑制効果、音響耐久性効果)を確認するための実験について、図2(c)を参照して説明する。
この実験では、図2(a),(b)に示された冠型保持器を玉軸受(内径15mm、外径32mm、幅8mm)に組み込み、潤滑剤としてエステル系グリースを封入した。そして、この玉軸受を10種類のモータにセットし、予圧29.4Nを加えた状態で毎分3000回転でモータを駆動させ、聴覚による保持器音の判定を行った。
この結果、従来の保持器では、半数以上が保持器音の発生が認められた(図2(d)の×印)が、本発明では、保持器音は皆無となり(図2(d)の○印)、保持器音の発生防止に顕著な効果があることが確認された。また、これら10種類のモータについて、1万時間の耐久試験(毎分3000回転、予圧29.4N、雰囲気温度80℃)を行ったが、本発明では、6dBを超える極端な音響上昇や焼き付き異常は認められなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、自励振動量を抑制すると同時に、適量の潤滑剤を転動体に常時付着させることで、保持器音の発生防止と共に音響耐久性の向上を図ることが可能な転がり軸受用保持器及び転がり軸受を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図であって、ポケットの部分の拡大斜視図、(b)はポケットの部分の側面図、(c)はポケットのP.C.Dを、転動体のP.C.Dに対して保持器外径側に偏在させた概略図、(d)はポケットのP.C.Dを、転動体のP.C.Dに対して保持器内径側に偏在させた概略図。
【図2】(a)は、本発明の改良に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図であって、ポケットの部分の拡大斜視図、(b)はその側面図、(c)は本発明の転がり軸受用保持器の効果を確認するための実験結果を示す図。
【図3】(a),(b)は、本発明の変形例に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図。
【図4】本発明の保持器が組み込まれた転がり軸受の構成を示す斜視図。
【図5】従来の保持器の構成を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図6】(a)は、保持器音の発生を防止するための従来の第1の方法を説明するための図、(b)は、保持器音の発生を防止するための従来の第2の方法を説明するための図、(c)は、保持器音の発生を防止するための従来の第3の方法を説明するための図、(d)は、保持器音の発生を防止するための従来の第4の方法を説明するための図、(e)及び(f)は保持器音の発生を防止するための従来の第5の方法を説明するための図。
【符号の説明】
2:転動体
10:筒状部
10a,10b:円筒面
12:底部
12a:底面
14:先端部
14a,14b:爪片
16a,16b:湾曲面
P:開口
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば一般電化製品に組み込まれるモータ(エアコン用ファンモータ等)や、自動車部品用小型モータ等の回転支持部分を構成する転がり軸受用保持器及び転がり軸受用保持器を組み込んだ転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、転がり軸受(例えば玉軸受)に組み込まれる保持器として、図5(a),(b)に示すように、全体が円環状を成した冠型保持器100が知られている。このような冠型保持器100には、周方向に沿って所定間隔で複数のポケット102が設けられており、各ポケット102には、転動体104を転動自在に収容保持可能な球面状のポケット面106がそれぞれ形成されている。各ポケット102のポケット面106の直径は、転動体104の直径よりも若干大きく設定されていると共に、各ポケット102のアキシアル方向の一方側には、転動体104の直径よりも開口幅の小さい開口部108が形成されている。そして、開口部108を介して転動体104を押し込むことによって、ポケット102内に転動体104を収容保持させることができるようになっている(例えば、非特許文献1参照)。
このような冠型保持器100を備えた転がり軸受の回転動作時において、内輪と外輪との相対回転に伴って複数の転動体104は、冠型保持器100に保持された状態で自転しながら内外輪間を公転する。
【0003】
【非特許文献1】
JIS用語解説シリーズ「ころがり軸受用語 JIS B 0104−1991準拠」社団法人 日本ベアリング工業会編集、財団法人 日本規格協会発行、1993年7月20日発行、p.31
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の保持器(冠型保持器100)が組み込まれた転がり軸受では、その回転動作中において、保持器の振動が起因する、いわゆる保持器音が発生する場合がある。保持器音は、転がり軸受の回転動作中における冠型保持器100の転動体104に対する動き量が大きいことに起因して、転動体104と保持器との間の滑り摩擦によって保持器がアキシアル方向あるいはラジアル方向に自励振動し、その際、各ポケット102(ポケット面106)に転動体104が衝突することで発生する。
【0005】
そこで、保持器音の発生を防止するために、例えば図6(a)に示すように、各ポケット面106の曲率半径を小さくし、保持器の自励振動量を抑制する方法(以下、第1の方法という)が提案されている。
この第1の方法では、転動体104に対する保持器(冠型保持器100)の動き量を小さくした分だけ保持器の自励振動量をある程度小さくすることはできる。しかし、転動体104表面に付着した潤滑剤(グリース、油)の多くが各ポケット102(開口部108)のエッジで掻き取られて潤滑性が低下してしまうため、転動体104とポケット102(ポケット面106)との間の摩擦力が増加してしまう。この場合、保持器の自励振動を完全に抑制することが困難になると共に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し難くなるため、音響耐久性が低下してしまう。
【0006】
第2の方法として、例えば図6(b)に示すように、各ポケット102(ポケット面106)の一部(底面)に平坦部110を設けることによって、保持器の自励振動量を抑制する方法が提案されている(特開平7−208482号公報、特開2000−55055号公報など)。
しかし、この第2の方法では、平坦部110以外のポケット面106は球面状を成しているため、転動体104に付着した潤滑剤(グリース、油)の多くが各ポケット102(開口部108)のエッジで掻き取られ、潤滑性が低下してしまう。
【0007】
潤滑性を向上させるために、第3の方法として、例えば図6(c)に示すように、ポケット面106を円筒面106aと球面106bとを組み合わせて構成する方法が提案されている(特開平10−238543号公報など)。この場合、円筒面106aは、アキシアル方向に沿って開口部108から球面106bまで延出し、内径が転動体104の直径よりも僅かに大きく設定されている。また、球面106b及び開口部108は、円筒面106aよりも大きな曲率となっている。この第3の方法では、各ポケット102内の転動体104は、転がり軸受の回転動作中において円筒面106aに対して転動体104に付着した潤滑剤が掻き取られ難くなり、潤滑性を向上させることができる。しかし、保持器は円筒面106aに沿って常時移動自在な状態となるため、保持器の自励振動を完全に抑制することは難しい。
【0008】
そこで、第4の方法として、例えば図6(d)に示すように、球面106b及び開口部108を円筒面106aよりも大きな曲率に設定すると共に、これらの曲率中心を互いに交差させる方法が提案されている。この第4の方法では、保持器の自励振動を開口部108と球面106bとの間で抑制することができる。
しかし、開口部108と球面106bとによって転動体104に付着した潤滑剤が掻き取られ易くなるため、潤滑性が低下してしまう。
【0009】
また、第5の方法として、例えば図6(e),(f)に示すように、各ポケット102の開口部108の開口径dを小さくし、保持器の自励振動量(アキシアル方向動き量)を抑制すると共に、保持器内径100aを小さく、あるいは外径100bを大きくすることにより、保持器ポケット102による転動体104の抱え込み量を多くし、保持器の自励振動量(ラジアル方向の動き量)を抑制する方法が考えられている。図中、破線はこの方法以前の保持器の外径と内径を示す。しかし、この場合、ポケット開口径については、保持器成形時あるいは保持器組込み時の爪割れが問題となる。また、保持器内径を小さく、あるいは外径を大きくするためには、保持器内径面と内輪300の外径面、および保持器外径面と外輪400の内径面との間に十分な隙間が確保されないと実現が難しく、小径の軸受の場合にはその隙間を確保し難い設計となっている。
また、ポケット102の形状が球面であるため、上記同様転動体104に付着したグリースが保持器ポケット102のエッジ部により掻き取られ、潤滑性が悪くなり、転動体とポケットとの摩擦力が増大し、保持器の自励振動を完全に抑制することは難しい。また、内外輪の軌道溝への潤滑剤の流入が悪く、音響耐久性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されており、その目的は、自励振動量を抑制すると同時に、適量の潤滑剤を転動体に常時付着させることで、保持器音の発生防止と共に音響耐久性の向上を図ることが可能な転がり軸受用保持器及び転がり軸受を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられた転がり軸受用保持器であって、各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによってポケット内の動き量が抑制されるように構成されており、筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されている。
前記筒状部の円筒面の内径は、転動体の直径よりも比較的大きく設定され、前記先端部の湾曲面の内径は、筒状部の内径よりも比較的大きく設定されている。また、前記底部の底面は、平坦状に形成されている。更に、前記底部と筒状部との間の境界領域、及び、前記先端部と筒状部との間の境界領域には、筒状部の円筒面の内径よりも比較的大きな内径を有する境界面が形成されている。なお、前記底部の底面には、転動体に向けて突出した凸状部が設けられている。
このような構成によれば、転がり軸受動作中において、転動体は、底部(底面)と先端部(湾曲面)とによって、ポケット内の動き量が抑制される(保持器のアキシアル方向動き量が抑制される)と同時に、筒状部(円筒面)によって転動体の潤滑性が確保される。
【0012】
また、上記構成と共に、ポケットのP.C.D(Pitch Circle Diameter:ピッチ円直径)を転動体のP.C.D(Pitch Circle Diameter:ピッチ円直径)に対して保持器内径側若しくは外径側に偏在させる構成を採用することもできる。
このように、ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器外径側に偏在、すなわち、ポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dの構成を採用した場合、上述のアキシアル方向の動き量の抑制と共に、保持器爪先端部の内径側で、弾性的にかつ保持器全体としてラジアル方向の動き量を抑制できる。他方、ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器内径側に偏在、すなわち、ポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dの構成を採用した場合、上述のアキシアル方向の動き量の抑制と共に、保持器爪先端部の外径側で、弾性的にかつ保持器全体としてラジアル方向の動き量を抑制できる。
また、このようにポケットのP.C.Dと転動体のP.C.Dを偏在させることにより、保持器の動き量を抑制できるため、保持器の内外径寸法を変える必要もない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器について、添付図面を参照して説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態では、転がり軸受用保持器の一例として冠型保持器を想定しており、この冠型保持器は、上記従来技術で説明した図5(a)のように、転動体2を転動自在に収容保持するための複数のポケット4が周方向に沿って所定間隔で設けられている。このような冠型保持器は、例えば図4に示すように、転がり軸受を構成する外輪6と内輪8との間に組み込まれ、複数の転動体2を転動自在に案内保持することによって内外輪6,8を相対的に回転させることができるようになっている。この場合、転がり軸受の回転動作中(内外輪6,8が矢印R1,R2方向に回転中)において、外輪6と内輪8との相対回転に伴って複数の転動体2は、冠型保持器に保持された状態で自転しながら内外輪間を公転する。なお、図4の転がり軸受には、密封板(シール、シールド)が示されていないが、密封板は必要に応じて取り付けられる。
【0014】
図1(a),(b)に示すように、各々のポケット4は、基端から先端に向って一方向{具体的には、転がり軸受(冠型保持器)の軸方向Sに沿った方向}に延出した筒状部10と、この筒状部10の基端を閉鎖するように設けられた底部12と、筒状部10の先端に設けられ且つその一部に開口Pが形成された先端部14とを備えている。この場合、転動体2は、ポケット4内において筒状部10によって周側が保持されると同時に、底部12と先端部14とによってポケット4内の動き量が抑制されるように構成されている。
【0015】
筒状部10には、転動体2を保持可能な円筒面10a,10bが形成され、底部12には、転動体2に点接触しながら転動体2を保持可能な底面12aが形成されている。円筒面10a,10bは、転動体2の周側を両側から保持するように対向配置されており、これら円筒面10a,10bの内径は、転動体2の直径よりも比較的大きく設定されている。この場合、転動体2は、その周速の大きい部分(自転軸Tから離れた部分)が円筒面10a,10bに円滑に接触しつつ案内される。
また、先端部14には、開口Pを閉鎖する方向に突出した一対の爪片14a,14bが形成され、各々の爪片14a,14bには、転動体2を底部12(底面12a)に向けて保持可能な湾曲面16a,16bが形成されている。湾曲面16a,16bは、転動体2に向って互いに対向して位置付けられており、これら湾曲面16a,16bの内径は、筒状部10の内径よりも比較的大きく設定されている。この場合、転動体2は、その周速の小さい部分(自転軸Tに接近した部分)が底面12aと湾曲面16a,16bとによって保持案内されるため、転動体2の自転における冠型保持器の摩擦抵抗が小さく抑えられつつ、冠型保持器の自励振動量が抑制される。なお、湾曲面16a,16bとしては、例えば球面或いは円錐面などの形状を適用することが可能である。
また、本実施の形態において、底部12の底面12aは、平坦状に形成されている。この場合、転動体2と底面12aとは略点接触状態となるため、転がり軸受の回転動作中(転動体2の自転中)における摩擦抵抗が抑制される。
【0016】
以上、本実施の形態によれば、平坦状の底面12aが形成された底部12と、湾曲面16a,16bが形成された先端部14(爪片14a,14b)とによってポケット内の転動体2の動き量が抑制されると同時に、円筒面10a,10bが形成された筒状部10によって転動体2の周側が両側から保持される。このとき、転動体2は、底面12aに対して点接触し、湾曲面16a,16bに案内されながら自転する。この場合、転動体2の周速の小さい部分(自転軸Tに接近した部分)が底部12(底面12a)と先端部14(湾曲面16a,16b)とによって保持案内されるため、転動体2の自転における冠型保持器の摩擦抵抗を小さく抑えつつ、冠型保持器の自励振動量を抑制することができる。これと同時に、転動体2の周速の大きい部分(自転軸Tから離れた部分)が筒状部10(円筒面10a,10b)によって保持案内されるため、潤滑剤(図示しない)の掻き取りが抑制されて常時適量の潤滑剤を転動体2に付着させることができる。この結果、保持器音の発生を抑制することができると同時に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し易くなるため、音響耐久性を向上させることができる。
【0017】
さらに、上記した図1(a)(b)の構成に、図1(c)に示す構成を加えることができる。すなわち、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側あるいは内径d2側に偏在させる構成である。
具体的には、例えば、筒状部10の円筒面10a,10b、先端部14の湾曲面16a,16bの中心軸を通るポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側に偏在、すなわち、ポケット4のP.C.D>転動体2のP.C.Dとの構成を採用した。
このような構成を採用した場合、転動体2は接触角に直角な自転軸T(図1(b)参照)で自転し、転動体表面の周速の小さい保持器ポケット4の爪先端部14の湾曲面16a,16bの内径側、及び底部12の平坦状の底面12aにより保持案内され、アキシアル方向の動き量が抑制されると共に、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側に偏在させることにより、ラジアル方向の動き量が抑制される。その他の作用効果は図1(a)(b)と同じである。
また、図1(c)の構成に代えて図1(d)の構成を加えることもできる。
具体的には、例えば、筒状部10の円筒面10a,10b、先端部14の湾曲面16a,16bの中心軸を通るポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器内径d2側に偏在、すなわち、ポケット4のP.C.D<転動体2のP.C.Dとの構成を採用した。
このような構成を採用した場合、転動体2は接触角に直角な自転軸Tで自転し、転動体表面の周速の小さい保持器ポケット4の爪先端部14の湾曲面16a,16bの外径側、及び底部12の平坦状の底面12aにより保持案内され、アキシアル方向の動き量が抑制されると共に、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器内径d2側に偏在させることにより、ラジアル方向の動き量が抑制される。その他の作用効果は図1(a)(b)と同じである。
上述のように、ポケット4のP.C.Dを、転動体2のP.C.Dに対して保持器外径d1側あるいは内径d2側に偏在させるにあたり、その偏在の程度は特に限定はされず、本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
【0018】
本発明の改良として、例えば図2(a),(b)に示すように、底部12と筒状部10との間の境界領域、及び、先端部14と筒状部10との間の境界領域に、筒部10の円筒面10a,10bの内径よりも比較的大きな内径を有する境界面18a,18bを形成することも好ましい。この場合、境界面18a,18bとしては、例えば球面或いは円錐面などの形状を適用することが可能である。
このように境界面18a,18bを形成することによって、冠型保持器の剛性を上げることができると共に、例えば保持器成型に用いるアキシアルドロー方式による先端部14(一対の爪14a,14b)の開きや折れ等を防止することができる。なお、その他の効果は、上述した図1に示した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
また、本実施形態にあっても、上述した実施形態と同様に、図1(c)に示すようなポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dとの構成や、図1(d)に示すようなポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dとの構成を加えることもできる。この構成を採用することによる作用効果は上述の実施形態の場合と同じである。
【0019】
また、本発明は、上述した実施の形態及び改良に限定されることはなく、以下のように種々変更することが可能である。
例えば図3(a),(b)に示すように、底部12の底面12aに、転動体2に向けて突出した凸状部20,22を設けることが好ましい。同図において、凸状部20,22は、底面12aから転動体2に向けて円弧状に突出した球面形状を成しており、その凸状部20,22と転動体2とは互いに点接触となっている。
このように底面12aに凸状部20,22を形成することによって、転動体2と各ポケット4との間に潤滑剤を保留するための空間を広く確保できるため、転動体2の潤滑性を維持することができると共に、かかる保持器を組み込んだ転がり軸受の内外輪の軌道溝へ潤滑剤が流入し易くなるため、音響耐久性を更に向上させることができる。なお、その他の効果は、上述した実施の形態及び改良と同様であるため、その説明は省略する。
また、本実施形態にあっても、上述した実施形態と同様に、図1(c)に示すようなポケットのP.C.D>転動体のP.C.Dとの構成や、図1(d)に示すようなポケットのP.C.D<転動体のP.C.Dとの構成を加えることもできる。この構成を採用することによる作用効果は上述の実施形態の場合と同じである。
【0020】
なお、この変形例では、凸状部20,22を球面状に形成したが、これに限定されることはなく、例えば円筒状或いは多角形状など、底面12aから転動体2に向けて突出した形状であれば任意の形状を適用することが可能である。
また、図面に表された各ポケット4の構成は、本発明の一例であり、全てのポケット4を同一仕様にする必要はなく、例えば本発明と従来例とを組み合わせたり、上述した実施の形態、改良及び変形例を任意に組み合わせてもよい。
【0021】
ここで、上述した実施の形態、改良及び変形例にかかる構成の冠型保持器の効果(保持器音の発生抑制効果、音響耐久性効果)を確認するための実験について、図2(c)を参照して説明する。
この実験では、図2(a),(b)に示された冠型保持器を玉軸受(内径15mm、外径32mm、幅8mm)に組み込み、潤滑剤としてエステル系グリースを封入した。そして、この玉軸受を10種類のモータにセットし、予圧29.4Nを加えた状態で毎分3000回転でモータを駆動させ、聴覚による保持器音の判定を行った。
この結果、従来の保持器では、半数以上が保持器音の発生が認められた(図2(d)の×印)が、本発明では、保持器音は皆無となり(図2(d)の○印)、保持器音の発生防止に顕著な効果があることが確認された。また、これら10種類のモータについて、1万時間の耐久試験(毎分3000回転、予圧29.4N、雰囲気温度80℃)を行ったが、本発明では、6dBを超える極端な音響上昇や焼き付き異常は認められなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、自励振動量を抑制すると同時に、適量の潤滑剤を転動体に常時付着させることで、保持器音の発生防止と共に音響耐久性の向上を図ることが可能な転がり軸受用保持器及び転がり軸受を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図であって、ポケットの部分の拡大斜視図、(b)はポケットの部分の側面図、(c)はポケットのP.C.Dを、転動体のP.C.Dに対して保持器外径側に偏在させた概略図、(d)はポケットのP.C.Dを、転動体のP.C.Dに対して保持器内径側に偏在させた概略図。
【図2】(a)は、本発明の改良に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図であって、ポケットの部分の拡大斜視図、(b)はその側面図、(c)は本発明の転がり軸受用保持器の効果を確認するための実験結果を示す図。
【図3】(a),(b)は、本発明の変形例に係る転がり軸受用保持器の構成を示す図。
【図4】本発明の保持器が組み込まれた転がり軸受の構成を示す斜視図。
【図5】従来の保持器の構成を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【図6】(a)は、保持器音の発生を防止するための従来の第1の方法を説明するための図、(b)は、保持器音の発生を防止するための従来の第2の方法を説明するための図、(c)は、保持器音の発生を防止するための従来の第3の方法を説明するための図、(d)は、保持器音の発生を防止するための従来の第4の方法を説明するための図、(e)及び(f)は保持器音の発生を防止するための従来の第5の方法を説明するための図。
【符号の説明】
2:転動体
10:筒状部
10a,10b:円筒面
12:底部
12a:底面
14:先端部
14a,14b:爪片
16a,16b:湾曲面
P:開口
Claims (8)
- 転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられた転がり軸受用保持器であって、
各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによってポケット内の動き量が抑制されるように構成されており、
筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されていることを特徴とする転がり軸受用保持器。 - 転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられた転がり軸受用保持器であって、
各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによってポケット内の動き量が抑制されるように構成されており、
筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されており、
ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器内径側若しくは外径側に偏在させたことを特徴とする転がり軸受用保持器。 - 筒状部の円筒面の内径は、転動体の直径よりも比較的大きく設定され、先端部の湾曲面の内径は、筒状部の内径よりも比較的大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
- 底部の底面は、平坦状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
- 底部の底面には、転動体に向けて突出した凸状部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
- 底部と筒状部との間の境界領域、及び、先端部と筒状部との間の境界領域には、筒状部の円筒面の内径よりも比較的大きな内径を有する境界面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の転がり軸受用保持器。
- 外輪と内輪との間に組み込まれ、複数の転動体を転動自在に案内保持することによって内外輪を相対的に回転させる保持器を備えた転がり軸受であって、
保持器には、転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられており、各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによって軸受の軸方向の動き量が抑制されるように構成されており、
筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されていることを特徴とする転がり軸受。 - 外輪と内輪との間に組み込まれ、複数の転動体を転動自在に案内保持することによって内外輪を相対的に回転させる保持器を備えた転がり軸受であって、
保持器には、転動体を転動自在に収容保持するための複数のポケットが周方向に沿って所定間隔で設けられており、各々のポケットは、基端から先端に向って一方向に延出した筒状部と、この筒状部の基端を閉鎖するように設けられた底部と、筒状部の先端に設けられ且つその一部に開口が形成された先端部とを備え、転動体は、ポケット内において筒状部によって周側が保持されると同時に、底部と先端部とによって軸受の軸方向の動き量が抑制されるように構成されており、
筒状部には、転動体を保持可能な円筒面が形成され、底部には、転動体に点接触しながら転動体を保持可能な底面が形成され、また、先端部には、開口を閉鎖する方向に突出した一対の爪片が形成され、各々の一対の爪片には、転動体を保持可能な湾曲面が形成されており、
ポケットのP.C.Dを転動体のP.C.Dに対して保持器内径側若しくは外径側に偏在させたことを特徴とする転がり軸受。
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