JP2004332067A - 熱間鍛造金型用工具鋼 - Google Patents

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Yoshikatsu Nozawa
宜克 野沢
Mutsumi Ichikawa
睦 市川
Toru Ochiai
徹 落合
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Abstract

【課題】高い耐摩耗性と靱性に優れた熱間鍛造金型用工具鋼を提供することにある。
【解決手段】熱間鍛造金型用工具を、重量比で、C:0.10〜0.25%、Si:0.20〜0.60%、Mn:0.30〜0.70%、Ni:0.60〜1.20%、Cr:1.00〜3.00%、Mo:1.00〜3.00%、V:0.30〜0.80%を含み、残部をFeおよび微量の不純物によって構成する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランクシャフト等を鍛造成形する熱間鍛造金型等に使用され、特に、耐摩耗性と靱性に優れた析出硬化タイプの熱間鍛造金型用工具鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
この析出硬化タイプの熱間鍛造金型用工具鋼とは、焼き入れた後、析出硬化温度(約400℃)で焼き戻しを施し、切削による金型製作が可能な硬さとすると同時に金型として必要な強度が得られる硬さ(HRC36〜44)にして、熱間鍛造金型として使用される際、被加工材の熱により鍛造金型の温度が上昇することにより徐々に析出硬化し、鍛造金型の表面硬さが上昇して高寿命を得ることが可能な工具鋼である。
【0003】
近年、熱間鍛造成形の高速化および自動化が図られるにつれ、鍛造金型の耐久性、信頼性の向上が強く要請されている。すなわち、熱間鍛造成形の高速化によって鍛造金型の表面温度の上昇が大きくなり、従来技術にかかる鍛造金型の型材よりも熱間強度が高く且つ耐摩耗性に優れた型材が要求されているからである。一方、熱間鍛造成形の自動化に伴って、ヒートチェックの発生による鍛造品の金型への張り付きの少ない型材が要求される。
【0004】
従来から、このような要求に対応する熱間工具鋼として、一般的に、SKD61等の焼き入れ−焼き戻しタイプと、3Ni3Mo鋼(0.2%C−3%Ni−3%Mo)に代表される析出硬化タイプとが知られている。
【0005】
前者のSKD61等の焼き入れ−焼き戻しタイプは、金型に機械加工された後、所定の温度で焼き入れ−焼き戻しされて使用される。この場合、約600℃程度の高温焼き戻しが多くの場合に採用されている。
【0006】
後者の析出硬化タイプでは、現状の要求に対して高温強度が不足して満足することができないとともに、耐摩耗性付与の目的で施される窒化処理に際し、窒化層硬度が低く十分な窒化効果が発揮されないという問題点が指摘されている。
【0007】
このような問題点を改善するために、例えば、特許文献1および特許文献2に開示される技術的思想が提案されている。
【0008】
特許文献1に開示された析出硬化型熱間工具鋼は、低C−低〜中Cr−Mo(W)−低Vをベースとして、特にNb添加により結晶粒を著しく微細化して靱性を向上させるとともに、含有成分のNiおよびCrを低Niおよび低Cr化して、高温軟化抵抗の向上を図ってヘタリを改善し、さらに、特に耐軟化抵抗性を必要とすることに対してCoを添加したものである。
【0009】
特許文献2に開示された工具鋼は、中高C−低〜中Cr−低〜中Mo−Vをベースとし、耐摩耗性および高い靱性、並びに耐ヒートチェック性に優れるとしている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−235046号公報
【特許文献2】
特開昭50−131809号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された技術的思想では、靱性を向上させるV(VANADIUM)に同様の目的としてNb(NIOBIUM)を添加しているため、実用上その添加量の適切なバランスを必要とし、さらに、必要に応じてW(TUNGSTEN)、Co等を添加するために、同様に前記添加量のバランスが難しいという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に開示された技術的思想では、C含有量を多くして高い耐摩耗性、硬さが得られるとしているが、CrおよびMoを比較的低く抑制しているために、靱性の劣化、ヒートチェック性に対する成分組成上の添加量のバランスが、前記特許文献1と同様に難しいという問題がある。
【0013】
本発明は、前記の問題を考慮してなされたものであり、従来技術と比較して、高い耐摩耗性と靱性に優れた熱間鍛造金型用工具鋼を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、重量比で、
C:0.10〜0.25%
Si:0.20〜0.60%
Mn:0.30〜0.70%
Ni:0.60〜1.20%
Cr:1.00〜3.00%
Mo:1.00〜3.00%
V:0.30〜0.80%
を含み、残部がFeおよび微量の不純物からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の各化学成分の作用およびその添加限定理由を以下に示す。
【0016】
C:0.10〜0.25%
Cは、焼き入れ−焼き戻し硬さ、高温硬さを維持し、Cr、Mo、V等の炭化物形成元素と結合して炭化物を形成し、高温強度、耐摩耗性を与える。
【0017】
しかしながら、Cを0.25重量%を超えて添加した場合、硬さが過度に高くなり、機械加工性、靱性が低下し、一方、0.10重量%未満では十分な硬さが得られない。
【0018】
Si:0.20〜0.60%
Siは、高温酸化抵抗性を改善できるが、0.60重量%より多すぎるとセメンタイトが黒鉛化して靱性を劣化させ、0.20重量%より少ないと十分な添加効果が得られない。
【0019】
Mn:0.30〜0.70%
Mnは、Siと同様に脱酸材として添加し、鋼の清浄性を高めるとともに、焼き入れ性を高めるためのものであり、0.70重量%より多すぎると熱伝導性の低下と靱性の低下を招来し、0.30重量%より少ないと添加効果が得られない。
【0020】
Ni:0.60〜1.20%
Niは、焼き入れ性を増大させ、耐摩耗性を高めるために添加されるものであり、1.20重量%より多すぎると耐熱性および被削性をそれぞれ劣化させ、0.60重量%より少ないと添加効果が得られない。
【0021】
Cr:1.00〜3.00%
Crは、Cと結合して硬質炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させるとともに、焼き入れ性を高めるものである。3.00重量%より多すぎると焼き入れ低温焼き戻し硬さが高くなり、機械加工性の低下、Cr炭化物の凝集粗大化を招き、高温軟化抵抗性を劣化させる。一方、1.00重量%より少ないと添加効果が得られない。
【0022】
Mo:1.00〜3.00%
Moは、微細な炭化物を形成し、耐摩耗性や耐軟化抵抗性を改善し高温強度を増加させる。1.00重量%より少ないと添加効果が得られない。
【0023】
V:0.30〜0.80%
Vは、安定でしかも硬い炭化物を生成し、結晶粒を微細化し靱性を向上させるために有効なものである。0.30重量%より少ないと耐摩耗性向上が得られない等の添加効果を発揮することができない。
【0024】
本発明によれば、熱間強度特性、衝撃特性、窒化特性、ヒートチェック特性に優れ、熱間鍛造金型に適用することにより、割れを生じることがなく優れた耐摩耗寿命をもたらす析出硬化タイプの熱間鍛造金型用工具鋼が得られる。
【0025】
すなわち、本発明では、低C−低〜中Cr−Mo−中Vをベースとし、これにNiを添加したものであり、結晶粒の粗大化を抑制し、靱性向上のためのVの適量添加と、十分な焼き入れ性および靱性を有するとともに、高温耐摩耗性を改善するためのNiを適量添加した。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱間鍛造金型用工具鋼について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施の形態に係る熱間鍛造金型用工具鋼A、B(以下、本発明鋼A、本発明鋼Bという)、比較鋼C(DK65)、比較鋼D(YHD3)および従来鋼E(SKD61)の各試験材を図1に示すような化学成分で構成し、熱間強度特性、衝撃特性、ヒートチェック特性、および破壊靱性特性についての測定結果の良否判定を図2に示した。
【0028】
前記各試験材は、急冷急熱を利用して析出鋼材の特性を生かして摩耗しにくい金型材の中から選定されたものである。
【0029】
なお、図2中において、「◎」はその測定された特性がたいへん良好であることを示し、「○」はその測定された特性が良好であることを示し、「△」はその測定された特性がやや劣っていることを示している。
【0030】
熱間強度特性に関し、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bは、従来鋼Eに対して約2.5倍の熱間強度を有し、比較鋼Cおよび比較鋼Dと比較してもはるかに優れた熱間強度を有していることがわかった(図3参照)。
【0031】
衝撃強度特性に関し、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bは、従来鋼Eに対して約2.5倍のシャルピー衝撃値を有してねばり強く、比較鋼Cおよび比較鋼Dと比較してもはるかに優れたシャルピー衝撃値を有していることがわかった(図4参照)。
【0032】
ヒートチェック特性に関し、高温加熱600℃−水冷30℃を5000回繰り返して実験した結果、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bは、従来鋼Eに対して約6.5倍、比較鋼Cと比較して約4.5倍の優れた結果が得られ、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bでは、熱疲労の発生が抑制されることがわかった(図5参照)。
【0033】
破壊靱性特性に関し、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bは、従来鋼Eに対してやや劣り、比較鋼Cと比較して破壊応力が劣るものの切欠靱性の点で相殺されることによりほぼ同等の破壊靱性を有するものと予測される(図6参照)。
【0034】
このような各種特性の測定結果から、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bは、熱間鍛造金型として表面が硬く内部が軟らかい、すなわち熱間強度特性と靱性とを高バランスに保持するための成分組成により、耐摩耗性と靱性に優れた鋼材を得ることができた。
【0035】
具体的には、従来鋼Eで製作したクランクシャフトの熱間鍛造金型では、約8000ショットが型寿命であったのに対し、本発明鋼Aおよび本発明鋼Bで製作した熱間鍛造金型では、約16000ショットまで型持ちすることができ、従来鋼Eで製作された熱間鍛造金型と比較して約2倍の金型寿命を達成することができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0037】
すなわち、熱間強度特性、衝撃特性、耐ヒートチェック特性および耐摩耗性にそれぞれ優れているとともに、高い靱性および優れた窒化特性を有する。また、良好な被切削性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼A、本発明鋼B、比較鋼C、比較鋼Dおよび従来鋼Eの化学成分を示す説明図である。
【図2】図1の各試験材の熱間強度特性、衝撃特性、ヒートチェック特性および破壊靱性特性についての測定結果を示す説明図である。
【図3】本発明鋼A、本発明鋼B、比較鋼C、比較鋼Dおよび従来鋼Eの熱間強度特性を示す説明図である。
【図4】本発明鋼A、本発明鋼B、比較鋼C、比較鋼Dおよび従来鋼Eの衝撃特性を示す説明図である。
【図5】本発明鋼A、本発明鋼B、比較鋼C、比較鋼Dおよび従来鋼Eのヒートチェック特性を示す説明図である。
【図6】本発明鋼A、本発明鋼B、比較鋼C、比較鋼Dおよび従来鋼Eの破壊靱性特性を示す説明図である。

Claims (1)

  1. 重量比で、
    C:0.10〜0.25%
    Si:0.20〜0.60%
    Mn:0.30〜0.70%
    Ni:0.60〜1.20%
    Cr:1.00〜3.00%
    Mo:1.00〜3.00%
    V:0.30〜0.80%
    を含み、残部がFeおよび微量の不純物からなることを特徴とする熱間鍛造金型用工具鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114000059A (zh) * 2018-10-05 2022-02-01 日立金属株式会社 热作工具钢及热作工具

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