JP2004331797A - 遮光塗布液および除去液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】白色無機微粉末、バインダーとしてのスチレン系樹脂エマルジョンおよび水を含有することを特徴とする遮光塗布液、および当該遮光塗布液を除去し得るリモネンを含有することを特徴とする除去液であり、特に、水100重量部に対して炭酸カルシウム1〜60重量部、シリカ0.1〜10重量部、およびスチレン系樹脂エマルジョンを固形分として0.1〜30重量部添加してなる遮光塗布液、および当該遮光塗膜の除去液である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウス栽培あるいはトンネル栽培に使用する農業用フィルムに適用する遮光塗布液および当該遮光塗布液を除去するための除去液に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハウス栽培あるいはトンネル栽培に関し、農業用フィルムハウス内で栽培される作物にとって、透過する光が強すぎ、作物に焼けなどの悪影響を与える場合がある。そのような作物の保護のため、農業用ハウスフィルムに遮光性を付与することが行われている。
【0003】
現在そのような手段として、遮光カーテンあるいは遮光性フィルムを敷く方法(例えば、特許文献1および2)、農業用ハウスフィルム外側に水に分散させた石灰等を噴霧する方法等が提案されている。また、温室ハウスのプラスチックフィルムに、微細合成シリカ、フィルム形成性合成樹脂および担体とからなる液体を被覆し、被膜を形成させることにより太陽熱および光量を調節ならしめる方法も提案されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
しかしながら、これらの方法にあっては、例えば、ハウスに遮光カーテンあるいは遮光フィルムを敷く方法は、これらのカーテンまたはフィルムが高価であることより、あまり普及しておらず、より安価な石灰を噴霧する方法が採用されていた。この石灰を噴霧する方法は、安価であり、かつ簡便な方法ではあるが、フィルム上に均一に塗布することが困難であり、また石灰などの無機物の被膜が脆いため、長時間維持できず、雨が降るなどして濡れた場合には、塗布した石灰が流れ落ち、効果の保持の耐久性が乏しい欠点を有している。
【0005】
そこで、最近になって、顔料含有の遮光用ペイントを農業用フィルムにスプレーで散布・塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献4に記載の塗料のスプレー)。この農業用フィルムに遮光ペイントを散布・塗布する方法にあっては、特定の粘度に調整した顔料含有のエマルジョン塗料を使用するものであり、フィルム上への塗膜形成は優れたものである。
【0006】
しかしながら、この塗布膜が不要になった場合には、取除く必要があるが、これら塗布膜を形成するエマルジョン塗料自体は、不要時の除去を可能とする処方で配合されているものではない。このような点を意図したものとして、最近除去可能な保護コーティングが提案されている(特許文献5)。この除去可能な保護コーティングは、強塩基または錯体形成剤を含む除去液により除去可能な保護コーティングであって、顔料とバインダーとしてビニルポリマー系の高分子化合物を使用したものであり、除去液として強塩基および錯体形成剤としてニトリロ3酢酸の3ナトリウム塩を使用しており、土壌等環境への配慮が十分なものとはいえない。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−127934号公報
【特許文献2】
実開平7−30645号公報
【特許文献3】
特公昭55−44567号公報
【特許文献4】
特開2002−119148号公報
【特許文献5】
特表2001−521944号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、上記問題点に鑑み、農業用フィルムへ塗布する遮光塗布液として、塗料中に均一に遮光剤を含有させることができ、したがってフィルム上に均一に遮光剤を分散・塗布することにより、簡便に遮光効果が得られ、長期間の使用に耐え得るものであると共に、その不要時には、当該遮光塗布液により形成された塗膜を簡便に除去し得る、土壌等への影響の無い、環境にやさしい除去液を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための本発明は、白色無機微粉末、バインダーとしてのスチレン系樹脂エマルジョンおよび水を含有することを特徴とする遮光塗布液、および該遮光塗布液を除去し得るリモネンを含有することを特徴とする除去液である。
【0010】
すなわち本発明は、遮光塗布液中に含有させる遮光性を確保するために白色無機微粉末を均一に分散させ、塗布液による白色無機微粉末を含有する塗膜としてスチレン系樹脂塗膜をフィルム上に形成させた場合に、極めて良好な遮光性を確保し得ること、また、その塗膜の不要時には、リモネンを含有する除去液により、極めて簡便に塗膜を除去し得ることを新規に見出し、本発明を完成したのである。特に、除去液中に含有させるリモネンは、天然由来の成分であることより、除去液として使用したとしても、土壌等への悪影響がなく、したがって環境への配慮がなされている点に大きな特徴を有するものである。
【0011】
また、白色無機微粉末として、特に炭酸カルシウムと共にシリカを添加することにより、フィルムへの塗布に際して遮光塗布液の垂れが防止でき、したがってフィルム上に均一に塗布し得るものであり、その結果、簡単に遮光効果が得られる点に、また一つの特徴を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明が提供する遮光塗布液中に含有される、遮光性を確保するために添加される白色無機微粉末としては、白色顔料としてのチタン白、酸化チタン、または体質顔料としての炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、マイカ、硫酸バリウム等をあげることができる。これらの白色無機微粉末はその1種でも、また複数種を選択し、組合せて使用することができる。
【0013】
これらの白色無機微粉末の中でも、炭酸カルシウムと共にシリカを併用して使用するのがよいことが判明した。炭酸カルシウムは、本発明の遮光塗布液中に樹脂エマルジョンが含有され、農業フィルムに塗布された場合には、遮光被膜を形成させるものである。この場合の炭酸カルシウムの粒子径は一概には限定できないが、微細な平均粒子径を有する微粉末としての炭酸カルシウムを用いるのがよい。すなわち、当該炭酸カルシウムは、本発明の遮光塗布液中に均一に分散され、遮光性被膜を形成させるものであり、その粒径は微細なものであることが好ましい。なお、粒子径が大きな場合には、遮光塗布液中に炭酸カルシウムが沈降してしまい、塗布することが困難となり、またスプレー塗布を意図した場合には、かかるスプレー塗布ができず、したがって遮光性を確保することが困難であるとなる。このような微細な炭酸カルシウムの中でも、特にコロイド状の炭酸カルシウムを使用するのがよい。
【0014】
かかる微細な炭酸カルシウムの含有量としては、遮光剤として所望の遮光効果を発揮し得る量であればよく、水100重量部に対して1〜60重量部添加するのがよい。1量部未満であると所望の遮光効果を得ることが困難となり、また60重量部を超えて添加してもそれ以上の遮光効果が得られず、かえって不経済であり、さらに遮光塗布液をスプレー塗布する際に目詰まりを生じ易く、好ましいものではない。
【0015】
一方、本発明が提供する遮光塗布液において炭酸カルシウムと共に含有されるシリカは、当該遮光塗布液のフィルム上への塗布に際してその液の垂れを防止する増粘効果を確保するために添加されるものである。かかる増粘効果を発揮するためのシリカとしては、微細粒子のシリカを含有させるのが好ましい。このようなシリカとしては、具体的にはヒュームドシリカを用いるのがよい。
【0016】
当該シリカの含有量としては、遮光剤として含有される炭酸カルシウムの添加量および用いる樹脂エマルジョンの種類により一概に限定できないが、水100重量部に対して0.1〜10重量部添加するのがよい。0.1重量部未満であると所望の増粘効果を得ることが困難となり、また10重量部を超えて添加してもそれ以上の増粘効果が得られず、不経済であり、また遮光剤としての塗布が困難なものとなる。
【0017】
本発明が提供する遮光塗布液において、塗布液中に含有されるバインダーとしての樹脂エマルジョンは、農業用フィルム上に塗布された遮光液が乾燥し、炭酸カルシウムを均一に分散保持した遮光性樹脂膜を形成するものである一方、当該塗膜がリモネンを含有する除去液で簡便に除去され得る性質を有するものである。そのような樹脂エマルジョンとしては、スチレン系樹脂エマルジョンであり、具体的には、スチレン重合体エマルジョン、スチレン系共重合体エマルジョン、およびこれらエマルジョンと混合する樹脂エマルジョンである。
【0018】
当該樹脂エマルジョンは、水性エマルジョンとして使用され、例えば水中にて乳化剤の存在下に重合あるいは共重合を行う乳化重合方法で得られる樹脂エマルジョンを使用するのがよい。
【0019】
本発明が提供する遮光塗布液中における当該スチレン系樹脂エマルジョンの含有量は、水100重量部に対して、樹脂固形分として0.1〜30重量部添加するのがよい。0.1重量部未満であるとフィルム上への塗膜の形成が不十分であり、また30重量部を超える場合には、塗布後の乾燥に時間がかかり好ましいものではない。
【0020】
本発明の遮光塗布液には、上記した微細粒子径を有する白色無機微粉末、特に炭酸カルシウムならびにシリカの他に、必要に応じて、さらに硬化剤、防腐剤、増粘剤、減粘剤、分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、アルコール類等を添加することができる。
【0021】
一方、本発明が提供する遮光塗布液により形成された遮光性塗膜を除去する除去液としては、リモネンを含有する除去液である。リモネンはその特性として発泡ポリスチレン樹脂を収縮、溶解させる性質を有している。
【0022】
ところで、一般に、高分子化合物からなる塗膜を除去するのには、有機溶媒を用いて除去することも可能である。しかしながら、有機溶媒を使用する場合には、用いる有機溶媒の種類により除去能力が異なり、たとえば、本発明が提供する遮光塗布液として、バインダーにスチレン系樹脂エマルジョンを使用した場合には、それにより形成された遮光性塗膜は、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールでは、除去することができなかった。一方、トリクレン等の塩素系有機溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶媒による除去は可能であるが、これらの有機溶媒は、土壌中に残留し、作物の生育に悪影響を与える。さらに、生育した作物中における残留有機溶媒が問題となる。
【0023】
その点からみれば、本発明が提供するリモネンを含有する除去液は、天然物由来のものであり、リモネンは、ミカン油、レモン油、オレンジ油、樟脳白油などに分布しており、レモン様の香気がある液体であり、既に香料として使用されているものである。その点からみれば、土壌中への残留も問題とならないものであり、安全性が確保されたものであるといえる。かかるリモネンを含有する除去液としては、水にリモネンを分散させた形態を採用することができ、リモネンの水への分散性を向上させるために、界面活性剤を併用することが好ましく、界面活性剤の添加量としては、リモネンと水とからなる除去液100重量部に対して0.1〜5重量部程度である。
【0024】
除去液中におけるリモネンの含有量としては、遮光材塗膜のスチレン系樹脂固形分や塗布量、基材樹脂によって適宜決定され、本発明の遮光材塗膜を除去でき、基材であるフィルムに影響を与えない量とすることが好ましい。したがって、30%濃度溶液〜100%濃度溶液(リモネン原液)とすることができる。30%濃度溶液未満であると、リモネンの含有量が少なく、除去能力が少なくなるために好ましくない。
除去剤の除去能力を向上させるためにリモネンの分散量を高めればよいが、そのために塗付性等を低下させる可能性がある。そのために、リモネンを分散させる水としてpH10以上のアルカリ水を使用することで、少ないリモネンの分散量であっても、除去能力を向上させることが可能となる。アルカリ水に対するリモネンの配合量は30〜70重量%で混合したものを好ましく使用することができる。リモネンの量が多いとアルカリ水を使用する効果が少なく、アルカリ水が多くなるとリモネンの効果が乏しくなってしまう。
【0025】
なお、本発明が提供する遮光塗布液が適用し得る農業フィルムとしては、従来から農業用フィルムとして用いられているものを、いずれも使用することができる。そのようなフィルムの材質としては、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、アクリル樹脂系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ガラス、酢酸ビニル系フィルム等を挙げることができる。
【0026】
かかる農業用フィルムに対する本発明の遮光塗布液の塗布量は、固形分として0.1〜50g/m2程度が好ましい。0.1g/m2未満であると、充分な遮光効果を得ることができない。また50g/m2を超える場合には、塗工作業中に農業用フィルムから樹脂エマルジョンの落滴が生じ、好ましいものではない。
【0027】
かくして、本発明の微細粒子径を有する白色無機微粉末、特に微細炭酸カルシウムならびに微細なシリカ、樹脂エマルジョンおよび水を含有する遮光塗布液は、農業用フィルム上にスプレー散布あるいは塗布されて塗膜を形成し、遮光塗布液中に均一に分散、含有される白色無微機粉末により簡便にその遮光効果を得ることができる。
【0028】
一方、その遮光性塗膜が不要となった場合には、リモネンを含有する除去液を塗膜上にスプレー散布あるいは塗布することにより、簡便に塗膜を除去し得るのである。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により、より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1〜4および比較例1〜5:
下記表1に記載の処方(重量部)により、遮光塗布液を得た。得られた遮光塗布液をアキレス社製農業用フィルム(ノンキリー汎用:0.1mm厚)塗布し、室温にて乾燥後、その遮光性、塗布性および耐水性を一定の基準により評価し、また、そのフィルムに除去液を吹付けて除去能を評価した。その結果をあわせて表中に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
*1:ルミナス(コロイド状炭酸カルシウム;平均粒子径:0.1μm)丸尾カルシウム社製
*2:#300(平均粒子径7nm)日本エアロジル社製
*3:ES−47(スチレン共重合体エマルジョン)中央理化社製
*4:A−612(アクリル系エマルジョン)楠本化成社製
*5:ケミパールSA100(ポリオレフィン系エマルジョン)三井化学社製
*6:消泡剤(サーフィノール440)日信化学社製
*7:界面活性剤(L−77)日本ユニカー社製
【0033】
*11:D−リモネン(ヤスハラケミカル社製)
*12:リモネン:アルカリ水:界面活性剤=1:1:0.2混合液
*13:リモネン:水:界面活性剤=1:1:0.2混合液
【0034】
*8:遮光性については、以下の測定により評価した。
遮光塗布液を塗布した後、室温で乾燥させたフィルムの透明性を、目視により以下の基準で判定した。
◎:均一に白くなり透明感がない。
○:若干不均一であるが、透明感がない。
□:不均一であり、若干透明感がない。
△:かなり不均一であり、透明感がある。
×:全く透明である。
【0035】
*9:塗布性は、遮光塗布液をフィルム上に吹きかけ塗布した状態を、目視により以下の基準で判定した。
◎:液垂れせず、均一に塗布できる。
○:やや液垂れするが、均一に塗布できる。
□:やや液垂れし、少し不均一になる。
△:液垂れし、不均一になる。
×:液垂れが激しく、不均一になる。
【0036】
*10:耐水性については、以下の測定により評価した。
遮光塗布液を塗布した後、室温で乾燥させたフィルムを45°の角度をつけて置き、50cm離れたところから霧吹きで水を吹きかけた時の塗膜の状態を、目視により以下の基準で判定した。
◎:塗膜に全く影響が無く、変化がない。
○:塗膜が殆ど流れ落ちず、若干流水が濁る程度である。
□:塗膜が少し流れ落ち、フィルムに若干透明感が出る程度である。
△:塗膜が剥がれ落ち易く、若干塗膜が残る程度である。
×:塗膜が容易に剥がれ落ち、水と共に流れ落ちる程度である。
【0037】
除去性の評価は、以下の測定により評価した。
遮光塗布液を塗布した後、室温で乾燥させたフィルムを45°の角度をつけて置き、50cm離れたところから霧吹きで除去液を吹きかけた時の塗膜の状態を、目視により以下の基準で判定した。
◎:容易に剥がれ落ち、除去液共に流れ落ちる。
○:剥がれ落ちやすく、若干塗膜が残る程度である。
□:少し流れ落ち、フィルムに若干透明感が出る程度である。
△:殆ど流れ落ちず、若干除去液が濁る程度である。
×:全く影響が無く、変化が無い。
●:フィルムが膨潤し、除去液としての機能が発揮できない。
【0038】
以上の実施例1〜4および比較例1〜5の結果からも明らかなように、本発明の遮光塗布液は、農業用フィルムへの塗布することで、良好な遮光性が得られ、その塗工性も優れ、フィルム上に形成される塗膜の耐水性にも優れていることが理解される。
これに対して比較例の遮光塗布液は、炭酸カルシウムを含有しないと全く遮光性を確保することができず、また、炭酸カルシウムの含有量が多い場合には、吹付けの際に目詰まりが生じ、吹付け自体が困難なものである。さらに、バインダーとしてスチレン系樹脂エマルジョン以外のバインダーを使用した場合には、塗付性、耐水性はそれほど良好なものではない。
【0039】
さらに本発明のリモネンを含有する除去液は、本発明の遮光塗布液により形成された塗膜を良好に除去しているが、有機溶媒により除去では、イソプロピルアルコールの場合には、殆ど塗膜の除去ができず、またトルエンを使用した場合には、フィルム自体が膨潤し、除去液として機能しないものであった。
【0040】
また、本発明のリモネンを含有する除去液は、バインダーとしてスチレン系樹脂エマルジョンを使用した本発明の遮光塗布液により形成された塗膜に対して良好な除去能を発揮する点で特異的である。すなわち、他のバインダー(アクリル系樹脂エマルジョンまたはポリオレフィン系樹脂エマルジョン)を使用して形成した塗膜の除去はできないものであった。
【0041】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明のハウス栽培あるいはトンネル栽培に使用する農業用フィルムに適用する遮光塗布液は、特に微細な粒子径を有する炭酸カルシウム、微細な粒子径を有するシリカ、樹脂エマルジョンとしてスチレン系樹脂エマルジョンおよび水を含有するものであり、塗布液中に含有された炭酸カルシウムが均一に分散され、さらに微細シリカを添加させ、遮光塗布液の液垂れを防止することができ、良好な遮光性塗膜を形成しうるものである。
【0042】
したがって一回の塗布によりフィルム上に遮光性塗膜を均一に形成し得る利点を有し、かかる遮光塗布液を農業用フィルムに塗工することで、太陽光線等によるハウス内の昇温化を抑制することができる遮光・遮熱効果をフィルムに簡便に付与し得る利点を有している。また、樹脂エマルジョンを用いることにより、フィルム上に遮光効果を有する炭酸カルシウムを均一に含有する樹脂塗膜を形成することができ、長期間に渡り遮光効果が維持でき、雨等の水によっても流れ落ちないという、優れた効果を有している。
【0043】
さらに、遮光性塗膜が不要となった場合には、リモネンを含有する除去液により簡便に塗膜を除去し得るものであり、ハウス、トンネル等の被覆材を廃棄、交換する必要が無くなり、農業従事者に対して、多大な経費節減をもたらす利点を有している。
【0044】
また除去液としてリモネンを含有するものであるが、リモネンは天然物由来のものであることより、土壌に与える影響が少なく、地球環境への配慮を図った点で、その効果は絶大なものであるといえる。さらに、リモネンは、レモン等の柑橘類系の香りを有していることより、有機溶媒と比較して、大気への影響の少ないものであり、その作業に防護マスク等の着用が不要であり、簡便な作業環境下で塗膜除去をし得る利点を有している。
Claims (7)
- リモネンを含有する除去液により除去可能な遮光塗布液であって、白色無機微粉末、スチレン系樹脂エマルジョンおよび水を含有してなることを特徴とする遮光塗布液。
- 白色無機微粉末が炭酸カルシウムおよびシリカであることを特徴とする請求項1に記載の遮光塗布液。
- スチレン系樹脂エマルジョンがスチレン系重合体またはスチレン系共重合体、またはこれらと混合可能な樹脂からなるエマルジョンであることを特徴とする請求項1または2に記載の遮光塗布液。
- 水100重量部に対して炭酸カルシウム1〜60重量部、シリカ0.1〜10重量部、およびスチレン系樹脂エマルジョンを固形分として0.1〜30重量部添加してなることを特徴とする請求項1、2または3に記載の遮光塗布液。
- 請求項1から4のいずれかに記載の遮光塗布液を除去する除去液において、リモネンを含有することを特徴とする除去液。
- リモネンの含有量が、30〜100%であることを特徴とする請求項5に記載の除去液。
- pH10以上であるアルカリ水に対するリモネンの配合量が30〜70重量%であることを特徴とする請求項5または6に記載の除去液。
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Cited By (3)
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JP2007161947A (ja) * | 2005-12-16 | 2007-06-28 | Kikusui Chemical Industries Co Ltd | 塗料組成物 |
JP2013158766A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Eco Cosmo:Kk | 被塗装建造物の塗装下地調整方法 |
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2003
- 2003-05-07 JP JP2003128996A patent/JP2004331797A/ja active Pending
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