JP2004331658A - シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法 - Google Patents

シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法 Download PDF

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Tetsuya Nezu
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Abstract

【課題】 シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルから高収率で簡便に製造できる製造法を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)
【化9】

Figure 2004331658

(式中、式中、nは0〜2の整数を表し、Rは低級アルコキシなどを表し、R、R、RおよびRは水素原子などを表し、Rは低級アルキルなどを表す)で表される化合物のシス−トランス混合物を、溶媒中、ブレンステッド塩基で処理し、一般式(II)
【化10】
Figure 2004331658

(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表されるシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを晶析させることを特徴とする上記シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬品としてまたはその合成中間体として有用なシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルから製造する方法に関する。
4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルのシス−トランス混合物から、シス体またはトランス体のみを選択的に取得する方法として、クロマトグラフィーにより分離する方法(例えば、特許文献1参照)、分別結晶化により分離する方法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。しかしながら、クロマトグラフィーを利用した製造法は、工業的製造法として満足されるものではない。また、分別結晶化では、収率が最初のシス−トランス比に依存するため、一定以上の収率向上は見込めない。一方、該シス−トランス混合物からシス体またはトランス体のどちらか一方を富ませる方法として、該シス−トランス混合物をアルコキシド塩基で処理する方法(例えば、特許文献3、4および5参照)が知られているが、目的とするシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの単離収率は必ずしも高くない。
また、シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸の製造法としては、シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを加水分解する方法(例えば、特許文献1および2参照)、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを塩基で処理し、次いで水を添加し処理した後、結晶化して製造する方法(特許文献4および5参照)、1−オキサスピロ[2.5]オクタンを開環して製造する方法(例えば、非特許文献1参照)などが知られている。
国際公開第00/14085号パンフレット 特開2002−302476号公報 国際公開第98/50367号パンフレット 国際公開第01/10817号パンフレット 国際公開第01/10822号パンフレット オーガニック・プロセス・リサーチ・アンド・ディベロップメント(Org.Process R&D)、2003年、第7巻、p.101
本発明の目的は、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)−IV阻害剤などの医薬品としてまたはその合成中間体として有用なシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルから高収率で簡便に取得できる製造法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(17)に関する。
(1) 一般式(I)
Figure 2004331658
[式中、式中、nは0〜2の整数を表し、Rは非置換またはハロゲン置換の低級アルコキシを表し、R、R、RおよびRは水素原子を表すか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が、それぞれが隣接する2つの炭素原子と一緒になって飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が一緒になって結合を表し(すでに存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)(ただし、nが0のときRおよびRは存在しない)、Rは低級アルキル、低級アルケニルまたはアリールを表す]で表される化合物のシス−トランス混合物を、溶媒中、ブレンステッド塩基で処理し、一般式(II)
Figure 2004331658
(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表されるシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを晶析させることを特徴とする上記シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(2) 溶媒が極性溶媒である(1)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(3) 溶媒が極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒である(1)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(4) 極性溶媒がアルコール系溶媒である(2)または(3)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(5) アルコール系溶媒がROH(式中、Rは前記と同義である)である(4)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(6) アルコール系溶媒が二級アルコールまたは三級アルコールである(4)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(7) 溶媒が(a)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびtert−ブタノールからなる群から選ばれる溶媒と(b)ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンからなる群から選ばれる溶媒の混合溶媒である(1)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(8) 溶媒がエタノールおよびヘプタンの混合溶媒である(1)記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(9) ブレンステッド塩基のpKaが12以上である(1)〜(8)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(10) ブレンステッド塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)からなる群から選ばれる塩基である(1)〜(8)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(11) ブレンステッド塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、DBUおよびDBNからなる群から選ばれる塩基である(1)〜(8)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(12) ブレンステッド塩基の使用量が、一般式(I)で表される化合物に対して0.05〜1当量である(1)〜(11)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(13) R、R、RおよびRが水素原子である(1)〜(12)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(14) Rがメトキシである(1)〜(13)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(15) Rが低級アルキルである(1)〜(14)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(16) Rがエチルである(1)〜(14)のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
(17) (1)に記載の一般式(I)で表される化合物のシス−トランス混合物を、溶媒中、ブレンステッド塩基で処理し、晶析を行う工程を含むことを特徴とする、一般式(III)
Figure 2004331658
(式中、n、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表されるシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸の製造法。
本発明により、医薬品(例えばPDE−IV阻害剤など)またはその合成中間体として有用なシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルから高収率で簡便に取得できる製造法が提供される。
以下、一般式(I)、(II)および(III)で表される化合物をそれぞれ化合物(I)、化合物(II)および化合物(III)という。
一般式(I)、(II)および(III)の各基の定義において、低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキルがあげられ、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどがあげられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜6のアルケニルがあげられ、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどがあげられる
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリールがあげられ、より具体的にはフェニル、ナフチル、アントリルなどがあげられる。
同一炭素上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になって形成されるスピロ飽和炭素環、および隣接する炭素原子上に存在する2つの基が、それぞれが隣接する2つの炭素原子と一緒になって形成される飽和炭素環としては、例えば炭素数3〜10の飽和炭素環があげられ、より具体的にはシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカンなどがあげられる。
ハロゲン置換の低級アルキルにおけるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
以下、本発明の製造法を説明する。
製造法1
化合物(II)は、以下の工程により製造することができる。
Figure 2004331658
(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)
化合物(I)を、適当な溶媒中、−78℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは−10℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、より好ましくは50℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間、ブレンステット塩基で処理し、得られた反応混合物をそのまま−78℃から用いる溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは−10℃〜40℃の間の温度で、より好ましくは0℃〜30℃の間の温度で、さらに好ましくは5℃〜30℃の間の温度で、5分間〜48時間攪拌または放置することにより、化合物(II)を晶析させ、得られた固体を濾取することで、化合物(II)を高収率で得ることができる。
好ましくは、上記のブレンステット塩基での処理と化合物(II)の晶析を、同一の反応容器内で同時に行うこともできる。
化合物(I)のシス体含有率は特に限定されないが、0〜99%であるのが好ましい。化合物(II)のシス体含有率は、化合物(I)のシス体含有率より大きく、好ましくは90%以上(化合物(I)のシス体含有率が90%以上である場合は、それ以上)、より好ましくは95%以上(化合物(I)のシス体含有率が95%以上である場合は、それ以上)、さらに好ましくは99%以上である。
用いられるブレンステッド塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化アルカリ金属塩または水酸化アルカリ土類金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムsec−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムn−ブトキシド、カリウムsec−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムn−ブトキシド、リチウムsec−ブトキシド、リチウムtert−ブトキシドなどの炭素数1〜10の金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水素化カルシウムなどの水素化アルカリ金属塩または水素化アルカリ土類金属塩、DBU、DBNなどの有機塩基などがあげられる。中でもpKaが12以上であるものが好ましく、より具体的には、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、DBU、DBNなどがあげられ、さらに好ましくはカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、DBU、DBNなどがあげられる。また、上記のブレンステット塩基は2種以上混合して用いることもでき、さらに、他の別の金属塩、例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどと混合して用いることもできる。
ブレンステッド塩基で処理する際、および晶析を行う際に用いられる適当な溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素数1〜6のアルコール系溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの極性溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、シクロノナン、デカン、シクロデカンなどの炭素数5〜10の炭化水素系非極性溶媒;クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの含ハロゲン炭化水素系溶媒などがあげられる。これらは単独でまたは混合して用いることができ、中でも、極性溶媒と、化合物(II)が溶解し難い例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、シクロノナン、デカン、シクロデカンなどの炭素数5〜10の炭化水素系非極性溶媒の混合溶媒が好ましく、アルコール系溶媒と、化合物(II)が溶解し難い例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、シクロノナン、デカン、シクロデカンなどの炭素数5〜10の炭化水素系非極性溶媒との混合溶媒がより好ましく、ROH、二級アルコール、三級アルコールなどのアルコール系溶媒と、化合物(II)が溶解し難い例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、シクロノナン、デカン、シクロデカンなどの炭素数5〜10の炭化水素系非極性溶媒との混合溶媒がさらに好ましく、より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶媒と、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系非極性溶媒との混合溶媒があげられ、好ましくは、エタノール−ペンタン(Rがエチルの場合)、エタノール−ヘキサン(Rがエチルの場合)、エタノール−ヘプタン(Rがエチルの場合)、イソプロピルアルコール−ヘキサン、イソプロピルアルコール−ヘプタンなどの混合溶媒があげられる。晶析を行う際には、化合物(II)が溶解し難い炭化水素系非極性溶媒を存在させることで、化合物(II)の晶析をより促進させることができる。また、上記のアルコール系溶媒としてROH(式中、Rは前記と同義である)で表されるアルコール系溶媒を用いることで、エステル交換反応による副生成物の生成を抑制することができる。
ブレンステッド塩基の使用量は、化合物(I)に対して好ましくは0.01〜100当量、より好ましくは0.05〜2当量、さらに好ましくは0.05〜1当量であり、溶媒の使用量は、化合物(I)に対して好ましくは0.1 〜1000容量/重量、より好ましくは1〜50容量/重量、さらに好ましくは1〜10容量/重量の範囲である。
なお、原料化合物(I)は、例えばWO00/14085、特開2002−302476などに記載の方法またはそれらに準じた方法により得ることもできるが、市販品として入手してもよい。ブレンステッド塩基は、通常、市販品として入手することができる。
製造法2
化合物(I)を上記製造法1と同様に処理することで化合物(II)を取得し、得られた化合物(II)を、公知の方法、例えばWO00/14085、特開2002−302476などに記載の方法、またはそれらに準じた方法で処理することにより、化合物(III)を製造することができる。
化合物(I)のシス体含有率は特に限定されないが、0〜99%であるのが好ましい。化合物(III)のシス体含有率は、化合物(I)のシス体含有率より大きく、好ましくは90%以上(化合物(I)のシス体含有率が90%以上である場合は、それ以上)、より好ましくは95%以上(化合物(I)のシス体含有率が95%以上である場合は、それ以上)、さらに好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上である。
Figure 2004331658
(式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、洗浄、乾燥、再結晶などに付して単離精製することもできる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。化合物(II)または(III)は、塩の形態や水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの塩や付加物についても本発明によって製造することができる。
化合物(II)または(III)の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩;リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;亜鉛塩;アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩;モルホリン、ピペリジン、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩などがあげられる。
化合物(II)または(III)の塩を取得したいとき、化合物(II)または
(III)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(II)または(III)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
本発明で得られる化合物(II)の好ましい例を第1表に示す。
Figure 2004331658
本発明の製造法により、例えばPDE−IV阻害剤などの医薬品としてまたはその合成中間体として有用なシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを、シス−トランス混合の4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルから高収率かつ簡便に製造することができる。
以下に、本発明の態様を実施例で説明する。
シス−4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルおよびシス−4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸の合成
工程:1
窒素雰囲気下、特開2002−302476記載の方法で得られた4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルのシス−トランス混合物(17.9g、シス体:トランス体=75:25)をエタノール(9 mL)とヘプタン(36 mL)の混合溶媒に懸濁させ、カリウムtert−ブトキシド(583mg、0.1当量)を加え、60℃で6時間撹拌した。反応液を20℃まで降温し、同温度で1時間撹拌した後、得られた固体を単離することにより、シス−4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(化合物1;15.8g、収率 88%、シス体 >99.9%)を白色結晶として得た。なお、シス−トランスの含有比率(%)はHPLCにより決定した(使用カラム:YMC−Pack C8 A−212 150x6.0mm i.d.、移動相:メタノール:リン酸緩衝液(pH=3)=62:38、検出波長:230nm)。
融点 131℃
1H-NMR (CDCl3,δ, ppm) 6.84 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.49 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.39-4.33 (m, 4H), 4.17 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.44 (brd, J = 12.6 Hz, 2H), 2.32 (tt, J = 11.8, 3.8 Hz, 1H), 2.18-1.95 (m, 4H), 1.86 (dt, J = 3.6, 12.6 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
MS (m/z) 346(M+H)+.
IR (KBr, cm-1) 2953, 2228, 1722, 1607, 1504, 1460, 1381, 1325, 1281, 1117, 1043, 953, 787.
工程:2
窒素雰囲気下、上記工程1で得られたシス−4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(化合物1;12.0g)のエタノール(60mL)溶液に6mol/L水酸化ナトリウム水溶液(11.4mL)を加え、30℃で2時間撹拌した。反応液に水(61.2mL)およびトルエン(30mL)を加え抽出した。水層に6mol/L塩酸(17.4mL)を滴下し、5℃で2時間撹拌した後、得られた固体を単離することにより、シス−4−シアノ−4−(2,3−ジヒドロ−8−メトキシ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)シクロヘキサンカルボン酸(10.9g、収率 98%、シス体 >99.9%)を白色結晶として得た。なお、シス−トランスの含有比率(%)はHPLCにより決定した(使用カラム:YMC−Pack C8 A−212 150x6.0mm i.d.、移動相:メタノール:リン酸緩衝液(pH=3)=62:38、検出波長:230nm)。
融点 245℃.
1H-NMR (DMSO-d6,δ, ppm) 12.24 (s, 1H), 6.79 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.60 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.32-4.23 (m, 4H), 3.75 (s, 3H), 2.36-2.25 (m, 3H), 2.06-1.98 (m, 2H), 1.86-1.64 (m, 4H).
MS (m/z) 316(M-H)+.
IR (KBr, cm-1) 3288, 2930, 2232, 1730, 1508, 1456, 804.

Claims (17)

  1. 一般式(I)
    Figure 2004331658

    [式中、式中、nは0〜2の整数を表し、Rは非置換またはハロゲン置換の低級アルコキシを表し、R、R、RおよびRは水素原子を表すか、R、R、RおよびRの中で同一炭素原子上に存在する2つの基がその炭素原子と一緒になってスピロ飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が、それぞれが隣接する2つの炭素原子と一緒になって飽和炭素環を形成するか、R、R、RおよびRの中で隣接する炭素原子上に存在する2つの基が一緒になって結合を表し(すでに存在する結合と一緒になって二重結合を形成する)(ただし、nが0のときRおよびRは存在しない)、Rは低級アルキル、低級アルケニルまたはアリールを表す]で表される化合物のシス−トランス混合物を、溶媒中、ブレンステッド塩基で処理し、一般式(II)
    Figure 2004331658

    (式中、n、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表されるシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルを晶析させることを特徴とする上記シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  2. 溶媒が極性溶媒である請求項1記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  3. 溶媒が極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒である請求項1記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  4. 極性溶媒がアルコール系溶媒である請求項2または3記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  5. アルコール系溶媒がROH(式中、Rは前記と同義である)である請求項4記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  6. アルコール系溶媒が二級アルコールまたは三級アルコールである請求項4記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  7. 溶媒が(a)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびtert−ブタノールからなる群から選ばれる溶媒と(b)ペンタン、ヘキサンおよびヘプタンからなる群から選ばれる溶媒の混合溶媒である請求項1記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  8. 溶媒がエタノールおよびヘプタンの混合溶媒である請求項1記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  9. ブレンステッド塩基のpKaが12以上である請求項1〜8のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  10. ブレンステッド塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)および1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)からなる群から選ばれる塩基である請求項1〜8のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  11. ブレンステッド塩基が、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、DBUおよびDBNからなる群から選ばれる塩基である請求項1〜8のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  12. ブレンステッド塩基の使用量が、一般式(I)で表される化合物に対して0.05〜1当量である請求項1〜11のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  13. 、R、RおよびRが水素原子である請求項1〜12のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  14. がメトキシである請求項1〜13のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  15. が低級アルキルである請求項1〜14のいずれかに記載の
    シス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  16. がエチルである請求項1〜14のいずれかに記載のシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸エステルの製造法。
  17. 請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物のシス−トランス混合物を、溶媒中、ブレンステッド塩基で処理し、晶析を行う工程を含むことを特徴とする、一般式(III)
    Figure 2004331658

    (式中、n、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表されるシス−4−シアノシクロヘキサンカルボン酸の製造法。
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