JP2004330600A - 発泡成形体の成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱シリンダ内を設定圧力内に保つことができ、設定圧力値よりも低下したときには、圧力の回復の応答性が高く、混練ムラもなく、高品位の発泡成形体を得ることができる、発泡成形体の成形方法を提供する。
【解決手段】可塑化工程と、射出工程とから発泡成形体を得るとき、前記可塑化工程が終了すると、スクリュの軸方向と回転方向の移動を阻止すると共に、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持する。
【選択図】 図1
【解決手段】可塑化工程と、射出工程とから発泡成形体を得るとき、前記可塑化工程が終了すると、スクリュの軸方向と回転方向の移動を阻止すると共に、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなる電動式射出成形機を使用し、前記スクリュを回転駆動して樹脂材料を可塑化して所定量の発泡溶融樹脂材料を前記加熱シリンダの前方の計量室に蓄積する可塑化工程と、該可塑化工程で得られた発泡溶融樹脂材料を、金型のキャビティに射出・充填する射出工程とを経て発泡成形体を得る発泡成形体の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡成形品の成形方法は、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体等の化学発泡剤が使用される発泡成形方法と、炭酸ガス、窒素ガス等の物理発泡剤が使用される発泡成形方法とに大別できる。化学発泡剤が使用される成形方法には、発泡剤が混合されている樹脂ペレットを例えば加熱シリンダとスクリュとからなる射出機により溶融混練し、そして予めカウンタ圧力がかけられた金型のキャビティに射出し、射出後一定時間経過後、カウンタ圧力を開放して発泡させるカウンタ圧力成形方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−315153
【特許文献2】特許第3218397号
【特許文献3】特開平11−245256号公報
【特許文献4】特開2001−138371
【0004】
一方、発泡剤に炭酸ガス、窒素ガス等の不活性ガスを使用する物理発泡成形方法は、例えば上記特許文献1〜4等により多数提案されている。これらの特許文献のうち本発明の直接的な先行技術として特許文献4を挙げることができる。この特許文献4に示されている発泡体成形装置は、加熱シリンダと、この加熱シリンダの内部に可塑化方向に回転駆動されると共に、軸方向すなわち射出方向にも駆動可能に設けられているスクリュと、スクリュを可塑化方向と射出方向とにそれぞれ駆動する電動サーボモータとから構成されている。この発泡体成形装置は、コントローラも備えている。
【0005】
したがって、次のようにして発泡成形体を得ることができる。すなわち、ホッパに熱可塑性樹脂材料を入れ、コントローラに付属している設定器により、加熱シリンダの加熱温度、スクリュの回転速度、背圧力、発泡剤の注入タイミング等を設定する。そうして、可塑化用電動サーボモータを起動する。そうすると、スクリュが所定速度で回転駆動され、ホッパから供給される樹脂材料は、加熱シリンダの前方に送られる過程で可塑化され、また不活性ガスが溶融樹脂に注入溶解され、そして計量室に蓄積される。このとき、計量室に蓄積された溶融樹脂は、スクリュを介し射出方向に所定の背圧が与えられ、可塑化工程中の加熱シリンダ内での発泡が抑えられる。これにより、可塑化工程が終わる。その後、スクリュを軸方向すなわち射出方向に駆動して、金型のキャビテイに射出充填する射出工程を行う。射出充填された溶融樹脂は金型内で発泡し、熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
【0006】
特許文献4には、上記のようにして発泡体を得るとき、可塑化工程を射出工程をおこなう直前まで実施する方法、可塑化工程終了後に可塑化用電動モータに制動をかける方法、加熱シリンダ内の圧力が設定値以下に下降すると、スクリュを計量方向に駆動する方法等が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献4に開示されている発泡射出成形方法によると、前述したようにして発泡体を得ることができ、このとき可塑化工程を射出工程が始まる直前まで行ったり、あるいは可塑化工程終了後に可塑化用電動モータに制動をかけるようになっているので、加熱シリンダ内の溶融樹脂の圧力値は超臨界圧力以上に保たれ、また加熱シリンダ内の圧力値が設定値以下に下降すると、スクリュが計量方向に駆動されるので、発泡剤が溶解された溶融樹脂が加熱シリンダ内で発泡することが抑えられるという、優れた効果が認められる。しかしながら、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値が、例えば射出ノズルに設けられているシャットオフバルブからの漏洩等により設定値以下に下降したときに、スクリュを計量方向に回転駆動して圧力を回復するようになっているので、タイムラグが生じ、加熱シリンダ内で発泡する危険性を有している。また、計量方向に駆動されるということは、発泡剤と溶融樹脂が均一に混練された発泡溶融樹脂材料中へ、発泡剤が注入されていない溶融樹脂が補充されることになり、部分的に混練ムラが生じる可能性もある。
本発明は、上記したような危険性あるいは可能性を克服した発泡成形体の成形方法を提供することを目的とし、具体的には加熱シリンダ内を設定圧力内に保つことができ、設定圧力値よりも低下したときには、圧力の回復の応答性が高く、且つ混練ムラ等の不良が発生しない、高品位の発泡成形体を得ることができる、発泡成形体の成形方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、可塑化工程を終了したらスクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止するように構成される。そして、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下降したときは、スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、スクリュを射出方向に駆動して設定値に保つように構成される。スクリュを射出方向に駆動することにより、発泡溶融樹脂材料の混練ムラの発生がなく、またタイムラグも無く、直ちに設定圧力値に回復される。これにより、加熱シリンダ内での発泡が抑えられる。
【0009】
本発明では、発泡剤には前述したような化学発泡剤も適用できるが、好ましくは二酸化炭素や窒素のような不活性ガス等の物理発泡剤が適用される。これらの物理発泡剤を適用することにより、樹脂のリサイクルが可能となり、地球環境に悪影響を及ぼす可能性も小さくなる。そして、これらの不活性ガスは、混練・溶融された高圧状態の溶融樹脂中に注入するように構成される。したがって、不活性ガスの注入圧力は、昇圧ポンプにより加熱シリンダ内の溶融樹脂の圧力値よりも若干高く設定される。
【0010】
溶融樹脂中に不活性ガスを均一に混合、分散させるためには、超臨界状態の不活性ガスを注入するのが望ましい。二酸化炭素あるいは窒素といった不活性ガスを、気体でもなく液体でもない超臨界状態で溶融樹脂中に注入すると、不活性ガスは容易に溶融樹脂中に溶け込み、短時間に拡散し均一に混合分散される。また、不活性ガスは、樹脂量に対して一定比率で注入される。
【0011】
二酸化炭素は、温度304.1K、圧力7.38MPa以上で超臨界状態になり、窒素は温度126K、圧力3.4MPa以上で超臨界状態になる。したがって、本発明の発泡成形体の成形方法の実施に使用される電動式射出成形機には、これらの不活性ガスを超臨界温度以上に加熱するヒータ、超臨界圧力以上に加圧する加圧ポンプまたはブースター等が設けられ、さらには流量制御弁も設けられる。上記したような電動式射出成形機には、一定量の樹脂材料が供給され、そして可塑化される。したがって、溶融樹脂中に注入する不活性ガスを流量制御弁で調節することにより、超臨界状態の不活性ガスの溶解量を制御し、所望の発泡倍率の発泡成形体が得られる。
【0012】
上記のようにして、請求項1に記載の発明は、前記発明の目的を達成するために、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなる電動射出成形機を使用し、前記スクリュを回転駆動して樹脂材料を可塑化して所定量の発泡溶融樹脂材料を前記加熱シリンダの前方の計量室に蓄積する可塑化工程と、該可塑化工程で得られた発泡溶融樹脂材料を、金型のキャビティに射出・充填する射出工程とを経て発泡成形体を得るとき、前記可塑化工程時には、前記スクリュに軸方向の背圧を与えて前記加熱シリンダ内を超臨界圧力以上に保って発泡を抑え、前記可塑化工程が終了すると、前記スクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止すると共に、前記加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持するように構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向の駆動とに電動サーボモータを使用するように、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向との駆動に電動サーボモータを使用すると共に、スクリュの軸方向の移動の阻止を、前記サーボモータに制動をかけることにより行うように、そして請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の成形方法において、発泡剤に不活性ガスを使用するように構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施に使用される電動式射出成形機の実施の形態を説明する。本実施の形態に係わる電動式射出成形機1は、図1に示されているように、概略的には加熱シリンダ2、この加熱シリンダ2の内部に可塑化方向に回転駆動されると共に、軸方向すなわち射出方向にも駆動可能に設けられているスクリュ15、スクリュ15を可塑化方向と射出方向とに駆動するスクリュ駆動装置20、不活性ガス供給装置40、コントローラ45等から構成されている。
【0014】
加熱シリンダ2は、軸方向に所定長さになっている。そして、その外周部には個々に発熱温度が制御される複数個の加熱ヒータ3、3、…が設けられている。加熱シリンダ2には、軸方向の略中間位置において外部から内部に達するガス供給孔4が開けられている。このガス供給孔4に不活性ガス供給装置40に連なっているガス管41が気密的に接続されている。本実施の形態によると、不活性ガス供給装置40は、窒素ガスが充填されているガスボンベ42、42、…、窒素ガスを超臨界圧力以上に昇圧する昇圧ポンプ、超臨界温度以上に加熱する加熱ヒータ、圧力制御弁、流量制御弁等からなっている。なお、可塑化中の加熱シリンダ2内は、通常は不活性ガスの超臨界温度以上になっているので、加熱することなく室温から直接加熱シリンダ2に供給しても超臨界温度になる。したがって、不活性ガス供給装置40における加熱ヒータは省略され得る。
【0015】
加熱シリンダ2の、図1において左方の先端部は、樹脂材料が可塑化され、そして発泡剤が溶解された発泡溶融樹脂材料が蓄積される蓄積室あるいは計量室5となっている。そして、この計量室5には圧力計Psが設けられ、この圧力計Psにより計測される発泡溶融樹脂材料の圧力値は、信号ラインgによりコントローラ45に入力されるようになっている。計量室5の前方にはアダプタを介して射出ノズル7が取り付けられている。射出ノズル7には、バルブ駆動装置8により開閉されるシャットオフバルブ9が設けられている。このシャットオフバルブ9を閉じると、超臨界圧力以上で樹脂材料を可塑化でき、開くと可塑化された発泡溶融樹脂材料を射出することができる。加熱シリンダ2の後方寄りには、材料供給孔10が開けられ、この材料供給孔10に対応して樹脂材料が一時的に貯えられるホッパ11が設けられている。そして、加熱シリンダ2の後端部に、後述するようにスクリュ駆動装置20が設けられている。
【0016】
スクリュ駆動装置20は、可塑化用電動サーボモータ21と射出用電動サーボモータ31とを備えている。そして、可塑化用電動サーボモータ21の出力軸に駆動プーリ22が固定されている。一方、スクリュ15は、加熱シリンダ2の後端部から所定長さ外部へ出て、スプライン軸16となり、その後端部は中間プレート30のスラスト軸受17に回転自在に軸受されている。したがって、中間プレート30が図1において左右方向すなわち軸方向に駆動されると、スクリュ15が軸方向に駆動されることになる。このスプライン軸16に従動プーリ23が回転方向に拘束されるように設けられている。そして、前述した駆動プーリ22と従動プーリ23との間に、例えばタイミングベルト24が掛け回されている。したがって、可塑化用電動サーボモータ21が起動すると、スクリュ15は回転駆動される。
【0017】
前述した中間プレート30は、複数本のガイド棒27、27、…により回転が規制された状態で、軸方向に案内されるようになっている。そして、スプライン軸16の後端部が前述したように、中間プレート30にスラスト軸受17により軸受されている。射出用電動サーボモータ31の出力軸には駆動プーリ32が、ボールネジ35の端部には従動プーリ33がそれぞれ取り付けられている。そして、これらのプーリ32、33の間にベルト例えばタイミングベルト34が掛け回されている。
【0018】
上記のボールネジ35には、ボールナット36が螺合している。そして、このボールナット36には、穴付ボルトによりロードセル37が取り付けられ、このロードセル37は同様に穴付ボルトにより中間プレート30に取り付けられている。これにより、ボールナット36はロードセル37を介して中間プレート30により回転が規制されている。したがって、ボールネジ35が回転駆動されると、ボールナット36の方が軸方向に移動することになる。このように軸方向に駆動されるボールナット36と中間プレート30との間にはロードセル37が介在されている。このロードセル37によりスクリュ15の軸方向の圧力が検出される。すなわち、加熱シリンダ2の計量室5の発泡溶融樹脂材料の圧力値あるいは背圧値が検出される。このようにロードセル37により、発泡溶融樹脂材料の圧力値が検出されるので、計量室5には圧力計Psを設けなくてもよいし、両方に設け、検出値が正確な方で後述するように制御することもできる。
【0019】
本実施の形態によると、可塑化工程終了後に、スクリュ15には軸方向および回転方向に制動がかけられるが、これらの制動は射出用電動サーボモータ31と可塑化用電動サーボモータ21のそれぞれによりかけることができる。しかしながら、図1に示されている実施の形態では、遊びを小さくし、より応答性を早めるためにスクリュ15により近い部材に制動をかけるようになっている。すなわち、従動プーリ23には、ピストンシリンダユニット25’で駆動される回転制動機26’が、そして中間プレート30には同様にピストンシリンダユニット25で駆動される軸方向制動機26がそれぞれ設けられている。
【0020】
本実施の形態によると、制御器、タイマー等からなるコントローラ45も備えている。そして、可塑化用電動サーボモータ21とは信号ラインaにより、その回転センサRsとは信号ラインbにより、射出用電動サーボモータ31とは信号ラインcにより、その回転センサRsとは信号ラインdにより、それぞれ接続されている。また、ロードセル37とは信号ラインfにより接続されている。さらには、図1には示されていないが、第1、2のピストンシリンダユニット25、25’、不活性ガス供給装置40、バルブ駆動装置8、加熱ヒータ3、3、…等とも信号ラインにより接続されている。また、コントローラ45に備わっている設定器により、可塑化に必要な各種の値、例えば不活性ガスの圧力の上下限値、不活性ガスの供給開始時期、および停止時期等を設定するタイマーの設定、スクリュ駆動装置20の可塑化用および射出用電動サーボモータ21、31の回転速度、可塑化時の背圧値、加熱シリンダ2および射出ノズル7外周部に設けられている加熱ヒータ3、3、…の温度等が設定できるようになっている。そして、上記の各種の値が設定値に維持されるように、コントローラ45により例えばフィードバック制御により制御される。
【0021】
次に、上記電動式射出成形機1を使用した成形例について説明する。ホッパ11に熱可塑性樹脂材料Jを入れる。コントローラ45に付属している設定器により、可塑化終了時期をスクリュ15の位置により設定する。そして、設定した可塑化終了時期を検知すると、軸方向制動機26または射出用電動サーボモータ31にブレーキがかかるようにプログラムしておく。このとき、可塑化用電動サーボモータ21にも制動をかけるようにしておく。不活性ガス圧力の設定値を超臨界圧力よりも所定量だけ高い値に設定する。さらには、可塑化に必要な各種の値、例えば計量室5中の圧力値、加熱ヒータ3、3,…の温度、スクリュ15の回転速度等を設定する。バルブ駆動装置8によりシャットオフ弁9を閉じる。
【0022】
上記のような準備が終わったら、可塑化用電動サーボモータ21を起動する。スクリュ15はタイミングベルト23を介して可塑化方向に所定速度で駆動される。また、熱可塑性樹脂材料Jは設定された割合で加熱シリンダ2に供給される。そうすると、ホッパ11から供給される樹脂材料Jは、スクリュ15の回転作用で送られる過程で、従来周知のように外部の加熱ヒータ3、3、…から加えられる熱と、スクリュ15の回転による剪断作用、摩擦作用等により生じる熱とにより溶融し、第1メタリング部へと送られる。第1メタリング部で完全に溶融され、そして次の第2ステージへと送られる。このときの、加熱シリンダ2内の温度は、不活性ガスの超臨界温度以上の例えば100°C以上になっている。そして、加熱シリンダ2の前方の計量室5に蓄積される。蓄積量に比例して発泡溶融樹脂材料の圧力によりスクリュ15は後退する。スクリュ15が後退するので、中間プレート30も後退する。中間プレート30が後退するので、ボールネジ35は射出用電動サーボモータ31の設定トルクに抗して回転する。したがって、スクリュ15には所定の背圧が与えられる。
【0023】
上記のようにして計量しているときに、二酸化炭素ガス、窒素ガス等の超臨界状態の不活性ガスが、ガス供給孔4から加熱シリンダ2内に注入される。加熱シリンダ2内は例えば373K以上の超臨界温度以上のため、注入されるガスは超臨界状態となっており、スクリュ15の回転により溶融樹脂中に容易に浸透する。このとき、計量室5の圧力値は圧力計Psで計測され、計測される圧力が超臨界圧力以下にならないように、スクリュ15を射出方向に加圧しながら計量する。スクリュ15が所定量後退したら、これを検知して計量を終わる。
【0024】
計量が終了すると、軸方向制動機26により中間プレート30に直接的に制動がかけられる。これにより、発泡溶融樹脂材料の圧力によるスクリュ15の後退が防止され、計量室5内の圧力値が低下することが抑えられる。また、回転方向制動機26’によりブレーキがかけられ、スクリュ15の発泡溶融樹脂材料の圧力による逆回転が阻止される。これらの結果、不活性ガスが分散された発泡溶融樹脂材料の圧力の低下が防止され、加熱シリンダ2内での発泡が抑えられる。そして、計量された所定量の発泡溶融樹脂材料が金型内で発泡し、重量精度の高い熱可塑性樹脂発泡体が得られることになる。
【0025】
また、上記のような別途設けられている機械的な制動機26、26’に代えて、射出用電動サーボモータ31により制動がかけられると、射出用電動サーボモータ31が回転しないので、ボールネジ35も回転しない。したがって、ボールナット36それ故スクリュ15の軸方向の移動が阻止されることになる。可塑化用電動サーボモータ21に制動をかけることにより、スクリュ15の発泡溶融樹脂材料の圧力による逆回転が防止される。
【0026】
上記のように、計量が終了すると制動がかけられ、計量室5内の圧力値は圧力計Psにより直接的に、またロードセル37により間接的に計測され、そしてコントローラ45に入力されている。圧力計Psまたはロードセル37により計測される発泡溶融樹脂材料の圧力値が、例えばシャットオフバルブ9からの漏洩により、超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、射出用電動サーボモータ31を射出方向に駆動する。射出用電動サーボモータ31を駆動することにより、計量室5内の発泡溶融樹脂材料の圧力値は超臨界圧力以上の設定値に回復する。超臨界圧力以上の設定値に圧力が回復したら、前述したようにブレーキがかけられる。計量室5内の圧力値は圧力計Psまたはロードセル37により計測され、そしてコントローラ45に入力される。以下同様にして、発泡溶融樹脂材料の圧力が超臨界圧力以上の設定値に保たれ、加熱シリンダ2内での発泡が抑えられる。
【0027】
次に、射出工程に入る。射出用電動サーボモータ31を起動する。ボールネジ35が回転駆動され、ボールナット36が軸方向に駆動される。したがって、中間プレート30を介してスクリュ15が射出方向に駆動される。シャットオフ弁9を開く。そうすると、図示されない金型へ射出される。金型内で発泡する。樹脂の冷却固化を待って金型を開くと、熱可塑性樹脂発泡体が得られる。以下同様にして射出成形する。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によると、可塑化工程時には、スクリュに軸方向の背圧を与えて加熱シリンダ内を超臨界圧力以上に保って発泡を抑え、前記可塑化工程が終了すると、前記スクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止すると共に、前記加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持するので、すなわち設定圧力値よりも低下したときには、スクリュを軸方向に駆動するので圧力の回復の応答性が高く、発泡溶融樹脂材料の加熱シリンダ内での発泡を抑えることができる。また、設定圧力値よりも低下したときには、スクリュを計量方向には駆動しないので、発泡溶融樹脂材料中へ発泡剤が注入されていない溶融樹脂が混入し、混練ムラを生じるようなこともない。したがって、品質の高い発泡成形体を得ることができる。請求項2、3に記載の発明によると、スクリュの駆動に電動サーボモータを使用するので、スクリュの制御が容易になり、また請求項4に記載の発明によると、発泡剤に不活性ガスを使用するので、発泡溶融樹脂材料の流動抵抗が小さくなり、高粘度の樹脂材料も比較的低射出圧力で射出することができるようになり、また環境を汚染する可能性も小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用される電動式射出成形機の一部を断面にして示す模式的正面図である。
【符号の説明】
1 電動式射出成形機 2 加熱シリンダ
5 計量室 15 スクリュ
20 スクリュ駆動装置 21 可塑化用電動サーボモータ
26 軸方向制動機 26’ 回転方向制動機
31 射出用電動サーボモータ 40 不活性ガス供給装置
45 コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなる電動式射出成形機を使用し、前記スクリュを回転駆動して樹脂材料を可塑化して所定量の発泡溶融樹脂材料を前記加熱シリンダの前方の計量室に蓄積する可塑化工程と、該可塑化工程で得られた発泡溶融樹脂材料を、金型のキャビティに射出・充填する射出工程とを経て発泡成形体を得る発泡成形体の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発泡成形品の成形方法は、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体等の化学発泡剤が使用される発泡成形方法と、炭酸ガス、窒素ガス等の物理発泡剤が使用される発泡成形方法とに大別できる。化学発泡剤が使用される成形方法には、発泡剤が混合されている樹脂ペレットを例えば加熱シリンダとスクリュとからなる射出機により溶融混練し、そして予めカウンタ圧力がかけられた金型のキャビティに射出し、射出後一定時間経過後、カウンタ圧力を開放して発泡させるカウンタ圧力成形方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−315153
【特許文献2】特許第3218397号
【特許文献3】特開平11−245256号公報
【特許文献4】特開2001−138371
【0004】
一方、発泡剤に炭酸ガス、窒素ガス等の不活性ガスを使用する物理発泡成形方法は、例えば上記特許文献1〜4等により多数提案されている。これらの特許文献のうち本発明の直接的な先行技術として特許文献4を挙げることができる。この特許文献4に示されている発泡体成形装置は、加熱シリンダと、この加熱シリンダの内部に可塑化方向に回転駆動されると共に、軸方向すなわち射出方向にも駆動可能に設けられているスクリュと、スクリュを可塑化方向と射出方向とにそれぞれ駆動する電動サーボモータとから構成されている。この発泡体成形装置は、コントローラも備えている。
【0005】
したがって、次のようにして発泡成形体を得ることができる。すなわち、ホッパに熱可塑性樹脂材料を入れ、コントローラに付属している設定器により、加熱シリンダの加熱温度、スクリュの回転速度、背圧力、発泡剤の注入タイミング等を設定する。そうして、可塑化用電動サーボモータを起動する。そうすると、スクリュが所定速度で回転駆動され、ホッパから供給される樹脂材料は、加熱シリンダの前方に送られる過程で可塑化され、また不活性ガスが溶融樹脂に注入溶解され、そして計量室に蓄積される。このとき、計量室に蓄積された溶融樹脂は、スクリュを介し射出方向に所定の背圧が与えられ、可塑化工程中の加熱シリンダ内での発泡が抑えられる。これにより、可塑化工程が終わる。その後、スクリュを軸方向すなわち射出方向に駆動して、金型のキャビテイに射出充填する射出工程を行う。射出充填された溶融樹脂は金型内で発泡し、熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
【0006】
特許文献4には、上記のようにして発泡体を得るとき、可塑化工程を射出工程をおこなう直前まで実施する方法、可塑化工程終了後に可塑化用電動モータに制動をかける方法、加熱シリンダ内の圧力が設定値以下に下降すると、スクリュを計量方向に駆動する方法等が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献4に開示されている発泡射出成形方法によると、前述したようにして発泡体を得ることができ、このとき可塑化工程を射出工程が始まる直前まで行ったり、あるいは可塑化工程終了後に可塑化用電動モータに制動をかけるようになっているので、加熱シリンダ内の溶融樹脂の圧力値は超臨界圧力以上に保たれ、また加熱シリンダ内の圧力値が設定値以下に下降すると、スクリュが計量方向に駆動されるので、発泡剤が溶解された溶融樹脂が加熱シリンダ内で発泡することが抑えられるという、優れた効果が認められる。しかしながら、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値が、例えば射出ノズルに設けられているシャットオフバルブからの漏洩等により設定値以下に下降したときに、スクリュを計量方向に回転駆動して圧力を回復するようになっているので、タイムラグが生じ、加熱シリンダ内で発泡する危険性を有している。また、計量方向に駆動されるということは、発泡剤と溶融樹脂が均一に混練された発泡溶融樹脂材料中へ、発泡剤が注入されていない溶融樹脂が補充されることになり、部分的に混練ムラが生じる可能性もある。
本発明は、上記したような危険性あるいは可能性を克服した発泡成形体の成形方法を提供することを目的とし、具体的には加熱シリンダ内を設定圧力内に保つことができ、設定圧力値よりも低下したときには、圧力の回復の応答性が高く、且つ混練ムラ等の不良が発生しない、高品位の発泡成形体を得ることができる、発泡成形体の成形方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、可塑化工程を終了したらスクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止するように構成される。そして、加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下降したときは、スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、スクリュを射出方向に駆動して設定値に保つように構成される。スクリュを射出方向に駆動することにより、発泡溶融樹脂材料の混練ムラの発生がなく、またタイムラグも無く、直ちに設定圧力値に回復される。これにより、加熱シリンダ内での発泡が抑えられる。
【0009】
本発明では、発泡剤には前述したような化学発泡剤も適用できるが、好ましくは二酸化炭素や窒素のような不活性ガス等の物理発泡剤が適用される。これらの物理発泡剤を適用することにより、樹脂のリサイクルが可能となり、地球環境に悪影響を及ぼす可能性も小さくなる。そして、これらの不活性ガスは、混練・溶融された高圧状態の溶融樹脂中に注入するように構成される。したがって、不活性ガスの注入圧力は、昇圧ポンプにより加熱シリンダ内の溶融樹脂の圧力値よりも若干高く設定される。
【0010】
溶融樹脂中に不活性ガスを均一に混合、分散させるためには、超臨界状態の不活性ガスを注入するのが望ましい。二酸化炭素あるいは窒素といった不活性ガスを、気体でもなく液体でもない超臨界状態で溶融樹脂中に注入すると、不活性ガスは容易に溶融樹脂中に溶け込み、短時間に拡散し均一に混合分散される。また、不活性ガスは、樹脂量に対して一定比率で注入される。
【0011】
二酸化炭素は、温度304.1K、圧力7.38MPa以上で超臨界状態になり、窒素は温度126K、圧力3.4MPa以上で超臨界状態になる。したがって、本発明の発泡成形体の成形方法の実施に使用される電動式射出成形機には、これらの不活性ガスを超臨界温度以上に加熱するヒータ、超臨界圧力以上に加圧する加圧ポンプまたはブースター等が設けられ、さらには流量制御弁も設けられる。上記したような電動式射出成形機には、一定量の樹脂材料が供給され、そして可塑化される。したがって、溶融樹脂中に注入する不活性ガスを流量制御弁で調節することにより、超臨界状態の不活性ガスの溶解量を制御し、所望の発泡倍率の発泡成形体が得られる。
【0012】
上記のようにして、請求項1に記載の発明は、前記発明の目的を達成するために、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなる電動射出成形機を使用し、前記スクリュを回転駆動して樹脂材料を可塑化して所定量の発泡溶融樹脂材料を前記加熱シリンダの前方の計量室に蓄積する可塑化工程と、該可塑化工程で得られた発泡溶融樹脂材料を、金型のキャビティに射出・充填する射出工程とを経て発泡成形体を得るとき、前記可塑化工程時には、前記スクリュに軸方向の背圧を与えて前記加熱シリンダ内を超臨界圧力以上に保って発泡を抑え、前記可塑化工程が終了すると、前記スクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止すると共に、前記加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持するように構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向の駆動とに電動サーボモータを使用するように、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向との駆動に電動サーボモータを使用すると共に、スクリュの軸方向の移動の阻止を、前記サーボモータに制動をかけることにより行うように、そして請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の成形方法において、発泡剤に不活性ガスを使用するように構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施に使用される電動式射出成形機の実施の形態を説明する。本実施の形態に係わる電動式射出成形機1は、図1に示されているように、概略的には加熱シリンダ2、この加熱シリンダ2の内部に可塑化方向に回転駆動されると共に、軸方向すなわち射出方向にも駆動可能に設けられているスクリュ15、スクリュ15を可塑化方向と射出方向とに駆動するスクリュ駆動装置20、不活性ガス供給装置40、コントローラ45等から構成されている。
【0014】
加熱シリンダ2は、軸方向に所定長さになっている。そして、その外周部には個々に発熱温度が制御される複数個の加熱ヒータ3、3、…が設けられている。加熱シリンダ2には、軸方向の略中間位置において外部から内部に達するガス供給孔4が開けられている。このガス供給孔4に不活性ガス供給装置40に連なっているガス管41が気密的に接続されている。本実施の形態によると、不活性ガス供給装置40は、窒素ガスが充填されているガスボンベ42、42、…、窒素ガスを超臨界圧力以上に昇圧する昇圧ポンプ、超臨界温度以上に加熱する加熱ヒータ、圧力制御弁、流量制御弁等からなっている。なお、可塑化中の加熱シリンダ2内は、通常は不活性ガスの超臨界温度以上になっているので、加熱することなく室温から直接加熱シリンダ2に供給しても超臨界温度になる。したがって、不活性ガス供給装置40における加熱ヒータは省略され得る。
【0015】
加熱シリンダ2の、図1において左方の先端部は、樹脂材料が可塑化され、そして発泡剤が溶解された発泡溶融樹脂材料が蓄積される蓄積室あるいは計量室5となっている。そして、この計量室5には圧力計Psが設けられ、この圧力計Psにより計測される発泡溶融樹脂材料の圧力値は、信号ラインgによりコントローラ45に入力されるようになっている。計量室5の前方にはアダプタを介して射出ノズル7が取り付けられている。射出ノズル7には、バルブ駆動装置8により開閉されるシャットオフバルブ9が設けられている。このシャットオフバルブ9を閉じると、超臨界圧力以上で樹脂材料を可塑化でき、開くと可塑化された発泡溶融樹脂材料を射出することができる。加熱シリンダ2の後方寄りには、材料供給孔10が開けられ、この材料供給孔10に対応して樹脂材料が一時的に貯えられるホッパ11が設けられている。そして、加熱シリンダ2の後端部に、後述するようにスクリュ駆動装置20が設けられている。
【0016】
スクリュ駆動装置20は、可塑化用電動サーボモータ21と射出用電動サーボモータ31とを備えている。そして、可塑化用電動サーボモータ21の出力軸に駆動プーリ22が固定されている。一方、スクリュ15は、加熱シリンダ2の後端部から所定長さ外部へ出て、スプライン軸16となり、その後端部は中間プレート30のスラスト軸受17に回転自在に軸受されている。したがって、中間プレート30が図1において左右方向すなわち軸方向に駆動されると、スクリュ15が軸方向に駆動されることになる。このスプライン軸16に従動プーリ23が回転方向に拘束されるように設けられている。そして、前述した駆動プーリ22と従動プーリ23との間に、例えばタイミングベルト24が掛け回されている。したがって、可塑化用電動サーボモータ21が起動すると、スクリュ15は回転駆動される。
【0017】
前述した中間プレート30は、複数本のガイド棒27、27、…により回転が規制された状態で、軸方向に案内されるようになっている。そして、スプライン軸16の後端部が前述したように、中間プレート30にスラスト軸受17により軸受されている。射出用電動サーボモータ31の出力軸には駆動プーリ32が、ボールネジ35の端部には従動プーリ33がそれぞれ取り付けられている。そして、これらのプーリ32、33の間にベルト例えばタイミングベルト34が掛け回されている。
【0018】
上記のボールネジ35には、ボールナット36が螺合している。そして、このボールナット36には、穴付ボルトによりロードセル37が取り付けられ、このロードセル37は同様に穴付ボルトにより中間プレート30に取り付けられている。これにより、ボールナット36はロードセル37を介して中間プレート30により回転が規制されている。したがって、ボールネジ35が回転駆動されると、ボールナット36の方が軸方向に移動することになる。このように軸方向に駆動されるボールナット36と中間プレート30との間にはロードセル37が介在されている。このロードセル37によりスクリュ15の軸方向の圧力が検出される。すなわち、加熱シリンダ2の計量室5の発泡溶融樹脂材料の圧力値あるいは背圧値が検出される。このようにロードセル37により、発泡溶融樹脂材料の圧力値が検出されるので、計量室5には圧力計Psを設けなくてもよいし、両方に設け、検出値が正確な方で後述するように制御することもできる。
【0019】
本実施の形態によると、可塑化工程終了後に、スクリュ15には軸方向および回転方向に制動がかけられるが、これらの制動は射出用電動サーボモータ31と可塑化用電動サーボモータ21のそれぞれによりかけることができる。しかしながら、図1に示されている実施の形態では、遊びを小さくし、より応答性を早めるためにスクリュ15により近い部材に制動をかけるようになっている。すなわち、従動プーリ23には、ピストンシリンダユニット25’で駆動される回転制動機26’が、そして中間プレート30には同様にピストンシリンダユニット25で駆動される軸方向制動機26がそれぞれ設けられている。
【0020】
本実施の形態によると、制御器、タイマー等からなるコントローラ45も備えている。そして、可塑化用電動サーボモータ21とは信号ラインaにより、その回転センサRsとは信号ラインbにより、射出用電動サーボモータ31とは信号ラインcにより、その回転センサRsとは信号ラインdにより、それぞれ接続されている。また、ロードセル37とは信号ラインfにより接続されている。さらには、図1には示されていないが、第1、2のピストンシリンダユニット25、25’、不活性ガス供給装置40、バルブ駆動装置8、加熱ヒータ3、3、…等とも信号ラインにより接続されている。また、コントローラ45に備わっている設定器により、可塑化に必要な各種の値、例えば不活性ガスの圧力の上下限値、不活性ガスの供給開始時期、および停止時期等を設定するタイマーの設定、スクリュ駆動装置20の可塑化用および射出用電動サーボモータ21、31の回転速度、可塑化時の背圧値、加熱シリンダ2および射出ノズル7外周部に設けられている加熱ヒータ3、3、…の温度等が設定できるようになっている。そして、上記の各種の値が設定値に維持されるように、コントローラ45により例えばフィードバック制御により制御される。
【0021】
次に、上記電動式射出成形機1を使用した成形例について説明する。ホッパ11に熱可塑性樹脂材料Jを入れる。コントローラ45に付属している設定器により、可塑化終了時期をスクリュ15の位置により設定する。そして、設定した可塑化終了時期を検知すると、軸方向制動機26または射出用電動サーボモータ31にブレーキがかかるようにプログラムしておく。このとき、可塑化用電動サーボモータ21にも制動をかけるようにしておく。不活性ガス圧力の設定値を超臨界圧力よりも所定量だけ高い値に設定する。さらには、可塑化に必要な各種の値、例えば計量室5中の圧力値、加熱ヒータ3、3,…の温度、スクリュ15の回転速度等を設定する。バルブ駆動装置8によりシャットオフ弁9を閉じる。
【0022】
上記のような準備が終わったら、可塑化用電動サーボモータ21を起動する。スクリュ15はタイミングベルト23を介して可塑化方向に所定速度で駆動される。また、熱可塑性樹脂材料Jは設定された割合で加熱シリンダ2に供給される。そうすると、ホッパ11から供給される樹脂材料Jは、スクリュ15の回転作用で送られる過程で、従来周知のように外部の加熱ヒータ3、3、…から加えられる熱と、スクリュ15の回転による剪断作用、摩擦作用等により生じる熱とにより溶融し、第1メタリング部へと送られる。第1メタリング部で完全に溶融され、そして次の第2ステージへと送られる。このときの、加熱シリンダ2内の温度は、不活性ガスの超臨界温度以上の例えば100°C以上になっている。そして、加熱シリンダ2の前方の計量室5に蓄積される。蓄積量に比例して発泡溶融樹脂材料の圧力によりスクリュ15は後退する。スクリュ15が後退するので、中間プレート30も後退する。中間プレート30が後退するので、ボールネジ35は射出用電動サーボモータ31の設定トルクに抗して回転する。したがって、スクリュ15には所定の背圧が与えられる。
【0023】
上記のようにして計量しているときに、二酸化炭素ガス、窒素ガス等の超臨界状態の不活性ガスが、ガス供給孔4から加熱シリンダ2内に注入される。加熱シリンダ2内は例えば373K以上の超臨界温度以上のため、注入されるガスは超臨界状態となっており、スクリュ15の回転により溶融樹脂中に容易に浸透する。このとき、計量室5の圧力値は圧力計Psで計測され、計測される圧力が超臨界圧力以下にならないように、スクリュ15を射出方向に加圧しながら計量する。スクリュ15が所定量後退したら、これを検知して計量を終わる。
【0024】
計量が終了すると、軸方向制動機26により中間プレート30に直接的に制動がかけられる。これにより、発泡溶融樹脂材料の圧力によるスクリュ15の後退が防止され、計量室5内の圧力値が低下することが抑えられる。また、回転方向制動機26’によりブレーキがかけられ、スクリュ15の発泡溶融樹脂材料の圧力による逆回転が阻止される。これらの結果、不活性ガスが分散された発泡溶融樹脂材料の圧力の低下が防止され、加熱シリンダ2内での発泡が抑えられる。そして、計量された所定量の発泡溶融樹脂材料が金型内で発泡し、重量精度の高い熱可塑性樹脂発泡体が得られることになる。
【0025】
また、上記のような別途設けられている機械的な制動機26、26’に代えて、射出用電動サーボモータ31により制動がかけられると、射出用電動サーボモータ31が回転しないので、ボールネジ35も回転しない。したがって、ボールナット36それ故スクリュ15の軸方向の移動が阻止されることになる。可塑化用電動サーボモータ21に制動をかけることにより、スクリュ15の発泡溶融樹脂材料の圧力による逆回転が防止される。
【0026】
上記のように、計量が終了すると制動がかけられ、計量室5内の圧力値は圧力計Psにより直接的に、またロードセル37により間接的に計測され、そしてコントローラ45に入力されている。圧力計Psまたはロードセル37により計測される発泡溶融樹脂材料の圧力値が、例えばシャットオフバルブ9からの漏洩により、超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、射出用電動サーボモータ31を射出方向に駆動する。射出用電動サーボモータ31を駆動することにより、計量室5内の発泡溶融樹脂材料の圧力値は超臨界圧力以上の設定値に回復する。超臨界圧力以上の設定値に圧力が回復したら、前述したようにブレーキがかけられる。計量室5内の圧力値は圧力計Psまたはロードセル37により計測され、そしてコントローラ45に入力される。以下同様にして、発泡溶融樹脂材料の圧力が超臨界圧力以上の設定値に保たれ、加熱シリンダ2内での発泡が抑えられる。
【0027】
次に、射出工程に入る。射出用電動サーボモータ31を起動する。ボールネジ35が回転駆動され、ボールナット36が軸方向に駆動される。したがって、中間プレート30を介してスクリュ15が射出方向に駆動される。シャットオフ弁9を開く。そうすると、図示されない金型へ射出される。金型内で発泡する。樹脂の冷却固化を待って金型を開くと、熱可塑性樹脂発泡体が得られる。以下同様にして射出成形する。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によると、可塑化工程時には、スクリュに軸方向の背圧を与えて加熱シリンダ内を超臨界圧力以上に保って発泡を抑え、前記可塑化工程が終了すると、前記スクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止すると共に、前記加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持するので、すなわち設定圧力値よりも低下したときには、スクリュを軸方向に駆動するので圧力の回復の応答性が高く、発泡溶融樹脂材料の加熱シリンダ内での発泡を抑えることができる。また、設定圧力値よりも低下したときには、スクリュを計量方向には駆動しないので、発泡溶融樹脂材料中へ発泡剤が注入されていない溶融樹脂が混入し、混練ムラを生じるようなこともない。したがって、品質の高い発泡成形体を得ることができる。請求項2、3に記載の発明によると、スクリュの駆動に電動サーボモータを使用するので、スクリュの制御が容易になり、また請求項4に記載の発明によると、発泡剤に不活性ガスを使用するので、発泡溶融樹脂材料の流動抵抗が小さくなり、高粘度の樹脂材料も比較的低射出圧力で射出することができるようになり、また環境を汚染する可能性も小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用される電動式射出成形機の一部を断面にして示す模式的正面図である。
【符号の説明】
1 電動式射出成形機 2 加熱シリンダ
5 計量室 15 スクリュ
20 スクリュ駆動装置 21 可塑化用電動サーボモータ
26 軸方向制動機 26’ 回転方向制動機
31 射出用電動サーボモータ 40 不活性ガス供給装置
45 コントローラ
Claims (4)
- 加熱シリンダと、該加熱シリンダ内に回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュとからなる電動射出成形機を使用し、
前記スクリュを回転駆動して樹脂材料を可塑化して所定量の発泡溶融樹脂材料を前記加熱シリンダの前方の計量室に蓄積する可塑化工程と、該可塑化工程で得られた発泡溶融樹脂材料を、金型のキャビティに射出・充填する射出工程とを経て発泡成形体を得るとき、
前記可塑化工程時には、前記スクリュに軸方向の背圧を与えて前記加熱シリンダ内を超臨界圧力以上に保って発泡を抑え、前記可塑化工程が終了すると、前記スクリュの軸方向と回転方向との移動を阻止すると共に、前記加熱シリンダ内の発泡溶融樹脂材料の圧力値を監視し、監視している圧力値が超臨界圧力以上の設定値以下に下がると、前記スクリュの軸方向の移動の阻止を解除して、前記スクリュを軸方向に駆動して発泡溶融樹脂材料の圧力値を設定値に維持することを特徴とする発泡成形体の成形方法。 - 請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向の駆動とに電動サーボモータを使用する発泡成形体の成形方法。
- 請求項1に記載の成形方法において、スクリュの回転方向と軸方向との駆動に電動サーボモータを使用すると共に、スクリュの軸方向の移動の阻止を、前記サーボモータに制動をかけることにより行う発泡成形体の成形方法。
- 請求項1〜3のいずれかの項に記載の成形方法において、発泡剤に不活性ガスを使用する発泡成形体の成形方法。
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