JP2004330373A - スローアウェイ式ドリル用チップおよびスローアウェイ式ドリル - Google Patents

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龍一 佐治
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Abstract

【目的】高い送り条件で穴明け加工したときに、加工穴の内周面の表面あらさを向上させ、切れ刃寿命を改善し、加工穴の穴径を安定させるドリル用チップおよびドリルを提供する。
【構成】本発明のドリル用チップは、多角形平板状をなすチップ本体の一方の多角形面がすくい面とされ、多角形面の辺稜部に切れ刃を形成されている。該ドリル用チップは、ドリル本体(1)の先端部の外周側に取り付けられる外周刃(8)をなし、外周刃(8)としてドリル本体(1)に取り付けられたときに、前記すくい面と対向する方向からみて該ドリル本体(1)の径方向外側に配設された前記コーナ部(10)に隣接し、且つ、前記ドリル本体(1)の軸線(O)方向に直線状のさらい刃(11)が形成される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スローアウェイ式ドリル用チップ(以下、ドリル用チップという)に関し、特に、加工穴の内周面の表面あらさと切れ刃寿命とを改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
穴明け加工に用いられるドリル用チップにおいて、加工穴の内周面の表面あらさを向上させるものとして、図6乃至図7に示すものがある。図6はこのドリル用チップを装着するスローアウェイ式ドリル(以下、ドリルという)の先端部斜視図である。図7はこのドリル用チップのさらい刃の拡大図である。
【0003】
このドリル用チップは、図6に示すようにドリル本体(1)の先端部に、中心側に中心刃チップ(6)として、外周側に外周刃チップ(5)として、兼用して取り付けられている。そして、該ドリル用チップは、各切削コーナにおけるコーナ刃(10)と、それに隣接するさらい刃(11)とがそれぞれ異なる大きさの曲率半径の円弧で形成される。外周刃チップ(5)においては、該ドリル本体(1)の径方向外側に配設されたコーナ刃(10)とさらい刃(11)は、図7に示すように、異なる曲率半径を有する切れ刃が隣接して配置され、常にR2>R1の関係がある。そして、曲率半径R2の円弧をなすさらい刃(11)が、加工穴の内周面を平滑に仕上げるように作用し、加工穴の内周面の表面あらさを向上させ、送りを増加することを可能とする働きがある。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特表2002−527247号公報(第2頁乃至第8頁、図2および図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、送りを増加した場合、切れ刃に生じる切削抵抗が高まるとともにドリル本体(1)の振動やふれ回りが発生する。さらに、切れ刃から生成する切りくずの容量の増加により、深穴加工では切りくず詰まりが生じやすくなり、ドリル本体(1)に不規則な撓みを生じさせてしまう。このような状況において、外周刃チップ(5)のさらい刃(11)は、加工穴の内周面から高い負荷を受けてしまうこととなり、チッピングや欠損といった脆性損傷を生じやすかった。一方、中心刃チップ(6)において、該ドリル本体の軸線(O)近傍は、切削速度がほとんど0となり、切削するというよりむしろ押しつぶすようという現象に近いためチッピングや欠損といった切れ刃損傷を生じやすかった。そのうえ、上述したようにドリル本体(1)の振動やふれ回りが発生したときには、中心刃は、不規則且つ回転軸が不安定な回転運動を行うため、穴底面およびコア(削り残し)から突発的に大きな力を受けてしまうこととなり、欠損を生じやすかった。以上のことから、該ドリル用チップは、さらい刃の効果が顕著に得られる高送り加工条件において、安定且つ長い切れ刃寿命を実現できる切れ刃強度を備えているとはいえなかった。
【0005】
また、外周刃チップ(5)のさらい刃(11)においては、外周チップのドリル本体への取付精度によっては、さらい刃(11)がドリル本体(1)の先端側から基端側に向かうにしたがいドリル本体(1)の外周側に傾斜してしまい、さらい刃(11)全体にわたって加工穴の内周面に接触してしまう。そうなると、切削抵抗が大きくなり、びびり振動が生じてしまい、加工穴の内周面の表面あらさを悪化させたり、加工穴の穴径が不安定になったり、送りを高めて加工することができなくなったりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い送り条件で穴明け加工したときに、加工穴の内周面の表面あらさを向上させ、切れ刃寿命を改善し、加工穴の穴径を安定させるドリル用チップおよびドリルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のドリル用チップは、多角形平板状をなすチップ本体の一方の多角形面がすくい面とされ、多角形面の辺稜部に切れ刃を形成するとともに、前記チップ本体の中心にクランプ穴を有し、前記すくい面に鋭角に交差する正の逃げ角を有するドリル用チップにおいて、該ドリル用チップは、ドリル本体の先端部の外周側に取り付けられる外周刃をなし、該ドリル用チップが外周刃としてドリル本体に取り付けられたときに、前記すくい面と対向する方向からみて該ドリル本体の径方向外側に配設されたコーナ刃に隣接し、且つ、前記ドリル本体の軸線(O)方向に直線状のさらい刃が形成されていることを特徴とするドリル用チップである。
【0008】
上述したドリル用チップによれば、さらい刃は加工穴の内周面を平滑に仕上げることにより表面あらさを大幅に改善する。また、送りの増加に伴う表面あらさの劣化が少ないので、送りの高い高能率穴明け加工が可能となる。
【0009】
上述したドリル用チップにおいて、前記さらい刃は、該ドリル本体の先端側から基端側に向かうにしたがいドリル本体の軸線(O)に対して平行または内側に傾斜し、該軸線(O)に対する傾斜角が0°〜1.0°の範囲に設定されることが好ましい。そうすれば、さらい刃によって加工穴の内周面が平滑になり表面あらさが向上する。さらに、さらい刃は、ドリル本体の先端側から基端側に向かうにしたがってドリル本体の外周側に傾斜することがなく、前記さらい刃と加工穴の内周面との接触長さが最小限にとどめられるため切削抵抗を抑制する。そうすれば、高送り加工した場合にもびびり振動がなく、加工穴の穴径が安定する。ただし、前記傾斜角が1.0°を越えると加工穴の内周面の平滑さが失われ、表面あらさが劣化してしまうことから、前記傾斜角は1.0°以下とするのが望ましい。
【0010】
また、上述したドリル用チップにおいて、さらい刃の全長が0.2mm〜1.0mmの範囲に設定されていることが好ましい。さらい刃の全長は、加工穴の内周面の表面あらさを劣化させないために、該ドリルの1回転当たりの送り量以上の長さが必要であり、この種のドリルにおける送り量を考慮すれば、さらい刃の全長は、少なくとも0.2mmの長さであればよい。また、さらい刃の全長が1.0mm以下であれば、さらい刃と該軸線(O)とのなす角度(θ)を0°に設定した場合にも、さらい刃は、加工穴内周面との接触長さが過度に増加することがないので切削抵抗を抑制する。したがって、工具びびりが抑制されるので加工穴の穴径が安定する。
【0011】
また、上述したドリル用チップにおいて、さらい刃に繋がる側面(逃げ面)の逃げ角が4°〜6°の範囲に設定されていることが好ましい。上記逃げ角が6°以下であれば、前記さらい刃は、切れ刃直角断面における刃物角(俗に言うくさび角)が大きくなり切れ刃強度が高められるので、チッピングや欠損が生じにくくなり、切れ刃寿命が向上する。しかし、上記逃げ角が4°未満では、さらい刃の逃げ面は、加工穴の内周面に対して逃げが小さくなりすぎて接触してしまう。そうなると、切削抵抗が非常に大きくなり、加工穴の内周面の表面あらさの悪化、さらい刃のチッピングや欠損といった問題を招いてしまうので、上記逃げ角は4°以上とするのが好ましい。
【0012】
また、上述したドリル用チップのすくい面には、切れ刃強度の向上を目的としたランドが切れ刃から内側に向かって設けられ、前記さらい刃に設けられたランドの幅は、前記さらい刃以外の切れ刃に設けられたランドの幅の1.2〜2.0倍の範囲に設定されていることが好ましい。これは、上記1.2倍以上であれば、高送り加工したときのさらい刃のチッピングまたは欠損が防止できるからである。上記2.0倍以下であれば、切りくず処理性の低下や切削抵抗の増大を招くことがない。
【0013】
本発明のドリル用チップは、材質について特に制限を受けるものではないが、超硬合金基材の表面に金属化合物膜を被覆した被覆超硬合金であると工具寿命が長くなるため好ましい。超硬合金基材としては、WC−Co系超硬合金またはWC−Cr−Co系超硬合金であると、高い靱性を有するため好ましい。
【0014】
また、金属化合物膜として、周期律表4a、5a、6a族元素、Al、Siの炭化物、窒化物、酸化物およびこれらの固溶体の中から選ばれた少なくとも1種からなる金属化合物膜を例示できる。具体的には、TiC,TiN,TiCN,TiCNO,TiAlN,TiAlCN、TiAlCNO、TiAlSiN、TiSiN、CrSiN、TiCrN、Alを挙げることができるが、その中でもTiC,TiN,TiCN,TiCNOの中から選ばれた少なくとも1種は、チッピングが生じにくいため好ましい。
【0015】
金属化合物膜を被覆する方法としては、物理蒸着法、化学蒸着法などの各種方法により被覆を挙げることができるが、その中でもイオンプレーティング法により被覆すると、被削材の表面粗さを低減できるため好ましい。
【0016】
上述したドリル用チップにおいて、このドリル用チップはドリル本体の先端部の中心側に取り付けられる中心刃をなし、このドリル用チップが中心刃として該ドリル本体に取り付けられたとき、さらい刃がドリル本体の該軸線(O)に交差していることが好ましい。また、このドリル用チップを外周刃および中心刃としてドリル本体に取り付けたドリルにおいて、中心刃として取り付けられた前記ドリル用チップのさらい刃が該ドリル本体の該軸線(O)に交差するように配設されていることが好ましい。ドリル本体の該軸線(O)近傍においては、切削速度がほぼ0であることから、この近傍の切れ刃は切削するというよりむしろ押しつぶすようという現象に近いものであり、特に高送りしたときにこの現象は顕著となる。したがって、上記該軸線(O)近傍の切れ刃は、欠損を生じやすい状況下にあるが、上述した高い切れ刃強度を有するさらい刃で構成されれば、チッピングや欠損が防止できる。また、切れ刃の強化はさらい刃に限定されるので、切削抵抗が増大したり、切りくず処理性が低下したりすることもない。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のドリル用チップおよびドリルに係る実施の形態について図を参照しながら説明する。図1乃至図4は第1の実施例のドリル用チップおよびドリルを示す図である。図1(a)はこのドリル用チップの正面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A断面とB−B断面図である。図1(c)はこのドリル用チップの斜視図である。図2(a)はこのドリル用チップを装着するドリルの全体正面図であり、図2(b)はこのドリルの先端部拡大図である。図3は、このドリル用チップの外周刃のさらい刃付近の拡大図である。図4は、このドリル用チップを取り付けたドリルによる加工穴内周面の表面あらさにおける理論最大高さ(Ry)を示すグラフである。図5は本発明に係るドリル用チップの別の実施の形態を示す図である。
【0018】
このドリル用チップは、図1(a)および図1(c)に示すように上下面が略平行四辺形のポジティブ形の穴付きチップである。該ドリル用チップの上面側の辺稜部が切れ刃稜をなし、該チップ中心を基準として対称に長辺の切れ刃稜と短辺の切れ刃稜とが一対に設けられたドリル用チップである。図2に示すように該ドリル用チップは、該ドリル本体1の先端部の外周側に装着される外周刃チップ(5)と、軸線(O)付近に装着される中心刃チップ(6)と、に兼用されるチップであり、該ドリル本体(1)に設けられたチップ座にチップ固定ねじ(7)によって固着されている。ここで、中心刃チップ(6)においては長辺の切れ刃稜が中心刃(9)をなし、外周刃チップ(5)においては短辺の切れ刃稜が外周刃(8)とされる。そして、該ドリル用チップは、4辺の切れ刃稜を前記中心刃(9)と前記外周刃(8)とに交互に使い分けることにより4コーナ使用することができる。
【0019】
図2に示すように、前記外周刃チップ(5)においては、外周側のコーナ刃(10)が該ドリル本体(1)の外周面(1a)から外側に突出し、このコーナ刃(10)に隣接し該ドリル本体(1)の先端側から基端側に向かって延びる直線状のさらい刃(11)が形成されている。このさらい刃(11)は図3に示すように、該ドリル本体(1)の基端部へ向かうにしたがい内側に傾斜し、該ドリル本体(1)の軸線(O)とのなす角度(θ)が0°〜1.0°の範囲に設定されている。
【0020】
図3に示すように、さらい刃(11)と該軸線(O)とのなす角度(θ)が0°以上であれば、加工穴内周面の仕上げ面(W)は、該ドリルの1回転当たりの送り量に対応する周期的な凹凸によるうねりが小さくなり平滑となることから表面あらさが大幅に向上する。さらに、さらい刃(11)は該ドリル本体(1)の先端側から基端側に向かうにしたがって該ドリル本体(1)の外周側に傾斜せず、さらい刃(11)と加工穴の内周面との接触長さが最小限にとどめられるため切削抵抗を小さくする。そうすれば、びびり振動がなくなり高送り加工が可能となり加工穴の穴径が安定する。ただし、前記角度(θ)が1.0°を越えると加工穴の内周面の平滑さが失われ、表面あらさが劣化してしまうことから、前記角度(θ)は1.0°以下とするのが望ましい。なお、図3に示すようにさらい刃(11)の両端部においては隣接する切れ刃稜との交点が円弧で形成されるのが好ましい。そうすれば、前記交点が尖鋭とならず滑らかに形成されるので切れ刃損傷が抑制される。なお、さらい刃(11)と該軸線(O)とのなす角度(θ)は、さらに好ましくは0°より大きく1.0°以下に設定され、特に好ましくは0.1°〜1.0°に設定される。そうすれば、加工の継続に伴いさらい刃(11)の摩耗が進行した場合でも、さらい刃(11)は該ドリル本体(1)の先端側から基端側に向かうにしたがい穴の内周面に対して逃げが付与され、切削抵抗を確実に小さくすることができる。
【0021】
また、さらい刃(11)の該軸線(O)方向の全長(L)は、0.2mm〜1.0mmの範囲に設定されている。加工穴内周面の表面あらさの劣化を防ぐため、該ドリルの1回転当たりの送り量以上の長さが必要である。高送り加工での使用を考慮したこの実施例のドリルは、送り量0.2mm以上の加工条件で使用されることからさらい刃(11)の上記全長(L)は0.2mm以上とするのが望ましい。また、さらい刃(11)の上記全長(L)が1.0mm以下であれば、さらい刃(11)と該軸線(O)とのなす角度(θ)を0°に設定した場合にも、さらい刃(11)は、加工穴内周面と接触長さを過度に増加させることがなく切削抵抗を抑制する。したがって、工具びびりが防止されるので、加工穴内周面の表面あらさが良好、且つ、加工穴の穴径が安定する。
【0022】
前記さらい刃(11)に繋がる逃げ面(11a)の逃げ角(α2)は、前記4°〜6°の範囲に設定されている。上記逃げ角(α2)が6°以下であれば、前記さらい刃(11)は、切れ刃直角断面における刃物角(俗に言うくさび角)が大きくなり切れ刃強度が高められるので、チッピングや欠損が防止され、切れ刃寿命が向上する。しかし、上記逃げ角(α2)が4°未満では、さらい刃(11)の逃げ面(11a)は、加工穴の内周面に対して逃げが小さくなりすぎて接触してしまうことさえある。そうなると、切削抵抗が非常に大きくなり、加工穴の内周面の表面あらさの悪化、さらい刃(11)のチッピングや欠損という問題を招いてしまうので、上記逃げ角(α2)は4°以上とするのが好ましい。
【0023】
該ドリル用チップの上面には、切れ刃に沿ってランドが設けられ、前記さらい刃(11)におけるランド幅(W2)は、前記さらい刃(11)以外の切れ刃におけるランド幅(W1)より幅広とされ、ランド幅(W2)はランド幅(W1)の1.2〜2.0倍の範囲に設定されるのが好ましい。この実施例のドリル用チップにおいては、例えばランド幅(W1)が0.10mm、ランド幅(W2)が0.12mm〜0.20mmの範囲に設定される。そうすれば、さらい刃(11)の切れ刃強度が大幅に向上し、上記1.2倍以上であれば、高送り加工したときのさらい刃(11)のチッピングまたは欠損が防止できるからである。上記2.0倍以下であれば、切りくず処理性の低下や切削抵抗の増大を招くこともない。なお、コーナ刃(10)のランド(L10)においては、前記さらい刃(11)と交差する端部のランド幅は、前記さらい刃(11)のランド幅(W2)と等しくされ、他端部に向かうにしたがいランド幅が漸次狭くなり、他端部のランド幅は外周刃のランド幅(W1)と等しくなるように形成されてもよい。
【0024】
次に、この実施例のドリル用チップを取り付けたドリルによって加工された穴の内周面の表面あらさの実施例について説明する。この実施例に用いられたドリル用チップは、さらい刃(11)のドリルの軸線(O)に対する傾斜角(θ)が0.5°、全長(L)が0.5mmに設定されたものである。比較用ドリルに取り付けられた比較ドリル用チップは、コーナ刃が曲率半径0.8mmの円弧切れ刃からなるものである。横軸を1回転当たりの送り量(f)、縦軸を理論最大高さ(Ry)として、それぞれのドリル用チップによる加工穴内周面の表面あらさにおける理論最大高さ(Ry)をプロットしたものが図4に示すグラフである。この実施例のドリル用チップは、比較ドリル用チップに対し、理論最大高さ(Ry)が1/4程度まで小さくなり、また、1回転当たりの送り量(f)の増加に対する理論最大高さ(Ry)の増加率が大幅に低下し、高送り加工における加工穴内周面の表面あらさが大幅に改善された。
【0025】
この実施例のドリル用チップの材料となる被覆超硬合金は、従来からある金属化合物蒸着装置に、超硬合金基材を装入して被覆することにより得られる。例えば、89.5WC−0.5Cr−10.0Co(重量%)組成の超硬合金をこのドリル用チップの形状に加工し、洗浄した後、ホロカソード方式イオンプレーティング装置に装入し、TiCN被膜を被覆することで得られる。
【0026】
ところで、さらい刃(11)は、外周刃チップ(5)においては、上述したように該ドリル本体(1)の外周面(1a)から外側に突出し、加工穴内周面の仕上げ面を切削する一方で、中心刃チップ(6)として該ドリル本体(1)に取り付けられたときには、図2(b)に示すように該ドリル本体(1)の軸線(O)と交差するように配設されることとなる。該軸線(O)近傍では切削速度がほぼ0であり、この近傍の切れ刃は切削するというよりむしろ押しつぶすようという現象に近いものであり、特に高送りしたときにはこの現象は顕著となる。したがって、該軸線(O)近傍の切れ刃は、欠損を生じやすい状況下にあるが、上述した高い切れ刃強度を有するさらい刃(11)で構成されれば、チッピングや欠損が防止できる。また、切れ刃の強化はさらい刃(11)に限定されるので、切削抵抗が増大したり、切りくず処理性が低下したりすることもない。
【0027】
この実施例のドリル用チップは、コーナチェンジしながら外周刃(8)と中心刃(9)に兼用したときさらい刃(11)が重複して使用されることとなる。しかしながら、さらい刃(11)は、外周刃(8)においては、ドリル本体(1)の先端側から基端側に向かうにしたがい該工具本体(1)の軸線(O)に対して平行または内側に傾斜するような逃げが付与されているので、前記さらい刃(11)は、その先端側端部から1回転当たりの送り量とほぼ同一長さまでの範囲だけが切削に関与している。一方、中心刃(9)においては、上記範囲を除いた部分を中心刃(9)として切削に関与させるように配設される。したがって、さらい刃(11)は、外周刃(8)と中心刃(9)とに兼用された場合に、切削に関与する部分を重複することがなく、さらい刃(11)の逃げ面摩耗が局部的に増加することがない。
【0028】
なお、チップ形状は本発明の要旨を逸脱しない範囲で上述した実施例以外の形状にも適用可能であり、例えば、図5(a)乃至(d)に示すように、変形した六角形、略菱形、略長方形、略正方形等に適用することが可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明のドリル用チップは、多角形平板状をなすチップ本体の一方の多角形面がすくい面とされ、多角形面の辺稜部に切れ刃を形成するとともに、前記すくい面に鋭角に交差する正の逃げ角を有するドリル用チップにおいて、該ドリル用チップは、ドリル本体の先端部の外周側に取り付けられる外周刃をなし、該ドリル用チップが外周刃としてドリル本体に取り付けられたときに、前記すくい面と対向する方向からみて、該ドリル本体の径方向外側に配設されたコーナ刃に隣接し、且つ、前記ドリル本体の軸線(O)方向に延びる直線状のさらい刃が形成されていることを特徴とする。上述したドリル用チップによれば、さらい刃が加工穴の内周面を平滑に仕上げるので、表面あらさが大幅に改善される。送りの増加に伴う表面あらさの劣化が少ないので、送りの高い高能率穴明け加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る実施形態のドリル用チップの正面図である。
(b)図1(a)に示すドリル用チップのA−A断面図である。
(c)図1(a)に示すドリル用チップのB−B断面図である。
(d)図1(a)に示すドリル用チップの斜視図である。
【図2】(a)図1に示すドリル用チップを装着するドリルの全体正面図である。
(b)図2(a)に示すドリルの先端部拡大図である。
【図3】このドリル用チップの外周刃のさらい刃付近の拡大図である。
【図4】このドリル用チップで加工した穴の内周面の表面あらさにおける理論最大高さ(Ry)を示すグラフである。
【図5】(a)本発明に係るドリル用チップの別の実施形態を示す図である。
(b)本発明に係るドリル用チップの別の実施形態を示す図である。
(c)本発明に係るドリル用チップの別の実施形態を示す図である。
(d)本発明に係るドリル用チップの別の実施形態を示す図である。
【図6】従来のドリル用チップを装着するドリルの先端部斜視図である。
【図7】従来のドリル用チップの外周刃のコーナ刃の拡大図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体
2、3 フルート溝
5 外周刃チップ
6 中心刃チップ
7 チップ固定ねじ
7a クランプ穴
8 外周刃
8A、8B 外周刃切れ刃稜
L8A、L8B 外周刃ランド
9 中心刃
9A、9B 中心刃切れ刃稜
L9A、L9B 中心刃ランド
10 コーナ刃
11 さらい刃
11a さらい刃逃げ面
12 ブレーカ溝

Claims (8)

  1. 多角形平板状をなすチップ本体の一方の多角形面がすくい面とされ、多角形面の辺稜部に切れ刃を形成するとともに、前記チップ本体の中心にクランプ穴を有し、前記すくい面に鋭角に交差する正の逃げ角を有するスローアウェイ式ドリル用チップにおいて、
    該スローアウェイ式ドリル用チップは、ドリル本体の先端部の外周側に取り付けられる外周刃をなし、該スローアウェイ式ドリル用チップが外周刃としてドリル本体に取り付けられたときに、前記すくい面と対向する方向からみて、該ドリル本体の径方向外側に配設されたコーナ刃に隣接し、且つ、前記ドリル本体の軸線(O)方向に直線状のさらい刃が形成されていることを特徴とするスローアウェイ式ドリル用チップ。
  2. 前記さらい刃は、該ドリル本体の先端側から基端側に向かうにしたがってドリル本体の軸線(O)に対して平行または内側に傾斜し、該軸線(O)に対する傾斜角が0°〜1.0°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスローアウェイ式ドリル用チップ。
  3. 前記さらい刃の全長が0.2mm〜1.0mmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスローアウェイ式ドリル用チップ。
  4. 前記さらい刃に繋がる側面の逃げ角が4°〜6°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスローアウェイ式ドリル用チップ。
  5. 該スローアウェイ式ドリル用チップのすくい面には、切れ刃から内側に向かってランドが設けられ、前記さらい刃に設けられたランドの幅が、前記さらい刃以外の切れ刃に設けられたランドの幅の1.2〜2.0倍の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスローアウェイ式ドリル用チップ。
  6. 該スローアウェイ式ドリル用チップは、超硬合金基材の表面に金属化合物膜を被覆したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のスローアウェイ式ドリル用チップ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のスローアウェイ式ドリル用チップにおいて、該スローアウェイ式ドリル用チップは、ドリル本体の先端部の中心側に取り付けられる中心刃をなし、前記スローアウェイ式ドリル用チップが中心刃として該ドリル本体に取り付けられたとき、前記さらい刃がドリル本体の該軸線(O)に交差していることを特徴とするスローアウェイ式ドリル用チップ。
  8. 請求項7に記載のスローアウェイ式ドリル用チップが外周刃および中心刃としてドリル本体に取り付けたスローアウェイ式ドリルにおいて、中心刃として取り付けられた前記スローアウェイ式ドリル用チップのさらい刃が該ドリル本体の該軸線(O)に交差するように配設されていることを特徴とするスローアウェイ式ドリル。
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