JP2004330269A - 絶縁性樹脂組成物およびその硬化物、ならびにはんだ接合方法 - Google Patents

絶縁性樹脂組成物およびその硬化物、ならびにはんだ接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】はんだリフロー時にフラックスとして作用し、リフロー後に洗浄工程を必要とせず、はんだ接合部の補強性、電気絶縁性、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性等の諸特性に優れた硬化物、およびその硬化物を得るための絶縁性樹脂組成物を提供すること
【解決手段】少なくとも、(A)フラックス作用を発現する化合物、(C)架橋微粒子および(E)光感応性酸発生剤を含有する絶縁性樹脂組成物であって、さらに、(B1)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であるフェノール性水酸基を有する樹脂および(D)アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に含有する架橋剤、または(B2)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有し、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物を含有する絶縁性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、半導体素子などの表面保護膜(「オーバーコート膜」ともいう)などに用いられる絶縁性樹脂組成物およびそれを硬化して得られる硬化物に関する。より詳しくは、はんだリフロー時にフラックスとして作用し、リフロー後の洗浄工程が必要なく、はんだ接合部の補強材として優れるとともに、電気絶縁性、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性等の特性に優れた硬化物、およびその硬化物を得るための絶縁性樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、半導体チップや半導体パッケージの小型化が進んでおり、半導体チップを基板に搭載する際、または半導体パッケージをプリント基板に搭載する際、小型化に有利なはんだボールを用いた、はんだ接合方法が採用されている。はんだボールを用いた接合は、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィーにより形成したビアホール部の金属パッド上にフラックスを印刷した後、所定の位置にはんだボールを搭載し、リフロー工程によりはんだボールを溶融接合させ、フラックスを洗浄することによって行われている。このフォトリソグラフィー法は、極めて高精度高密度微細パターンの形成が可能であるため、半導体電子部品その他の微細加工に一般的に用いられている。しかしながら、このフォトリソグラフィー法は、その加工工程が長く、複雑で、かつその設備が高価であるという問題がある。また、ランド(金属パッド)上にビアホールを形成する際に位置ずれを起こしたり、はんだ接合時にフラックスが必要であるとともにこれをランド上に印刷し、リフロー後に洗浄する必要がある。特に洗浄には有機溶剤を必要とするため、環境保全に対する社会的意識の高まりから、洗浄工程を省略したはんだ接合方法の開発が望まれていた。
【0003】
また、金属表面を活性化させる成分を含む樹脂を、チップまたは基板に塗布した後、基板上にチップを設置し、これを加熱することにより、端子間接続とアンダーフィルとを同時に行う方法が検討されている(たとえば、特許文献1〜4)。この方法は、加熱によりはんだバンプが溶融し、他の端子またはパッドと接続するが、そのまま加熱を続けることにより、樹脂の硬化反応が進行し、接続面全体が固定される。しかしながら、この方法は、はんだ接合と同時に樹脂の硬化が進行するため、接合不良を起こしやすいという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−210586号公報
【特許文献2】
特開2002−299518号公報
【特許文献3】
特開2002−331391号公報
【特許文献4】
特開2003−103398号公報
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、はんだリフロー時にフラックスとして作用し、リフロー後に洗浄工程を必要とせず、はんだ接合部の補強性、電気絶縁性、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性等の諸特性に優れた硬化物を得ることができる絶縁性樹脂組成物、特に表面保護膜用途に適した絶縁性樹脂組成物を提供することを目的としている。さらに、本発明は、このような絶縁樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究し、フラックス作用を発現する化合物、架橋微粒子および光感応性酸発生剤とともに、融点、軟化点またはガラス転移点が特定の範囲にある化合物を用いることによって、優れた特性を有する絶縁膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る第一の絶縁性樹脂組成物は、
(A)フラックス作用を発現する化合物、(B1)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であるフェノール性水酸基を有する樹脂、(C)架橋微粒子、(D)アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に含有する架橋剤、および(E)光感応性酸発生剤を含有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る第二の絶縁性樹脂組成物は、
(A)フラックス作用を発現する化合物、(B2)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有し、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物、(C)架橋微粒子、および(E)光感応性酸発生剤を含有することを特徴としている。
【0009】
前記絶縁性樹脂組成物は、はんだリフロー時にフラックスとして作用し、該絶縁性樹脂組成物を硬化した後、その硬化物がはんだ接合部を補強することが好ましい。
本発明に係る硬化物は、前記絶縁性樹脂組成物を硬化して得ることができる。
【0010】
本発明に係るはんだ接合方法は、
前記絶縁性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、該支持体にはんだボールを搭載する工程と、はんだボールを搭載した支持体をリフロー処理する工程とを含む、はんだ接合方法であって、
前記リフロー処理前またはリフロー処理後に光照射することによって、絶縁性樹脂組成物を硬化させること特徴としている。
【0011】
前記はんだ接合方法は、前記支持体が、樹脂付き銅箔、銅張り積層板、金属スパッタ膜を有するシリコンウエハーおよびアルミナ基板からなる群から選択される基板であることが好ましい。
本発明に係る電子部品は、前記はんだ接合方法によって得ることができる。
【0012】
【発明の具体的説明】
まず、本発明に用いられる化合物について説明する。
(A)フラックス作用を発現する化合物:
本発明において用いられるフラックス作用を発現する化合物は、金属表面の酸化物を除去し、はんだの表面張力を低下させる効果を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、有機酸類、アルコール類が好ましい。
【0013】
有機酸類としては、たとえば、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸、環状脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アミノ基含有カルボン酸、水酸基含有カルボン酸、複素環含有カルボン酸、またはこれらの混合物などが使用できる。具体的には、
アビエチン酸、チオプロピオン酸、チオジブチル酸、ジチオグリコール酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸などの脂肪族モノカルボン酸;
安息香酸、サリチル酸、アニス酸、アントラニル酸、p−トルエンスルホン酸,5−スルホサリチル酸、4−スルホフタル酸、スルファニル酸、ナフタレンカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルグルタル酸、アジピン酸、メチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;
フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;
シクロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、シクロヘキセンジカルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン酸;
テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フェニレン二酢酸、カテコール二酢酸、ハイドロキノン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸;
グルタミン酸などのアミノ基含有ジカルボン酸;
リンゴ酸、酒石酸などの水酸基含有ジカルボン酸;
ピラジンジカルボン酸などの複素環含有ジカルボン酸;
トリカルバリン酸などの飽和脂肪族トリカルボン酸;
ベンゼントリカルボン酸などの芳香族トリカルボン酸;
クエン酸などの水酸基含有トリカルボン酸;
ブタンテトラカルボン酸などの飽和脂肪族テトラカルボン酸;
シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸などの環状脂肪族テトラカルボン酸;
ベンゼンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸;
エチレンジアミン四酢酸などのアミノ基含有テトラカルボン酸などが挙げられる。これらの有機酸は単独でも用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
アルコール類としては、たとえば、
メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、オクタノール、アリルアルコール、シクロヘキサノールなどのモノアルコール;
エチレングリコール、ジエチレングコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、オクテングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールが挙げられる。これらのアルコール類は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0015】
また、これらの有機酸類およびアルコール類は、いずれか一方を単独で用いても、有機酸類とアルコール類とを混合して使用してもよい。
【0016】
(B1)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であるフェノール性水酸基を有する樹脂:
本発明において用いられるフェノール性水酸基を有する樹脂(B1)は、融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下のものであれば、特に限定されないが、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などが挙げられる。ここで、「融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下のもの」とは、以下のものを意味する。
(1)融点、軟化点およびガラス転移点のすべてを有する樹脂の場合には、融点、軟化点およびガラス転移点のうちの1つの温度が100℃以下であるもの。
(2)融点および軟化点を有し、ガラス転移点を有しない樹脂の場合には、融点および軟化点のいずれか一方の温度が100℃以下であるもの。
(3)融点およびガラス転移点を有し、軟化点を有しない樹脂の場合には、融点およびガラス転移点のいずれか一方の温度が100℃以下であるもの。
(4)軟化点およびガラス転移点を有し、融点を有しない樹脂の場合には、軟化点およびガラス転移点のいずれか一方の温度が100℃以下であるもの。
(5)融点のみを有する樹脂の場合には、融点が100℃以下であるもの。
(6)軟化点のみを有する樹脂の場合には、軟化点が100℃以下であるもの。
(7)ガラス転移点のみを有する樹脂の場合には、ガラス転移点が100℃以下であるもの。
【0017】
上記ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得られる。このとき用いられるフェノール類として、たとえば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトールが挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
【0018】
このようにして得られるノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂などが挙げられる。また、ノボラック樹脂以外の樹脂としては、ポリヒドロキシスチレンおよびその共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂などが挙げられる。
【0019】
本発明では、上記フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)とともに、フェノール性低分子化合物(以下、「フェノール化合物(b1)」という。)を用いることができる。具体的には、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、1,1,2,2,−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0020】
これらのフェノール化合物(b1)は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)中に、0〜40重量%、特に0〜30重量%の範囲で含有させることができる。
フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)は、得られる絶縁膜の熱衝撃性、耐熱性などの観点から、重量平均分子量が2,000以上であることが必要であり、特に2,000〜20,000程度の範囲が好ましい。
【0021】
また、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)の含有量(フェノール化合物(b1)を併用する場合はそれらの合計量)は、後述する本発明に係る第一の絶縁性樹脂組成物全体に対して通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%が望ましい。
【0022】
(C)架橋微粒子:
本発明に用いられる架橋微粒子(以下、「架橋微粒子(C)」という。)は、不飽和重合性基を2個以上有する架橋性モノマー(以下、「架橋性モノマー」と称す。)とその他モノマー(以下、「その他モノマー」と称す。)を共重合したものであれば、特に限定されるものではない。
【0023】
架橋性モノマーとして、具体的には、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を複数有する化合物が挙げられる。これらのうち、ジビニルベンゼンが好ましく用いられる。
【0024】
その他モノマーとしては、たとえば、
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエンなどのジエン化合物類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミドなどの不飽和アミド類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどの芳香族ビニル化合物;
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、グリコールのジグリシジルエーテル等と(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、コハク酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、マレイン酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、フタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチルなどの不飽和酸化合物;
ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有不飽和化合物;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物が挙げられる。
【0025】
このようなその他モノマーのうち、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などが好ましく用いられる。
【0026】
架橋微粒子(C)に含まれる架橋性モノマーの割合は、共重合に用いられる全モノマー量(架橋性モノマーとその他のモノマーの合計量)対して1〜20重量%が好ましく、より好ましくは2〜10重量%が望ましい。
本発明に用いられる架橋微粒子(C)の大きさは、通常20〜500nm、好ましくは30〜200nmが望ましい。架橋微粒子(C)を調製する際の粒径調整方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、乳化重合により架橋微粒子を合成する場合、使用する乳化剤の量によって乳化重合中のミセルの数を制御して粒径をコントロールする方法が挙げられる。
【0027】
(D)アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に含有する架橋剤:
アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に有する架橋剤(以下、「架橋剤(D)」という。)は、前記フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)と反応する化合物である。
【0028】
架橋剤(D)としては、(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレアなどの活性メチロール基の全部または一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、またはこれらを2種以上組み合わせたものが挙げられる。また、前記含窒素化合物はその一部が自己縮合して得られるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリルなどが用いられる。このような架橋剤(D)は、1種単独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
(E)光感応性酸発生剤:
本発明に用いられる光感応性酸発生剤(E)は、放射線などを照射することにより酸を発生する化合物であれば、特に限定されないが、たとえば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物などが挙げられる。以下に、これらを具体的に示す。
【0030】
オニウム塩化合物:
オニウム塩化合物としては、たとえば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。
具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフリオロメタンスルホネートなどが、好ましいオニウム塩として挙げられる。
【0031】
ハロゲン含有化合物:
ハロゲン含有化合物としては、たとえば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物などが挙げられる。
具体的には、1,10−ジブロモ−n−カン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジンなどのS−トリアジン誘導体が、好ましいハロゲン含有化合物として挙げられる。
【0032】
ジアゾケトン化合物:
ジアゾケトン化合物としては、たとえば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。
具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物が挙げられる。
【0033】
スルホン化合物:
スルホン化合物としては、たとえば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物およびこれらの化合物のα−ジアゾ化合物が挙げられる。
具体的には、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンなどが挙げられる。
【0034】
スルホン酸化合物:
スルホン酸化合物としては、たとえば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類などが挙げられる。
【0035】
具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートなどが、好ましいスルホン酸化合物として挙げられる。
【0036】
スルホンイミド化合物:
スルホンイミド化合物としては、たとえば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドが挙げられる。
【0037】
ジアゾメタン化合物:
ジアゾメタン化合物としては、具体的には、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。
このような光感応性酸発生剤(E)は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
(B2)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有し、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物:
本発明に用いられるエーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)は、融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有するものであれば、特に限定されないが、たとえば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、三員環または四員環チオエーテル類が挙げられる。ここで、「融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下のもの」は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)で述べた意味と同様の意味を有する。
【0039】
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、水添ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールS型エポキシ、臭素化ビスフェノールA型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、ナフタレン型エポキシ、フルオレン型エポキシ、スピロ環型エポキシ、ビスフェノールアルカン類エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ、トリスヒドロキシメタン型エポキシ、テトラフェニロールエタン型エポキシ、脂環型エポキシ、アルコール型エポキシ、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ、トルイジン型エポキシ、アニリン型エポキシ、アミノフェノール型エポキシ、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、ヒンダトイン型エポキシ、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジフェニルエーテル型エポキシ、ジシクロペンタジエン型エポキシ、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエーテル、シリコーン変性エポキシ、ケイ素含有エポキシ、ウレタン変性エポキシ、NBR変性エポキシ、CTBN変性エポキシ、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。
【0040】
オキセタン化合物としては、分子内にオキセタン環を有しているものであれば特に制限されないが、たとえば、
オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、3−メチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3,3’−ジ(トリフルオロメチル)パーフルオロオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、レゾルシノールビス(3−メチル−3−オキセタニルエチル)エーテル、m−キシリレンビス(3−エチル−3−オキセタニルエチルエーテル)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等が挙げられる。
【0041】
環状チオエーテル化合物としては、エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンなどのチイラン化合物;3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物などが挙げられる。
【0042】
このようなエーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)は単独でまたは二種以上を混合して使用してもよい。
また、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)の含有量は、後述する本発明に係る第二の絶縁性樹脂組成物全体に対して通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%が望ましい。
【0043】
(F)溶剤:
本発明では、樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節するために、溶剤を添加することができる。このような溶媒は、特に制限されるものではないが、たとえば、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;
ブチルカルビトールなどのカルビトール類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチルなどのその他のエステル類;
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;
2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;
γ−ブチロラクンなどのラクトン類を挙げることができる。これらの溶媒は、単独あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
【0044】
(G)添加剤:
本発明に係る絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。たとえば、
融点、軟化点またはガラス転移点が100℃を越え、フェノール性水酸基を有する樹脂;
融点、軟化点またはガラス転移点が100℃を越える環状エーテル類または環状チオエーテル類;
ポリイミド、アクリルポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレンブタジエンエラストマー、シリコンエラストマー、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物やそのブロック化物;
高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、脂肪族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、(変性)ポリカルボジイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、変性ポリフェニレンオキシドなどの熱可塑性または熱硬化性の樹脂が挙げられる。
【0045】
その他、密着助剤、増感剤、レベリング剤、無機フィラーなどの添加剤を含有させることもできる。
このような添加剤は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
<絶縁性樹脂組成物およびその硬化物>
本発明に係る第一の絶縁性樹脂組成物は、(A)フラックス作用を発現する化合物、(B1)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であるフェノール性水酸基を有する樹脂、(C)架橋微粒子、(D)アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に含有する架橋剤、および(E)光感応性酸発生剤を含有する組成物である。第一の絶縁性樹脂組成物は、必要に応じて、(F)溶剤、(G)添加剤を含有していてもよい。
【0047】
フラックス作用を発現する化合物(A)の配合量は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部が望ましい。配合量が上記下限未満では、十分なフラックス作用が発現しないことがあり、上記上限を越えると絶縁性が低下することがある。
【0048】
架橋微粒子(C)の配合量は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部が望ましい。配合量が上記下限未満では、得られる硬化膜の熱衝撃性が低下することがあり、上記上限を越えると耐熱性が低下したり、他成分との相溶性が低下したりすることがある。
【0049】
本発明における架橋剤(D)の配合量は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部が望ましい。配合量が上記下限未満では露光による硬化が不十分になり、得られる硬化物の耐熱性が低下することがあり、上記上限を越えると電気絶縁性が低下することがある。
【0050】
光感応性酸発生剤(E)の配合量は、フェノール性水酸基を有する樹脂(B1)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部が望ましい。光感応性酸発生剤(E)の配合量が上記下限未満では硬化が不十分になり、耐熱性が低下することがあり、上記下限を超えると、放射線に対する透明性が低下し、硬化不良を起こすことがある。
【0051】
本発明に係る第二の絶縁性樹脂組成物は、(A)フラックス作用を発現する化合物、(B2)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有し、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物、(C)架橋微粒子、および(E)光感応性酸発生剤を含有する組成物である。
【0052】
フラックス作用を発現する化合物(A)の配合量は、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)100重量部に対して、通常1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部が望ましい。配合量が上記下限未満では、十分なフラックス作用が発現しないことがあり、上記上限を越えると絶縁性が低下することがある。
【0053】
架橋微粒子(C)の配合量は、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部が望ましい。配合量が上記下限未満では、得られる硬化膜の熱衝撃性が低下することがあり、上記上限を越えると耐熱性が低下したり、他成分との相溶性が低下したりすることがある。
【0054】
光感応性酸発生剤(E)の配合量は、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部が望ましい。光感応性酸発生剤(E)の配合量が上記下限未満では硬化が不十分になり、耐熱性が低下することがあり、上記下限を超えると、放射線に対する透明性が低下し、硬化不良を起こすことがある。
【0055】
本発明に係る第一および第二の絶縁性樹脂組成物は、リフロー時にフラックスとして作用し、洗浄工程を必要とせず、その硬化物は、はんだ接合部を補強し、電気絶縁性、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れている。したがって、本発明に係る絶縁樹脂組成物は、半導体素子、半導体パッケージ、プリント配線基板等の電子部品に使用することができる。特に半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜材料などとして好適に使用することができる。
【0056】
<はんだ接合方法>
以下に、本発明に係る絶縁性樹脂組成物を用いるはんだ接合方法について説明する。
本発明にかかる第一または第二の絶縁性樹脂組成物を、樹脂付き銅箔、銅張り積層板、金属スパッタ膜を有するシリコンウエハーまたはアルミナ基板などの支持体に塗工し、はんだボールを所定の位置に搭載した後、乾燥して溶剤などを揮発させて塗膜を形成する。また、予備乾燥後にはんだボールを所定の位置に搭載することもできる。絶縁性樹脂組成物を支持体に塗工する方法としては、たとえば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法またはスピンコート法などの塗布方法を用いることができる。また、塗布の厚さは、塗布手段、組成物溶液の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。絶縁性樹脂組成物を塗布した支持体を加熱乾燥する際の温度は通常60〜200℃、好ましくは70〜150℃が望ましく、加熱時間は通常1〜60分間、好ましくは2〜30分間が望ましい。
【0057】
次いで、リフローにより、はんだボールを金属配線上に接合する。リフロー温度は通常180〜250℃、好ましくは200〜240℃が望ましい。また、リフロー前に通常120〜180℃、好ましくは130〜160℃の範囲の温度で前記支持体を予備加熱することが望ましい。
【0058】
硬化膜を形成して絶縁膜特性を発現させるために、このリフロー前および/またはリフロー後に、光照射処理および加熱処理を実施することが好ましい。特に、リフロー前に光照射処理を実施し、リフロー後に加熱処理することが好ましい。
【0059】
光照射処理方法は、特に制限されないが、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線ステッパー、i線ステッパーなどの紫外線や電子線、レーザー光線などを照射することが好ましい。露光量は使用する光源や樹脂膜厚などによって適宜選定されるが、たとえば、高圧水銀灯による紫外線照射の場合、樹脂膜厚が10〜50μmでは、1,000〜50,000J/m程度が好ましい。
【0060】
光照射処理後、さらに硬化反応を促進させるために、露光後ベーク(PEB)を行うことができる。PEB条件は絶縁性樹脂組成物の配合量や使用膜厚などによって異なるが、温度70〜150℃、好ましくは80〜120℃、時間1〜60分が望ましい。
【0061】
前記加熱処理は、たとえば、対流式オーブンなどを用いて、温度50〜200℃、30分〜10時間の範囲で加熱して絶縁性樹脂組成物を硬化させることが好ましい。上記加熱処理条件は、硬化物の用途に応じて適宜設定することができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における「部」は、特に断らない限り、「重量部」を表すものとする。
まず、実施例および比較例で用いた原料および得られた硬化物の物性の評価方法について記載する。
【0063】
<原料>
フラックス作用を発現する化合物(A):
A−1:アビエチン酸
A−2:トリメチロールプロパン
A−3:セバシン酸
フェノール性水酸基を有する樹脂(B1):
B1−1:m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)からなるクレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量=10,000、軟化点80℃)
B1−2:フェノールノボラック樹脂(昭和高分子製、商品名:BRG−555、軟化点66〜72℃)
B1−3:フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂(三井化学製、商品名:XLC−3L、軟化点55℃)
B1−4:ハイオルソノボラック型フェノール樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量=33,000、軟化点120℃)
エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物(B2):
B2−1:1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(融点44℃)
B2−2:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名EOCN−1020−55、軟化点53℃)
架橋微粒子(C):
C−1:ブタジエン/スチレン/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=50/10/32/6/2(重量%)、平均粒子径=65nm
C−2:ブタジエン/アクリロニトリル/ヒドロキシブチルメタクリレート/ジビニルベンゼン=60/24/14/2(重量%)、平均粒子径=70nm
架橋剤(D):
D−1:ヘキサメトキシメチルメラミン
D−2:テトラメトキシメチルグリコールウリル
光感応性酸発生剤(E):
E−1:スチリル−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン
E−2:4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
E−3:トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート
溶剤(F):
F−1:乳酸エチル
F−2:2−ヘプタノン
【0064】
<評価方法>
(1)はんだ接合性:
基板1上に、直径200μmの金属パッド2、感光性絶縁膜3および金属配線パターン4(銅メッキ)を形成したシリコンウエハー11(図1)に、樹脂組成物を塗布した(図2)。この樹脂組成物を塗布したシリコンウエハーのランド部に直径500μmのはんだボール(千住金属工業製、商品名スパークルボールS)を搭載し、ホットプレートで110℃、10分間加熱して20μm厚の樹脂膜5aを有する基板(図3)を作製した。次いで、高圧水銀灯により紫外線を波長350nmにおける露光量が5,000J/mとなるように露光し、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB処理)した。さらに、予備加熱温度150℃、リフロー温度230℃のリフロー炉に通した後、対流式オーブンで170℃、2時間加熱して硬化膜5bを有する基板(図4)を得た。得られた基板について、はんだ接合部の抵抗値を測定した。
Figure 2004330269
【0065】
(2)電気絶縁性(体積抵抗率):
樹脂組成物をSUS基板に塗布し、ホットプレートで110℃、3分間加熱して20μm厚の均一な樹脂膜を作製した。次いで、高圧水銀灯により紫外線を波長350nmにおける露光量が5,000J/mとなるように露光し、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB処理)した。さらに、対流式オーブンで170℃、2時間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜をプレッシャークッカー試験装置(エスペック製)を用いて、温度121℃、湿度100%、2.1気圧の条件下で168時間処理した。処理前後での硬化膜の体積抵抗率を測定した。
【0066】
(3)熱衝撃性:
図1に示すシリコンウエハー11に樹脂組成物を塗布し(図2)、ランド部に直径500μmのはんだボール(千住金属工業製、商品名スパークルボールS)を搭載し、ホットプレートで110℃、10分間加熱して30μm厚の均一な樹脂膜5aを有する基板(図3)を作製した。次いで、高圧水銀灯により紫外線を波長350nmにおける露光量が5,000J/mとなるように露光し、ホットプレートで110℃、3分間加熱(PEB処理)した。さらに、予備加熱温度150℃、リフロー温度230℃のリフロー炉に通した後、対流式オーブンで170℃、2時間加熱して硬化膜5bを有する基板(図4)を得た。この基板を冷熱衝撃試験器(エスペック製)で−65℃/30分〜150℃/30分を1サイクルとして耐性試験を行った。硬化膜5bにクラックなどの欠陥が発生するまでのサイクル数を確認した。
【0067】
【実施例1〜6および比較例1〜6】
表1に示す配合量で樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物について、上記評価方法により物性を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004330269
【0069】
【表2】
Figure 2004330269
【0070】
【表3】
Figure 2004330269
【0071】
【発明の効果】
本発明に係る絶縁性樹脂組成物を用いることによって、はんだリフロー時にフラックスとして作用して、はんだ接合部を補強することができる。また、リフロー後に洗浄工程を必要としない。
本発明に係る硬化物は、はんだ接合部の補強性、電気絶縁性、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性等の諸特性に優れている。
【0072】
本発明に係るはんだ接合方法は、リフロー後の洗浄工程を必要としないため、洗浄用溶剤を使用せず、環境にやさしく、また経済性に優れている。
本発明に係る電子部品は、熱衝撃性、耐熱性、耐薬品性等に優れるとともに、はんだ接合部の強度、絶縁膜の電気絶縁性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例において用いたシリコンウエハーの断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例において得られた樹脂組成物を塗布したシリコンウエハーの断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例において得られたリフロー処理前の基板の断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例において得られたリフロー処理前の基板の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 金属パッド
3 感光性絶縁膜
4 金属配線
5 塗布した樹脂組成物
5a 樹脂膜
5b 硬化膜
6 はんだボール
6a リフロー後のはんだボール
11 シリコンウエハー

Claims (7)

  1. (A)フラックス作用を発現する化合物、(B1)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であるフェノール性水酸基を有する樹脂、(C)架橋微粒子、(D)アルキルエーテル化された少なくとも2つのアミノ基を分子中に含有する架橋剤、および(E)光感応性酸発生剤を含有することを特徴とする絶縁性樹脂組成物。
  2. (A)フラックス作用を発現する化合物、(B2)融点、軟化点またはガラス転移点が100℃以下であって、三員環または四員環を有し、エーテル基またはチオエーテル基を有する化合物、(C)架橋微粒子、および(E)光感応性酸発生剤を含有することを特徴とする絶縁性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の絶縁性樹脂組成物であって、はんだリフロー時にフラックスとして作用し、該絶縁性樹脂組成物を硬化した後、その硬化物がはんだ接合部を補強することを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、該支持体にはんだボールを搭載する工程と、はんだボールを搭載した支持体をリフロー処理する工程とを含む、はんだ接合方法であって、
    前記リフロー処理前またはリフロー処理後に光照射することによって、絶縁性樹脂組成物を硬化させること特徴とする、はんだ接合方法。
  6. 前記支持体が、樹脂付き銅箔、銅張り積層板、金属スパッタ膜を有するシリコンウエハーおよびアルミナ基板からなる群から選択される基板であることを特徴とする請求項5に記載のはんだ接合方法。
  7. 請求項5または6に記載のはんだ接合方法によって得られる電子部品。
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