JP6990488B2 - 熱硬化性フラックス組成物および電子基板の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、実装基板上にフラックス剤を含有する接着剤を予め印刷しておき、印刷部分にパッケージ部品を実装する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献1に記載の接着剤を用いる方法においては、接着剤の硬化物が実装基板に残ることになる。そのため、この接着剤の硬化物にも、実装基板に用いられる材料(ソルダーレジストなど)と同様に絶縁性が求められる。そして、例えば接着剤の硬化率を下げるような方法で、はんだ付け性の向上を図ろうとしても、接着剤の硬化物における絶縁性が問題となる。
このように、硬化物の絶縁性と、はんだ付け性とは、トレードオフの関係にあり、これらを共に向上させるのは困難であった。
本発明の熱硬化性フラックス組成物は、リフローはんだ付けまたは熱圧着により、融点が130℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、(A)オキセタン化合物と、(B)活性剤と、(C)カチオン重合開始剤と、を含有し、前記(A)成分が、(A1)1分子中に2つ以上のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物を含有し、前記(B)成分が、(B1)有機酸を含有し、前記(C)成分の配合量が、当該熱硬化性フラックス組成物の固形分全量に対して、0.1質量ppm以上5質量%以下であることを特徴とするものである。
本発明の熱硬化性フラックス組成物においては、前記アリールスルホニウム塩が、下記構造式(S1)~(S3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の熱硬化性フラックス組成物においては、エポキシ樹脂を含有しないことが好ましい。
本発明の第二の電子基板の製造方法は、配線基板上に、前記熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する熱圧着工程と、前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備えることを特徴とする方法である。
すなわち、本発明の熱硬化性フラックス組成物は、リフロー工程または熱圧着工程では、熱硬化性フラックス組成物の硬化がそれほど進まないような(A)オキセタン化合物を用いている。そのため、溶融はんだの流動性が熱硬化性フラックス組成物の硬化物により妨げられることがないために、はんだ付け性を維持できる。一方で、本発明の熱硬化性フラックス組成物は、(C)カチオン重合開始剤の存在により、リフロー工程または熱圧着工程後の熱硬化工程で、十分に硬化させることができるので、硬化物の絶縁性を確保できる。以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者らは推察する。
まず、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物について説明する。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、リフローはんだ付けまたは熱圧着により、はんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、以下説明する(A)オキセタン化合物、(B)有機酸および(C)カチオン重合開始剤を含有するものである。
また、融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合には、発熱ピークとなる温度は、180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、200℃以上240℃以下であることが特に好ましい。
ここで、示差走査熱量は、適宜公知の示差走査熱量計を用いて測定でき、例えば、TAインスツルメント社製の「MDSC Q2000」を用いて測定できる。
熱硬化性フラックス組成物における発熱ピークとなる温度は、オキセタン化合物、有機酸およびカチオン重合開始剤などの種類および配合量を変更することによって調整できる。
本実施形態に用いる(A)オキセタン化合物としては、公知のオキセタン化合物を適宜用いることができる。また、この(A)成分は、(A1)1分子中に2つ以上のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物を含有することが必要である。
また、この(A)成分は、(A2)1分子中に1つのオキセタン環を有する単官能オキセタン化合物を含有していてもよい。この(A2)成分を含有することにより、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を高めることができ、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を調整できる。
(A2)成分としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製の「OXT-101」)、2-エチルヘキシルオキセタン(東亞合成社製の「OXT-212」)、および、3-エチル-3-(メタクリロイルオキシ)メチルオキセタン(宇部興産社製の「ETERNACOLL OXMA」)などが挙げられる。
本実施形態に用いる(B)活性剤は、有機酸、有機酸アミン塩、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤、およびアミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、この(B)成分は、(B1)有機酸を含有することが必要である。リフロー工程または熱圧着工程では、有機酸とオキセタン化合物との硬化反応がそれほど進まないため、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を適切な範囲に調整できる。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、およびグリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、およびジグリコール酸などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性フラックス組成物の硬化物の物性の観点から、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸が好ましい。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、およびピコリン酸などが挙げられる。
前記有機酸アミン塩は、(B1)成分のアミン塩である。前記アミンとしては、適宜公知のアミンを用いることができる。このようなアミンは、芳香族アミンであってもよく、脂肪族アミンであってもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このようなアミンとしては、有機酸アミン塩の安定性などの観点から、炭素数が3以上13以下のアミンを用いることが好ましく、炭素数が4以上7以下の1級アミンを用いることがより好ましい。
前記芳香族アミンとしては、ベンジルアミン、アニリン、1,3-ジフェニルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンジルアミンが特に好ましい。
前記脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
本実施形態に用いる(C)カチオン重合開始剤としては、公知のカチオン重合開始剤を適宜用いることができる。カチオン重合開始剤とは、熱や光により酸を発生するものである。本実施形態においては、熱により酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
熱カチオン重合開始剤としては、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン-イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、および三フッ化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性フラックス組成物の硬化温度を適切な範囲に調整するという観点から、アリールスルホニウム塩が好ましく、下記構造式(S1)~(S3)で表される化合物がより好ましい。
また、熱硬化性フラックス組成物における発熱ピークとなる温度を更に高めるという観点からは、熱カチオン重合開始剤の中でも、下記構造式(S2)および(S3)で表される化合物がさらに好ましく、下記構造式(S2)で表される化合物が特に好ましい。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、必要に応じて、(A)成分~(C)成分の他に、(A)成分以外の熱硬化性樹脂、(C)成分以外の硬化剤、チクソ剤(硬化ひまし油、アミド類など)、界面活性剤、カップリング剤、消泡剤、粉末表面処理剤、反応抑制剤、沈降防止剤、およびフィラーなどの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の配合量としては、熱硬化性フラックス組成物の固形分全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。また、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、塗布性の調整などの観点から、溶剤を含有していてもよい。溶剤を用いる場合、その配合量は特に制限されない。
なお、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、はんだ付け性の観点から、エポキシ樹脂などの反応の速い熱硬化性樹脂を含有しないことが好ましい。
本実施形態の熱硬化性フラックス組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分などを前記の所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
次に、本実施形態の電子基板の製造方法について説明する。なお、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物の使用方法が、本実施形態の電子基板の製造方法に限定されるわけではない。
本実施形態の第一の電子基板の製造方法は、前述した本実施形態の熱硬化性フラックス組成物を用いる方法であって、以下説明する塗布工程、搭載工程、リフロー工程および熱硬化工程を備える。
配線基板としては、プリント配線基板、配線が設けられたシリコン基板などが挙げられる。
塗布装置としては、スピンコータ、スプレーコータ、バーコータ、アプリケータ、ディスペンサ、およびスクリーン印刷機などが挙げられる。なお、塗布装置として、スピンコータ、スプレーコータなどを用いる場合には、熱硬化性フラックス組成物を溶剤にて希釈して用いることが好ましい。
溶剤としては、ケトン類(メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなど)、芳香族炭化水素類(トルエンおよびキシレンなど)、アルコール類(メタノール、イソプロパノールおよびシクロヘキサノールなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンなど)、石油系溶剤類(石油エーテルおよび石油ナフサなど)、セロソルブ類(セロソルブおよびブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールおよびブチルカルビトールなど)、および、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
塗布膜の厚み(塗布膜厚)は、適宜設定できる。
はんだバンプを有する電子部品としては、例えば、BGAパッケージ、およびチップサイズパッケージなどが挙げられる。
はんだバンプは、融点が130℃以上240℃以下のはんだ合金からなる。なお、はんだバンプは、その表面にはんだ合金によるメッキがされているものであってもよい。融点が130℃以上150℃以下のはんだ合金としては、Sn-Bi系などのはんだ合金が挙げられる。また、融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金としては、Sn-Ag-Cu系、およびSn-Ag系などのはんだ合金が挙げられる。
搭載工程で用いる装置としては、公知のチップマウント装置を適宜用いることができる。
また、接合用ランドの材質としては、公知の導電性材料(銅、銀など)を適宜用いることができる。
ここで用いる装置としては、公知のリフロー炉を適宜用いることができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn-Ag-Cu系のはんだ合金を用いる場合には、プリヒートを温度150~180℃で60~120秒行い、ピーク温度を220~260℃に設定すればよい。
加熱条件としては、加熱温度が、150℃以上220℃以下であることが好ましく、180℃以上200℃以下であることがより好ましい。加熱温度が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
加熱時間は、10分間以上3時間以下であることが好ましく、20分間以上90分間以下であることがより好ましく、30分間以上60分間以下であることが特に好ましい。加熱時間が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
熱圧着時の温度は、はんだの融点よりも高い温度(より好ましくは10℃以上高い温度)とすることが好ましい。熱圧着時の温度が、はんだの融点よりも高い温度とすれば、はんだを十分に溶融させることができる。
例えば、Sn-Ag-Cu系のはんだ合金を用いる場合には、熱圧着時の温度は、200℃以上250℃以下とすることが好ましい。
熱圧着時の圧力は、特に限定されないが、はんだ付け性と基板へのストレスとのバランスの観点から、0.05MPa以上4MPa以下とすることが好ましく、0.1MPa以上2MPa以下とすることがより好ましく、0.3MPa以上1MPa以下とすることが特に好ましい。
熱圧着時の時間は、特に限定されないが、1秒間以上60秒間以下であることが好ましく、2秒間以上20秒間以下であることがより好ましく、3秒間以上15秒間以下であることが特に好ましい。
なお、本実施形態の熱硬化性フラックス組成物、および電子基板の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
((A1)成分)
多官能オキセタン化合物A:商品名「ETERNACOLL OXBP」、宇部興産社製
多官能オキセタン化合物B:商品名「TOIC」、四国化成工業社製
多官能オキセタン化合物C:商品名「アロンオキセタン OXT-121」、東亞合成社製
多官能オキセタン化合物D:商品名「アロンオキセタン OXT-221」、東亞合成社製
((A2)成分)
単官能オキセタン化合物:商品名「アロンオキセタン OXT-212」、東亞合成社製
((B)成分)
活性剤:アジピン酸
((C)成分)
カチオン重合開始剤A:構造式(S2)で表される化合物、商品名「SAN-AID SI-B4」、三新化学工業社製
カチオン重合開始剤B:構造式(S1)で表される化合物、商品名「SAN-AID SI-B3」、三新化学工業社製
カチオン重合開始剤B:構造式(S3)で表される化合物、商品名「SAN-AID SI-B5」、三新化学工業社製
(他の成分)
硬化剤A:2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、商品名「2P4MHZ」、四国化成工業社製
硬化剤B:ジシアンジアミド
多官能オキセタン化合物A93質量部、活性剤7質量部およびカチオン重合開始剤A0.1質量部を容器に投入し、混合機にて混合し、その後、3本ロールにて混合し分散させて熱硬化性フラックス組成物を得た。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性フラックス組成物を得た。
[比較例1~3]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性フラックス組成物を得た。
熱硬化性フラックス組成物の評価(はんだ溶融性、硬化性、絶縁性、熱圧着時のはんだぬれ性、DSC測定で発熱ピークとなる温度)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)はんだ溶融性((i)SAC305、(ii)Sn58Bi)
(i)SAC305
厚みが0.3mmの銅板上に、熱硬化性フラックス組成物を、直径が1cmで厚みが50μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、SAC305のはんだボール(直径:350~450μm、はんだ合金:Sn-Ag3.0-Cu0.5、はんだの融点:217℃~220℃)を1個載せて、試験基板を作製した。この試験基板をホットプレートに載せ、下記の2つの条件で加熱して、はんだボールの溶融性を目視にて確認した。
条件(ia)150℃で1分間加熱後に、250℃で30秒間加熱する。
条件(ib)250℃で30秒間加熱する。
そして、下記の判定基準に従って、はんだ溶融性を評価した。
○:条件(ia)および条件(ib)のいずれの場合も、はんだが溶融した。
△:条件(ia)の場合は、はんだが溶融しなかったが、条件(ib)の場合は、はんだが溶融した。
×:条件(ia)および条件(ib)のいずれの場合も、はんだが溶融しなかった。
(ii)Sn58Bi
厚みが0.3mmの銅板上に、熱硬化性フラックス組成物を、直径が1cmで厚みが50μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、Sn58Biのはんだボール(直径:350~450μm、はんだ合金:Sn-Bi58、はんだの融点:139℃)を1個載せて、試験基板を作製した。この試験基板をホットプレートに載せ、下記の2つの条件で加熱して、はんだボールの溶融性を目視にて確認した。
条件(iia)90℃で1分間加熱後に、160℃で30秒間加熱する。
条件(iib)160℃で30秒間加熱する。
そして、下記の判定基準に従って、はんだ溶融性を評価した。
○:条件(iia)および条件(iib)のいずれの場合も、はんだが溶融した。
△:条件(iia)の場合は、はんだが溶融しなかったが、条件(iib)の場合は、はんだが溶融した。
×:条件(iia)および条件(iib)のいずれの場合も、はんだが溶融しなかった。
(2)硬化性
厚みが0.3mmの銅板上に、熱硬化性フラックス組成物を、直径が1cmで厚みが50μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、ホットプレートに載せ、180℃30分間加熱して、試験基板を作製した。そして、この試験基板を常温まで冷ました後に、熱硬化性フラックス組成物を指で触り、タックの有無を確認し、下記の基準に従って、硬化性を評価した。
○:タックがない。
×:タックがある。
(3)絶縁性
JIS2型の櫛形銅基板(導体幅:0.318mm、導体間隔:0.318mm、大きさ:30mm×30mm)に、熱硬化性フラックス組成物を、櫛形部分を覆い、厚みが30μmとなるように、メタルマスクにて塗布した後、ホットプレートに載せ、180℃30分間加熱して、試験基板を作製した。そして、この試験基板を、JIS Z 3284-1の規定に準拠して、温度85℃、相対湿度95%に設定した高温高湿試験機に投入し、500時間後の絶縁抵抗値を測定した。そして、下記の基準に従って、絶縁性を評価した。
○:絶縁抵抗値が、1.0×109以上である。
×:絶縁抵抗値が、1.0×109未満である。
(4)熱圧着時のはんだぬれ性
熱硬化性フラックス組成物70質量%と、はんだ粉末(はんだ合金:Sn-Ag3.0-Cu0.5、平均粒子径:20μm、粒子径分布:10~40μm)30質量%とを混合して、はんだ組成物を得た。
得られたはんだ組成物を、銅板(大きさ:50mm×50mm)に、印刷範囲が2mm×2mmで、厚みが50μmとなるように、メタルマスクにて塗布した。その後、この銅板を挟むように、別の2枚の銅板を配置し、熱圧着装置を用いて、温度250℃、時間10秒間、圧力1MPaの条件で熱圧着した。そして、銅板へのはんだのぬれ具合を観察し、下記の基準に従って、銅板へのはんだのぬれ性を評価した。
○:溶融したはんだが銅板にぬれている。
△:一部のはんだが未溶融である。
×:はんだが未溶融である。
(5)DSC測定で発熱ピークとなる温度
熱硬化性フラックス組成物を、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製の「MDSC Q2000」)を用いて、30℃から300℃まで、10℃/minの昇温速度で測定して、グラフを作成した。得られたグラフから、発熱ピークとなる温度を読み取った。なお、測定は、試料が1~3mgで、窒素フローが50mL/minの条件にて行った。)
なお、実施例1~6の比較結果から、SAC305のはんだ溶融性の観点から、(C)成分として、カチオン重合開始剤Aまたはカチオン重合開始剤Cを用いることが好ましく、カチオン重合開始剤Aを用いることがより好ましいことが分かった。
Claims (4)
- リフローはんだ付けまたは熱圧着により、融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだバンプを有する電子部品を電子基板に接合させる場合に用いる熱硬化性フラックス組成物であって、
(A)オキセタン化合物と、(B)活性剤と、(C)カチオン重合開始剤と、を含有し、
前記(A)成分が、(A1)1分子中に2つ以上のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物を含有し、
前記(B)成分が、(B1)有機酸を含有し、
前記(C)成分が、下記構造式(S2)および下記構造式(S3)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記(C)成分の配合量が、当該熱硬化性フラックス組成物の固形分全量に対して、0.1質量ppm以上5質量%以下であり、
エポキシ樹脂を含有しない
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。
- 請求項1に記載の熱硬化性フラックス組成物において、
当該熱硬化性フラックス組成物を、示差走査熱量計を用いて、30℃から300℃まで、10℃/minの昇温速度で測定した場合において、発熱ピークとなる温度が150℃以上である
ことを特徴とする熱硬化性フラックス組成物。 - 配線基板上に、請求項1または請求項2に記載の熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、
はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、
前記電子部品が搭載された配線基板を加熱することにより、前記はんだバンプを溶融させ、前記はんだバンプを前記接合用ランドに接合するリフロー工程と、
前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。 - 配線基板上に、請求項1または請求項2に記載の熱硬化性フラックス組成物を塗布する塗布工程と、
はんだバンプを有する電子部品を前記配線基板の接合用ランド上に搭載する搭載工程と、
前記電子部品を前記配線基板に熱圧着する熱圧着工程と、
前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。
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