JP6410164B1 - フラックス及びソルダペースト - Google Patents
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Abstract
Description
チキソ剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジルデン)ソルビトール等のソルビトール系チキソ剤が知られている。例えば、特許文献1においては、所定量の硬化ひまし油とジベンジリデンソルビトール又はジメチルジベンジリデンソルビトールとの組み合わせを含むはんだ付け用フラックスが提案されている。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
[2] 前記ソルビトール系チキソ剤と前記ソルビトール系添加剤との合計量に対する前記ソルビトール系添加剤の含有量が0.05〜1.00質量%であることを特徴とする[1]に記載のフラックス。
[3] 前記ソルビトール系チキソ剤を除くチキソ剤を1.0〜10.0質量%更に含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載のフラックス。
[4] ロジン系樹脂及び/又は水溶性樹脂:20.0〜60.0質量%、有機酸:0〜10.0質量%、アミン化合物:0〜5.0質量%、有機ハロゲン化合物:0〜5.0質量%、アミンハロゲン化水素酸塩:0〜3.0質量%、及び酸化防止剤:0〜5.0質量%を更に含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載のフラックス。
[5] [1]〜[4]のいずれか1つに記載のフラックスとはんだ粉末とを含むソルダペースト。
このように低分子系のチキソ剤においては、3次元の網目構造のネットワークを形成する前に針状結晶等を形成するが、ソルビトール系チキソ剤は結晶性が高いために結晶が析出しやすく、さらにそれらの結晶が凝集して粗大な凝集物を形成しやすいと考えられる。そこで、ソルビトール系チキソ剤の過度な結晶の析出を抑制し粗大な凝集物の形成を抑制するために、類似構造の分子であるソルビトール系添加剤を添加することで、ソルビトール系チキソ剤の分子集合体中にソルビトール系添加剤が適度に取り込まれ、結晶性を低下させ粗大な凝集物の形成を抑制することができると考えられる。
フラックス全体の質量に対するソルビトール系添加剤の含有量は、2〜350ppm(0.0002〜0.0350質量%)であり、7〜250ppm(0.0007〜0.0250質量%)が好ましく、10〜150ppm(0.0010〜0.0150質量%)がより好ましい。
ソルビトール系チキソ剤を除くチキソ剤としては、アマイド系チキソ剤、エステル系チキソ剤等を使用することができる。
フラックス全体の質量に対するソルビトール系チキソ剤を除くチキソ剤の含有量は、1.0〜10.0質量%が好ましく、2.0〜10.0質量%がより好ましく、3.0〜8.0質量%が最も好ましい。ソルビトール系チキソ剤を除くチキソ剤の含有量が上記範囲内であることにより、凝集物の析出を抑制しながら、ソルビトール系チキソ剤を単独で使用した場合に比べてより高いチキソ性を付与することができるという効果を発揮する。
フラックス全体の質量に対するロジン系樹脂の含有量は、20.0〜60.0質量%であり、30.0〜60.0質量%が好ましく、40.0〜60.0質量%がより好ましい。ロジン系樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、適切な粘度のフラックスを形成でき、リフロー時に良好なはんだ濡れ性を示す。
フラックス全体の質量に対する上記その他の樹脂の合計の含有量は、0〜60.0質量%が好ましく、5.0〜50.0質量%がより好ましく、10.0〜40.0質量%が最も好ましい。
フラックス全体の質量に対する上記水溶性樹脂の合計の含有量は、20.0〜60.0質量%であり、30.0〜60.0質量%が好ましく、40.0〜60.0質量%がより好ましい。
フラックス全体の質量に対する有機酸の含有量は、0〜10.0質量%であり、2.0〜10.0質量%が好ましく、4.0〜10.0質量%がより好ましい。有機酸の含有量が上記範囲内であることにより、良好なはんだ濡れ性を発揮する。
フラックス全体の質量に対するアミン化合物の含有量は、0〜5.0質量%であり、2.0〜5.0質量%が好ましい。アミン化合物の含有量が上記範囲内であることにより、良好なはんだ付け性を発揮する。
フラックス全体の質量に対する有機ハロゲン化合物の含有量は、0〜5.0質量%が好ましく、0〜3.0質量%がより好ましい。有機ハロゲン化合物の含有量が上記範囲内であれば、良好なはんだ付け性を発揮する。
フラックス全体の質量に対するアミンハロゲン化水素酸塩の含有量は、0〜3.0質量%であり、0〜1.0質量%が好ましい。アミンハロゲン化水素酸塩の含有量が上記範囲内であれば、良好なはんだ付け性及び電気的信頼性を発揮する。
アミンホウフッ化水素酸塩としては、上記に示したアミン化合物のホウフッ化水素酸塩を使用することができる。アミンホウフッ化水素酸塩の例としては、シクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩、ジシクロヘキシルアミンテトラフルオロホウ酸塩等が挙げられる。
フラックス全体の質量に対するアミンホウフッ化水素酸塩の含有量は、0〜1.0質量%が好ましい。アミンホウフッ化水素酸塩の含有量が上記範囲内であれば、良好なはんだ付け性を発揮する。
本発明のソルダペーストにおける「フラックス」とは、ソルダペーストにおけるはんだ粉末以外の成分全体のことをいう。本発明のソルダペーストにおいて、はんだ粉末とフラックスとの重量比(はんだ粉末:フラックス)は、用途に応じて適宜設定することができる。
このようにして調製された本発明におけるソルダペーストは、電子機器における微細構造の回路基板に、例えば、メタルマスクを用いた印刷法、ディスペンサを用いた吐出法、又は転写ピンによる転写法により、はんだ付け部に塗布させ、リフローを行うことができる。
実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのフラックスについて、以下のとおり、(1)凝集物の析出の評価、(2)チキソ比の評価、及び(3)総合評価を行った。
(1−1)フラックスの評価
実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのフラックスを100ml採取し、200ml容量のガラスビーカー容器に入れ、薬さじで10回撹拌し、目視観察用の試料を作成した。同様の作業を行い、各フラックスについて目視観察用の試料を3個作成し、各試料について目視で観察を行った。
実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのフラックス及びはんだ合金の球状粉末(直径32μm)を準備し、ソルダペースト全体に対して、実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのフラックスが11質量%、はんだ合金の粉末が89質量%となるように混合し、ソルダペーストを得た。はんだ合金の組成はSn−3Ag−0.5Cu(各数値は質量%)を用いた。
得られた実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのソルダペーストを、グラインドメーター GS−2256M(太佑機材株式会社製、測定レンジ:0〜100μm)を用いて3回測定を行い、3回の測定値の平均値を算出し、この平均値をソルダペーストに含まれる凝集物の大きさ(粒度)とした。
図1はグラインドメーターによる試料の測定状態を示す模式図である。グラインドメーターの表面には、一端の0から他端の最大値まで一定の値で深さが増加する溝が設けられており、最大深さ側からソルダペーストの試料をスクレーバーによりスキージングすると、凝集物の大きさに応じた深さの箇所に線状痕や粒状痕が残る(図2参照)。線状痕や粒状痕のできた位置の深さにより、ソルダペーストの試料中の凝集物の大きさ(粒度)を評価する。
・3個のフラックスの試料の全てについて凝集物が観察されず、かつ、ソルダペーストの試料について3回の測定のいずれにおいてもグラインドメーターに線状痕や粒状痕が発生しない。
: ○○(非常に良好)
・3個のフラックスの試料の全てについて凝集物が観察されず、かつ、ソルダペーストの試料に50μm以上の凝集物が観察されない。
: ○(良好)
・3個のフラックスの試料のいずれかにおいて凝集物が観察される、及び/又は、ソルダペーストの試料に50μm以上の凝集物が観察される。
: ×(不良)
上記「(1)凝集物の析出の評価」の「(1−2)ソルダペーストの評価」と同様にして、実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのソルダペーストを得た。
得られた実施例1〜46、並びに比較例1及び2それぞれのソルダペーストについて、二重円筒管型回転粘度計 Malcom Viscometer PCU−205(マルコム社製)を用いて、25℃の条件下において以下の表1に示す回転数(rpm)及び計測時間(min)で順次粘度を測定した。3回転時と30回転時の粘度から以下の式(1)に基づいてチキソ比を求めた。
チキソ比が0.4以上であり十分なチキソ性を有する: ○(良好)
チキソ比が0.4未満でありチキソ性が不十分である: ×(不良)
以下の判定基準に沿って総合評価を行った。
(1)凝集物の析出の評価が○○(非常に良好)、かつ(2)チキソ比の評価が○(良好) :○○(非常に良好)
(1)凝集物の析出の評価が○(良好)、かつ(2)チキソ比の評価が○(良好) :○(良好)
(1)凝集物の析出の評価及び(2)チキソ比の評価の少なくともいずれか1つが×(不良) :×(不良)
以下の表2〜7に示す組成で実施例1〜46並びに比較例1及び2のフラックスを調合した。
なお、以下の表2〜7中の各成分の数値は、フラックス全体の質量に対する各成分の質量%を表す。
実施例1〜18の結果からわかるように、ソルビトール系チキソ剤及びソルビトール系添加剤それぞれの種類及び含有量(質量%)を変更した場合であっても、凝集物の析出及びチキソ比のいずれの評価においても変化はなく非常に良好又は良好であった。
実施例19〜36の結果からわかるように、ソルビトール系チキソ剤及びソルビトール系添加剤それぞれの種類及び含有量(質量%)を変更した場合であっても、凝集物の析出及びチキソ比のいずれの評価においても変化はなく良好であった。
また、実施例1〜18の結果と実施例19〜36の結果との比較からわかるように、溶剤として芳香族グリコールエーテル系溶剤であるフェニルグリコールを使用することにより、脂肪族グリコールエーテル系溶剤であるヘキシルジグリコールを使用する場合に比べて、凝集物の析出を抑制する効果がより高いことがわかった。
実施例37〜46の結果からわかるように、ソルビトール系チキソ剤以外のチキソ剤、ロジン系樹脂、有機酸、ハロゲン化合物、及び酸化防止剤の含有量(質量%)及び/又は種類を変更した場合であっても、凝集物の析出及びチキソ比のいずれの評価においても変化はなく非常に良好又は良好であった。
Claims (5)
- ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるソルビトール系チキソ剤:0.5〜3.5質量%、並びにソルビトール、モノベンジリデンソルビトール、モノ(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるソルビトール系添加剤:2〜350質量ppmを含み、グリコールエーテル系溶剤を含むことを特徴とするフラックス。
- 前記ソルビトール系チキソ剤と前記ソルビトール系添加剤との合計量に対する前記ソルビトール系添加剤の含有量が0.05〜1.00質量%であることを特徴とする請求項1に記載のフラックス。
- 前記ソルビトール系チキソ剤を除くチキソ剤を1.0〜10.0質量%更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のフラックス。
- ロジン系樹脂及び/又は水溶性樹脂:20.0〜60.0質量%、有機酸:0〜10.0質量%、アミン化合物:0〜5.0質量%、有機ハロゲン化合物:0〜5.0質量%、アミンハロゲン化水素酸塩:0〜3.0質量%、及び酸化防止剤:0〜5.0質量%を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフラックス。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のフラックスとはんだ粉末とを含むソルダペースト。
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