JP6913122B2 - はんだ組成物および電子基板の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のはんだ組成物は、(A)マレイミド化合物、(B)アリルフェノール化合物および(C)活性剤を含有する熱硬化性フラックス組成物と、(D)はんだ粉末とを含有し、前記(C)成分が、有機酸および有機酸アミン塩からなる群から選択される少なくとも1つを含有することを特徴とするものである。
本発明のはんだ組成物においては、前記(A)成分の配合量は、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
本発明の電子基板の製造方法は、前記はんだ組成物を用いる電子基板の製造方法であって、配線基板の電極端子上に、水溶性プリフラックスによる保護被膜を形成する水溶性プリフラックス工程と、前記水溶性プリフラックス工程後の電極端子上に、前記はんだ組成物を塗布する塗布工程と、電子部品を前記はんだ組成物上に搭載する搭載工程と、前記電子部品が搭載された前記配線基板を加熱することにより、前記はんだ粉末を溶融させ、前記電子部品を前記電極端子に接合するリフロー工程と、前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備えることを特徴とする方法である。
すなわち、熱硬化性フラックス組成物を含有するはんだ組成物を、水溶性プリフラックス処理が施された配線基板に使用する場合に、次のような現象が起こると本発明者は推察する。リフロー工程におけるプリヒート時には、水溶性プリフラックスの成分であるイミダゾール化合物が、熱硬化性フラックス組成物中のエポキシ樹脂に作用して、エポキシ樹脂の硬化が進み過ぎてしまう。このように、硬化が進み過ぎると、有機酸の活性作用が妨げられて、はんだ溶融性が低下してしまう。
これに対し、本発明のはんだ組成物においては、(A)マレイミド化合物と(B)アリルフェノール化合物とを硬化させている。この硬化反応は、イミダゾール化合物による影響をあまり受けないため、熱硬化性樹脂の硬化が進み過ぎてしまうことがない。一方で、本発明に用いる熱硬化性フラックス組成物は、リフロー工程後の熱硬化工程で、十分に硬化させることができるので、電子部品と配線基板との接続を十分に補強できる。
以上のようにして、上記本発明の効果が達成されるものと本発明者は推察する。
[熱硬化性フラックス組成物]
まず、本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物について説明する。
本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、以下説明する(A)マレイミド化合物、(B)アリルフェノール化合物および(C)活性剤を含有するものである。
本実施形態に用いる(A)マレイミド化合物は、1分子中に、マレイミド骨格を有する化合物である。
(A)成分としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
R3〜R6は、独立して、水素、メチル基またはエチル基である。R3〜R6は、全てが水素であってもよい。
L1およびL2は、独立して、単結合または−OAr−であり、Arは、フェニレンである。L1およびL2は、両方が単結合であるか、或いは、両方が−OAr−であることが好ましい。
一般式(1−1)で表される基を有するマレイミド化合物としては、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、および2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられる。より具体的には、下記構造式(1−1−1)〜(1−1−3)で表される化合物などが挙げられる。また、これらの中でも、熱硬化性フラックス組成物の硬化物の線膨張係数を下げるという観点からは、下記構造式(1−1−1)で表される化合物が好ましい。
これらの化合物の市販品としては、BMI、BMI−70およびBMI−80(ケイアイ化成社製)などが挙げられる。
また、nは、1〜5であり、nの平均は、1以上2以下であることが好ましく、1以上1.5以下であることがより好ましい。
一般式(1−2)で表される基を有するマレイミド化合物として、具体的には、下記構造式(1−2−1)で表される化合物などが挙げられる。
これらの化合物の市販品としては、BMI−1500(Designer Molecules Inc社製)などが挙げられる。なお、BMI−1500においては、下記構造式(1−2−1)中のnの平均は1.3である。
このマレイミド化合物において、アルキレン基は、炭素数6〜12の分岐状であることが好ましく、炭素数8〜12の分岐状であることがより好ましい。
これらの化合物の市販品としては、BMI−TMH(大和化成社製)などが挙げられる。
本実施形態に用いる(B)アリルフェノール化合物は、1分子中に、1つ以上のアリル基を有するフェノール化合物である。
(B)成分としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
また、mは、1〜15である。
mが1であるアリルフェノール化合物としては、2,2−ジアリルビスフェノールAなどが挙げられる。より具体的には、下記構造式(2−1)で表される化合物などが挙げられる。
mが2〜15であるアリルフェノール化合物としては、アリルフェノールと、架橋基剤とを反応させることで得られるアリルフェノール重縮合物が挙げられる。ここで、アリルフェノールとしては、o−アリルフェノールが好ましい。架橋基剤としては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどが挙げられる。
これらの化合物の市販品としては、DABPA(大和化成社製)、MEH−8000H、およびMEH−8005(明和化成社製)などが挙げられる。
また、(A)成分と(B)成分との配合比率を調整することにより、熱硬化性フラックス組成物の硬化物のガラス転移温度を向上でき、線膨張係数を下げることができる。
上記のような観点から、(A)成分の配合量は、(A)成分および(B)成分の合計量100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、45質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態に用いる(C)活性剤は、有機酸および有機酸アミン塩からなる群から選択される少なくとも1つを含有する。リフロー工程では、有機酸または有機酸アミン塩と、(A)成分および(B)成分との硬化反応がそれほど進まないため、はんだ溶融性への悪影響が少ない。また、はんだ溶融性および保存安定性の観点から、有機酸および有機酸アミン塩を併用することがより好ましい。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、およびグリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、およびジグリコール酸などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化性フラックス組成物の硬化物の物性の観点から、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸が好ましい。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、およびピコリン酸などが挙げられる。
前記芳香族アミンとしては、ベンジルアミン、アニリン、1,3−ジフェニルグアニジンなどが挙げられる。これらの中でも、ベンジルアミンが特に好ましい。
前記脂肪族アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
また、本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、(A)成分〜(C)成分の他に、硬化剤をさらに含有してもよい。
本実施形態に用いる硬化剤としては、公知の硬化剤を適宜用いることができる。この硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、トリアゾール類、メラミン類、酸無水物類、およびジシアンジアミド類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
イミダゾール系硬化剤としては、2−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、および2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンが挙げられる。
トリアゾール類としては、トリアゾール、およびベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
メラミン類としては、メラミン、アセトグアナミン、およびベンゾグアナミンなどが挙がられる。
酸無水物類としては、4,4’−オキシジフタル酸無水物などが挙げられる。
ジシアンジアミド類としては、ジシアンジアミド、およびNフェニルジシアンジアミドなどが挙げられる。
また、本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、(A)成分〜(C)成分および硬化剤の他に、チクソ剤をさらに含有してもよい。
本実施形態に用いるチクソ剤としては、硬化ひまし油、アミド類、カオリン、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、ガラスフリットなどが挙げられる。これらのチクソ剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、(A)成分〜(C)成分、硬化剤およびチクソ剤の他に、(A)成分以外の他の熱硬化性樹脂をさらに含有してもよい。
本実施形態に用いる他の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、放置試験後のはんだ溶融性の観点から、フェノール樹脂が好ましい。これらの他の熱硬化性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、必要に応じて、(A)成分〜(C)成分、硬化剤、チクソ剤、および他の熱硬化性樹脂の他に、界面活性剤、カップリング剤、消泡剤、粉末表面処理剤、反応抑制剤、沈降防止剤、フィラーなどの添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の配合量としては、熱硬化性フラックス組成物100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。この溶剤により、塗布に適した粘度に調整できる。溶剤としては、公知の有機溶剤を適宜使用できる。溶剤の配合量は、塗布に適した粘度に応じて、適宜調整できる。
本実施形態に用いる熱硬化性フラックス組成物は、その硬化物の物性が以下の条件を満たすことが好ましい。なお、ここで硬化条件は、熱硬化性フラックス組成物が十分に硬化する加熱条件であればよく、例えば、200℃の温度で3時間、加熱すればよい。
熱硬化性フラックス組成物の硬化物のガラス転移温度は、160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。ガラス転移温度が前記下限以上であれば、はんだ接合の補強効果を更に高めることができる。
熱硬化性フラックス組成物の硬化物の線膨張係数は、70(10−6/℃)以下であることが好ましく、60(10−6/℃)以下であることがより好ましく、55(10−6/℃)以下であることが特に好ましい。線膨張係数が前記上限以下であれば、はんだ接合の補強効果を更に高めることができる。
ガラス転移温度および線膨張係数は、Thermal Mechanical Analysis(以降、TMAとも称する。)を用い、昇温速度10℃/min、温度範囲30〜300℃の条件下にて測定できる。
次に、本実施形態のはんだ組成物について説明する。本実施形態のはんだ組成物は、前述の熱硬化性フラックス組成物と、以下説明する(D)はんだ粉末とを含有するものである。
熱硬化性フラックス組成物の配合量は、はんだ組成物100質量%に対して、8質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。熱硬化性フラックス組成物の配合量が8質量%以上(はんだ粉末の配合量が92質量%以下)であれば、バインダーとしての熱硬化性フラックス組成物が足りるため、熱硬化性フラックス組成物とはんだ粉末とを容易に混合できる。また、熱硬化性フラックス組成物の配合量が40質量%以下(はんだ粉末の配合量が60質量%以上)であれば、得られるはんだ組成物を用いた場合に、十分なはんだ接合を形成できる。
本実施形態に用いる(D)はんだ粉末は、融点が200℃以上のはんだ合金からなるはんだ粉末であることが好ましく、融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金からなるはんだ粉末であることがより好ましい。融点が200℃以上240℃以下のはんだ合金としては、Sn−Ag−Cu系、およびSn−Ag系などのはんだ合金が挙げられる。また、このようなはんだ合金においては、銀含有量が通常4質量%以下であり、銅の含有量が通常1質量%以下である。
本実施形態のはんだ組成物は、前記熱硬化性フラックス組成物と前記(D)はんだ粉末とを前記の所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
次に、本実施形態の電子基板の製造方法について説明する。
本実施形態の電子基板の製造方法は、前述した本実施形態のはんだ組成物を用いる方法であって、以下説明する水溶性プリフラックス工程、塗布工程、搭載工程、リフロー工程および熱硬化工程を備える。
配線基板としては、プリント配線基板、配線が設けられたシリコン基板などが挙げられる。
電極端子の材質としては、公知の導電性材料(銅、銀、および金など)を適宜用いることができる。なお、水溶性プリフラックスによる保護被膜を形成する観点から、配線基板は、少なくとも一部には、銅からなる電極端子を有することが好ましい。
水溶性プリフラックスとしては、適宜公知の水溶性プリフラックスを用いることができる。また、保護被膜の形成方法についても、適宜公知の方法を採用できる。
塗布装置としては、例えば、ディスペンサー、スクリーン印刷機、ジェットディスペンサー、およびメタルマスク印刷機などが挙げられる。
塗膜の厚み(塗膜厚)は、適宜設定できる。
電子部品としては、チップ部品、BGAパッケージ、チップサイズパッケージなどが挙げられる。
搭載工程で用いる装置としては、公知のチップマウント装置を適宜用いることができる。
ここで用いる装置としては、公知のリフロー炉を適宜用いることができる。
リフロー条件は、はんだの融点に応じて適宜設定すればよい。例えば、Sn−Au−Cu系のはんだ合金を用いる場合には、プリヒートを温度150〜180℃(好ましくは、150〜160℃)で60〜120秒間行い、ピーク温度を220〜260℃(好ましくは、230〜250℃)に設定すればよい。
加熱条件としては、加熱温度が、140℃以上220℃以下であることが好ましく、150℃以上210℃以下であることがより好ましい。加熱温度が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
加熱時間は、10分間以上3時間以下であることが好ましく、1時間以上2時間以下であることがより好ましい。加熱時間が前記範囲内であれば、熱硬化性フラックス組成物を十分に硬化させることができ、電子基板に搭載された電子部品への悪影響も少ない。
((A)成分)
マレイミド化合物A:構造式(1−1−1)で表されるマレイミド化合物、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、商品名「BMI」、ケイアイ化成社製
マレイミド化合物B:構造式(1−1−2)で表されるマレイミド化合物、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、商品名「BMI−70」、ケイアイ化成社製
マレイミド化合物C:構造式(1−1−3)で表されるマレイミド化合物、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、商品名「BMI−80」、ケイアイ化成社製
マレイミド化合物D:構造式(1−3−1)で表されるマレイミド化合物、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、商品名「BMI−TMH」、大和化成社製
マレイミド化合物E:構造式(1−2−1)で表されるマレイミド化合物、商品名「BMI−1500」、Designer Molecules Inc社製
((B)成分)
アリルフェノール化合物A:アリルフェノール重縮合物(2−アリルフェノールとホルムアルデヒドとの重縮合物)、商品名「MEH−8000H」、明和化成社製
アリルフェノール化合物B:アリルフェノール重縮合物、商品名「MEH−8005」、明和化成社製
アリルフェノール化合物C:2,2−ジアリルビスフェノールA、商品名「DABPA」、大和化成社製
((C)成分)
活性剤A:アジピン酸
活性剤B:n−ブチルアミンアジピン酸塩
((D)成分)
はんだ粉末:粒子径分布20〜38μm(平均粒子径:30μm)、はんだ融点217〜220℃、はんだ合金Sn−Au3.0−Cu0.5
(他の成分)
エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON EXA−830LVP」、DIC社製
エポキシ樹脂B:ナフタレン型エポキシ樹脂、商品名「EPICLON HP−4032D」、DIC社製
溶剤:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(DEH)
チクソ剤:商品名「ゲルオールD」、新日本理化社製
マレイミド化合物A45質量%、アリルフェノール化合物A45質量%、活性剤A4質量%、活性剤B5質量%およびチクソ剤1質量%を容器に投入し、粉砕混合機にて、粉砕し混合し分散させて熱硬化性フラックス組成物を得た。
その後、得られた熱硬化性フラックス組成物14.5質量%およびはんだ粉末85.5質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、混練機にて混合することではんだ組成物を調製した。
次に、チップ部品を搭載できる基板(導体の材質:銅、水溶性プリフラックス処理あり)を準備し、この基板の電極端子上に、メタルマスク印刷機により得られたはんだ組成物を印刷した。塗膜の厚みは、150μmであった。次に、チップ部品(3216チップ)を、塗膜形成後の基板の電極端子上に搭載し、リフロー炉(タムラ製作所社製)に通して加熱した。ここでのリフロー条件は、プリヒート温度が150〜180℃(60秒間)で、温度220℃以上の時間が50秒間で、ピーク温度が245℃である。その後、リフロー後の基板を、加熱炉に投入し、温度200℃にて2時間の加熱処理を施して、評価用基板を作製した。
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性フラックス組成物、はんだ組成物および評価用基板を得た。
はんだ組成物の評価(はんだ溶融性、セルフアライメント性、放置試験後のはんだ溶融性)を以下のような方法で行った。また、熱硬化性フラックス組成物の評価(ガラス転移温度、線膨張係数)を以下のような方法で行った。得られた結果を表1に示す。
(1)はんだ溶融性
基板(導体の材質:銅、水溶性プリフラックス処理あり)を準備し、この基板の電極端子上に、メタルマスク印刷機により得られたはんだ組成物を印刷した。メタルマスクの開口直径は、6.5mmであり、塗膜の厚みは、150μmであった。次に、リフロー炉(タムラ製作所社製)に通して加熱した。ここでのリフロー条件は、プリヒート温度が150〜180℃(60秒間)で、温度220℃以上の時間が50秒間で、ピーク温度が245℃である。そして、はんだの溶融状態を目視にて観察し、下記の基準に従って、はんだ溶融性を評価した。
◎:はんだ組成物を塗布した部分は、全て、はんだでぬれた状態である。
○:はんだ組成物を塗布した部分の大半は、はんだでぬれた状態である。
△:はんだ組成物を塗布した部分の一部を除き、はんだでぬれた状態である。
×:はんだ組成物を塗布した部分の大半は、はんだでぬれていない状態である。
(2)セルフアライメント性
チップ部品を30°ずらして基板の電極端子上に搭載した以外は、各実施例および各比較例と同様にして、セルフアライメント性の評価用基板を作製した。この評価用基板を観察し、リフロー工程後のチップ部品のずれを観察した。そして、下記の基準に従って、セルフアライメント性を評価した。
○:チップ部品が正常な位置にはんだ付けされている。
△:チップ部品の位置に、僅かにずれが生じている。
×:チップ部品の位置に、ずれが生じている。
(3)ガラス転移温度および(4)線膨張係数
厚み100μmの銅フィルムを準備し、これに熱硬化性フラックス組成物をその厚みが100〜200μmとなるようにアプリケータを用いて塗布した。塗布後の各銅フィルムについて、熱硬化性フラックス組成物が十分に硬化する加熱条件(200℃の温度で3時間)にて加熱し、銅フィルム上に熱硬化性フラックス組成物の硬化物を形成した。次いで得られた硬化物を銅フィルムより剥離し、縦40mm×横5mmの大きさにカットした。そして、Thermal Mechanical Analysisを用い、昇温速度10℃/min、温度範囲30〜300℃の条件下にて、熱硬化性フラックス組成物の硬化物のガラス転移温度とCTE(線膨張係数)を測定した。
(5)放置試験後のはんだ溶融性
温度23℃、湿度60%の雰囲気下にて、はんだ組成物を開封状態で、5日間放置する放置試験を行った。そして、この放置試験後のはんだ組成物を使用して、上記(1)はんだ溶融性の試験を行い、同様の基準に従って、放置試験後のはんだ溶融性を評価した。
これに対し、(A)マレイミド化合物および(B)アリルフェノール化合物の少なくともいずれかを含有しない場合(比較例1〜3)には、はんだ溶融性、セルフアライメント性、および放置試験後のはんだ溶融性のいずれか1つ以上が不十分となることが分かった。
また、実施例1および実施例4などでは、熱硬化性フラックス組成物の硬化物におけるガラス転移温度が高くなり、線膨張係数が低くなっていることが分かった。
Claims (6)
- (A)マレイミド化合物、(B)アリルフェノール化合物および(C)活性剤を含有する熱硬化性フラックス組成物と、(D)はんだ粉末とを含有するはんだ組成物であって、
前記(C)成分が、有機酸および有機酸アミン塩からなる群から選択される少なくとも1つを含有し、
前記(A)成分の配合量が、前記熱硬化性フラックス組成物100質量%に対して、15質量%以上70質量%以下であり、
前記(B)成分の配合量が、前記熱硬化性フラックス組成物100質量%に対して、15質量%以上75質量%以下であり、
前記熱硬化性フラックス組成物の配合量が、前記はんだ組成物100質量%に対して、8質量%以上40質量%以下であり、
前記熱硬化性フラックス組成物が、(A)成分以外の他の熱硬化性樹脂、および硬化剤をさらに含有する場合、(A)成分以外の他の熱硬化性樹脂の配合量が、前記熱硬化性フラックス組成物100質量%に対して、10質量%以下である
ことを特徴とするはんだ組成物。 - 請求項1に記載のはんだ組成物において、
前記(A)成分が、下記一般式(1)で表される化合物である
ことを特徴とするはんだ組成物。
(前記一般式(1)において、Xは、前記一般式(1−1)および(1−2)で表される基、並びに、炭素数3〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基のうちのいずれか1つの基であり、
前記一般式(1−1)において、R1およびR2は、独立して、水素またはメチル基であり、R3〜R6は、独立して、水素、メチル基またはエチル基であり、L1およびL2は、独立して、単結合または−OAr−であり、Arは、フェニレンであり、
前記一般式(1−2)において、L3およびL4は、独立して、炭素数3〜40の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、このアルキレン基は、環構造を有していてもよく、nは、1〜5である。) - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のはんだ組成物において、
前記(D)成分が、融点が200℃以上のはんだ合金からなる
ことを特徴とするはんだ組成物。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のはんだ組成物において、
前記(A)成分の配合量は、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100質量%に対して、40質量%以上90質量%以下である
ことを特徴とするはんだ組成物。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のはんだ組成物を用いる電子基板の製造方法であって、
配線基板の電極端子上に、水溶性プリフラックスによる保護被膜を形成する水溶性プリフラックス工程と、
前記水溶性プリフラックス工程後の電極端子上に、前記はんだ組成物を塗布する塗布工程と、
電子部品を前記はんだ組成物上に搭載する搭載工程と、
前記電子部品が搭載された前記配線基板を加熱することにより、前記はんだ粉末を溶融させ、前記電子部品を前記電極端子に接合するリフロー工程と、
前記熱硬化性フラックス組成物を加熱して硬化させる熱硬化工程と、を備える
ことを特徴とする電子基板の製造方法。
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