JP6730832B2 - フラックス組成物、はんだ組成物および電子回路基板 - Google Patents
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Description
この問題を解決する方法として、従来のロジン樹脂等に変えてエポキシ樹脂を用いたフラックス組成物が提案されている(特許文献1参照)。エポキシ樹脂を用いたフラックス組成物は、フラックス残渣として電子基板上に残存しても基板の腐食やマイグレーション等を引き起こし難く、またはんだ接合部を補強し、絶縁性にも優れるというメリットがある。
本実施形態に係るフラックス組成物は、(A)熱硬化性樹脂と、(B)活性剤とを含む。
本実施形態のフラックス組成物に使用する熱硬化性樹脂(A)としては、(A−1)マレイミド骨格を有するマレイミド化合物が好ましく用いられる。当該マレイミド化合物(A−1)としては、末端または側鎖に複数のマレイミド基を有する化合物が好ましく用いられる。このようなマレイミド化合物(A−1)は耐熱性、絶縁性、耐湿性および低誘電特性に優れ、また活性剤(B)と反応し難いことから、本実施形態のフラックス組成物ははんだ付け時のはんだ接合不良が起こり難く、またこれを用いて形成されるフラックス残渣は基板の腐食等を引き起こし難く、且つ良好な耐熱性、絶縁性および耐湿性を実現できる。
また前記マレイミド化合物(A−1)は1種を単独でまたは複数種を組合せて使用することができるが、前記多官能芳香族マレイミド化合物を用いる場合、多官能脂肪族マレイミド化合物と併用することがより好ましい。
なお前記多官能芳香族マレイミド化合物と多官能脂肪族マレイミド化合物とを併用する場合、その配合比率は5:95から95:5(多官能芳香族マレイミド化合物:多官能脂肪族マレイミド化合物)である。
前記活性剤(B)としては、例えば有機アミンのハロゲン化水素塩等のアミン塩(無機酸塩や有機酸塩)、有機酸、有機酸塩、有機アミン塩を配合することができる。更に具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩、酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらの中でも特にアジピン酸が好ましく用いられる。またこれらは1種を単独で、または複数種を組合せて使用することができる。
また良好なフラックス組成物の粘度を実現できることから、無溶剤であってもフラックス組成物として使用することが可能となる。
本実施形態のフラックス組成物には、更に(C)硬化剤を配合することができる。当該硬化剤(C)を併用することにより、形成されるフラックス残渣の硬度および弾性率を高めることができる。
前記硬化剤(C)としては、例えばイミダゾール化合物、イミダゾール化合物、過酸化物類、メラミンおよびアミン類が挙げられる。これらの中でも特にイミダゾール化合物が好ましく用いられる。またこれらは1種を単独で、または複数種を組合せて使用することができる。
なお、本実施形態のフラックス組成物は、その構成により、前記硬化剤(C)を上記範囲内で配合した場合であっても組成物中の成分の反応およびその進行を抑制し得るため、良好な粘度を保つことができる。
本実施形態のフラックス組成物には、更に(D)チクソ剤を配合することができる。当該チクソ剤(D)としては、例えばヒマシ油、水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、オキシ脂肪酸類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらは1種を単独で、または複数種を組合せて使用することができる。
前記チクソ剤(D)の配合量は、フラックス組成物の固形分全量に対して0.1重量%から10重量%であることが好ましい。より好ましいその配合量は0.5重量%から5重量%であり、特に好ましくは1重量%から3重量%である。
本実施形態のフラックス組成物には、更に(E)酸化防止剤を配合することができる。当該酸化防止剤(E)としては、例えばヒンダードフェノール化合物(セミヒンダード系化合物を含む)、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリマー型酸化防止剤、トリアゾール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄化合物(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリルスルフィド、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルへキシル)チウラムジスルフィド、N,N’−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミン酸亜鉛塩、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ブチルキサントゲン酸亜鉛等)等が挙げられる。これらは1種を単独で、または複数種を組合せて使用することができる。
前記酸化防止剤(E)の配合量は、フラックス組成物の固形分全量に対して0.01重量%から10重量%であることが好ましい。より好ましいその配合量は0.1重量%から8重量%であり、特に好ましくは1重量%から5重量%である。
本実施形態のフラックス組成物には、更に(F)溶剤を配合することができる。当該溶剤(F)としては、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、グリコールエーテル等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。またこれらは1種を単独で、または複数種を組合せて使用することができる。
前記溶剤(F)の配合量は、フラックス組成物全量に対して0重量%から90重量%であることが好ましい。より好ましいその配合量は10重量%から80重量%であり、特に好ましくは20重量%から50重量%である。
これらの配合量は、フラックス組成物の固形分全量に対して0.1重量%から10重量%であることが好ましい。より好ましいその配合量は0.5重量%から5重量%であり、特に好ましくは1重量%から3重量%である。
本実施形態のはんだ組成物は、上記フラックス組成物を用いてはんだ付けをするものであり、例えばヤニ入り糸状はんだやフラックス組成物とはんだ合金からなる合金粉末とを混合することにより得られるソルダペースト組成物等が挙げられる。なお本実施形態のはんだ組成物は上記フラックス組成物とはんだ合金とを混合している必要はなく、例えばはんだ合金からなるソルダボールを用いたものであってもよい。
これらの中でも特に錫、銀および銅を含むはんだ合金、例えば錫−鉛系はんだ合金、錫−銀系合金はんだ、錫−銀−銅系はんだ合金、錫−銀−銅−ビスマス系はんだ合金、錫−銀−銅−インジウム系はんだ合金、錫−銀−銅−ビスマス−インジウム系はんだ合金が好ましく用いられる。これらの中でも特に、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金、Sn−58Bi等が好ましく用いられる。
前記はんだ合金粉末の配合量が65重量%未満の場合には、得られるソルダペースト組成物を用いた場合に充分なはんだ接合が形成されにくくなる傾向にある。他方前記はんだ合金粉末の含有量が95重量%を超える場合にはバインダとしてのフラックス組成物が足りないため、フラックス組成物とはんだ合金粉末とを混合しにくくなる傾向にある。
この粘度の測定方法としては、例えばレオメーターを用い、本実施形態のはんだ組成物をレオメーターの付属容器に入れて行うことができる。その測定条件は、例えば室温から300℃まで5℃/minの昇温条件にて加熱し、ギャップ0.50mm、周波数1Hzである。
以下、本実施形態のはんだ組成物を用いて形成されるはんだ接合体とこれを有する電子回路基板の一例を説明する。
当該はんだ接合体は上記ソルダペースト組成物を用いて、例えば所定の位置に電極およびソルダレジスト膜を形成した基板に所定のパターンを有するマスクを用いて上記ソルダペースト組成物を印刷し、当該パターンに適合する電子部品を所定の位置に搭載し、これをリフローすることにより形成されてもよく、また上記はんだ合金からなるソルダボールと上記フラックス組成物とを用いて形成されてもよい。
なお、当該はんだ接合体とははんだ接合部および少なくともはんだ接合部に接着するように基板上に形成されるフラックス残渣を指す。
電極2およびソルダレジスト膜3は基板1上に形成されている。またはんだ接合部41は、電極2と外部電極51とを電気的接合するように形成されている。フラックス残渣42は、本実施形態のようにはんだ接合部41、および電子部品5の基板1側表面とこれに対向するソルダレジスト膜3表面とに接着し、特に電子部品5の基板1側表面とこれに対向するソルダレジスト膜3の表面との隙間を埋めるように形成されていることが好ましい。またフラックス残渣42はソルダレジスト膜3とはんだ接合部41と端部52に接着するようにも形成されていることが好ましい。
はんだ組成物としてソルダペースト組成物を用いることとし、表1に記載の各成分を混練し、実施例1から5、および比較例1から3に係る各フラックス組成物を得た。次いで当該各フラックス組成物10重量%とSn−3Ag−0.5Cuはんだ合金粉末90重量%とを混練し、実施例1から5、および比較例1から3に係る各ソルダペースト組成物を得た。
なお、特に記載のない限り、表1に記載の数値は重量%を意味するものとする。
※2 ケイ・アイ化成(株)製 芳香族ビスマレイミド化合物
※3 Designer Molecules Inc.製 脂肪族ビスマレイミド化合物
※4 Designer Molecules Inc.製 脂肪族ビスマレイミド化合物
※5 DIC(株)製 ビスフェノールF型エポキシ樹脂
※6 DIC(株)製 2官能ナフタレン型エポキシ樹脂
※7 東亜合成(株)製 イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート
※8 岡村製油(株)製 エイコサン二酸
※9 四国化成(株)製 2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
※10 新日本理化(株)ジベンジリデンソルビトール
※11 BASFジャパン(株)製 ヒンダードフェノール系酸化防止剤
厚み100μmの銅フィルムを準備し、これに各フラックス組成物をその厚みが100〜200μmとなるようにアプリケーターを用いて印刷した。印刷後の各銅フィルムについて、印刷された各フラックス組成物が十分に硬化する加熱条件(180℃の温度下で3時間)にて加熱し、各銅フィルム上に硬化膜を形成した。次いで得られた各硬化膜を各銅フィルムより剥離し、縦40mm×横5mmの大きさにカットした。そしてThermal Mechanical Analysis(以降、TMAという。)を用い、昇温速度10℃/min、温度範囲30〜300℃の条件下にて、各硬化膜のガラス転移温度を測定し、120℃以上のものを○、120℃未満のものを×として評価した。その結果を表2に表す。なおガラス転移温度はTMAにて得られたデータを基準として計算した。
Cu基板(50mm×50mm×0.3mmt)上にメタルマスク(厚み:0.15mmt、開口直径:6.5mm)を用いて各ソルダペースト組成物を印刷した。次いで印刷した各基板を高温観察装置(製品名:SMT Scope、山陽精工(株)製)を用いて図2に表す加熱プロファイル条件にてリフローし各試験基板を得た。
各試験基板上の状態について以下の基準に基づき評価した。その結果を表2に表す。
A:溶融したはんだが印刷した径以上に広がっている
B:はんだ合金は全て溶融し凝集したが、はんだの広がりは印刷した径より小さい
C:溶融したはんだの一部に凝集しない弾きがある、またはその一部に未凝集の部分がある
D:溶融したはんだが一切凝集していない、または一切濡れ広がっていない
各ソルダペースト組成物を容器に入れ、これを25℃の温度下で2〜3時間放置した。その後各容器の蓋をあけ、中の各ソルダペースト組成物をスパチュラを用いて空気の混入を避けるようにして1〜2分間かき混ぜた。次いで当該容器を粘度計(商品名:PCU105、(株)マルコム製)に入れ、回転速度10rpmにて25℃の温度下にて約3分間攪拌した。その後回転を停止させ、温度が一定になるまで待った後、温度を調節した上で回転速度10rpmにて3分間攪拌し、その粘度を測定した。その結果を表2に表す。
各ソルダペースト組成物について、混練後の粘度を測定した。次いで各ソルダペースト組成物を容器に入れて10℃の温度下にて30日間放置し、放置後の各ソルダペースト組成物について粘度を測定した。放置前の粘度と放置後の粘度について、以下の式を用いて変化率を計算し、その変化率が±20%以内のものを○、±20%超のものを×とした。その結果を表2に表す。なおこれらの粘度は上記粘度試験と同じ条件にて測定した。
(放置後の粘度−放置前の粘度)/放置前の粘度×100
容器に入れた各ソルダペースト組成物を−10℃の温度下にて放置する以外は上記10℃シェルフライフ試験と同じ条件にて粘度を測定および評価した。その結果を表2に表す。
レオメーター(商品名:HAKKEMARSIII、Thermo Fisher Scientific,Inc.製)を用い、その付属容器に各フラックス組成物を入れ、これらについて粘度上昇が開始した温度と180℃における粘度を測定した。その結果を表2に表す。また実施例1および比較例2について測定した粘度のグラフを図3に表す。なお、粘度の測定条件は室温から300℃まで5℃/minの昇温条件にて加熱し、ギャップ0.50mm、周波数1Hzとした。また上記の粘度上昇が開始した温度とは、大幅な粘度低下を伴わず1,000Pa・sを超えた際の、その粘度の上昇開始温度を指す。
また本実施例のフラックス組成物は、上述の条件下における180℃での粘度が0.1〜10Pa・sと低く、また大幅に上昇する温度が160℃以上と高い。そのため、これを用いたはんだ組成物についても良好な粘度を実現することができる。
従ってこのようなはんだ組成物を用いて電子部品をはんだ付けされた電子回路基板は、高い信頼性が要求される用途においても好適に用いることができる。
2 電極
3 ソルダレジスト膜
4 はんだ接合体
41 はんだ接合部
42 フラックス残渣
5 電子部品
51 外部電極
52 端部
100 電子回路基板
Claims (6)
- (A)熱硬化性樹脂と、(B)活性剤とを含み、
前記熱硬化性樹脂(A)はマレイミド骨格を有するマレイミド化合物(A−1)を含むフラックス組成物と、
はんだ合金粉末とを含むはんだ組成物であって、
前記はんだ合金粉末の溶融時における粘度が10Pa・s以下であり、且つ300℃におけるその粘度が100Pa・s以上であることを特徴とするはんだ組成物。 - 前記マレイミド化合物(A−1)は、末端または側鎖に複数のマレイミド基を有することを特徴とする請求項1に記載のはんだ組成物。
- 前記マレイミド化合物(A−1)として、下記一般式(1)および(2)で表されるマレイミド化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のはんだ組成物。
Zは四塩基酸ニ無水物と1級アミンの反応からなるイミド化合物残基を表し、
Pは0から10の整数を表す。)
Xは介在する有機基がない、若しくはC、H、Oからなる任意の有機基を表す。) - 前記フラックス組成物は更に(C)硬化剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のはんだ組成物。
- 前記硬化剤(C)は、イミダゾール化合物、イミダゾール塩類、過酸化物類、メラミンおよびアミン類から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のはんだ組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のはんだ組成物を用いて形成されるはんだ接合体を有することを特徴とする電子回路基板。
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