JP2004329400A - 血液体外循環回路用仕切部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血液体外循環回路用仕切部材1は、基板10と側板101、102および天板103を有する。血液体外循環回路2は、基板10の表面10a側(不潔域側)に、配置され、チューブの7、8、9の一部71、81、91は仕切部材に設けられた貫通孔11より基板10の裏面10b側(清潔域側)に挿通される
【選択図】図2
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、血液体外循環に用いる血液体外循環回路用の仕切部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば心臓手術においては、リザーバー(貯血槽)、人工肺、血液フィルターなどの血液処理器と、脱血ライン、送血ライン、吸引ライン、ポンプラインなどを構成するチューブおよびポンプなどからなる血液体外循環回路が用いられる。
【0003】
これらの血液体外循環回路は、充填量を削減する目的、および流路抵抗を減少させ患者からの脱血量を確保する目的から、チューブの長さを極力短くする必要がある。このためには、血液体外循環回路を患者のベッド、すなわち清潔域に近づける必要がある。
【0004】
しかしながら、通常、術者以外の操作者が操作するこれら血液処理器、ポンプなどの器械は不潔と呼ばれ、術者が触れないことが必要とされる。
【0005】
そのため、術野と器械の間にシートを設けることにより清潔域と不潔域をシートで区切り、術者が器械に触れない工夫がなされた(例えば特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、術野と器械の間にこのようなシートを設けると、視認性が悪くなるのみならず、音声が妨げられるため、術者からの指示が操作者に伝わりづらくなる危険性があった。
【0007】また、シートは使い捨てとなるため、コストが増し、医療廃棄物の増加にもつながる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−321390号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、清潔域と不潔域側の視野・音声伝達を妨げることなく、血液体外循環回路の構成物を衛生上区別することにより血液体外循環回路を患者により接近させて配置することができ、回路の血液充填量(プライミングボリューム)を低減することができる血液体外循環回路用仕切部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(18)の本発明により達成される。
【0011】(1) 少なくともチューブと血液処理器からなる血液体外循環回路が存在する不潔域側と、少なくとも患者が存在する清潔域側とを仕切るための、板状の仕切部材において、
該仕切部材の少なくともその一縁部または縁部近傍には、少なくとも不潔域側に屈曲している部分を有し、
前記仕切部材には貫通孔が形成され、該貫通孔には前記チューブが挿通されることを特徴とする血液体外循環回路用仕切部材。
【0012】(2) 前記屈曲している部分は、ほぼ直角に屈曲している(1)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0013】(3) 前記仕切部材は、その縁部または縁部近傍に側板を有する(1)または(2)にのいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0014】(4) 前記側板は、変位または変形可能に構成されている(3)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0015】(5) 前記側板は、その前記仕切部材の不潔域側の端部が、前記仕切部材の不潔域側にある前記血液体外循環回路の構成物より前方まで延長されている(3)または(4)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0016】(6) 前記仕切部材は、その縁部または縁部近傍に天板および/または底板を有する(1)ないし(5)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0017】(7) 前記天板および/または底板は、変位または変形可能に構成されている(6)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0018】(8) 前記天板および/または底板は、その前記仕切部材の不潔域側の端部が、前記仕切部材の不潔域側にある前記血液体外循環回路の構成物より前方まで延長されている(6)または(7)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0019】(9) 前記仕切部材は、箱状またはその一部が欠損した箱状をなすものである(1)ないし(8)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0020】(10) 前記仕切部材の不潔域側には少なくとも前記血液処理器が収納される(1)ないし(9)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0021】(11) 前記仕切部材の清潔域側の面側には収納部が設けられ、該収納部には、少なくとも前記挿通されたチューブの一部が収納されている(1)ないし(10)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0022】(12) 前記収納部は、前記仕切部材に形成された凹部で構成されている(11)に記載の血液処理装置。
【0023】(13) 前記凹部の開口を覆う蓋体を有する(12)に記載の血液処理装置。
【0024】(14) 前記収納部は袋体で構成されている(11)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0025】(15) 前記仕切部材の少なくとも一部が透明な材料で構成されている(1)ないし(14)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0026】(16) 前記貫通孔に対し、挿通されるチューブの長手方向および/または径方向の移動を阻止する機能を有する(1)ないし(15)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0027】(17) 前記血液処理器は血液処理器用ホルダーにて支持され、前記仕切部材は仕切部材用ホルダーにて支持されることを特徴とする(1)ないし(16)のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【0028】(18) 前記血液処理器用ホルダーと前記血液処理器用ホルダーとは、相対的に移動可動であることを特徴とする(17)に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
【発明の実施の形態】
以下、本発明の血液体外循環回路用仕切部材を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1、図2は、それぞれ、本発明の血液体外循環回路用仕切部材の第1実施形態を示す正面図および断面側面図である。なお、以下の説明では、図1中の手前側(図2中の左側)を「表」または「前方」、図1中の奥側(図2中の右側)を「裏」または「後方」と言う。
【0030】
図3は、本発明の血液体外循環回路用仕切部材の使用状態を示す図である。図3に示すように、本発明の血液体外循環回路用仕切部材1(以下単に仕切部材1と称することもある)は、仕切部材基板10(以下単に基板10と称することもある)の表面側に配置される血液体外循環回路2と、基板10の裏面側に位置する患者300を仕切るものである。
【0031】
基板10は、例えば樹脂で構成された板状の部材であり、基板10を正面から見た形状は、四角形(長方形)をなしているが、この形状に限定されないことは言うまでもない。
【0032】
本発明の仕切部材1は、基板10の縁部(またはその近傍)に、ほぼ直角に屈曲した部分、すなわち左右一対の側板101、102および天板103を有している。
【0033】
図1において、基板10の左側縁部(端部)には、基板10に対しほぼ直角に表面10a側に向かって立設する側板101が、基板10の右側縁部(端部)には、基板10に対しほぼ直角に表面10a側に向かって立設する側板102が、それぞれ設けられている。また、基板10の上側縁部(端部)には、基板10に対しほぼ直角に表面10a側に向かって立設する天板103が設けられている。換言すれば、仕切部材は、全体として、箱状(箱型)をなしている。図示の実施形態では、基板10の下側縁部に底板を有さないため、正確には、その一部(図2中の下端部)が欠損した箱状(箱型)をなしている。これにより、血液体外循環回路2は、その側部の三方を側板101、102および天板103により囲まれることとなる。
【0034】
このような構成としたことにより、側板101、102および天板103の外側を清潔域110とすることができ、すなわち、清潔域110と不潔域120との境界(図3中の一点鎖線で示す)を側板101、102の前方端109付近まで移動することができる。その結果、患者300が横臥している手術台(ベッド)200に仕切部材1をより接近させて配置することができ、基板10より裏側のチューブ71、81等の長さをより短くすることができる。よって、血液体外循環回路2の血液充填量(プライミングボリューム)をより低減することができ、患者300の負担をより軽減することができる。
【0035】
なお、図示の構成では、側板101、102および天板103が設けられているが、さらに、基板10の下側縁部に底板が設けられていてもよい。
【0036】
また、これに限らず、側板101、102、天板103および底板(図示せず)のうちの少なくとも1つが設けられていればよい。
【0037】
また、側板101、102、天板103および底板(図示せず)は、それぞれ、基板10に対し、一体的に形成されていても、別部材を接合したものでもよい。別部材とする場合、それらの構成材料や板厚さ等の諸条件は、それぞれ、基板10に対し同一でも異なっていてもよい。
【0038】
図3に示すように、側板101、102は、その前方端109が、基板10の表面10a側にある血液体外循環回路2の構成物(特に、リザーバー3)より前方まで延長されているのが好ましい。また、同様に、天板103(底板がある場合には底板も同様)も、その前方端109が、基板10の表面10a側にある血液体外循環回路2の構成物(特に、リザーバー3)より前方まで延長されているのが好ましい。これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0039】
図4は第1実施形態における側板の構成例を示す上面図である。側板101、102は、それぞれ、ボード10に対し変位可能に設置されている(図4では、側板101のみが示されているが、側板102についても同様)。より詳しくは、側板101、102は、ボード10に対し、ヒンジ構造部104を介して回動可能に設置されている。
【0040】
側板101、102の回動角度は、特に限定されず、例えば、図4に示すように、側板101、102がボード10に対し直角の状態から、0〜−90°、0〜+90°の少なくとも一方をカバーするような場合が挙げられる。また、さらに+90°を超えて回動(ボード10の裏側に回り込むように回動)するような構成であってもよい。
【0041】
ヒンジ構造部104は、側板101、102が回動し得るものであればいかなる構成のものでもよく、本実施形態では、ボード10の端部と側板101、102の端部とが、例えば、各種ゴム、可撓性を有する樹脂、バネ材のような可撓性または弾性を有する材料で構成された連結片105により連結された構成となっている。
【0042】
側板101、102のボード10に対する角度は、段階的または無段階に調整することができるようにすることができる。
【0043】
図5は第1実施形態における側板の構成例を示す上面図である。側板101、102は、それぞれ、変形可能とされている(図5では、側板101のみが示されているが、側板102についても同様)。より詳しくは、側板101、102は、その途中にあるヒンジ構造部106を介して回動可能に(折れ曲がるように)設置されている。すなわち、側板101、102のヒンジ構造部106より後方側は、ボード10と一体的に形成されており、側板101、102のヒンジ構造部106より前方側(回動部108)は、ヒンジ構造部106により回動する。
【0044】
回動部108の回動角度は、特に限定されず、例えば、図5に示すように、回動部108が側板101、102のヒンジ構造部106より後方側と直線状の状態から、0〜−90°、0〜+180°の少なくとも一方をカバーするような場合が挙げられる。
【0045】
ヒンジ構造部106は、回動部108が回動し得るものであればいかなる構成のものでもよく、本実施形態では、前記連結片105と同様の連結片107により連結された構成となっている。
【0046】
回動部108の、側板101、102のヒンジ構造部106より後方側の部分に対する角度(またはボード10に対する角度)は、段階的または無段階に調整することができるようにすることができる。
【0047】
また、側板101、102は、前後方向または上下方向の長さが変化する(伸縮する)ような構成でもよい。
【0048】
基板10の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等の各種金属材料、各種ガラス材、各種紙材等が挙げられる。また、側板101、102、天板103、底板(図示せず)および後述の蓋体25の構成材料についても、上記例示のものと同様のものを用いることができる。
【0049】
なお、基板10は、その全部または一部が透明な材料(例えば、樹脂材料、ガラス)で構成されているのが好ましい。これにより、清潔域110、不潔域120間の視認性を確保することができ、特に、不潔域120にいる技師等が、基板10の透明部分を通して清潔域110にいる患者や医師の様子を確認することができる。側板101、102、天板103、底板(図示せず)および後述の蓋体25についても、同様である。
【0050】
また、基板10は、十分な強度を有していれば、その厚さは特に限定されないが、通常、0.2〜15mm程度が好ましく、0.3〜5mm程度がより好ましい。後述する側板101、102、天板103、底板(図示せず)および後述の蓋体25についても、同様である。なお、基板10、側板101、102、天板103、底板(図示せず)および蓋体25は、それぞれ、単板で構成されていても、複数の板やシート(層)を積層したものでもよい。
【0051】
図1に示すように、このような基板10には、脱血ライン7のチューブ71、送血ライン8のチューブ81、吸引ライン9のチューブ91〜93をそれぞれ挿通する貫通孔11a、11b、11c、11dおよび11eが形成されている。各貫通孔11a、11b、11c、11dおよび11eは、挿通するチューブの直径と同等かまたはそれより若干大きい内径を有する円形をなしている。
【0052】
なお、各貫通孔11a〜11eの配置、形状、大きさは、図示のものに限定されないことは、言うまでもない。例えば、貫通孔は、基板10の縁部に開放する切欠き、スリット、溝等であってもよい。また、1つの貫通孔に複数のチューブを挿通するような構成であってもよい。
【0053】
図2に示すように、基板10の所定部位は前方側に凹没するように変形しており、これにより、基板10の裏面10b側に、収納部としての凹部21が形成されている。未使用時には、この凹部21内に、チューブ71、81、91、92および93が収納されている。
【0054】
この凹部21は、後方に開口し、この開口22は、蓋体25により覆うことができるようになっている。蓋体25は、基板10に対し、ヒンジ構造部26を介して回動可能に設置されており、この蓋体25の回動により、開口22が開閉する。
【0055】
ヒンジ構造部26は、蓋体25が回動し得るものであればいかなる構成のものでもよく、本実施形態では、前記連結片105と同様の連結片27により蓋体25の下端部が基板10に連結された構成となっている。
【0056】
また、本実施形態の仕切部材1は、蓋体25により凹部21の開口22を閉じた状態を保持する手段(以下「閉状態保持手段」と言う)を有する。すなわち、蓋体25のヒンジ構造部26と反対側の端部において、ピン28が蓋体25を貫通し、その先端が基板10側に形成された孔29に嵌入することにより、蓋体25が閉じた状態を保持する。ピン28を孔29から引き抜くことにより、この状態が解除され、蓋体25を開くことができる。
【0057】
図2に示すように、蓋体25は、平板状のものであるため、蓋体25が閉じられた状態では、仕切部材1の裏面10b側の外形形状は、ほぼ平坦な形状をなしている。これにより、血液体外循環回路2を入れた状態での仕切部材1の運搬、保管、使用時、廃棄時等において、チューブ等が邪魔にならず便利であり、また、仕切部材1全体の小型化を図ることができる。
【0058】
凹部21の容積は、チューブ71、81、91、92および93等を過不足なく収納し得る程度であればよく、特に限定されないが、通常は、1,000〜50,000cm3程度であるのが好ましく、2,000〜30,000cm3程度であるのがより好ましい。なお、凹部21の形状や容積は、本実施形態のものに限定されないことは、言うまでもない。
【0059】
図3に示すように、基板10の凹部21を構成する部分においては、その表面10aが最も前方側に突出している基板10の凹部21を構成する部分が、図2の紙面に垂直な方向に並んで2個所形成されている。この一対の突出部23により、リザーバー3を支持することができる。すなわち、基板10の凹部21を構成する部分の一部である突出部23は、リザーバー3の支持部材を兼ねている。
【0060】
この突出部23は、後述のように、仕切部材と血液処理器を一体的に用いる場合には、血液処理器と仕切部材を一体的に支持する支持部材として用いられるのみならず、仕切部材1内に血液処理器を収納した状態で輸送、運搬、保管する際の血液処理器の押さえ部材としても機能する。
【0061】
このように、突出部23にリザーバー3の支持部材・押さえ部材としての機能を持たせることにより、構造の簡素化、部品点数の削減を図ることができる。
【0062】
また、仕切部材1内に血液処理器を収納させることにより、仕切部材1に包装材料としての役割を兼ねさせることができることから、シートを仕切部材として付加する場合のように部材点数が増加せず、医療廃棄物量の点からも有利となる。
【0063】
図2に示すように、手術終了後は、チューブ71、81、91、92および93を凹部21内に戻して蓋体25を閉じ、仕切部材1を廃棄することができる。このとき、凹部21の下端部付近には、血液等を受け止めるポケット部24が形成されている。このため、凹部21内に収納されたチューブの端部から血液が漏れ出したとしても、その血液がポケット部24で受け止められ、凹部21外へ漏れ出すことが防止される。これにより、血液による汚染や感染の可能性を低減することができる。
【0064】
また、図示されていないが、凹部21の内部(収納部内)、特にポケット部24には、液体保持部材が入れられているのが好ましい。これにより、この液体保持部材がチューブの端部から漏れ出した血液等を吸収し、保持するので、外部への血液の漏れ出し等をより確実に防止することができる。
【0065】
このような液体保持部材の形態としては、例えばシート状、ブロック状、線状、塊状、粒状のものが挙げられる。また、液体保持部材の構成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性高分子の架橋体からなるゲルや、スポンジ等の発泡体または多孔質体、綿、織布、不織布等が挙げられる。
【0066】
図2の構成において、ヒンジ構造部26を、凹部21の下端よりさらに下方に設けることもできる。また、ヒンジ構造部26を、基板10の上端部付近に設け、ピン28および孔29をそれより下方に設けることもできる。あるいは、ヒンジ構造部26を、基板10の図11中手前側に設け、ピン28および孔29を図11中奥側に設け、蓋体25を横開きとすることもできる。このような場合には、凹部21内に収納袋(例えば後述の袋体14と同様のもの)を入れ、その中にチューブ71、81、91、92および93を収納するような構成とすることができる。この構成では、収納袋の下部に前記と同様のポケット部が形成される。
【0067】
図2に示す構成では、蓋体25は、回動により開閉するものであるが、これに限らず、例えば図2中の上下方向または紙面に垂直な方向に移動(スライド)して開閉する蓋体を備えるものでもよい。
【0068】
また、閉状態保持手段は、図示のようなピン28および孔29によるものに限定されず、例えば、ネジ止め、マジックテープ(登録商標)、ファスナー、磁石の吸着、ゴムバンドやベルト、粘着テープ、フック、その他各種係合手段、嵌合手段など、いかなる構成のものでもよい。
【0069】
また、蓋体25は、未使用時には、凹部21の開口22の外周部に融着または接着によりシールされて凹部21を封止(特に密封)し、凹部21内に収納された収納物を取り出す際には、前記シール部分の全部または一部を剥がして開封するシート状(またはフィルム状)のものでもよい。このようなシート状(またはフィルム状)の蓋体の開封方法は、シートを破断することにより行ってもよい。
【0070】
図6は本発明の血液体外循環回路用仕切部材の第2実施形態を示す断面側面図である。図6に示すように、基板10の裏面10bには、袋体(収納部)14を設置し、袋体14の内部に、貫通孔11a〜11eを通過後のチューブ71、81、91、92および93が収納されている。この袋体14は、塵や埃を遮断し得るもの、特に菌不透過性を有する清潔袋であるのが好ましい。
【0071】
また図6の例では、図3における突出部23の代わりに支持部材12により、基板10へリザーバー3を支持している。
【0072】
袋体14の構成材料としては、例えば、織布、不織布、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、紙類、あるいはこれらを複合した材料が挙げられる。
【0073】
袋体14の基板10に対する固定方法は、特に限定されず、例えば、袋体14の一部を基板10の裏面10bに対し接着剤により接着固定する方法、両面粘着テープで固定する方法、融着により固定する方法、ピン、ベルト、紐等により固定する方法、その他、各種固定部材で固定する方法、袋体14をさらに基板10に固定された不織布、紙等で包む方法等が挙げられる。
【0074】
袋体14は、開封して内容物を取り出すことができる開封部(開封口)15を有している。この開封部15は、貫通孔11a〜11eの近傍にあるのが好ましい。これにより、袋体14の内容物であるチューブを、より清潔に、より容易に取り出すことができる。
【0075】
開封部15の開封方法は、特に限定されず、袋体14を構成するシート材の接合部を剥離する方法、シート材を破断する方法などが挙げられる。
【0076】
手術終了後は、チューブ71、81、91、92および93を袋体14内に戻して仕切部材1を廃棄することができる。このとき、袋体14の下端部付近は、血液等を受け止めるポケット部141を構成している。このため、袋体14内に収納されたチューブの端部から血液が漏れ出したとしても、その血液がポケット部141で受け止められ、袋体14外へ漏れ出すことが防止される。これにより、血液による汚染や感染の可能性を低減することができる。
【0077】
また、図示されていないが、袋体14の内部(収納部内)には、前記と同様の液体保持部材が入れられているのが好ましい。これにより、この液体保持部材がチューブの端部から漏れ出した血液等を吸収し、保持するので、外部への血液の漏れ出し等をより確実に防止することができる。
【0078】
図1に示すように、基板10の表面側には、血液体外循環回路2の構成物のうちのリザーバー3と、人工肺4と、ポンプライン5と、フィルターライン6と、脱血ライン7の一部と、送血ライン8の一部と、吸引ライン9の一部とが設置されている。
【0079】
血液体外循環回路2は、血液を貯留するリザーバー(貯血槽)3と、血液に対しガス交換を行う人工肺(血液処理器)4と、ポンプライン5と、フィルターライン6と、脱血ライン7と、送血ライン8と、吸引ライン9とを備えている。
【0080】
リザーバー3は、図示の構成ではハードシェル(硬質ケース)タイプのもので、血液フィルターの他に、吸引ライン9からの血液を濾過するカーディオトミーフィルターを内蔵している。このような構成のリザーバー3は、取り扱いがし易く、貯血量の確認が容易であり、また回路構成が簡略化できるという利点があり、好ましい。
【0081】
リザーバー3の上部には、血液流入ポート31〜34が設けられ、リザーバー3の下部には、血液流出ポート35が設けられている。
【0082】
血液流入ポート31には、脱血ライン7を構成するチューブ71の一端が接続されている。チューブ71の他端部(先端部)には、必要に応じ、患者300の術野310において血管に直接挿入されるカニューレやカテーテルなどが接続される。チューブ71の先端部は、複数に分岐していてもよい。
【0083】
また、リザーバー3の血液流入ポート32〜34には、それぞれ、吸引ライン9を構成するチューブ91〜93の一端がそれぞれ接続されている。
【0084】
なお、本発明では、2つのリザーバー、すなわち血液リザーバーの他に別途カーディオトミーリザーバーを設ける構成でもよい。また、リザーバーは、軟質バッグのようなソフトシェルタイプのものでもよい。さらには、このようなリザーバー自体が省略されていてもよい。
【0085】
人工肺4は、血液に対し、ガス交換、すなわち酸素加・脱炭酸ガスを行なうことができるものであり、ケーシング内に多数本の中空糸膜が収納された構成のものである。この人工肺4には、血液流入ポート41と血液流出ポート42とガスインポート(図示せず)とガスアウトポート(図示せず)とが設けられている。
【0086】
また、図示の人工肺4は、熱交換器を内蔵しており、熱媒体流入ポート43と熱媒体流出ポート44とを有している。これにより、通過する血液を加温または冷却することができる。
【0087】
人工肺4は、リザーバー3に対し分離独立しているものでもよいが、本実施形態では、リザーバー3と人工肺4とは、連結部材36により連結(または一体化)されている。これにより、両者を一体物として取り扱うことができ、取り扱い性が向上するとともに、回路構成がより簡素化される。また、基板10に対する固定箇所も少なくなり、固定が容易となる。
【0088】
リザーバー3の血液流出ポート35と人工肺4の血液流入ポート41とは、ポンプライン5を構成するチューブ51により接続されている。このチューブ51の途中は、ループ状に形成され、ローラポンプ55に装着されている(図3参照)。なお、ポンプの種類は、図示のようなローラポンプ55に限らず、例えば、インペラー式ポンプや遠心ポンプなどでもよい。
【0089】
人工肺4の血液流出ポート42には、フィルターライン6が接続されている。このフィルターライン6は、主に、血液流出ポート42に一端が接続されたチューブ61と、動脈フィルター(血液フィルター)62と、チューブ65と、バイパスチューブ66とで構成されている。
【0090】
動脈フィルター62は、ケーシング内に例えばプリーツ状をなすフィルター部材が収納された構成のものであり、血液中の気泡を除去する機能を有している。動脈フィルター62は、血液流入ポート63と血液流出ポート64とを有し、血液流入ポート63にチューブ61の他端が接続されている。また、血液流出ポート64には、チューブ65の一端が接続されている。
【0091】
チューブ65の他端には、分岐コネクタを介してバイパスチューブ66の一端が接続されている。バイパスチューブ66の他端は、分岐コネクタを介してチューブ61の途中に接続されている。このバイパスチューブ66により、動脈フィルター62を迂回して液体を流すことができ、例えばプライミングの際に、プライミング液を動脈フィルター62に充填することができる。
【0092】
なお、動脈フィルター62に代わり、気泡除去器(バブルトラップまたはチャンバー)を設けてもよい。また、バイパスチューブ66は、省略されていてもよく、さらには、このようなフィルターライン6自体が省略されていてもよい。
【0093】
また、チューブ65の他端には、分岐コネクタを介して送血ライン8を構成するチューブ81の一端が接続されている。チューブ81の他端部(先端部)には、必要に応じ、患者300の術野310において血管に直接挿入されるカニューレやカテーテルなどが接続される。
【0094】
チューブ81の先端部は、複数に分岐していてもよい。また、チューブ71とチューブ81の先端同士が連結または一体化されており、所定の箇所で切断分離して使用するような構成であってもよい。
【0095】
吸引ライン9のチューブ91の途中は、ループ状に形成され、ローラポンプ95に装着されている(図3参照)。また、チューブ92、93についても同様に、その途中がループ状に形成され、ローラポンプ(図示せず)に装着されている。ポンプの種類は、図示のようなローラポンプ95に限らず、例えば、インペラー式ポンプ、遠心ポンプ、減圧装置などでもよい。
【0096】
なお、吸引ライン9の構成は、図示のような3本のチューブ91〜93を備えるものに限らず、例えば、1本、2本または4本以上のチューブで構成されるものでもよい。また、チューブ91等の先端が複数に分岐しているものでもよい。さらには、このような吸引ライン9自体が省略されていてもよい。
【0097】
また、基板10の裏面側には、血液体外循環回路2の構成物のうちの脱血ライン7の残部(患者側)と、送血ライン8の残部(患者側)と、吸引ライン9の残部(患者側)とが配置されている。
【0098】
図3に示すように、仕切部材1は、手術室100内で使用され、手術室100の清潔域110側(術野側)に仕切部材1の裏面が、不潔域120側(不潔域側)に仕切部材1の表面が向くように配置される。
【0099】
清潔域110では、チューブ71、81、91、92、93の先端部が患者300の術野(術創)310や術者(医師等)の手等に触れるため、病原菌が付着した場合、病原菌が患者の体内に侵入し、患者に重篤な感染症等を引き起こすおそれがある。従って、チューブ71、81、91、92、93の術野(術創)310や術者の手、衣服等に触れる部分や、そのおそれがある部分は、清潔状態を保つ必要がある。
【0100】
一方、患者300の術野(術創)310や術者の手、衣服等に触れるおそれがなく、技師等が操作を行なう部分、すなわちリザーバー3と、人工肺4と、ポンプライン5と、フィルターライン6等は、不潔域120に置かれる必要がある。
【0101】
そこで、本発明の仕切部材1は、基板10の表面側(不潔域120)に、リザーバー3と、人工肺4と、ポンプライン5と、フィルターライン6と、脱血ライン7のチューブ71の一部と、送血ライン8のチューブ81の一部と、吸引ライン9のチューブ91〜93の一部とを設置し、チューブ71、81、91、92および93をそれぞれ基板10に形成された貫通孔11a、11b、11c、11dおよび11eに挿通し、チューブ71、81、91、92および93の先端側部分、すなわち術野(術創)310や術者の手、衣服等に触れる部分や、そのおそれがある部分を基板10の裏面側(清潔域110)に配置した。
【0102】
このような構成としたことにより、血液体外循環回路2の構成物を衛生上区別することができ、血液体外循環回路2を患者300により接近させて配置することができる。その結果、血液体外循環回路2の血液充填量(プライミングボリューム)を低減することができ、患者300の負担を軽減することができる。
【0103】
図7は本発明の血液体外循環回路用仕切部材の第1実施形態のホルダーの動作説明図である。リザーバー3と仕切部材1は、相対的な移動を可能とする目的で、別々のホルダーで支持されることが望ましい。図7に示す例では、リザーバー3は血液処理器用ホルダー163に、仕切部材1は、仕切部材用ホルダー164に、各々支持されている。リザーバー3を支持する血液処理器用ホルダー163は、支持アーム161の先端に連結されたスライドレール162の上を、スライドする。このような構成により、例えばリザーバー3中への薬液の投与などの作業の場合には、リザーバー3を清潔域110と不潔域120との境界(図2中の一点鎖線で示す)よりも不潔域側へ引き出して操作し、操作が終了した後は、再び清潔域側110へ戻すといった操作が可能となり、操作性が向上する。
【0104】
図1に示すように、支持アーム161の基端には、リング状をなすリング部17が形成され、このリング部17は、手術室100の床面に対しほぼ垂直に設置されたスタンドポール19に挿通されている。このような高さ調整機構により、支持アーム16は、スタンドポール19の長手方向、すなわち鉛直方向に変位することができる。
【0105】
リング部17には、固定ハンドル18が設置され、この固定ハンドル18を回転操作することにより、リング部17をスタンドポール19に対し固定することができる。支持アーム16のリング部17をスタンドポール19に対し摺動させて高さを所望に調整した後、固定ハンドル18を回転操作してリング部17をスタンドポール19に対し固定する。これにより、仕切部材1が血液処理器に支持された状態で、全体が支持アーム16により所望の高さに支持、固定される。
【0106】
動脈フィルター62は、基板10の表面10aに直接固定されている。この固定方法は、例えば接着剤による接着固定、粘着テープによる固定、ベルト、紐等による固定等が挙げられる。、また血液処理器用ホルダー163または仕切部材用ホルダー164とは別のホルダーに支持されてもよい。
【0107】
また、基板10の表面10aに対し、チューブ51、61、65、66、71、81、91、92または93の任意の箇所を、例えば粘着テープ、ベルト、紐、その他の種々の固定部材により固定してもよい。本実施形態では、図1に示すように、チューブ61および81の途中が、基板10の表面10aに対し粘着テープ13により固定されている。
【0108】
チューブ71、81、91、92および93は、それぞれ、貫通孔11a、11b、11c、11dおよび11eに対し、チューブの長手方向および/または径方向の移動(自由な移動)が阻止されるように設置されているのが好ましい。これにより、チューブ71、81、91、92および93の貫通孔挿通部付近が自由に移動することが防止され、さらに高い衛生性が得られる。
【0109】
このようなチューブ71、81、91、92および93の貫通孔11a、11b、11c、11dおよび11eに対する長手方向および/または径方向の移動を阻止するための構成としては、例えば、チューブの外径とそれを挿通する貫通孔の内径とをほぼ等しくする方法、貫通孔にチューブを挟持するゴムブッシュのような部材を設置したり、粘着テープ等により固定したりする方法が挙げられる。
【0110】
チューブ51、61、65、66、71、81、91、92および93の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド等の各種樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらを単独であるいは任意に組み合わせて用いることができる。
【0111】
次に、仕切部材1の使用方法の一例について詳細に説明する。
[1] 仕切部材1内に血液体外循環回路2が収納された状態で、手術室100内での設置位置を定めるとともに、前述したように、高さ調整機構により仕切部材1の設置高さを調整する。この場合、仕切部材1の設置位置は、手術台200の近傍とすることができる。
【0112】
以上により、基板10の裏面側が清潔域110、表面側が不潔域120となる。
【0113】
[2] 不潔域120において、技師は、チューブ51をローラポンプ55に、チューブ91〜93をローラポンプ95等にセットする。次いで、ローラポンプ55、95等を作動して、血液体外循環回路2に例えば生食や乳酸加リンゲル液等のプライミング液を充填し、プライミングを行なう。
【0114】
[3] 清潔域110において、術者は、患者300に対する心臓手術の準備(例えば、開胸手術等)を終えた後、凹部21より、滅菌された状態であるチューブ類を取り出す。
【0115】
[4] 次に、術者は、必要に応じ、チューブ71、81の途中を切断し、あるいはチューブ71、81の先端にカニューレやカテーテルを装着し、これを術野(開胸部)310において患者300の血管(動脈および静脈)に接続する。これにより、患者300と血液体外循環回路2とが接続され、血液体外循環の準備が完了する。
【0116】
[5] 次に、ローラポンプ55、95等を作動して、血液体外循環を開始する。
【0117】
脱血ライン7のチューブ71により患者300の静脈から吸引された血液は、血液流入ポート31よりリザーバー3内に導入され、内蔵する血液フィルターにより濾過された後、リザーバー3内に一旦貯留される。
【0118】
また、術野310において出血した血液は、チューブ91〜93(これらのうち使用しないチューブがあってもよい)により吸引され、血液流入ポート32〜34よりリザーバー3内に導入され、内蔵するカーディオトミーフィルターにより濾過(血液中に含まれる肉片や血栓等の異物が除去)された後、前記血液と合流してリザーバー3内に一旦貯留される。
【0119】
リザーバー3内に貯留された血液は、血液流出ポート35より流出し、ポンプライン5のチューブ51を経て、血液導入ポート41より人工肺4内に導入され、人工肺4において、酸素加・脱炭酸ガスがなされるとともに、内蔵する熱交換器により加温または冷却され、血液流出ポート42から流出する。この血液は、フィルターライン6のチューブ61を経て血液流入ポート63より動脈フィルター62内に導入され、動脈フィルター62において、濾過および気泡除去がなされ、血液流出ポート64から流出する。この血液は、チューブ65および送血ライン8のチューブを順次経て、患者300の動脈に戻される。
【0120】
体外循環が終了すると、チューブ71、81、91〜93は凹部21または袋体14に再び収納され、仕切部材1、血液体外循環回路2とともに廃棄される。
【0121】
以上、本発明の仕切部材を図示の各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、仕切部材を構成する各部は、同様の機能を有する任意のものと置換することができ、また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0122】
特に、血液体外循環回路の構成や配置は、任意のものが可能であり、症例等に応じて、最適な回路構成に設定することができる。
【0123】
また、前述の各実施形態では、血液処理器として人工肺を挙げたが、これに限らず、その他に例えばダイアライザー(透析器)、熱交換器、血液成分分離器(血漿分離装置)などであってもよい。
【0124】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、血液体外循環回路の構成物を仕切部材の表裏で衛生上区別することにより、血液体外循環回路を患者により接近させて配置することができ、その結果、回路の血液充填量(プライミングボリューム)を低減することができる。仕切部材の縁部またはその近傍に例えば側板、天板等の屈曲する部分を設けたり、仕切部材を箱状またはその一部が欠損した形状としたため、血液体外循環回路をさらに患者に接近させて配置することができ、上記効果がより大きい。また、仕切部材に貫通孔を設けたことにより、チューブ長さを長くすることなく、仕切部材の表面と裏面との間でのチューブの掛け渡しを容易に行なうことができ、プライミングボリュームの低減に寄与する。
【0125】
また、仕切部材内に血液処理装置を収納することにより包装材料の一部として使用することができ、余分な廃棄物の増加を防ぐことが出来る。
【0126】
また、仕切部材の裏面側に袋体や凹部のような収納部を設け、この収納部内に清潔域で使用されるチューブ等を収納した場合には、使用時(袋体開封時)までの衛生管理をより確実に行なうことができる。また、収納部内に、液体保持部材を入れた場合には、漏れ出した血液等を吸収、保持するので、仕切部材の廃棄の際等において、外部への血液の漏れ出し等をより確実に防止することができる。
【0127】
また、仕切部材を、その少なくとも一部が透明なものとした場合には、その透明部分を介して清潔域/不潔域間での視認性が確保される。
【0128】
また、血液処理器と仕切部材を別々のホルダーで固定し、これらのホルダーを相対的に移動可能とした場合には、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仕切部材の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の仕切部材の第1実施形態を示す断面側面図である。
【図3】本発明の仕切部材の第1実施形態を示す断面上面図である。
【図4】第1実施形態における側板の構成例を示す上面図である。
【図5】第1実施形態における側板の構成例を示す上面図である。
【図6】本発明の仕切部材の第2実施形態を示す断面側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態のホルダーの動作説明図である。
【符号の説明】
1 仕切部材
2 血液体外循環回路
3 リザーバー
31 血液流入ポート
32 血液流入ポート
33 血液流入ポート
34 血液流入ポート
35 血液流出ポート
36 連結部材
4 人工肺
41 血液流入ポート
42 血液流出ポート
43 熱媒体流入ポート
44 熱媒体流出ポート
5 ポンプライン
51 チューブ
55 ローラポンプ
6 フィルターライン
61 チューブ
62 動脈フィルター
63 血液流入ポート
64 血液流出ポート
65 チューブ
66 バイパスチューブ
7 脱血ライン
71 チューブ
8 送血ライン
81 チューブ
9 吸引ライン
91 チューブ
92 チューブ
93 チューブ
95 ローラポンプ
10 仕切部材基板
10a 表面
10b 裏面
101 側板
102 側板
103 天板
104 ヒンジ構造部
105 連結片
106 ヒンジ構造部
107 連結片
108 回動部
109 前方端
11a 貫通孔
11b 貫通孔
11c 貫通孔
11d 貫通孔
11e 貫通孔
12 支持部材
13 粘着テープ
14 袋体(清潔袋)
141 ポケット部
15 開封部
16 ホルダ
161 支持アーム
162 レール
163 血液処理器ホルダー
164 仕切部材ホルダー
17 リング部
18 固定ハンドル
19 スタンドポール
20 シート
21 凹部
22 開口
23 突出部
24 ポケット部
25 蓋体
26 ヒンジ構造部
27 連結片
28 ピン
29 孔
100 手術室
110 清潔域
120 不潔域
200 手術台(ベッド)
300 患者
310 術野(術創)
Claims (18)
- 少なくともチューブと血液処理器からなる血液体外循環回路が存在する不潔域側と、少なくとも患者が存在する清潔域側とを仕切るための、板状の仕切部材において、
該仕切部材の少なくともその一縁部または縁部近傍には、少なくとも不潔域側に屈曲している部分を有し、
前記仕切部材には貫通孔が形成され、該貫通孔には前記チューブが挿通されることを特徴とする血液体外循環回路用仕切部材。 - 前記屈曲している部分は、ほぼ直角に屈曲している請求項1に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材は、その縁部または縁部近傍に側板を有する請求項1または2にのいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記側板は、変位または変形可能に構成されている請求項3に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記側板は、その前記仕切部材の不潔域側の端部が、前記仕切部材の不潔域側にある前記血液体外循環回路の構成物より前方まで延長されている請求項3または4に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材は、その縁部または縁部近傍に天板および/または底板を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記天板および/または底板は、変位または変形可能に構成されている請求項6に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記天板および/または底板は、その前記仕切部材の不潔域側の端部が、前記仕切部材の不潔域側にある前記血液体外循環回路の構成物より前方まで延長されている請求項6または7に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材は、箱状またはその一部が欠損した箱状をなすものである請求項1ないし8のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材の不潔域側には少なくとも前記血液処理器が収納される請求項1ないし9のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材の清潔域側の面側には収納部が設けられ、該収納部には、少なくとも前記挿通されたチューブの一部が収納されている請求項1ないし10のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記収納部は、前記仕切部材に形成された凹部で構成されている請求項11に記載の血液処理装置。
- 前記凹部の開口を覆う蓋体を有する請求項12に記載の血液処理装置。
- 前記収納部は袋体で構成されている請求項11に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記仕切部材の少なくとも一部が透明な材料で構成されている請求項1ないし14のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記貫通孔に対し、挿通されるチューブの長手方向および/または径方向の移動を阻止する機能を有する請求項1ないし15のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記血液処理器は血液処理器用ホルダーにて支持され、前記仕切部材は仕切部材用ホルダーにて支持されることを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の血液体外循環回路用仕切部材。
- 前記血液処理器用ホルダーと前記血液処理器用ホルダーとは、相対的に移動可動であることを特徴とする請求項17に記載の血液体外循環回路用仕切部材。
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JP2015033508A (ja) * | 2013-08-09 | 2015-02-19 | セイコーエプソン株式会社 | 医療用器具保持装置 |
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- 2003-05-02 JP JP2003126943A patent/JP4199590B2/ja not_active Expired - Fee Related
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