JP2004329117A - 糖鎖合成用水溶性高分子プライマー - Google Patents

糖鎖合成用水溶性高分子プライマー Download PDF

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Abstract

【課題】種々のオリゴ糖を効率よく合成でき、自動合成方法にも適用することが可能な水溶性高分子プライマー及び該水溶性高分子プライマーを用いたオリゴ糖の製造方法を提供すること。
【解決手段】単糖残基あるいはオリゴ糖残基が選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し水溶性ポリマーの側鎖に結合したポリマーであって、該水溶性ポリマー中にアクリル酸残基を20〜80モル%含むことを特徴とした糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖鎖製造に有用な水溶性高分子プライマーおよび該水溶性高分子プライマーを用いた糖鎖の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖は核酸や蛋白質と並んで生体を構成する主要な成分であるが、核酸や蛋白質と比べ、その構造あるいは機能はあまりよく理解されていない。糖は、通常糖鎖と呼ばれる重合体を形成し、さらにそれらが蛋白質や脂質と結合して糖蛋白質、糖脂質あるいはプロテオグリカンと総称される極めて複雑な複合分子を形成している。さらに、核酸あるいは蛋白質がその構成単位であるヌクレオチドあるいはアミノ酸が直線的に結合した高分子であるのに対して、糖鎖は分子内に複数の分岐点があるばかりでなく、その構成単位である単糖の結合様式も多様であるため、その構造は核酸や蛋白質と比較にならないほど複雑である。これら構造の複雑さは、この分野の研究を遅らせている大きな原因の一つとなっている。
【0003】
しかし、近年糖鎖が細胞認識、免疫、分化、受精、老化、ガン化などに関与することが徐々にわかってくるにつれて、非常に注目される研究分野となってきた。このような現状より、天然の構造を有する糖鎖や新規な糖鎖を合成する試みが盛んになされている。核酸や蛋白質については自動合成技術が確立されており、このことにより、この分野の研究が著しく進歩したことは誰もが認めるところであり、糖鎖についても、その自動合成技術の確立は切望されている。
【0004】
これまでに糖鎖の自動合成を試みたいくつかの報告があり、その手法は大きく分けて2つある。1つは化学合成によるものであるが、糖残基と糖残基を立体選択的に結合させる方法が十分確立されておらず、さらに保護基を結合させたり、あるいは脱離させたりと工程が煩雑であるという問題がある。もう1つは酵素合成によるものであり、保護基を必要とせず、また糖残基と糖残基を立体選択的に結合させることができるので化学合成に比べ、非常に有利であり、近年いくつかの方法が提案されるようになってきた。これには、最近各種糖転移酵素の遺伝子が単離され、遺伝子組換え技術による糖転移酵素の大量生産が可能になってきたという背景がある。また、自動合成では通常反応開始点となる糖残基を特定の担体上に特定の条件で開裂することのできるリンカーを介して結合されたもの(プライマーとも呼ばれる)が出発物質として用いられる。リンカーの種類によって製造される糖鎖化合物は異なり、オリゴ糖、配糖体、糖ペプチド、糖脂質など種々の形で担体より遊離される。しかしながら、合成した糖鎖化合物を種々の用途に利用することを考えると、やはりオリゴ糖が最も好ましい。
【0005】
糖転移酵素を用いた糖鎖の自動合成の例としては、U. Zehaviらがアミノエチル基あるいはアミノヘキシル基を結合させたポリアクリルアミドゲルを固相担体とした糖転移酵素による固相合成を報告している(例えば、非特許文献1、2参照)。この方法は、適当な単糖を4−カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシドとした後、上記担体のアミノ基と結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素により糖鎖伸長反応を行ない、その後光分解により伸長させた糖鎖をオリゴ糖として遊離させるというものである。しかし、糖転移酵素による糖転移収率は低く、10%にも満たない。
【0006】
また、これまで糖転移酵素は固相担体上に結合させた糖あるいはオリゴ糖とはあまり反応せず、糖鎖伸長反応を効率よく行うことは困難であるとされてきたが、U. Zehaviらは4−カルボキシ−2−ニトロベンジルグリコシドと固相担体との間をヘキサメチレン基やオクタメチレン基など鎖長の長いリンカーで結合させることにより、糖転移収率を最大51%まで向上したと報告している(例えば、非特許文献3、4参照)。しかしながら、この方法においても収率的には十分なレベルとは言えない。
【0007】
その他の例として、C.−H. Wongらはアミノ化シリカに下記化3(式中、Acはアセチル基、Bocはt−ブトキシカルボニル基を示す)の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用し伸長させた糖鎖を糖ペプチドの形で切り出す方法を報告している(例えば、非特許文献5参照)。しかしながら、糖転移酵素による糖鎖伸長反応の収率は55〜65%であり、十分なものとは言えない。
【0008】
【化3】
Figure 2004329117
【0009】
また、C.−H. Wongらは、固相担体であるアミノ化シリカに結合させる基を下記化4(式中、Acはアセチル基を示す)に改良し、糖転移酵素により糖鎖を伸長させた後、ヒドラジン分解により糖鎖を遊離させる方法を報告しており、酵素による糖転移反応をほぼ定量的に行うことができたとも報告している(例えば、非特許文献6参照)。この方法によれば、伸長した糖鎖は6−カルボヒドラジドヘキサノール配糖体として遊離される。
【0010】
【化4】
Figure 2004329117
【0011】
さらに、C.−H. Wongらは、アクリルアミド−アクリル酸−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体のアクリルアミド残基に下記化5(式中、Acはアセチル基を示す)の基を結合させた水溶性のポリマーをプライマーとし、糖転移酵素により糖鎖を伸長させた後、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)により遊離させる方法を報告している(例えば、非特許文献7参照)。この方法によれば、酵素による糖転移反応は80〜90%の収率で進行し、伸長した糖鎖はp−ホルミルフェノール配糖体として遊離される。
【0012】
【化5】
Figure 2004329117
【0013】
M. Meldal らは、ジアミノ化ポリエチレングリコールのモノおよびジアクリロイル化体の重合体ゲルに、下記化6(式中、Acはアセチル基を示す)の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、トリフロロ酢酸により糖鎖を糖ペプチドとして遊離させる方法を報告しており、糖転移反応もほぼ定量的に進行したと報告している(例えば、非特許文献8参照)。この方法で得られる糖ペプチドのペプチド鎖はAsn(アスパラギン)−Gly(グリシン)であり、C末側のグリシン残基はグリシンアミド残基となっており、通常の糖ペプチドとは異なる。
【0014】
【化6】
Figure 2004329117
【0015】
さらに、本発明者らがポリアクリルアミドのアミド態窒素原子に、下記化7(式中、Acはアセチル基を示す)に示した基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用して伸長させた糖鎖を遊離させる方法を報告している(例えば、非特許文献9、10参照)。本方法によれば、酵素による糖転移反応は定量的に進行し、伸長した糖鎖は6−アミノヘキサノール配糖体として得られる。
【0016】
【化7】
Figure 2004329117
【0017】
上述したこれらの方法は、いずれも得られる糖鎖化合物がオリゴ糖ではないこと、必ずしも糖転移反応の収率が十分でないことが欠点として挙げられる。また、遺伝子組換えにより大量生産が可能になってきたとはいえ、まだまだ糖転移酵素は非常に高価であり、繰り返して使用できる固定化糖転移酵素の利用が望まれるが、上記の方法のうちのいくつかは不溶性担体上で糖鎖伸長反応を行うため、固定化糖転移酵素を利用できないという欠点もある。固定化糖転移酵素を利用するためには、不溶性担体ではなく、水溶性担体上で糖鎖伸長反応を行う必要がある。
【0018】
S. Rothらは、まず、糖転移酵素の糖受容体を固相担体に結合させ、これをアフィニティ吸着体とし、この糖受容体と結合することのできる糖転移酵素を含む組織抽出液を接触させることにより、糖転移酵素をアフィニティ吸着体に結合させ、次いで、この糖転移酵素が結合したアフィニティ吸着体をこの糖転移酵素が糖供与体として利用できる糖ヌクレオチドを含む溶液と接触させることにより、糖転移酵素をアフィニティ吸着体から遊離させるとともに糖受容体に糖残基を一つ伸長させ、さらに、この糖残基が一つ伸長した糖受容体と結合することのできる糖転移酵素を含む組織抽出液を接触させ、同様のことを繰り返し所望の糖鎖を固相担体上に合成する方法を開示している。(例えば、特許文献1参照)しかしながら、この方法の有用性を示す具体的なデータは示されておらず、得られた糖鎖を固相担体から遊離させる方法も開示されていない。
【0019】
糖転移酵素を用いた糖鎖の自動合成であり、得られる糖鎖化合物がオリゴ糖である例としては、T. NorbergらがSepharose 6B(アマシャムファルマシア社製)に下記化8に示した基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、臭素あるいはアンモニア/硼酸アンモニウムにより伸長させた糖鎖を遊離させる方法を報告している(例えば、非特許文献11参照)。酵素による糖転移反応は定量的に進行しており、収率的には問題はないが、プライマーを製造に高価な3,4−ジエトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンを用いており、経済的ではない。また、不溶性担体上での糖鎖伸長反応を行うため、固定化糖転移酵素を利用できないという欠点もある。
【0020】
【化8】
Figure 2004329117
【0021】
また、本発明者らはポリアクリルアミド中のアミド態窒素原子の5個に1個の割合で、下記化9(式中、Acはアセチル基を示す)に示した基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、水素化分解により伸長させた糖鎖を遊離させる方法を報告している(例えば、特許文献12、13参照)。本方法によれば、酵素による糖転移反応は定量的に進行するが、後述するようにそれは遊離酵素の場合であり、固定化酵素では必ずしもそのようには進行しない。
【0022】
【化9】
Figure 2004329117
【0023】
【特許文献1】
特表平5−500905号公報
【0024】
【非特許文献1】
Carbohydr. Res., 124, 23 (1983)
【0025】
【非特許文献2】
Carbohydr. Res., 228, 255 (1992)
【0026】
【非特許文献3】
React. Polym., 22, 171 (1994),
【0027】
【非特許文献4】
Carbohydr. Res., 265, 161 (1994)
【0028】
【非特許文献5】
J. Am. Chem. Soc., 116, 1136 (1994)
【0029】
【非特許文献6】
J. Am. Chem. Soc., 116, 11315 (1994)
【0030】
【非特許文献7】
Adv. Synth. Catal., 343, 675 (2001)
【0031】
【非特許文献8】
J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1849 (1994)
【0032】
【非特許文献9】
Tetrahedron Lett., 36, 9493 (1995)
【0033】
【非特許文献10】
Carbohydr. Res., 305, 443 (1998)
【0034】
【非特許文献11】
Carbohydr. Res., 319, 80 (1999)
【0035】
【非特許文献12】
Tetrahedron Lett., 35, 5657 (1994)
【0036】
【非特許文献13】
Carbohydr. Res., 305, 443 (1998)
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オリゴ糖の自動合成に適したプライマーを提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意検討した結果、アクリル酸残基を20〜80%を含む水溶性ポリマーの側鎖に選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介して単糖残基あるいはオリゴ糖残基を結合させることにより、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0039】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
【0040】
(1)単糖残基あるいはオリゴ糖残基が選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し水溶性ポリマーの側鎖に結合したポリマーであって、該水溶性ポリマー中にアクリル酸残基を20〜80モル%含む糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0041】
(2)水溶性ポリマーがアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群から選ばれた1種または2種以上のビニル系単量体の重合体である(1)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0042】
(3)リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合が、水素化分解あるいは2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンによる酸化工程である(1)又は(2)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0043】
(4)単糖残基あるいはオリゴ糖残基および選択的に開裂可能な結合を含むリンカーが一般式(I)(式中、Rは単糖あるいはオリゴ糖残基、Rはメチレン基4〜20個分の長さを有するリンカー、XはO、SまたはNHを示す)で表された基である(1)乃至(3)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0044】
【化10】
Figure 2004329117
【0045】
(5)RがN−アセチルグルコサミン残基、グルコース残基、ラクトース残基である(4)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0046】
(6)Rがペンチレン基である(4)又は(5)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
【0047】
(7)一般式(II)(式中、Rは単糖残基あるいはオリゴ糖残基、Rはメチレン基4〜20個分の長さを有するリンカーを示す)で表されるアクリルアミド誘導体とアクリル酸と少なくとも1種類のビニル系単量体とを、アクリル酸が全ビニル系共重合体中20〜80モル%になるように共重合することによる(1)乃至(4)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
【0048】
【化11】
Figure 2004329117
【0049】
(8)RがN−アセチルグルコサミン残基、グルコース残基、ラクトース残基である(7)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
【0050】
(9)Rがペンチレン基である(7)又は(8)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
【0051】
(10)ビニル系単量体がアクリルアミド類、メタクリルアミド類、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群から選ばれたビニル系単量体である(7)乃至(9)の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
【0052】
(11)オリゴ糖を製造する方法であって、
(工程1)(1)の水溶性高分子プライマーに糖ヌクレオチドの存在下に糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチドより糖残基を該水溶性高分子プライマーに転移させる工程、
(工程2)工程1を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程、
(工程3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
(工程4)工程1〜工程3を複数回繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した水溶性高分子プライマーから糖鎖を遊離させる工程、を含む糖鎖化合物を製造する方法。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーは、単糖残基あるいはオリゴ糖残基が選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し水溶性ポリマーの側鎖に結合したポリマーであって、該水溶性ポリマー中にアクリル酸残基を20〜80%含む糖鎖合成用水溶性高分子プライマーである。
【0054】
本発明に用いられる水溶性ポリマーは、特に制限されるものではないが、例えばアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群から選ばれた1種または2種以上のビニル系単量体の重合体などが好適に用いられる。
【0055】
前記アクリルアミド類としては、例えばアクリルアミドやN−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミド類などが好適に用いられる。
【0056】
前記メタクリルアミド類としては、例えばメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドやN−イソプロピルメタクリルアミドなどのN−アルキルメタクリルアミド類などが好適に用いられる。
【0057】
前記アクリル酸エステル類としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどが好適に用いられる。
【0058】
前記メタクリル酸エステル類としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどが好適に用いられる。
【0059】
前記スチレン類としては、例えばスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどが好適に用いられる。
【0060】
脂肪酸ビニルエステル類としては、例えば酢酸ビニル、酪酸ビニルなどが好適に用いられる。
【0061】
選択的に開裂可能な結合は、糖鎖部分を分解することなく開裂することのできる結合であれば、特に限定されないが、例えば水素化分解あるいは2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンによる酸化などが挙げられる。
【0062】
水溶性ポリマーの側鎖に選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し結合した単糖残基あるいはオリゴ糖残基として、具体的には、一般式(I)(式中、Rは単糖あるいはオリゴ糖残基、Rはメチレン基4〜20個分の長さを有するリンカー、XはO、SまたはNHを示す)で表される基を挙げることができる。
【0063】
【化12】
Figure 2004329117
【0064】
の単糖残基あるいはオリゴ糖残基としては、特に制限はなく、グルコース残基、ガラクトース残基、マンノース残基、N−アセチルグルコサミン残基、N−アセチルガラクトサミン残基、キシロース残基、ラクトース残基、N−アセチルラクトサミン残基、キトビオース残基などが挙げられる。
【0065】
のリンカーとしては、例えばブチレン基、ペンチレン基、ヘプチレン基、ドデシレン基などが挙げられる。
【0066】
本発明の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーは、一般式(II)で表されるアクリルアミド誘導体とアクリル酸と少なくとも1種類のビニル系単量体とを共重合することにより製造することができる。そのときのアクリル酸の全ビニル系共重合体中に占める割合は20〜80モル%であり、好ましくは40〜60モル%である。
【0067】
前記共重合は、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などの手法を好適に用いることができ、中でもペルオキソ二硫酸アンモニウムなどを触媒とするラジカル重合がより好適に用いることができる。
【0068】
前記ビニル系単量体としては、例えばアクリルアミド類、メタクリルアミド類、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類が挙げられる。
【0069】
アクリルアミド類としては、アクリルアミドやN−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミド類などが例示される。
【0070】
メタクリルアミド類としてはメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドやN−イソプロピルメタクリルアミドなどのN−アルキルメタクリルアミド類などが例示される。
【0071】
アクリル酸エステル類としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどが例示される。
【0072】
メタクリル酸エステル類としてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどが例示される。
【0073】
スチレン類としてはスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどが例示される。脂肪酸ビニルエステル類としては酢酸ビニル、酪酸ビニルなどが例示される。
【0074】
共重合体の一般的な分子量は約10000〜約5000000であり、好ましくは20000〜2000000、より好ましくは50000〜1000000である。
【0075】
一般式(II)で表されるアクリルアミド誘導体は、通常用いられている各種有機合成化学的な手法により合成することができる。例えば、一般式(III)で表される糖オキサゾリン誘導体や一般式(IV)で表されるハロゲン化糖あるいはトリクロロアセトイミデート誘導体とp−ニトロベンジルアルコールとを適当な触媒存在下で縮合させた後、ニトロ基を還元してアミノ基へと変換する。その後、一般式(V)で表されるω−アミノ脂肪酸と塩化アクリロイルとの縮合により得られる一般式(VI)で表されるアクリルアミド誘導体と上記化合物とを適当な縮合剤存在下、縮合させることにより得られる。
【0076】
【化13】
Figure 2004329117
【0077】
【化14】
Figure 2004329117
【0078】
【化15】
Figure 2004329117
【0079】
【化16】
Figure 2004329117
【0080】
本発明のオリゴ糖製造方法の第1工程は、水溶性高分子プライマーに糖ヌクレオチドの存在下に糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチドより糖残基を該水溶性高分子プライマーに転移させる。
【0081】
糖ヌクレオチドより水溶性高分子プライマーへの糖の転移は、通常水溶性高分子プライマーと糖ヌクレオチドとを含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、1〜120時間、好ましくは2〜72時間、糖転移酵素と接触させることにより行われる。
【0082】
また、反応液中には必要に応じて金属塩を添加してもよい。添加できる金属イオンとしては、例えば、マグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などがあり、通常塩化物等の形で添加することができる。
【0083】
本発明で用いる糖転移酵素は、糖ヌクレオチド類を糖供与体として利用できるものであればよく特に限定されない。このような酵素としてLeloir経路の糖転移酵素類を挙げることができる。例えば、ガラクトース転移酵素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチルガラクトサミン転移酵素、フコース転移酵素、シアル酸転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、グルクロン酸転移酵素などが挙げられる。なお、これらの酵素は遊離酵素であっても、固定化酵素であっても構わないが、固定化酵素が好ましい。
【0084】
本発明で用いる糖ヌクレオチド類は、上記酵素が利用できるものであれば特に限定されない。例えば、ウリジン−5’−ジリン酸ガラクトース、ウリジン−5’−ジリン酸−N−アセチルグルコサミン、ウリジン−5’−ジリン酸−N−アセチルガラクトサミン、ウリジン−5’−ジリン酸グルクロン酸、ウリジン−5’−ジリン酸キシロース、グアノシン−5’−ジリン酸フコース、グアノシン−5’−ジリン酸マンノース、シチジン−5’−モノリン酸−N−アセチルノイラミン酸およびこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0085】
本発明のオリゴ糖製造方法の第2工程は、工程1を1回または2回以上繰り返して、複数の糖残基を転移させることにより、糖鎖を伸長させる。
【0086】
本発明のオリゴ糖製造方法の第3工程は、必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する。副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類などを除去する方法は、水溶性高分子プライマーとヌクレオチド類および糖ヌクレオチド類などとを分離できる方法であれば特に限定されない。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、透析、限外ろ過などにより除去することができる。
【0087】
本発明のオリゴ糖製造方法の第4工程は、工程1〜工程3を複数回繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した水溶性高分子プライマーからオリゴ糖を遊離させる。本発明の水溶性高分子プライマーより、伸長した糖鎖を遊離させる方法としては、伸長した糖鎖を分解することなく、遊離させることのできる方法であれば、特に制限はないが、例えば接触水素化分解や2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンによる酸化反応などが挙げられる。
【0088】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲はかかる実施例に何ら限定されるものではない。
【0089】
参考例1 2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリンの合成
2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド6.0gを1,2−ジクロロエタン40mlに溶かし、ここにトリメチルシリルトリフロロメタンスルホン酸3.2mlを加え、50℃で7時間撹拌しながら反応させた。反応後、室温まで冷却した後、トリエチルアミン10.8mlを加えた。反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;トルエン:酢酸エチル:トリエチルアミン=100:200:1)で目的物を分離し、目的物を5.0g得た。
【0090】
参考例2 p−ニトロベンジル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシドの合成
参考例1で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン2.8gをジクロロエタン40mlに溶解し、ここにp−ニトロベンジルアルコール10.4gとD−カンファー−10−スルホン酸0.2gを加え、80℃で2時間撹拌しながら反応させた。反応後、室温まで冷却し、トリエチルアミン4.0mlを加えた。反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:酢酸エチル:メタノール=200:40:5)で目的物を分離し、目的物を3.7g得た。
【0091】
参考例3 6−アクリロイルアミノカプロン酸の合成
6−アミノカプロン酸10.0gを1.27M水酸化ナトリウム水溶液60mlに溶解し、塩化アクリロイル7.8mlを20mlのテトラヒドロフランに溶かしたものを氷冷下で滴下した。このとき、pH8〜9になるように4N水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。滴下後、徐々に室温に戻しながら2時間撹拌した。次いで、反応液に1N塩酸をpH3になるまで加えた後、酢酸エチルで生成物を抽出した。抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を少量の酢酸エチルに溶かし、ヘキサンで再結晶し、目的物9.6gを得た。
【0092】
参考例4 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシドの合成
参考例2で得たp−ニトロベンジル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド1.6gをメタノール50mlに溶解し、ここにギ酸アンモニウム2.1gおよび10%パラジウム−炭素170mgを加えた。室温で5分間撹拌した後、触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで溶解した。蒸留水で有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジクロロエタン:N,N−ジメチルホルムアミド=10:1の混合溶媒44mlで溶かし、ここに参考例3で得た6−アクリロイルアミノカプロン酸0.6gを加えた。さらに、トリエチルアミン0.46mlと1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩65mgを0℃で撹拌しながら加えた。撹拌しながら室温まで戻し、22時間反応させた。反応液にクロロホルム60mlを加え、1N水酸化ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:エタノール=30:1)で目的物を分離し、目的物を1.1g得た。
【0093】
実施例1 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシドの合成
参考例4で得たp−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド660mgをメタノール70mlに溶解し、ここにナトリウムメトキシド50mgを加え、室温で撹拌しながら15時間反応させた。反応後、H型の陽イオン交換樹脂Dowex50WX−8(ダウケミカル社製)をpH7になるまで加えた。イオン交換樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮し、目的物を520mg得た。
【0094】
実施例2 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−アクリルアミド共重合体(共重合比1:2:7、プライマーA)の合成
実施例1で得たp−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド61.7mg、アクリル酸18.0mg、アクリルアミド62.2mgをジメチルスルホキシド:蒸留水=3:1の混合溶媒1mlに溶解し、アスピレーターで十分に脱気した後、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TEMEDと略する)11.6μlと過硫酸アンモニウム8.6mgを加え、室温で24時間撹拌し重合させた。反応後、反応液に蒸留水2mlを加え、Sephadex G−50(アマシャムファルマシア社製)を用いたカラムクロマトグラフィー(溶出液:50mM酢酸アンモニウム)により目的物を分離した。得られた目的物画分を凍結乾燥し、目的物138mgを得た。
【0095】
実施例3 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−アクリルアミド共重合体(共重合比1:4:5、プライマーB)の合成
アクリル酸36.0mg、アクリルアミド44.4mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物138mgを得た。
【0096】
実施例4 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−アクリルアミド共重合体(共重合比1:6:3、プライマーC)の合成
アクリル酸54.0mg、アクリルアミド26.7mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物139mgを得た。
【0097】
実施例5 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−アクリルアミド共重合体(共重合比1:8:1、プライマーD)の合成
アクリル酸72.1mg、アクリルアミド8.9mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物139mgを得た。
【0098】
参考例5 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリルアミド共重合体(共重合比1:9、プライマーE)の合成
アクリル酸を用いずに、アクリルアミド80.0mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物138mgを得た。
【0099】
参考例6 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル −2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸共重合体(共重合比1:9、プライマーF)の合成
アクリルアミドを用いずに、アクリル酸81.1mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物139mgを得た。
【0100】
実施例6 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:2:7、プライマーG)の合成
アクリルアミドの代わりにN−イソプロピルアクリルアミドを99.0mg用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物174mgを得た。
【0101】
実施例7 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:4:5、プライマーH)の合成
アクリル酸36.0mg、アクリルアミドの代わりにN−イソプロピルアクリルアミドを70.7mg用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物164mgを得た。
【0102】
実施例8 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:6:3、プライマーI)の合成
アクリル酸54.0mg、アクリルアミドの代わりにN−イソプロピルアクリルアミドを42.4mg用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物154mgを得た。
【0103】
実施例9 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル −2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリル酸−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:8:1、プライマーJ)の合成
アクリル酸72.1mg、アクリルアミドの代わりにN−イソプロピルアクリルアミドを14.1mg用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物144mgを得た。
【0104】
参考例7 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:9、プライマーK)の合成
アクリル酸を用いずに、N−イソプロピルアクリルアミド127.3mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物183mgを得た。
【0105】
参考例8 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)アミノ−ベンジル−2−アセトアミド−2−デオキシ−D−グルコピラノシド−アクリルアミド−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体(共重合比1:5:4、プライマーL)の合成
アクリル酸を用いずに、アクリルアミド44.4mg、N−イソプロピルアクリルアミド56.6mgを用いる以外は実施例2と同様の方法で共重合し、目的物158mgを得た。
【0106】
実施例10 β1,4−ガラクトース転移酵素による各種プライマーへのガラクトース転移
β1,4−ガラクトース転移酵素(東洋紡績社製)1U、ウリジン−5’−ジホスホガラクトース10mM、塩化マンガン10mM、α−ラクトアルブミン0.26mg/mlを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.5)2.0mlに実施例2〜9および参考例5〜8で得たプライマーA〜Lをそれぞれ20mg加え、37℃で24時間反応させた。反応後、100℃で3分間加熱することにより反応を停止させた。反応液を遠心分離して得られた上清より、Sephadex G−25カラムクロマトグラフィー(溶出液:蒸留水)で生成物画分を分離し、凍結乾燥することにより生成物19mgを得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルよりガラクトースの転移がいずれも定量的に進行していることを確認した。
【0107】
参考例9 固定化α2,3−シアル酸転移酵素の調製
NHS活性化Sepharose(アマシャムファルマシア社製)0.5gをとり、1mM塩酸100mlを3回に分けて洗浄した。これにブタ肝臓由来α2,3−シアル酸転移酵素1U、シチジン−5’−ジホスフェート1mMを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.5)5mlを加え、4℃で一晩、穏やかに振とうした。固定化α2,3−シアル酸転移酵素をガラスフィルターでろ別し、α2,3−シアル酸転移酵素を除く上記緩衝液5mlで洗浄した。0.1MTris−HCl緩衝液(pH8.0)5mlを加え、担体中の未反応の活性化基をブロックし、さらに洗浄した後、α2,3−シアル酸転移酵素をシチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸(以下、CMP−NeuAcと略する)1mMを含む25mMカコジル酸緩衝液(pH7.4)中に浸漬し、4℃で保存した。得られた固定化酵素の活性は110mU/mlであった。
【0108】
実施例11 固定化α2,3−シアル酸転移酵素による各種プライマーへのシアル酸転移
参考例9で得た固定化α2,3−シアル酸転移酵素0.05ml、CMP−NeuAc50mM、塩化マンガン10mM、0.1%Triton CF−54を含む50mMHEPES緩衝液(pH7.0)0.5mlに実施例10で得たガラクトシル化されたプライマーA〜Lをそれぞれ6.5mg(プライマーA〜F)、8.0mg、7.5mg、7.1mg、6.7mg、8.4mg、7.3mg(N−アセチルラクトサミン残基で5μmoleに相当)加え、30℃で24時間振とうしながら反応させた。反応後、遠心分離することにより反応液を上清として得た後、実施例10と同様の方法で生成物を分離し、生成物をそれぞれ6.0mg(プライマーA〜F)、7.5mg、7.0mg、6.5mg、6.2mg、7.8mg、6.8mg得た。生成物をそれぞれ1mgとり、蒸留水:エタノール=3:1の混合溶媒1mlに溶かし、ここに10%パラジウム−炭素1mgを加え、常圧下水素ガスにより室温で24時間接触還元した。触媒をろ別した後、ろ液を限外ろ過ユニットウルトラフリーMC(分画分子量10,000、ミリポア社製)でろ過し、通過液画分として遊離させたオリゴ糖を集めた。通過液画分を凍結乾燥し、得られた固形分を定法に従い、ピリジルアミノ化し、HPLCにてシアリルラクトサミン、ラクトサミンの存在比を分析することにより、糖転移収率を求めた。
【0109】
【表1】
Figure 2004329117
【0110】
参考例10 p−ニトロベンジル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D− ガラクトシル−2,3,6−トリ−O−アセチル−D−グルコピラノシドの合成
1−ブロモ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−ガラクトシル−2,3,6−トリ−O−アセチル−D−グルコピラノシド5.0gをジクロロエタン50mlに溶解し、ここにp−ニトロベンジルアルコール23.5gとモレキュラーシーブス4Aを5.0g加え0℃で撹拌した。窒素気流下で銀トリフレートを2.9g加えで徐々に室温に戻しながら12時間撹拌しながら反応させた。反応液をクロロホルムで希釈してセライトパッド上で濾過したのち、ろ液を飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ろ過により硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を減圧下で濃縮したのち、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=50:1)で目的物を分離し、目的物を5.6g得た。
【0111】
参考例11 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)−ベンジル−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−ガラクトシル−2,3,6−トリ−O−アセチル−D−グルコピラノシドの合成
参考例10で得たp−ニトロベンジル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−ガラクトシル−2,3,6−トリ−O−アセチル−D−グルコピラノシ3.0gをメタノール50mlに溶解し、ここにギ酸アンモニウムを1.8gおよび10%パラジウム−炭素を200mgを加えた。室温で5分間撹拌した後、触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで溶解した。蒸留水で有機層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジクロロエタン:N,N,−ジメチルホルムアミド=10:1の混合溶媒40mlで溶かし、ここで参考例3で得た6−アクリロイルアミノカプロン酸を0.85g加えた。続いてトリエチルアミン634μlと1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩870mgを加えて氷冷から室温に戻しながら22時間撹拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、1N硫酸および飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過により硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を減圧下で濃縮したのち、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:エタノール=20:1)で目的物を分離し、目的物を1.1g得た。
【0112】
実施例12 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)−ベンジル−D−ガラクトシル−D−グルコピラノシドの合成
参考例11で得たp−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)−ベンジル−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−ガラクトシル−2,3,6−トリ−O−アセチル−D−グルコピラノシド1.0gをメタノール10mLに溶解させた。そこにナトリウムメトキシド24mgを加え室温で15時間撹拌した。反応終了後、反応液をイオン交換樹脂ダウエックス50W−X8(H+)で中和した。樹脂をろ別し、ろ液を減圧濃縮し、目的物を650mg得た。
【0113】
実施例13 p−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)−ベンジル−D−ガラクトシル−D−グルコピラノシド−アクリル酸−アクリルアミド共重合体(共重合比1:4:5、プライマーM)の合成
実施例12で得たp−N−(6−アクリロイルアミノヘキサノイル)−ベンジル−D−ガラクトシル−D−グルコピラノシド76.8mg、アクリル酸36.0mg、アクリルアミド44.4mgを用いて、実施例2と同様の方法で共重合し、目的物151mgを得た。
【0114】
実施例14 固定化α2,3−シアル酸転移酵素によるプライマーMへのシアル酸転移
参考例6で得た固定化α2,3−シアル酸転移酵素0.3ml、CMP−NeuAc50mM、塩化マンガン10mMを含む50mMHEPES緩衝液(pH7.0)1.0mlに実施例13で得たプライマーMを6.3mg(ラクトース残基で5μmoleに相当)加え、30℃で24時間振とうしながら反応させた。反応後、遠心分離することにより反応液を上清として得た後、実施例10と同様の方法で生成物を分離し、生成物を5mg得た。生成物のH−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルよりシアル酸転移反応の収率を求めたところ、88%であった。
【0115】
【発明の効果】
本発明の糖鎖合成用高分子プライマーを用いることにより、種々のオリゴ糖を効率よく合成でき、自動合成にも適用することができる。

Claims (11)

  1. 単糖残基あるいはオリゴ糖残基が選択的に開裂可能な結合を含むリンカーを介し水溶性ポリマーの側鎖に結合したポリマーであって、該水溶性ポリマー中にアクリル酸残基を20〜80モル%含むことを特徴とした糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
  2. 前記水溶性ポリマーがアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群から選ばれた1種または2種以上のビニル系単量体の重合体である請求項1に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
  3. 前記リンカーに含まれる選択的に開裂可能な結合が、水素化分解あるいは2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンによる酸化工程である請求項1又は2に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
  4. 単糖残基あるいはオリゴ糖残基および選択的に開裂可能な結合を含むリンカーが一般式(I)(式中、Rは単糖あるいはオリゴ糖残基、Rはメチレン基4〜20個分の長さを有するリンカー、XはO、SまたはNHを示す)で表された基である請求項1乃至3に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
    Figure 2004329117
  5. 前記RがN−アセチルグルコサミン残基、グルコース残基、ラクトース残基である請求項4に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
  6. 前記Rがペンチレン基である請求項4又は5に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマー。
  7. 一般式(II)(式中、Rは単糖残基あるいはオリゴ糖残基、Rはメチレン基4〜20個分の長さを有するリンカーを示す)で表されるアクリルアミド誘導体とアクリル酸と少なくとも1種類のビニル系単量体とを、アクリル酸が全ビニル系共重合体中20〜80モル%になるように共重合することを特徴とする請求項1乃至4に記載のオリゴ糖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
    Figure 2004329117
  8. 前記RがN−アセチルグルコサミン残基、グルコース残基、ラクトース残基である請求項7に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
  9. 前記Rがペンチレン基である請求項7又は8に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
  10. 前記ビニル系単量体がアクリルアミド類、メタクリルアミド類、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群から選ばれたビニル系単量体である請求項7乃至9に記載の糖鎖合成用水溶性高分子プライマーの製造方法。
  11. オリゴ糖を製造する方法であって、
    (工程1)請求項1記載の水溶性高分子プライマーに糖ヌクレオチドの存在下に糖転移酵素と接触させることにより、糖ヌクレオチドより糖残基を該水溶性高分子プライマーに転移させる工程、
    (工程2)工程1を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程、
    (工程3)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
    (工程4)工程1〜工程3を複数回繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した水溶性高分子プライマーから糖鎖を遊離させる工程、を含むことを特徴とする糖鎖化合物を製造する方法。
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