JP2006230227A - 人工酵素及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 触媒する対象反応の種類に限定されず所望の対象反応に対して所望の酵素活性(触媒活性)を示しかつ複製可能な人工酵素を容易にかつ効率的に製造することができる人工酵素の製造方法等の提供
【解決手段】 本発明の人工酵素の製造方法は、人工酵素を製造するための方法であって、ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドにより形成された修飾オリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する人工酵素前駆体選抜工程と、前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなる修飾オリゴヌクレオチドを有してなる人工酵素を製造する人工酵素製造工程と、を少なくとも含む。
【選択図】 図4

Description

本発明は、触媒する対象反応の種類に限定されず所望の対象反応に対して所望の酵素活性(触媒活性)を示しかつ複製可能な人工酵素を容易にかつ効率的に製造することができる人工酵素の製造方法、及び該人工酵素の製造方法により製造され、所望の対象反応に対する酵素活性の調整等が可能であり、かつその複製乃至増幅、回収、活性化等が容易であり、量産可能であり、前記対象反応に対する酵素活性のスクリーニング等が容易で取扱性に優れた人工酵素に関する。
近年、ヌクレオチドランダム配列から特定の働きを持つ分子を選抜し、同定することにより、特定の対象に対して親和性を有し抗体として機能する分子や、特定の反応を触媒する酵素として機能する分子などを容易にかつ効率的に複製乃至増幅し得る技術が報告されてきている。その一の例としては、化学修飾した核酸混合物を調製後、遊離反応物と反応させて形成した生成物ライブラリーのメンバーを、予め選択された機能を実施する能力に基づいてメンバーを分配及び同定する、SELEX法(Systematic Evolition of Ligands by EXponential enrichment;指数関数的濃縮によるリガンドの系統的発生法)により、特定の対象に対して親和性を有する分子を選抜する方法が知られている(特許文献1参照)。他の例としては、ランダムヌクレオチド配列から、エフェクターの存在下で触媒活性を有し、エフェクターとの相互作用によって触媒活性が調節されるものを選抜することにより、リボザイムとして機能し得る分子を選抜する方法が知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの場合、ヌクレオチドの構成単位数はRNA及びDNAのいずれの場合も4個であることから、該ヌクレオチドのランダム配列中に存在する官能基の種類は著しく制限され、その結果、分子の種類も働きも極めて限られたものとならざるを得ないという重大な問題がある。また、特に前記リボザイムの場合、それを構成する分子がRNAであることから、非常に不安定であるという問題があり、前記リボザイムのような酵素活性を示す分子を安定なDNAにより構成することも検討されてはいるものの、未だ成功するには至っていない。
このような状況において、前記ヌクレオチドのランダム配列中に存在する官能基の種類を増やし、分子に多様性を持たせる目的で、前記ヌクレオチドに置換基を導入した修飾ヌクレオチドを用いる試みもなされてきている。
ところが、該修飾ヌクレオチドを用いる場合、該修飾ヌクレオチドがランダム配列中の特定の部位に選択的に導入されたものが選抜対象分子であることを決定するために、前記修飾ヌクレオチドに対応する天然のヌクレオチドを実験系から除く必要があり、該天然のヌクレオチドを実験系から除くと結局、前記ヌクレオチドの種類は、4+1−1=4のままであり、根本的な問題の解決にはなっていないという問題がある。
一方、アミノ酸や人工物質を構成単位に用いてコンビナトリアルケミストリーによって、抗体乃至酵素として機能し得る分子を選抜する研究もなされてきている。しかしながら、この場合、最終的に選抜した分子は、複製乃至増幅可能な前記ヌクレオチドにより構成されていないため、その構造の決定が困難である上、複製乃至増幅も容易ではなく、取扱性に劣るという問題がある。
他方、自己複製機能を有するウイルス等で被覆してなる超分子アセンブリーが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この場合、該超分子アセンブリーの構造が複雑であり、その構造の決定が容易でなく、酵素活性に優れたものを効率的に製造するのが困難であるという問題がある。
したがって、触媒する対象反応の種類に限定されず所望の対象反応に対して所望の酵素活性(触媒活性)を示しかつ複製可能な人工酵素を容易にかつ効率的に製造することができる人工酵素の製造方法、及び該人工酵素の製造方法により製造され、所望の対象反応に対する酵素活性の調整等が可能であり、かつその複製乃至増幅、選択的回収、活性化等が容易であり、量産可能であり、前記対象反応に対する酵素活性のスクリーニング等が容易で、安定性、安全性、取扱性に優れた人工酵素は、未だ提供されていないのが現状である。
特表平10−508465号公報 特表2004−515219号公報 特表平10−508304号公報
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、触媒する対象反応の種類に限定されず所望の対象反応に対して所望の酵素活性(触媒活性)を示しかつ複製可能な人工酵素を容易にかつ効率的に製造することができる人工酵素の製造方法、及び該人工酵素の製造方法により製造され、所望の対象反応に対する酵素活性の調整等が可能であり、かつその複製乃至増幅、選択的回収、活性化等が容易であり、量産可能であり、前記対象反応に対する酵素活性のスクリーニング等が容易で、安定性、安全性、取扱性に優れた人工酵素を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、後述する付記に列挙した通りである。
本発明の人工酵素の製造方法は、人工酵素を製造するための方法であって、ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する人工酵素前駆体選抜工程と、前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなるオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素を製造する人工酵素製造工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明の人工酵素の製造方法では、前記人工酵素前駆体選抜工程において、ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する。該人工酵素前駆体選抜工程においては、前記反応性修飾ヌクレオシドを有する前記人工酵素前駆体を選抜するが、該人工酵素前駆体は、該反応性修飾ヌクレオシドを有しているため、前記人工酵素が触媒する前記対象反応の反応原料物に対して反応可能であり、前記対象反応に対し酵素活性(触媒活性)を有する。前記人工酵素製造工程において、前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなるオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素を製造する。
該人工酵素製造工程において製造された人工酵素は、前記人工酵素前駆体と同様に前記対象反応に対し酵素活性(触媒活性)を有するが、該人工酵素前駆体に比し、前記オリゴヌクレオチド配列中に、前記反応性修飾オリゴヌクレオシドを含んでなく、その代わりに前記非反応性修飾ヌクレオシドを含んでいるため、構造が簡単であり、かつ複製乃至増幅が容易で量産可能であり、自己複製能を有している。そして、該人工酵素は、前記ヌクレオシドに置換基が導入された前記修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列を有しており、該置換基が導入されていない通常の4種のヌクレオシドによるオリゴヌクレオチド配列よりも、他の分子等に対する相互作用する力が大きいため、前記反応原料物等に対する親和性(特異的反応性)が大きく、かつ酵素活性(触媒活性)に優れる。また、該人工酵素は、前記オリゴヌクレオチド配列を有するため、安定性、安全性に優れ、核酸を用いて容易に回収等ができ、取扱性に優れる。
本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が、互いに異なるオリゴヌクレオチド配列を有してなる2種以上の人工酵素前駆体を含むランダム人工酵素前駆体プールから選抜される態様が好ましい。この態様の場合、前記人工酵素前駆体が前記ランダム人工酵素前駆体プールから2種以上選抜されるので、これらの選抜された前記人工酵素前駆体の中から、所望の酵素活性を示す人工酵素を得ることができる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、該人工酵素前駆体選抜工程により選抜された人工酵素前駆体におけるオリゴヌクレオチド配列を解読するオリゴヌクレオチド配列解読工程を含む態様が好ましい。この態様の場合、前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾オリゴヌクレオシドの存在箇所を特定することができる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が2種以上選抜される態様が好ましい。この態様の場合、選抜した2種以上の前記人工酵素前駆体においてはその酵素活性が通常互いに異なるため、所望の酵素活性を示す人工酵素を容易に得ることができる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、前記オリゴヌクレオチド配列解読工程において解読した該オリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を製造する人工酵素前駆体製造工程と、該人工酵素前駆体製造工程により製造した人工酵素前駆体の中から、反応原料物に対する反応性の高いものを選別する選別工程を含む態様が好ましい。この態様の場合、所望の酵素活性を示す人工酵素を容易に得ることができる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記反応原料物が、捕捉手段により捕捉可能な捕捉部位を有してなり、前記人工酵素前駆体選抜工程における人工酵素前駆体の選抜が、該反応原料物と、反応性修飾ヌクレオチドとを反応させた後、前記捕捉手段により、前記反応原料物における前記捕捉部位を捕捉させることにより、該反応原料物と反応した前記反応性修飾ヌクレオシドを捕捉することにより行われる態様が好ましい。この態様の場合、前記人工酵素前駆体の選抜が前記捕捉手段を用いて効率的に行われるため、前記人工酵素の製造効率に優れる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記人工酵素前駆体のオリゴヌクレオチド配列における、反応修飾ヌクレオシドの位置が該オリゴヌクレオチド配列の末端以外の部分である態様が好ましい。この態様の場合、従来の技術では困難であった、酵素の活性中心を前記人工酵素の分子における中心部に位置させることが可能となり、該人工酵素の酵素活性を大幅に向上させることができる点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記反応性修飾ヌクレオシドと前記反応原料物との反応が、ディールス・アルダー反応、アミド縮合反応、及びアミド結合反応から選択される少なくとも1種である態様が好ましい。この態様の場合、得られた人工酵素を前記各反応を触媒する酵素として好適に使用可能である点で有利である。
また、本発明の前記人工酵素の製造方法においては、前記置換基が下記構造式(I)及び(I’)のいずれかで表される基から選択される態様が好ましい。この態様の場合、前記人工酵素に対し、前記反応原料物に対して所望の親和性を付与することができ、所望の酵素活性(触媒活性)を発現させることができる点で有利である。
ただし、前記構造式(I)及び(I’)中、Rは、天然又は非天然のアミノ酸、金属錯体、蛍光色素、酸化還元色素、スピンラベル体、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び下記式(1)〜(16)から選ばれるいずれかの基を表す。Pは、ピリミジン塩基を表す。
本発明の人工酵素は、対象反応に対して酵素活性を示し、本発明の前記人工酵素の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の人工酵素は、前記オリゴヌクレオチド配列を有してなるため、自己複製能を有し、複製乃至増幅が容易で量産可能であり、安定性にも優れる。また、該人工酵素は、前記オリゴヌクレオチド配列を有してなるため、核酸を用いてハイブリダイゼーション等させることにより、容易にかつ選択的に回収することができ、ハイブリダイゼーションした該人工酵素は加熱により熱融解させて再利用可能であるため、取扱性等に優れる。また、該人工酵素は、一定の手法(本発明の人工酵素の製造方法)により、所望の反応に対して酵素活性(触媒活性)を有する分子として容易に得られ、汎用性に優れる。また、該人工酵素は、前記オリゴヌクレオチド配列を有してなるため、核酸を用いて形成された人工抗体等に連結等することができ、抗体機能と酵素機能とを併有する多機能分子を設計するのに好適に使用可能である。また、該人工酵素は、生体分子で形成されているため、安全性に優れ、医薬品、ドラッグデリバリー、バイオセンサー等をはじめとする広い分野で好適に使用可能である。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、触媒する対象反応の種類に限定されず所望の対象反応に対して所望の酵素活性(触媒活性)を示しかつ複製可能な人工酵素を容易にかつ効率的に製造することができる人工酵素の製造方法、及び該人工酵素の製造方法により製造され、所望の対象反応に対する酵素活性の調整等が可能であり、かつその複製乃至増幅、選択的回収、活性化等が容易であり、前記対象反応に対する酵素活性のスクリーニング等が容易で、安定性、安全性、取扱性に優れた人工酵素を提供することができる。
(人工酵素及びその製造方法)
本発明の人工酵素の製造方法は、人工酵素を製造するための方法であって、人工酵素前駆体選抜工程と、人工酵素製造工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択した、選別工程、オリゴヌクレオチド配列解読工程、翻訳工程などのその他の工程を含む。
本発明の人工酵素は、本発明の前記人工酵素の製造方法により製造される。
以下、本発明の人工酵素の製造方法について詳細に説明するが、該説明を通じて本発明の前記人工酵素の詳細についても明らかにすることとする。
−人工酵素前駆体選抜工程−
前記人工酵素前駆体選抜工程は、ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する工程である。
<人工酵素前駆体>
前記人工酵素前駆体は、前記オリゴヌクレオチド配列を有してなり、該オリゴヌクレオチド配列は、前記修飾ヌクレオシドにより形成され、前記反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも一つ含む。該人工酵素前駆体の中でも、合成が容易等の点で、前記修飾ヌクレオシドを含むヌクレオチドn量体(ただし、nは整数を表す)をランダムに重合させてなるオリゴヌクレオチド配列を有してなるものが好適に挙げられる。
−−修飾ヌクレオシド−−
前記修飾ヌクレオシドは、前記ヌクレオシドに前記置換基が導入されてなる。該修飾ヌクレオシドは、天然ヌクレオシド(アデニン、グアニン、チミン、シトシン)ではなく、核酸誘導体である。
−−−ヌクレオシド−−−
前記ヌクレオシドは、核酸を構成する分子であり、DNA及びRNAの少なくともいずれかを構成するものが分子設計上等の観点からは好ましい。
前記ヌクレオシドの中で前記DNAを構成するものは、デオキシヌクレオシドであり、該デオキシヌクレオシドとしては、具体的には、前記DNAを構成するの4種の塩基、即ちアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)に対応した、デオキシアデノシン(dA)、デオキシグアノシン(dG)、デオキシシチジン(dC)、チミジン(dT)などが挙げられる。
前記ヌクレオシドの中で前記RNAを構成するものは、リボヌクレオシドであり、該リボヌクレオシドとしては、前記RNAを構成する4種の塩基、即ちアデニン(A)、チミン(T)、ウラシル(U)、シトシン(C)に対応した、アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)などが挙げられる。
前記ヌクレオシドとしては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−置換基−−−
前記前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成の容易さ、自身の性質の多様などの点で下記構造式(I)及び(I’)のいずれかで表される基などが好適に挙げられる。
ただし、前記構造式(I)及び(I’)中、Rは、天然又は非天然(合成)のアミノ酸、金属錯体、蛍光色素、酸化還元色素、スピンラベル体、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び下記式(1)〜(16)から選ばれるいずれかの基を表す。Pは、ピリミジン塩基を表す。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、天然のものであってもよりし、合成したものであってもよく、例えば、蛋白質を構成する20種のアミノ酸などが挙げられる。
前記金属錯体としては、金属イオンに配位子が配位した化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ruビピリジル錯体、フェロセン錯体、ニッケルイミダゾール錯体、などが挙げられる。
前記蛍光色素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フルオレセイン系列、ローダミン系列、エオシン系列、NBD系列等の蛍光色素、などが挙げられる。
前記酸化還元色素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコアニリン、ロイコアントシアニン、等のロイコ色素、などが挙げられる。
前記スピンラベル体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄N−(ジチオカルボキシ)サルコシン(sarcosine)、TEMPO(テトラメチルピペリジン)誘導体、などが挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、などが挙げられる。
前記置換基は、公知の置換基で更に置換されていてもよい。また、前記置換基は、1種単独で導入されて(有して)いてもよいし、2種以上が導入されて(有して)いてもよい。
前記置換基の前記ヌクレオシドに導入される数や箇所、該置換基の種類等を適宜変更乃至調整することにより、本発明の前記人工酵素における酵素活性、前記反応対象物に対する認識力(親和性)などを所望に調節することができる。
なお、本発明においては、上述した置換基の中でも、前記人工酵素の酵素活性、前記反応対象物に対する認識力(親和性)等を制御乃至調節が容易である等の点で、前記式(1)〜(16)で表される基が好ましい。
前記修飾ヌクレオシドにおいて前記置換基が導入される位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ピリミジンにおける5位、7−デアザプリンにおける7位、プリンにおける8位、環外アミンの置換、4−チオウリジンの置換、5−ブロモの置換、5−ヨード−ウラシルの置換、などが挙げられる。
これらの中でも、増幅(複製)の際の酵素反応を阻害し難い点で、ピリミジンにおける5位、デアザプリンにおける7位などが好ましく、更に合成が容易である点で、ピリミジンにおける5位がより好ましい。
前記ヌクレオシドに前記置換基を導入する方法、即ち前記修飾ヌクレオシドを合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記式で示されるヌクレオシドのピリミジン塩基における5位に、置換基Rを導入する方法、などが好適に挙げられる。なお、前記置換基Rとしては、上述した置換基が好適に挙げられる。
前記オリゴヌクレオチド配列は、前記修飾ヌクレオシドにより少なくとも形成され、具体的には、前記修飾ヌクレオシドにおける糖の部分がリン酸とエステル結合を形成してなるのが好ましく、合成の容易性等の観点からは、ヌクレオチドn量体により形成されているのがより好ましい。
前記ヌクレオチドn量体におけるnは、整数を表し、2以上の整数が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜3が特に好ましい。
前記nが2未満であると、前記ヌクレオチドの種類が核酸を構成する4種類のヌクレオチドと差がなく、前記反応原料物等に対する認識力(親和性)を十分に向上させることができないことがある。一方、前記nが4以上であると、該ヌクレオチドn量体を含む前記オリゴヌクレオチド配列を複製乃至増幅等する際に、1塩基欠損や1塩基付加等が生じた場合に、これらの欠損体や付加体と正常体との判別が困難になることがあり、合成上の負荷が増大するおそれがある。他方、前記nが3であっても、前記オリゴヌクレオチド配列に最大64種類もの異なる側鎖を導入することができ、20種類のアミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリン)から多種多様な蛋白質ができていることを考慮すると、前記nが3でも十分に多種多様な分子が得られ、合成上の負荷を増大させなくても足りる点で有利である。
前記ヌクレオチドn量体におけるnが2である場合のヌクレオチド2量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記核酸を構成する4種のヌクレオシドと前記修飾ヌクレオシドとの組合せであってもよいし、前記修飾ヌクレオシド同士の組合せであってもよい。
前記ヌクレオチド2量体を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエステル法、トリエステル法、ホスファイト法、ホスホロアミダイト法、H−ホスホネート法、チオホスファイト法、などが挙げられる。これらの中でも、ホスホロアミダイト法が好適である。
前記ホスホロアミダイト法は、一般的には、テトラゾールを促進剤としたヌクレオシドホスホロアミダイトとヌクレオシドとの縮合反応を鍵反応として用い、該反応は、通常、糖部分の水酸基と、ヌクレオシド塩基部のアミノ基との両方に競合的に起こる。所望のヌクレオチドを合成する観点からは、前記糖部分の水酸基にのみ選択的に反応を起こさせるために、前記アミノ基への副反応を防止する目的で該アミノ基を保護基で修飾することが必要となる。
前記ヌクレオチド2量体を合成する方法の具体例として、ヌクレオチド2量体(AU)は、下記式で示したように、デオキシアデノシンと修飾デオキシウリジンとから合成することができる。
但し、前記反応式において、DMTrは、ジメトキシトリチル基を表す。
なお、後述する下記対応表に示す、ヌクレオチド2量体(AC、CA、CC、CG、CT、GC、GU、UA、UC、UG、UT)についても同様の方法により合成することができる。
ここで、合成した前記ヌクレオチド2量体を、核酸を構成する4種のヌクレオシドを1対1に組合せた対応表の16個のいずれかと1対1に対応付け(関係付け)する。
前記ヌクレオチド2量体の種類の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜16種が好ましい。該種類の数が、5未満であると、前記核酸を構成する4種のヌクレオシドと大差がなく、前記反応対象物に対する認識力(親和性)を十分に向上させることができないことがある。
前記対応表としては、例えば、下記表1に示すものが挙げられる。この表1は、横方向(5’側)にA、C、G、Tの順に4種のヌクレオシドの塩基を配置し、一方、縦方向(3’側)にA、C、G、Tの順に4種のヌクレオシドの塩基を配置し、これら塩基がそれぞれ1対1に対応した16個のパターン(マス)が形成されている。
また、前記ヌクレオチド2量体の場合と同様に、ヌクレオチド3量体を用いることもでき、この場合における前記対応表としては、例えば、下記表2に示すものが挙げられる。表2には、56個のパターン(56種のヌクレオチド3量体)が形成されている。
前記ヌクレオチド3量体の種類の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜56種が好ましい。該種類の数が、5未満であると、前記核酸を構成する4種のヌクレオチドと大差がなく、前記反応対象物に対する認識力(親和性)を十分に向上させることができないことがある。
なお、前記ヌクレオチド2量体や前記ヌクレオチド3量体の場合と同様に、ヌクレオチドn量体(ただし、nは整数を表す)を用いることもでき、この場合における前記対応表には、例えば、4個のパターン(4種のヌクレオチドn量体)を形成しておくことができる。
前記ヌクレオチドn量体の種類の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜4種が好ましい。該種類の数が、5未満であると、前記核酸を構成する4種のヌクレオチドと大差がなく、前記反応対象物に対する認識力(親和性)を十分に向上させることができないことがある。
前記ヌクレオチドn量体の具体例としては、オリゴヌクレオチドアミダイトが好適に挙げられる。
前記表1の対応表においては、下記に示すように12種のヌクレオチド2量体が条件付けられている。即ち、塩基配列は、5’側から3’側方向に読み取り、塩基配列ACにはヌクレオチド2量体ACが対応する。配列ATにはヌクレオチド2量体AUが対応する。塩基配列CAにはヌクレオチド2量体CAが対応する。塩基配列CCにはヌクレオチド2量体CCが対応する。塩基配列CGにはヌクレオチド2量体CGが対応する。塩基配列CTにはヌクレオチド2量体CAが対応する。塩基配列GCにはヌクレオチド2量体GCが対応する。塩基配列GTにはヌクレオチド2量体GUが対応する。塩基配列TAにはヌクレオチド2量体UAが対応する。塩基配列TCにはヌクレオチド2量体UCが対応する。塩基配列TGにはヌクレオチド2量体UGが対応する。塩基配列TTにはヌクレオチド2量体UTが対応する。
なお、表1の対応表における、塩基配列とヌクレオチド2量体との条件付けとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、表1はあくまでもその一例である。また、ヌクレオチド2量体を12種作製することが困難であれば、一部が重複してもよいが、その分、前記反応対象物に対する認識力(親和性)は低下することがある。また、前記表1の対応表において、プリン塩基同士の組合せであるAA、AG、GA、及びGGについては、プリン塩基が修飾に用いる酵素の反応が低いため、ヌクレオチド2量体を作製していないが、これは、プリン塩基同士のヌクレオチド2量体が作製することができないことを意味するものではない。
前記表1の対応表に基づいて、12種のヌクレオシド2量体を対応付けることにより、従来の核酸では4種でしかなかったものが、12種にまで拡がり、その結果、多種の前記反応対象物に対して識別力(親和性)を発揮し得るようになる。
前記オリゴヌクレオチド配列におけるヌクレオチド数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜100が好ましく、10〜50程度がより好ましい。
前記ヌクレオチド数が、10未満であると、多様性を出すことができず、100を超えると、多様性を満たす分子数を用意することが実質不可能なことがある。
なお、前記オリゴヌクレオチド配列には、任意のヌクレオチドによるランダムな配列であるランダムオリゴヌクレオチド配列のみで形成されていてもよいし、あるいは、該ランダムオリゴヌクレオチド配列と、同種のヌクレオチド又は所定のヌクレオチド配列で形成された固定された固定オリゴヌクレオチド配列とで形成されていてもよい。
前記オリゴヌクレオチド配列が前記固定オリゴヌクレオチド配列を有していると、
核酸増幅時のプライマーとして用いることができる点で有利である。該固定オリゴヌクレオチド配列におけるヌクレオチド数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、15以上が好ましく、20〜40程度がより好ましい。
前記オリゴヌクレオチド配列の製造乃至形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した方法が挙げられるが、例えば、ヌクレオチドランダム配列に対しヌクレオチドモノマー乃至ヌクレオチドモノマーブロック(例えば、前記オリゴヌクレオチド二量体等)をアニーリングさせ、該ヌクレオチドモノマーをDNAライゲース及びRNAライゲースの少なくともいずれかにより連結させて合成する方法なども挙げらるが、DNAシンセサイザー(DNA自動合成機)等を用いて行うことが好適である。
なお、前記DNAライゲースは、DNAリガーゼともいい、隣接したヌクレオチドの5’リン酸基と3’水酸基の間の、共有結合の形成を触媒する酵素であり、前記RNAライゲースは、RNAリガーゼともいい、5’リン酸基末端のポリヌクレオチドと3’水酸基末端のポリヌクレオチドを連結させる酵素である。前記RNAリガーゼの基質は、本来はRNAであるが、5’リン酸基末端のポリデオキシリボヌクレオチドと3’端のみがリボヌクレオチドであるポリデオキシリボヌクレオチドも効率的に連結する。
前記DNAシンセサイザー(DNA自動合成機)を用いる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1に示すようなDNAシンセサイザー(DNA自動合成機)を用い、合成した前記ヌクレオチド2量体を複数種混合したもの(図1に示す例では12種であり、図1中「X」で表される)を試薬とし、この試薬をコントローラー25による制御の下、ノズル15により吸い上げて重合させることにより、ランダムであらゆる配列順序のオリゴヌクレオチド配列を有する前記ランダム重合体プールを作製する方法などが好ましい。この場合、前記ランダム重合体プールを効率よく作製することができる点で有利である。
なお、後述の反応性修飾ヌクレオチドは、前記DNAシンセサイザーにおけるノズル15から単独で吸い上げられて重合に供されてもよいし、あるいは前記オリゴヌクレオチド2量体を形成する単位修飾ヌクレオチドの1つとして前記オリゴヌクレオチド2量体中に取り込まれていて、前記DNAシンセサイザーにおけるノズル15により吸い上げられて重合に供されてもよい。
前記オリゴヌクレオチド配列は、後述の反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含み、前記修飾ヌクレオシドにより形成されるのが好ましく、更に必要に応じて、前記置換基で修飾されていないDNA乃至RNAのモノマー乃至オリゴマーを含んでいてもよい。
なお、上述のようにして製造乃至形成(合成)した前記オリゴヌクレオチド配列は、1種であってもよいが、所望の酵素活性を示す人工酵素を効率的にスクリーニング(選択)する観点からは、2種以上であることが好ましい。後者の場合、複数のオリゴヌクレオチド配列を含むランダム重合体プールが得られ、該ランダム重合体プールの中から所望の前記人工酵素前駆体を選別することができる。この場合、所望の酵素活性を示す人工酵素を効率よくスクリーニングすることができる点で有利である。
このような前記オリゴヌクレオチド配列の中でも、核酸増幅の容易さの点で、両端に固定オリゴヌクレオチド配列を有するものなどが好ましい。
前記固定オリゴヌクレオチド配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アデニン、グアニン、シトシン及びチミンから選択される塩基によるDNA配列、アデニン、グアニン、シトシン及びウラシルから選択される塩基によるRNA配列、ポリA、ポリT、ポリG、ポリC、ポリU、などが挙げられる。
前記固定オリゴヌクレオチド配列の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、4〜100が好ましく、10〜50が好ましい。
なお、前記固定オリゴヌクレオチド配列を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記オリゴヌクレオチドの合成方法と同様の方法が好適に挙げられる。前記固定オリゴヌクレオチド配列の合成には、前記ヌクレオチドの中から選択した所定の修飾ヌクレオチドを使用してもよいし、あるいは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)の4種のヌクレオチドを使用してもよい。
前記オリゴヌクレオチド配列としては、前記反応原料物の反応を効率的に触媒し、反応効率を高める観点からは、前記反応原料物に対して、抗体活性(親和性乃至結合性)を示すものが好ましい。
前記オリゴヌクレオチド配列の前記反応原料物に対する抗体活性を高める観点からは、例えば、該オリゴヌクレオチド配列に、前記反応原料物に対して抗体活性(親和性乃至結合性)を示す構造を導入等してもよく、例えば、前記反応原料物を捕捉可能な捕捉体などを導入することができる。
前記捕捉体の前記オリゴヌクレオチド配列への導入する数、位置(部位)、該捕捉体の種類等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記捕捉体の前記オリゴヌクレオチド配列への導入数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1〜2が好ましい。なお、該導入数が2以上である場合、該2以上の捕捉体は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記捕捉体の前記オリゴヌクレオチド配列への導入位置(部位)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記オリゴヌクレオチド配列の末端(両末端)などが好ましい。
前記捕捉体の種類としては、特に制限はなく、該捕捉体による前記反応原料物の捕捉の態様、例えば、吸着、化学結合などにより異なり、一概に規定することができないが、例えば、抗体、蛋白質、核酸、これらの一部(断片)、などが挙げられる。これらの中でも、複製乃至増幅が容易である等の点で、核酸がより好ましい。
前記抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、などが挙げられる。なお、前記抗体の一部としては、例えば、抗体軽鎖可変部位、抗体重鎖可変部位、抗体(Fab)フラグメント、抗体F(ab’)フラグメント、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリクローナル抗体とは、多クローン性抗体ともいい、通常、多数の抗原決定基(エピトープ)に対して親和性を示し、例えば、病原微生物感染によって生じた免疫抗体、抗血清、自己抗体、などが挙げられる。
前記モノクローナル抗体とは、単クローン性抗体ともいい、単一の抗原決定基(エピトープ)に対して親和性を示す。該モノクローナル抗体は、例えば、感作B細胞とミエローマ系細胞株とを細胞融合してなるモノクローナル抗体産生細胞株により産生することができる。
前記抗体軽鎖可変部位とは、免疫グロブリンIgGにおいて、分子量約23,000の2個の軽いペプチド鎖(L鎖)の中で、N末端から110個のアミノ酸配列部分(可変部)を意味する。
前記抗体重鎖可変部位とは、免疫グロブリンIgGにおいて、分子量50,000〜70,000の2個の重いペプチド鎖(H鎖)のうちN末端から110個のアミノ酸配列部分(可変部)を意味する。
前記抗体(Fab)フラグメントとは、免疫グロブリンIgGをパパインで分解すると2つのFab部分と、補体結合部や細胞のFcレセプターと結合する1つのFc部分とに分かれ、この2つの抗原と特異的に結合するFab部分を意味する。
前記抗体F(ab’)フラグメントとは、免疫グロブリンIgGをペプシンで分解して得られる抗原と特異的に結合する部分を意味する。
前記蛋白質としては、特に制限はなく、前記抗体又はその一部を除くものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、大部分の原核生物の細胞壁を構成するPGと特異的に結合するペプチドグリカン認識タンパク質(以下、「PGRP」という)、グラム陰性菌の外膜を構成するLPSと特異的に結合するLPS結合タンパク質(Eur.J.Biochem. Vol.1248, pp.217-224, 1997.)、真菌類の細胞壁を構成するβGと特異的に結合するβG認識タンパク質(The Journal of Biological Chemistry Vol.263, No24, pp.12056-12062, 1988.)、などが挙げられる。
前記核酸としては、例えば、アプタマー、標的を捕捉可能な核酸、などが挙げられる。
前記アプタマー(aptamer)は、アミノ酸のような小分子から蛋白質、さらにはウイルスのような高分子を認識する核酸分子であり、大量に合成乃至複製可能であり、改良も容易であり、前記標的に特異的に結合するRNA抗体としての性質を有する。該アプタマーは、癌化作用のある因子の機能阻害(癌抑制)、癌関連因子の定量測定(癌診断)、生理活性タンパク質を擬態するRNA分子の開発(創薬)などに応用可能である。
なお、前記アプタマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述した前記オリゴヌクレオチド配列などが好適に挙げられる。
前記捕捉体を前記オリゴヌクレオチド配列に結合させる結合部(リンカー)としては、複製乃至増幅可能であることが好ましく、例えば、核酸、アミノ酸配列、ポリマー鎖、これらの複合体などが挙げられる。
なお、前記結合部が前記核酸である場合、該結合部にヘアピン構造部が形成されていてもよい。該結合部に前記ヘアピン構造部が形成されていると、選別、構造決定等の際に便利であり、また、協奏的(コーペラティブ)効果も期待できる点で有利である。
−−反応性修飾ヌクレオシド−−
前記反応性修飾ヌクレオシドとしては、前記人工酵素が触媒する(酵素活性を示す)前記対象反応の前記反応原料物に対して反応性を示す(反応可能である)限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した修飾ヌクレオシドの構造の一部に、前記人工酵素が触媒する反応の反応対象物に対して反応性を示す構造を導入してなるものなどが挙げられる。なお、この場合、該反応性修飾ヌクレオシドは、前記反応原料物に対して反応性を示すのに対し、前記修飾ヌクレオシドは前記反応原料物に対して反応性を示さない点で異なる。
前記反応性修飾ヌクレオシドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウリジン、シチジン、7―デアザアデニン、7−デアザグアニンから選択される少なくとも1種であって、非反応性(前記対象反応物に対して反応性を示さない)の前記修飾ヌクレオシドと同種のものを含むものなどが好ましく、前記反応原料物と反応可能な構造を一部に有するウリジン誘導体などがより好ましい。
前記対象反応としては、前記人工酵素が触媒する対象となる反応と同様であって、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合反応、分解反応などが好適に挙げられる。なお、前記反応性修飾ヌクレオシドと前記反応対象物とが反応することにより、前記人工酵素前駆体の前記反応対象物に対する反応性乃至親和性を判断することができ、多数多種の前記人工酵素前駆体の中から、該反応対象物に対して反応性乃至親和性を示す前記人工酵素前駆体を選抜し、該人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応対象物に対して反応性を示さない非反応性の前記ヌクレオシドに置換させることにより、本発明の前記人工酵素が得られる。
前記結合反応としては、例えば、重合反応、縮合反応、縮重合反応、付加反応、重付加反応などが挙げられる。
前記結合反応に関与する化学結合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合、などが挙げられる。前記結合反応の具体例としては、生成物の安定性の点で、ディールス・アルダー反応、アミド縮合反応、アミド結合反応、エステル結合反応、などが好適に挙げられる。
前記分解反応(解裂反応)としては、例えば、加水分解反応、置換反応による切断、などが挙げられる。なお、前記加水分解反応における分解対象結合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル結合、アミド結合、などが挙げられる。
なお、ここで、前記結合反応の具体例として示した前記ディールス・アルダー反応について説明する。該ディールス・アルダー反応は、下記反応式で示す環形成反応である。即ち、該反応式の左辺に示した2つの化合物が、該ディールス・アルダー反応の反応原料物であり、該2つの反応原料物は互いに選択的に反応して環を形成する。
前記反応原料物としては、特に制限はなく、前記対象反応の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、前記対象反応が前記ディールス・アルダー反応である場合には、下記式Aで表される構造及び下記式Bで表される構造のいずれかを一部に有してなる化合物、などが挙げられる。
式A
式B
なお、該反応原料物が、例えば、前記式2で表される構造を少なくとも一部に有してなる化合物である場合、前記反応性修飾ヌクレオシドとしては、下記式Cで表される構造を有する化合物などが好適に挙げられる。
式C
前記反応性修飾ヌクレオシドが、前記式Cで表される構造を有する化合物である場合には、例えば、下記式Dで表される構造を有する化合物などを、該反応性修飾ヌクレオシドの選抜に好適に使用することができ、後述する選抜手段として好適に使用することができる。なお、前記選抜手段は、前記反応性修飾ヌクレオシドが導入されて(を有して)なる前記人工酵素前駆体を多数多種の前記オリゴヌクレオチド配列の中から選抜するための手段である。
前記式Dで表される構造を有する化合物は、その一端に、前記式Cで表される構造に含まれるアントラセン構造とディールス・アルダー反応可能なイミド基を有し、また、その他端に、アビジンカラムにより吸着分離可能なビオチン構造を有しているため、前記選抜手段として好適に使用可能である。
式D
なお、前記式Cで表される構造を有する化合物と、前記式Dで表される構造を有する化合物との反応は、前記式Cで表される構造を有する化合物におけるアントラセン構造部分と、前記式Dで表される構造を有する化合物におけるイミド基との間で生ずる前記ディールス・アルダー反応であり、具体的には、以下に示す通りである。
なお、前記反応性修飾ヌクレオシドが、前記式Cで表される構造を有する化合物である場合、該反応性修飾ヌクレオシドを有してなる前記人工酵素前駆体における該反応性修飾ヌクレオシドを、非反応性修飾ヌクレオシドに置換してなる前記人工酵素は、下記ディールス・アルダー反応を触媒可能であり、即ち、前記対象反応がディールス・アルダー反応であり、該反応式における左辺に示す、アントラセン化合物とイミド化合物とが前記反応原料物である。
また、前記反応原料物としては、例えば、前記対象反応が前記アミド縮合反応である場合には、アミノ基を一部に有してなる化合物、水酸基を一部に有してなる化合物、などが挙げられる。
前記アミド縮合においては、前記アミノ基を一部に有してなる化合物におけるアミノ基と、前記水酸基を一部に有してなる化合物における水酸基との脱水縮合によりアミドが形成される。
前記アミド縮合を生じ得る前記反応性修飾ヌクレオシドとしては、下記式Eで表される構造を有する化合物、などが挙げられる。
式E
なお、該反応性修飾オリゴヌクレオチド、即ち前記式Eで表される構造を有する化合物の2つが存在すると、その内の1つにおけるアミノ基と、他の一つにおける水酸基との間で、例えば、ATP、ピロフォスフェート分解酵素の存在下で、以下のようなアミド縮合反応が生ずる。
前記反応性修飾ヌクレオシドが、前記式Eで表される構造を有する化合物である場合には、例えば、一端にアミド縮合を形成可能な基を有し、かつ他端にアビジンカラムにより吸着分離可能なビオチン構造を有する分子などを、前記選抜手段として好適に使用することができる。
なお、前記反応性修飾ヌクレオシドが、前記式Eで表される構造を有する化合物である場合、該反応性修飾ヌクレオシドを有してなる前記人工酵素前駆体における該反応性修飾ヌクレオシドを、非反応性修飾ヌクレオシドに置換してなる前記人工酵素は、下記アミド縮合反応を触媒可能であり、即ち、前記対象反応がアミド縮合反応であり、該反応式における左辺に示す化合物が前記反応原料物である。
このアミド縮合反応では、左辺に記載の化合物の2分子がアミド縮合反応により、右辺に記載のアミド縮合反応生成物となる。なお、該アミド縮合反応生成物は下記式Fに示すように、分子内に不斉炭素を有する。
式F
ただし、式F中、*は、不斉炭素を表す。
また、前記反応原料物としては、例えば、前記対象反応が前記アミド結合加水分解反応である場合には、アミド結合を一部に有してなる化合物、などが挙げられる。
前記アミド結合加水分解反応においては、前記アミド基を一部に有してなる化合物における該アミド基が加水分解されて、アミノ基を一部に有する化合物と、水酸基を一部に有する化合物とが生成される。
前記アミド結合加水分解反応は、トリガーの作用によって反応が開始する機構であってもよく、この場合、該トリガーとしては、例えば、イオン濃度の変化、温度変化、及びpH変化の少なくともいずれかであることが好ましい。なお、前記イオン濃度の変化としては、例えば、マグネシウムイオンの添加などが挙げられる。前記温度変化としては、例えば、加熱による至適温度に調整などが挙げられる。前記pH変化としては、例えば、pH調整剤の添加による至適pHへの調整などが挙げられる。
前記アミド加水分解反応を生じ得る前記反応性修飾ヌクレオシドとしては、下記式Gで表される構造を有する化合物、などが挙げられる。
式G
なお、該反応性修飾オリゴヌクレオチド、即ち前記式Gで表される構造を有する化合物がマグネシウムイオン等の存在下では、以下のようなアミド結合加水分解反応が生ずる。
前記反応性修飾ヌクレオシドが、アビジンカラムを用いることにより、前記アミド結合加水分解反応が生じる前においては、該アビジンカラムに吸着されていた該反応性修飾ヌクレオシドが、前記アミド結合加水分解反応が生じた後においては、前記アビジンカラムから脱離するので、前記アビジンに反応可能なビオチン構造を初めから有してなる、前記式Gで表される構造を有する化合物自体を、前記選抜手段としても機能する。
なお、前記反応性修飾ヌクレオシドが、前記式Gで表される構造を有する化合物である場合、該反応性修飾ヌクレオシドを有してなる前記人工酵素前駆体における該反応性修飾ヌクレオシドを、非反応性ヌクレオシドに置換してなる前記人工酵素は、下記アミド結合加水分解反応を触媒可能であり、即ち、前記対象反応がアミド結合加水分解反応であり、該反応式における左辺に示す化合物が前記反応原料物である。
このアミド結合加水分解反応では、左辺に記載のアミド結合を有する化合物がアミド結合加水分解反応により、右辺に記載のアミノ基及び水酸基を有する化合物が2分子生ずる。
前記反応性修飾ヌクレオシドの前記オリゴヌクレオチド配列(前記人工酵素前駆体)における数、位置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記反応性修飾ヌクレオシドの前記オリゴヌクレオチドにおける数としては、少なくとも1つあればよいが、1であってもよいし、2以上であってもよく、1〜2程度が好ましい。前記数が多くても、一箇所で反応したものと複数箇所同時に反応したものの選別が実質不可能なことが挙げられる。
前記反応性修飾ヌクレオシドの前記オリゴヌクレオチド配列における位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記オリゴヌクレオチド配列の末端であってもよいし、末端以外の部位であってもよいが、前記人工酵素前駆体としての三次元コンファーメーションを考慮した場合の該反応性修飾ヌクレオシドの前記反応原料物に対する反応性(前記人工酵素の酵素活性)に優れる点で、即ち前記反応原料との反応場を形成乃至提供することができ、反応活性(酵素活性)を発現乃至向上可能な点で、末端以外の部位が好ましく、中央部付近であるのが好ましい。
従来における人工酵素の設計においては、酵素活性部位を該人工酵素を形成する鎖状分子の中央部に導入することが技術的に困難であり、該鎖状分子の末端に前記酵素活性部位を導入せざるをえなかったが、本発明においては、前記人工酵素を形成する分子が前記オリゴヌクレオチド配列であるため、該オリゴヌクレオチド配列の末端以外の部位に、前記反応性修飾ヌクレオシドを容易に導入することが可能であり、かつ該オリゴヌクレオチド配列自体は容易に複製乃至増幅可能であるため、設計、選別、製造乃至増幅等の点で従来の人工酵素よりも極めて有利である。
なお、前記反応性修飾ヌクレオシドは、選抜の便宜上、例えば、標識物質等で標識されていてもよい。前記標識物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、放射性同位元素、化学発光物質、蛍光物質、酵素、抗体、リガンド、レセプターなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−人工酵素前駆体の選抜−−
前記人工酵素前駆体の選抜の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記人工酵素前駆体の選抜を効率的に行う観点からは、前記反応原料物が、前記選抜手段に設けられた前記捕捉手段により捕捉可能な前記捕捉部位を有していることが好ましく、該捕捉部位としては、前記捕捉手段により捕捉され得るものであれば特に制限はなく、前記捕捉手段の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、抗原、抗体、酵素、酵素基質、包摂化合物、被包摂化合物、などが挙げられる。該捕捉部位の前記反応原料物にける数、位置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記数としては、1であってもよいし、2以上であってもよく、また、前記位置としては、前記反応原料物の分子末端であってもよいし、末端以外の位置であってもよい。
前記選抜手段に設けられた前記捕捉手段としては、前記捕捉部位を捕捉可能な限り、特に制限はなく、例えば、抗原、抗体、酵素、酵素基質、包摂化合物、被包摂化合物、などが挙げられる。
前記選抜手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラム、ビーズ、分離膜、網状構造物、などが挙げられる。該選抜手段における前記捕捉手段の導入数、導入位置等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記導入数としては、前記選抜手段1つにつき、1であってもよいし、2以上であってもよく、また、前記導入位置としては、前記選抜手段の全表面であってもよいし、一部の表面であってもよい。
前記選抜手段に設けられる捕捉手段と、前記反応原料物に設けられる前記捕捉部位との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一方がアビジンであり、他方がビオチンである組合せ、などが挙げられる。
前記人工酵素前駆体の選抜の具体的な方法としては、例えば、カラムやビーズ等の選抜手段に設けられた前記捕捉手段を用いて行う方法が好適に挙げられ、具体的には、前記捕捉部位を有してなる前記反応原料物における該捕捉部位を前記選抜手段に捕捉させておき、前記選抜手段に対し、前記人工酵素前駆体を含む試料を付与して作用させることにより、前記反応原料物に対して反応性を示す前記人工酵素前駆体のみを、即ち前記反応性修飾ヌクレオシドを有しかつ前記反応原料物に対して酵素活性を示す人工酵素前駆体を前記反応原料物に捕捉させることにより、前記試料中から所望の前記人工酵素前駆体を選抜する方法、あるいは、前記反応原料物と、前記人工酵素前駆体とを反応させた後、前記選抜手段に設けられた前記捕捉手段により、前記人工酵素前駆体と反応した前記反応原料物における前記捕捉部位を捕捉させることにより、前記人工酵素前駆体を含む試料中から所望の前記人工酵素前駆体を選抜する方法、などが好適に挙げられる。
前記人工酵素前駆体の選抜は、該人工酵素前駆体を1種含む試料中から該人工酵素前駆体を選抜する場合のほか、前記人工酵素前駆体を2種以上含む試料中から所望のあるいは総ての前記人工酵素前駆体を選抜する場合も含まれる。
後者の場合、前記人工酵素前駆体を2種以上含む試料としては、例えば、互いに異なるオリゴヌクレオチド配列を有してなる2種以上の人工酵素前駆体を含む、上述したランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)が好適に挙げられる。
前記ランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)から前記人工酵素前駆体を選抜する場合、通常、該人工酵素前駆体が2種以上選抜される。ここで選抜された2種以上の前記人工酵素前駆体は、通常、該人工酵素前駆体に基づいて人工酵素が製造された場合、該人工酵素が互いに異なる酵素活性を示す。このため、前記ランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)を用いると、所望の酵素活性を示す人工酵素を得ることができる点で有利である。
ここで、前記人工酵素前駆体の選抜の具体例を説明すると、図2に示すように、予め、前記対象反応が結合反応であって該結合反応(例えば、前記ディールス・アルダー反応、前記アミド縮合反応)を生成し得る反応性修飾ヌクレオシドYを含むオリゴヌクレオチド配列が含まれる前記ランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)を作製しておき(図2A)、該反応性修飾ヌクレオシドYと前記結合反応を生じ得る部位Xを有しかつ前記捕捉部位としてのビオチン構造を含む前記反応原料物を含む溶液を反応させる(図2B)。すると、前記反応性修飾ヌクレオシドYと前記部位Xとが結合反応して化学結合XYを生ずる。該化学結合XYが生じた前記オリゴヌクレオチド配列を含む反応溶液が得られる(図2C)。この反応溶液を、前記捕捉部位としての前記ビオチン構造を捕捉可能なアビジンを前記捕捉手段として固定した樹脂ビーズを前記選抜手段として用い、該樹脂ビーズを充填したアフィニティーカラム中に流し、一定条件に放置する(図2D)。
すると、前記反応性修飾ヌクレオシドYを含みかつ前記反応原料物に対して反応性を示す前記オリゴヌクレオチド配列については、該反応性修飾オリゴヌクレオチドYを含まないオリゴヌクレオチド配列乃至該反応性修飾ヌクレオシドYを含むものの前記反応原料物との反応性が極めて低いオリゴヌクレオチド配列とは異なり、前記化学結合XYが生成した結果、前記反応原料物における前記捕捉部位としての前記ビオチン構造が、前記選抜手段としての樹脂ビーズに固定された前記捕捉手段としてのアビジンに捕捉され(結合し)、該反応性修飾ヌクレオシドYを含む前記オリゴヌクレオチド配列がアフィニティーカラムに吸着されて、不溶物化する(図2E)。ここで、該アフィニティーカラムを緩衝液で十分に洗浄することにより、前記反応性修飾ヌクレオシドYを含まないオリゴヌクレオチド配列乃至該反応性修飾ヌクレオシドYを含むものの前記反応原料物に対して反応性が極めて低いオリゴヌクレオチド配列を除去することができる。そして、次に、希薄緩衝溶液をカラムに流すことにより、前記反応性修飾ヌクレオシドYを含みかつ前記反応原料物に対して反応性を示すオリゴヌクレオチド配列を選択的に選抜(回収)することができる。
一方、前記対象反応が前記結合反応ではなく前記分解反応(例えば、前記アミド結合加水分解反応)の場合には、以下のように前記選抜を行うことができる。即ち、前記対象反応が前記結合反応である場合の前記オリゴヌクレオチド配列の選抜と同様に、図3に示すように、前記反応性修飾ヌクレオシドYを含みかつ前記反応原料物に対して反応性(アミド縮合反応)を示すオリゴヌクレオチド配列を選択的に選抜(回収)した後(図3A)、該オリゴヌクレオチド配列が含まれるランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)に対し、前記トリガーを作用させて前記対象反応であるアミド結合加水分解反応を生じさせる(図3B)。そして、この反応液を、前記捕捉手段としてのアビジンを固定した前記選択手段としての樹脂ビーズ(カラム充填材)を充填したアフィニティーカラム中に流し、一定条件に放置する(図3C)。すると、前記アミド結合加水分解反応が生じたオリゴヌクレオチド配列は、前記アフィニティーカラムから溶出し、前記アミド結合加水分解反応を生じなかったオリゴヌクレオチド配列は、前記アフィニティーカラムに吸着したまま、即ち不溶物のまま残り、除去される(図3D)。そして、前記アフィニティーカラムからの溶出液を回収し、この溶出液中から、前記アミド結合加水分解反応に対して反応性を示す前記オリゴヌクレオチド配列(前記人工酵素前駆体)を選別することができる。なお、前記トリガーとしては、上述のようにイオン濃度の変化、温度変化、pH変化などが挙げられる。
−選別工程−
前記選別工程は、前記人工酵素前駆体選抜工程の後であって後述する人工酵素製造工程の前に必要に応じて行うことができ、前記人工酵素前駆体選抜工程により選抜した人工酵素前駆体の中から、反応原料物に対する反応性の高いものを選別する工程である。
前記選別の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法から適宜選択することができ、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、フィルター結合、液−液分割、ろ過、ゲルシフト、密度勾配遠心分離、などの各種方法が挙げられる。これらは、1種単独で行ってもよいし、2種以上を行ってもよい。これらの中でも、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい。該選別においては、前記人工酵素前駆体(前記オリゴヌクレオチド配列)における前記修飾ヌクレオシドと、該修飾ヌクレオシドとの間で反応性を示す前記反応原料物との解離定数をモニターするのが好ましい。この場合、最小一回の処理で所望の解離定数を持つ前記人工酵素前駆体を選別することもできる。前記選別工程において前記解離定数を測定し、該解離定数をコントロールすることで、所望の反応性(酵素活性)を示す前記人工酵素前駆体を効率よく選別することができる。なお、前記解離定数は、前記反応原料物の種類等に応じて適宜選択することができ、ワービスプラズモン共鳴を用いた測定機器などを用いて測定することができる。
−オリゴヌクレオチド配列解読工程−
前記オリゴヌクレオチド配列解読工程は、前記人工酵素前駆体選抜工程の後であって後述する人工酵素製造工程の前に、必要に応じて行うことができ、前記人工酵素前駆体選抜工程により選抜された人工酵素前駆体における前記オリゴヌクレオチド配列を解読する工程である。
前記オリゴヌクレオチド配列解読工程により、前記人工酵素前駆体を形成する前記オリゴヌクレオチド配列が解読され、その複製乃至増幅が可能となる。
前記配列解読工程においては、必要に応じて、前記人工酵素前駆体選抜工程により選抜された、あるいは前記選別工程により選別された、前記オリゴヌクレオチド配列を増幅する。
前記増幅の方法としては、前記オリゴヌクレオチド配列の数を増やすことができれば、特に制限はなく、当該技術分野において公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase chain Reaction)法、3SR(Self−sustained Sequence Replication)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、RT−PCR法、ICAN法、LAMP法、などが挙げられる。これらは、1種単独で行ってもよいし、2種以上を行ってもよい。
前記PCR法は、ポリメラーゼ連鎖反応法を意味し、DNA合成酵素によるDNA合成反応の試験管内での繰り返しにより、その特定のオリゴヌクレオチド領域を数10万倍に増幅可能な方法である。該PCR法においては、使用するプライマーの伸長反応は、4種又は5種のヌクレオチド三リン酸(デオキシアデノシン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸、及びチミジン三リン酸あるいはデオキシウリジン三リン酸(これらの混合物をdNTPということもある))を基質として該プライマーに取り込ませることにより行われる。
この伸長反応を行う場合、通常核酸鎖を増幅するために上記単位核酸及び核酸伸長酵素を含む増幅反応試薬が用いられ、この場合、核酸伸長酵素としてはE.coliDNAポリメラーゼI、E.coliDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、T4 DNAポリメラーゼ等の任意のDNAポリメラーゼを用いることができるが、特にTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ等の熱安定性DNAポリメラーゼを用いることが好ましく、これによりサイクル毎に新たな酵素の添加の必要性がなくなり、自動的にサイクルを繰り返すことが可能になり、更にアニーリング温度を50〜60℃に設定することが可能なためプライマーによる標的塩基配列認識の特異性を高めることができ、迅速かつ特異的に遺伝子増幅反応を行うことができる(特開平1−314965号公報及び特開平1−252300号公報等参照)。
また、この反応を行う際、反応溶液の水分の蒸発を防止するためにオイルを添加することができる。この場合、前記オイルとしては、水と分配可能で、かつ水より比重の軽いものであればよく、具体的にはシリコーンオイル、ミネラルオイル等が例示される。また、遺伝子増幅装置によってはこのような媒体を必要としないものもあり、このような遺伝子増幅装置を用いてプライマーの伸長反応を行うこともできる。
このように、前記プライマーを用いて伸長反応を繰り返すことにより、目的とするオリゴヌクレオチドを効率的に遺伝子増幅させることができ、前記オリゴヌクレオチド配列を大量に作製することができる。なお、この遺伝子増幅反応を行う条件等の具体的な方法については、実験医学、羊土社、8,No.9(1990)、PCR テクノロジー ストックトン プレス(PCR Technology Stockton press(1989))等の文献に記載された公知の方法が挙げられる。
なお、PCR法を行うことにより、前記オリゴヌクレオチド配列は、置換基の修飾のない天然のオリゴヌクレオチド配列に置換される。
また、前記オリゴヌクレオチド配列がDNAではなくRNAである場合、逆転写反応を行うことによりDNAを合成することができる。前記逆転写反応とは、RNAを鋳型としてDNAを合成する方法であり、対象となるRNAにより、逆転写反応の反応液や反応条件は異なる。例えば、RNA溶液にRNaseフリーの滅菌蒸留水と3’−プライマーを添加し、インキュベートした後、冷却して、Tris−HCl、KCl、MgClなどを含む逆転写緩衝液、DTT、dNTPsを加え、逆転写酵素を添加した後インキュベートすること等により行うことができる。該逆転写反応の停止は、インキュベートの条件を調整して行うことができる。なお、このような逆転写反応は、逆転写PCRによっても行うことができる。
前記配列解読工程においては、必要に応じて、前記オリゴヌクレオチド配列をそのまま、あるいは必要に応じて増幅した後、該オリゴヌクレオチド配列の塩基配列を決定する。
前記塩基配列の決定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、遺伝子クローニングによる方法、チェーンターミネーター法、サンガー法、ジデオキシ法等によるDNAシーケンサー(DNA塩基配列自動決定装置)、などが挙げられる。これらは、1種単独で行ってもよいし、2種以上を行ってもよい。
−翻訳工程−
前記翻訳工程は、前記オリゴヌクレオチド配列解読工程において解読(決定)した前記オリゴヌクレオチド配列(塩基配列)を、4種のヌクレオシドを、1対1に組合せた対応表における4種のヌクレオチドn量体の少なくとも1種とヌクレオチドn量体の1種とを対応させた対応表に基づき翻訳する工程である。
前記翻訳は、塩基配列が決定されたヌクレオチドn量体からなる前記オリゴヌクレオチド配列の5’末端側からn塩基ずつ対応表に基づいて行われることが好ましく、例えば、修飾ヌクレオチドn量体がヌクレオチド2量体である場合、該ヌクレオチド2量体からなる塩基配列が決定されたオリゴヌクレオチド配列の5’末端側から2塩基ずつ対応表(例えば、下記対応表など)に基づいて翻訳するのが好ましい。
例えば、図4に示すように、決定されたオリゴヌクレオチド配列が“ATGCTCTAGCCCCT”である場合には、対応表に基づき翻訳すると“AUGCCUAGCCCT”という配列であることが確認され、前記人工酵素前駆体(オリゴヌクレオチド配列)の塩基配列を求めることができる。
前記ヌクレオチドn量体がヌクレオチド3量体である場合、該ヌクレオチド3量体からなる塩基配列が決定されたオリゴヌクレオチド配列の5’末端側から3塩基ずつ対応表(例えば、下記対応表など)に基づいて翻訳することができる。
なお、前記ヌクレオチドn量体がヌクレオチド3量体を超える場合(n≧4)にも上記同様に、例えば、4種のヌクレオシドを1対1に組合せた対応表における4種のヌクレオチドn量体(n≧4)の少なくとも1種とヌクレオチドn量体(n≧4)の1種とを対応させた対応表に基づいて翻訳することができる。
−人工酵素製造工程−
前記人工酵素製造工程は、前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなるオリゴヌクレオチド配列(「正規オリゴヌクレオチド配列」と称することがある)を有してなる人工酵素を製造する工程である。
前記非反応性修飾ヌクレオシドとしては、前記人工酵素前駆体(前記オリゴヌクレオチド配列)中に存在する前記反応性修飾ヌクレオシドから前記置換基乃至該置換基を含む部分を除いてなるヌクレオシドが挙げられ、例えば、前記反応性修飾ヌクレオシドがウリジン誘導体である場合には、ウリジンが好適に挙げられる。
前記非反応性修飾ヌクレオシドの置換、換言すれば、該非反応性修飾ヌクレオシドを含む前記人工酵素(前記正規オリゴヌクレオチド配列)の製造乃至形成は、前記人工酵素前駆体(前記反応性修飾ヌクレオシドを含む前記オリゴヌクレオチド配列)の製造乃至形成の場合と同様の方法によりオリゴヌクレオチド配列を形成する際に、そのモノマーとなる前記反応性修飾ヌクレオシドに代えて、これに対応する前記非反応性修飾ヌクレオシドを用いることにより、行うことができる。
前記人工酵素製造工程により得られた人工酵素は、本発明の人工酵素であり、前記対象反応に対して所望の酵素活性を有する。
本発明の人工酵素の製造方法により得られる本発明の人工酵素は、高い反応特異性及び優れた反応効率を備え、安定であり、核酸ベースの人工酵素として種々の用途に好適に使用可能である。
本発明の人工酵素は、必要に応じて、例えば、抗体として機能する機能性分子を一部に有していてもよい。
前記機能性分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一端に第一核酸配列を有し、他端に第二核酸配列を有するリンカーと、前記第一核酸配列に相補的に結合可能な第一相補核酸配列を有し、該第一相補核酸配列が前記第一核酸配列に結合され、かつ標的を捕捉可能な第一標的捕捉部と、前記第二核酸配列に相補的に結合可能な第二相補核酸配列を有し、該第二相補核酸配列が前記第二核酸配列に結合され、かつ前記標的を捕捉可能な第二標的捕捉部とを有してなるものなどが好適に挙げられる。
なお、該機能性分子の場合、該機能性分子における、第一標的捕捉部及び第二標的捕捉部が、1つの標的の異なる箇所を捕捉可能であるのが好ましい。また、該機能性分子における、前記第一標的捕捉部及び前記第二標的捕捉部が、核酸を構成するヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むヌクレオチド重合体であるのが好ましい。また、前記機能性分子においては、前記リンカーにおける第一核酸配列及び第二核酸配列を除く部位が、任意の核酸配列で形成されているのが好ましい。
本発明の人工酵素の種類としては、特に制限はなく、例えば、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素、などが挙げられる。本発明の人工酵素には、酵素活性を有するもののみならず、該人工酵素自身が化学反応の遷移状態(活性化状態)に結合し、それを安定化させることによって反応の活性化自由エネルギーを減少させることにより化学反応を促進させる機能を有するものも含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図5に示すようにして、酵素活性を有する本発明の人工酵素の製造(合成及び同定)を行った。具体的には、先ず、下記反応式に示す方法により、シトシンにおける5位から6種の官能基を持つデオキシシチジン類縁体(C1−6)、及び、ウラシルにおける5位から6種の官能基を持つデオキシウリジン類縁体(U1−6)を各々合成(作製)した。
次に、合成(作製)した12種の修飾ヌクレオシド2量体を、DNAを構成する4種のヌクレオシドを1対1に組合せた下記対応表の16個のパターンから選ばれるいずれかと、1対1に対応付けした。
次に、ホスホルアミダイト法により、上記対応表に示す12種の修飾オリゴヌクレオチドアミダイト(M)を化学合成した。具体的には、修飾ヌクレオチド2量体(AU)は、下記反応式に示すように、デオキシアデノシンと修飾デオキシウリジンとから合成することができる。
ただし、前記反応式において、DMTrは、ジメトキシトリチル基を表す。
そして、DNAシンセサイザー(アプライドバイオシステム製)を用いて、固定オリゴヌレオチド配列20量体(N20)−修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)+下記式で表されるアントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)+修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)−固定オリゴヌクレオチド配列20量体(N20)からなるオリゴヌクレオチド配列(N20−M10−Ua−M10−N20(DNA81量体))を含むランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)を作製した。
なお、前記オリゴヌクレオチド配列において、前記アントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)が、前記反応性修飾ヌクレオシドに該当する。該アントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)において、前記ウリジン部分はヌクレオシドであり、該ウリジン部分以外の部分は前記置換基に該当し、該置換基の末端に存在するアントラセンは、前記対象反応であるディールス・アルダー反応の前記反応原料物の一つに該当する。
次に、得られたランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)(図4A)、下記式で表されるビオチン化マレインイミド(BM)1mM、及び下記式で表されるアントラセン誘導体(Ap)1mMの混合溶液を室温(25℃)で一晩放置し、反応させた。なお、前記ランダム重合体プールにおける前記オリゴヌクレオチド配列の含有量は0.001mMである。また、前記ビオチン化マレインイミド(BM)におけるビオチン構造は、前記捕捉部位に該当する、該捕捉部位としてのビオチン構造は、前記捕捉手段としてのアビジンに捕捉され得る。該捕捉手段としてのアビジンは前記選抜手段としての樹脂ビーズの表面に固定化されている。
すると、前記オリゴヌクレオチド配列における前記反応性修飾ヌクレオシドである、前記アントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)のアントラセン部分と、前記ビオチン化マレインイミド(BM)のイミド環部分とがディールス・アルダー反応(結合反応)する。なお、このとき、前記アントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)を含まない前記オリゴヌクレオチド乃至該Uaを含むものの前記アントラセン部分との反応性が極めて低いものは、前記ディールス・アルダー反応を生じなかった。
このようなディールス・アルダー反応が生じた反応液を、前記選抜手段としての前記アビジンを結合した樹脂ビーズ(Softlink Soft release Avidineレジンプロメガ製)を充填したアフィニティーカラムに流し一定条件(室温30分間)に放置すると、前記オリゴヌクレオチド配列のうち、前記反応性修飾ヌクレオシドである、前記アントラセン含有ウリジン類縁体(Ua)が前記ビオチン化マレインイミド(BM)と反応したものについては、該ビオチン化マレインイミド(BM)に設けられた前記捕捉部位としてのビオチン構造が、前記選抜手段としての前記樹脂ビーズに固定された前記捕捉手段としての前記アビジンによって捕捉され、前記アフィニティーカラムに吸着される(図4B)。その後、該アフィニティーカラムから、吸着していた前記オリゴヌクレオチド配列を溶出(5mMビオチン)させることにより、前記ディールス・アルダー反応を生じ得る人工酵素前駆体(オリゴヌクレオチド配列)を選抜した。以上が、前記「人工酵素選抜工程」である。
次に、選抜した前記オリゴヌクレオチド配列をPCRで増幅し、クローニングによりその塩基配列を求めたところ、該たオリゴヌクレオチドの塩基配列の一部が“ATGCTCTAGCCCCT”であった(図4C)。以上が、前記「オリゴヌクレオチド配列解読工程」である。
この塩基配列を上記対応表に基づいて翻訳したところ“AUGCCUAGCCCT”となり、選抜した前記人工酵素前駆体(前記オリゴヌクレオチド配列)の構造を同定することができた(図4D)。以上が、前記「翻訳工程」である。
同様にして、選別した前記オリゴヌクレオチド配列につき、100クローンについて各々その塩基配列を決定した。その結果、100クローン中10クローンから得られた前記オリゴヌクレオチド配列が、前記ビオチン化マレインイミド(BM)の存在下において、下記式で表されるディールス・アルダー反応による反応生成物を効率よく生成することができることが判った。
また、上記10クローンから得られた前記オリゴヌクレオチド配列(人工酵素前駆体)において、Uaをウリジン(U)に変換したオリゴヌクレオチド配列(正規オリゴヌクレオチド配列)を10種合成した。
次に、これら10種の前記オリゴヌクレオチド配列(正規オリゴヌクレオチド配列)のうち2種について、下記式で表される2−ヒドロキシエチルマレイミド(BM’)1mM及びアントラセン誘導体(An)1mMの存在下(室温:25℃)、下記反応式で表されるディールス・アルダー反応を千〜1万倍加速(触媒)することが判った。この2種は人工酵素として使用可能であり、本発明の人工酵素である。以上が、前記「人工酵素製造工程」に該当する。
(実施例2)
本出願人によるWO03/078623国際公報に記載の「機能性分子及びその製造法」に示した人工抗体合成法に従って、下記化合物Aに特異的に結合する人工抗体Aを合成した。
ただし、式中、*は、不斉炭素を表す。
アミド縮合反応を触媒する人工酵素を、以下のようにして製造(合成及び同定)した。まず、実施例1と同様にして、固定オリゴヌレオチド配列20量体(N20)−修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)−下記式で表されるウリジン類縁体(Ub)+修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)−固定オリゴヌクレオチド配列20量体(N20)からなるオリゴヌクレオチド配列(N20−M10−Ub+Ub−M10−N20(DNA82量体))を含むランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)を作製した。以上が、前記「オリゴヌクレオチド配列製造工程」である。
次に、得られたランダム重合体プール(前記オリゴヌクレオチド配列の含有量0.01mM)、ATP(1mM)、及びピロフォスフェート分解酵素(3unit)からなる混合溶液を室温(25℃)で一晩放置し、反応させた。
なお、前記式で表されるウリジン類縁体(Ub)2分子が脱水縮合してできた構造(下図参照)は、前記捕捉部位に該当する、該捕捉部位としての上記化合物A構造は、前記捕捉手段としての人工抗体Aに捕捉され得る。該捕捉手段としての人工抗体Aは前記選抜手段としての樹脂ビーズの表面に固定化されている。
すると、前記オリゴヌクレオチド配列における前記反応性修飾ヌクレオシドである、前記式で表されるウリジン類縁体(Ub)のカルボン酸(−COOH)と、もう一方のUbのアミノ基(−NH)とがアミド縮合反応(結合反応)する。なお、このとき、前記式で表されるウリジン類縁体(Ub)を含まない前記オリゴヌクレオチド乃至該Ubを含むものの前記アミド縮合反応の反応性(反応活性)が極めて低いものは、前記アミド縮合反応を生じなかった。
このようなアミド縮合反応が生じた反応液を、前記選抜手段としての人工抗体Aを結合した樹脂ビーズを充填したアフィニティーカラムに流し一定条件に放置すると、前記オリゴヌクレオチド配列のうち、前記反応性修飾ヌクレオシドである、前記式で表されるウリジン類縁体(Ub)がアミド縮合反応したものについては、前記捕捉部位としての上記化合物A構造が生成され、前記選抜手段としての前記樹脂ビーズに固定された前記捕捉手段としての前記人工抗体Aによって捕捉され、前記アフィニティーカラムに吸着される。その後、該アフィニティーカラムから、吸着していた前記オリゴヌクレオチド配列を溶出(上記化合物A:5mM)させることにより、前記アミド縮合反応を生じ得る人工酵素前駆体(オリゴヌクレオチド配列)を選抜した。以上が、前記「人工酵素選抜工程」である。
次に、選抜した前記オリゴヌクレオチド配列をPCRで増幅し、クローニングによりその塩基配列を求めた。以上が、前記「オリゴヌクレオチド配列解読工程」である。この塩基配列を上記対応表に基づいて翻訳し、選抜した前記人工酵素前駆体(前記オリゴヌクレオチド配列)の構造を同定した。以上が、前記「翻訳工程」である。同様にして、選別した前記オリゴヌクレオチド配列につき、100クローンについて各々その塩基配列を決定した。その結果、100クローン中5クローンから得られた前記オリゴヌクレオチド配列が、ATP、及びピロフォスフェート分解酵素の存在下において、下記式で表されるアミド縮合反応による生成物を効率よく合成することができることが判った。
また、上記5クローンから得られた前記オリゴヌクレオチド配列(人工酵素前駆体)において、Ubをウリジン(U)に変換したオリゴヌクレオチド配列(正規オリゴヌクレオチド配列)を5種合成した。
次に、これら5種の前記オリゴヌクレオチド配列(正規オリゴヌクレオチド配列)のうち2種について、トリプトファン、ATP、及びピロフォスフェート分解酵素の存在下(室温:25℃)、下記反応式で表されるアミド縮合反応を10万倍加速(触媒)することが判った。この2種は人工酵素として使用可能であり、本発明の人工酵素である。以上が、前記「人工酵素製造工程」に該当する。
(実施例3)
実施例2で得られた人工酵素前駆体(オリゴヌクレオチド配列)におけるUbを下記式で表されるUcUに変換した以外は、実施例2と同様にして人工酵素前駆体(オリゴヌクレオチド配列)を製造(合成及び同定)した。
このオリゴヌクレオチド配列は、MgClを10mM共存下で、アミド結合加水分解反応に対する触媒活性を示さなかった。
次に、実施例1と同様にして、固定オリゴヌレオチド配列20量体(N20)−修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)−ウリジン類縁体Uc+ウリジン(U)−修飾オリゴヌクレオチドランダム配列10量体(M10)−固定オリゴヌクレオチド配列20量体(N20)からなるランダムオリゴヌクレオチドN20−M10−Uc+U−M10−N20(DNA82量体)を作製した。次いで、得られたランダムオリゴヌクレオチドのMダイマー部分(M10)について2%のミックスブロックアミダイドを原料として用いることにより、ランダム重合体プール(人工酵素前駆体)を作製した。
次に、得られたランダム重合体プール(ランダム人工酵素前駆体プール)について、前記トリガーとしてのMgCl10mMの共存下で、一晩放置し反応(25℃)させた。この反応液を、前記樹脂アビジンビーズを充填したアフィニティーカラムに流し、ビオチンを含むオリゴヌクレオチド配列が前記アフィニティーカラムに吸着し、不溶化した。一方、溶出物は前記人工抗体Aコート樹脂ビーズを充填したアフィニティーカラムに流し上記化合物A構造を含むオリゴヌクレオチド配列を不溶化した。
次に、得られた可溶物をPCRで増幅し、クローニングによりそのDNAの塩基配列を決定した。同様にして、100クローンについて各々塩基配列を決定した。その結果、100クローン中20クローンから得られたオリゴヌクレオチド配列が、マグネシウムイオン存在下、アミド縮合加水分解反応を効率よく触媒することができることが判った。
また、上記20クローンから得られたオリゴヌクレオチド配列について、前記Ucをウリジン(U)に変換したオリゴヌクレオチドを合成した。次に、トリプトファンダイマー、及びマグネシウムイオンの存在下で、20クーロン中3クローンから得られた前記オリゴヌクレオチド配列(前記正規オリゴヌクレオチド配列)において、下記反応式で表される加水分解反応を30万倍加速することが判った。この3種は人工酵素として使用可能であり、本発明の人工酵素である。以上が、前記「人工酵素製造工程」に該当する。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 人工酵素を製造するための方法であって、
ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する人工酵素前駆体選抜工程と、
前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなる人工酵素を製造する人工酵素製造工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする人工酵素の製造方法。
(付記2) 人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が、互いに異なるオリゴヌクレオチド配列を有してなる2種以上の人工酵素前駆体を含むランダム人工酵素前駆体プールから選抜される付記1に記載の人工酵素の製造方法。
(付記3) 人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、
該人工酵素前駆体選抜工程により選抜された人工酵素前駆体におけるオリゴヌクレオチド配列を解読するオリゴヌクレオチド配列解読工程を含む付記1から2のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記4) オリゴヌクレオチド配列解読工程において解読したオリゴヌクレオチド配列を、4種のヌクレオシドを、1対1に組合せた対応表における4種のヌクレオチドn量体の少なくとも1種とヌクレオチドn量体の1種とを対応させた対応表に基づき翻訳する翻訳工程を含む付記3に記載の人工酵素の製造方法。
(付記5) 人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が2種以上選抜される付記1から4のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記6) 人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、
オリゴヌクレオチド配列解読工程において解読したオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を製造する人工酵素前駆体製造工程と、
該人工酵素前駆体製造工程により製造した人工酵素前駆体の中から、反応原料物に対する反応性の高いものを選別する選別工程を含む付記5に記載の人工酵素の製造方法。
(付記7) 反応原料物が、捕捉手段により捕捉可能な捕捉部位を有してなり、
人工酵素前駆体選抜工程における人工酵素前駆体の選抜が、該反応原料物と、反応性修飾ヌクレオシドとを反応させた後、前記捕捉手段により、前記反応原料物における前記捕捉部位を捕捉させることにより、該反応原料物と反応した前記反応性修飾ヌクレオシドを捕捉することにより行われる付記1から6のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記8) 捕捉手段が、抗原、抗体、酵素、酵素基質、包摂化合物、及び被包摂化合物から選択される少なくとも1種であり、捕捉部位が、抗原、抗体、酵素、酵素基質、包摂化合物、及び被包摂化合物から選択される少なくとも1種であってかつ前記捕捉手段により捕捉可能である付記7に記載の人工酵素の製造方法。
(付記9) 捕捉手段がアビジン及びビオチンのいずれかであり、捕捉部位が、前記捕捉手段がアビジンであるときはビオチンであり、前記捕捉手段がビオチンであるときはアビジンである付記8に記載の人工酵素の製造方法。
(付記10) 捕捉手段が、人工酵素前駆体を選抜手段に固定された付記7から9のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記11) 選抜手段が、カラム及びビーズの少なくともいずれかである付記10に記載の人工酵素の製造方法。
(付記12) 人工酵素が触媒する対象反応が、結合反応及び分解反応から選択される少なくとも1種である付記1から11のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記13) 結合反応が、重合反応、縮合反応、縮重合反応、付加反応、及び重付加反応から選択され、分解反応が、加水分解反応から選択される付記12に記載の人工酵素の製造方法。
(付記14) 非反応性修飾ヌクレオシドが、ウリジンであり、反応性修飾ヌクレオシドが、ウリジンであって前記非反応性修飾ヌクレオシドと同種のものを含む付記1から13のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記15) 非反応性修飾ヌクレオシドがウリジンであり、反応性修飾ヌクレオシドが、反応原料物と反応可能な構造を一部に有するウリジン誘導体である付記1から13のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記16) 人工酵素前駆体のオリゴヌクレオチド配列における、反応修飾ヌクレオシドの位置が該オリゴヌクレオチド配列の末端以外の部分である付記1から15のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記17) 反応性修飾ヌクレオシドと反応原料物との反応が、結合反応及び分解反応から選択される少なくとも1種である付記1から16のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記18) 結合反応が、重合反応、縮合反応、縮重合反応、付加反応、及び重付加反応から選択され、分解反応が、加水分解反応から選択される付記17に記載の人工酵素の製造方法。
(付記19) 反応性修飾ヌクレオシドと反応原料物との反応が、ディールス・アルダー反応、アミド縮合反応、及びアミド結合反応から選択される少なくとも1種である付記1から18のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記20) 置換基が、ヌクレオシドにおけるピリミジン塩基の5位に導入された付記1から19のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記21) 置換基が、下記構造式(I)及び(I’)のいずれかで表される基から選択される付記1から20のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
ただし、前記構造式(I)及び(I’)中、Rは、天然又は非天然のアミノ酸、金属錯体、蛍光色素、酸化還元色素、スピンラベル体、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び下記式(1)〜(16)から選ばれるいずれかの基を表す。Pは、ピリミジン塩基を表す。
(付記22) オリゴヌクレオチド配列におけるヌクレオチド数が10〜100である付記1から21のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記23) ヌクレオシドが、DNA及びRNAの少なくともいずれかを構成するヌクレオシドである付記1から22のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記24) 人工酵素前駆体が、修飾ヌクレオシドを含むヌクレオチドn量体(ただし、nは整数を表す)をランダムに重合させてなるオリゴヌクレオチド配列を有してなる付記1から23のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記25) ヌクレオチドn量体が修飾オリゴヌクレオチドアミダイトである付記24に記載の人工酵素の製造方法。
(付記26) ヌクレオチドn量体の種類が、5〜4種である付記24から25のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記27) ヌクレオチドn量体がヌクレオチド2量体であり、該ヌクレオチド2量体の種類が5〜16種である付記24から26のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記28) ヌクレオチドn量体がヌクレオチド3量体であり、該ヌクレオチド3量体の種類が5〜56種である付記24から26のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記29) オリゴヌクレオチド配列が、DNAシンセサイザーを用いて合成される付記1から28のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記30) オリゴヌクレオチド配列が、ヌクレオチドランダム配列に対しヌクレオチドモノマーをアニーリングさせ、該ヌクレオチドモノマーをDNAライゲース及びRNAライゲースの少なくともいずれかにより連結させて合成される付記1から29のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記31) オリゴヌクレオチド配列が、両端に固定オリゴヌクレオチド配列を有する付記1から32のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
(付記32) 翻訳工程が、解読されたオリゴヌクレオチド配列における5’末端側からn塩基ずつ、対応表に基づいて行われる付記4に記載の人工酵素の製造方法。
(付記33) ヌクレオチドn量体がヌクレオチド2量体であり、翻訳工程が、該ヌクレオチド2量体をランダムに重合させてなるオリゴヌクレオチド配列における5’末端側から2塩基ずつ、対応表に基づいて行われる付記32に記載の人工酵素の製造方法。
(付記34) ヌクレオチドn量体がヌクレオチド3量体であり、翻訳工程が、該ヌクレオチド3量体をランダムに重合させてなるオリゴヌクレオチド配列における5’末端側から3塩基ずつ、対応表に基づいて行われる付記32に記載の人工酵素の製造方法。
(付記35) 対象反応に対して酵素活性を示し、付記1から34のいずれかに記載の人工酵素の製造方法により製造されたことを特徴とする人工酵素。
(付記36) ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むヌクレオチドn量体(ただし、nは整数を表す)を有してなる付記35に記載の人工酵素。
(付記37) ヌクレオチドn量体がヌクレオチド2量体であり、該ヌクレオチド2量体が5〜16種である付記36に記載の人工酵素。
(付記38) 結合反応及び分解反応から選択される反応を触媒する付記35から37のいずれかに記載の人工酵素。
(付記39) ディールス・アルダー反応、アミド縮合反応、及びアミド分解反応の少なくともいずれかを触媒する付記35から38のいずれかに記載の人工酵素。
(付記40) 反応原料物を捕捉可能な捕捉体を有してなる付記35から39のいずれかに記載の人工酵素。
本発明の人工酵素の製造方法は、人工酵素の効率的な製造に好適に使用することができ、本発明の人工酵素の効率的な製造に特に好適に使用することができる。
本発明の人工酵素は、上述の通り、自己複製能を有し、複製乃至増幅が容易で量産可能であり、安定性、安全性に優れ、回収が容易で取扱性等に優れ、汎用性に優れるため、各種分野において広く好適に使用することができ、医薬品、ドラッグデリバリー、バイオセンサー等の分野に特に好適に使用することができる。また、該人工酵素を抗体機能と酵素機能とを併有する多機能分子として設計した場合には、医薬品、ドラッグデリバリー、バイオセンサー等の分野に特に好適に使用することができる。
図1は、ランダム重合体プールを合成するのに用いるDNAシンセサイザーの一例を示す概略図である。 図2A〜Eは、本発明の人工酵素の製造方法において、結合反応を触媒する人工酵素前駆体についての人工酵素選抜工程の一例を示す概略説明図である。 図3A〜Dは、本発明の人工酵素の製造方法において、分解反応を触媒する人工酵素前駆体についての人口酵素選抜工程の一例を示す概略説明図である。 図4Aは、本発明の人工酵素の製造方法において、ランダム重合体プールを合成した状態を説明するための概略図であり、図4Bは、アフィニティーカラムによる人工酵素前駆体の選抜の一例を示す概略図であり、図4Cは、オリゴヌクレオチド配列を選抜し回収した後に、該オリゴヌクレオチド配列のクローニングをしている状態を説明するための概略図であり、図4Dは、クローニングしたオリゴヌクレオチド配列の塩基配列をPCRで増幅しその配列を決定し、翻訳を行っている状態を説明するための概略図である。
符号の説明
15 ノズル
25 コントローラー

Claims (10)

  1. 人工酵素を製造するための方法であって、
    ヌクレオシドに置換基が導入された修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド配列であって、前記人工酵素が触媒する対象反応の反応原料物に対して反応可能な反応性修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含むオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を選抜する人工酵素前駆体選抜工程と、
    前記対象反応を触媒可能であり、かつ前記人工酵素前駆体における前記反応性修飾ヌクレオシドを、前記反応原料物に対して非反応性の非反応性修飾ヌクレオシドに置換させてなるオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素を製造する人工酵素製造工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とする人工酵素の製造方法。
  2. 人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が、互いに異なるオリゴヌクレオチド配列を有してなる2種以上の人工酵素前駆体を含むランダム人工酵素前駆体プールから選抜される請求項1に記載の人工酵素の製造方法。
  3. 人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、
    該人工酵素前駆体選抜工程により選抜された人工酵素前駆体におけるオリゴヌクレオチド配列を解読するオリゴヌクレオチド配列解読工程を含む請求項1から2のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
  4. 人工酵素前駆体選抜工程において人工酵素前駆体が2種以上選抜される請求項1から3のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
  5. 人工酵素前駆体選抜工程の後であって人工酵素製造工程の前に、
    オリゴヌクレオチド配列解読工程において解読したオリゴヌクレオチド配列を有してなる人工酵素前駆体を製造する人工酵素前駆体製造工程と、
    該人工酵素前駆体製造工程により製造した人工酵素前駆体の中から、反応原料物に対する反応性の高いものを選別する選別工程を含む請求項4に記載の人工酵素の製造方法。
  6. 反応原料物が、捕捉手段により捕捉可能な捕捉部位を有してなり、
    人工酵素前駆体選抜工程における人工酵素前駆体の選抜が、該反応原料物と、反応性修飾ヌクレオシドとを反応させた後、前記捕捉手段により、前記反応原料物における前記捕捉部位を捕捉させることにより、該反応原料物と反応した前記反応性修飾ヌクレオシドを捕捉することにより行われる請求項1から5のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
  7. 人工酵素前駆体のオリゴヌクレオチド配列における、反応性修飾ヌクレオシドの位置が該オリゴヌクレオチド配列の末端以外の部分である請求項1から6のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
  8. 反応性修飾ヌクレオシドと反応原料物との反応が、ディールス・アルダー反応、アミド縮合反応、及びアミド結合反応から選択される少なくとも1種である請求項1から7のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
  9. 置換基が、下記構造式(I)及び(I’)のいずれかで表される基から選択される請求項1から8のいずれかに記載の人工酵素の製造方法。
    ただし、前記構造式(I)及び(I’)中、Rは、天然又は非天然のアミノ酸、金属錯体、蛍光色素、酸化還元色素、スピンラベル体、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、及び下記式(1)〜(16)から選ばれるいずれかの基を表す。Pは、ピリミジン塩基を表す。
  10. 対象反応に対して酵素活性を示し、請求項1から9のいずれかに記載の人工酵素の製造方法により製造されたことを特徴とする人工酵素。
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