JP7026248B2 - 二本鎖dnaを増幅するための方法およびキット - Google Patents

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Description

連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
なし。
関連出願の参照
本出願は、2017年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/589,074号に関連する。
共同研究契約の当事者の名称
なし。
配列表
本明細書に添付する。
背景
過去10年の間に、がん疾患の理解ならびに標的療法の開発において非常に大きな進歩が見られた。かつてないほどの数の新薬が、過去10年にわたりFDAおよびEMAによってがん治療用に承認された1。いくつかの最もよく知られた薬物としては、EGFR(HER2)受容体を標的とする、乳がん治療のためのトラスツズマブ(Herceptin)、EGFR(HER1)受容体を標的とする、結腸直腸腺癌治療のためのセツキシマブ(Erbitux)、Bcr-Abl融合タンパク質を標的とする、骨髄増殖性障害およびCMLのためのイマチニブ(Gleevec)、いくつかのチロシンタンパク質キナーゼを標的とする、肝臓および腎臓がんのためのソラフェニブ(Nexavar)、ALK-EML融合タンパク質の阻害を介した非小細胞肺癌治療のためのクリゾチニブ(Xalkori)、またはBraf V600E変異キナーゼの阻害を介した黒色腫治療のためのベムラフェニブ(Zelboraf)が挙げられる。多くの一連の標的療法が利用可能になったことにより、患者の効率的な分子プロファイリングの必要性が生じている。
「リキッドバイオプシー」とは、患者の血液中または他の体液(例えば尿または脳脊髄液(CSF))中の核酸に対して行われる診断手順を表す造語である2、3、4。種々の疾患(がん、心筋梗塞、移植片拒絶)においてアポトーシスまたはネクローシスによって死にかけている細胞は、それらの断片化したゲノム由来のDNAを血流中に放出する。また、胎児由来のDNAを母体の血液中で検出することもできる。DNAまたはRNAに次いで、発生元の細胞に由来するタンパク質と脂質も含有する、30~100nmの微小胞であるエクソソームは、特殊な事例である5、6、7。血液中のこれらの核酸は、PCRに基づく方法、次世代シーケンシング(NGS)、またはアレイ技術を使用して検出し分析することができる。リキッドバイオプシー材料(例えば、腫瘍塊からではなく体液から得られた核酸)の分析から生成されたデータにより、恐らくは唯一、磁気共鳴画像法(MRI)の導入の影響に類似する、医療診断に対する革命的影響を及ぼし得る、この手法の非常に大きな可能性が示されている。リキッドバイオプシーの手法について特に将来性があるように見える臨床的用途は、母体からの血液を分析することによる胎児における染色体異常(特にトリソミー)の診断(cfDNAに基づく非侵襲的出生前スクリーニング(NIPT)とも呼ばれる)8、9、10、11、12、13、14、15、移植患者における移植片拒絶の診断およびモニタリング(ホストの免疫細胞により攻撃されたドナー組織由来のDNAを患者の血液中で検出することができる)16、17、18、19、20、ならびにがん疾患の診断およびモニタリング2、4、21、22、23、24、25である。今のところデータが限られている分野には、組織のネクローシスまたはアポトーシスを伴う他の疾患、例えば心筋梗塞がある26。「リキッドバイオプシー」の使用は、胎児染色体異常(特にトリソミー)の検出において最も進歩しており、ここではゲノム診断は、超音波による項部厚の測定とトリプルテスト(AFP、hCG、およびエストリオール)との従来の組み合わせに挑んでいる11。しかしながら、最も医学的影響が大きいと見込まれる分野は明らかに腫瘍学であり、ここでは、過去数年間に生成されたデータにより、主要ながん突然変異の大部分は、従来の腫瘍生検材料に存在するものを反映しているリキッドバイオプシー材料によって検出できることが示されている3、27、28
リキッドバイオプシーは、腫瘍のすべての部分およびすべての転移部が潜在的にサンプリングされるため、標準的生検よりも優れたものであり得る。最近のデータでは、ほとんどの事例において循環腫瘍DNAの分析が、がんのすべての既知の転移部で見出される突然変異を忠実に反映していること、またはそのような手法よりも一層優れていること(例えば、標準的生検では不可能な場合でも突然変異を検出すること、もしくは標準的組織生検よりも多くの突然変異を示すこと)が示されており29、これは、循環腫瘍DNAのシーケンシングが、標準的生検材料よりも、全身性がん疾患のより一層完全な分子的全体像を示すことができることを示唆している。また、患者の血液は問題なく入手可能である。各分析に必要な血液量が少なければ(例えば数ミリリットル)、がん療法の効果をモニタリングするためまたはがんの再発についてスクリーニングするために、連続的なリキッドバイオプシー材料を簡単に採取することができる。本方法の感度は、例えば根治手術後のがん疾患の再発の場合にまたは集団ベースのスクリーニングプログラムにおいて、非常に初期のがんを検出するのに優れたものであり得る。リキッドバイオプシーが予防的スクリーニングにおける腫瘍の早期検出を改善することができれば、プログラムは、特に、早期検出の手段および予防的スクリーニングが限られているかまたは存在しない腫瘍型について、がん疾患のより高い治癒率につながるであろう。
がん患者におけるリキッドバイオプシー手法のいくつかの研究では、この手法の成功率がリキッドバイオプシーの時点での患者の腫瘍体積負荷量および腫瘍ステージに関連すること、および、腫瘍体積が少ない場合には、死にかけてDNAを血液中に放出する腫瘍細胞がそれほど多くないために、この手法はあまり成功しないことが明らかになっている27、30。さらに、この手法はいくつかの腫瘍型(例えば結腸癌)では良好に機能するが、他の腫瘍型(例えば神経膠芽腫)では、恐らく同様に感度の問題のために良好には機能しない27。BEAMing31などの非常に感度の高いPCRベースの手法ではなく全エクソームまたは全ゲノムシーケンシングによってcfDNAを分析する場合、非常に少量のcfDNAに起因する限界が、より関連する可能性がある。エクソームシーケンシングは、標的指向型の手法によって評価することができるごくわずかの既知の突然変異とは対照的に、全エクソームベースの一塩基突然変異ランドスケープを実際に分析することができるため、標的指向型のPCRベースの手法に対して有利である。したがって、エクソームシーケンシングは、高い感度でのがんの早期検出について、および、治療後の腫瘍の変化するクローン性ランドスケープの連続的分析の、はるかに大きな有用性を有する。標準的なライブラリ調製およびシーケンシングインフラストラクチャしか利用することができない研究所においては、多くの場合、ライブラリ構築のために100ngの無細胞DNA量が必要である32。より特殊化した手法を用いて、最小で2.3ngのcfDNA量からエクソームシーケンシングが行われている33。Newmanらは7ngまで減らしたcfDNAからエクソームシーケンシングを行った(「CAPP-seq」)34。De Mattos-Arrudaは22ngまで減らしたcfDNAインプットをライブラリ構築に使用した35
リキッドバイオプシー手法の検出力を弱め得る第二の問題は、関連のないプロセス(例えば、血漿単離中の有核血液細胞の溶解)からもたらされるDNAによる無細胞DNAの「汚染」である。血漿または他の体液(CSF、尿、腹水)中に存在する無細胞DNAは、細胞内部でのゲノムDNAのアポトーシス性破壊から生じる、より小さなサイズの断片(140~160およびこの2~3倍の倍数)と、主に壊死性細胞死(ネクローシス)から生じるが、エクソソームの放出(shedding)および他のあまり理解されていないプロセスからも生じる、より大きなサイズの断片に、大きく分けることができる。アポトーシスに起因するDNA断片は、健康な人においても検出することができ、例えば運動または感冒の後に増加し得る。無細胞DNA分析のための現在の技術は主に2つのタイプの方法論から構成される:A)次世代シーケンシング(NGS):次世代エクソームシーケンシング33 36、標的指向型(TAmseq37;CAPPseq34)、FastSeqS38、mFAST-SeqS39、Safe-SeqS40)または全ゲノムシーケンシング28。これにはいくつかの商業的キットも使用されている(例えばThermo FisherのIon AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2)。B)デジタルPCR(BEAMing:ビーズ、エマルジョン、増幅、および磁気31、41、42、43、44;デジタルPCRライゲーションアッセイ45;RainDanceまたはBio-Radからの技術を用いたエマルジョンベースのddPCR)。
国際公開公報第2014/140,309号では、耐熱性の二機能性レプリカーゼである、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)HB27由来の「TthPrimPol」を使用した、核酸の複製、増幅、およびシーケンシングのための方法に言及している。精製したTthPrimPolは、潜在的プライマーゼ認識配列(GTCC)がチミン残基と隣接している一本鎖オリゴヌクレオチドに対して強いDNAプライマーゼ活性を呈したことが見出されている。そのようなピリミジントラクトは、いくつかのウイルス性、原核生物性、および真核生物性RNAプライマーゼによるプライミング反応の開始のための好ましいテンプレート状況であることが示されている。プライミングは「TC」配列の前方でのみ起こったこと、およびポリdTトラックの向かい側ではプライミングはなかったことが見出されている。テンプレート配列要件のさらなる分析により、TthPrimPolのプライマーゼ活性に対する、テンプレート開始部位の直前のヌクレオチドの影響(A、GまたはTに比べてCが好ましい)が明らかになった。TthPrimPolは、テンプレート開始部位としてCTCを好むとしても、概して、一般形XTC(ここでXはA、C、G、またはTのいずれかを意味する)の任意の配列に対してプライマーゼとして作用することができる。適度な配列要件は、ほぼすべての天然テンプレートのランダムプライミングのための優れた基礎を形成する。
したがって、現在のリキッドバイオプシー手法の感度および特異性の限界は、技術的改善を必要としている部分である。
概要
腫瘍学および他の分野における無細胞DNAの分析は、患者の診断および治療を改善する大きな機会をもたらす。主な問題は、無細胞DNAの含有量が非常に少ない生物学的流体、例えば血漿、尿、またはCSF試料から結果を得ることが困難であるということである。本明細書に開示される方法は、二本鎖DNAを含む短い二本鎖ポリヌクレオチド断片を増幅することによって、この問題点の解決策を提供する。これには、無細胞DNAにおいて見出されるそれらの分子が非限定的に含まれる。増幅は、ローリングサークルDNA増幅などの後続の工程による試料の効率的な増幅を可能にする試料の前処理の新規なセットと組み合わせた、「プライマーゼ開始型多置換増幅(primase-initiated multiple displacement amplification)」(「PI-MDA」、別称「TruePrime」)と呼ばれる増幅技術に基づく。本明細書において使用する「プライマーゼ開始型多置換増幅」または「TruePrime」とは、DNAポリメラーゼによるプライマー伸長のためのプライマーを提供するためにプライマーゼ/ポリメラーゼを使用する、多置換増幅(「MDA」)の一形態を指す。一般的に、ポリメラーゼは、非常に高い置換能力、およびプロセス中の配列変更を防ぐための良好な合成忠実度を有する。そのようなポリメラーゼの一つはPhi29 DNAポリメラーゼである。現在のゴールドスタンダードのMDAは、増幅を始めるために短いDNA片(「オリゴヌクレオチド」)を必要とするが、一方、プライマーゼ開始型多置換増幅は、いかなる合成ランダムプライマーも必要としない。
本明細書に開示される方法は、プライミングと複製と置換の繰り返しの工程によるDNA増幅法であるPI-MDA技術(「TruePrime」)46に基づくアポトーシス性無細胞DNAの適合された増幅によって、数ある問題の中でもとりわけ、このリキッドバイオプシーの感度および特異性の問題点に対処する。TruePrimeのキットおよびプロトコルはExpedeon AGおよびその系列会社から市販されている。本開示は、既存のTruePrimeと、末端修復、dAテーリング、およびヘアピンアダプターのライゲーションを含む、試料の前処理の追加工程(図1を参照されたい)との組み合わせを提供する。これらの工程一つ一つは、New England BiolabsのNEBNext Ultra II DNA Library Prep Kitならびに同様の製品および方法の使用を含む、当技術分野において公知の方法によって実行され得、かつ/または、例えば(a)末端修復のためにはT4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)+T4 DNAポリメラーゼクレノウ断片およびT4 DNAポリメラーゼ大型断片が一般に使用され、(b)dAテーリングのためにはTaqポリメラーゼが一般に使用される。従来のTruePrimeまたは他の方法によるDNA小型断片の増幅という、さもなくば実行不可能であるかまたは非効率的であることのための効率的なプロセスが、この方法の新規な組み合わせによって提供される。この方法の工程に続いて、任意でローリングサークルDNA増幅法が行われ得る(図2を参照されたい)。このように、本発明者らは、短鎖DNA分子、例えばこれに限定されるものではないが、アポトーシス性無細胞DNAを、ライゲーションなしで増幅するための新規な方法を提供し、これにより、優れた感度および特異性を伴って任意の分析技術で利用できるDNAの増加が可能になる。本明細書に開示される方法は、短鎖DNA断片に特定の利点をもたらすが、任意の長さのDNA試料を用いても良好に機能する。
本明細書に組み入れられ本明細書の一部を構成する添付の図面は、例示的態様を示しており、さらに、本説明とともに、関連技術分野の当業者がこれらの態様および当業者に明らかな他の態様を作製および使用することができるようにするのに役立つ。本発明は、添付の図面と併せてより具体的に記載される。
突出末端を取り除き、5’のリン酸および3’のヒドロキシル基を復元し、3’dAオーバーハングを付加するための、無細胞DNAの前処理を示す。 アポトーシス性無細胞DNAのための増幅キットの機構を示す。 TruePrime技術が、プライマーゼ開始型多置換増幅によって短鎖DNA分子(200bp)を効率的に増幅するためにヘアピンアダプターの付加を必要とするという証拠を示す。「NTC」とは、「テンプレートなしの対照(non-template control)」(反応のためのインプットとしてDNAが添加されていない)を指す。「HgDNA」とはヒトゲノムDNAを意味する。 制限酵素EcoRIにより切断され、予想された単位サイズ(元のDNA断片の200bp+ヘアピンアダプターの36bp)が得られた、図3(DNA 1)からの増幅DNA(3つの独立したレプリケート)を示す。 図5Aおよび5Bは、増幅を開始するために使用した方法(TthPrimPolまたはランダムプライマー)に応じた増幅収量(5A、上部)、および各増幅DNAの制限酵素による消化の結果(5B、下部)を示す。 プライマーゼ開始型多置換増幅による、ヘアピンアダプターの付加を必要とする、短鎖DNA分子(50~1250bp)の増幅収量を示す。 TthPrimPolのDNAプライマーゼ活性を試験するのに使用したアダプターを示す。 各ヘアピンアダプターにおいて観察されたTthPrimPolのDNAプライマーゼ活性を示す。 48人のがん患者由来のcfDNA試料から得られたDNA増幅収量、ならびに増幅プロセスの詳細なプロトコルを示す。 がん患者由来の異なる量のcfDNAから得られたマイクログラム単位の増幅収量を示す。 MinIONリード(Oxford Nanopore)の長さに関する、ヘアピンアダプター配列[SEQ ID NO: 1]により隔てられた断片の高い相関関係を示す。 同じ結腸がん患者由来の2つの増幅cfDNA試料からのゲノム被覆度およびコピー数多型検出を示す。 異なる解像度での、同じ結腸がん患者由来の2つの増幅cfDNA試料からの被覆度プロットを示す。このプロットは、本明細書に記載の方法で増幅した、同じ結腸がん患者由来の2つのcfDNA試料からの、4番染色体に沿ったリードの分布を反映している。全ゲノムシーケンシングを実行し、得られたリードをヒト参照ゲノムに対してアライメントした。非常に一様で均一なリード分布が、独立した増幅反応物においてさまざまな解像度で観察された。両試料での分布パターンがどの程度類似しているかを示すためにプロットを拡大している。 3人の患者のそれぞれにおいて検出された、注釈付けされたバリアントおよび注釈付けされていないバリアントの数を、各ケースにおいて増幅ありおよび増幅なしのcfDNA試料を比較して示す。 図15は、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)で第一の患者について得られたバリアントコールの結果、ならびに増幅ありのcfDNA試料と増幅なしのcfDNA試料との間の相関関係を示す。 図15-1の説明を参照のこと。 図16は、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)で第二の患者について得られたバリアントコールの結果、ならびに増幅ありのcfDNA試料と増幅なしのcfDNA試料との間の相関関係を示す。 図16-1の説明を参照のこと。 図17は、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)で第三の患者について得られたバリアントコールの結果、ならびに増幅ありのcfDNA試料と増幅なしのcfDNA試料との間の相関関係を示す。 図17-1の説明を参照のこと。 TthPrimPolのアミノ酸配列[SEQ ID NO: 10]を示す。
詳細な説明
I. 序説
PrimPolは、好熱性細菌であるサーマス・サーモフィラスから得られた酵素である。PrimPolは、1つの耐熱性タンパク質に、プライマーゼおよびポリメラーゼという2つの別個の補完的な活性を併せ持つ。従来のポリメラーゼは、相補配列を合成するためにテンプレート分子にアニールした短い一続きのヌクレオチド(プライマー)を必要とする。一方、PrimPolは、それ自身のプライマー配列を生成し、それによって全く新しい用途を提供する。
さらに、PrimPolはDNAとRNAの両方を複製することができる。RNAは、細胞中でどのような遺伝情報が実際に発現されているかを反映する一方で、DNAは、体内のあらゆる細胞に存在する全般的な遺伝情報を表し、多くの場合、人の疾患発症の素因を反映するに過ぎない。PrimPolの開発は、DNAおよびRNAの増幅手順の技術的側面を簡素化するのに役立つであろう。
PrimPolはまた、損傷したDNAに対して優れた寛容性を示す。DNAは細胞内で化学修飾を受けやすい。また、遺伝物質の精製に必要なプロセス中、ならびに法医学的試料および臨床試料(例えばホルマリン固定パラフィン包埋組織)の保存中にも、そのような修飾が誘発される。化学修飾は、いくつかの生物学的プロセス、例えば加齢、神経変性疾患、およびがんにおいて漸増的に重要な役割を果たすことが示されている。したがって、シーケンシングの状況において、損傷したDNAを調べるための方法を開発することには、大きな関心がある。それゆえ、現在の増幅アプリケーションならびに第二世代および第三世代のシーケンシング技術は損傷した試料を使用するようには最適化されていないため、修飾されたテンプレートを処理できる酵素は特に関心対象である。
PrimPolはまた、種々の基質ヌクレオチド(例えば蛍光ヌクレオチド)をDNAおよびRNAテンプレート分子に導入することができるため、さまざまな第二世代および第三世代のシーケンシング技術で使用するのに適している。
最後に、PrimPolは、多置換増幅(MDA)反応において、Phi29 DNAポリメラーゼが後で使用するためのプライマーを生成する役割を有し、それゆえ、ランダム合成プライマーの使用を不要にし、場合によってはより均一なDNA増幅をもたらす。
II. 線状二本鎖ポリヌクレオチドを増幅する方法
本明細書においては、とりわけ、線状二本鎖ポリヌクレオチド(例えばDNA分子)、特にアポトーシス(モノヌクレオソーム)性無細胞DNAを増幅する方法を提供する。線状二本鎖DNAを増幅する方法は、一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を産生するようにDNA分子の両端に一本鎖ヘアピンアダプターを付着させる工程、ならびに、ローリングサークル増幅および多置換増幅、例えばプライマーゼ開始型多置換増幅によって共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する工程を含む。
A. 線状二本鎖DNA
本明細書に記載の増幅方法において使用するための線状二本鎖DNAは、任意の供給源から提供され得る。これには、例えば、真核生物、真正細菌、古細菌、およびウイルスからのDNAが含まれる。DNAの真核生物供給源には、植物、動物、脊椎動物、哺乳動物、およびヒトが含まれ得る。DNAの微生物供給源には、個体のマイクロバイオームからまたは環境から供給される微生物が含まれ得る。
本明細書に開示される増幅方法において使用する線状二本鎖DNAは、任意の長さのものであり得る。特定の態様において、線状二本鎖DNAは、5000ヌクレオチド以下、1000ヌクレオチド以下、500ヌクレオチド以下、または200ヌクレオチド以下の長さを有する。他の態様において、増幅される線状二本鎖DNA分子の集団は、5000ヌクレオチド以下、1000ヌクレオチド以下、500ヌクレオチド以下、200ヌクレオチド以下、100ヌクレオチド以下、50ヌクレオチド以下、20ヌクレオチド以下、例えば約168ヌクレオチドの平均長さを有し得る。増幅されるDNA分子は、約100~約220ヌクレオチドの長さを有する分子を含み得る。線状二本鎖DNAは断片化された染色体DNAを含み得る。そのようなDNA断片は5000ヌクレオチドを超える長さを有してもよい。
一般的に、核酸は、シリカ粒子などのDNAまたはRNA結合活性を有する粒子上での捕捉、ポリエチレングリコール沈殿、およびSPRI(固相可逆的固定化)ビーズを非限定的に含む、当技術分野において周知の単離法によって、他の成分から単離される。
1. 無細胞ポリヌクレオチド
本明細書に開示される方法において使用する線状二本鎖DNAは、無細胞DNA(「cfDNA」)を含み得る。無細胞DNAとは、細胞内部に封入されていないDNAを指す。無細胞DNAはアポトーシス性無細胞DNAであり得る。(図1、「アポトーシス性無細胞DNA」。)アポトーシス性cfDNAとは、例えばアポトーシス細胞死機構により死んだ細胞または死にかかっている細胞から放出されたDNAを指し、アポトーシス細胞死機構では、DNAはヌクレオソーム間で切断されて、160~170bpのDNA断片、またはすべてのヌクレオソーム間でDNAの切断が生じるわけではない場合はその倍数のDNA断片が産生される。これには、正常細胞、例えば生殖細胞系列ゲノムを有する正常細胞から放出されたDNAが含まれる。また、これには、循環腫瘍DNAまたは「ctDNA」とも称される、がん細胞(例えば悪性細胞)から放出されたDNAも含まれる。このDNAは一般的に、例えば癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子に、がんに関連する体細胞突然変異を保有する。また、アポトーシス性cfDNAには、母体循環血中の胎児DNAも含まれる。無細胞DNAは、血液、血漿、血清、CSF、尿、唾液、涙、乳汁、精液、および滑液を非限定的に含むいくつかの異なる体液のうち任意のものから供給され得る。アポトーシス性cfDNAは一般的に、約110~約230ヌクレオチドの間の第一のモノヌクレオソームピーク(最頻値は約168ヌクレオチド)と、約240~440ヌクレオチドの間の第二の、より小さいジヌクレオソームピークという、2つのピークを伴うサイズ分布を有する。
無細胞DNA分子は、従来の方法によって、血液などの体液から調製することができる。この目的のための市販のキットは、例えばThermo Fisher Scientific(ウォルサム、MA、USA)、Active Motif(カールスバッド、CA、USA)、およびQiagen(ノルトライン・ヴェストファーレン、ドイツ)から入手可能である。概して、例えば遠心分離によって、試料から細胞を除去する。細胞を除去した試料に、シリカ粒子、例えば磁気シリカビーズを添加する。シリカ粒子はDNAに結合する。例えば遠心分離および/または磁力の適用によって、上清から粒子を単離する。上清を除去し、粒子を洗浄する。エタノールによる希釈によって粒子から無細胞DNAを単離する。
2. 他のポリヌクレオチド
他の態様において、二本鎖DNA分子は、断片化ゲノムDNA、例えば細胞から単離した断片化ゲノムDNA、または、mRNA、rRNAもしくはtRNA分子などのRNA分子の逆転写により産生された二本鎖cDNA分子を含む。
3. 末端修復
末端修復とは、3’および/または5’一本鎖オーバーハングを有する二本鎖DNA分子に、粘着末端または平滑末端のいずれかを提供するプロセスを指す。末端修復によって、二本鎖DNA分子はポリヌクレオチドアダプターとの付着に一層適したものになる。付着は、粘着末端ライゲーションまたは平滑末端ライゲーションのいずれかによるものであり得る。「粘着末端ライゲーション」とは、各々がもう一方の3’オーバーハングに相補的な3’オーバーハングを有する2つの二本鎖ポリヌクレオチドのライゲーションを指す。粘着末端は、例えば、3’dAおよび3’dTなどの1ヌクレオチドオーバーハング、または、制限酵素の消化によって産生されたオーバーハングなどのより長い粘着末端であり得る。「平滑末端ライゲーション」とは、ある二本鎖ポリヌクレオチドの、別の二本鎖ポリヌクレオチドの平滑末端とのライゲーションを指す。
いずれの場合にも、ポリヌクレオチドの修飾は、一般的に、最初に分子を平滑末端化することを伴う。一般的に、これは、ポリメラーゼを使用して5’オーバーハングを補充し、エキソヌクレアーゼ活性を有する分子を使用して3’オーバーハングを削り取る(chew back)ことを伴う。平滑末端化は、T4ポリメラーゼとDNAポリメラーゼIクレノウ断片の混合物を使用して行うことができる。クレノウ断片は、5’オーバーハングを補充するための5’-3’ポリメラーゼ活性と、3’オーバーハングを除去するための3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。T4 DNAポリメラーゼは、より効率的でない5’→3’ポリメラーゼ活性と、より効率的な3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。マングビーンヌクレアーゼも、5’および3’オーバーハングを取り除くために使用することができる。T4ポリヌクレオチドキナーゼ(「T4 PNK」)を、分子の5’鎖をリン酸化し3’鎖を脱リン酸化するために使用する。DNA分子の平滑末端化を行うためのキットは、Thermo Fisher Scientific(ウォルサム、MA、USA)およびNew England Biolabs(イプスウィッチ、MA、USA)を含む種々の商業的供給源から入手可能である。
特定の態様において、平滑末端化されたポリヌクレオチドを、末端3’デオキシアデノシンヌクレオチドをDNA分子に付加するプロセスによってdAテーリングすることができる。この操作はTaqポリメラーゼを使用して行うことができる。(図1、「末端修復されたcfDNA(3’dAオーバーハング)」。)
平滑末端化された分子またはdAテーリングされた分子は、一本鎖アダプターの付着によって、本明細書に記載の方法において使用することができる。
B. 一本鎖アダプターの付着
末端修復され、任意でdAテーリングされたポリヌクレオチドを、アダプターとライゲーションすることができる。アダプターは、標的分子との付着のために適合されたポリヌクレオチド分子である。一般的に、アダプターには、DNA鎖の伸長をプライミングするためのヌクレオチド配列が含まれる。本開示の特定の方法において、アダプターはヘアピンアダプターである。本明細書において使用する「ヘアピンアダプター」なる用語は、第一および第三の領域に隣接した第二の領域を含む一本鎖核酸分子(例えばDNA)を指す。第一および第三の領域は、互いとハイブリダイズするのに十分な相補性を有する(例えば95%、99%、または100%相補的)。第二の領域は、第一の領域と第三の領域のどちらとも相補的でない。アダプターは、25~100ヌクレオチド長の長さを有し得る。第二の領域は、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15ヌクレオチド長であり得るか、または25ヌクレオチド長未満であり得る。結果として、ヘアピンアダプター分子は自分自身の上に折り返されて、二本鎖の末端と、ハイブリダイズされていない一本鎖の内部セグメントとを含むステムループ構造を形成することができる。ヘアピンアダプターは、用途に応じて、3’dAオーバーハングを含み得るかまたは平滑末端であり得る。例えば図7および図8を参照されたい。
アダプターはまた、一般的に、DNAプライマーゼおよび/またはプライマー伸長に適合性の内部ヌクレオチド配列を含む。例えば、ヘアピンアダプターは、プライマーゼ/ポリメラーゼ認識配列、例えばXTC(ここで、Xはヌクレオチドa、T、G、またはCを表す)、例えばCTC、GTCまたはGTCCを含み得る。プライマーゼ/ポリメラーゼ認識配列は、アダプターのループ(非相補的)部分に位置し得る。これはTthPrimPolによって認識される。他の態様において、ヘアピンアダプターは増幅プライマー結合部位を含む。
末端修復されdAテーリングされた二本鎖ポリヌクレオチドを、一方の末端または両端においてヘアピンアダプターに付着させることができる。アダプターの末端は、好ましくは、二本鎖ポリヌクレオチドの末端に適合性である。そのため、例えば、dAテーリングされた二本鎖ポリヌクレオチドを、dTテールを持つヘアピンアダプターに付着させるか、または平滑末端化された二本鎖ポリヌクレオチドを、平滑末端を持つヘアピンアダプターに付着させる。付着は、一般的に、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼを用いて行う。特定の態様において、ヘアピンアダプターは図7に示される配列、すなわち[SEQ ID NO: 1]、[SEQ ID NO: 2]、[SEQ ID NO: 3]、または[SEQ ID NO: 4]を有する。
ヘアピンアダプターと二本鎖ポリヌクレオチドとのライゲーションの産物は、一本鎖共有結合性閉鎖ポリヌクレオチドである。例えば図1(「アダプターのライゲーション」)を参照されたい。そのようなポリヌクレオチドは、一本鎖環状ポリヌクレオチドとも記載され得る。本明細書において使用する「共有結合性閉鎖DNA分子」なる用語は、遊離した5’または3’末端を有さないDNA分子を指す。そのような分子は「環状DNA」とも称される。それらは相補的な内部配列を有するため、そのような分子は「ダンベル」形状を呈し得る。一方の末端または両端でヘアピンアダプターと隣接したポリヌクレオチドインサートを、「アダプターでタグ付けされたポリヌクレオチド」と称する。
アダプターでタグ付けされたポリヌクレオチドの集合体を、「核酸ライブラリ」と称する。一般的に、cfDNAの場合、末端修復されたDNA分子の集合を含む核酸ライブラリには、異なるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドインサートが含まれる。
一本鎖共有結合性閉鎖ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される方法によって増幅することができる。
C. 増幅
特定の態様において、一本鎖共有結合性閉鎖ポリヌクレオチドの増幅は、TthPrimPolなどのDNA指向性プライマーゼ/ポリメラーゼと、Phi29などの鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼと、修飾または非修飾デオキシリボヌクレオチドとを使用することを伴う。これらの試薬は、併用すると、プライマーゼ/ポリメラーゼによってプライミングされDNAポリメラーゼによって伸長されるローリングサークル増幅をもたらす。さらに、プライマーゼ/ポリメラーゼとDNAポリメラーゼの併用は、プライマーゼ/ポリメラーゼおよび/またはランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いた増幅分子のプライミングとDNAポリメラーゼによるプライマー伸長とによる多鎖置換増幅をもたらし得る。増幅分子における多数の位置からDNA合成がプライミングされ伸長されるため、多鎖置換増幅により分岐構造が生じる。
さらに、1つまたは複数のプライマーゼ認識部位を含むヘアピンアダプターを、一本鎖DNAに対するDNAプライミング活性を有するプライマーゼ、例えばTthPrimPol、および鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、例えばPhi29、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸とともに使用することによって、オリゴヌクレオチドプライマー分子を使用せずに増幅を達成することができる。これらの試薬を使用すると、多鎖置換増幅中に高度に分岐した構造が生じる。
1. プライマーゼ/ポリメラーゼ
本明細書において使用する「プライミング」なる用語は、ポリヌクレオチドテンプレート上でのオリゴヌクレオチドプライマーの生成を指す。
DNAの増幅の場合、プライマーゼ/ポリメラーゼは、PrimPol酵素などのDNA指向性プライマーゼ/ポリメラーゼであり得る。PrimPolは、ほとんどのプライマーゼとは異なり、dNTPを用いてDNA鎖を開始する独特の能力を有する。有用なPrimPol酵素には、とりわけ、サーマス・サーモフィラスプライマーゼ/ポリメラーゼ(「TthPrimPol」)およびヒトプライマーゼ/ポリメラーゼ(「hsPrimPol」)が含まれる。
サーマス・サーモフィラスHB27プライマーゼ/ポリメラーゼは、例えば2014年9月18日に公開された国際公開公報第2014/140309号(「Methods for amplification and sequencing using thermostable TthPrimPol」)に記載されている。これは図18の[SEQ ID NO: 10]に示すアミノ酸配列を有する。これは、NCBI EntrezデータベースにおいてGene ID: NC_005835を有し、タンパク質WP_011173100.1であるTthPrimPolはExpedeon(ケンブリッジ、UK)のキットにおいて商業的に得ることができる。
ヒトPrimPolは、MYP22、CCDC111およびPrimpol1としても公知である。これは、NCBI EntrezデータベースにおいてGene ID: 201973を有する。
PrimPolは、以下を含む、本明細書に記載の任意のPrimPolの近縁体であり得る:アレル変異体(遺伝子の天然の変種)、人工変異体(天然の機能を保持しながらも、天然の遺伝子またはタンパク質に対して1つ以上の遺伝子改変を含む遺伝子またはタンパク質)、相同体(規定のものではない別の属もしくは種からの天然の遺伝子、またはほぼ同一の折り畳み構造および機能を有するタンパク質をコードする、同じ株または種における別個の遺伝子)、オルソログ(考察中のものとは別の属または種に存在する相同体)、またはパラログ(例えば遺伝子重複の結果としての、考察中のものと同じ株または種に存在する相同体)。PrimPol酵素は、SEQ ID NO: 10のタンパク質と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%のアミノ酸配列相同性を有し得る。
2. 鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ
増幅法では、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ、例えば、(例えば二本鎖DNAよりはむしろ)一本鎖DNAに対する強い結合性を有するポリメラーゼを利用することができる。鎖置換活性は、例えばヘアピン構造のループ区域において、プライマー位置を伸長しながらDNA分子のハイブリダイズした鎖を置換するのに有用であり得る。
本明細書に開示される方法において有用な鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼには、例えばPhi29が含まれる。Phi29 DNAポリメラーゼは、例えばNew England Biolabs(イプスウィッチ、MA、USA)、Thermo Fisher Scientific(ウォルサム、MA、USA)およびExpedeon(ケンブリッジ、UK)から商業的に得ることができる。Phi29ポリメラーゼは100kbまでのDNA断片を生成することができる。この酵素は、3’→5’エキソヌクレアーゼプルーフリーディング活性を有し、Taq DNAポリメラーゼに基づく方法と比較して最大1000倍の高い忠実度を提供する。Phi29ポリメラーゼは、ヘアピンループなどの二次構造を含むDNA上で機能することができる。
別の態様において、DNAポリメラーゼはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus steatothermophilus)(Bst)ポリメラーゼであり得る。
3. デオキシリボヌクレオチド三リン酸
プライマー生成およびプライマー伸長は、プライマーゼ/ポリメラーゼ酵素およびDNAポリメラーゼに、デオキシリボヌクレオチド基質、例えばデオキシリボヌクレオチド三リン酸を供給することによって達成することができる。一般的に、これらには4種の標準塩基であるA、T、GおよびCが含まれる。しかしながら、特定の態様においては、イノシンなどの非天然ヌクレオチドが含まれ得る。特定の態様において、ヌクレオチドは、それらが組み込まれたポリヌクレオチドの検出または捕捉のための標識を有してもよい。
4. ローリングサークル増幅
ローリングサークル増幅とは、共有結合性閉鎖DNA分子、例えば一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する方法である。テンプレートDNA分子は、プライマー、例えばプライマーゼ/ポリメラーゼによって提供されたプライマーを用いてプライミングされる。DNAポリメラーゼは、このプライマーに対するプライマー伸長を閉鎖DNA分子の周囲で行う。ポリメラーゼはハイブリダイズしたコピーを置換して、テンプレートの周囲でポリヌクレオチド伸長を続け、連鎖状の増幅産物を産生する。
5. 多置換増幅
多置換増幅とは、テンプレート分子からのプライマー伸長によって分子が産生され、これらの分子自体がプライミングされプライマー伸長により複製されて分岐状の構造が生じる、PCRに基づかない等温DNA増幅法である。各プライマーが1つのDNA分子テンプレートから分枝区域内へと伸長されるにつれて、各分枝は互いに置換される。特定の態様において、MDAでは、プライマーとしてランダムヘキサマーを利用して、元のテンプレート上およびその増幅コピー上の複数部位での増幅をプライミングする。多鎖増幅は、例えば2011年4月21日に公開された国際公開公報第2011/047307A1号(「Multiple Displacement Amplification」)にさらに記載されている。複数プライミング部位のプライマーを伸長する重合。
開示される方法の特定の態様において、プライミングは、TthPrimPolなどのプライマーゼ/ポリメラーゼを用いて達成される。この場合、プライミングは、試薬としてのデオキシリボヌクレオチド三リン酸の供給を含む。特定の態様において、デオキシリボヌクレオチドは修飾されていない。他の態様において、デオキシリボヌクレオチドは、標識、例えば蛍光分子との付着によって修飾され得る。本明細書において使用する「標識」なる用語は、核酸分子などの分子に付着された化学部分を指す。検出可能な標識には、例えば、蛍光標識、発光標識、酵素標識、比色定量標識、例えばコロイド金または色ガラスもしくはプラスチックビーズ、および放射性標識が含まれる。
図2を参照すると、本明細書に開示される方法においては、一本鎖共有結合性閉鎖核酸分子テンプレート(「両端にヘアピンアダプターを付加するよう前処理されたcfDNA」)が提供される。TthPrimPolなどのプライマーゼ/ポリメラーゼが提供され、ヘアピンアダプター内の認識部位を認識して、プライマーの合成により重合をプライミングする。(「TthPrimPolのヘアピン認識およびプライマー合成」。)一本鎖核酸分子との結合を好みかつ鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼが、ローリングサークル増幅と多置換増幅の組み合わせによりテンプレートを増幅する。ローリングサークル増幅により、相補配列に基づいて自分自身の上に折り返して二本鎖セグメントを形成する連鎖状分子が生じる。これらの折り畳み部には、プライマーゼ/ポリメラーゼ認識部位を含むアダプター配列も含まれる。プライマーゼ/ポリメラーゼは、この連鎖状分子上でプライマーを合成し、これらのプライマーは次いでDNAポリメラーゼによって伸長される。結果として、元のテンプレート分子が、一般的には分岐方式で、指数関数的に増幅される。(「鎖置換、および新しいプライミング事象による指数関数的ローリングサークル増幅」。)
6. 他の増幅法
一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する他の方法が本明細書において企図される。
ある方法では、プライマーゼ/ポリメラーゼを用いて重合をプライミングするのではなく、ランダム配列プライマーを用いて増幅をプライミングする。例えば、ランダム配列プライマーは、配列の縮重セットを含むヘキサマーであり得る。増幅は、多置換増幅によって続けることができる。
別の方法では、一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子の増幅は、縮重オリゴヌクレオチドプライムド(DOP)-PCR(Degenerate Oligonucleotide Primed (DOP)-PCR)によって行われる。(DOP)-PCRでは、PCRのために1つのプライマーを(フォワードプライマーおよびリバースプライマーの代わりに)使用する。このプライマーは通常、中央に6ヌクレオチド縮重領域を有する約22塩基を有するオリゴマー、例えば
Figure 0007026248000001
である。この縮重領域は4種のDNAヌクレオチドのいずれかで構成されたランダム配列である。DOP-PCR手順の最初の5工程は、非特異的増幅工程である。縮重プライマーは低いアニーリング温度とともに、ゲノム全体にわたる場所でのランダムなアニーリングを生じる。PCRの間、これらのプライマーから伸長が起こり、長い断片が生成される。
別の方法では、一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子の増幅は、プライマー伸長事前増幅(Primer Extension Preamplification)(PEP)によって行われる。プライマー伸長事前増幅(PEP)では、ランダム/縮重プライマーおよび低いPCRアニーリング温度を使用する。プライマーは、例えば約15ヌクレオチド長であり得る。
別の方法では、一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子の増幅は、リンカー-アダプターPCR(linker-adaptor PCR)(LA-PCR)によって行われる。LA-PCRでは、二本鎖DNAをMseIによって消化して、アダプターアニーリングおよびそれに続くライゲーションのためのTAオーバーハングを残す。アダプターに相補的な1つのプライマーを使用して、PCRにより試料全体を増幅する。
別の方法では、一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子の増幅は、耐熱性DNAポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)と、非常にプロセッシブな鎖置換DNAポリメラーゼ(例えばPhi29ポリメラーゼまたはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)ポリメラーゼ)との任意の組み合わせを使用することによって行われる。そのような方法の1つは、多重アニーリングおよびループ化に基づく増幅サイクル(Multiple Annealing and Looping Based Amplification Cycles)(MALBAC)である。MALBACは非指数関数的全ゲノム増幅法である。MALBACで使用するプライマーは、ループを形成する相補的な末端をアンプリコンが有するのを可能にし、これが指数関数的複製を阻害する。
D. DNAシーケンシング
本明細書において使用する「ハイスループットシーケンシング」なる用語は、何千もの核酸分子の同時またはほぼ同時のシーケンシングを指す。ハイスループットシーケンシングは「次世代シーケンシング」または「超並列シーケンシング」と称される場合もある。ハイスループットシーケンシングのためのプラットフォームには、非限定的に、超並列シグネチャシーケンシング(MPSS)、ポロニー(Polony)シーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、SOLiDシーケンシング、Ion Torrent半導体シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Heliscope 1分子シーケンシング、1分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング(PacBio)、およびナノポアDNAシーケンシング(例えばOxford Nanopore)が含まれる。
本明細書に記載の方法は、非限定的に、全ゲノムシーケンシング、エクソームシーケンシング、およびアンプリコンシーケンシングのために使用することができる。アポトーシス性cfDNAが全ゲノム由来の配列を含む限り、本明細書に記載の方法の増幅産物は全ゲノム増幅を表す。しかしながら、増幅分子自体は、特定のアンプリコンの増幅を受けることができる。ゲノム中の遺伝子配列に向けられたベイトを使用した配列捕捉を使用して、エクソームを表す増幅分子を単離することができる。mRNAを二本鎖cDNAへ逆転写することによって、増幅トランスクリプトームをシーケンシングのために産生することができる。
本明細書に開示される方法により増幅されたDNAは、二本鎖DNAの特性を有する。これは、少なくとも部分的には、自分自身の上に折り返す鎖内の相補性に起因する。したがって、天然の二本鎖DNAに行い得るように、増幅DNAをシーケンシング用に調製することができる。ライブラリ調製法は、シーケンシングプラットフォームとシーケンシング手法の両方に依存する。例えば、シーケンシングプラットフォームは、IlluminaもしくはIon Torrentなどのショートリードに適合されたものであり得るか、またはPacBioもしくはOxford Nanoporeなどのロングリードに適合されたものであり得る。シーケンシング手法には、標的指向型シーケンシング、全エクソームシーケンシング、または全ゲノムシーケンシングが含まれる。例えば、Illuminaを使用した全ゲノムシーケンシングを行うためには、DNAを、シーケンシング規格(例えば、シングルエンドまたはペアエンドリードおよび選択した長さ(150ヌクレオチド、250ヌクレオチドなど))に適切な長さまで(酵素的または機械的に)剪断することができる。剪断後、シーケンシングを行うのに適したアダプターを含むキットを使用してライブラリを調製する。対照的に、ロングリード全ゲノムシーケンシング、例えばPacBioおよびOxford Nanoporeを使用する場合は、すべてのMDA法によって産生される、多置換増幅機構に由来する多分岐DNA構造を取り除くために、T7エンドヌクレアーゼを用いた第一工程が推奨される。それ以外の場合は、シーケンシングプラットフォームに応じて、異なるライブラリ調製法を続けて行う。標的指向型の手法では、後にシーケンシングされる唯一のものとなる特定の関心対象領域を、PCRを使用して増幅する。
III. キット
本明細書に開示される方法を行う際に使用するためのキットもまた本明細書において提供される。本明細書において使用する「キット」なる用語は、一緒に使用するよう意図された品物の集合体を指す。
本明細書に開示される特定のキットには、以下から選択される2、3、4、5、6、7個の要素が含まれる:(1)PrimPol酵素(例えばTthPrimPol);(2)DNAポリメラーゼ(例えばPhi29);(3)一本鎖ヘアピンアダプター;(4)dsDNA末端修復のための1つまたは複数の酵素(例えばT4 DNAポリメラーゼ、クレノウ断片、および/またはTaqポリメラーゼ);(5)DNAライゲーションのための1つまたは複数の酵素;(6)dNTP;(7)例えばDNAライゲーション効率を高めるための、増強剤、例えばポリエチレングリコール;(8)反応緩衝液、ならびに(9)前述の任意の要素とともに使用するための緩衝液。キットには、これらの試薬を保持するための容器が含まれ得る。キットには、試薬を保持するための容器が含まれ得る。容器自体は、発送用容器内に収められ得る。この容器は、手渡しにより、または国営郵便制度もしくはFedExなどの配送サービスのような一般運送業者により送達され得る。キットにはまた、収集した血液を中心施設に発送するための容器、例えば箱またはバッグが含有され得る。キットにはまた、一般的に、使用説明書ならびにデータ分析および解釈のためのソフトウェアが含まれ得る。
実施例1:本開示によるDNA両端におけるヘアピン付加は、TruePrime多置換増幅による短鎖DNA分子の効率的な増幅を可能にする
図3に、PCR増幅によって得られた短鎖DNA分子(200bp)の増幅を示す。末端修復およびdAテーリング反応、ならびにヘアピンアダプターの付加は、TruePrimeによる短鎖DNAインプットの効率的な増幅を可能にする。
DNA 1にはEcoRI酵素の制限酵素認識部位が1つ存在するため、本発明者らは増幅物質の単位を1つ得ることができ(図4を参照されたい)、これによって図2に例示される増幅機構が実証された。
実施例2:TruePrimeローリングサークル増幅は、ランダム合成プライマーに基づくMDA法よりも標的分子のより特異的な増幅を示す
図5に、PCR増幅によって得られ、本開示の手順である末端修復、dAテーリング、ヘアピンアダプターのライゲーション、およびローリングサークル増幅に供された、短鎖DNA分子(200bp)の増幅を示す。ローリングサークル増幅は、2つの独立に調製されたDNA試料を基質として使用して(調製物1および調製物2)、増幅を誘発するためにTthPrimPol(TruePrime)またはランダム合成プライマー(RP)のいずれかを用いて実行することができる。増幅収量は、ランダムプライマーを使用した場合にはるかに多い(図5の上部を参照されたい)。しかしながら、制限酵素の消化による同量の増幅DNA(500ng)の分析は、恐らくはランダム合成プライマーに基づくMDA法の周知の欠点であるプライマーダイマーの増幅に起因して、TruePrime(TthPrimPolに基づく)がランダムプライマーよりも多くの標的分子(236bp)を産生することを明らかにしている。
実施例3:本開示によるDNA両端におけるヘアピン付加は、TruePrime多置換増幅による、50bpから1250bpまでのDNA分子の効率的な増幅を可能にする
図6に、PCR増幅によって得られた50bpから1250bpまでの範囲(50、100、150、200、400、500、600、700、800および1250bp)のDNA分子の増幅を示す。末端修復およびdAテーリング反応、ならびにヘアピンアダプターの付加は、TruePrimeによるさまざまなDNA分子の効率的な増幅を可能にする。
実施例4:アダプターのヘアピン配列に応じたTthPrimPolのDNAプライマーゼの効率
図7に、試験した異なるヘアピンアダプターを示す。アダプターはすべて、ヘアピンを形成する分子の自己ハイブリダイゼーションを可能にする自己相補的配列を有する。ヘアピン配列および長さはそれぞれの場合で異なる。
図8に、異なるヘアピンサイズおよび配列を有するアダプターを使用した、TruePrimeにおいてPhi29 DNA polのためのDNAプライマーの合成を担う酵素であるTthPrimPolのDNAプライマーゼ活性を示す。生成されたDNAプライマーの量から、ならびに、この分子を使用したDNAプライマーゼ活性の効率を強調する、組み込まれていない標識ヌクレオチド(G*)がほぼ完全に存在しないことから推定できるように、アダプター1が最も高い活性を示す。驚くべきことに、よりアクセスしやすいTthPrimPol認識配列(3’ CTCC 5’)46を含有する他の3つのアダプターは、特にアダプター2の場合に、より低い活性を示す。アダプター1は最も高い活性および最も短い配列を示しているため、cfDNA増幅ワークフローで使用するのに最良の候補となる。
実施例5:本方法はがん患者由来の無細胞DNA試料の非常に効率的な増幅をもたらす
48人のがん患者をインフォームド・コンセントのもとで本研究に採用した。StreckのCell-free DNA BCT(登録商標)管を使用して血液10mlを抽出した。有核血液細胞からのゲノムDNAの混入を避けるためにダブルスピン遠心分離プロトコルにより血漿3mlを直ちに単離した。ゴールドスタンダードのcfDNA精製キット(QiagenのQIAamp Circulating Nucleic Acid Kit)を使用して血漿試料1mlから無細胞DNAを精製した。Qubitによって定量化した各ケースにおいて、さまざまな収量が得られた(0.12~21.6ng/μlの範囲)。無細胞DNAのサイズプロファイルを、バイオアナライザHSキットを使用して分析し、関心対象のアポトーシス性無細胞DNA分子(約160~170bpのサイズ)の存在、および他のより長いDNA分子の非存在を確認した。
各ケースのcfDNA 1ngを、cfDNA増幅のための本開示のワークフロー(図9の左部に示す工程)に従って進めた;すなわち、末端修復、dAテーリング、およびアダプター1のライゲーションの工程から始めた。その後、結果として得られた試料(15μl)を、TruePrime技術を使用して増幅した。図9(右部)に、得られた増幅収量を示す。すべての無細胞DNA試料は効率的に増幅された。
実施例6:本方法はがん患者由来の無細胞DNA試料の非常に高感度の増幅をもたらす
図10に、ピコグラムの無細胞DNAから出発してマイクログラムの範囲のDNA増幅収量を実現する、本開示のワークフローの優れた感度および効率を示す。インプット量と観察された増幅収量との間の比例関係が顕著である。
実施例7:ショートリード(Illumina)およびロングリード(Oxford Nanopore MinION)の全ゲノムシーケンシングによって、アポトーシス性無細胞DNAの増幅のための本方法のワークフローの実現可能性および効率が確認される
結腸がん患者(T3N1aM0)由来の無細胞DNA 4ngを、cfDNA増幅のための本開示のワークフローに二つ組で供した。
ロングリード(Oxford Nanopore MinION)の全ゲノムシーケンシング:それぞれの増幅した無細胞DNA 1500ngを、多分岐DNA構造を取り除くために、ライブラリ調製前にT7エンドヌクレアーゼIで前処理した。ライゲーションIDシーケンシングキットSQK-LSK 108を使用し、SQK-LSK 108を使用したMinIONデバイスのためのプロトコルIDゲノムDNAシーケンシングを続けて行った。フローセルは48時間、ランを行った。
Oxford Nanopore MinIONのランからの配列を、ヘアピンアダプター配列[SEQ ID NO: 1]の出現について分析し試験した。シーケンシングの品質は高くはなかったが、ヘアピンアダプター[SEQ ID NO: 1]の配列はほとんどすべてのリードにおいて見出すことができ、高い類似性を有する配列断片(同一の遺伝子領域をヒットとして有した、それらの断片のBLASTによって証明された)を隔てていた。
図11に、MinIONリードの長さに関する、ヘアピンアダプター配列[SEQ ID NO: 1]によって隔てられた断片の高い相関関係を示す。
ショートリード(Illumina)の全ゲノムシーケンシング:それぞれの増幅した無細胞DNA 1000ngを、Covarisを用いて剪断して、500bpの断片を得た。剪断したDNAを、AMPureビーズを使用して精製し、NxSeq AmpFREE Low DNA Library kit(Lucigen)を使用してライブラリを調製した。デュアルインデックスをPCRによって付加し、Illumina HiSeq 2500においてペアエンドリード(2×150bp)を使用して試料をシーケンシングした。
図12に、被覆度およびコピー数多型(CNV)検出結果を示す。同じ患者由来の2つの試料の被覆度は、CNVプロットと同様に、ほぼ同一かつ高度に一様であるように見え、CNVプロットでは、1つの部分を除き両方の試料は同一の倍数性の構成を有している。リードをCLC Genomics Workbenchにより分析し、結合して1つのリードにし、次いでヘアピンの位置で再び分離した。ヘアピン配列は、ほとんどすべての結合リードにおいて見出すことができた。再び分離し人工的に生成した新しいペアリードを、ヒトゲノムに対してアライメントして、被覆度統計量、再現性、およびCNV含有量について分析した。
図13に、異なる解像度での、一人の患者由来の2つの試料による被覆度プロットを示す。ほとんど同一の増幅およびシーケンシング後プロセスの結果が顕著である。
実施例8:アンプリコンシーケンシングによって、アポトーシス性無細胞DNAの増幅のための本方法のワークフローの実現可能性および効率が確認される
3人の異なる結腸がん患者(T3/4)由来の無細胞DNA 26.7ng、84ng、および150ngを、cfDNA増幅のための開示のワークフローに供し、それぞれ15μg、17μg、および20μgを得た。Ion Proton(商標)シーケンシングシステムにおいて多重化のためのタグ分子バーコードとともにOncomine(商標)Colon cfDNA Assayを使用し、Ion Proton(商標)チップを使用して、各患者由来の増幅なしのcfDNA 20ngおよび増幅ありのcfDNA 50ngをシーケンシングした。ライブラリはIon Chef(商標)システムを使用して調製した。Torrent Suiteソフトウェアを使用してリードアライメントを実行し、CLCソフトウェアを以下の設定で使用してバリアントコールを行った:倍数性=2。この値を超える被覆度を有する位置の無視=1000000。標的領域に対するコールの制限=Oncomine_Colon_cfDNA.03062017.Designed_BED。壊れたペアの無視=なし。非特異的なマッチの無視=リード。最小被覆度=10。最小カウント=2。最小頻度(%)=1.0~35.0。塩基の質のフィルター=なし。リードの方向のフィルター=なし。相対的なリードの方向のフィルター=なし。リードの位置のフィルター=なし。パイロエラーバリアントの除去=なし。トラックの作成=あり。注釈付きの表の作成=なし。
バリアントコールは、35%~1%のさまざまな頻度の一塩基バリアント、多塩基バリアント、挿入および欠失について実行した。図14に、各患者で検出された、注釈付けされたバリアントおよび注釈付けされていないバリアントの数を、各ケースにおいて増幅ありおよび増幅なしのcfDNA試料を比較して示す。
3つのケースにおいて、突然変異アレル頻度の閾値とは関係なく、増幅なしの試料よりも増幅ありの試料においてより多くのバリアントが検出された。加えて、注釈付けされたバリアントの数も、増幅なしの試料よりも増幅ありの試料の方が多い。
図15に、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)での、第一の患者について得られた結果を示し、同じ患者由来の増幅なしのcfDNA試料と比べて増幅ありの試料におけるより多数の臨床的に関連するバリアントを示す。頻度1%の場合、増幅ありの試料では30個の臨床的に関連する(ClinVar)突然変異が検出されている一方、増幅なしのものでは14個のみである。これら14個のうち10個は、増幅ありの試料でも検出されている。頻度35%の場合、増幅なしの試料では3個のClinVar突然変異が検出されている。増幅ありの試料では、これら3個とさらなる2個のClinVar突然変異が見出されている。
図16に、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)での、第二の患者について得られた結果を示し、同じ患者由来の増幅なしのcfDNA試料と比べて増幅ありの試料におけるより多数の臨床的に関連するバリアントを示す。頻度1%の場合、増幅ありの試料では31個のClinVar突然変異が検出されている一方、増幅なしのものでは13個のみである。これら13個のうち10個は、増幅ありの試料においても包含されている。
図17に、2つの異なるアレル頻度(1%および35%)での、第三の患者について得られた結果を示し、同じ患者由来の増幅なしのcfDNA試料と比べて増幅ありの試料におけるより多数の臨床的に関連するバリアントを示す。頻度1%の場合、増幅ありの試料では26個のClinVar突然変異が検出されている一方、増幅なしのものでは16個のみである。これら16個のうち13個は、増幅ありの試料においても包含されている。
したがって、アンプリコンシーケンシングの前に本開示の手順を使用することによって分析の感度が高くなり、より多くの臨床的に関連するバリアントの検出が可能になる。
例示的態様
本発明の例示的態様は以下を含む。
1. (a)線状二本鎖DNA分子を提供する工程;
(b)一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を産生するように、該線状二本鎖DNA分子の両端に一本鎖アダプターを付着させる工程;ならびに
(c)(i)ローリングサークル増幅および
(ii)多置換増幅
による単一操作において、該一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する工程
を含む、DNAを増幅する方法。
2. 線状二本鎖DNA分子が、例えば480bp未満、320bp未満、または約140bp~180bp(例えば平均約160bp)のサイズを有する、アポトーシス性無細胞DNA分子を含む、態様1の方法。
3. 線状二本鎖DNAを提供する工程が、染色体DNAを断片化することを含む、態様1の方法。
4. 線状二本鎖DNAが、例えばCSF、血液、血漿、血清、腹水、尿、唾液、涙、乳汁、精液、および滑液から選択される、哺乳動物からの1種または複数種の体液に由来する、前記態様のいずれかの方法。
5. 線状二本鎖DNAを提供する工程が、該線状二本鎖DNAを生物学的試料中の他の細胞成分から単離することを含む、前記態様のいずれかの方法。
6. 線状二本鎖DNAを提供する工程が、末端修復および/またはdAテーリングを含む、前記態様のいずれかの方法。
7. 末端修復が、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)、T4 DNAポリメラーゼクレノウ断片、およびT4 DNAポリメラーゼ大型断片のうちの1つまたは複数を使用して行われる、態様5の方法。
8. Taqポリメラーゼを使用してdAテーリングを行う工程を含む、態様5の方法。
9. アダプターが一本鎖DNA分子を含む、前記態様のいずれかの方法。
10. アダプターがヘアピン構造を有する、前記態様のいずれかの方法。
11. 以下の配列:
Figure 0007026248000002
を有するアダプターを付着させる工程を含む、前記態様のいずれかの方法。
12. アダプターがプライマーゼ/ポリメラーゼ認識配列を含む、前記態様のいずれかの方法。
13. アダプターを付着させる工程が、平滑末端ライゲーションまたは粘着末端ライゲーションを含む、前記態様のいずれかの方法。
14. アポトーシス性無細胞DNA分子を提供する工程;
該無細胞DNA分子の末端修復およびdAテーリングを行う工程;ならびに
末端修復されdAテーリングされた該無細胞DNA分子に、dTオーバーハングを含むヘアピンアダプターをライゲーションする工程
を含む、前記態様のいずれかの方法。
15. プライマーゼ/ポリメラーゼによって増幅をプライミングする、前記態様のいずれかの方法。
16. サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)プライマーゼ/ポリメラーゼ(TthPrimPol)によって増幅をプライミングする、前記態様のいずれかの方法。
17. SEQ ID NO: 10の配列を有するTthPrimPolによって増幅をプライミングする、前記態様のいずれかの方法。
18. ヒトプライマーゼ/ポリメラーゼ(HsPrimPol)によって増幅をプライミングする、前記態様のいずれかの方法。
19. ランダム合成プライマー(例えば、一般的には3~8ヌクレオチド長のランダム配列、例えばヘキサマー)を用いて増幅をプライミングする、前記態様のいずれかの方法。
20. 増幅が、鎖置換活性を有するポリメラーゼを使用した鎖伸長を含む、前記態様のいずれかの方法。
21. 増幅が、Phi29ポリメラーゼを使用した鎖伸長を含む、前記態様のいずれかの方法。
22. 増幅が、プライマーゼ開始型多置換増幅(primase-initiated multiple displacement amplification)を含む、前記態様のいずれかの方法。
23. プライマーゼ/ポリメラーゼを使用して前記DNA上でプライマーを生成する工程、および鎖置換活性を有するポリメラーゼを使用して該プライマーを伸長する工程を含む、前記態様のいずれかの方法。
24. プライマーゼ/ポリメラーゼがTthPrimPolを含み、ポリメラーゼがPhi29ポリメラーゼを含む、態様23の方法。
25. (d)増幅されたDNAをシーケンシングする工程
をさらに含む、前記態様のいずれかの方法。
26. シーケンシングする工程が、増幅されたDNAを断片化すること、および断片化された該DNAにシーケンシングプラットフォーム特有のアダプターを付着させることを含む、態様25の方法。
27. シーケンシングが、選択された配列(アンプリコン)、エクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムに対して行われる、態様25の方法。
28. (e)シーケンシングされた増幅DNAにおける1つまたは複数の遺伝的バリアントを検出する工程
をさらに含む、態様25の方法。
29. 増幅されたDNAを定量化する工程をさらに含む、前記態様のいずれかの方法。
30. (a)線状二本鎖DNA分子を提供する工程;
(b)該DNA分子に対して末端修復およびdAテーリングを行う工程;
(c)アダプターでタグ付けされたDNA分子を産生するように、末端修復されdAテーリングされた該DNA分子にヘアピンアダプターをライゲーションする工程;ならびに
(d)アダプターでタグ付けされた該DNA分子を、(i)ローリングサークル増幅および(ii)多置換増幅(「MDA」)によって増幅する工程
を含む、DNAを増幅する方法。
31. 増幅が、Phi29 DNAポリメラーゼおよびランダム合成プライマーを使用したランダムプライムドMDA(random-primed MDA)を含む、態様30の方法。
32. 増幅が、プライマーゼ/ポリメラーゼ(例えばTthPrimPol)を用いてプライミングすることを含む、態様30の方法。
33. (a)線状二本鎖DNA分子を提供する工程;
(b)一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を産生するように、該線状二本鎖DNA分子の両端に一本鎖アダプターを付着させる工程;および
(c)耐熱性DNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼと、ランダムプライマーまたは縮重プライマーと、任意選択的なリガーゼとの任意の組み合わせによって、該一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する工程
を含む、DNAを増幅する方法。
34. 増幅が、縮重オリゴヌクレオチドプライムドPCR(Degenerate oligonucleotide-primed PCR)(DOP-PCR)、リンカー-アダプターPCR(linker-adaptor PCR)(LA-PCR)、プライマー伸長事前増幅PCR(Primer Extension Preamplification PCR)(PEP-PCR-/I-PEP-PCR)、およびそれらの変形形態を含む、態様33の方法。
35. (a)線状二本鎖DNA分子を提供する工程;
(b)一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を産生するように、該線状二本鎖DNA分子の両端に一本鎖アダプターを付着させる工程;および
(c)耐熱性DNAポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)と、非常にプロセッシブな鎖置換DNAポリメラーゼ(例えばPhi29ポリメラーゼまたはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)ポリメラーゼ)との任意の組み合わせを使用して、該一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する工程
を含む、DNAを増幅する方法。
36. 増幅が、多重アニーリングおよびループ化に基づく増幅サイクル(multiple annealing and looping-based amplification cycles)(MALBAC)を含む、態様35の方法。
37. (a)プライマーゼ/ポリメラーゼ;
(b)鎖置換活性を有するポリメラーゼ;
(c)デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および
(d)一本鎖ヘアピンアダプター
を含むキット。
38. プライマーゼ/ポリメラーゼがTthPrimPolである、態様37のキット。
39. ポリメラーゼがPhi29 DNAポリメラーゼである、態様37のキット。
40. 一本鎖アダプターが、配列:
Figure 0007026248000003
を有する、態様37のキット。
41. (d)以下:
(i)dsDNA末端修復のための1つもしくは複数の酵素(例えばT4 DNAポリメラーゼ、クレノウ断片、および/またはTaqポリメラーゼ);
(ii)DNAライゲーションのための1つもしくは複数の酵素;
(iii)任意で、DNAライゲーション効率を高めるための試薬;
(iv)反応緩衝液;ならびに
(v)前述の任意の要素とともに使用するための緩衝液
から選択される1、2、または3個の要素
をさらに含む、態様37のキット。
42. (a)アポトーシス性無細胞DNAの単離のための試薬
をさらに含む、前記態様のいずれかのキット。
43. アダプターでタグ付けされた一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子の集団を含むDNAライブラリであって、各DNA分子は第一、第二、第三、および第四の領域を含み、該第二および第四の領域は互いに対して相補的であり、該第一および第三の領域は互いに対して相補的ではない、DNAライブラリ。
44. 第一および第三の領域が同一の配列を有する、態様43のDNAライブラリ。
45. 第二および第四の領域がゲノムDNAのセグメント、例えばアポトーシス性cfDNAを含む、態様43または態様44のDNAライブラリ。
参照文献(参照により本明細書に組み入れられる)
Figure 0007026248000004
Figure 0007026248000005
Figure 0007026248000006
Figure 0007026248000007
Figure 0007026248000008
Figure 0007026248000009
本明細書で使用するとき、別段の明記がない限り以下の意味が適用される。「し得る」なる語は、必須の意味(すなわち、しなければならないことを意味する)ではなく、許容の意味(すなわち、する可能性があることを意味する)で使用される。「含む」、「含むこと」、および「含み」なる語、ならびにこれに類するものは、含むがこれに限定されないことを意味する。単数形(a, an, the)は複数の指示物を含む。それゆえ、例えば、「1つの要素(an element)」への言及は、「1つまたは複数」などの1つまたは複数の要素についての他の用語および語句の使用にかかわらず、2つ以上の要素の組み合わせを含む。「または」なる用語は、別段の指示がない限り非排他的であり、すなわち、「および」と「または」の両方を包含する。修飾語と数列との間の「のうちいずれか」なる用語は、その修飾語が数列の各構成要素を修飾することを意味する。そのため、例えば、「1、2、または3のうち少なくともいずれか」なる語句は「少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3」を意味する。
本説明および図面は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図したものではなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲に含まれるすべての変更形態、均等物、および代替物を網羅することを意図していると理解すべきである。本発明の種々の局面のさらなる変更形態および代替態様は、本説明を踏まえれば当業者に明らかになるであろう。したがって、本説明および図面は単なる例示として解釈されるべきであり、当業者に本発明を実行する一般的方法を教示する目的のものである。本明細書に図示および記載された本発明の形態は、態様の例として受け取られるべきであるということを理解すべきである。本発明の本説明の恩恵を受けた後にすべて当業者に明らかになるように、要素および材料を本明細書に例示および記載されたものから置換してもよく、部品およびプロセスを逆にするかまたは省略してもよく、本発明の特定の特徴を独立して利用してもよい。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の要素に変更を加えてもよい。本明細書で使用される見出しは、構成上の目的のものにすぎず、本説明の範囲を限定するために使用されることを意味してはいない。

Claims (12)

  1. (a)相補配列を有する線状二本鎖DNA分子を提供する工程;
    (b)一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を産生するように、該線状二本鎖DNA分子の両端に一本鎖アダプターを付着させる工程;ならびに
    (c)(i)ローリングサークル増幅および
    (ii)多置換増幅
    による単一操作において、該一本鎖共有結合性閉鎖DNA分子を増幅する工程
    を含む、DNAを増幅する方法であって、
    該ローリングサークル増幅が、相補配列に基づいて自分自身の上に折り返して二本鎖セグメントを形成する連鎖状分子を生じさせ、
    該多置換増幅が、プライマーゼ/ポリメラーゼを用いた、折り畳まれた連鎖状分子の二本鎖セグメント上のアダプターからの鎖伸長のプライミング、および鎖置換活性を有するポリメラーゼを用いた鎖伸長を含む、
    前記方法
  2. 線状二本鎖DNA分子が、例えば480bp未満、320bp未満、または約140bp~180bp(例えば平均約160bp)のサイズを有する、アポトーシス性無細胞DNA分子を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 線状二本鎖DNAが、例えばCSF、血液、血漿、血清、腹水、尿、唾液、涙、乳汁、精液、および滑液から選択される、哺乳動物からの1種または複数種の体液に由来する、求項1に記載の方法。
  4. 線状二本鎖DNAを提供する工程が、末端修復および/またはdAテーリングを含む、求項1に記載の方法。
  5. アダプターがヘアピン構造を有する、求項1に記載の方法。
  6. 以下の配列:
    Figure 0007026248000010
    を有するアダプターを付着させる工程を含む、求項1に記載の方法。
  7. アダプターがプライマーゼ/ポリメラーゼ認識配列を含む、求項1に記載の方法。
  8. アダプターを付着させる工程が、平滑末端ライゲーションまたは粘着末端ライゲーションを含む、求項1に記載の方法。
  9. アポトーシス性無細胞DNA分子を提供する工程;
    該無細胞DNA分子の末端修復およびdAテーリングを行う工程;ならびに
    末端修復されdAテーリングされた該無細胞DNA分子に、dTオーバーハングを含むヘアピンアダプターをライゲーションする工程
    を含む、求項1に記載の方法。
  10. 増幅が、Phi29ポリメラーゼを使用した鎖伸長を含む、求項1に記載の方法。
  11. 増幅が、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)プライマーゼ/ポリメラーゼ(TthPrimPol)によってプライミングされる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. (a)前記プライマーゼ/ポリメラーゼ;
    (b)前記鎖置換活性を有するポリメラーゼ;
    (c)請求項1の工程(c)において供給され、基質として使用される、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および
    (d)前記一本鎖ダプター
    を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において使用するためのキット。
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