JP6194894B2 - 核酸リンカー - Google Patents

核酸リンカー Download PDF

Info

Publication number
JP6194894B2
JP6194894B2 JP2014548509A JP2014548509A JP6194894B2 JP 6194894 B2 JP6194894 B2 JP 6194894B2 JP 2014548509 A JP2014548509 A JP 2014548509A JP 2014548509 A JP2014548509 A JP 2014548509A JP 6194894 B2 JP6194894 B2 JP 6194894B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
protein
mrna
acid linker
peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014548509A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014080766A1 (ja
Inventor
根本 直人
直人 根本
重文 熊地
重文 熊地
博文 塩野
博文 塩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Saitama University NUC
Original Assignee
Nikon Corp
Saitama University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp, Saitama University NUC filed Critical Nikon Corp
Publication of JPWO2014080766A1 publication Critical patent/JPWO2014080766A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6194894B2 publication Critical patent/JP6194894B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1062Isolating an individual clone by screening libraries mRNA-Display, e.g. polypeptide and encoding template are connected covalently
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N2021/6417Spectrofluorimetric devices
    • G01N2021/6421Measuring at two or more wavelengths
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6428Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes"
    • G01N2021/6439Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes" with indicators, stains, dyes, tags, labels, marks
    • G01N2021/6441Measuring fluorescence of fluorescent products of reactions or of fluorochrome labelled reactive substances, e.g. measuring quenching effects, using measuring "optrodes" with indicators, stains, dyes, tags, labels, marks with two or more labels

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

本発明は、核酸リンカー、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法、核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法、タンパク質アレイ又はペプチドアレイ、分子間相互作用解析方法、プレイタンパク質のスクリーニング方法に関する。
本願は、2012年11月21日に、日本に出願された特願2012−255737号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
新規機能性タンパク質は、医薬品、洗剤、食品加工、研究開発用試薬、臨床分析、さらにはバイオエネルギー、バイオセンサーなど様々なバイオ応用分野への貢献が期待されている。
新規機能性タンパク質の取得に際しては、タンパク質の構造情報から人知によりデザインするタンパク質工学的手法が主流であった。しかし、より有用なタンパク質を取得するためには、従来手法よりも効率的にスクリーニングする必要がある。したがって、タンパク質のランダムな分子構造改変と淘汰を繰り返す進化分子工学的手法が期待されている。
進化分子工学的手法の一つであるcDNAディスプレイ法は、遺伝子型−表現型の対応付けの方法であり、核酸リンカーが、タンパク質(表現型)と、これをコードするmRNAと、逆転写したcDNA(遺伝子型)と、を結ぶものである。mRNA/cDNA−タンパク質連結体構造は、非常に安定であるため、前記核酸リンカーを用いることにより、様々な環境下でスクリーニングを実施することが可能となった。
cDNAディスプレイ法は、タンパク質とこれをコードするポリヌクレオチドとを連結する核酸リンカー中に有するピューロマイシンに特徴を有している(特許文献1参照)。
ピューロマイシンは、アミノアシル−tRNAの3’末端と類似する構造を有するタンパク質合成阻害剤であり、所定の条件下ではリボソーム上で伸長中のタンパク質のC末端に特異的に共有結合する。
cDNAディスプレイ法を用いた有用タンパク質のスクリーニング方法は、以下の一連の工程を有する。
先ず、ピューロマイシンを有する核酸リンカーとmRNAとを連結させ、無細胞翻訳系を用いてmRNAからタンパク質を合成する。これにより、合成されたタンパク質とこれをコードするmRNAとがピューロマイシンを介して結合している複合体(mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体)が生じる(非特許文献1参照)。
次いで、このmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを製造する。製造したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を逆転写酵素により逆転写し、cDNAを合成することにより、mRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを製造する。
次いで、このmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを用いて、所望の機能をもつタンパク質を選択し、選択したmRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体中のcDNAの塩基配列を解析することによりタンパク質を同定する。逆転写のタイミングは、タンパク質を選択した後でもよい(非特許文献2参照)。
また、上記mRNA/cDNA−核酸リンカー−タンパク質複合体のライブラリーを基板上に固定したタンパク質チップは、網羅的解析により、短期間で機能タンパク質を取得するためのツールとして重要である。このような網羅的解析をするにあたり、アレイを構成する個々のタンパク質が、基板上に適当量固定されている必要がある。さらに、タンパク質相互作用解析の様に、高感度検出を必要とする繊細なアッセイを行う場合には、基板上のタンパク質が、蛍光分子等の所定量の標識物質によって、適切に標識されている必要がある。
従来、タンパク質相互作用解析用に用いられるペプチドやタンパク質は、ペプチド固相合成法や大腸菌タンパク質発現系を利用することにより製造されてきた。しかし、ペプチド固相合成法においては、合成可能なアミノ酸残基数に限度があり、大腸菌発現系においては、精製タンパク質を得るまでの時間を要しているという問題点があった。また、タンパク質相互作用解析に用いられるペプチドやタンパク質は、数μg程度合成されれば足りるが、これらの製造方法によると、数mg程度合成され、無駄が多く、コスト面で難がある。
これに対して、無細胞タンパク質合成系において、蛍光標識されたビオチン化ピューロマイシンを用いる方法が提案されている(非特許文献3参照)。この方法は、タンパク質合成の際に、ビオチン化ピューロマイシンを取り込ませることにより、自動的に合成タンパク質が蛍光標識される点で優れている。
特許第4318721号公報
Nemotoら、FEBS Lett、第414巻、第405〜408頁、1997年 Yamaguchiら、Nucleic Acids Res.第37巻、e108頁、2009年 Oyamaら、Nucleic Acids Res.第34巻、e102頁、2006年
しかしながら、非特許文献3に記載された方法では、合成したタンパク質の精製の際に、合成に用いられなかったピューロマイシンを除く必要がある。
一例には、無細胞翻訳系において、ヒスチジンタグ融合タンパク質を合成した反応液をRNaseで処理し、ヒスチジンタグ融合タンパク質精製用バッファーで透析した後、ニッケルカラムを用いてアフィニティー精製を行い、更にアビジン精製を行うことにより蛍光標識された精製タンパク質を得る。このように、非特許文献3に記載された方法では、精製工程が複雑であり、収率及び簡便性という点から難がある。
更に、従来の核酸リンカーは、構造が複雑であるため、より簡便に合成可能な単純化されたものが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡便に合成可能で、標識ペプチド又は標識タンパク質を迅速かつ簡単に調整できる核酸リンカーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、核酸リンカーを一本鎖とすることにより課題を解決できることを見出した。本発明の一実施態様は、下記(1)〜(10)を提供するものである。
(1)本発明の一実施態様における核酸リンカーは、mRNAと、そのmRNAによりコードされるタンパク質又はペプチドとの複合体を製造するための核酸リンカーであって、 前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、 前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有することを特徴とする。
(2)本発明の一実施態様におけるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体は、先に記載の核酸リンカーを介して、前記mRNAと、前記mRNAによりコードされるタンパク質又はペプチドと、を連結してなることを特徴とする
(3)本発明の一実施態様におけるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法は、先に記載のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法であって、(a)前記mRNAと、前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有する核酸リンカーと、をアニールさせる工程と、(b)前記工程(a)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、 (c)前記工程(b)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を製造する工程と、(d)前記工程(c)の後、前記mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、を有することを特徴とする。
(4)本発明の一実施態様におけるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法は、先に記載のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法であって、(a1)複数種類のmRNAと、前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有し、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカーと、をそれぞれ別個にアニールさせる工程と、(b1)前記工程(a1)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、(c1)前記工程(b1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程と、(d1)前記工程(c1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、を有することを特徴とする。
(5)本発明の一実施態様における核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法は、先に記載の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法であって、(a2)前記mRNAと、前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有する核酸リンカーと、をアニールさせる工程と、(b2)前記工程(a2)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、(c2)前記工程(b2)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を製造する工程と、(d2)前記工程(c2)の後、前記mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、(e2)前記工程(d2)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して切断産物を得る工程と、(f2)前記工程(e2)の後、前記切断産物から前記核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、を有することを特徴とする。
(6)本発明の一実施態様における核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法は、先に記載の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法であって、(a3)複数種類のmRNAと、前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有し、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカーと、をそれぞれ別個にアニールさせる工程と、(b3)前記工程(a3)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、(c3)前記工程(b3)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程と、(d3)前記工程(c3)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、(e3)前記工程(d3)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して複数種類の切断産物を得る工程と、(f3)前記工程(e3)の後、前記複数種類の切断産物から前記複数種類の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、を有することを特徴とする。
)本発明の一実施態様におけるタンパク質アレイ又はペプチドアレイは、先に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体が基板上に固定化されてなることを特徴とする。
)本発明の一実施態様における分子間相互作用解析方法は、先に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体を標的分子と接触させ、前記標的分子と前記タンパク質複合体又はペプチド複合体との相互作用を解析することを特徴とする。
)本発明の一実施態様における分子間相互作用解析方法は、(a)前記タンパク質複合体又はペプチド複合体の、前記タンパク質又は前記ペプチドをベイトタンパク質として固相に固定する固定化工程と、(b)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質−プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と、(c)前記標識されたプレイタンパク質を検出する検出工程と、を有することを特徴とする。
(1)本発明の一実施態様におけるプレイタンパク質のスクリーニング方法は、(a)前記タンパク質複合体又はペプチド複合体の、前記タンパク質又は前記ペプチドをベイトタンパク質として固相に固定する固定化工程と、(b)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質−プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と、(c)前記ベイトタンパク質−プレイタンパク質結合体を集める収集工程と、(d)前記収集されたベイトタンパク質−プレイタンパク質結合体を洗浄して、前記プレイタンパク質を溶出させる溶出工程と、 を有することを特徴とする。
本発明によれば、ペプチド又はタンパク質を簡単に調整できる核酸リンカーが得られる。
本発明の核酸リンカーの一態様を示した図である。 本発明の核酸リンカーの一態様を示した図である。 本発明のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の一態様を示した図である。 本発明のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の一態様を示した図である。 本発明の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法の一態様を示した図である。 本発明の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法の一態様を示した図である。 実験例1における電気泳動の結果である。 実験例1における電気泳動の結果である。 実験例1における蛍光相関分光法を用いた解析結果である。 実験例1における蛍光相関分光法を用いた解析結果である。 実験例1における蛍光相関分光法を用いた解析結果である。 実験例1における蛍光相関分光法を用いた解析結果である。 実験例2の模式図及び核酸リンカーのコンストラクトを示す図である。 実験例2における電気泳動の結果である。
≪核酸リンカー≫[第1実施形態]
本実施形態の核酸リンカーは、mRNAと、そのmRNAによりコードされるタンパク質又はペプチドとの複合体を製造するための核酸リンカーである。本実施形態の核酸リンカーの構造について、図1を用いて説明する。
図1中、Puはピューロマイシン、ATCGはDNA配列を示している。また、spc18はアーム部分を構成するスペーサーを示し、rGはRNA配列を示している。
本実施形態の核酸リンカー2は、5’側にスクリーニングすべきmRNA23の少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分51aと、前記タンパク質又はペプチド33との連結部分2aを3’末端に有するアーム部分51bと、を有し、これらが一本鎖を形成している。
ポリヌクレオチド部分51aは、DNAであってもPNA(ポリヌクレオペプチド)などの核酸誘導体であってもよく、ヌクレアーゼ耐性が付与された修飾DNAが好ましい。
修飾DNAとしては、ホスホロチオエートなどのヌクレオシド間結合を有するDNA、2’−フルオロ、2’−O−アルキルなどの糖修飾を有するDNAなど,当該技術分野において知られる修飾DNAのいずれを用いてもよい。
アーム部分51bは、mRNA23とタンパク質又はペプチドとの連結部分2aとを所望の距離に保持するスペーサーとして機能する。アーム部分51bの5’末端は、ポリヌクレオチド部分51aの3’末端と結合し、アーム部分51bの3’末端はタンパク質連結部分2aを有する。
従来の核酸リンカーにおいては、アーム部分の5’末端は、ポリヌクレオチド部分の3’末端から数塩基5’側の位置でポリヌクレオチド部分と結合し、T字型の構造を形成していた。スクリーニングすべきタンパク質をコードするmRNAを逆転写させる必要がある場合には、逆転写の際にポリヌクレオチド部分の3’末端がプライマーとして機能するからである。
しかしながら、本実施形態においては、mRNAを逆転写させる必要がないため、ポリヌクレオチド部分51aと、アーム部分51bが連結して一本鎖を形成している。本実施形態の核酸リンカー2は、一本鎖という単純な構造を有しているため、従来の核酸リンカーと比較して容易に製造できる。
3’末端を除くアーム部分51bは、標識物質2dを用いて標識されてもよい。標識物質2dとしては、例えば、蛍光色素、蛍光ビーズ、量子ドット、ビオチン、抗体、抗原、エネルギー吸収性物質、ラジオアイソトープ、化学発光体、酵素等が挙げられる。
蛍光色素としては、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’ ,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Cy3、Cy5、Alexa568、Alexa647等が挙げられる。
本実施形態においては、アーム部分51bが、標識物質2dを、後述する切断部位2e(1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位)よりも、タンパク質又はペプチド33との連結部分2a側に有する。標識物質2dにより核酸リンカー2が標識される結果、タンパク質又はペプチド33が標識物質2dで標識されたことになる。標識物質2dの分子数は合成により適宜変更することができるため、本実施形態によれば、例えば蛍光相関分光法に必要とされる蛍光1分子でラベル化されたペプチドやタンパク質を迅速かつ簡単に調整できる。
アーム部分51bの3’末端にはタンパク質又はペプチド33の連結部分2aが存在する。タンパク質又はペプチド連結部分2aとは、所定の条件下でリボソーム上の伸張中のタンパク質又はペプチド33のC末端に特異的に結合する性質を有する構造を意味し、ピューロマイシンが代表的である。
ピューロマイシンは、アミノアシル−tRNAの3’末端と類似する構造を有するタンパク質合成阻害剤である。タンパク質33の連結部分2aとしては、伸張中のタンパク質又はペプチド33のC末端に特異的に結合する機能を有する限り、任意の物質を用いることができ、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(PANS−アミノ酸)、または3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(AANS−アミノ酸)などのピューロマイシン誘導体を用いることができる。
PANS−アミノ酸としては、アミノ酸部がグリシンのPANS−Gly、バリンのPANS−Val、アラニンのPANS−Ala、又はアミノ酸部が全ての各アミノ酸に対応するPANS−アミノ酸混合物を挙げることができる。
AANS−アミノ酸としては、アミノ酸部がグリシンのAANS−Gly、バリンのAANS−Val、アラニンのAANS−Ala、又はアミノ酸部が全アミノ酸の各アミノ酸に対応するAANS−アミノ酸混合物を挙げることができる。
ピューロマイシン以外に好適に使用できるアミノアシルtRNA3’末端アナログとしては、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur)、デオキシジルピューロマイシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur)などを挙げることができる。
アーム部分51bは、スペーサーとして機能するものであれば、核酸や核酸誘導体から構成されていてもよく、ポリエチレングリコールなどの高分子から構成されていてもよい。
アーム部分51bにはさらに、ピューロマイシンの安定性を高めるための修飾や、複合体の検出のための標識が付加されていてもよい。
本実施形態の核酸リンカー2は、切断部位2eとして、1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を、標識物質2dの結合位置よりも5’側に含む。切断部位2eで核酸リンカー2を切断することにより、タンパク質33を分子間相互作用解析に用いる際に、標識物質2dが結合している部分のみを残し、立体障害を起こす可能性のある他の核酸部分を除外することができる。
1本鎖核酸切断酵素切断部位とは、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼなどの1本鎖核酸切断酵素により切断されることができる核酸基をいい、ヌクレオチドおよびその誘導体が含まれる。本実施形態においては、RNaseT1によって切断される部位としてrGが設けられている。
また、光切断性部位とは,紫外線などの光を照射すると切断される性質を有する基をいう。かかる基を用いたものとして、例えば、PC Linker Phosphoramidite(Glen research社)、フラーレンを含有してなる核酸の光切断用組成物(核酸の光切断用組成物:特開2005−245223)などが挙げられる。
光切断性部位としては、当該技術分野において市販されているか、または知られているいずれの基を用いてもよい。
本実施形態の核酸リンカー2は、mRNA23の3’末端側との結合部位2fを、ポリヌクレオチド部分51aの5’末端側に有する。結合部位2fは、核酸リンカー2の末端側とmRNA23の末端側とをライゲーション又はハイブリダイズ可能な部位であれば特に限定されないが、図1に示すように、mRNA23の塩基と相補的な塩基からなるもの(例えば、mRNA23の3’末端がpolyAである場合には、polyAと相補的な塩基であるpolyT)であることが好ましい。
結合部位2fを有することにより、核酸リンカー2とmRNA23との結合の安定度を増すことができる。
本実施形態の核酸リンカー2は、一本鎖という単純な構造を有しているため、従来の核酸リンカーと比較して容易に製造できる。このため、この核酸リンカーを用いることにより、ペプチド又はタンパク質を迅速かつ簡単に調整できる。更に、本実施形態の核酸リンカー2は、アーム部分51bを標識物質2dにより標識可能である。また、標識物質2dの分子数を合成により適宜変更可能である。従って、本実施形態によれば、例えば蛍光相関分光法に必要とされる蛍光1分子でラベル化されたペプチドやタンパク質を迅速かつ簡単に調整できる。
[第2実施形態]
本実施形態の核酸リンカー12の構造について、図2を用いて説明する。
図2において、図1の核酸リンカー2の模式図に示されたものと同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の核酸リンカー12は、第1実施形態と同様に、5’側にスクリーニングすべきmRNA23の少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分51aと、前記タンパク質又はペプチド33との連結部分2aを3’末端に有するアーム部分51b’と、を有し、これらが一本鎖を形成している。また、アーム部分とポリヌクレオチド部分とがホスホジエステル結合により連結している。
本実施形態においては、アーム部分51b’が、核酸又は核酸誘導体のみからなる。即ち、本実施形態の核酸リンカー12は、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体がホスホジエステル結合のみにより連結されてなる。本実施形態の核酸リンカー12は、核酸又は核酸誘導体のみの一本鎖から構成されているため、第1実施形態に加えて、更に容易に製造することができる。
≪mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体及びその製造方法≫
[第1実施形態]
本実施形態のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体は、本実施形態の核酸リンカーを用いて製造される。
本実施形態のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法は、(a)前記mRNAと前記核酸リンカーとをアニールさせる工程と、(b)前記工程(a)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、(c)前記工程(b)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を作製する工程と、を有することを特徴とする。
以下、図3を用いて各工程について説明する。
工程(a)において、mRNA23と核酸リンカー2とをアニールさせる。まず、工程(a)に用いられるmRNAの調製について説明する。
mRNA23は、スクリーニングすべきタンパク質又はペプチドをコードするDNAを調製し、そのDNAをRNAポリメラーゼにより転写させることにより得られる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。
前記DNAとしては、標的分子との結合に関して調べたい任意のDNAまたはDNAライブラリーを利用することができる。例えば、サンプル組織から得たcDNAライブラリー、配列をランダムに合成したDNAライブラリー、配列の一部を変異させたDNAライブラリーなどを用いることができる。
作製されるタンパク質又はペプチドを精製しやすいように、PCR等で予めDNAの末端にポリヒスチジンやFLAG等のタグをコードする塩基配列を付加しておくことが好ましい。
次にmRNA23の3’末端領域と核酸リンカー2の5’末端領域とをアニールさせる。例えば、90℃まで加熱し、mRNA23を変性させた後、1時間かけて25℃まで冷却することによりmRNA23が核酸リンカー2に確実にハイブリダイズされる。
次に工程(b)において、前記工程(a)の後、mRNA23の3’末端と核酸リンカー2の5’末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を作製する。
ライゲーションに際し、前記mRNAの3’末端を、T4ポリヌクレオチドキナーゼ等の酵素を用いて、リン酸化させておく必要がある。ライゲーションに用いる酵素としては、RNAリガーゼが好ましく、例えばT4RNAリガーゼが挙げられる。
次に工程(c)において、前記工程(b)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNA23からタンパク質又はペプチド33を合成し、タンパク質又はペプチド33のC末端と核酸リンカー2のタンパク質又はペプチド33との連結部分2aとを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を作製する。
無細胞タンパク質翻訳系とは、適当な細胞から抽出されたタンパク質合成能を有する成分からなるタンパク質翻訳系であり、この系にはリボゾーム、翻訳開始因子、翻訳伸長因子、解離因子、アミノアシルtRNA合成酵素等、翻訳に必要な要素が含まれている。このようなタンパク質翻訳系として、大腸菌抽出液、ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液等が挙げられる。
更に、翻訳に必要な要素が独立に精製された因子のみからなる再構成型無細胞タンパク質合成系が挙げられる。再構成型無細胞タンパク質合成系は、従来の細胞抽出液を使用する場合よりもヌクレアーゼやプロテアーゼの混入を容易に防ぐことができるため、翻訳効率を高めることができる。
このような系を用いることにより、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体が製造される。
[第2実施形態]
本実施形態のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法は、(a1)複数種類のmRNAと、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカー、とをそれぞれ別個にアニールさせる工程と、(b1)前記工程(a1)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、(c1)前記工程(b1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程、を有する。
上述した第1実施形態におけるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法によれば、mRNAから翻訳したタンパク質又はペプチドのC末にピューロマイシンを含む核酸リンカーが結合することにより、蛍光色素等の標識物質を導入することができる。
かかる方法は、タンパク質又はペプチドと標的分子の相互作用を、例えば蛍光色素を使用して測定する際に非常に有用な標識方法を提供するものである。
更に、本実施形態におけるmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法は、上記蛍光色素を使用して分子間相互作用を解析する場合において、蛍光相関分光法(Fluorescence correlation spectroscopy:FCS)を使用するときに、有用性を発揮する。
以下、図4を用いて各工程について説明する。
本実施形態においては、簡略化のため2種類のmRNA53,63と、互いに異なる種類の標識物質22d,32dを有する2種類の核酸リンカー22,32について説明する。
工程(a1)は、2種類のmRNA53,63と、互いに異なる種類の標識物質22d,32dを有する2種類の核酸リンカー22,32とを、それぞれ別の反応容器中に用意し、別個にアニールさせる工程である。
用いられる標識物質としては、蛍光色素が好ましく、例えば、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’ ,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Cy3、Cy5、Alexa568、Alexa647等が挙げられる。
工程(b1)は、前記工程(a1)の後、mRNA53,63の3’末端と核酸リンカー22,32の5’末端とをライゲーションさせて、2種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程である。ライゲーションの詳細については、第1実施形態の工程(b)と同様である。工程(b1)により、例えば、A色の蛍光色素が結合したmRNA−核酸リンカー複合体とB色の蛍光色素が結合したmRNA−核酸リンカー複合体がそれぞれ別個に製造される。
工程(c1)は、前記工程(b1)の後、2種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いてmRNA53,63からタンパク質又はペプチド133,233を合成し、タンパク質又はペプチド133,233のC末端と核酸リンカー22,32のタンパク質又はペプチドとの連結部分22a,32aとを各々結合させて、2種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程である。
無細胞タンパク質翻訳系の詳細については、第1実施形態の工程(c)と同様である。
工程(c1)により、例えば、A色の蛍光色素が結合したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体とB色の蛍光色素が結合したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体が同一反応液中に製造される。
蛍光色素を使用して、分子間相互作用等を解析する場合、数種類のタンパク質分子又はペプチド分子に、それぞれ異なる色の蛍光標識をそれぞれ施すことにより、同時に数種類の分子における分子間相互作用等の解析が可能となる。
本実施形態においては、2種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造することにより、この反応混合液を、その後の分子間相互作用解析に用いることができる。
本実施形態によれば、複数種類のタンパク質分子又はペプチド分子に比較的容易に、様々な色の蛍光標識を、簡便に、確実に標識できる。
≪核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法≫
本実施形態の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体は、核酸リンカーを1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位で切断することにより生じる二つの断片のうち、タンパク質又はペプチドとの連結部分を含む断片と、タンパク質又はペプチドと、からなる。かかる核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法としては、特に限定されないが、好ましい実施形態について以下、説明する。
[第1実施形態]
本実施形態の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法は、(a)前記mRNAと前記核酸リンカーとをアニールさせる工程と、(b)前記工程(a)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、(c)前記工程(b)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を製造する工程と、(d2)前記工程(c)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して切断産物を得る工程と、(e2)前記工程(d2)の後、前記切断産物から前記核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、を有する。
以下、図5を用いて各工程について説明するが、図5において、図3のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の模式図に示されたものと同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
工程(a)〜工程(c)は、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の第1実施形態の工程と同様である。
工程(d2)は、工程(c)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカー2を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して切断産物を得る工程である。
工程(d2)における1本鎖核酸切断酵素の作用方法は、RNaseT1等の酵素の至適pH、至適温度等を考慮して定法に従った方法が挙げられる。
また、光照射方法としては、紫外線等の光切断部位を切断し得る波長の光を照射する方法が挙げられる。
mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断することにより、切断産物として、タンパク質又はペプチド33との連結部分を含む断片(核酸リンカー断片66)とタンパク質又はペプチド33とからなる核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体、及び、切断部位より5’末端側の核酸リンカー断片(その他の核酸リンカー断片68)とmRNA23との複合体が得られる。
工程(e2)は、前記工程(d2)の後、前記切断産物から前記核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程である。
工程(e2)において、切断産物として存在する、切断部位より5’末端側の核酸リンカー断片(その他の核酸リンカー断片68)とmRNAとの複合体、及び、前記核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体とから、核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体のみを精製する。切断産物中には、複合体を形成しなかったフリーのmRNAや核酸リンカーの切断産物も含まれるため、精製により、併せてこれらも除去する。
精製方法としては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン精製交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等、クロマトグラフィーを用いた精製方法が挙げられる。中でも、簡便且つ精製効率が高いという観点から、アフィニティークロマトグラフィーを用いた精製方法が好ましい。
アフィニティークロマトグラフィーとしては、スクリーニングすべきmRNAがコードするタンパク質又はペプチドを構成するアミノ酸配列に応じて適宜選択される。mRNAに、ポリヒスチジンやFLAG等のタグをコードする塩基配列が付加されている場合には、これらのタグ配列に親和性を示す物質を用いることができる。例えば、スクリーニングすべきmRNAがポリヒスチジンをコードする塩基配列を有している場合には、ニッケルカラムやコバルトカラムを用いることができる。ここで、ニッケルカラムやコバルトカラムを用いる場合には、カラムにキレートしているニッケルやコバルトの脱離を防止するために、透析等、バッファー交換を行い予め切断産物から還元剤を除いておくことが好ましい。
また、精製方法としては、樹脂担体をそのまま用いたバッチ精製法でもよい。
工程(e2)により、核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体が得られる。これら複合体は、三次元構造を形成することによりアプタマーとして機能するおそれのあるmRNAを排除してあるため、分子間相互作用解析に好適に用いられる。
[第2実施形態]
本実施形態の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法は、(a1)複数種類のmRNAと、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカーと、をそれぞれ別個にアニールさせる工程と、(b1)前記工程(a1)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、(c1)前記工程(b1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程と、(d3)前記工程(c1)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して複数種類の切断産物を得る工程と、(e3)前記工程(d3)の後、前記複数種類の切断産物から前記複数種類の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、を有する。
以下、図6を用いて各工程について説明するが、図6において、図4のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の模式図に示されたものと同じ構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
工程(a1)〜工程(c1)は、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法の第2実施形態の工程と同様である。
工程(d3)は、工程(c1)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して切断産物を得る工程である。
工程(d3)における1本鎖核酸切断酵素の作用方法及び光照射方法は、第1実施形態における工程(d2)におけるものと同様である。
工程(d3)により、例えば、A色の蛍光色素又はB色の蛍光色素が結合したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断することにより、切断産物として、タンパク質又はペプチドとの連結部分を含む断片(核酸リンカー断片166,266)と、タンパク質又はペプチド133,233と、からなるA色の蛍光色素又はB色の蛍光色素が結合した核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体、及び、切断部位より5’末端側の核酸リンカー断片(その他の核酸リンカー断片168,268)とmRNA53,63との複合体を一度に得られる。
工程(e3)は、前記工程(d3)の後、前記複数種類の切断産物から前記複数種類の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程である。
工程(e3)における精製方法は、第1実施形態における工程(e2)におけるものと同様である。
工程(e3)により、例えば、A色の蛍光色素又はB色の蛍光色素が結合した核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体が一度に得られる。
これら複合体は、三次元構造を形成することによりアプタマーとして機能するおそれのあるmRNAを排除してあるため、これら複合体をそのまま分子間相互作用解析に供することができる。
≪タンパク質アレイ又はペプチドアレイ≫
本実施形態のタンパク質アレイ又はペプチドアレイは、上述したタンパク質複合体又はペプチド複合体をマイクロアレイ基板上に固定化されてなるものである。用いられる基板としては、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板等が挙げられる。本実施形態のタンパク質複合体又はペプチド複合体に、固相結合部位を設け、その固相結合部位と、基板に結合させた固相結合部位認識部位との結合を利用して、タンパク質複合体をマイクロアレイ基板上に固定化する。
このような固相結合部位/固相結合部位認識部位の組み合わせとしては、アビジン及びストレプトアビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、スクシンイミジル基等の活性エステル基/アミノ基、ヨウ化アセチル基/アミノ基、マレイミド基/チオール基(‐SH)、マルトース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパク質/エストラジオールなどの、各種受容体タンパク質/そのリガンドなどが挙げられる。
これらの中で、固相結合部位/固相結合部位認識部位の組合せとしては、アビジン及びストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルあるいはコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、抗体/抗原分子(エピトープ)などが好ましく、使い勝手の良さからストレプトアビジン/ビオチンの組合せが最も好ましい。
なお、上記組合せは、固相結合部位と固相結合部位認識部位とを逆転させて用いることもできる。上記の固定化手段は、2つの相互に親和性を有する物質を利用した固定化方法である。固相がスチレン基板などのプラスチック材料であれば、必要に応じて、公知の手法を用いてリンカーの一部を直接それらの固相に共有結合させることもできる(Qiagen社、LiquiChip Applications Handbook等参照)。
本実施形態のタンパク質アレイ又はペプチドアレイが、上述した核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を固相に固定したものである場合には、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を切断する際、切断除去されるmRNAを別途回収して、タンパク質アレイ又はペプチドアレイ上の各スポットの遺伝情報を集積しておく必要がある。固相の例として、ビーズや基板が挙げられる。
なお、核酸リンカー−タンパク質複合体又は核酸リンカー−ペプチド複合体を固相に固定する場合には、固相結合部位は核酸リンカーのポリヌクレオチド部分またはアーム部分に設けてもよい。
≪分子間相互作用解析方法≫
本実施形態の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を用いて、標的分子との相互作用を解析することができる。また、本実施形態のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を用いて、標的分子との相互作用を解析することができる。「標的分子」とは、本実施形態において合成されるタンパク質又はペプチドと相互作用するか否かを調べるための物質を意味し、有機化合物、無機化合物、あるいはこれらの複合体を示し、一例として、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子化合物等が挙げられる。
この際、餌となるタンパク質側を「ベイト(bait)」といい、釣られるタンパク質側を「プレイ(prey、餌食)」という。ここで、ベイトタンパク質(bait protein)としては、所望のタンパク質を使用することができる。また、プレイタンパク質(prey protein)としては、例えば、サバイビンモノマー、サバイビンダイマー、及び低分子化合物からなる群から選ばれることが好ましく、サバイビンモノマー又はサバイビンダイマーであることが、特に好ましい。ここで、上記「低分子化合物」とは、分子量30〜1,500の範囲にある化合物をいい、糖鎖の有無を問わない。例えば、アフラトキシンB1、シガトキシン、フルオロセイン、N−アセチル−D−グルコサミン等を挙げることができる。たとえば、標識したプレイタンパク質(例として蛍光標識したプレイタンパク質)とタンパク質複合体又はペプチド複合体を反応させ、結合体を生成し、標識したプレイタンパク質を検出することで、その結合体の相互作用を解析することができる。
分子間相互作用を測定する手法としては、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET法)、エバネッセント場分子イメージング法、蛍光イメージングアナライズ法、固相酵素免疫検定法(Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA))、蛍光偏光解消法、蛍光相関分光法(Fluorescence correlation spectroscopy:FCS)等が挙げられ、蛍光相関分光法を用いることが好ましい。
蛍光相関分光法は、蛍光分子が微小な焦点領域を出入りする際に生じる「蛍光強度のゆらぎ」を解析することで、その蛍光分子の持つ「動き」と「数」という動的な情報を得ることができる方法である。
本実施形態のタンパク質複合体又はペプチド複合体は、蛍光1分子でラベル化されたペプチドやタンパク質を迅速かつ簡単に調整できるため、蛍光相関分光法に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1](核酸リンカーの合成1)
以下に示す材料をジーンワールド社より購入した。
(1)FCS Linker[配列:5’−X1−(Alexa488)−(spc18)−CC−(Puro)−3’]
ここで、X1は以下の配列を表す。
CCCACCCCGCCGCCCCCCGTCCTAA(rG)TC(配列番号1:28mer)
また、(Puro)はPuromycin CPG、(spc18)は(18−O−Dimethoxytritylhexaethyleneglycol,1−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramidite)である。これらは、いずれもGlen Research社製である。
(mRNAの合成)
5’上流にT7プロモーター配列と翻訳促進配列、3’側下流にスペーサー領域及びFCS Linkerとの相補鎖領域を有する配列を付加したProteinAのB−domain(以下、BDAという。配列番号2:367bp)をPCRにより増幅した。
PCRにより得られたDNAからT7 RiboMAX Express Large Scale RNA Production System(プロメガ社製)を用いて、添付のプロトコールに従って5〜30pmol/μlのmRNAを合成した(337b)。
(mRNAと核酸リンカーの結合)
前記mRNA5pmolと、前記FCS Linker 10pmolをT4 RNALigase buffer (タカラバイオ社製)中で混合し、90℃に加熱した後、15分間かけて25℃まで冷却した。この溶液に、0.5μlのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10U/μl、東洋紡績社製)と、0.5μlのT4 RNAリガーゼ(40U/μl、タカラバイオ社製)を加えて混合し、25℃で15分間反応させた。
反応産物を8M尿素8%変性アクリルアミドゲル電気泳動で分離し、SYBRGOLD(Invitrogen社製)にて染色した。また、核酸リンカーは、Alexa488により蛍光標識されており、この標識を指標に、蛍光イメージを取得した。結果を図7に示す。
レーン1はFCS LinkerとmRNA(BDA)とのライゲーション産物、レーン2はmRNA(BDA)を泳動したものである。
矢印はmRNA、mRNA−FCS Linker、又はFCS Linkerを示す。左図及び右図の電気泳動結果は、同一のゲルを異なるイメージング法を用いて解析したものである。左図は、Alexa488による蛍光イメージを取得した結果であり、右図は、SYBRGOLDを用いて核酸を染色した結果である。
レーン1において、未反応のBDAのmRNAが検出されないことから、本実施形態の核酸リンカーを用いた場合のライゲーション効率は高いことが分かる。
(無細胞タンパク質翻訳系による翻訳)
上記のように合成した、核酸リンカーとmRNAの複合体に無細胞タンパク質翻訳系(Wheat Germ Extract Plus、Promega社)を30μl加え、30℃、30分翻訳反応を行った。その後、3M KClを10μl、1M MgClを3μl加えて37℃で40分間放置し、0.4M EDTAを10μl加え、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体を合成した。
(Niカラムによる核酸リンカー断片−タンパク質複合体の精製)
上記のように合成したmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体にRNaseT1を添加し、37℃、30分間インキュベーションした。次いで、この反応溶液を、平衡化バッファー(50mM リン酸ナトリウム、300mM 塩化ナトリウム、20mM イミダゾール;pH 7.4)で平衡化した簡易カラム(Micro Bio−spin 6, Bio−Rad社)を用いてバッファー交換をした。
Niカラムを平衡化バッファーを用いて平衡化した後、バッファー交換をしたmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体分解物(核酸リンカー断片−タンパク質複合体)をNiカラムに添加した。
次いで、洗浄バッファー(50mM リン酸ナトリウム、300mM 塩化ナトリウム、40mM イミダゾール;pH 7.4)を添加して、Niカラムから夾雑物を取り除いた後、溶出バッファー(50mM リン酸ナトリウム、300mM 塩化ナトリウム、300mM イミダゾール;pH 7.4)を添加し、精製された核酸リンカー断片−タンパク質複合体を回収した。
上記に従って精製した核酸リンカー断片−タンパク質複合体をSDS−PAGEを用いて電気泳動を行った。核酸リンカーは、Alexa488により蛍光標識されているため、泳動後、この標識を指標に、蛍光イメージを取得した。
結果を図8に示す。
図8中、レーン1はNiカラムで精製後の核酸リンカー断片−タンパク質複合体(3pmol)、レーン2は精製前のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体分解物(0.5pmol)、レーン3は核酸リンカーのみの分解物(1pmol)を泳動したものである。矢印は核酸リンカー断片−タンパク質複合体(FCS Linker−B domain複合体)、核酸リンカー(FCS Linker)、又は核酸リンカー断片(FCS Linker断片)を示す。レーン1に示されるように、精製された核酸リンカー断片−タンパク質複合体の純度は非常に高いことが確認された。
(FCSによる核酸リンカー断片−B−domain複合体とIgG間の相互作用解析)
サンプル容器に、核酸リンカー断片−B−domain複合体1.59nMと、BDAと強い相互作用を示すことが知られているIgGを、それぞれ0nM,0.17nM,0.33nM,1.67nM,3.33nM,16.7nM,33.3nM,167nM,333nM添加し、各試料の測定を行った。
各試料の実測データより自己相関関数を演算し、フィッティングカーブをとった結果を図9〜図11に示す。また、各IgG濃度における拡散時間を表1に示す。
表1に示すように、FCSの結果よりフリーのBDAの拡散時間は、0.093983 msであった。フリーのBDAとIgG−BDA複合体の分子量の差は161169/11169=14.430倍であるため、それぞれのタンパク質が球状と仮定すると、拡散時間は14.431/3=2.436倍となり、0.22339571 msとなる。
結合率x%は拡散時間をtmsとすると、x=(t−0.093983)/(0.22339571−0.093983)で求められる。図12は、IgGとBDAのモル比と結合率のプロットである。BDA=1.59nMであるため結合率50%の濃度(Kd値)は1.59×6.816=10.8nMとなる。
また、各IgG濃度に基づくKd値は、
Kd=[フリーなA分子][フリーなB分子]/[結合したA分子]で求められる。各IgG濃度に基づくKd値を表2に示す。
各IgG濃度に基づくKd値は、図12から算出された値とほぼ一致していることが確認された。
以上の結果から、本実施形態の核酸リンカーによれば、簡便に合成可能で、標識ペプチド又は標識タンパク質を迅速かつ簡単に調整することができる。よって、本実施形態の核酸リンカーを用いて得られたタンパク質を用いて、分子間相互作用解析を迅速かつ容易に行えることが明らかである。
[実験例2]
下記の核酸リンカーを用いて分子間相互作用解析(baitタンパク質とpreyタンパク質との相互作用解析)を行った。図13に、実験例2の模式図及び核酸リンカーのコンストラクトを示す。分子間相互作用解析としてプルダウン法を用い、相互作用を示すことが知られている3種類の組み合わせ(BDAとIgG;FLAGタグと抗FLAG抗体;マウスFasリガンド(以下、FasLという。)と抗FasLモノクローナル抗体)について評価した。
BDA、FLAGタグ、FasLを、磁気ビーズにbaitタンパク質として固定した。図13に示すように、baitタンパク質をコードするDNAは、T7プロモーター配列、オメガ配列、コザック配列、baitタンパク質コード領域、及び核酸リンカーとハイブリダイズする領域(以下、HRという。)から構成される。baitタンパク質をコードするDNAをT7RiboMAX Express Large Scale RNA Production System(プロメガ社製)を用いて、添付のプロトコールに従ってmRNAを合成し、RNA purification kit(キアゲン社製)を用いて精製した。
(核酸リンカーの合成2)
以下に示す材料をジーンワールド社より購入した。
(1)ビオチン化核酸リンカー[配列:5’−CCGC−(B)−X2−(spc18)−CC−(Puro)−3’]
ここで、X2は以下の配列を表す。
CGACCCCGCCGCCCCCCGTCCT(配列番号3:22mer)
また、(B)はBiotinTEGで修飾されたT、(Puro)はPuromycin CPG、(spc18)は(18−O−Dimethoxytritylhexaethyleneglycol,1−[(2−cyanoethyl)−(N,N−diisopropyl)]−phosphoramidite)である。これらは、いずれもGlen Research社製である。
(mRNAと核酸リンカーの結合)
上述した精製mRNAと、ビオチン化核酸リンカーを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ及びT4 RNAリガーゼを用いて結合(ライゲーション)させた。
(無細胞タンパク質翻訳系による翻訳)
ライゲーション産物に対して、Retic Lysate IVT kitを用いて、翻訳反応を行い、mRNA−ビオチン化核酸リンカー−タンパク質複合体を合成した。翻訳反応産物にEDTA溶液(0.5M,pH8.0)を加え、mRNA−ビオチン化核酸リンカー−タンパク質複合体に結合しているリボソームを取り除いた。次いで、RNase One(プロメガ社製)を加え、mRNA−ビオチン化核酸リンカー−タンパク質複合体中のmRNAを分解した。磁気ビーズとしてDynabeads MyOne streptavidin C1(インビトロジェン社製)を用いて、各ビオチン化核酸リンカー−タンパク質複合体溶解液からビオチン化baitタンパク質を捕捉した。
(プルダウンアッセイ)
各preyタンパク質(IgG:シグマーアルドリチ社製、マウスモノクローナル抗FLAG抗体:シグマーアルドリチ社製、ハムスターモノクローナル抗FasL抗体:医学生物学研究所製)をN―ヒドロキシスクシニミド−フルオロセイン(Pierce社製)で標識した。フルオロセイン標識preyタンパク質溶解液(200nM又は400nM)をビオチン化baitタンパク質が結合した磁気ビーズに加え、25℃で30分インキュベーションを行った後、この磁気ビーズを0.01%Tween20含有PBS(以下、PBSTという。)で3回洗浄した。洗浄後の磁気ビーズをSDS−PAGEサンプルバッファーに懸濁し、90℃で5分インキュベーションを行い、磁気ビーズ上に残ったpreyタンパク質−ビオチン化baitタンパク質複合体を溶出した。
溶出液をSDS−PAGEを用いて電気泳動を行った。泳動後、fluorimager(バイオラッド社製)を用いて蛍光イメージを取得した。結果を図14に示す。図14上段は、プルダウンされたpreyタンパク質の蛍光イメージを示し、図14下段は、各イメージ(バンド)の蛍光強度を定量化したグラフである。図14に示されるように、相互作用を示すことが知られている組み合わせにおいては、ビオチン化baitタンパク質によりpreyタンパク質がプルダウンされることが確認された。また、FLAGタグと抗FLAG抗体との結合の度合いは、FasLと抗FasLモノクローナル抗体の結合の度合いより強い等、プルダウンされたpreyタンパク質の蛍光強度は、概ね各相互作用における解離定数に依存していた。
更に、プルダウンされたpreyタンパク質の分子数がInputされるpreyタンパク質の濃度に依存するかどうかを、2種類の異なる濃度(200nM,400nM)の抗FLAG抗体を用いて評価した。図14上段に示されるように、400nMの抗FLAG抗体を用いた場合は、200nMの抗FLAG抗体を用いた場合よりも、より多分子数のpreyタンパク質がプルダウンされることが分かった。
以上の結果から、本実施形態の核酸リンカーによれば、分子間相互作用解析に必要な量のbaitタンパク質を迅速かつ簡単に低コストで調整することができる。よって、本実施形態の核酸リンカーを用いて得られたタンパク質を用いて、分子間相互作用解析を迅速かつ容易に行えることが明らかである。
本発明によれば、ペプチド又はタンパク質を簡単に調整できる核酸リンカーが得られる。したがって、本発明は相互作用解析等に好適に利用でき、産業上極めて重要である。
2,12,22,32…核酸リンカー
2a,22a,32a…連結部分
2d, 22d,32d…標識物質
2e…切断部位
2f…結合部位
23,53,63…mRNA
33,133,233…タンパク質又はペプチド
51a…ポリヌクレオチド部分
51b,51b’…アーム部分
66,166,266…核酸リンカー断片
68,168,268…その他の核酸リンカー断片

Claims (16)

  1. mRNAと、該mRNAによりコードされるタンパク質又はペプチドとの複合体を製造するための核酸リンカーであって、
    前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、
    前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、
    前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、
    前記結合部位に固相結合部位を有し、
    前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有することを特徴とする核酸リンカー。
  2. 前記固相結合部位がビオチンである請求項1に記載の核酸リンカー。
  3. 前記ポリヌクレオチド部分と、前記アーム部分とがホスホジエステル結合で連結した請求項1又は2に記載の核酸リンカー。
  4. ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体がホスホジエステル結合のみにより連結されてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸リンカー。
  5. 前記タンパク質又はペプチドは、分子間相互作用解析に用いられる請求項1〜のいずれか一項に記載の核酸リンカー。
  6. 前記タンパク質又はペプチドとの連結部分は、前記アーム部分の末端にピューロマイシン、3’−N−アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド、又は3’−N−アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシドが結合されてなる請求項1〜のいずれか一項に記載の核酸リンカー。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の核酸リンカーを介して、前記mRNAと、前記mRNAによりコードされるタンパク質又はペプチドと、を連結してなることを特徴とするmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体。
  8. mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法であって、
    (a)前記mRNAと、
    前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有する核酸リンカーと、
    をアニールさせる工程と、
    (b)前記工程(a)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を製造する工程と、
    (d)前記工程(c)の後、前記mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、
    を有することを特徴とするmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法。
  9. mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法であって、
    (a1)複数種類のmRNAと、
    前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有し、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカーと、
    をそれぞれ別個にアニールさせる工程と、
    (b1)前記工程(a1)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、
    (c1)前記工程(b1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程と、
    (d1)前記工程(c1)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、
    を有することを特徴とするmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体の製造方法。
  10. 核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法であって、
    (a2)前記mRNAと、
    前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有する核酸リンカーと、
    をアニールさせる工程と、
    (b2)前記工程(a2)の後、前記mRNAの末端と前記核酸リンカーの末端とをライゲーションさせて、mRNA−核酸リンカー複合体を製造する工程と、
    (c2)前記工程(b2)の後、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を製造する工程と、
    (d2)前記工程(c2)の後、前記mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、
    (e2)前記工程(d2)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、mRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して切断産物を得る工程と、
    (f2)前記工程(e2)の後、前記切断産物から前記核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、
    を有することを特徴とする核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法。
  11. 核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法であって、
    (a3)複数種類のmRNAと、
    前記mRNAの少なくとも一部の配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド部分と、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分を末端に有するアーム部分と、が一本鎖を形成してなり、前記mRNAの末端との結合部位を、前記ポリヌクレオチド部分側の末端に有し、前記結合部位に固相結合部位を有し、前記アーム部分が、該アーム部分を切断するための1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位を含み、且つ標識物質を、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は光切断部位よりも、前記タンパク質又はペプチドとの連結部分側に有し、互いに異なる種類の標識物質を有する複数種類の核酸リンカーと、
    をそれぞれ別個にアニールさせる工程と、
    (b3)前記工程(a3)の後、前記複数種類のmRNAの末端と前記複数種類の核酸リンカーの末端とをそれぞれ別個にライゲーションさせて、複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体をそれぞれ別個に製造する工程と、
    (c3)前記工程(b3)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー複合体を混合し、無細胞タンパク質翻訳系を用いて前記mRNAからタンパク質又はペプチドを合成し、前記タンパク質又はペプチドのC末端と前記核酸リンカーの前記タンパク質又はペプチドとの連結部分とを結合させて、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を同一反応液中に製造する工程と、
    (d3)前記工程(c3)の後、前記複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体を、固相結合部位認識部位を有する固相に結合させて精製する工程と、
    (e3)前記工程(d3)の後、1本鎖核酸切断酵素を作用させることにより、又は、光照射により、複数種類のmRNA−核酸リンカー−タンパク質複合体又はmRNA−核酸リンカー−ペプチド複合体中の核酸リンカーを、前記1本鎖核酸切断酵素部位又は前記光切断部位で切断して複数種類の切断産物を得る工程と、
    (f3)前記工程(e3)の後、前記複数種類の切断産物から前記複数種類の核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体を精製する工程と、
    を有することを特徴とする核酸リンカー断片−タンパク質複合体又は核酸リンカー断片−ペプチド複合体の製造方法。
  12. 請求項に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体が基板上に固定化されてなることを特徴とするタンパク質アレイ又はペプチドアレイ。
  13. 請求項に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体を標的分子と接触させ、前記標的分子と前記タンパク質複合体又はペプチド複合体との相互作用を解析することを特徴とする分子間相互作用解析方法。
  14. 蛍光相関分光法を用いる請求項13に記載の分子間相互作用解析方法。
  15. 分子間相互作用解析方法であって、
    (a)請求項に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体の、前記タンパク質又は前記ペプチドをベイトタンパク質として固相に固定する固定化工程と、
    (b)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と、
    (c)前記標識されたプレイタンパク質を検出する検出工程と、
    を有することを特徴とする分子間相互作用解析方法。
  16. プレイタンパク質のスクリーニング方法であって、
    (a)請求項に記載のタンパク質複合体又はペプチド複合体の、前記タンパク質又は前記ペプチドをベイトタンパク質として固相に固定する固定化工程と、
    (b)前記ベイトタンパク質と、標識されたプレイタンパク質とを反応させてベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を生成させる反応工程と、
    (c)前記ベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を集める収集工程と、
    (d)前記収集されたベイトタンパク質‐プレイタンパク質結合体を洗浄して、前記プレイタンパク質を溶出させる溶出工程と、
    を有することを特徴とするプレイタンパク質のスクリーニング方法。
JP2014548509A 2012-11-21 2013-11-07 核酸リンカー Expired - Fee Related JP6194894B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012255737 2012-11-21
JP2012255737 2012-11-21
PCT/JP2013/080097 WO2014080766A1 (ja) 2012-11-21 2013-11-07 核酸リンカー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014080766A1 JPWO2014080766A1 (ja) 2017-01-05
JP6194894B2 true JP6194894B2 (ja) 2017-09-13

Family

ID=50775951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014548509A Expired - Fee Related JP6194894B2 (ja) 2012-11-21 2013-11-07 核酸リンカー

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6194894B2 (ja)
WO (1) WO2014080766A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003048363A1 (fr) * 2001-12-07 2003-06-12 Keio University Complexes de molecules assignees et d'une proteine a terminal c marque, complexes de molecules assignees, et procede d'analyse d'interactions entre proteines utilisant ces complexes
JP2008253176A (ja) * 2007-04-03 2008-10-23 Janusys Kk 高親和性分子取得のためのリンカー
JP5733784B2 (ja) * 2009-09-24 2015-06-10 国立大学法人埼玉大学 cDNA/mRNA−タンパク質連結体の効率的合成法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014080766A1 (ja) 2014-05-30
JPWO2014080766A1 (ja) 2017-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US12065690B2 (en) Methods of identifying multiple epitopes in cells
CN110637086B (zh) Rna分子与肽的复合体的制造方法及其利用
EP1816192B1 (en) LINKER FOR CONSTRUCTING mRNA-PUROMYCIN-PROTEIN CONJUGATE
JP6057185B2 (ja) 核酸リンカー
JP6506838B2 (ja) 試験管内淘汰及び分子間相互作用解析用高速光架橋型共用リンカー、そのリンカーを用いた試験管内淘汰方法
US10995362B2 (en) Methods of identifying multiple epitopes in cells
US20220056515A1 (en) Methods of identifying multiple epitopes in cells
US20200157603A1 (en) Methods of identifying multiple epitopes in cells
JP5733784B2 (ja) cDNA/mRNA−タンパク質連結体の効率的合成法
JP6020865B2 (ja) 核酸リンカー
JP5759678B2 (ja) 核酸リンカー
US11560585B2 (en) Methods of identifying multiple epitopes in cells
JP6048975B2 (ja) タンパク質固定化固相、及びポリヌクレオチド固定化固相、並びに、核酸回収方法
JP6194894B2 (ja) 核酸リンカー
JPWO2003048363A1 (ja) 対応付け分子とc末端ラベル化蛋白質の複合体および対応付け分子の複合体、ならびにそれらの複合体を利用した蛋白質間相互作用解析方法
JP6478392B2 (ja) 核酸リンカー
JPWO2005001086A1 (ja) 固定化mRNA−ピューロマイシン連結体及びその用途
JP4747292B2 (ja) 翻訳テンプレートおよびそのライブラリー、それらから合成される蛋白質および蛋白質のライブラリー、ならびにそれらを構成する要素、ならびにそれらの製造法および利用方法
JPWO2004053127A1 (ja) 対応付け分子およびその構成要素のライブラリーの製造方法および利用方法
JP2004337022A (ja) 機能性分子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6194894

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees