JP2004329028A - 茶搾汁液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】茶葉と水を混合したものを凍結させ、凍結状態のまま削氷乃至粉砕し、削氷乃至粉砕したものを圧搾して搾汁液を得る。茶葉を凍結状態で粉砕するため、茶葉と水分を凍結固定したまま粉砕でき、粉砕工程での泡噛みが生じないから泡噛みによる酸素の取り込みよる酸化劣化を防ぐことができる。さらに、熱劣化のない環境下で茶葉を処理できるから抽出液の劣化を防ぐことができる。また、茶葉を氷に閉じ込められた状態で切断乃至粉砕するため、茶葉内部の香気を氷に閉じ込めて外気に拡散させることなく、香気の優れた茶搾汁液を得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、茶飲料や各種添加剤などの製造に用いる茶搾汁液の製造方法に関し、詳しくは特に滋味に優れた茶搾汁液を得るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
茶葉を低温の水で抽出すると、旨味が強く、渋味及び苦味の少ない抽出液が得られることは知られており、次のような低温抽出法による茶抽出液或いは茶飲料の製造方法が開示されている。
【0003】
特許文献1(特開平3−108444)は、45℃以下の水中で茶葉を粉砕してスラリー状とした後、微粒子を除去する工程を備えた茶抽出液の製造方法を開示している。
【0004】
特許文献2(特開平6−343389)は、茶葉を抽出する工程において、20℃以上60℃未満(好ましくは50℃以下)というかなり低い温度範囲で、かつ溶存酸素濃度1ppm以下の脱気水を用いて抽出する緑茶飲料の製造方法を開示している。
【0005】
特許文献3(特開平8−103220)は、 緑茶、麦茶、その他茶類の冷温水抽出で品質が良好な抽出液を短時間で得るための方法として、緑茶、麦茶、その他茶類の冷温水抽出時に超音波を照射する方法を開示している。
【0006】
特許文献4(特開2000−50799)は、L−アスコルビン酸塩などの抗酸化剤を添加した0〜36℃に保持されてなる静水中に茶葉を浸漬し濾すとともに、上記静水中に溶存酸素が除去され且つ0〜36℃に保持されてなる水を常時供給することを特徴とする茶抽出方法を開示している。また、酸素が略存在しない状態下、0〜36℃といった低温で茶を抽出することで、茶葉から溶出したタンニン、アミノ酸等が重合、結合して巨大分子となり茶抽出液中に析出するのを防止し、得られる茶は清澄で且つ渋みの少ない優れた旨味と優れた香りとを有する旨を開示している。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−108444号公報
【特許文献2】
特開平6−343389号公報
【特許文献3】
特開平8−103220号公報
【特許文献4】
特開2000−50799号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、0℃〜10℃の低温度範囲では茶葉から成分が溶出されにくいため、香味的に物足りない製品になる傾向がある。これを改善するために、抽出率の向上を図ろうとすると、長時間の抽出や強い攪拌操作が必要になり、結果として攪拌操作により泡噛みなどをおこすことで酸化劣化しやすく、温水抽出の場合と比較すると生産性が著しく低くなるため、製品化を進めるのが難しいという課題を抱えることになる。
また、仮に抽出率を高めることができても、香気の発揚を高めることが難しいため、旨味はあっても香りを欠き、香味バランスの悪い製品となることが予想された。
【0009】
そこで本発明は、新たな着想に立ち、香味のバランスに優れた茶搾汁液の製造方法を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、茶葉と水を混合したものを凍結させる工程、茶葉と水の混合物を凍結状態のまま削氷乃至粉砕する工程、削氷乃至粉砕したものを圧搾して搾汁液を得る工程を備えた茶搾汁液又は茶飲料の製造方法を提案する。
なお、本発明においては、上記工程の搾汁液或いは搾汁液に処理を加えた液をまとめて「茶搾汁液」という。
【0011】
本発明を適用することにより、茶葉を凍結状態で粉砕することができるため、空気を噛みこむ可能性を排除できない水中での攪拌や粉砕操作を行うのではなく、茶葉と水分を凍結固定したまま粉砕することができ、粉砕工程で泡噛みが生じることがないから泡噛みによる酸素の取り込みよる酸化劣化を防ぐことができる。さらに、熱劣化のほとんどない環境下で茶葉を処理することができるため、この点でも抽出液の劣化を防ぐことが可能である。
また、茶葉を氷に閉じ込められた状態で切断乃至粉砕するため、茶葉内部の香気が氷に閉じ込められて外気に拡散することがなく、香気に優れた茶搾汁液を得ることができる。
これより、茶飲料やフレーバー等の添加剤の製造に好適に用いることができる茶搾汁液を得ることができる。上記の製造方法によれば、特徴的な旨み傾向の強い茶搾汁液を得ることができるため、本発明の茶搾汁液は特に茶飲料用の原料として優れている。
【0012】
上記の茶搾汁液の製造方法において、搾汁液をpH調整すると共に加熱処理する工程を挿入するのが更に好ましい。
必ずしもpH調整及び加熱処理の工程を挿入する必要はなく、例えば上記の如く圧搾して得た搾汁液を、そのまま保管したり、或いは、pH調整後保管したり、或いは、pH調整後加熱殺菌処理したり、或いは通常茶飲料で行われている調合を行った後加熱殺菌処理したりすることも可能であるが、pH調整すると共に加熱処理する工程を挿入すれば、茶搾汁液の香味を更に高めることができ、特に低温抽出ではこれまで得られなかった香気を強く発揚させることができるようになり、より一層香味バランスのとれた茶搾汁液を得ることができる。
【0013】
なお、本発明において「茶飲料」とは、ビン、缶、プラスチックボトル(ペットボトルなど)、紙容器などに充填され、容器詰め飲料の形態で市販される茶飲料(ドリンク)を意味する。
また、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に含める意を包含するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の一例として、茶葉から茶搾汁液を製造し、更に茶飲料を製造する方法について説明するが、この実施形態の例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0015】
以下、原料茶葉を水と混合したものを凍結させ、茶葉と水との混合物を凍結状態のまま削氷乃至粉砕し、削氷乃至粉砕したものを圧搾して搾汁液(茶搾汁液)を得、搾汁液を加熱処理した後、通常の茶飲料の製造方法に従って、調合、加熱殺菌処理、容器充填して容器詰め茶飲料を製造する方法について説明する。但し、本発明がこの製造工程に限定されないことは上述のとおりである。
【0016】
(原料茶葉)
本発明が原料とする茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis )から摘採した葉(茎等が一部混ざっているものも含む)であれば、その品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法などに限らず、どのような茶種も使用することができる。また、生茶葉の加工法を問わず対象とすることができる。例えば、煎茶、釜炒り茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、抹茶、番茶、焙じ茶、蒸製玉緑茶、釜炒製玉緑茶等の不発酵茶、ジャスミン茶などの弱発酵茶、包種茶、鉄観音茶、ウーロン茶などの半発酵茶、紅茶、碁石茶などの発酵茶、阿波番茶、プアール茶などの後発酵茶のいずれか、或いはこれらの二種類以上の組合わせからなる混合物を原料茶葉として用いることもできる。また、上記の茶葉に現在公知の仕上加工を施して得られる仕上茶も原料茶葉として用いることができる。
原料茶葉としては、深蒸茶のように表面が柔らかくて水の浸透の早いもの、粒度の細かいものが作業的に効率がよいが、表面が硬い原料茶葉であっても浸透さえすれば、前者と同様の茶搾汁液を得ることができる。
本発明によれば特に香気の発揚を促すことができるため、特にデリケートな香りの要求が高い緑茶飲料、即ち不発酵茶を原料茶葉とする場合に本発明の効果をより一層発揮させることができる。
【0017】
(水との混合)
原料茶葉との混合に用いる水としては、硬水、軟水、イオン交換水(純水)、天然水、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を例示することができる。
原料茶葉と混合する水の量は、4倍〜20倍が好ましく、より好ましくは5倍〜15倍である。水と混合することによって茶葉は水分を吸って膨張するが、茶葉内に均一に水分を浸透させるためには、茶葉重量に対して4倍程度以上、特に5倍程度以上の加水量とするのが好ましい。しかし、加水量が多すぎると凍結する過程で茶葉から有効成分が過度に溶出し、溶出した有効成分が溶存酸素の影響で酸化劣化する可能性があるから20倍程度以下、特に15倍程度以下とするのが好ましい。
混合する水の温度は、不必要な抽出を起こさないためにも、20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃〜10℃の冷水である。
混合方法としては、茶葉に水を加えた後、泡が立たない程度に緩やかに攪拌するのが好ましい。この際、激しく攪拌する必要はない。
また、混合時間、即ち混合した後茶葉を浸漬する時間は、茶葉が水を吸収するのに必要十分な時間とするのが好ましい。特に、茶葉が水を吸収した後、茶葉内の成分を溶出しない程度の時間とするのが好ましい。
【0018】
(冷凍)
次に、上記の如く茶葉と混合した水を凍結させる。
凍結方法は任意であり、例えば低温雰囲気(例えば冷凍庫)内に置いて凍結させるようにしても、冷媒を吹き付けて凍結させるようにしても、その他の方法で凍結させるようにしてもよいが、低温雰囲気(例えば冷凍庫)内に置いて凍結させるのが好ましい。
冷凍時間、即ち凍結させるまでの時間は、茶葉への水分浸透後に不要な溶出が起こらないように、急速冷凍させるのが好ましい。
なお、冷水のミストを吹き付けながら冷却して凍結させるようにしてもよい。
【0019】
(削氷乃至粉砕)
次に、上記の如く凍結させた茶葉と水との混合物を、削氷乃至粉砕して細かな氷片の集合であるシャーベット状にする。
凍結状態のものは、そのままで長期間保管することが可能であるが、氷中でも茶葉が劣化する可能性があるから、好ましくは2〜3時間以内に削氷粉砕するのがよい。
削氷乃至粉砕は、機械的な圧力や打撃を加えて粉砕することも可能であるが、このように粉砕すると粉砕後の大きさにムラが出る可能性があるため、削氷(スライス)するのが好ましい。削氷(スライス)の厚さは、厚さ1mm以上10mm以下、より好ましくは1mm以上5mm以下とするのがよい。この際、厚さ1mm以上10mm以下にスライス状に削れば、茶葉が効率よく均一に粉砕されるとともに氷が溶解しやすくなり、以降の搾汁が容易になる。
また、削氷乃至粉砕は、水中、空気中、密閉雰囲気中、或いは不活性ガス雰囲気中等で行うことが可能であり、劣化防止の観点からは水中、密閉雰囲気中、或いは不活性ガス雰囲気中等で行うのが好ましいが、茶葉は氷で覆われており劣化が少ない点と、細かくスライスするのに容易である点とを考慮すると、工業的には空気中で行うことも可能である。
【0020】
(圧搾)
次に、削氷粉砕したものを圧搾する。即ち、圧力を加えた後、固液分離して搾汁液を得る。
圧力を加えながら固液分離を行うことで、酸化劣化を抑えた良好な茶搾汁液を回収することができる。
【0021】
圧搾する対象は、削氷乃至粉砕直後のもの、即ち水をほとんど含まないシャーベット状のものでも、一部の氷片が溶けて水と氷片が混合したシャーベット状のものでも、氷が完全に溶けた水状のものでもよいが、水状のものは劣化防止の点で5℃以下に保持する必要がある。
圧搾の方法(圧搾装置)としては、充分に搾汁圧力をかけられる方式の装置であれば、圧搾する対象の状態(上記)によって適宜好ましい圧搾装置を用いて行えばよい。例えば、遠心力を利用したデカンター式搾汁機などを使用することができる。
また、固液分離の方法も、現在公知の方法を採用すればよく、例えばネル、ステンレスフィルター、ストレーナーなどの装置を使用して行うことができる。
【0022】
(濾過工程)
圧搾及び固液分離して得られた搾汁液は、必要に応じて、濾過を行う。
濾過の方法としては、遠心分離、珪藻土濾過、その他の膜濾過など任意の方法で行ってもよい。
ちなみに、遠心分離は、例えば5000〜10000rpmの回転数で行えばよく、遠心分離するに当たっては搾汁液の温度を5〜40℃程度に調整するのが好ましい。
なお、珪藻土濾過を行う場合には必ずしも遠心分離を挿入する必要はないが、前工程に遠心分離を挿入することにより珪藻土濾過の負担軽減、例えば透過流量の増加により濾過時間を短縮することができる。
膜濾過としては、微細濾過、精密濾過、限外濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜分離を挙げることができ、上記珪藻土濾過などの濾過助剤を用いた濾過と組合わせて行うようにしてもよい。
上記遠心分離、珪藻土濾過及び膜濾過の方法及び設定条件などは任意に調整可能である。
【0023】
(加熱処理)
搾汁液は、加熱殺菌処理する前に加熱処理するのが好ましい。加熱処理工程を挿入することにより、冷水抽出しただけでは回収し難い香気成分を発揚させることができ、香味バランスをより一層優れたものとすることができる。但し、この加熱処理は、調合の前後のいずれで行ってもよい。また、必ずしも加熱処理を行わなくてもよく、そのまま加熱殺菌処理を施すようにしてもよい。
【0024】
加熱処理する際には、予め液のpHを3.5〜5.0に調整しておくのが好ましい。例えば液にL−アスコルビン酸などの有機酸水溶液を添加してpHを3.5〜5.0に調整すればよい。
加熱処理の条件としては、約85〜100℃で15秒〜90秒、好ましくは85〜95℃で30〜60秒、中でも特に約90℃で30秒の加熱処理を行うのがよい。
【0025】
(調合工程)
必要に応じて、pH調整、濃度調整、味の調整などの所謂調合を行う。
例えば、水(硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組合わせを添加して、主にpH調整、濃度調整、味の調整等を行うようにすればよい。
【0026】
(殺菌)
加熱殺菌処理は、缶飲料であれば、必要に応じて再加熱した後、調合液を充填し、レトルト殺菌(例えば、適宜加圧下(1.2kgf/cm2など)の下、123℃で7分間加熱殺菌する。)を行い、プラスチックボトル飲料の場合であれば、UHT殺菌(調合液を120〜150℃で1秒〜数十秒保持する。)を行うようにすればよい。
【0027】
なお、上記の実施形態において、各工程の順序変更、工程の削除、工程の追加などは適宜可能である。特に搾汁液を得た後の工程は、現在知られている茶飲料の製造方法、即ち茶葉から茶飲料を製造する方法において採用される茶搾汁液の処理方法を任意に採用して茶飲料を製造することができる。
【0028】
(茶飲料以外の用途)
上記製造過程で得られた搾汁液(即ち茶搾汁液)は、茶の香味成分及び薬理成分、中でも特徴的に香気成分を多く含んでいるため、上記の如く茶飲料原料に使用する以外、必要に応じて精製乃至濃縮して茶エキスとし、これを各種フレーバーや食品添加剤などに利用することができる。例えば、香味改善効果を付与する食品添加剤、口腔衛生品、香粧品、医薬品等に利用することができる。
【0029】
[実施例及び各種試験]
以下、実施例に基づいて更に本発明につき説明する。
【0030】
(実施例1)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを均一になるように混合した。混合方法としては、茶葉に水を加えた後、泡が立たない程度に緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、その後静置した。なお、10分間の静置後、茶葉への水分浸透を確認した。その後、この混合物を−20℃の急速冷凍庫で凍結させた。その際、凍結に要した時間は1時間であった。
次に、凍結した氷を削氷機(大同機械社製HC−18C)で厚さ1mmにスライスし、茶の微粒子を含むシャーベット状の茶粉末含有物を得た。
そして、この茶粉末含有物を、氷片が残るシャーベット状態のうちに圧搾した。その際の圧搾では、駒形式搾汁機を用いて搾汁し、遠心分離機で固液分離して650gの搾汁液を回収した。
【0031】
得られた650gの搾汁液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸0.3g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.0に調整すると共に、イオン交換水を加えて飲用濃度(Bx0.3)に希釈した。その後、前記調合液を135℃/60秒間にてUHT殺菌(加熱殺菌処理)し、PETボトルに充填密封して茶飲料を製造した。
【0032】
(実施例2)
前記方法で得られた650gの搾汁液を使用して茶搾汁液を製造した。
先ず、搾汁液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸0.8g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpHを4.4に調整し、熱交換プレート(岩井機械)を用いて90℃/30秒間加熱処理し、そのまま金属缶に充填密封して茶搾汁液を製造した。
上記金属缶に充填密封した茶搾汁液は、茶飲料を製造する際に開封して、前記方法と同様に茶飲料を製造した。
【0033】
(比較例1)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを混合して茶葉を抽出した。抽出方法としては、茶葉に水を加えた後、緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、10分間浸漬した。その後、ステンレスフィルターを用いて茶葉と抽出液とに分け、その抽出液をさらに遠心分離機で固液分離して茶抽出液を得た。その後、茶抽出液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸0.8g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpHを4.4に調整し、熱交換プレート(岩井機械)を用いて90℃/30秒間加熱処理し、そのまま金属缶に充填密封して茶抽出液を製造した。
上記金属缶に充填密封した茶抽出液は、茶飲料を製造する際に開封して、前記方法と同様に茶飲料を製造した。
【0034】
(比較例2)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを混合して茶葉を粉砕抽出した。粉砕抽出の方法としては、茶葉に水を加えた後、緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、10分間浸漬した。その後、ヒスコトロンミキサー(日音医理科器械製作所製NS−50)を用い、水中にて茶葉を粉砕抽出した。なお、茶葉は微粒子となるまで粉砕した。その後、ステンレスフィルターを用いて茶微粒子と抽出液とに分け、その抽出液をさらに遠心分離機で固液分離して茶抽出液を得た。その後、茶抽出液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸0.8g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpHを4.4に調整し、熱交換プレート(岩井機械)を用いて90℃/30秒間加熱処理し、そのまま金属缶に充填密封して茶抽出液を製造した。
上記金属缶に充填密封した茶抽出液は、茶飲料を製造する際に開封して、前記方法と同様に茶飲料を製造した。
【0035】
【表1】
【0036】
(評価方法)
実施例1及び2、比較例1及び2で得られた搾汁液及び茶飲料について、それぞれ次のように評価を行った。
官能審査は、良く訓練されたパネル5名より香味につき官能評価を行った。
評価は、各パネル1〜5点(数字の大きい方が優位)の評価点を与え、5名分の総和を総合点として決定し、25〜21点を良好(○)、20〜11点を許容範囲(△)、10〜3点を不良(×)とした。
抽出率は、可溶性固形分濃度(Bx)×液量(ml)/原料茶葉重量(g)で与え、Bxはアタゴ社製DD7を用い測定した。
なお、官能審査の方法及び評価基準は下記においても同様である。
また、○:良好、△:許容範囲、×:不良の評価基準も、下記共通である。
【0037】
【表2】
【0038】
(加水倍率の検討)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比がそれぞれ表3のようになるよう5℃イオン交換水を混合した。これを実施例2と同様にして茶飲料を製造した。
【0039】
【表3】
【0040】
加水が4倍未満では、茶葉が水を吸収し、自由な水分がなく均一になりにくい。また、加水が25倍以上では、茶葉が分散して成分が溶出し易く、以降の工程で泡噛みし酸化劣化を受け易い。また、氷部分が多く削氷の効率が落ちる。
以上より、加水量は4倍〜20倍、好ましくは5倍〜15倍の範囲が良好である。
【0041】
(搾汁液の加熱条件の検討)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを均一になるように混合した。混合方法としては、茶葉に水を加えた後、泡が立たない程度に緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、その後静置した。なお、10分間の静置後、茶葉への水分浸透を確認した。その後、この混合物を−20℃の急速冷凍庫で凍結させた。その際、凍結に要した時間は1時間であった。
次に、凍結した氷を削氷機(大同機械社製HC−18C)で厚さ1mmにスライスし、茶の微粒子を含むシャーベット状の茶粉末含有物を得た。
そして、この茶粉末含有物を氷片が残るシャーベット状態のうちに圧搾した。その際の圧搾では、駒形式搾汁機を用いて搾汁し、遠心分離機で固液分離して650gの搾汁液を回収した。
【0042】
次に、茶搾汁液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸0.8g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpHを4.3に調整し、熱交換プレート(岩井機械)を用いて、それぞれ表4の条件で加熱処理し、そのまま金属缶に充填密封して茶搾汁液を製造した。
上記金属缶に充填密封した茶搾汁液は、茶飲料を製造する際に開封して、前記方法と同様に茶飲料を製造した。
【0043】
(色調変化幅ΔEの算出方法)
色調(透過色)は、日本電色SE2000色差計にてLab色差を測定した。
測定した色調L値、a値及びb値の変化幅の平方和をとり、その平方根をΔEとした(下記式▲1▼参照)。
ΔE=[(L値変化量)2+(a値変化量)2+(b値変化量)2]−2・・・▲1▼
【0044】
【表4】
【0045】
加熱温度が低いと香味の発揚が弱く感じられ、高くても加熱時間により青みのある香気が変化する。また、色調も加熱温度や加熱時間に比例して変化幅が大きなる。また、経時劣化では、加熱温度が低いと脱酸素が不十分で酸化劣化が助長されたり、微生物により腐敗も生じた。
以上より、加熱処理の条件としては、加熱温度が85〜100℃、加熱時間が15〜90秒、好ましくは加熱温度が85℃〜95℃、加熱時間が30〜60秒の範囲が良好である。
【0046】
(搾汁液の加熱処理時pHの検討)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを均一になるように混合した。混合方法としては、茶葉に水を加えた後、泡が立たない程度に緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、その後静置した。なお、10分間の静置後、茶葉への水分浸透を確認した。その後、この混合物を−20℃の急速冷凍庫で凍結させた。その際、凍結に要した時間は1時間であった。
次に、凍結した氷を削氷機(大同機械社製HC−18C)で厚さ1mmにスライスし、茶の微粒子を含むシャーベット状の茶粉末含有物を得た。
そして、この茶粉末含有物を氷片が残るシャーベット状態のうちに圧搾した。その際の圧搾では、駒形式搾汁機を用いて搾汁し、遠心分離機で固液分離して650gの搾汁液を回収した。
【0047】
次に、650gの搾汁液の温度を10℃以下に保ちながらL−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを用いて、それぞれ表5のpHになるように添加して調整し、熱交換プレート(岩井機械)を用いて90℃/30秒間加熱処理し、そのまま金属缶に充填密封して茶搾汁液を製造した。
上記金属缶に充填密封した茶搾汁液は、茶飲料を製造する際に開封して、前記方法と同様に茶飲料を製造した。
【0048】
【表5】
【0049】
加熱処理時のpHが4.5以上のものは、色調変化が大きく、pHが5.0ともなると青みの香気が弱くなる傾向にあった。また、pHが3.5以下のものは、金属を思わせる傷み臭を感じる。
以上より、搾汁液の加熱処理時のpHは3.5〜5.0、より好ましくは4.0〜4.5の範囲が良好である。
【0050】
(茶搾汁液の茶飲料への添加例)
緑茶(蒸し製茶、市販品)100gと、緑茶に対して重量比10倍量の5℃イオン交換水1000gとを混合して茶葉を抽出した。抽出方法としては、茶葉に水を加えた後、緩やかに攪拌し、均一に混合された時点で攪拌を止め、10分間浸漬した。その後、ステンレスフィルターを用いて茶葉と抽出液とに分け、その抽出液をさらに遠心分離機で固液分離して茶抽出液を得た。その後、茶抽出液の温度を10℃以下に保ちながら、本発明の茶搾汁液100g、L−アスコルビン酸0.3g及び炭酸水素ナトリウムを添加してpH6.0に調整すると共に、イオン交換水を加えて飲用濃度(Bx0.3)に希釈した。その後、前記調合液を135℃/60秒間にてUHT殺菌(加熱殺菌処理)し、PETボトルに充填密封して茶飲料を製造した。この茶飲料は、新鮮香が十分にあり、欠点であった濃度感も十分にある緑茶飲料となった。
Claims (7)
- 茶葉と水を混合したものを凍結させる工程、茶葉と水の混合物を凍結状態のまま削氷乃至粉砕する工程、削氷乃至粉砕したものを圧搾して搾汁液を得る工程を備えた茶搾汁液の製造方法。
- 茶葉と混合する水の量は、茶葉の重量の4倍〜20倍であることを特徴とする請求項1に記載の茶搾汁液の製造方法。
- 搾汁液のpHを調整して加熱殺菌処理する工程を備えた請求項1又は2に記載の茶搾汁液の製造方法。
- 加熱殺菌処理とは別の工程として、搾汁液のpHを調整して加熱処理する工程を備えた請求項1〜3のいずれかに記載の茶搾汁液の製造方法。
- 上記の加熱処理は、加熱温度85℃〜100℃、加熱時間15〜90秒で行うことを特徴とする請求項4に記載の茶搾汁液の製造方法。
- 加熱処理を行う際、搾汁液のpHを3.5〜5.0に調整することを特徴とする請求項4又は5に記載の茶搾汁液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかの製造方法によって得られる茶飲料。
Priority Applications (1)
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