JP2004328883A - 電機子 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力を高めて圧入始端側の中空円板の剥がれを低コストでかつ確実に防ぐことができる電機子を提供する。
【解決手段】外周面21aに4つの係止凸部22を軸方向に沿って長尺に形成したアーマチュアシャフト21と、外周に所定数のスロット及びティースをそれぞれ有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成ると共に、複数枚の中空円板25a,25a′の各センタ孔25dにアーマチュアシャフト21を圧入したアーマチュアコア25と、を備えた電機子20において、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止凸部22,22間に、積層された複数枚の中空円板25aのうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a,25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止凸部23を形成した。
【選択図】 図2
【解決手段】外周面21aに4つの係止凸部22を軸方向に沿って長尺に形成したアーマチュアシャフト21と、外周に所定数のスロット及びティースをそれぞれ有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成ると共に、複数枚の中空円板25a,25a′の各センタ孔25dにアーマチュアシャフト21を圧入したアーマチュアコア25と、を備えた電機子20において、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止凸部22,22間に、積層された複数枚の中空円板25aのうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a,25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止凸部23を形成した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアに中実のアーマチュアシャフトを圧入して固定して成る電機子(アーマチュア)に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電機子として、図5及び図6に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電機子1は、図5及び図6に示すように、外周面2aに4つの凸部2bをその軸方向に沿って長尺に形成したモータシャフト2と、このモータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定された整流子3と、モータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定された積層コア4と、この積層コア4の両端に取り付けられた一対の絶縁端板5,5と、この各絶縁端板5に突き当てるようにしてモータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定されると共に、内周面6aに各凸部2bに係合する環状で先細の突起6bを一体形成した一対の絶縁管6,6と、積層コア4の外周面4aに取り付けられたスロット絶縁紙7と、これら積層コア4、絶縁端板5、絶縁管6及びスロット絶縁紙7に巻回されたコイル8とを備えている。
【0004】
【特許文献1】
実公平2−29795号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電機子1では、積層コア4のセンタ孔4b内にモータシャフト2を圧入する際に、積層コア4のセンタ孔4bにモータシャフト2の各長尺の凸部2bが摺動し続けるため、この各長尺の凸部2bが摺動する積層コア4のセンタ孔4bの内周面が擦り減ってモータシャフト2と積層コア4との嵌合力が弱くなり、積層コア4の一部(圧入始端側)に剥がれ(抜け)が発生する場合があった。これに対処するために、積層コア4の両端に絶縁耐圧性を兼ねた絶縁端板5と絶縁管6を更に嵌合させているため、その分部品点数が増えてコスト高であった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力を高めて圧入始端側の中空円板の剥がれを低コストでかつ確実に防ぐことができる電機子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、外周面に少なくとも3つの係止凸部を軸方向に沿って長尺に形成したアーマチュアシャフトと、外周に所定数のスロット及びティースをそれぞれ有する複数枚の中空円板を積層して成ると共に、該複数枚の中空円板の各センタ孔に前記アーマチュアシャフトを圧入して固定したアーマチュアコアと、を備えた電機子において、前記アーマチュアシャフトの外周面の前記各長尺の係止凸部間に前記積層された複数枚の中空円板のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔を係止する短尺の係止凸部を形成したことを特徴とする。
【0008】
この電機子では、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に形成された各短尺の係止凸部により、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔が更に係止される。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力が高められ、圧入始端側の各中空円板の剥がれが確実に防止される。特に、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に短尺の係止凸部を形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化が図られる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の電機子であって、前記各短尺の係止凸部の前記アーマチュアシャフトの圧入方向側に該アーマチュアシャフトの外周面から前記積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端に位置する中空円板のセンタ孔に向かって傾斜する長尺テーパ部を形成したことを特徴とする。
【0010】
この電機子では、各短尺の係止凸部のアーマチュアシャフトの圧入方向側に形成された長尺テーパ部により、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔がより強固に係止される。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力がより一段と高められ、圧入始端の中空円板の剥がれがより確実に防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態のブラシ付き直流モータを示す側面図、図2(a)は同モータに用いられる電機子の側面図、図2(b)は図2(a)中X−X線に沿う断面図、図2(c)は図2(a)中Z部分の拡大図、図3は図2(a)中Y−Y線に沿う断面図である。
【0013】
図1に示すように、ブラシ付き直流モータ(直流電動機)10は、電機子(アーマチュア)20と、この電機子20を回転自在に支持するヨーク11と、このヨーク11の内周面に固着された4個のマグネット(磁極)12と、電機子20の整流子(コンミュテータ)27に摺接する4本のブラシ13と、ヨーク11の開口部を覆うカバー14とを備えている。
【0014】
また、図1〜図3に示すように、電機子20は、アーマチュアシャフト21と、このアーマチュアシャフト21が圧入により固定され、外周に各スロット25bを介して22個のティース25cを有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25と、このアーマチュアコア25の各ティース25cに各スロット25bを介して重ね巻きされるアーマチュアコイル26と、アーマチュアシャフト21の他端部21cに固定され、22個のセグメント(整流子片)27aで構成される整流子27とを備えている。さらに、アーマチュアシャフト21の両端はヨーク11の底部の凹部に設けられた軸受15とカバー14の中央に設けられた軸受16に回転自在に支持されている。
【0015】
図2(a),(b),(c)及び図3に示すように、アーマチュアシャフト21の外周面21aには、その一端部21bから他端部21cにかけて4つの係止爪(係止凸部)22を軸方向に沿って長尺にそれぞれ形成してある。この各長尺の係止爪22は例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。さらに、アーマチュアシャフト21の外周面21aの略中央の各長尺の係止爪22,22間には、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止爪(係止凸部)23を形成してある。
【0016】
図2(b)に示すように、各短尺の係止爪23は、例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。また、図2(a),(c)に示すように、各短尺の係止爪23は、アーマチュアシャフト21の外周面21aに平行なストレート部23aと、このストレート部23aの両端からアーマチュアシャフト21の外周面21aに向かって傾斜するように形成された短尺テーパ部23b,23bとを備えている。
【0017】
尚、図2(a)において、アーマチュアシャフト21の圧入方向を矢印Aで示す。また、図2(a)及び図3において、絶縁塗装部分(コーティング剤塗布部分)を符号Bで示す。
【0018】
以上実施形態のブラシ付き直流モータ10の電機子20によれば、外周に22個のスロット25b及びティース25cを有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25の各中空円板25a,25a′のセンタ孔25c内に、アーマチュアシャフト21を圧入すると、図3に示すように、アーマチュアシャフト21の4つの長尺の係止爪22がアーマチュアコア25の各中空円板25a,25a′のセンタ孔25dの内周面に食い込んでアーマチュアコア25にアーマチュアシャフト21が嵌合される。この嵌合の際に、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止爪22,22間に一体突出形成された各短尺の係止爪23のストレート部23aが、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dの内周面に更に食い込んでアーマチュアコア25を係止する。これにより、複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25とアーマチュアシャフト21との嵌合力を高めることができ、圧入始端側の各中空円板25a′の剥がれ(抜け)を確実に防ぐことができる。従って、アーマチュアコア25の抜け止め力及び保持トルクを増加させることができる。
【0019】
特に、嵌合したアーマチュアシャフト21とアーマチュアコア25とを脱脂及び静電塗装するために高周波加熱した時にアーマチュアコア25を構成する複数枚の中空円板25a,25a′のアーマチュアシャフト21からの剥がれを確実に防止することができる。これにより、絶縁塗装後の耐圧特性をより一層改善することができる。
【0020】
また、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止爪22,22間に短尺の係止爪23を一体突出形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0021】
図4(a)は本発明の他の実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、図4(b)は図4(a)中X−X線に沿う断面図、図4(c)は図4(a)中Z部分の拡大図である。
【0022】
図4(a),(b),(c)に示すように、電機子20′のアーマチュアシャフト21の外周面21aには、その一端部21bから他端部21cにかけて4つの係止爪(係止凸部)22を軸方向に沿って長尺にそれぞれ形成してある。この各長尺の係止爪22は例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。さらに、アーマチュアシャフト21の外周面21aの略中央の各長尺の係止爪22,22間には、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止爪(係止凸部)24を形成してある。尚、図4(a)において、アーマチュアシャフト21の圧入方向を矢印Aで示す。
【0023】
図4(b)に示すように、各短尺の係止爪24は、例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。また、図4(a),(c)に示すように、各短尺の係止爪24は、アーマチュアシャフト21の外周面21aに平行なストレート部24aと、このストレート部24aの両端からアーマチュアシャフト21の外周面21aに向かって傾斜するように形成された長尺及び短尺テーパ部24b,24cとを備えている。この各長尺テーパ部24bはアーマチュアシャフト21の圧入方向側にあり、アーマチュアシャフト21の外周面21aから積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端に位置する中空円板25a′のセンタ孔25dに向かって傾斜している。
【0024】
以上実施形態の電機子20′によれば、図4(c)に示すように、各短尺の係止爪24のアーマチュアシャフト21の圧入方向側に一体形成された長尺テーパ部24bにより、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dの内周面をより強固に係止することができる。これにより、複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25とアーマチュアシャフト21との嵌合力がより一段と高められ、圧入始端の中空円板25a′の剥がれがより確実に防止することができる。
【0025】
尚、前記各実施形態によれば、係止凸部としての4つの長尺の係止爪間に短尺の係止爪をそれぞれ形成した場合について説明したが、3つの長尺の係止爪間或いは4つ以上の長尺の係止爪間に短尺の係止爪をそれぞれ形成するようにしても良い。また、前記各実施形態によれば、22個のティースを有するアーマチュアコアの電機子について説明したが、18個或いは26個のティースを有するアーマチュアコアについて前記各実施形態を適用できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に、積層された複数枚の中空円板のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔を係止する短尺の係止凸部を形成したので、この各係止凸部により複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力を高めて圧入始端側の各中空円板の剥がれを確実に防止することができる。特に、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に短尺の係止凸部を形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0027】
請求項2の発明によれば、各短尺の係止凸部のアーマチュアシャフトの圧入方向側に該アーマチュアシャフトの外周面から積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端に位置する中空円板のセンタ孔に向かって傾斜する長尺テーパ部を形成したので、この各短尺の係止凸部の長尺テーパ部で、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔をより強固に係止することができる。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力をより一段と高めることができ、圧入始端の中空円板の剥がれをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のブラシ付き直流モータを示す側面図である。
【図2】(a)は上記実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、(b)は同(a)中X−X線に沿う断面図、(c)は同(a)中Z部分の拡大図である。
【図3】図2(a)中Y−Y線に沿う断面図である。
【図4】(a)は本発明の他の実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、(b)は同(a)中X−X線に沿う断面図、(c)は同(a)中Z部分の拡大図である。
【図5】従来の電機子の一部を切り欠いて示す側面図である。
【図6】上記従来の電機子の要部の断面図である。
【符号の説明】
20,20′ 電機子(アーマチュア)
21 アーマチュアシャフト
21a 外周面
22 長尺の係止爪(係止凸部)
23,24 短尺の係止爪(係止凸部)
24b 長尺テーパ部
25 アーマチュアコア
25a 中空円板
25a′ 圧入始端側に位置する中空円板
25b スロット
25c ティース
25d センタ孔
A アーマチュアシャフトの圧入方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアに中実のアーマチュアシャフトを圧入して固定して成る電機子(アーマチュア)に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電機子として、図5及び図6に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電機子1は、図5及び図6に示すように、外周面2aに4つの凸部2bをその軸方向に沿って長尺に形成したモータシャフト2と、このモータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定された整流子3と、モータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定された積層コア4と、この積層コア4の両端に取り付けられた一対の絶縁端板5,5と、この各絶縁端板5に突き当てるようにしてモータシャフト2に各凸部2bを介して圧入により固定されると共に、内周面6aに各凸部2bに係合する環状で先細の突起6bを一体形成した一対の絶縁管6,6と、積層コア4の外周面4aに取り付けられたスロット絶縁紙7と、これら積層コア4、絶縁端板5、絶縁管6及びスロット絶縁紙7に巻回されたコイル8とを備えている。
【0004】
【特許文献1】
実公平2−29795号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電機子1では、積層コア4のセンタ孔4b内にモータシャフト2を圧入する際に、積層コア4のセンタ孔4bにモータシャフト2の各長尺の凸部2bが摺動し続けるため、この各長尺の凸部2bが摺動する積層コア4のセンタ孔4bの内周面が擦り減ってモータシャフト2と積層コア4との嵌合力が弱くなり、積層コア4の一部(圧入始端側)に剥がれ(抜け)が発生する場合があった。これに対処するために、積層コア4の両端に絶縁耐圧性を兼ねた絶縁端板5と絶縁管6を更に嵌合させているため、その分部品点数が増えてコスト高であった。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力を高めて圧入始端側の中空円板の剥がれを低コストでかつ確実に防ぐことができる電機子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、外周面に少なくとも3つの係止凸部を軸方向に沿って長尺に形成したアーマチュアシャフトと、外周に所定数のスロット及びティースをそれぞれ有する複数枚の中空円板を積層して成ると共に、該複数枚の中空円板の各センタ孔に前記アーマチュアシャフトを圧入して固定したアーマチュアコアと、を備えた電機子において、前記アーマチュアシャフトの外周面の前記各長尺の係止凸部間に前記積層された複数枚の中空円板のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔を係止する短尺の係止凸部を形成したことを特徴とする。
【0008】
この電機子では、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に形成された各短尺の係止凸部により、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔が更に係止される。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力が高められ、圧入始端側の各中空円板の剥がれが確実に防止される。特に、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に短尺の係止凸部を形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化が図られる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の電機子であって、前記各短尺の係止凸部の前記アーマチュアシャフトの圧入方向側に該アーマチュアシャフトの外周面から前記積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端に位置する中空円板のセンタ孔に向かって傾斜する長尺テーパ部を形成したことを特徴とする。
【0010】
この電機子では、各短尺の係止凸部のアーマチュアシャフトの圧入方向側に形成された長尺テーパ部により、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔がより強固に係止される。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力がより一段と高められ、圧入始端の中空円板の剥がれがより確実に防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態のブラシ付き直流モータを示す側面図、図2(a)は同モータに用いられる電機子の側面図、図2(b)は図2(a)中X−X線に沿う断面図、図2(c)は図2(a)中Z部分の拡大図、図3は図2(a)中Y−Y線に沿う断面図である。
【0013】
図1に示すように、ブラシ付き直流モータ(直流電動機)10は、電機子(アーマチュア)20と、この電機子20を回転自在に支持するヨーク11と、このヨーク11の内周面に固着された4個のマグネット(磁極)12と、電機子20の整流子(コンミュテータ)27に摺接する4本のブラシ13と、ヨーク11の開口部を覆うカバー14とを備えている。
【0014】
また、図1〜図3に示すように、電機子20は、アーマチュアシャフト21と、このアーマチュアシャフト21が圧入により固定され、外周に各スロット25bを介して22個のティース25cを有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25と、このアーマチュアコア25の各ティース25cに各スロット25bを介して重ね巻きされるアーマチュアコイル26と、アーマチュアシャフト21の他端部21cに固定され、22個のセグメント(整流子片)27aで構成される整流子27とを備えている。さらに、アーマチュアシャフト21の両端はヨーク11の底部の凹部に設けられた軸受15とカバー14の中央に設けられた軸受16に回転自在に支持されている。
【0015】
図2(a),(b),(c)及び図3に示すように、アーマチュアシャフト21の外周面21aには、その一端部21bから他端部21cにかけて4つの係止爪(係止凸部)22を軸方向に沿って長尺にそれぞれ形成してある。この各長尺の係止爪22は例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。さらに、アーマチュアシャフト21の外周面21aの略中央の各長尺の係止爪22,22間には、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止爪(係止凸部)23を形成してある。
【0016】
図2(b)に示すように、各短尺の係止爪23は、例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。また、図2(a),(c)に示すように、各短尺の係止爪23は、アーマチュアシャフト21の外周面21aに平行なストレート部23aと、このストレート部23aの両端からアーマチュアシャフト21の外周面21aに向かって傾斜するように形成された短尺テーパ部23b,23bとを備えている。
【0017】
尚、図2(a)において、アーマチュアシャフト21の圧入方向を矢印Aで示す。また、図2(a)及び図3において、絶縁塗装部分(コーティング剤塗布部分)を符号Bで示す。
【0018】
以上実施形態のブラシ付き直流モータ10の電機子20によれば、外周に22個のスロット25b及びティース25cを有する複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25の各中空円板25a,25a′のセンタ孔25c内に、アーマチュアシャフト21を圧入すると、図3に示すように、アーマチュアシャフト21の4つの長尺の係止爪22がアーマチュアコア25の各中空円板25a,25a′のセンタ孔25dの内周面に食い込んでアーマチュアコア25にアーマチュアシャフト21が嵌合される。この嵌合の際に、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止爪22,22間に一体突出形成された各短尺の係止爪23のストレート部23aが、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dの内周面に更に食い込んでアーマチュアコア25を係止する。これにより、複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25とアーマチュアシャフト21との嵌合力を高めることができ、圧入始端側の各中空円板25a′の剥がれ(抜け)を確実に防ぐことができる。従って、アーマチュアコア25の抜け止め力及び保持トルクを増加させることができる。
【0019】
特に、嵌合したアーマチュアシャフト21とアーマチュアコア25とを脱脂及び静電塗装するために高周波加熱した時にアーマチュアコア25を構成する複数枚の中空円板25a,25a′のアーマチュアシャフト21からの剥がれを確実に防止することができる。これにより、絶縁塗装後の耐圧特性をより一層改善することができる。
【0020】
また、アーマチュアシャフト21の外周面21aの各長尺の係止爪22,22間に短尺の係止爪23を一体突出形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0021】
図4(a)は本発明の他の実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、図4(b)は図4(a)中X−X線に沿う断面図、図4(c)は図4(a)中Z部分の拡大図である。
【0022】
図4(a),(b),(c)に示すように、電機子20′のアーマチュアシャフト21の外周面21aには、その一端部21bから他端部21cにかけて4つの係止爪(係止凸部)22を軸方向に沿って長尺にそれぞれ形成してある。この各長尺の係止爪22は例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。さらに、アーマチュアシャフト21の外周面21aの略中央の各長尺の係止爪22,22間には、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dを係止する短尺の係止爪(係止凸部)24を形成してある。尚、図4(a)において、アーマチュアシャフト21の圧入方向を矢印Aで示す。
【0023】
図4(b)に示すように、各短尺の係止爪24は、例えばプレス加工等で押し潰すことにより所定間隔毎に断面逆V字状に切り起こし形成してある。また、図4(a),(c)に示すように、各短尺の係止爪24は、アーマチュアシャフト21の外周面21aに平行なストレート部24aと、このストレート部24aの両端からアーマチュアシャフト21の外周面21aに向かって傾斜するように形成された長尺及び短尺テーパ部24b,24cとを備えている。この各長尺テーパ部24bはアーマチュアシャフト21の圧入方向側にあり、アーマチュアシャフト21の外周面21aから積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端に位置する中空円板25a′のセンタ孔25dに向かって傾斜している。
【0024】
以上実施形態の電機子20′によれば、図4(c)に示すように、各短尺の係止爪24のアーマチュアシャフト21の圧入方向側に一体形成された長尺テーパ部24bにより、積層された複数枚の中空円板25a,25a′のうちの圧入始端側に位置する各中空円板25a′のセンタ孔25dの内周面をより強固に係止することができる。これにより、複数枚の中空円板25a,25a′を積層して成るアーマチュアコア25とアーマチュアシャフト21との嵌合力がより一段と高められ、圧入始端の中空円板25a′の剥がれがより確実に防止することができる。
【0025】
尚、前記各実施形態によれば、係止凸部としての4つの長尺の係止爪間に短尺の係止爪をそれぞれ形成した場合について説明したが、3つの長尺の係止爪間或いは4つ以上の長尺の係止爪間に短尺の係止爪をそれぞれ形成するようにしても良い。また、前記各実施形態によれば、22個のティースを有するアーマチュアコアの電機子について説明したが、18個或いは26個のティースを有するアーマチュアコアについて前記各実施形態を適用できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に、積層された複数枚の中空円板のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔を係止する短尺の係止凸部を形成したので、この各係止凸部により複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力を高めて圧入始端側の各中空円板の剥がれを確実に防止することができる。特に、アーマチュアシャフトの外周面の各長尺の係止凸部間に短尺の係止凸部を形成するだけの簡単な構造のため、従来のような絶縁端板や絶縁管等の別部品が不要となり、その分、低コスト化を図ることができる。
【0027】
請求項2の発明によれば、各短尺の係止凸部のアーマチュアシャフトの圧入方向側に該アーマチュアシャフトの外周面から積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端に位置する中空円板のセンタ孔に向かって傾斜する長尺テーパ部を形成したので、この各短尺の係止凸部の長尺テーパ部で、積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔をより強固に係止することができる。これにより、複数枚の中空円板を積層して成るアーマチュアコアとアーマチュアシャフトとの嵌合力をより一段と高めることができ、圧入始端の中空円板の剥がれをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のブラシ付き直流モータを示す側面図である。
【図2】(a)は上記実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、(b)は同(a)中X−X線に沿う断面図、(c)は同(a)中Z部分の拡大図である。
【図3】図2(a)中Y−Y線に沿う断面図である。
【図4】(a)は本発明の他の実施形態のブラシ付き直流モータに用いられる電機子の側面図、(b)は同(a)中X−X線に沿う断面図、(c)は同(a)中Z部分の拡大図である。
【図5】従来の電機子の一部を切り欠いて示す側面図である。
【図6】上記従来の電機子の要部の断面図である。
【符号の説明】
20,20′ 電機子(アーマチュア)
21 アーマチュアシャフト
21a 外周面
22 長尺の係止爪(係止凸部)
23,24 短尺の係止爪(係止凸部)
24b 長尺テーパ部
25 アーマチュアコア
25a 中空円板
25a′ 圧入始端側に位置する中空円板
25b スロット
25c ティース
25d センタ孔
A アーマチュアシャフトの圧入方向
Claims (2)
- 外周面に少なくとも3つの係止凸部を軸方向に沿って長尺に形成したアーマチュアシャフトと、外周に所定数のスロット及びティースをそれぞれ有する複数枚の中空円板を積層して成ると共に、該複数枚の中空円板の各センタ孔に前記アーマチュアシャフトを圧入して固定したアーマチュアコアと、を備えた電機子において、
前記アーマチュアシャフトの外周面の前記各長尺の係止凸部間に前記積層された複数枚の中空円板のうちの少なくとも圧入始端側に位置する各中空円板のセンタ孔を係止する短尺の係止凸部を形成したことを特徴とする電機子。 - 請求項1記載の電機子であって、
前記各短尺の係止凸部の前記アーマチュアシャフトの圧入方向側に該アーマチュアシャフトの外周面から前記積層された複数枚の中空円板のうちの圧入始端に位置する中空円板のセンタ孔に向かって傾斜する長尺テーパ部を形成したことを特徴とする電機子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119571A JP2004328883A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 電機子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003119571A JP2004328883A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 電機子 |
Publications (1)
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JP2004328883A true JP2004328883A (ja) | 2004-11-18 |
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ID=33498757
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003119571A Pending JP2004328883A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 電機子 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004328883A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101271950B1 (ko) * | 2011-12-26 | 2013-06-07 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 중공형 모터축 및 이를 포함하는 모터장치 |
KR101794974B1 (ko) * | 2017-05-12 | 2017-11-07 | 박돈정 | 아마추어 코어용 샤프트 스태킹 및 압입장치 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119571A patent/JP2004328883A/ja active Pending
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