JP2004328452A - 陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にキャビネット外面と連結するリブを設けたキャビネットのボス補強構造であって、複雑な形状でなく、シンプルな構造にて陰極線管をボスに取付けて支えると共に、ボスに作用する衝撃を緩和してキャビネット本体へ伝わらないようにしたキャビネットのボス補強構造の提供。
【解決手段】リブ13,14には切込み16,16・・を形成してボス11に作用する衝撃がリブ13,14の切込み16,16・・にて吸収されるようにしている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は陰極線管を固定する為にキャビネットに設けられるボスの補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン受像機のキャビネットには非常に重い陰極線管(CRT)が取付けられているが、従来のキャビネットは概略四角形の樹脂製枠体であり、前面には上記陰極線管が取付けられ、画像表示面が配置される開口窓を有している。そして、陰極線管のコーナーから延びるブラケットは、開口窓の周囲に形成されるキャビネット前面に設けられているボスにネジ止めされる。
【0003】
該ボスにはネジ穴が形成されて陰極線管のブラケットがネジ止めされる訳であるが、前面から起立するだけでは強度的に弱いために、キャビネットの外面との間に補強リブを形成している。ところが、陰極線管の重量負荷にてボスが撓み変形するならば、補強リブを介してキャビネット外面に伝わり、外面が変形してその部分が白く変色する。
【0004】
そこで、このような問題点を解決する為に実用新案登録第3073842号に係る「テレビジョンキャビネット」が知られている。これは、キャビネットに大きな荷重や衝撃が加わった時に、陰極線管取付け用ボスの周囲でのキャビネット外面の変形に基づく白化を防止することを目的としている。そこで、陰極線管取付け用のボス近傍箇所に設けた板状片部に補強リブを設けている。ボスは三角形の構造体の内側に配置し、ボスや構造体の端面に重ね合わせた陰極線管取付け用ブラケットをボルトで締付けしている。
【0005】
従って、三角形の構造体で囲まれたボスの強度は高くなるが、剛性が高くなり過ぎて衝撃を吸収する機能が低下し、例えば20インチ以上の大型テレビの陰極線管を取付ける場合には、作用する衝撃が非常に大きくなって三角形構造体の一部に亀裂が発生したり、時には破損する虞がある。このような衝撃は、梱包された大型テレビを輸送する場合で、トラック便等にて積み下ろしする際に発生することが多い。
【0006】
又、ボスの周りを三角形構造体で囲んだり、三角形構造体の板状片部に補強リブを設けたり、ボスと三角形構造体を繋ぐ支持片部、及び三角形構造体とキャビネット側板を繋ぐ支え片部を形成することで、ボスの周囲は複雑な形状となり、成形金型の製作は容易でなく、勿論、金型代は高くなる。反面、金型の寿命は低下し、製品コストに転化される。
【0007】
一方、ボスの周りに三角形構造体を設けるなど複雑化することで、キャビネットを成形するに必要な材料が多くなり、材料代が高騰する。さらに、キャビネットのコーナー部には、陰極線管を取付ける為の三角形構造体を形成することで、該コーナー部の余分な空間が無くなって、内部の配線が陰極線管取付け時に挟まって断線しないように注意しなくてはならず、時には配線を処理する別部品を用いることが必要となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、陰極線管を取付けるキャビネット構造には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、複雑な形状でなく、至ってシンプルな構造にて陰極線管をボスに取付けて支えると共に、ボスに作用する衝撃を緩和してキャビネット本体へ伝わらないようにしたボスの補強構造を提供する。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
本発明は非常に重い陰極線管を取付ける為に、キャビネットのコーナーに形成したボスを補強すると共に、キャビネット本体となる外面に該ボスに作用する衝撃が伝わらないように構成するボスの補強構造である。そこで、キャビネットの各コーナーには前面からボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にキャビネット外面とボスを連結するリブを設けている。リブの本数は特に限定しないが、一般的にはキャビネットコーナーに起立するボスを中心とした対称位置に設けることが出来る。
【0010】
ところで、上記リブには切込みを形成し、ボスに作用する衝撃を該切込みにて吸収する構造としている。すなわち、重い陰極線管に作用する衝撃により、ボスが撓み変形しても、リブを介してキャビネット外面へ伝わらないように切込みにて吸収される。ここで、切込みの形態は自由であり、概略V形又は概略U形とし、又切込みの代わりにリブの一部を薄肉化することも出来る。
【0011】
一方、上記リブは平坦面でなく、波形の湾曲面として構成することで衝撃を吸収してキャビネット外面への伝達を防止する。さらに、ボスからキャビネット外面側へ延びるリブを外面と連結することなく、間に隙間を介在する構造とするならば、ボスに作用する衝撃はキャビネット外面へ伝わることはない。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
【実施例】
図1はテレビジョン受像機の外観を示し、同図の1はキャビネット、2は裏蓋、3は陰極線管(CRT)を表わしている。キャビネット1は四角形の枠体を成し、陰極線管3は該キャビネット1の内部に取付けられ、陰極線管3の画像表示部4はキャビネット前面5の開口窓に嵌っている。
【0013】
図2は本発明に係るキャビネットのボス補強構造を示す実施例であり、キャビネット1の裏側を示している。該キャビネット1は樹脂製の成形部品から成って、その形状は長方形の枠体にて構成され、上面6、下面7、及び両側面8,8を有し、後側は完全開口しているが前面5には陰極線管の画像表示部が嵌る開口窓9を形成している。そして、長方形枠体で構成されるキャビネット1の各コーナー10,10・・にはボス11,11・・が前面5から垂直に起立し、ボス11にはネジ穴12が設けられている。
【0014】
このボス11に陰極線管のコーナーから延びるブラケットがネジ止めされる訳であるが、前面5から起立しただけの4本のボス11,11・・では、重い陰極線管を支えることが出来ない為に同図に示すようなリブを設けている。同図に示す実施例の場合、リブは4本設けてキャビネット外面と連結している。キャビネット1のコーナー10の近くに設けたリブ13a,13bと該コーナー10から離れた位置の外面と連結しているリブ14a,14bの4本を有している。リブ14a,14bは中間に前面5から起立する支柱15a,15bを介在してボス11とキャビネット外面を連結している。
【0015】
そして、上記リブ13a,13bの中間部位には切込み16,16を有し、同じくリブ14a,14bにも切込み16,16を設けている。図3は図2のA−A断面を示しており、リブ13b,14aにはその上縁から切込み16,16が形成されている。同図から明らかなように、ブラケットがネジ止めされるボス11はリブ13a,13b,14a,14bより高く、支柱15はリブ13a,13b,14a,14bと同じ高さと成っている。
【0016】
図4は該キャビネット1に陰極線管17を取付けた場合を表わしている。陰極線管17は前面5の開口窓9より僅かに大きな長方形を成し、そのコーナーにはブラケット18,18・・が外方向へ延び、該ブラケット18,18・・はボス11,11・・にネジ止めされる。そこで、陰極線管17の荷重はボス11、及び各リブ13a,13b,14a,14bにて負担して支えることが出来る。
【0017】
図5はリブ13,14に形成している切込み16を示す具体例であり、該切込み16はリブ13,14の上縁19から切込まれて概略U形を成している。ここで、ボス11には陰極線管17のブラケット18がネジ止め固定され、該陰極線管17の荷重がボス11に作用し、例えば、搬送時の荷物の積み下ろしに際して右方向の衝撃が発生するならば、該衝撃はリブ13,14に伝わる。そして、該リブ13,14に形成している切込み16を圧縮してキャビネット外面への伝達を抑制出来る。
【0018】
すなわち、リブ13,14に切込み16が形成されることで、この部分のリブ強度は低下し、ボス11に作用する衝撃力は切込み16を圧縮変形して吸収することが出来る。勿論、左方向への衝撃力に対しては、該切込み16が引っ張れて拡大変形する。ただし、陰極線管17を支える為に作用する静荷重によって該切込み16が圧縮及び引っ張り変形することはない。
【0019】
図6はリブ13,14に概略V形の切込み16を形成した場合である。作用効果は前記図5に示した概略U形の切込みの場合と同じである。そして、図7は本発明の別形態で、該リブ13,14には一部に薄肉部20を形成している。従って、該薄肉部20の強度は低下し、ボス11に作用する衝撃により該薄肉部20は圧縮又は引っ張られる。従って、該薄肉部20にて衝撃が吸収されることで、キャビネット外面への影響を抑制することが出来る。
【0020】
図8はリブ13,14に湾曲部21を形成した場合を示している。該リブ13,14に湾曲部21を形成することで、湾曲部の肉厚が他の部分と同じであっても曲げ変形し易くなる。従って、該ボス11に衝撃が作用する場合、リブ全体が変形しないで、リブ13,14に作用する圧縮又は引っ張り応力にて上記湾曲部21に発生する曲げモーメントにより、曲げ変形することで該衝撃が吸収される。
【0021】
リブに形成する切込み、薄肉部、湾曲部により衝撃を緩和してキャビネット外面の伝達を抑制出来、又これら切込み、薄肉部、及び湾曲部を組合わせて用いることも可能である。
【0022】
図9は本発明に係る他の実施例であり、前記図2に示したボス補強構造と共通する。しかし、この実施例ではリブ13a,13bがキャビネット外面と連結することなく隙間22,22を有し、又リブ14a,14bの先端に設けている支柱15a,15bから延びる補助リブ23a,23bもキャビネット外面と連結しておらず、間に隙間22,22を設けている。これら隙間22,22・・は、前記実施例にて説明した切込み16,16・・に相当し、各リブ13a,13b,14a,14bに作用する応力を該隙間22,22・・にて遮断し、キャビネット外面に伝わらないようにしている。
【0023】
図10に示す実施例は前記図9に類似するボスの補強構造を示している。キャビネットコーナーには前面5から起立するボス11を設け、そして該ボス11からリブ13a,13b,14a,14bを外方向へ延ばしている。しかし、これらリブ13a,13b,14a,14bはキャビネット外面に連結することなく、間には隙間、及び空間を形成している。
【0024】
図11に示す実施例は、リブ11を中心として外方向にリブ24,24・・を放射状に延ばしている。しかし各リブ24,24・・はキャビネット外面との間に隙間22,22・・を介在している。図12に示す実施例の場合にはボス11の全周にリブ24,24・・を放射状に延ばしているが、各リブ先端はキャビネット外面と連結していない。
【0025】
図13に示す実施例はボス11の周りに各リブを組合わせて形成した補強構造体25a,25bを設けている。そして該補強構造体25a,25bはキャビネット外面との間に隙間22,22を有している。従って、ボス11に作用する負荷にて補強構造体25a,25bが変形してもキャビネット外面には影響しない。図14も同じくボス11には補強構造体25を設けている。
【0026】
以上述べたように、本発明のキャビネットのボス補強構造はキャビネット前面から起立したボスの周囲にはリブを設けてキャビネット外面と連結すると共に該リブには切込み又は薄肉部などを形成したり、又はリブとキャビネット外面との間に隙間を形成したものであって、次のような効果を得ることが出来る。
【0027】
【発明の効果】
本発明のキャビネットのボス補強構造はキャビネット前面から起立したボスの周囲にはリブを設けてキャビネット外面と連結し、そして該リブには切込み又は薄肉部などを形成している。従って、非常に重い陰極線管を取付けるボスに大きな衝撃が作用する場合、該ボスが撓み変形すると共にボスから延びる補強リブへ伝わるが、リブに形成している切込みや薄肉部、又は湾曲部により該衝撃を吸収することが出来る。
【0028】
又、ボスから延びるリブをキャビネット外面と連結することなく、間に隙間を設けることで、切込みと同じ作用・効果を得ることが可能となる。従って、キャビネット外面の変形は抑えられ、外面が白化する現象を防止することが出来る。また、本発明のボス補強構造はリブに切込みを形成したり、薄肉部を設けるだけであり、その構造は簡単である為に、すなわちボスの周りに細かいリブを多数設ける必要がなく、成形金型及び製作費は安くなると共にその寿命は向上する。
【0029】
一方、リブに形成した上記切込みを利用して、例えば操作基板とスピーカーを繋ぐ線材を収容・処理することが出来る。従って、キャビネットに陰極線管を取付ける際に線材が邪魔にならずに取付けることが出来ることで、組立て時の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】テレビジョン受像機の外観。
【図2】本発明のボス補強構造を備えたキャビネット。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】陰極線管を取付けた場合のボス補強構造。
【図5】概略U形切込みを形成したリブ。
【図6】概略V形切込みを形成したリブ。
【図7】薄肉部を形成したリブ。
【図8】湾曲部を形成したリブ。
【図9】ボス補強構造を示す他の実施例。
【図10】ボス補強構造を示す他の実施例。
【図11】ボス補強構造を示す他の実施例。
【図12】ボス補強構造を示す他の実施例。
【図13】ボス補強構造を示す他の実施例。
【図14】ボス補強構造を示す他の実施例。
【符号の説明】
1 キャビネット
2 裏蓋
3 陰極線管
4 画像表示部
5 前面
6 上面
7 下面
8 側面
9 開口窓
10 コーナー
11 ボス
12 ネジ穴
13 リブ
14 リブ
15 支柱
16 切込み
17 陰極線管
18 ブラケット
19 上縁
20 薄肉部
21 湾曲部
22 隙間
23 補助リブ
24 リブ
25 補強構造体

Claims (5)

  1. キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にキャビネット外面と連結するリブを設けたキャビネットのボス補強構造において、上記リブには切込みを形成したことを特徴とする陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造。
  2. キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にキャビネット外面と連結するリブを設けたキャビネットのボス補強構造において、上記リブには薄肉部を形成したことを特徴とする陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造。
  3. キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にキャビネット外面と連結するリブを設けたキャビネットのボス補強構造において、上記リブには湾曲部を形成したことを特徴とする陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造。
  4. キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為にリブを外方向へ延ばしたキャビネットのボス補強構造において、上記リブとキャビネット外面との間に間隙を形成したことを特徴とする陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造。
  5. キャビネットの各コーナーには陰極線管を取付ける為のボスを起立すると共に、該ボスを補強する為に各リブを組合わせて形成した補強構造体を設けたキャビネットのボス補強構造において、上記補強構造体とキャビネット外面との間に間隙を形成したことを特徴とする陰極線管を固定するキャビネットのボス補強構造。
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