JP2004327553A - 有機電界効果トランジスタ - Google Patents

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Yosuke Hagiwara
洋右 萩原
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Abstract

【課題】オフ時の漏れ電流を抑制することができる有機電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】支持基板1の一表面上にソース電極(第1の電極)2が形成されるとともに、支持基板1の一表面側においてソース電極2を覆うように有機半導体層3が形成され、有機半導体層3上にドレイン電極(第2の電極)4が形成されており、ソース電極2とドレイン電極4とに挟まれた有機半導体層3内には、ソース電極2およびドレイン電極4から離間して平面形状が櫛形状のゲート電極(第3の電極)5が配置されている。有機半導体層3は、厚み方向に積層されたn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとで構成されている。オフ時にはp形有機半導体膜32pとn形有機半導体膜31nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、従来に比べて漏れ電流を低減できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電界効果トランジスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、有機半導体層の厚み方向の両側に主端子(ドレイン電極、ソース電極)が配置され有機半導体層の厚み方向に沿って電流が流れる縦型の有機電界効果トランジスタとして、図6に示す構成のものが提案されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0003】
図6に示した縦型の有機電界効果トランジスタは、矩形板状の支持基板1の一表面上に平面形状が矩形状のソース電極2が形成されるとともに、支持基板1の一表面側においてソース電極2を覆うように有機半導体層3’が形成され、有機半導体層3’上に平面形状が矩形状のドレイン電極4が形成されており、ソース電極2とドレイン電極4とに挟まれた有機半導体層3内には、ソース電極2およびドレイン電極4から離間して平面形状が櫛形状のゲート電極5が配置されている。ここに、各電極2,4,5は、それぞれ、有機半導体層3に重ならない位置まで延設された配線部2a,4a,5aを備えている。なお、有機半導体層3’は、厚み方向に積層されたp形有機半導体膜31pとp形有機半導体膜32pとで構成されており、1層目のp形有機半導体膜31pがソース電極2に接触し、2層目のp形有機半導体膜32pがドレイン電極4に接触している。
【0004】
上述の縦型の有機電界効果トランジスタでは、例えば、図7(a)に示すように、ドレイン電極4(図7(a)中では「D」)をソース電極2(図7(a)中では「S」)に対して低電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5(図7(a)中では「G」)をソース電極2に対して高電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加すると、図7(b)に示すように、有機半導体層3’内においてゲート電極5の周りに、電流を流すための電荷が存在できない領域である空乏層6が形成されて電流の通過経路が狭められ電流が流れにくくなる(なお、図7(b)中の上向きの矢印は漏れ電流の流れる向きを示している)。
【0005】
これに対して、図8(a)に示すように、ドレイン電極4(図8(a)中では「D」)をソース電極2(図8(a)中では「S」)に対して低電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5(図8(a)中では「G」)をソース電極2に対して低電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加すると、図8(b)に示すように、有機半導体層3’内においてゲート電極5の周りに蓄積層7が形成される。ここに、蓄積層7には有機半導体層3’よりも高い濃度の正電荷が誘起されており、蓄積層7の導電率が有機半導体層3’の導電率よりも高いので、ソース電極2とドレイン電極4との間に電流が流れやすくなる(なお、図8(b)中の上向きの矢印は電流の流れる向きを示している)。要するに、図6に示した縦型の有機電界効果トランジスタは、正孔が電流のキャリアとなるpチャネルの電界効果トランジスタである。
【0006】
したがって、上述の縦型の有機電界効果トランジスタでは、ゲート電極5とソース電極2との間に印加するゲート電圧Vに応じて櫛形状のゲート電極5の櫛歯間を通ってソース電極2とドレイン電極4との間に流れる電流を制御できる。ここに、上述の縦型の有機電界効果トランジスタに関して、図7(a)におけるゲート電圧Vの値を0〜1Vの範囲内で種々変化させた場合の出力特性(ドレイン電流IDS−ドレイン電圧VDS特性)の一例を図9に示す(非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0007】
なお、上述の縦型の有機電界効果トランジスタでは、ゲート電極5の平面形状を櫛形状に形成してあるが、ゲート電極5の平面形状は櫛形状の形状に限らず、外周形状が矩形状であって内側領域に多数の円形の貫通孔を形成した形状のものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−189466号公報
【非特許文献1】
工藤、他4名,「オーガニック・スタティック・インダクション・フォー・ディスプレイ・デバイス(Organic static induction transistor for display devices)」,シンセティク・メタルズ・111−112(Synthetic Metals 111−112),2000年,p.11−14
【非特許文献2】
“具体例”、〔online〕、千葉大学、〔平成15年4月10日検索〕、インターネット、<URL:www.pet.te.chiba−u.ac.jp/research.html>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、横型の有機電界効果トランジスタは、チャネルが形成される有機半導体層に用いる有機半導体材料の移動度が一般的なMOSFETで用いられる無機半導体材料(シリコン)に比べて低いことに起因してドレイン電流IDSが小さい、スイッチング速度が遅いなどの欠点がある。これに対して、上述の特許文献1や非特許文献1,2に開示された縦型の有機電界効果トランジスタは、横型の有機電界効果トランジスタに比べてドレイン電流IDSの大電流化を図ることができるとともにスイッチング速度の高速化を図ることができる短チャネル構造のデバイスである。つまり、上述の縦型の有機電界効果トランジスタでは、チャネル長を有機半導体層3’の膜厚で決めることができ、短チャネル化を図れるので、駆動電流を大きくできてスイッチング速度も速くすることができるという利点がある。
【0010】
しかしながら、上述の縦型の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3’の膜厚で決まるチャネル長が高々数1000Åなので、本来は電流が流れてほしくないオフ時であっても、電流が流れてしまう。このため、オフ時にソース電極2とドレイン電極4との間に漏れ電流が流れるのを阻止する極性のゲート電圧Vをゲート電極5とソース電極2との間に印加しなければならず、駆動回路が複雑化してしまうという不具合があった。また、上記極性のゲート電圧Vを印加してもオフ時の漏れ電流を完全になくすのは難しいという不具合があった。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、オフ時の漏れ電流を抑制することができる有機電界効果トランジスタを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、有機半導体層と、有機半導体層の厚み方向の一面に接触して配置された第1の電極と、有機半導体層の厚み方向の他面に接触して配置された第2の電極と、有機半導体層内において第1の電極および第2の電極から離間して配置され第1の電極と第2の電極との間を流れる電流を制御する第3の電極とを備え、有機半導体層は、厚み方向に積層された少なくとも2層の有機半導体膜からなり、且つ、厚み方向において隣り合う有機半導体膜の導電形を異ならせてなることを特徴とする。この構成によれば、有機半導体層の厚み方向において隣り合う有機半導体膜の接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するために第3の電極へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したn形有機半導体膜と、当該n形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したp形有機半導体膜とからなることを特徴とする。この構成によれば、n形有機半導体膜とp形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるpチャネル有機電界効果トランジスタを実現できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したp形有機半導体膜と、当該p形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したn形有機半導体膜とからなることを特徴とする。この構成によれば、p形有機半導体膜とn形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるnチャネル有機電界効果トランジスタを実現できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のn形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のn形有機半導体膜と、第1のn形有機半導体膜と第2のn形有機半導体膜との間に介在したp形有機半導体膜とからなることを特徴とする。この構成によれば、第1のn形有機半導体膜とp形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるpチャネル有機電界効果トランジスタを実現できる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のp形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のp形有機半導体膜と、第1のp形有機半導体膜と第2のp形有機半導体膜との間に介在したn形有機半導体膜とからなることを特徴とする。この構成によれば、第1のp形有機半導体薄膜とn形半導体薄膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるnチャネル有機電界効果トランジスタを実現できる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明において、前記第3の電極は、前記有機半導体層における前記厚み方向の両端の有機半導体膜とは離間して配置されるように内側の有機半導体膜に埋設されてなることを特徴とする。この構成によれば、オン時に前記ソース電極から前記ゲート電極へ流入するキャリアを低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の有機電界効果トランジスタは、図1に示すように、矩形板状の支持基板1の一表面上に平面形状が矩形状のソース電極2が形成されるとともに、支持基板1の一表面側においてソース電極2を覆うように有機半導体層3が形成され、有機半導体層3上に平面形状が矩形状のドレイン電極4が形成されており、ソース電極2とドレイン電極4とに挟まれた有機半導体層3内には、ソース電極2およびドレイン電極4から離間して平面形状が櫛形状のゲート電極5が配置されている。ここに、各電極2,4,5は、それぞれ、有機半導体層3に重ならない位置まで延設された配線部2a,4a,5aを備えている。なお、本実施形態では、ソース電極2が第1の電極を構成し、ドレイン電極4が第2の電極を構成し、ゲート電極5が第3の電極を構成している。
【0019】
支持基板1としては、絶縁性を有する絶縁材料の一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)からなる有機基板を用いているが、ポリエチレンテレフタレエート以外の絶縁性を有する有機材料(例えば、ポリカーボネイト、ポリイミドなど)からなる有機基板や、表面をシリコン酸化膜などの絶縁膜により覆われたシリコン基板、絶縁性を有するガラス基板などの無機基板を用いてもよい。
【0020】
各電極2,4,5の材料としてはAuのような金属材料を採用しているが、Auの他にAl,Ptなどの金属材料や、導電性高分子などの有機材料を採用してもよい。なお、各電極2,4,5の膜厚は、金属材料を採用した場合には例えば500Å程度に設定すればよく、有機材料を採用した場合には例えば1μm程度に設定すればよい。
【0021】
ところで、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が厚み方向に積層され互いに導電形の異なるn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとで構成されており、支持基板1に近い側(つまり、ソース電極2に近い側)から数えて1層目(下層)のn形有機半導体膜31nがソース電極2に接触し、2層目(上層)のp形有機半導体膜32pがドレイン電極4に接触し、ゲート電極5はn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとの両方に接触している。
【0022】
n形有機半導体膜31nの材料としては、n形有機半導体材料の一種であるフッ素化銅フタロシアニンを採用しているが、他のn形有機半導体材料を採用してもよい。また、p形有機半導体膜32pの材料としては、p形有機半導体材料の一種であるペンタセンを採用しているが、ペンタセンの他に、α−6T、銅フタロシアニンなどを採用してもよい。ここに、各有機半導体膜31n,32pの膜厚は例えば500〜5000Å程度に設定すればよい。なお、有機半導体層3の厚み方向におけるソース電極2とドレイン電極4と間の距離はn形有機半導体膜31nの膜厚とp形有機半導体膜32pの膜厚との合計膜厚により決まるから、各有機半導体膜31n,32pの膜厚を500Åに設定した場合には、有機半導体層3の厚さが1000Åとなり、チャネル長も1000Åとなる。
【0023】
以下、本実施形態の有機電界効果トランジスタの製造方法について簡単に説明するが、製造方法において説明する各シャドウマスクは、金属薄板にエッチングで穴を貫設することで所望のパターンを形成したものである。
【0024】
まず、支持基板1の上記一表面上に、ソース電極2をパターン形成するための第1のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のソース電極2をパターン形成する。
【0025】
次に、支持基板1の上記一表面側に、1層目のn形有機半導体膜31nをパターン形成するための第2のシャドウマスクを通してn形有機半導体材料(例えば、フッ素化銅フタロシアニンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のn形有機半導体膜31nをパターン形成する。
【0026】
その後、支持基板1の上記一表面側に、ゲート電極5をパターン形成するための第3のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のゲート電極5をパターン形成する。
【0027】
続いて、支持基板1の上記一表面側に、2層目のp形有機半導体膜32pをパターン形成するための第4のシャドウマスクを通してp形有機半導体材料(例えば、ペンタセンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のp形有機半導体膜32pをパターン形成する。
【0028】
その後、支持基板1の上記一表面側に、ドレイン電極4をパターン形成するための第5のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のドレイン電極4をパターン形成する。
【0029】
以上説明した製造方法によれば、各有機半導体膜31n,32pの成膜時の膜厚を制御することによって有機半導体層3の膜厚を制御することができてチャネル長を制御することができ、リソグラフィ技術やエッチング技術を利用することなく有機電界効果トランジスタの短チャネル化を図れる。
【0030】
なお、上述の製造方法では各パターン形成工程で蒸着法を利用しているが、蒸着法に限らず、スクリーン印刷法、インクジェットプリント法などの印刷法を利用してもよい。
【0031】
ところで、本実施形態の有機電界効果トランジスは、ゲート電極5とソース電極2との間に印加するゲート電圧Vを制御してソース電極2とドレイン電極4との間のコンダクタンスを制御することにより、ソース電極2とドレイン電極4との間を流れるドレイン電流IDSを制御することができる。
【0032】
ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、図6に示した従来例と同様に、正孔が電流のキャリアとなるpチャネルの電界効果トランジスタであり、ドレイン電極4およびゲート電極5それぞれをソース電極2に対して負にバイアスすることによりオンする。言い換えれば、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、上述の図8(a)と同様に、ドレイン電極4(D)をソース電極2(S)に対して低電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5(G)をソース電極2に対して低電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加することによりオンする。ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオン時には、つまり、ゲート電極5が負にバイアスされている時には、1層目のn形有機半導体膜31nにp形の反転層が形成されるとともに、2層目のp形有機半導体膜32pに正孔が流れやすい蓄積層が形成されるので、ソース電極2とドレイン電極4との間に形成された反転層と蓄積層とを通って正孔がソース電極2からドレイン電極4へ流れることになる。
【0033】
一方、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオフ時にゲート電圧Vを0Vとしてドレイン電極4が負にバイアスされている場合には、p形有機半導体膜32pとn形有機半導体膜31nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、図6に示した従来例のように有機半導体層3’が全体にわたってp形有機半導体材料により形成されたものに比べて、漏れ電流を低減することができる。
【0034】
しかして、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が、厚み方向に積層された互いに導電形の異なるn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとの積層膜からなるので、有機半導体層3の厚み方向において隣り合うn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとの接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するためにゲート電極5とソース電極2との間へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態の有機電界効果トランジスタの基本構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、有機半導体層3の構成が相違する。すなわち、図1に示した実施形態1の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3において支持基板1に近い側(ソース電極2に近い側)から数えて1層目がn形有機半導体膜31nで、2層目がp形有機半導体膜32pであったのに対して、本実施形態では、1層目がp形有機半導体材料からなるp形有機半導体膜31pで、2層目がn形有機半導体材料からなるn形有機半導体膜32nとなっており、p形有機半導体膜31pがソース電極2に接触し、n形有機半導体膜32nがドレイン電極4に接触している。他の構成は実施形態1と同じなので、実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
ところで、実施形態1の有機電界効果トランジスタは正孔が電流のキャリアとなるpチャネルの電界効果トランジスタであったが、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、電子が電流のキャリアとなるnチャネルの電界効果トランジスタである。つまり、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、ドレイン電極4およびゲート電極5それぞれをソース電極2に対して正にバイアスすることによりオンする。言い換えれば、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、ドレイン電極4をソース電極2に対して高電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5をソース電極2に対して高電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加することによりオンする。ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオン時には、つまり、ゲート電極5が正にバイアスされている時には、1層目のp形有機半導体膜31pにn形の反転層が形成されるとともに、2層目のn形有機半導体膜32nに電子が流れやすい蓄積層が形成されるので、ソース電極2とドレイン電極4との間に形成された反転層と蓄積層とを通って電子がソース電極2からドレイン電極4へ流れることになる。
【0037】
一方、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオフ時にゲート電圧Vを0Vとしてドレイン電極4が正にバイアスされている場合には、p形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、図6に示した従来例のように有機半導体層3’が全体にわたってp形有機半導体材料により形成されたものに比べて、漏れ電流を低減することができる。
【0038】
しかして、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が、厚み方向に積層された互いに導電形の異なるp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの積層膜からなるので、有機半導体層3の厚み方向において隣り合うp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するためにゲート電極5とソース電極2との間へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0039】
なお、本実施形態の有機電界効果トランジスタの製造方法は実施形態1で説明した製造方法と略同じであって、実施形態1で説明した製造方法におけるn形有機半導体膜31nのパターン形成工程がp形有機半導体膜31pのパターン形成工程となり、p形有機半導体膜32pのパターン形成工程がn形有機半導体膜32nのパターン形成工程となるだけである。
【0040】
(実施形態3)
本実施形態の有機電界効果トランジスタの基本構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、有機半導体層3の構成が相違する。すなわち、図1に示した実施形態1の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が厚み方向に積層されたn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとの2層構造であったのに対して、本実施形態では、有機半導体層3がn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとn形有機半導体膜33nとの3層構造を有しており、支持基板1に近い側(つまり、ソース電極2に近い側)から数えて1層目(最下層)のn形有機半導体膜31nがソース電極2に接触し、3層目(最上層)のn形有機半導体膜33nがドレイン電極4に接触している。ここに、3層目のn形有機半導体膜33nの膜厚は、1層目のn形有機半導体膜31nと同様に500〜5000Å程度に設定すればよい。なお、3層目のn形有機半導体膜33nは1層目のn形有機半導体膜31nと同じn形有機半導体材料(例えば、フッ素化銅フタロシアニンなど)により形成してもよいし、別のn形有機半導体材料により形成してもよい。また、他の構成は実施形態1と同じなので、実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態の有機電界効果トランジスタの製造方法は実施形態1で説明した製造方法と略同じであって、2層目のp形有機半導体膜32pのパターン形成工程とドレイン電極4のパターン形成工程との間に、3層目のn形有機半導体膜33nを形成するためのシャドウマスクを通してn形有機半導体材料を蒸着することで所定膜厚のn形有機半導体膜33nをパターン形成するパターン形成工程が追加されるだけである。
【0042】
以下、本実施形態の有機電界効果トランジスタの動作について説明する。
【0043】
本実施形態の有機電界効果トランジスタは、正孔が電流のキャリアとなるpチャネルの電界効果トランジスタであり、ドレイン電極4およびゲート電極5それぞれをソース電極2に対して負にバイアスすることによりオンする。言い換えれば、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、上述の図8(a)と同様に、ドレイン電極4(D)をソース電極2(S)に対して低電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5(G)をソース電極2に対して低電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加することによりオンする。ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオン時には、つまり、ゲート電極5が負にバイアスされている時には、1層目のn形有機半導体膜31nにp形の反転層が形成されるとともに、2層目のp形有機半導体膜32pに正孔が流れやすい蓄積層が形成され、2層目のp形有機半導体膜32pと3層目のn形有機半導体膜33nとのpn接合界面は順方向にバイアスされているので、ソース電極2とドレイン電極4との間に形成された反転層と蓄積層とを通って正孔がソース電極2からドレイン電極4へ流れることになる。
【0044】
一方、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオフ時にゲート電圧Vを0Vとしてドレイン電極4が負にバイアスされている場合には、p形有機半導体膜32pとn形有機半導体膜31nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、図6に示した従来例のように有機半導体層3’が全体にわたってp形有機半導体材料により形成されたものに比べて、漏れ電流を低減することができる。
【0045】
しかして、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が、厚み方向に積層された互いに導電形の異なるn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとn形有機半導体膜33nとの積層膜からなるので、有機半導体層3の厚み方向において隣り合うn形有機半導体膜31nとp形有機半導体膜32pとの接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するためにゲート電極5とソース電極2との間へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0046】
なお、本実施形態では、1層目のn形有機半導体膜31nが第1のn形有機半導体膜を構成し、3層目のn形有機半導体膜33nが第2のn形有機半導体膜を構成している。
【0047】
(実施形態4)
本実施形態の有機電界効果トランジスタの基本構成は実施形態2と略同じであって、図4に示すように、有機半導体層3の構成が相違する。すなわち、図2に示した実施形態2の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が厚み方向に積層されたp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの2層構造であったのに対して、本実施形態では、有機半導体層3がp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとp形有機半導体膜33pとの3層構造を有しており、支持基板1に近い側(つまり、ソース電極2に近い側)から数えて1層目(最下層)のp形有機半導体膜31pがソース電極2に接触し、3層目(最上層)のp形有機半導体膜33pがドレイン電極4に接触しており、ゲート電極5が1層目のp形有機半導体膜31pと2層目のn形有機半導体膜32nとに接触している。ここに、3層目のp形有機半導体膜33pの膜厚は、1層目のp形有機半導体膜31pと同様に500〜5000Å程度に設定すればよい。なお、3層目のp形有機半導体膜33pは1層目のp形有機半導体膜31pと同じp形有機半導体材料(例えば、ペンタセン、α−6T、銅フタロシアニンなど)により形成してもよいし、別のp形有機半導体材料により形成してもよい。また、他の構成は実施形態2と同じなので、実施形態2と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の有機電界効果トランジスタの製造方法は実施形態2で説明した製造方法と略同じであって、2層目のn形有機半導体膜32nのパターン形成工程とドレイン電極4のパターン形成工程との間に、3層目のp形有機半導体膜33pを形成するためのシャドウマスクを通してp形有機半導体材料を蒸着することで所定膜厚のp形有機半導体膜33pをパターン形成するパターン形成工程が追加されるだけである。
【0049】
以下、本実施形態の有機電界効果トランジスタの動作について説明する。
【0050】
本実施形態の有機電界効果トランジスタは、電子が電流のキャリアとなるnチャネルの電界効果トランジスタであり、ドレイン電極4およびゲート電極5それぞれをソース電極2に対して正にバイアスすることによりオンする。言い換えれば、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、ドレイン電極4をソース電極2に対して高電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5をソース電極2に対して高電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加することによりオンする。ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオン時には、つまり、ゲート電極5が正にバイアスされている時には、1層目のp形有機半導体膜31pにn形の反転層が形成されるとともに、2層目のn形有機半導体膜32nに電子が流れやすい蓄積層が形成され、2層目のn形有機半導体膜32nと3層目のp形有機半導体膜33pとのpn接合界面は順方向にバイアスされているので、ソース電極2とドレイン電極4との間に形成された反転層と蓄積層とを通って電子がソース電極2からドレイン電極4へ流れることになる。
【0051】
一方、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオフ時にゲート電圧Vを0Vとしてドレイン電極4が正にバイアスされている場合には、1層目のp形有機半導体膜31pと2層目のn形有機半導体膜32nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、図6に示した従来例のように有機半導体層3’が全体にわたってp形有機半導体材料により形成されたものに比べて、漏れ電流を低減することができる。
【0052】
しかして、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が、厚み方向に積層されたp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとp形有機半導体膜33pとの積層膜からなり厚み方向において隣り合う膜同士は導電形が互いに異なっているので、有機半導体層3の厚み方向において隣り合うp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するためにゲート電極5とソース電極2との間へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0053】
なお、本実施形態では、1層目のp形有機半導体膜31pが第1のp形有機半導体膜を構成し、3層目のp形有機半導体膜33pが第2のp形有機半導体膜を構成している。
【0054】
(実施形態5)
本実施形態の有機電界効果トランジスタの基本構成は実施形態4と略同じであって、図5に示すように、有機半導体層3の構成などが相違する。すなわち、図4に示した実施形態4の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が厚み方向に積層されたp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとp形有機半導体膜33pとの3層構造であったのに対して、本実施形態では、有機半導体層3がp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとn形有機半導体層33nとp形有機半導体膜34pとの4層構造を有しており、支持基板1に近い側(つまり、ソース電極2に近い側)から数えて1層目(最下層)のp形有機半導体膜31pがソース電極2に接触し、4層目(最上層)のp形有機半導体膜34pがドレイン電極4に接触している。また、ゲート電極5は、3層目のn形有機半導体膜33nと2層目のn形有機半導体膜32nとの両方に接触している。ここに、3層目のn形有機半導体膜33nの膜厚は2層目のn形有機半導体膜32nと同様に500〜5000Å程度に設定すればよい。4層目のp形有機半導体膜34pの膜厚は、1層目のp形有機半導体膜31pと同様に500〜5000Å程度に設定すればよい。なお、3層目のn形有機半導体膜33nは2層目のn形有機半導体膜32nと同じn形有機半導体材料(例えば、フッ素化銅フタロシアニンなど)により形成することが望ましい。また、4層目のp形有機半導体膜34pは1層目のp形有機半導体膜31pと同じp形有機半導体材料(例えば、ペンタセン、α−6T、銅フタロシアニンなど)により形成してもよいし、別のp形有機半導体材料により形成してもよい。また、他の構成は実施形態4と同じなので、実施形態4と同じ構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
以下、本実施形態の有機電界効果トランジスタの製造方法について簡単に説明するが、製造方法において説明する各シャドウマスクは、金属薄板にエッチングで穴を貫設することで所望のパターンを形成したものである。
【0056】
まず、支持基板1の上記一表面上に、ソース電極2をパターン形成するための第1のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のソース電極2をパターン形成する。
【0057】
次に、支持基板1の上記一表面側に、1層目のp形有機半導体膜31pをパターン形成するための第2のシャドウマスクを通してp形有機半導体材料(例えば、ペンタセンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のp形有機半導体膜31pをパターン形成する。
【0058】
その後、支持基板1の上記一表面側に、2層目のn形有機半導体膜32nをパターン形成するための第3のシャドウマスクを通してn形有機半導体材料(例えば、フッ素化銅フタロシアニンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のn形有機半導体膜32nをパターン形成する。
【0059】
続いて、支持基板1の上記一表面側に、ゲート電極5をパターン形成するための第4のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のゲート電極5をパターン形成する。
【0060】
次に、支持基板1の上記一表面側に、3層目のn形有機半導体膜33nをパターン形成するための第5のシャドウマスクを通してn形有機半導体材料(例えば、フッ素化銅フタロシアニンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のn形有機半導体膜33nをパターン形成する。
【0061】
その後、支持基板1の上記一表面側に、4層目のp形有機半導体膜34pをパターン形成するための第6のシャドウマスクを通してp形有機半導体材料(例えば、ペンタセンなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500〜5000Å)のp形有機半導体膜34pをパターン形成する。
【0062】
更にその後、支持基板1の上記一表面側に、ドレイン電極4をパターン形成するための第7のシャドウマスクを通して金属材料(例えば、Au、Al,Ptなど)を蒸着することで所定膜厚(例えば、500Å)のドレイン電極4をパターン形成する。
【0063】
以上説明した製造方法によれば、各有機半導体膜31p,32n,33n,34pの成膜時の膜厚を制御することによって有機半導体層3の膜厚を制御することができてチャネル長を制御することができ、リソグラフィ技術やエッチング技術を利用することなく有機電界効果トランジスタの短チャネル化を図れる。
【0064】
なお、上述の製造方法では各パターン形成工程で蒸着法を利用しているが、蒸着法に限らず、スクリーン印刷法、インクジェットプリント法などの印刷法を利用してもよい。
【0065】
ところで、実施形態4の有機電界効果トランジスタは、製造時に1層目のp形有機半導体膜31p上にゲート電極5を形成した後に2層目のn形有機半導体層32nを積層してあるので、ゲート電極5が互いに導電形の異なるp形有機半導体膜31pとn形有機半導体層32nとに接触している。これに対して、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、製造時に2層目のn形有機半導体膜32n上にゲート電極5を形成した後に3層目のn形有機半導体層33nを積層してあるので、結果的にゲート電極5がn形有機半導体膜32nとn形有機半導体層33nとからなるn形有機半導体膜に埋設されており、ゲート電極5がp形の有機半導体(つまり、p形有機半導体膜31p,p形有機半導体膜34p)とは接触していない。要するに、ゲート電極5は、有機半導体層3における厚み方向の両端の有機半導体膜(p形有機半導体膜31p,p形有機半導体膜34p)とは離間して配置されるように内側のn形有機半導体膜(n形有機半導体膜32nとn形有機半導体層33nとからなるn形有機半導体膜)に埋設されている。
【0066】
以下、本実施形態の有機電界効果トランジスタの動作について説明する。
【0067】
本実施形態の有機電界効果トランジスタは、電子が電流のキャリアとなるnチャネルの電界効果トランジスタであり、ドレイン電極4およびゲート電極5それぞれをソース電極2に対して正にバイアスすることによりオンする。言い換えれば、本実施形態の有機電界効果トランジスタは、ドレイン電極4をソース電極2に対して高電位側としてドレイン電極4とソース電極2との間にドレイン電圧VDSを印加するとともに、ゲート電極5をソース電極2に対して高電位側としてゲート電極5とソース電極2との間にゲート電圧Vを印加することによりオンする。ここにおいて、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオン時には、つまり、ゲート電極5が正にバイアスされている時には、1層目のp形有機半導体膜31pにn形の反転層が形成されるとともに、2層目のn形有機半導体膜32nおよび3層目のn形有機半導体膜33nに電子が流れやすい蓄積層が形成され、4層目のp形有機半導体膜34pと3層目のn形有機半導体膜33nとのpn接合界面は順方向にバイアスされているので、ソース電極2とドレイン電極4との間に形成された反転層と蓄積層とを通って電子がソース電極2からドレイン電極4へ流れることになる。
【0068】
一方、本実施形態の有機電界効果トランジスタのオフ時にゲート電圧Vを0Vとしてドレイン電極4が正にバイアスされている場合には、1層目のp形有機半導体膜31pと2層目のn形有機半導体膜32nとのpn接合界面に逆バイアスがかかって空乏層が広くなるので、図6に示した従来例のように有機半導体層3’が全体にわたってp形有機半導体材料により形成されたものに比べて、漏れ電流を低減することができる。
【0069】
しかして、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、有機半導体層3が、厚み方向に積層されたp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとn形有機半導体層33nとp形有機半導体膜34pとの積層膜からなり厚み方向において隣り合う膜同士は導電形が互いに異なっているので、有機半導体層3の厚み方向において隣り合うp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができる。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するためにゲート電極5とソース電極2との間へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0070】
また、実施形態4の有機電界効果トランジスタでは、ソース電極2とゲート電極5との間に薄いp形有機半導体膜31pのみが介在する構造なので、ゲート電圧Vが低い値でもゲート電極5に電子が流入することになる。これに対して、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、ソース電極2とゲート電極5との間にp形有機半導体膜31pとn形有機半導体膜32nとの積層膜が介在する構造となっているので、ソース電極2とゲート電極5との間にpn接合が存在するから、オン時においてゲート電圧Vが低い値の場合にソース電極2からゲート電極5へ流入する電子を低減できる。
【0071】
なお、本実施形態の有機電界効果トランジスタでは、支持基板1の厚み方向に対して、ソース電極2/p形有機半導体膜31p/n形有機半導体膜32n/n形有機半導体層33n/p形有機半導体膜34p/ドレイン電極4の積層構造を有しているが、ソース電極2/n形有機半導体膜31n/p形有機半導体膜32p/p形有機半導体層33p/n形有機半導体膜34n/ドレイン電極4の積層構造を採用し、製造時にn形有機半導体膜31n上にp形有機半導体膜32pを積層した後にゲート電極5を形成し、その後でp形有機半導体層33pを積層することでゲート電極5がp形有機半導体膜32pとp形有機半導体層33pとの積層膜からなるp形有機半導体膜に埋設され、ゲート電極5がn形の有機半導体(つまり、n形有機半導体膜31n,n形有機半導体膜34n)とは接触しないような構造としてもよい。
【0072】
【発明の効果】
請求項1の発明は、有機半導体層と、有機半導体層の厚み方向の一面に接触して配置された第1の電極と、有機半導体層の厚み方向の他面に接触して配置された第2の電極と、有機半導体層内において第1の電極および第2の電極から離間して配置され第1の電極と第2の電極との間を流れる電流を制御する第3の電極とを備え、有機半導体層は、厚み方向に積層された少なくとも2層の有機半導体膜からなり、且つ、厚み方向において隣り合う有機半導体膜の導電形を異ならせてなるものであり、有機半導体層の厚み方向において隣り合う有機半導体膜の接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制することができるという効果がある。その結果、オフ時に漏れ電流が流れるのを抑制するために第3の電極へ電圧を印加する必要がなくなるから、駆動回路の簡略化を図れる。
【0073】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したn形有機半導体膜と、当該n形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したp形有機半導体膜とからなるので、n形有機半導体膜とp形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるpチャネル有機電界効果トランジスタを実現できるという効果がある。
【0074】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したp形有機半導体膜と、当該p形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したn形有機半導体膜とからなるので、p形有機半導体膜とn形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるnチャネル有機電界効果トランジスタを実現できるという効果がある。
【0075】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のn形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のn形有機半導体膜と、第1のn形有機半導体膜と第2のn形有機半導体膜との間に介在したp形有機半導体膜とからなるので、第1のn形有機半導体膜とp形有機半導体膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるpチャネル有機電界効果トランジスタを実現できるという効果がある。
【0076】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のp形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のp形有機半導体膜と、第1のp形有機半導体膜と第2のp形有機半導体膜との間に介在したn形有機半導体膜とからなるので、第1のp形有機半導体薄膜とn形半導体薄膜との接触電位差を利用してオフ時の漏れ電流を抑制できるnチャネル有機電界効果トランジスタを実現できるという効果がある。
【0077】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明において、前記第3の電極は、前記有機半導体層における前記厚み方向の両端の有機半導体膜とは離間して配置されるように内側の有機半導体膜に埋設されてなるので、オン時に前記ソース電極から前記ゲート電極へ流入するキャリアを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図2】実施形態2を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図3】実施形態3を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図4】実施形態4を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図5】実施形態5を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図6】従来例を示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図7】同上の動作説明図である。
【図8】同上の動作説明図である。
【図9】同上の出力特性図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 ソース電極
3 有機半導体層
1n n形有機半導体膜
2p p形有機半導体膜
4 ドレイン電極
5 ゲート電極

Claims (6)

  1. 有機半導体層と、有機半導体層の厚み方向の一面に接触して配置された第1の電極と、有機半導体層の厚み方向の他面に接触して配置された第2の電極と、有機半導体層内において第1の電極および第2の電極から離間して配置され第1の電極と第2の電極との間を流れる電流を制御する第3の電極とを備え、有機半導体層は、厚み方向に積層された少なくとも2層の有機半導体膜からなり、且つ、厚み方向において隣り合う有機半導体膜の導電形を異ならせてなることを特徴とする有機電界効果トランジスタ。
  2. 前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したn形有機半導体膜と、当該n形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したp形有機半導体膜とからなることを特徴とする請求項1記載の有機電界効果トランジスタ。
  3. 前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触したp形有機半導体膜と、当該p形有機半導体膜と前記第2の電極との間に介在し前記第2の電極に接触したn形有機半導体膜とからなることを特徴とする請求項1記載の有機電界効果トランジスタ。
  4. 前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のn形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のn形有機半導体膜と、第1のn形有機半導体膜と第2のn形有機半導体膜との間に介在したp形有機半導体膜とからなることを特徴とする請求項1記載の有機電界効果トランジスタ。
  5. 前記第1の電極がソース電極、前記第2の電極がドレイン電極、前記第3の電極がゲート電極であり、前記有機半導体層は、前記第1の電極に接触した第1のp形有機半導体膜と、前記第2の電極に接触した第2のp形有機半導体膜と、第1のp形有機半導体膜と第2のp形有機半導体膜との間に介在したn形有機半導体膜とからなることを特徴とする請求項1記載の有機電界効果トランジスタ。
  6. 前記第3の電極は、前記有機半導体層における前記厚み方向の両端の有機半導体膜とは離間して配置されるように内側の有機半導体膜に埋設されてなることを特徴とする請求項4または請求項5記載の有機電界効果トランジスタ。
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