JP2004327531A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロセスコストを低減しつつ、撮像素子チップの割れを有効に防止することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置の製造工程においては、撮像素子チップ1の裏面に、紫外線硬化型の樹脂からなる接着剤4を塗布する。次に、撮像素子チップ1の裏面と台座基板5とが対向するようにして、台座基板5の上に撮像素子チップ1を位置合わせする。台座基板5は、それぞれ紫外線透過率が20%以上でありかつ熱膨張率が25ppm以下である樹脂と充填剤が混合された複合材料で形成されている。そして、加圧空気で撮像素子チップ1を台座基板5に向かって押圧して撮像素子チップ1と接着剤4とを同時に変形させ、撮像素子チップ1を接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に湾曲状態で密着させる。この後、接着剤4を紫外線照射により硬化させ、撮像素子チップ1を湾曲状態で台座基板5に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】撮像装置の製造工程においては、撮像素子チップ1の裏面に、紫外線硬化型の樹脂からなる接着剤4を塗布する。次に、撮像素子チップ1の裏面と台座基板5とが対向するようにして、台座基板5の上に撮像素子チップ1を位置合わせする。台座基板5は、それぞれ紫外線透過率が20%以上でありかつ熱膨張率が25ppm以下である樹脂と充填剤が混合された複合材料で形成されている。そして、加圧空気で撮像素子チップ1を台座基板5に向かって押圧して撮像素子チップ1と接着剤4とを同時に変形させ、撮像素子チップ1を接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に湾曲状態で密着させる。この後、接着剤4を紫外線照射により硬化させ、撮像素子チップ1を湾曲状態で台座基板5に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾曲部を有する台座基板と、台座基板の湾曲部に湾曲した形状で固定された撮像素子チップとを備えている撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カメラ付き携帯電話等の携帯情報端末に搭載される、CCD(Charge Coupled Device)やCOMS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いた撮像装置では、レンズによって撮像素子上に被写体が結像されるようになっている。そして、この種の撮像装置ではとくに軽薄化が求められているが、撮像装置の軽薄化を図るには、レンズの枚数を少なくするのが、とくに有効である。
【0003】
しかしながら、レンズ枚数を削減し、レンズユニット部を薄膜化するため収差補正用のレンズを入れない場合、平板状の撮像素子上にレンズで被写体を結像させると、像面湾曲と言われるレンズの収差が生じ、画像の中心部と周辺部とで焦点ずれが生じて、画質が悪くなるといった問題がある。そこで、撮像素子を湾曲可能な厚さまで薄膜化し、接着剤等により、撮像素子を湾曲した形状で台座基板に固定することにより、像面湾曲による焦点ずれを防止するようにした撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。例えば、特許文献3あるいは特許文献4には、底面に孔を備えるとともに上面に凹部を備えたプラスチック、セラミックあるいはこれらの複合材からなる台座基板上に、薄膜化した撮像素子を湾曲させて接着剤で固定した撮像装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平01−202989号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】
特開平10−108078号公報(段落[0017]、図1)
【特許文献3】
特開2001−156278号公報(段落[0012]、図2)
【特許文献4】
特開2001−284564号公報(段落[0033]、図7)
【特許文献5】
特開2002−141253号公報(段落[0017]、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の撮像装置において、撮像素子を台座基板に固定するための接着剤としては、大別すれば、熱硬化により接着性を発現する熱硬化型の接着剤と、紫外線照射により硬化反応が生じて接着性を発現する紫外線硬化型の接着剤とがある。そして、かかる撮像装置の製造においては、量産性を考慮すればプロセスコストの低減が必須であることから、接着剤は、プロセスコストを十分に考慮して選択する必要がある。
【0006】
ここで、熱硬化型の接着剤を用いる場合は、熱硬化に要する時間が30分以上となるため、接着工程(固体化工程)での処理時間が長くなり、プロセスコストの上昇を招く。また、この種の撮像装置は、一般にアクリル樹脂などの耐熱性が低い樹脂で構成されたレンズを撮像素子(チップ)上に搭載しているので、熱硬化型の接着剤を硬化させる際の加熱処理温度を低くする必要がある。このため、例えばアクリル樹脂製のレンズを用いた場合、可能な加熱処理温度は、そのガラス転移点(おおむね80℃)以下となる。このため、接着剤の硬化反応を充分に完了させることができず、接着信頼性が低下するといった問題が生じたり、加熱処理時間が長くなりプロセスコストの上昇を招くといった問題が生じる。
【0007】
一方、紫外線硬化型の接着剤を用いる場合は、数秒から1分間程度の紫外線照射により完全に硬化反応が生じるので、撮像素子の接着工程での処理時間が短くなり、量産には非常に有利である。しかし、接着剤は撮像素子と台座基板との間に挟まれて存在する一方、撮像素子は一般的にはシリコン(Si)などの紫外線を透過させない材料で形成されるので、撮像素子の裏側から、つまり台座基板側から接着剤に紫外線を照射する必要がある。このため、台座基板は、接着剤が充分に硬化する量の紫外線を透過させる材料で形成されることが必要である。
【0008】
一般に、紫外線を透過させる材料としては透明なプラスチックなどが考えられるが、これを用いる場合、射出成型などにより安価に台座基板を製造することができるので、プラスチックを用いるのは非常に現実的な手法である。しかし、プラスチックの熱膨張率は、一般的に、撮像素子の熱膨張率に比べてかなり大きい(例えば、50〜70ppm)。このため、撮像装置の製造工程、とくに撮像素子のパッドと、プリント配線板上の回路等とを電気的に結合するワイアボンディング工程やフリップチップ実装工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差で生じる応力により撮像素子が割れることがあるといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、プロセスコストを低減しつつ、撮像素子の割れを有効に防止することができる撮像装置を提供することを目的ないし解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる撮像装置(撮像素子装置)は、熱膨張率(線膨張率)が25ppm(25×10−6 1/℃)以下の材料で形成され凹状の湾曲部を有する台座基板と、樹脂接着剤により湾曲部に添って湾曲した形状で台座基板に固定された撮像素子チップとを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる撮像装置(撮像素子装置)及びその製造方法を示す図である。まず、図1を参照しつつ、実施の形態1にかかる撮像装置及びその製造方法の概要を説明する。
【0012】
(1)撮像素子チップの位置合わせ
この撮像装置の製造工程においては、まず、薄膜化された撮像素子チップ1の、受光面(結像面)とは反対側の広がり面、すなわち撮像素子チップ1の台座基板5への取付面(以下、この面を「裏面」という。)に、紫外線硬化型の樹脂からなる接着剤4を塗布して接着剤層を形成する。この接着剤4は、撮像素子チップ1と台座基板5とを固定するためのものである。なお、接着剤4に、その厚さを一定化させるためのスペーサ(例えば、樹脂、金属又はセラミックからなる粒子)を混合してもよい。
【0013】
そして、裏面に接着剤4を伴った撮像素子チップ1を、凹状の湾曲部を備えた台座基板5の上の所定の位置に、接着剤4ないし撮像素子チップ1の裏面と台座基板5の湾曲部とが対向するように位置合わせ(位置決め)する。ここで、台座基板5は、紫外線を透過させる材料で形成されている。
【0014】
この後、台座基板5の上に、台座基板5の上面と撮像素子チップ1とを覆うように、カバー2とシール3とを配置する。カバー2及びシール3は、撮像素子チップ1ないし接着剤4を台座基板5に向かって、加圧空気で押圧するために設けられている。シール3は、加圧空気が漏れないようにカバー2と台座基板5との間を密封する。カバー2及びシール3の材料は、とくには限定されるものではなく、空気加圧が可能であればどのようなものでもよい。なお、台座基板5には、湾曲部のほぼ中心位置に、空気を抜くための貫通孔6が設けられている。これは貫通孔でなくともスリットでも良く、空気が抜ければ何でも良く、場合によってはなくても良い。
【0015】
(2)撮像素子チップの貼り付け
撮像素子チップ1を位置合わせした後、カバー2とシール3と台座基板5とによって画成された空間部に、カバー2に設けられた穴から加圧空気を送り込み、撮像素子チップ1と接着剤4とを台座基板5に向かって押圧(加圧)する。これにより、撮像素子チップ1と接着剤4とが同時に、台座基板5の湾曲部に添う形状に変形し、接着剤4が台座基板5の湾曲部に密着する。かくして、撮像素子チップ1が、接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に貼り付けられる。
【0016】
(3)撮像素子チップの固定
撮像素子チップ1を台座基板5に貼り付けた後、撮像素子チップ1が接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に密着している状態で、台座基板5側から接着剤4ないし撮像素子チップ1の裏面に紫外線7を照射し、接着剤4を硬化させる。これにより、撮像素子チップ1が、湾曲した形状で台座基板5の湾曲部に固定される。
【0017】
(4)撮像素子モジュールの完成
撮像素子チップ1を台座基板5の湾曲部に固定した後、カバー2とシール3とを台座基板5から取り外す。これにより、接着剤4により台座基板5の湾曲部に撮像素子チップ1が密着・固定された撮像装置が完成する。
【0018】
以下、この撮像装置の製造工程をより具体的に説明する。
この撮像装置ないしその製造方法では、接着剤4として、紫外線などのエネルギ線の照射により硬化する紫外線硬化型の樹脂接着剤が用いられる。なお、紫外線照射後に加熱硬化を併用する接着剤を用いても良い。ここで、接着剤4としては、例えば紫外線硬化型の樹脂接着剤であれば、Threebond社製のアクリル系TB3000あるいはエポキシ系3100、JSR社製のDESOLITEなどを用いることができる。なお、紫外線硬化型の樹脂接着剤は、これらに限定されるものではなく、撮像素子チップ1の湾曲形状を保持することができるものであれば、どのようなものでもよい。
【0019】
接着剤4の形態は液状でもよく、またシートあるいはフィルムでもよい。ここでは、接着剤4を撮像素子チップ1の裏面に塗布することにより接着剤層を形成しているが、接着剤4を台座基板5に塗布して接着剤層を台座基板側に形成してもよい。また、接着面積もとくに限定されるものではなく、接着剤4が液状の場合は、撮像素子チップ1が台座基板5に固定ないし固着された後に余分な接着剤4が撮像素子チップ1の表面を汚染しない範囲で塗布すればよい。接着剤4が、シート状又はフィルム状の接着剤であれば、接着面積は、撮像素子チップ1のサイズより大きくてもよい。
【0020】
撮像素子チップ1を保持する台座基板5は、紫外線に対して透明性をもつ材料で形成されている。具体的には、台座基板5の材料は、紫外線透過率が20%以上(100%以下)であるものが用いられる。紫外線透過率がこれ未満であると、台座基板5の材料が紫外線を吸収したときの発熱量が大きくなり、接着中に台座基板5の熱膨張が大きくなり、応力が発生してうまく接着できないことがあるからである。かかる材料としては、例えば、それぞれ紫外線に対して透明性をもつ樹脂と充填剤とを混合した(あるいは組み合わせた)複合材料が用いられる。そして、この複合材料は、その熱膨張率が25ppm(25×10−6 1/℃)以下(0以上)となるように、樹脂と充填剤との混合比が最適化される。
【0021】
上記の各条件を満たす樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、オレフィン系樹脂、メタクリル樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂、ポリスチレン樹脂などがあげられる。具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスあるいはゼオノア、住友化学工業(株)ないし三井化学(株)製のTPX、JSR社製のアートン、住友ダウ社製のエコポリカ、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のノバレックスなどが好適である。
【0022】
一方、紫外線に対して透明な充填剤としては、ガラスファイバ、ガラスウィスカ、ガラス粒子、ホウ酸アルミニウムのファイバあるいはウィスカなどを用いることができる。具体的には、四国化成工業(株)製のアルボレックス、日本電気硝子(株)製のEファイバー、ユニチカグラスファイバー(株)社製のUGFあるいは球状ガラスフィラーなどを用いることができる。
【0023】
なお、台座基板5の材料は、上記材料に限定されるものではなく、熱膨張率が25ppm以下であり、かつ紫外線透過率が20%以上あれば、上記以外の材料も使用することが可能である。
【0024】
この実施の形態1では、台座基板5に、撮像素子チップ1と台座基板5との間の空気を逃がしたり、余分な接着剤4を逃がすための貫通孔6を形成しているが、この貫通孔6は必須のものではなく、必要に応じて設ければよい。また、実施の形態1では、撮像素子チップ1を湾曲させて台座基板5に固定する手法を説明しているが、この手法は、半導体素子、薄膜磁気ヘッド、あるいはセンサなどを曲面状に実装する手法としても有効に用いることができる。
【0025】
以上、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法によれば、撮像素子チップ1を台座基板5に固定するための接着剤4として、紫外線硬化型の樹脂接着剤を用いているので、短時間(例えば、1分間程度)の紫外線照射で接着剤4を硬化させることができ、撮像素子の接着工程での処理時間を短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコスト(製造コスト)を低減することができる。
【0026】
また、台座基板5の熱膨張率が25ppm以下であり、撮像素子チップ1の熱膨張率(例えば、3〜5ppm)との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程、例えばワイアボンディング工程やフリップチップ実装工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。すなわち、撮像装置の量産性及び信頼性を高めることができる。
【0027】
実施の形態2.
以下、図2を参照しつつ、本発明の実施の形態2を説明する。しかし、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法の基本的な概念は、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法と共通であり、実施の形態2は実施の形態1よりも、本発明をより具体的ないしはより特定的に説明するものである。したがって、実施の形態1における前記の説明は、基本的には実施の形態2にも当てはまるものである。このため、実施の形態1と重複する説明は適宜省略し、以下では、主として実施の形態2に特有の構成ないし特徴を説明する。なお、これは、後記の実施の形態3についても同様である。
【0028】
図2は、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法を示す図である。図2において、21は撮像素子チップであり、22はカバーであり、23はシールであり、24は接着剤であり、25は台座基板であり、26は貫通孔であり、27は紫外線である。基本的には、これらの各構成要素21〜27は、それぞれ、図1に示す実施の形態1における各構成要素1〜7に対応している。ただし、接着剤24は、撮像素子チップ21の裏面に塗布されるのではなく、台座基板25の湾曲部上に液滴状に塗布されている。
【0029】
実施の形態2では、撮像素子チップ21の膜厚は20μmであり、平面視における形状は、6mm×6mmの矩形である。カバー22及びシール23は、実施の形態1の場合と同様に、撮像素子チップ21を加圧空気で押圧するためのものである。接着剤24は、撮像素子チップ21と台座基板25とを固定するためのものである。ここで、台座基板25は、アクリル樹脂に四国化成(株)製のアルボレックスを30vf%混合した材料を用いて成型したものである。接着剤4は、Threebond社製の紫外線硬化型アクリル系接着剤TB3052Bである。
【0030】
実施の形態2では、マイクロディスペンサ(図示せず)を用いて、接着剤24を台座基板25の湾曲部に塗布しておく。そして、撮像素子チップ21を台座基板25の所定の箇所に位置合わせした後、台座基板25の上面と撮像素子チップ21とを覆うように、カバー22とシール23とを配置する。次に、カバー22に設けられた穴からカバー内に空気を送り込み、98N/cm2(10Kg/cm2)の加圧空気で撮像素子チップ21を押圧し、撮像素子チップ21を台座基板25の湾曲部に添う形状に変形させて、接着剤24を台座基板25に密着させる。
【0031】
次に、USHIO社製の紫外線照射装置スポットキュアUIS−50101AAを用いて、台座基板25側から接着剤24に紫外線27を20秒間だけ照射して接着剤24を硬化させる。この後、カバー22及びシール23を取り除き、撮像装置を得る。この撮像装置では、層状の接着剤24の厚みは5μmであった。そして、台座基板5の膜厚1mmにおける紫外線(波長350nm)の透過率は70%であった。また、真空理工(株)製の熱機械試験機TM−7000を用いて台座基板5の熱膨張率を測定した結果、20℃〜80℃における熱膨張率は25ppmであった。
【0032】
以上、実施の形態2にかかる撮像素子ないしその製造方法によれば、実施の形態1の場合と同様にあるいはそれ以上に、短時間の紫外線照射で接着剤24を硬化させることができ、撮像素子チップ1の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板25と撮像素子チップ21との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【0033】
実施の形態3.
以下、図3を参照しつつ、本発明の実施の形態3を説明する。なお、前記のとおり、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法の基本的な概念は、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法と共通であり、実施の形態3は実施の形態1よりも、本発明をより具体的ないしはより特定的に説明するものである。また、実施の形態3は、実施の形態2とは、台座基板の材料が異なるだけである。
【0034】
図3は、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法を示す図である。図3において、31は撮像素子チップであり、32はカバーであり、33はシールであり、34は接着剤であり、35は台座基板であり、36は貫通孔であり、37は紫外線である。基本的には、これらの各構成要素31〜37は、それぞれ、図1に示す実施の形態1における各構成要素1〜7、あるいは図2に示す実施の形態2における各構成要素21〜27に対応している。ただし、接着剤34は、実施の形態2の場合と同様に、台座基板35の湾曲部上に液滴状に塗布されている。
【0035】
前記のとおり、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法は、台座基板35の材料が異なる点を除けば、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法と同様である。したがって、その製造方法の詳しい説明は省略する。実施の形態3では、台座基板35の材料として、次の表1に示す8種のものが用いられている(具体例1〜8)。なお、表1には、具体例1〜8にかかる撮像装置について、それぞれ、熱膨張率及び紫外線透過率を測定して得られた結果も示している。
【0036】
また、比較のため、台座基板35の材料として次の表2に示す5種の単一材料を用いる点を除けば、実施の形態2にかかる製造方法と同様の手法で製造された撮像装置の熱膨張率を測定して得られた結果を示す(比較例1〜5)。
【0037】
なお、具体例1〜8において、紫外線透過率は、厚さが1mmの台座基板についての、波長350nmの紫外線の透過率である。また、具体例1〜8及び比較例1〜5において、熱膨張率は、真空理工(株)製の熱機械試験機TM−7000を用いて測定した、20℃〜80℃での熱膨張率である。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1から明らかなとおり、本発明の実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置の台座基板35では、膜厚1mmでの紫外線透過率は、60%以上である。また、20℃〜80℃での熱膨張率は25ppm以下である。これに対して、表2から明らかなとおり、比較例1〜5にかかる撮像装置の台座基板では、20℃〜80℃での熱膨張率は25ppmを超えている。したがって、本発明の実施の形態3にかかる撮像装置の台座基板35では、紫外線透過率を20%以上とすることができ、かつ熱膨張率を25ppm以下とすることができることがわかる。
【0041】
以上、実施の形態3にかかる撮像素子ないしその製造方法によれば、基本的には、実施の形態1ないし実施の形態2の場合と同様に、短時間の紫外線照射で接着剤34を硬化させることができ、撮像素子チップ1の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板35と撮像素子チップ31との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【0042】
ここで、実施の形態2にかかる撮像装置と、実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置と、比較例1〜5にかかる撮像装置とについて、それぞれ、熱衝撃試験を行い、撮像素子チップのクラックの発生について評価を行った。この熱衝撃試験では、まず撮像装置をマイナス20℃で30分間保持した後、室温で10分間放置し、さらに80℃で30分間の熱処理を行うといった一連の処理を1サイクルとして、該サイクルを5回(5サイクル)繰り返した。
【0043】
その結果、実施の形態2又は実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置では、いずれもチップクラックは発生しなかったが、比較例1〜5にかかる撮像装置では、1回目のサイクルにおける80℃での熱処理で全ての撮像素子チップにクラックが発生した。したがって、本発明にかかる撮像装置ないしその製造方法によれば、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、短時間の紫外線照射で接着剤を硬化させることができ、撮像素子の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板と撮像素子チップとの熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【符号の説明】
1 撮像素子チップ、 2 カバー、 3 シール、 4 接着剤、 5 台座基板、 6 貫通孔、 7 紫外線、 21 撮像素子チップ、 22 カバー、 23 シール、 24 接着剤、 25 台座基板、 26 貫通孔、 27 紫外線、 31 撮像素子チップ、 32 カバー、 33 シール、 34 接着剤、 35 台座基板、 36 貫通孔、 37 紫外線。
【発明の属する技術分野】
本発明は、湾曲部を有する台座基板と、台座基板の湾曲部に湾曲した形状で固定された撮像素子チップとを備えている撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、カメラ付き携帯電話等の携帯情報端末に搭載される、CCD(Charge Coupled Device)やCOMS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いた撮像装置では、レンズによって撮像素子上に被写体が結像されるようになっている。そして、この種の撮像装置ではとくに軽薄化が求められているが、撮像装置の軽薄化を図るには、レンズの枚数を少なくするのが、とくに有効である。
【0003】
しかしながら、レンズ枚数を削減し、レンズユニット部を薄膜化するため収差補正用のレンズを入れない場合、平板状の撮像素子上にレンズで被写体を結像させると、像面湾曲と言われるレンズの収差が生じ、画像の中心部と周辺部とで焦点ずれが生じて、画質が悪くなるといった問題がある。そこで、撮像素子を湾曲可能な厚さまで薄膜化し、接着剤等により、撮像素子を湾曲した形状で台座基板に固定することにより、像面湾曲による焦点ずれを防止するようにした撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。例えば、特許文献3あるいは特許文献4には、底面に孔を備えるとともに上面に凹部を備えたプラスチック、セラミックあるいはこれらの複合材からなる台座基板上に、薄膜化した撮像素子を湾曲させて接着剤で固定した撮像装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平01−202989号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】
特開平10−108078号公報(段落[0017]、図1)
【特許文献3】
特開2001−156278号公報(段落[0012]、図2)
【特許文献4】
特開2001−284564号公報(段落[0033]、図7)
【特許文献5】
特開2002−141253号公報(段落[0017]、図4)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の撮像装置において、撮像素子を台座基板に固定するための接着剤としては、大別すれば、熱硬化により接着性を発現する熱硬化型の接着剤と、紫外線照射により硬化反応が生じて接着性を発現する紫外線硬化型の接着剤とがある。そして、かかる撮像装置の製造においては、量産性を考慮すればプロセスコストの低減が必須であることから、接着剤は、プロセスコストを十分に考慮して選択する必要がある。
【0006】
ここで、熱硬化型の接着剤を用いる場合は、熱硬化に要する時間が30分以上となるため、接着工程(固体化工程)での処理時間が長くなり、プロセスコストの上昇を招く。また、この種の撮像装置は、一般にアクリル樹脂などの耐熱性が低い樹脂で構成されたレンズを撮像素子(チップ)上に搭載しているので、熱硬化型の接着剤を硬化させる際の加熱処理温度を低くする必要がある。このため、例えばアクリル樹脂製のレンズを用いた場合、可能な加熱処理温度は、そのガラス転移点(おおむね80℃)以下となる。このため、接着剤の硬化反応を充分に完了させることができず、接着信頼性が低下するといった問題が生じたり、加熱処理時間が長くなりプロセスコストの上昇を招くといった問題が生じる。
【0007】
一方、紫外線硬化型の接着剤を用いる場合は、数秒から1分間程度の紫外線照射により完全に硬化反応が生じるので、撮像素子の接着工程での処理時間が短くなり、量産には非常に有利である。しかし、接着剤は撮像素子と台座基板との間に挟まれて存在する一方、撮像素子は一般的にはシリコン(Si)などの紫外線を透過させない材料で形成されるので、撮像素子の裏側から、つまり台座基板側から接着剤に紫外線を照射する必要がある。このため、台座基板は、接着剤が充分に硬化する量の紫外線を透過させる材料で形成されることが必要である。
【0008】
一般に、紫外線を透過させる材料としては透明なプラスチックなどが考えられるが、これを用いる場合、射出成型などにより安価に台座基板を製造することができるので、プラスチックを用いるのは非常に現実的な手法である。しかし、プラスチックの熱膨張率は、一般的に、撮像素子の熱膨張率に比べてかなり大きい(例えば、50〜70ppm)。このため、撮像装置の製造工程、とくに撮像素子のパッドと、プリント配線板上の回路等とを電気的に結合するワイアボンディング工程やフリップチップ実装工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差で生じる応力により撮像素子が割れることがあるといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、プロセスコストを低減しつつ、撮像素子の割れを有効に防止することができる撮像装置を提供することを目的ないし解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる撮像装置(撮像素子装置)は、熱膨張率(線膨張率)が25ppm(25×10−6 1/℃)以下の材料で形成され凹状の湾曲部を有する台座基板と、樹脂接着剤により湾曲部に添って湾曲した形状で台座基板に固定された撮像素子チップとを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる撮像装置(撮像素子装置)及びその製造方法を示す図である。まず、図1を参照しつつ、実施の形態1にかかる撮像装置及びその製造方法の概要を説明する。
【0012】
(1)撮像素子チップの位置合わせ
この撮像装置の製造工程においては、まず、薄膜化された撮像素子チップ1の、受光面(結像面)とは反対側の広がり面、すなわち撮像素子チップ1の台座基板5への取付面(以下、この面を「裏面」という。)に、紫外線硬化型の樹脂からなる接着剤4を塗布して接着剤層を形成する。この接着剤4は、撮像素子チップ1と台座基板5とを固定するためのものである。なお、接着剤4に、その厚さを一定化させるためのスペーサ(例えば、樹脂、金属又はセラミックからなる粒子)を混合してもよい。
【0013】
そして、裏面に接着剤4を伴った撮像素子チップ1を、凹状の湾曲部を備えた台座基板5の上の所定の位置に、接着剤4ないし撮像素子チップ1の裏面と台座基板5の湾曲部とが対向するように位置合わせ(位置決め)する。ここで、台座基板5は、紫外線を透過させる材料で形成されている。
【0014】
この後、台座基板5の上に、台座基板5の上面と撮像素子チップ1とを覆うように、カバー2とシール3とを配置する。カバー2及びシール3は、撮像素子チップ1ないし接着剤4を台座基板5に向かって、加圧空気で押圧するために設けられている。シール3は、加圧空気が漏れないようにカバー2と台座基板5との間を密封する。カバー2及びシール3の材料は、とくには限定されるものではなく、空気加圧が可能であればどのようなものでもよい。なお、台座基板5には、湾曲部のほぼ中心位置に、空気を抜くための貫通孔6が設けられている。これは貫通孔でなくともスリットでも良く、空気が抜ければ何でも良く、場合によってはなくても良い。
【0015】
(2)撮像素子チップの貼り付け
撮像素子チップ1を位置合わせした後、カバー2とシール3と台座基板5とによって画成された空間部に、カバー2に設けられた穴から加圧空気を送り込み、撮像素子チップ1と接着剤4とを台座基板5に向かって押圧(加圧)する。これにより、撮像素子チップ1と接着剤4とが同時に、台座基板5の湾曲部に添う形状に変形し、接着剤4が台座基板5の湾曲部に密着する。かくして、撮像素子チップ1が、接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に貼り付けられる。
【0016】
(3)撮像素子チップの固定
撮像素子チップ1を台座基板5に貼り付けた後、撮像素子チップ1が接着剤4を介して台座基板5の湾曲部に密着している状態で、台座基板5側から接着剤4ないし撮像素子チップ1の裏面に紫外線7を照射し、接着剤4を硬化させる。これにより、撮像素子チップ1が、湾曲した形状で台座基板5の湾曲部に固定される。
【0017】
(4)撮像素子モジュールの完成
撮像素子チップ1を台座基板5の湾曲部に固定した後、カバー2とシール3とを台座基板5から取り外す。これにより、接着剤4により台座基板5の湾曲部に撮像素子チップ1が密着・固定された撮像装置が完成する。
【0018】
以下、この撮像装置の製造工程をより具体的に説明する。
この撮像装置ないしその製造方法では、接着剤4として、紫外線などのエネルギ線の照射により硬化する紫外線硬化型の樹脂接着剤が用いられる。なお、紫外線照射後に加熱硬化を併用する接着剤を用いても良い。ここで、接着剤4としては、例えば紫外線硬化型の樹脂接着剤であれば、Threebond社製のアクリル系TB3000あるいはエポキシ系3100、JSR社製のDESOLITEなどを用いることができる。なお、紫外線硬化型の樹脂接着剤は、これらに限定されるものではなく、撮像素子チップ1の湾曲形状を保持することができるものであれば、どのようなものでもよい。
【0019】
接着剤4の形態は液状でもよく、またシートあるいはフィルムでもよい。ここでは、接着剤4を撮像素子チップ1の裏面に塗布することにより接着剤層を形成しているが、接着剤4を台座基板5に塗布して接着剤層を台座基板側に形成してもよい。また、接着面積もとくに限定されるものではなく、接着剤4が液状の場合は、撮像素子チップ1が台座基板5に固定ないし固着された後に余分な接着剤4が撮像素子チップ1の表面を汚染しない範囲で塗布すればよい。接着剤4が、シート状又はフィルム状の接着剤であれば、接着面積は、撮像素子チップ1のサイズより大きくてもよい。
【0020】
撮像素子チップ1を保持する台座基板5は、紫外線に対して透明性をもつ材料で形成されている。具体的には、台座基板5の材料は、紫外線透過率が20%以上(100%以下)であるものが用いられる。紫外線透過率がこれ未満であると、台座基板5の材料が紫外線を吸収したときの発熱量が大きくなり、接着中に台座基板5の熱膨張が大きくなり、応力が発生してうまく接着できないことがあるからである。かかる材料としては、例えば、それぞれ紫外線に対して透明性をもつ樹脂と充填剤とを混合した(あるいは組み合わせた)複合材料が用いられる。そして、この複合材料は、その熱膨張率が25ppm(25×10−6 1/℃)以下(0以上)となるように、樹脂と充填剤との混合比が最適化される。
【0021】
上記の各条件を満たす樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、オレフィン系樹脂、メタクリル樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂、ポリスチレン樹脂などがあげられる。具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスあるいはゼオノア、住友化学工業(株)ないし三井化学(株)製のTPX、JSR社製のアートン、住友ダウ社製のエコポリカ、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のノバレックスなどが好適である。
【0022】
一方、紫外線に対して透明な充填剤としては、ガラスファイバ、ガラスウィスカ、ガラス粒子、ホウ酸アルミニウムのファイバあるいはウィスカなどを用いることができる。具体的には、四国化成工業(株)製のアルボレックス、日本電気硝子(株)製のEファイバー、ユニチカグラスファイバー(株)社製のUGFあるいは球状ガラスフィラーなどを用いることができる。
【0023】
なお、台座基板5の材料は、上記材料に限定されるものではなく、熱膨張率が25ppm以下であり、かつ紫外線透過率が20%以上あれば、上記以外の材料も使用することが可能である。
【0024】
この実施の形態1では、台座基板5に、撮像素子チップ1と台座基板5との間の空気を逃がしたり、余分な接着剤4を逃がすための貫通孔6を形成しているが、この貫通孔6は必須のものではなく、必要に応じて設ければよい。また、実施の形態1では、撮像素子チップ1を湾曲させて台座基板5に固定する手法を説明しているが、この手法は、半導体素子、薄膜磁気ヘッド、あるいはセンサなどを曲面状に実装する手法としても有効に用いることができる。
【0025】
以上、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法によれば、撮像素子チップ1を台座基板5に固定するための接着剤4として、紫外線硬化型の樹脂接着剤を用いているので、短時間(例えば、1分間程度)の紫外線照射で接着剤4を硬化させることができ、撮像素子の接着工程での処理時間を短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコスト(製造コスト)を低減することができる。
【0026】
また、台座基板5の熱膨張率が25ppm以下であり、撮像素子チップ1の熱膨張率(例えば、3〜5ppm)との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程、例えばワイアボンディング工程やフリップチップ実装工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。すなわち、撮像装置の量産性及び信頼性を高めることができる。
【0027】
実施の形態2.
以下、図2を参照しつつ、本発明の実施の形態2を説明する。しかし、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法の基本的な概念は、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法と共通であり、実施の形態2は実施の形態1よりも、本発明をより具体的ないしはより特定的に説明するものである。したがって、実施の形態1における前記の説明は、基本的には実施の形態2にも当てはまるものである。このため、実施の形態1と重複する説明は適宜省略し、以下では、主として実施の形態2に特有の構成ないし特徴を説明する。なお、これは、後記の実施の形態3についても同様である。
【0028】
図2は、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法を示す図である。図2において、21は撮像素子チップであり、22はカバーであり、23はシールであり、24は接着剤であり、25は台座基板であり、26は貫通孔であり、27は紫外線である。基本的には、これらの各構成要素21〜27は、それぞれ、図1に示す実施の形態1における各構成要素1〜7に対応している。ただし、接着剤24は、撮像素子チップ21の裏面に塗布されるのではなく、台座基板25の湾曲部上に液滴状に塗布されている。
【0029】
実施の形態2では、撮像素子チップ21の膜厚は20μmであり、平面視における形状は、6mm×6mmの矩形である。カバー22及びシール23は、実施の形態1の場合と同様に、撮像素子チップ21を加圧空気で押圧するためのものである。接着剤24は、撮像素子チップ21と台座基板25とを固定するためのものである。ここで、台座基板25は、アクリル樹脂に四国化成(株)製のアルボレックスを30vf%混合した材料を用いて成型したものである。接着剤4は、Threebond社製の紫外線硬化型アクリル系接着剤TB3052Bである。
【0030】
実施の形態2では、マイクロディスペンサ(図示せず)を用いて、接着剤24を台座基板25の湾曲部に塗布しておく。そして、撮像素子チップ21を台座基板25の所定の箇所に位置合わせした後、台座基板25の上面と撮像素子チップ21とを覆うように、カバー22とシール23とを配置する。次に、カバー22に設けられた穴からカバー内に空気を送り込み、98N/cm2(10Kg/cm2)の加圧空気で撮像素子チップ21を押圧し、撮像素子チップ21を台座基板25の湾曲部に添う形状に変形させて、接着剤24を台座基板25に密着させる。
【0031】
次に、USHIO社製の紫外線照射装置スポットキュアUIS−50101AAを用いて、台座基板25側から接着剤24に紫外線27を20秒間だけ照射して接着剤24を硬化させる。この後、カバー22及びシール23を取り除き、撮像装置を得る。この撮像装置では、層状の接着剤24の厚みは5μmであった。そして、台座基板5の膜厚1mmにおける紫外線(波長350nm)の透過率は70%であった。また、真空理工(株)製の熱機械試験機TM−7000を用いて台座基板5の熱膨張率を測定した結果、20℃〜80℃における熱膨張率は25ppmであった。
【0032】
以上、実施の形態2にかかる撮像素子ないしその製造方法によれば、実施の形態1の場合と同様にあるいはそれ以上に、短時間の紫外線照射で接着剤24を硬化させることができ、撮像素子チップ1の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板25と撮像素子チップ21との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【0033】
実施の形態3.
以下、図3を参照しつつ、本発明の実施の形態3を説明する。なお、前記のとおり、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法の基本的な概念は、実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法と共通であり、実施の形態3は実施の形態1よりも、本発明をより具体的ないしはより特定的に説明するものである。また、実施の形態3は、実施の形態2とは、台座基板の材料が異なるだけである。
【0034】
図3は、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法を示す図である。図3において、31は撮像素子チップであり、32はカバーであり、33はシールであり、34は接着剤であり、35は台座基板であり、36は貫通孔であり、37は紫外線である。基本的には、これらの各構成要素31〜37は、それぞれ、図1に示す実施の形態1における各構成要素1〜7、あるいは図2に示す実施の形態2における各構成要素21〜27に対応している。ただし、接着剤34は、実施の形態2の場合と同様に、台座基板35の湾曲部上に液滴状に塗布されている。
【0035】
前記のとおり、実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法は、台座基板35の材料が異なる点を除けば、実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法と同様である。したがって、その製造方法の詳しい説明は省略する。実施の形態3では、台座基板35の材料として、次の表1に示す8種のものが用いられている(具体例1〜8)。なお、表1には、具体例1〜8にかかる撮像装置について、それぞれ、熱膨張率及び紫外線透過率を測定して得られた結果も示している。
【0036】
また、比較のため、台座基板35の材料として次の表2に示す5種の単一材料を用いる点を除けば、実施の形態2にかかる製造方法と同様の手法で製造された撮像装置の熱膨張率を測定して得られた結果を示す(比較例1〜5)。
【0037】
なお、具体例1〜8において、紫外線透過率は、厚さが1mmの台座基板についての、波長350nmの紫外線の透過率である。また、具体例1〜8及び比較例1〜5において、熱膨張率は、真空理工(株)製の熱機械試験機TM−7000を用いて測定した、20℃〜80℃での熱膨張率である。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1から明らかなとおり、本発明の実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置の台座基板35では、膜厚1mmでの紫外線透過率は、60%以上である。また、20℃〜80℃での熱膨張率は25ppm以下である。これに対して、表2から明らかなとおり、比較例1〜5にかかる撮像装置の台座基板では、20℃〜80℃での熱膨張率は25ppmを超えている。したがって、本発明の実施の形態3にかかる撮像装置の台座基板35では、紫外線透過率を20%以上とすることができ、かつ熱膨張率を25ppm以下とすることができることがわかる。
【0041】
以上、実施の形態3にかかる撮像素子ないしその製造方法によれば、基本的には、実施の形態1ないし実施の形態2の場合と同様に、短時間の紫外線照射で接着剤34を硬化させることができ、撮像素子チップ1の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板35と撮像素子チップ31との熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【0042】
ここで、実施の形態2にかかる撮像装置と、実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置と、比較例1〜5にかかる撮像装置とについて、それぞれ、熱衝撃試験を行い、撮像素子チップのクラックの発生について評価を行った。この熱衝撃試験では、まず撮像装置をマイナス20℃で30分間保持した後、室温で10分間放置し、さらに80℃で30分間の熱処理を行うといった一連の処理を1サイクルとして、該サイクルを5回(5サイクル)繰り返した。
【0043】
その結果、実施の形態2又は実施の形態3の具体例1〜8にかかる撮像装置では、いずれもチップクラックは発生しなかったが、比較例1〜5にかかる撮像装置では、1回目のサイクルにおける80℃での熱処理で全ての撮像素子チップにクラックが発生した。したがって、本発明にかかる撮像装置ないしその製造方法によれば、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができることがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、短時間の紫外線照射で接着剤を硬化させることができ、撮像素子の接着工程での処理時間が短くすることができる。このため、撮像装置のプロセスコストを低減することができる。また、台座基板と撮像素子チップとの熱膨張差が小さくなるので、撮像装置の製造工程で撮像装置が加熱されたときに、熱膨張率差により生じる応力に起因して撮像素子が割れるのを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態3にかかる撮像装置ないしその製造方法を示すプロセスフロー図である。
【符号の説明】
1 撮像素子チップ、 2 カバー、 3 シール、 4 接着剤、 5 台座基板、 6 貫通孔、 7 紫外線、 21 撮像素子チップ、 22 カバー、 23 シール、 24 接着剤、 25 台座基板、 26 貫通孔、 27 紫外線、 31 撮像素子チップ、 32 カバー、 33 シール、 34 接着剤、 35 台座基板、 36 貫通孔、 37 紫外線。
Claims (3)
- 熱膨張率が25ppm以下の材料で形成され、凹状の湾曲部を有する台座基板と、
樹脂接着剤により、上記湾曲部に添って湾曲した形状で上記台座基板に固定された撮像素子チップとを備えていることを特徴とする撮像装置。 - 上記台座基板が、それぞれ紫外線透過率が20%以上である樹脂と充填剤とを含む複合材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 上記樹脂接着剤が、紫外線照射により接着性を発現する樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
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Cited By (3)
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JP2010220245A (ja) * | 2010-05-19 | 2010-09-30 | Sony Corp | 撮像装置、カメラモジュール、電子機器および撮像装置の製造方法 |
CN110944099A (zh) * | 2018-09-21 | 2020-03-31 | 南昌欧菲光电技术有限公司 | 感光组件制作方法、感光组件、摄像模组及智能终端 |
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2003
- 2003-04-22 JP JP2003116969A patent/JP2004327531A/ja not_active Withdrawn
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