JP2004327454A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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久洋 東
Toshio Sakai
俊男 酒井
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Abstract

【課題】 軽量・薄型で低電圧駆動のディスプレイに適用可能であり、かつ長期間の駆動によっても発光輝度が減衰することがなく、耐久性に優れている有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも一対の電極間に挟持された有機発光層を含む有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、全ての有機化合物層をハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度が1000ppm未満の有機化合物材料で形成した有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称することがある)に関する。さらに詳しくは、軽量・薄型で低電圧駆動のディスプレイに適用可能であって、しかも長期間駆動しても発光輝度の減衰が小さく、耐久性に優れた有機EL素子に関する。
電界発光を利用した有機EL素子は、自己発光であることから視認性が高く、また完全固体素子であるために耐衝撃性に優れているという特徴を有している。したがって、薄膜ディスプレイ素子や液晶ディスプレイのバックライト、平面光源などの分野に使用されている。
現在実用化されているエレクトロルミネッセンス素子は、分散型エレクトロルミネッセンス素子である。この分散型エレクトロルミネッセンス素子は、数十ボルト、10キロヘルツ以上の交流電圧を必要とするため、その駆動回路が複雑になっている。
このようなことから、駆動電圧を10ボルト程度まで低下させることができ、高輝度に発光することのできる有機EL素子が、近年盛んに研究されている。たとえば、非特許文献1や特許文献1において、有機薄膜EL素子の構成が、透明電極/正孔注入層/発光層/背面電極の積層型であるものが提案されており、ここで用いられている正孔注入層により効率よく正孔を発光層内に注入することができるようになされている。このような有機EL素子において用いられる発光層は、単層であってもよいのであるが、上記のように、電子輸送性と正孔輸送性とのバランスが良くなかったことから、多層に積層することにより、性能の向上が図られていた。
ところで、このように積層構造に形成するためには、その製造工程が煩雑になり所要時間も長くなるほか、各層に薄膜性が要求されるなどの制限が多いという問題がある。さらに、近年においては、情報機器などのコンパクト化や携帯型への移行の要請が高まり、これらの駆動電圧のさらなる低電圧化の要望が増大している。そこで、このような軽量化や駆動電圧の低電圧化のために、発光材料や正孔輸送材料などの開発が試みられている。
さらに、この有機EL素子における実用上の課題として、長期間の駆動に伴う有機EL素子の発光輝度の減衰を抑制し、実用的に耐え得るものとする技術を確立することである。このような課題については、非特許文献2や非特許文献3において、有機EL素子の構成材料に用いる各種有機化合物の純度が、発光効率や、発光輝度の減衰に強く影響を及ぼす旨の記載がある。しかしながら、有機EL素子に用いられる各種有機化合物の構造・性質等が、有機EL素子の性能に与える影響については未だ明らかではなく、これらを定量的に解明する方法が確立するには至っていない。
特開昭63−264629号公報 C.W.Tang and S.A.Van Slyke Appl.Phys.Lett.,vol.51,pp.913〜915(1987) 月刊ディスプレイ、9月号、15頁(1995) 応用物理、第66巻、第2号、114〜115頁(1997)
本発明は、このような状況から、軽量・薄型で低電圧駆動のディスプレイに適用が可能であって、しかも長期間の駆動に伴う発光輝度の減衰が小さく、耐久性に優れた有機EL素子を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、有機EL素子における全ての有機化合物層を、ハロゲン含有化合物からなる不純物濃度が1000ppm未満、0ppm以上の有機化合物材料で構成することにより、その目的を達成しうることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1) 少なくとも一対の電極間に挟持された有機発光層を含む有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、全ての有機化合物層をハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度が1000ppm未満の有機化合物材料で形成した有機エレクトロルミネッセンス素子。
(2) ハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度が500ppm未満の有機化合物材料で形成した上記(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3) ハロゲン含有化合物が、ハロゲン化合物である上記(1)又は(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4) 有機化合物層を、正孔注入層と有機発光層および電子注入層で構成した上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5) 有機化合物層を形成する有機化合物材料中の少なくとも1つとして、昇華精製法により精製した有機化合物材料を用いた上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(6) 有機化合物層を形成する有機化合物材料中の少なくとも1つとして、再結晶法または再沈精製法、もしくは再結晶法と再沈精製法の併用により精製した有機化合物材料を用いた上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の有機EL素子は、軽量・薄型で低電圧駆動のディスプレイに適用可能であり、かつ長期間の駆動によっても発光輝度が減衰することがなく、耐久性に優れている。
以下に本発明の実施の形態につき説明する。
本発明は、少なくとも一対の電極間に挟持された有機発光層を含む有機化合物層を有する有機EL素子において、全ての有機化合物層を不純物濃度が1000ppm(重量を示すが、容量を示すこともある)未満の有機化合物材料で形成した有機EL素子である。
本発明の有機EL素子は、少なくとも一対の電極間に有機発光層を含む有機化合物層を挟持させて構成され、その代表的な素子構成としては、下記に示すとおりであるが、これに限定されるものではない。
陽極/発光層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/陰極
陽極/発光層/電子注入層/陰極
陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
陽極/有機半導体層/発光層/陰極
陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
本発明における有機EL素子は、これら各種の素子構成のいかなる形態であってもよいが、上記の構成としてあるものが好ましく用いられる。そして、前記有機化合物層は、上記構成における陽極と陰極の間に挟持される発光層をはじめとする各層を含み、有機EL素子の有機化合物層を構成するこれら各層の中の全ての有機化合物層をハロゲン含有化合物からなる不純物濃度が1000ppm未満の有機化合物材料で形成した有機EL素子である。
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上でであるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
このような透光性基板としては、たとえば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板か挙げられる。
つぎに、上記の陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO2 、ZnO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
そして、本発明の有機EL素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動することが好ましい。
有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体的には所望の色調により、次のような化合物が用いられる。
たとえば、紫外域から紫色の発光を得る場合には、下記の一般式〔1〕で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2004327454
〔式中、Xは下記一般式〔2〕、
Figure 2004327454
(式中、nは2〜5の整数を示す)で表される基を示し、Yは下記一般式〔3〕で表される基を示す。〕
Figure 2004327454
この一般式〔1〕で表される化合物におけるフェニル基、フェニレン基、ナフチル基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホニル基、カルボニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはジフェニルアミノ基等の単数または複数の置換基を有する化合物を用いてもよい。また、これら置換基が複数ある場合には、それらが互いに結合し、飽和5員環あるいは6員環を形成していてもよい。さらに、この化合物の形態については、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基にパラ位で結合したものが、結合性が良く、かつ平滑な蒸着膜が形成し易いことから好ましい。上記一般式〔1〕で表される化合物の具体例を示せば、下記のとおりである。
Figure 2004327454
Figure 2004327454
これら化合物の中では、特にp−クォーターフェニル誘導体、p−クインクフェニル誘導体が好ましい。
また、青色から緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。これら化合物の具体例としては、例えば特開昭59−194393号公報に開示されている化合物を挙げることができる。さらに他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971)628〜637頁および640頁に列挙されている。
前記キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に開示されている化合物を用いることができる。その代表例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が好適な化合物として挙げることができる。
また、前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されているものを用いることができる。そして、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体も、発光層の材料として用いることができる。このほか、欧州特許第0387715号明細書に開示されているポリフェニル系化合物も発光層の材料として用いることができる。
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば12−フタロペリノン(J. Appl. Phys.,第27巻,L713(1988年))、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以上Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタルイミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、または第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、スチリルアミン誘導体(Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年)、クマリン系化合物(特開平2−191694号公報)、国際特許公報WO90/13148やAppl. Phys. Lett.,vol58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、9,9',10,10'−テトラフェニル−2,2'−ビアントラセン、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体やそれら共重合体等、例えば、次のような構造をもつものや、
Figure 2004327454
9,10−ビス(N−(4−(2−フェニルビニル−1−イル)フェニル)-N-フェニルアミノ)アントラセン等も発光層の材料として用いることができる。さらには、特開平8−12600号公報に開示されているような次式を示されるフェニルアントラセン誘導体も発光材料として用いることができる。
A1−L−A2
(式中、A1及びA2は、各々モノフェニルアントリル基又はジフェニルアントリル基を示し、これらは同一でも異なっていてもよい。Lは、単結合又は二価の連結基を示す。)
特に、以下の一般式で表されるフェニルアントラセン誘導体が好適である。
Figure 2004327454
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基又は複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r1及びr2は、それぞれ独立に、0又は1〜5の整数を表す。r1及びr2が、それぞれ独立に、2以上の整数であるとき、R1同士及びR2同士は各々同一でも異なるものであってもよく、R1同士及びR2同士は結合して環を形成してもよい。L1は単結合又はアリーレン基を表し、アリーレン基は、アルキレン基、−O−、−S−又は−NR−(ここでRはアルキル基又はアリール基を表す)が介在するものであってもよい。また、R3及びR4は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基又は複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。r3及びr4は、それぞれ独立に、0又は1〜5の整数を表す。r3及びr4が、それぞれ独立に、2以上の整数であるとき、R3同士及びR4同士は各々同一でも異なるものであってもよく、R3同士及びR4同士は結合して環を形成してもよい。L2は単結合又はアリーレン基を表し、アリーレン基は、アルキレン基、−O−、−S−又は−NR−(ここでRはアルキル基又はアリール基を表す)が介在するものであってもよい。)、
アントラセン或いはフェニルアントラセンとして、具体的には以下の化合物を例示することができる。
Figure 2004327454
Figure 2004327454
Figure 2004327454
Figure 2004327454
(以上において、式中、R11〜R45は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基又は複素環基を表し、これらは同一でも異なるものであってもよい。)
さらには、以下の化合物も挙げられる。
Figure 2004327454
Figure 2004327454
また、ナフタセン誘導体として、以下のものを挙げることができる。
Figure 2004327454
Figure 2004327454
(式中、Xは、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換の複素環基、置換もしくは未置換のアミノ基又はルブレン誘導体を表す。iは1〜28の整数を表し、それぞれのXは同一でも異なるものであってもよい。)
アミン系化合物としては、次のものが挙げられる。
Figure 2004327454
(式中、A1〜A4は、それぞれ独立に、炭素数6〜16のアリール基を表す。R1〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基を表す。)
Figure 2004327454
Figure 2004327454
Figure 2004327454
(式中、A及びBは、置換基を有してもよい芳香族環を表す。)
Figure 2004327454
(式中、A,B,C及びDは、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換の単環基、置換もしくは未置換の縮合多環基、AとBもしくは、CとDが一体となって窒素原子を結合手とする複素環基を表す。)
Figure 2004327454
Figure 2004327454
その他、アミン化合物として次のものを挙げることができる。
Figure 2004327454
(式中、A1 〜A4 は、それぞれ独立に、炭素数6〜16のアリール基を表す。これらのアリール基は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基により置換されていてもよい。また、Aは単結合、アリーレン基又はポリアリーレン基であり、置換されていてもよい。)
発光層の材料として、芳香族ジメチリディン系化合物(欧州特許第0388768号明細書や特開平3−231970号公報に開示のもの)が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物とは、一般に、以下の式で表される化合物である。
Figure 2004327454
(式中、Arはアリーレン基又はポリアリーレン基であり、R5 〜R7 は、水素原子、アルキル基又はアリール基である。nは1〜6の整数である。)アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ワソセニル基、フルオレニル基等が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、ワソセニレン基、フルオレニレン基等が挙げられる。特に、アントラセンを含有するアリーレン基が好適であり、アンスリレン基、ジフェニルアンスリレン基、ビアンスリレン基等が好ましい。R5 は水素であることが好ましい。具体例としては、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4"−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−p−ターフェニル、9,10−ビス(4’−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル)アントラセン、9,9’−(4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル)−10,10’−ビアントラセン等、およびそれらの誘導体を挙げることができる。
さらには、これら以外にも、スチリル基を含有する発光材料としては、次のスチリルアミン系化合物も好ましく挙げることができる。
Figure 2004327454
(式中、Ar1 〜Ar4 は、アリール基であり、少なくとも1つは、以下に示すスチリル基で置換されているものである。
Figure 2004327454
(R8〜R10は、水素、アルキル基又はアリール基である。))
Ar1 〜Ar4 及びR8 〜R10のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ワソセニル基、フルオレニル基等が挙げられる。R8 は水素であることが好ましい。Aは連結基であり、単結合、アリーレン基又はポリアリーレン基であり、フェニレン基、ビフェニレン基、アンスリレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、ワソセニレン基、ジフェニルアンスリレン基等や、さらに以下に示す構造を有する基が挙げられる。
Figure 2004327454
(上式中、Ar5 及びAr6 は、Ar1 〜Ar4 と同様のアリール基を示す。)
また、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2 −Al−O−L〔式中、Lはフェニル部分を含んでなる炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェノラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子を示し、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を示す〕で表される化合物も挙げられる。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
このほか、特開平6−9953号公報等によるドーピングを用いた高効率の青色と緑色の混合発光を得る方法が挙げられる。この場合、ホストとしては、上記の発光材料、ドーパントとしては青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいは上記のホストとして用いられているものと同様な蛍光色素を挙げることができる。具体的には、ホストとしてジスチリルアリーレン骨格の発光材料、特に好ましくは4,4’−ビス(2,2−ジフエニルビニル)ビフェニル、ドーパントとしてはジフェニルアミノビニルアリーレン、特に好ましくは例えばN,N−ジフェニルアミノビニルベンゼンを挙げることができる。
白色の発光を得る発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。
有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
と同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
これらの中では、上記の構成のものが特に好ましい。
さらに、赤色蛍光体としては、下記に示すものが好適に用いられる。
Figure 2004327454
つぎに、上記材料を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法を適用することができる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、発光層を形成することができる。
このようにして形成される発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。この発光層は、上述した材料の1種または2種以上からなる一層で構成されてもよいし、また、前記発光層とは別種の化合物からなる発光層を積層したものであってもよい。
つぎに、正孔注入・輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入・輸送層としてはより低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であるものが好ましい。本発明の芳香族炭化水素化合物と混合して正孔注入・輸送層を形成する材料としては、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
このような正孔注入・輸送層の形成材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
正孔注入・輸送層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、芳香族第三級アミン化合物を用いることもできる。
また米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、また特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等を挙げることができる。さらに、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入・輸送層の材料として使用することができる。
そして、この正孔注入・輸送層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化すればよい。この場合、正孔注入・輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入・輸送層は、正孔輸送帯域に本発明の芳香族炭化水素化合物を含有していれば、上述した材料の1種または2種以上からなる一層で構成されてもよいし、また、前記正孔注入・輸送層とは別種の化合物からなる正孔注入・輸送層を積層したものであってもよい。
また、有機半導体層は、発光層への正孔注入または電子注入を助ける層であって、10-10 S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや特開平8−193191号公報に記載の含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
つぎに、電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウムを電子注入材料として用いることができる。
そして、オキサジアゾール誘導体としては、下記一般式〔4〕〜〔6〕、
Figure 2004327454
〔上記式中、Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar5 ,Ar6,Ar9 は、各々独立に置換または無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Ar4 ,Ar7 ,Ar8 は、各々独立に置換または無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。〕で表される電子伝達化合物が挙げられる。
これら一般式〔4〕〜〔6〕におけるアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。また、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。そして、これらへの置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基またはシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は、薄膜形成性の良好なものが好ましく用いられる。
そして、これら電子伝達性化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
Figure 2004327454
つぎに、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
つぎに、本発明の有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
以下、透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例について説明する。
まず、適当な透光性基板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し、陽極とする。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法により行うことができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10-7〜10-3torr、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
次に、この正孔注入層上に発光層を設ける。この発光層の形成も、所望の有機発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により、有機発光材料を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。
次に、この発光層上に電子注入層を設ける。この場合にも正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。
そして、最後に陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。陰極は金属から構成されるもので、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。しかし、下地の有機物層を製膜時の損傷から守るためには真空蒸着法が好ましい。
以上の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで、一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。
この有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、5〜40Vの電圧を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には、陽極が+、陰極が−の極性になった時のみ均一な発光が観測される。この場合、印加する交流の波形は任意でよい。
このように構成される有機EL素子における各有機化合物層を形成するために用いる有機化合物のうちの、全ての有機化合物層に含有されるハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度を1000ppm未満とする。
このように高純度の有機化合物を得るための精製法としては、特に制約はなく、昇華精製法や再結晶法、再沈殿法、ゾーンメルティング法、カラム精製法、吸着法など、あるいはこれら方法を組み合わせて行うことができる。上記有機化合物の精製においては、これら精製法の中でも再結晶法によるのが好ましい。また、上記有機化合物の中でも、昇華性を有する化合物においては、昇華精製法によることが好ましい。昇華精製においては、目的化合物が昇華する温度より低温で昇華ボートを維持し、昇華する不純物を予め除去する方法を採用するのが好ましい。また昇華物を採集する部分に温度勾配を施し、昇華物が不純物と目的物に分散するようにするのが望ましい。以上のような昇華精製は不純物を分離するような精製であり、本発明に適用しうるものである。
さらには、有機化合物がπ共役を有する炭素の主鎖に対して、酸素原子および窒素原子が直接的または間接的に接続されている構造を有する分子、いわゆるキレート錯体化合物においては、昇華精製法により精製するのが好適である。この昇華精製法には、攪拌法と振動法がある。このうち、攪拌法は、(A)真空シールされた攪拌機の先端に攪拌羽根を装着し、人力または機械力によって、有機化合物の凝集により形成された殻を直接破壊・粉砕し、その後の攪拌の継続によって殻の生成を減少させるメカニカル攪拌法や、(B)昇華精製する有機化合物と共に、マグネティックバーを存在させて、このマグネティックバーを外部回転機構を用いて任意の回転数で回転させることによって、有機化合物の殻を直接破壊・粉砕し、その後の攪拌の継続によって殻の生成を減少させるマグネティック攪拌法、さらに、(C)鉄球などの金属球を有機化合物の殻の上に落下させることにより、殻を直接破壊・粉砕する方法によることができる。
また、上記振動法については、(a)昇華精製する有機化合物を入れた容器の外部に、超音波発生装置を付設し、外部より超音波を照射して、有機化合物の殻を破壊・粉砕する超音波振動法や、(b)昇華精製する有機化合物を入れた容器の外部に振動発生機を付設しあるいは人力により、該容器に直接振動を与えることによって、有機化合物の殻を破壊・粉砕する直接振動法を採用してもよい。
このようにして、有機EL素子の各有機化合物層を形成するためのハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度を1000ppm未満に減少した有機化合物を、有機化合物層のうちの少なくとも1層の形成材料として使用する。
ここで、有機化合物層を形成するための有機化合物材料に含有される不純物としては、通常、この有機化合物を製造する際の原料物質に由来する不純物や、その製造工程の途上で生成する中間体あるいは前駆体(特に、これら中間体或いは前駆体のなかには、反応性官能基を保有する化合物もある。)、さらには、ハロゲン化合物を用いる際には中間体の未反応物が残留したり、反応しきれていないハロゲン部位が残留することに起因する不純物が存在する。このほか、この有機化合物を製造する工程において、ハロゲン系の溶媒を用いる際には、オレフィン部位などに塩素などのハロゲンが付加したものや、反応条件によっては酸化を受けた有機化合物が目的化合物に含有されることがある。
このように、合成した直後の有機化合物材料に含有される不純物には、様々な化合物が存在するが、これらの中でも、ハロゲン化合物が有機EL素子の発光輝度の減衰や発光寿命の低下の大きな要因となっていることが、本発明者らによって新しく見出された。上記不純物の反応性官能基としてハロゲン原子を有する化合物が多く、これらは、各電極から移動してきた正孔や電子のトラップとして働くからである。したがって、有機化合物材料に含有される不純物として、ハロゲン化合物についての許容濃度は、500ppmであり、これを超えるハロゲン化合物濃度の有機化合物層形成材料を使用すると、有機EL素子の発光輝度の減衰や発光寿命の低下を招くおそれが大きくなることが見出された。
つぎに、このような合成した直後の有機化合物材料に含有される不純物について、さらに具体的には、例えばスチリル系化合物の合成においては、下記
Figure 2004327454
〔式中、Ar’,Ar'',X,Yは、いずれもアリール基を示す。また、Zは、ハロゲンを示す。〕
の反応における不純物として、下記
Figure 2004327454
〔式中、Ar’,Ar'',X,Yは、いずれもアリール基を示す。また、Zは、ハロゲンを示す。〕
で表されるハロゲン化合物が、目的とする有機化合物材料に含まれている。
また、アミン系化合物の合成においては、下記
Figure 2004327454
〔式中、Ar,Ar’,Ar''は、いずれもアリール基を示す。また、Zは、ハロゲンを示す。〕
の反応における不純物として、下記
Figure 2004327454
〔式中、Ar,Ar' ,Ar''は、いずれもアリール基を示す。また、Zは、ハロゲンを示す。〕
で表されるハロゲン化合物と、アミン酸化物が、目的とする有機化合物材料に含まれている。これらは中間体或いは前駆体の一例である。
さらには、次のような反応によってもアミン系化合物は合成され、後述する不純物が生成する。
Figure 2004327454
この時、不純物はつぎのようなものであるが、これらは中間体或いは前駆体として含まれていることがある。
Figure 2004327454
〔式中、Ar,Ar' ,Ar''は、いずれもアリール基を示す。また、Zは、ハロゲンを示す。〕
ポリフルオレン化合物の場合には、不純物として、以下のものが生成する。
Figure 2004327454
〔式中、Zは、ハロゲンを示す。〕
他の反応方法を用い、各種有機化合物を合成する際にも、原料物質に由来するハロゲン含有化合物からなる不純物や製造工程の途上で生成する中間体或いは前駆体、又はこれらの中間体或いは前駆体であって反応性官能基(例えば、ハロゲンの他、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基など)を保有するハロゲン含有化合物が不純物として1000ppm未満、0ppm以上含まれるようにする。
つぎに、上記の種々の精製法により精製した後の有機化合物材料に含有される不純物を定量する際には、これら有機化合物の定量法は様々な方法が知られているが、本発明の方法では、高速液体クロマトグラフィー法により、所定値未満の不純物濃度の有機化合物層形成材料を選定する方法を採用する。本発明の有機EL素子に用いる有機化合物層形成材料においては、高速液体クロマトグラフィー法による場合、他の方法に比し、迅速かつ精度よく、有機化合物層の形成に好適な材料の選定を行うことができるからである。
この高速液体クロマトグラフィー法においては、移動相の送りに高圧ポンプ(圧力;350〜500kg/cm2 )を用いて送液するため、分離時間が短く、したがって、迅速な定量が可能である。また、ここで用いる充填剤は、全多孔性粒子の粒径が5〜10μと小さく、表面積が大きいことから、分離性能に優れている。そして、検出器は高感度検出器に接続できるため、精度の高い分析が可能である。さらに、定流量が得られるので再現性に優れている。この高速液体クロマトグラフィー法における充填剤と分離モードについて、代表的なものを第1表に示す。
Figure 2004327454
高速液体クロマトグラフィー法では、固定相と移動相との組合わせによって分離モードが異なるが、任意に選択することができる。
本発明の方法において前記有機化合物層形成材料中の不純物の定量を行う際には、分配クロマトグラフ法の化学結合型シリカゲルに分類されるODS(オクタデシル基化学結合型シリカ)を用いた逆相クロマトを用いると、分離性能が良好である。このODS充填剤は、高速液体クロマトグラフィー法における充填剤のうちでも代表的なものであり、広範囲な化合物群に適している。そして、この逆相クロマトの場合の溶媒としては、メタノール,アセトニトリルなどの極性溶媒や、これらの溶媒と水との混合溶媒を用いることができるが、特に好ましい溶媒はアセトニトリルである。
また、この高速液体クロマトグラフィー法において用いる検出器としては、紫外吸光光度計(UV)や示差屈折計(RI)など任意のものを用いることができるが、紫外吸光光度計(UV)を用いた方が、ベースラインの安定性が良く、温度の影響や流速の影響を受けることなく、高感度の検出が可能である。
したがって、この高速液体クロマトグラフィー法による場合の充填剤と、溶媒、検出器の組合わせは、充填剤としてODSを用い、溶媒としてアセトニトリルを用いた逆相クロマトにより分析を行ない、検出器として紫外吸光光度計(UV)を用いるようにする組合せが最適である。
ここで、上記有機EL素子の有機化合物層形成材料が、溶媒のアセトニトリルに溶解する場合は問題ないが、これに難溶性の場合には、まずこの有機化合物層形成材料を溶解する溶媒にて溶解させた後、貧溶媒たとえばメタノールあるいはメタノールと水との混合溶媒を加えて再沈を行ない、不溶物を濾取した後、溶媒をエバポレーターにて完全に留去し、これにアセトニトリルを加えて溶解させたものを検査試料とすることにより、アセトニトリルに難溶性の有機化合物層形成材料についての分析が可能となる。
つぎに、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔製造例1〕(正孔注入材料の製造)
正孔注入材料として、下記に示す4,4’,4”−トリス−〔N−(m−トリル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(以下、MTDATAと略称する)を製造した。
Figure 2004327454
内容積300ミリリットルの三つ口フラスコに、4,4’,4”−トリヨードトリフェニルアミン1.0g、N−(3−トリル)−N−フェニルアミン(アルドリッチ社製)1.0g、無水炭酸カリウム3g及び銅粉1.0gを加えた後、これにジメチルスルホキシド200ミリリットルを加えて溶解し、200℃において、8時間攪拌下に反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、母液を塩化メチレンで抽出した。そして、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、残渣をシリカゲルを充填したカラムクロマトでトルエンを展開溶媒として精製し、淡黄色粉末0.3gを得た。以下、これを未精製MTDATAという。
この未精製MTDATAを、高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、不純物として、N−(3-トリル)−N−フェニルアミン,トリヨードトリフェニルアミン誘導体,ジヨードトリフェニルアミン誘導体,モノヨードトリフェニルアミン誘導体などのハロゲンが残留した不純物,アミンの酸化物が検出された。これら不純物の中には、1000〜10000ppmの濃度で混入しているものもあることが判明した。
つぎに、この未精製MTDATAを、ボート温度390℃、10-6torrの条件にて、不純物を分離すべく昇華精製することにより、0.24gの淡黄色粉末を得た。以下、これを昇華MTDATAという。この昇華MTDATAを、高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、上記の各不純物は、いずれも1000ppm未満であることが判明した。
〔製造例2〕(正孔輸送材料の製造)
正孔輸送材料として、下記に示すN,N’−ジ−(ナフチル−1−イル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ベンジジン(以下、NPDと略称する。〕を製造した。
Figure 2004327454
内容積300ミリリットルの三つ口フラスコに、1−ヨードナフタレン(東京化成社製)2.0g、N,N‘−ジフェニルベンジジン(アルドリッチ社製)1.0g、無水炭酸カリウム3g及び銅粉1.0gを加え、さらに、ジメチルスルホキシド200ミリリットルを加えて、これに溶解させ、200℃において、8時間攪拌下に反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、母液を塩化メチレンで抽出した。そして、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、残渣をシリカゲルを充填したカラムクロマトでトルエンを展開溶媒として精製し、淡黄色粉末0.37gを得た。以下、これを未精製NPDという。
この未精製NPDを高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、不純物として、1−ヨードナフタレンのようなハロゲン原料不純物や、N−(ナフチル−1−イル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ベンジジン、およびアミンの酸化物が検出され、これら不純物の中には、1000〜10000ppmの濃度で混入しているものがあることが判明した。
この未精製NPDをボート温度320℃、10-6torrの条件において、不純物を分離すべく昇華精製することにより、0.31gの淡黄色粉末を得た。以下、これを昇華NPDという。この昇華NPDを高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、上記の不純物は、いずれも1000ppm未満であることが判明した。
〔製造例3〕(ドーパントの製造)
ドーピング材料として、下記に示す4,4’−ビス〔2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル〕ビフェニル(以下、DPAVBiと略称する。)を製造した。
Figure 2004327454
内容積200ミリリットルの三つ口フラスコに、ビフェニルホスホン酸エステル1.9g、及びN,N−ジフェニル−4−アミノベンズアルデヒド3.0gを加え、さらに、ジメチルスルホキシド50ミリリットルを加えて、これに溶解させた。ついで、これをアルゴンガス雰囲気下、室温にてマグネチックスターラーで攪拌しながら、カリウム−t−ブトキシド(関東化学社製)1.0gを粉末の状態で少量ずつ加えた。反応液は、直ちに赤黒色を呈し、やがて退色し、緑黄色、後に黄土色の析出物となった。つぎに、この反応液を、室温において、3 時間攪拌した。これを室温にて一晩放置した後、80重量%メタノール水溶液50ミリリットルを徐々に加えた後、生成した黄色沈殿物を濾取し、その後、洗浄を繰り返すことより、黄色粉末2.8gが得られた。
ここで得られた黄色粉末を、トルエンを展開溶媒としてシリカゲルカラム精製し、さらにトルエンでの再結晶を繰り返し行なうことにより、黄色粉末1.6gを得た。
このようにして得られた化合物につき、高速液体クロマトグラフィー法により分析を行なったところ、不純物として、4−(N,Nジフェニル)−4’−(p―トリル)スチルベンや、アミンの酸化物が検出されたが、その濃度はいずれも1000ppm未満であった。
〔製造例4〕(発光材料の製造)
発光材料として、下記に示す4、4’’−ビス(2、2−ジフェニルビニル)−p−ターフェニル(以下、DPVTPと略称する。)を製造した。
Figure 2004327454
ジフェニルブロモメタン200gと亜りん酸トリエチル146gを、120〜130℃において、8時間加熱攪拌した。反応後冷却し、n−ヘキサン500ミリリットルによりデカンテーションを行い、溶媒を留去して、黄色液体284gを得た。次に、得られたホスホン酸エステル284gと、p−ブロモベンズアルデヒド182gをジメチルスルホキシド1リットルに溶解し、カリウム−t−ブトキシド113gを、数回に分けて室温において加えた。その後、室温で8時間攪拌後、3.5リットルの水に反応物を投入し、クロロホルム1リットルにて3回抽出した。これをさらにシリカゲルカラム精製することにより、白色粉末206g(収率62%)を得た。このブロモ体20gを、無水テトラヒドロフラン(和光純薬製)50ミリリットルに溶解させ、これをマグネシウム1.2gを含むテトラヒドロフラン65ミリリットル中に、50℃〜60℃において、滴下した。滴下終了後、反応物を1時間還流し、グリニヤール試薬を調製した。
次に、内容積300ミリリットルの三つ口フラスコに、1,4−ジブロモベンゼン4.0gとビストリフェニルホスフィンパラジウム0.6gと水素化ジイソブチルアルミニウムヒドリドを1.8ミリリットル、およびテトラヒドロフラン200ミリリットルを入れた。ついで、これをアルゴンガス雰囲気下、内温50〜60℃に保ちながら、上記グリニヤール試薬を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応物を8時間攪拌した。そして、放冷後、反応物を3規定塩酸水溶液へ投入した。生成した沈殿を、水洗し、乾燥後、シリカゲルカラムを用い、展開溶媒に塩化メチレンを用いて精製した。白色粉末3.0gが得られた。これを未精製DPVTPという。
この未精製DPVTPを高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、不純物として、ジフェニルビニルブロモベンゼンのような原料のハロゲン含有不純物や,ジフェニルビニル−p−ブロモビフェニルのような片側のみ反応したハロゲン含有不純物(中間体)が検出された。これら不純物の中には、1000〜10000ppmの濃度で混入しているものがあることが判明した。
つぎに、この未精製DPVTPを、ボート温度330℃、10-6torrの条件で、不純物を分離すべく昇華精製することにより、2.0gの淡黄白色粉末を得た。以下、これを昇華DPVTPという。この昇華DPVTPを、高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、上記の不純物は、いずれも1000ppm未満であることが判明した。
〔製造例5〕(発光材料の製造)
発光材料として、以下に示す合成スキームにて、9,10−ビス(4−(2、2−ジフェニルビニル)フェニル)アントラセン(以下、DPVDPANと略称する。)を製造した。
Figure 2004327454
ジフェニルブロモメタン200g(0.8mol)と亜りん酸トリエチル146g(1mol)を、120〜130℃において、8時間加熱攪拌した。反応後冷却し、n−ヘキサン500ミリリットルによりデカンテーションを行い、溶媒を留去して、黄色液体284gを得た。次に、ホスホン酸エステル284gと、p−ブロモベンズアルデヒド182g(0.9mol)をジメチルスルホキシド1リットルに溶解し、カリウム−t−ブトキシド113gを、数回に分けて室温において加えた。その後、室温で8時間攪拌後、3.5リットルの水に反応物を投入し、クロロホルム1リットルにて3回抽出した。これをさらにシリカゲルカラム精製することにより、白色粉末206g(収率62%)を得た。
ついで、アルゴン気流下、マグネシウム16.3g(669.58mmol,×4.5eq)のテトラヒドロフラン500ミリリットル分散液中、上記[A]149.7g(446.39mmol,×3.0eq)
のテトラヒドロフラン1000ミリリットル溶液を先ず1/5量加え、50℃〜60℃に加温した。残りを1時間要して滴下した。滴下終了後、
60℃〜65℃にて5時間反応させた(i)。
上記(i)の反応中、別途アルゴン気流下、9,10−ジブロモアントラセン[B]50.5g(148.80mmol)のテトラヒドロフラン1000ミリリットル溶液中、PdCl2(PPh32 4.2g(5.95mmol,×0.04eq)を添加した後、水素化イソブチルアルミニウム(トルエン中、1.0mol/リットル)14.9ミリリットル(14.88mmol,×0.1eq)を加えた。その後、50℃〜55℃にて4時間反応した後、ここへ上記の反応液を20分間を要して滴下した。滴下終了後、65℃にて18時間反応させた(ii)。
およそ60℃にて、減圧下ろ過を行ない、テトラヒドロフラン500ミリリットル、アセトン100ミリリットルを2回にて順次洗浄した。
ろ取した結晶は、ジメチルスルホキシド14000ミリリットルにて加熱溶解後、再結晶により黄白色結晶を得た。収量は71.0g,収率は68.7%であった。
この未精製DPVDPANを高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、不純物として、中間体である上記化合物[A]や次式で表されるような片側のみ反応したハロゲン含有不純物が検出された。
Figure 2004327454
これら不純物の中には、10000〜20000ppmの濃度で混入しているものがあることが判明した。
つぎに、この未精製DPVDPANを、ボート温度380℃、10-6torrの条件で不純物を分離すべく昇華精製することにより、淡黄白色粉末を得た。以下、これを昇華DPVDPANという。この昇華DPVDPANを、高速液体クロマトグラフィー法により分析したところ、上記の不純物は、いずれも500ppm未満であることが判明した。
〔実施例1〕
透明支持基板として、25mm×75mm×1.1mmのサイズのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキサイド)電極を100nmの厚さに成膜したものを用いた。この基板をイソプロピルアルコールにて5分間超音波洗浄した後、純水で5分間洗浄し、最後に、再びイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した。つぎに、この透明支持基板を、真空蒸着装置(日本真空技術製)の基板ホルダーに固定した。また、この蒸着装置には複数のモリブデン製の抵抗加熱ボートが配置され、それぞれ独立した抵抗加熱ボートに、正孔注入材料として、前記昇華MTDATAを200mg,正孔輸送材料として、前記昇華NPDを200mg,発光材料として、前記昇華DPVTPを200mg,ドーピング材料として前記DPAVBiを200mg,電子輸送材料として、下記のトリス(8−ヒドロキシキノリノール)(以下、ALQと略称する。)を200mg入れ、これらを蒸着用有機化合物とした。
Figure 2004327454
ついで、真空チャンバー内を1×10-6torrまで減圧した後、MTDATAの入った前記加熱ボートに通電して360℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持基板上に蒸着して60nmのMTDATAからなる正孔注入層を設けた。
つぎに、NPDの入った前記加熱ボートに通電して、260℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で、正孔注入層の上に、膜厚20nmのNPDからなる正孔輸送層をを設けた。
ひきつづき、DPVTP入りのボートとDPAVBi入りのボートを同時に加熱蒸発させて、膜厚40nmの混合発光層(混合比は、DPVTP:DPAVBi=40:1重量比)を積層蒸着した。
つぎに、これらを真空蒸着装置から取出し、ステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定した。ついで、アルミニウム及びリチウム(Al−Li)から成るリチウム濃度5原子%の合金母材を、陰極形成用の蒸着材料として用い、蒸着時の真空度1×10-6torr,蒸着速度0.5〜1.0nm/秒の条件で蒸着し、膜厚150nmの陰極を形成した。
このようにして得られた有機EL素子に、ITO電極をAl−Li合金電極を陰極にして、6Vの電圧を印加し、発光テストを行なったところ、青色の均一発光が得られた。初期性能は、印加電圧6Vで電流密度1.2mA/cm2 , 輝度100cd/m2,発光効率4.2ルーメン/Wであった。また、この素子を初期輝度100cd/m2 にて窒素気流中で定電流駆動させると、輝度が50cd/m2 になる半減寿命は5000時間以上であった。
この有機EL素子の構成および半減寿命を第2表に示す。
〔比較例1〜6〕
前記製造例において製造した各種有機化合物を用いて、第2表に示すとおり、実施例1における素子構成とは一部異なる素子構成とした他は、実施例1と同様にして、有機EL素子を製造し、評価をした。
これら有機EL素子の構成および半減寿命を第2表に示す。
Figure 2004327454

Claims (6)

  1. 少なくとも一対の電極間に挟持された有機発光層を含む有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、全ての有機化合物層をハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度が1000ppm未満の有機化合物材料で形成した有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. ハロゲン含有化合物からなる不純物の濃度が500ppm未満の有機化合物材料で形成した請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. ハロゲン含有化合物が、ハロゲン化合物である請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 有機化合物層を、正孔注入層と有機発光層および電子注入層で構成した請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 有機化合物層を形成する有機化合物材料中の少なくとも1つとして、昇華精製法により精製した有機化合物材料を用いた請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 有機化合物層を形成する有機化合物材料中の少なくとも1つとして、再結晶法または再沈精製法、もしくは再結晶法と再沈精製法の併用により精製した有機化合物材料を用いた請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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