JP2004327256A - セラミックヒータおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温度におけるヒータの耐久性や急速昇温の際の熱衝撃による破壊等の問題を解決し、ヒータ寿命を長期化した急速昇温が可能なセラミックヒータを提供する。
【解決手段】アルミナを主成分とするセラミック絶縁層1中に白金を主成分とする発熱体2が埋設されたセラミックヒータであって、発熱体2の断面における線幅wと最大厚みtのw/tが5〜40であり、発熱体2側端部においてセラミックの開きの長さ3が発熱体2側端部から50μm以下であることを特徴とする。また、発熱体2が、高温度における発熱体の耐久性を改善するため、2〜45体積%のアルミナを含有すること、発熱体2とセラミックヒータの表面までの距離Lが250μm以上であることが望ましい。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性に優れ、半導体基板の加熱用ヒータや、石油ファンヒータ、ガスセンサなどの加熱用として好適に用いられるセラミックヒータとその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、アルミナなどの絶縁性セラミックスからなる絶縁基板の内部に発熱体を埋設したセラミックヒータが知られており(特許文献1参照)、半導体基板の加熱ヒータの他、温水ヒータや、石油ファンヒータとして用いられている。
【0003】
一方、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0004】
この検出素子として、主として酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主成分とする固体電解質基板の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。
【0005】
この酸素センサの代表的なものとしては、平板状の固体電解質基板の外面および内面に基準電極と測定電極をそれぞれ設けると同時に、セラミック絶縁体の内部に白金からなる発熱体を埋設したセラミックヒータを一体型した酸素センサが提案されている(例えば、特許文献2、3)。このセラミックヒータを一体化した酸素センサは、セラミックヒータによって直接加熱されることによって検知部は800〜1000℃の高温まで急速昇温されるメリットを有する。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−149791号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−540399号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−236104号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜3に記載されるようなこれらセラミックヒータに対しては、上記の用途に対してそれぞれの機能を発現するに至る、いわゆる作動時間を短縮したり、高温度で使用することにより性能の安定化を図るため、セラミックヒータ自身に対して、急速昇温性や、加熱温度の高温化等の要求が高まってきた。
【0010】
しかしながら、セラミックヒータを上記の用途に使用する場合、1000℃を超えるような高温度の環境で使用される場合や、急速にヒータを加熱する場合、ヒータが破損したり、あるいは発熱体の抵抗が急激に増加するという問題があった。そのため、これらのセラミックヒータは、現在1000℃以下、多くの場合700℃以下で、且つ急激な急速昇温を避けて用いられている。
【0011】
本発明は、上記の問題である高温度におけるヒータの耐久性や急速昇温の際の熱衝撃による破壊等の問題を解決し、ヒータ寿命を長期化した急速昇温が可能なセラミックヒータとその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題について検討した結果、白金発熱体を埋設したセラミックヒータにおいて、発熱体側端部のセラミック同士の接合を改善し、セラミックの発熱体側端部からの開き長さを所定の長さ以下にすることにより上記の問題が解決されることを見出した。
【0013】
即ち、本発明はアルミナを主成分とし、その中に白金を主成分とする発熱体が埋設されたセラミックヒータであって、前記発熱体の断面における線幅wと最大厚みtのw/tが5〜40であり、発熱体側端部におけるセラミックの開きの長さが発熱体側端部から50μm以下であることを特徴としている。
【0014】
この際、前記白金を主成分とする発熱体が、高温度における発熱体の耐久性を改善するため、2〜45体積%のアルミナを含有することが好ましい。
【0015】
また、一方熱衝撃を改善するため、前記白金を主成分とする発熱体とセラミックヒータの表面までの距離が250μm以上であることが望ましい。
【0016】
また、セラミックヒータの製造方法として、アルミナグリーンシートの表面に、白金を主成分とするペーストを、焼成後の断面における線幅wと厚みtとのw/tが5〜40の関係を満足するように、印刷塗布した後、この発熱体パターンの上に、ヤング率が700MPa以下のアルミナグリーンシートを積層し、焼成することを特徴とする。なお、前記白金を主成分とするペーストのグラインドゲージ測定による凝集粒の大きさが20μm以下であることによって、耐久性を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のセラミックヒータの基本構造を図1の説明する。本発明のセラミックヒータにおいては、図1(a)の横断面図に示すようにアルミナを主成分とするセラミック絶縁層1中に白金を主成分とする発熱体2が埋設されている。
【0018】
この際、本発明においては図1の発熱体2側端部の拡大断面図である図1(b)に示すように発熱体2端部におけるセラミックの開き3の長さ(S)が発熱体2側端部から50μm以下であることが重要である。このセラミックの開き3の長さLが50μmを越えると、室温から400℃まで大気中で80℃/sec以上の昇温速度でセラミックヒータを加熱する場合、あるいは1000℃を越すような高温度に加熱した場合に、発熱体2とセラミック絶縁層1との熱膨張係数の差に起因する熱応力により、この開き3の部分からクラックが横方向に進展し、破壊に至る。セラミックの開き3の長さSとしては、特に40μm以下、さらには30μm以下が望ましい。
【0019】
また、本発明によれば、発熱体2の断面における線幅wと最大厚みtのw/tが5〜40であることが重要である。これは、w/tが5よりも小さいと、上記のセラミックの開き3が大きくなるとともに、セラミックの開き3を起点とするクラックの伸びが促進され破壊が生じ易くなるためである。また、逆にw/tが40より大きくなると、同様にセラミックの開きが大きくなるとともに、セラミックの開きを起点とするクラックの伸びが促進され破壊が生じ易くなる。w/tとしては、10〜20の範囲が特に優れる。なお、このw/tの上記の条件は、発熱体2のどこの断面部でも、この条件を満足していることを意味するものである。
【0020】
さらに、発熱体2からセラミック絶縁層1外面までの最短距離Lは250μm以上、特に300μm以上とすることが望ましい。発熱体2からセラミック絶縁層1外面までの最短距離Lが250μmより小さい場合、発熱体2とセラミック絶縁層1との熱膨張係数の差に起因する熱応力により、同様にこの発熱体2側端の開き3が50μmを超え易くなる。
【0021】
本発明におけるセラミック絶縁層を形成するアルミナセラミックスは、アルミナを97質量%以上含有するものであり、必要に応じてSiO、MgO、CaOなどの焼結助剤を3質量%以下、特に0.5〜1.5質量%含有するもので相対密度80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることによってセラミックヒータの強度を高め耐久性を高めることができる。
【0022】
また、Naなどのアルカリ金属のマイナス極側への移動と抵抗増加を防止する観点から、アルミナを主成分とするセラミック絶縁層1中のアルカリ金属(Na,K、Li)の含有量がそれぞれ50ppm以下、特に30ppm以下にすることが望ましい。
【0023】
本発明では、発熱体2は、白金を主成分とし、具体的には、白金単体の他、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種との合金が用いられる。
【0024】
また、発熱体2は2〜45体積%のアルミナを含有することが望ましい。アルミナの含有率が2体積%より少ないと、1000℃を越えるヒータの加熱で発熱体2の断線が発生しやくなり、逆に、含有率が45体積%を越えると発熱体2の電気抵抗が高くなり、前記急速昇温や1000℃を越えるヒータの加熱により、クラックが発生し易くなる。発熱体2のアルミナの含有率としては、特に10〜30体積%の範囲が好ましい。
【0025】
また、発熱体2中のアルミナの平均結晶粒子径は0.2〜1.0μm、特に0.3〜0.5μmとすることが望ましい。これによって、発熱体2の平坦性を高め、また、Alの凝集に伴う2次粒子径のばらつきによって、発熱体中に温度ばらつきが生じるのを防止できる。
【0026】
次に、本発明のセラミックヒータの製造方法について説明する。図2に示すように、白金等の金属とアルミナとの混合粉末からなる印刷用のペーストを調整し、アルミナのグリーンシート11表面に発熱体2のパターン12やリードパターン13を印刷する。その後、セラミックグリーンシート16に、貫通穴を形成して白金ペーストを充填してビア導体14を形成するとともに、電極パッド15を印刷形成した後、このアルミナのセラミックグリーンシート16を前記発熱体パターン12やリードパターン13の上に積層圧着して、1200〜1700℃の温度で酸化性、または中性の雰囲気で焼成することによって作製される。
【0027】
ここで、アルミナグリーンシート11、16は、平均粒径が0.2〜1.0μmのアルミナ粉末に、焼結助剤として、SiO、MgO、CaOなどの焼結助剤を0〜3質量%添加混合し、これに有機バインダを添加混合して、スラリーを調製する。そしてこのスラリーをドクターブレード法などのシート成形法によって厚さ50〜500μmの厚さに成形する。また、ここで用いるアルミナグリーンシートのうち、発熱体パターン12の上に積層圧着されるセラミックグリーンシート16のヤング率が700Mpa、特に600Mpa以下であることが重要である。即ち、このヤング率は、グリーンシートの変形のしやすさを示すもので、このヤング率が700MPaよりも大きいと発熱体パターンの厚みに対してグリーンシートが変形できず、前述したセラミックの開きが大きくなってしまう。
【0028】
なお、この積層圧着時の圧力は、30〜50Mpaの範囲とすることによって、セラミックの開きの発生を抑制することができる。上記グリーンシートのヤング率は有機バインダ量をセラミック粉末100質量部に対して、固形分量として5〜20質量部の割合で、また溶媒量を原料100質量部に対して50〜100質量部の範囲で変化させることによって容易に制御できる。
【0029】
また、発熱体パターン12、リードパターン13を印刷形成する導体ペーストは、平均粒径1〜3μmの白金粉末に、平均粒径が0.2〜1.0μmのアルミナ粉末を2〜45体積%の割合で添加混合して、これに、アクリル系樹脂などの有機バインダおよびトルエンなどの有機溶媒を添加し、混合することによって調製される。
【0030】
なお、この導体ペーストは、グラインドゲージ測定による凝集粒の大きさが20μm以下、特に15μm以下に制御することが発熱体の耐久性の観点から望ましい。このグラインドゲージとは、ペーストの粒径測定用装置であり、凝集粒などの最大粒径を表すパラメータである。即ち、このグラインドゲージによる凝集粒の大きさが20μmよりも大きいと、発熱体に凹凸ができたり、特性の信頼性を低下させる原因となる。なお、このグラインドゲージは、ペースト中のアルミナ粒子径や白金粒子径を調整すること制御できる。
【0031】
なお、本発明においては、発熱体2のパターンは、素子の長手方向に伸び、長手方向の端部で折り返した構造でも、あるいは長手方向と直交する方向の端部で折り返した波形(ミアンダ)構造でもよい。
【0032】
また、本発明のセラミックヒータは、図1、2のような平板形状の他、円筒形状、円柱形状であっても問題は無い。
【0033】
さらに、本発明のセラミックヒータは、酸素センサ、NOxセンサ、COセンサ等のセンサ部を高温に加熱するための手段として好適に用いられる。
【0034】
本発明の応用例として、図3に本発明のセラミックヒータを酸素センサ素子の加熱に応用した場合を示した。図3(a)は概略斜視図、(b)は、X−X断面図である。これは、一般的に理論空撚比センサ素子と呼ばれるものであり、図3の例ではセンサ部20とヒータ部21とが一体的に形成されている。
【0035】
図3の酸素センサ素子においては、ジルコニアからなる酸素イオン導電性を有する固体電解質基板22と、この固体電解質基板22の対向する両面には、白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金からなる空気に接する基準電極23aと、排気ガスと接する測定電極24aとが形成されており、酸素濃度を検知する機能を有するセンサ部20を形成している。また、排気ガスによる電極の被毒を防止する観点から、測定電極24a表面には電極保護層として気孔率が10〜50%のジルコニアセラミック多孔質層25が形成されている。
【0036】
一方、発熱体27を埋設する絶縁性セラミック基体26から構成されるヒータ部21は、ジルコニア固体電解質またはアルミナセラミックスからなる大気導入孔22aを形成する枠材28を介してセンサ部20と接合されている。
【0037】
かかる酸素センサに用いられるヒータ部21は、発熱体27を埋設するセラミック絶縁層26としては、アルミナセラミックスからなる相対密度80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることによってガスセンサの強度を高め耐久性を高めることができる。
【0038】
また、この酸素センサは、素子全体の厚さとしては、0.8〜1.5mm、特に1.0〜1.2mm、素子の長さとしては45〜55mm、特に45〜50mmが急速昇温性と素子のエンジン中への取付け具合との関係から好ましい。
【0039】
次に、本発明のセラミックヒータの製造方法について、図3の酸素センサ素子の製造方法を図4の分解斜視図をもとに説明する。
【0040】
まず、固体電解質のグリーンシート41を作製する。このグリーンシート41は、例えば、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製される。
【0041】
次に、上記のグリーンシート41の両面に、それぞれ測定電極24および基準電極23となるパターン42a、42cやリードパターン42b、42d、パット43a、スルーホール43bなどを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーディップ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷形成することにより、センサ部Aを作製する。
【0042】
さらに、この時に使用する白金を含有する導電性ペーストとしては、上述のセラミック固体電解質成分からなるジルコニアを1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で包含する白金粒子を用いて、その他に、エチルセルロース等の有機樹脂成分を含有するものが望ましい。
【0043】
次に、アルミナなどの絶縁性セラミックスからなるグリーンシート47の表面に、平均粒径が0.5〜2.0μmの白金と、平均粒径が0.1〜1.2μmのアルミナとの混合粉末と有機バインダからなる発熱体の印刷用ペースト用い、発熱体パターン49やリードパターン50、電極パターン51、スルーホール52などをスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷して形成形成する。そして、さらにアルミナのグリーンシートをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら、大気導入孔44を形成した絶縁性セラミック基体からなるグリーンシート45、46と機械的に接着することにより、ヒータ部21用の積層体Bを作製する。この際、発熱体の印刷用ペーストの凝集粒子の大きさとしては、グラインドゲージによる測定値で20μm以下、特に15μm以下とする。グラインドゲージを上記の範囲に制御するには、回転ミル、3本ロール等で白金やアルミナを粉砕して粒度をすることにより調整すればよい。
【0044】
この後、センサ部の積層体Aとヒータ部の積層体Bをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら両者を機械的に接着することにより接着一体化した後、これらを焼成する。焼成は、大気中または不活性ガス雰囲気中、1300℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。
【0045】
その後、必要に応じ、測定電極42aの上に、プラズマ溶射法等により,アルミナ、ジルコニア、スピネルの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック多孔質層25を形成することによってヒータ部が一体化された酸素センサ素子を形成することができる。
【0046】
なお、上記の方法では、ヒータ部1はセンサ部2と同時焼成して形成した場合について説明したが、センサ部1とヒータ部2とはそれぞれ別体で焼成した後、ガラスなどの適当な無機接合材によって接合することによって一体化することも可能である。
【0047】
【実施例】
市販の純度が99.9%で平均粒子径が0.5μmのアルミナ粉末(シリカ0.1質量%含有)にアクリル系樹脂のバインダとトルエンを溶媒として添加してスラリーを作製し、ドクターブレード法により、シートの厚さが0.3mmになるようなアルミナのグリーンシートを作製した。この際、有機バインダ量、溶媒量を変化させて、表1に示すようにグリーンシートのヤング率を変化させたアルミナのグリーンシートを作製した。
【0048】
アルミナ粉末を1〜50体積%含有する平均粒子径が0.2μmの白金粉末に、
有機ビヒクル(有機バインダ+溶媒)からなるペーストを、平均粒子径が1〜3μmの種々の白金粉末を用いて、3本ロール混合によりグラインドゲージによる凝集粒子の最大径が10,20、30μmの3種のペーストを調製し、これを用いて上記アルミナグリーンシート表面に焼成後の抵抗値が室温で約8Ωになりように印刷の厚みを変えて発熱体パターンをスクリーン印刷で印刷した。
【0049】
なお、発熱体の厚みおよび線幅を焼成後、表1のように種々変更して断面形状の異なる種々のセラミックヒータを作成した。
【0050】
そして、これらの発熱体パターンの上面にアルミナグリーンシートを3枚積層してヒータの積層体を作製した。
【0051】
その後、この積層体を1500℃で2時間、大気中で焼成した。この後、ヒータの幅が4mm、長さ5mmになるように外周を加工した後、さらにエッジ部については、0.2mmのC面取りを施した。
【0052】
作製したヒータに約25V前後の電圧を印加し、室温から1100℃まで約20秒で昇温し、さらに1100℃で1分保持した後、印加電圧を切ってヒータを室温まで空冷した。この温度サイクルを1サイクルとして、これを10万回繰り返した時のヒータの破損率を求めた。この際、試料はそれぞれ10個とした。
【0053】
また、発熱体側端部からのセラミックの開きの長さは、ヒータ中心部の断面を数箇所鏡面出しして、走査型電子顕微鏡観察から少なくとも10個以上の発熱体についてセラミックの開きの長さを測定しその平均値を求めた。また、シートのヤング率は、シートの引っ張り試験を行いその応力−歪み曲線から求めた。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 2004327256
【0055】
表1より、ヤング率が700MPaよりも大きいグリーンシートを用いた場合、セラミック中の発熱体側端部からの開きの長さが50μmを越え、それによって試料No.7では破損率が急激に高いことがわかる。
【0056】
また、w/tが5よりも小さい試料No.17では、セラミックの開きが大きくなり、耐久性が低下した。また、w/tが40を越える試料No.16においても、セラミックの開きが大きくなり、耐久性が低下した。
【0057】
これに対して、本発明品は、いずれも開きの長さが50μm以下であり、破損率も60%以下とすることができた。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、発熱体の側端部におけるセラミックの開きの長さを50μm以下に小さくすることによって、発熱体の高温度におけるヒータの耐久性や急速昇温の際の熱衝撃による破壊等の問題を解決し、ヒータ寿命を長期化した急速昇温が可能なセラミックヒータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータの一例を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明のセラミックヒータの製造方法を説明するための分解斜視図である。
【図3】本発明のセラミックヒータの応用例である酸素センサ素子の(a)概略斜視図、(b)X1−X1断面図である。
【図4】図3の酸素センサ素子の製造方法を説明するための分解斜視図である。
【符号の説明】
1、26 セラミック絶縁層
2,27a 発熱体
3 セラミックの開き
22 ・・・固体電解質基板
22a ・・・大気導入孔
23a ・・・基準電極
24a ・・・測定電極
25 ・・・セラミック多孔質層
20 ・・・センサ部
21 ・・・ヒータ部

Claims (5)

  1. アルミナを主成分とするセラミック絶縁層中に白金を主成分とする発熱体が埋設されたセラミックヒータであって、前記発熱体の断面における線幅wと最大厚みtのw/tが5〜40であり、前記発熱体側端部においてセラミックの開きの長さが発熱体側端部から50μm以下であることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 前記白金を主成分とする発熱体が、2〜45体積%のアルミナを含有することを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
  3. 前記白金を主成分とする発熱体とセラミック絶縁層外表面までの最短距離が250μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセラミックヒータ。
  4. アルミナグリーンシートの表面に、白金を主成分とするペーストを、焼成後の断面における線幅wと厚みtとのw/tが5〜40の関係を満足するように、印刷塗布した後、この発熱体パターンの上に、ヤング率が700MPa以下のアルミナグリーンシートを積層圧着し、焼成することを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
  5. 前記白金を主成分とするペーストのグラインドゲージ測定による凝集粒の大きさが20μm以下であることを特徴とする請求項4記載のセラミックヒータの製造方法。
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