JP2004324840A - 防振ゴム装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】相対回転可能な一対の部材11,12間に弾性マウント部材と回転円周方向に少なくとも一つの防振用ゴム板14が固着連結されている防振ゴム装置であって、防振用ゴム板14には、捻じれ角が一定値以下では回転周方向で対向するゴム面部14a,14a同士を離間させてばね定数を小さく保ち、捻じれ角が一定値を越える時は対向するゴム面部14a,14a同士を当接させてばね定数を大きくするような略X字形状の抜き孔15が形成されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば道路工事における埋め戻し土砂を高周波振動の連続付与により突き固めるタンピングランマー等の振動発生機器の操作ハンドルと振動発生源である機器本体との接合部等のように、振動発生動作に伴って相対回転力が作用する一対の部材間に防振用ゴムを介在させて緩衝性能を発揮させるべく用いられる防振ゴム装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のタンピングランマーなど振動発生機器の操作ハンドルと機器本体との接合部等のような相対回転可能な一対の部材間で機器動作時に捻じり力が作用する箇所に介在して用いられる防振ゴム装置として、従来一般には、相対回転可能な一対の部材間にブロック(塊)状の防振用ゴム単体を固定連結する構成が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ブロック状の防振用ゴム単体を一対の部材間に固定連結しただけの従来の防振ゴム装置においては、一対の部材間に働くトルクと一対の部材の相対回転角度(以下、捻じり角という)とが比例関係にあるために、防振用ゴムの捻じりばね定数は、図6中の(a)で示すような高ばね定数の仕様あるいは図6中の(b)で示すような低ばね定数の仕様のいずれかの線形ばね特性に特定される。その結果、前者(a)の高ばね定数仕様の場合は、振動が微小でトルク及び捻じり角の小さい機器動作立ち上がり範囲におけるばね定数が過大で(硬過ぎて)所期の緩衝性能を十分に発揮させることができず、また、後者(b)の低ばね定数仕様の場合は、振動が激しくてトルク及び捻じり角が一定値を越える範囲におけるばね定数が過小で(柔らか過ぎて)防振用ゴムや一対の部材を破損しやすく、タンピングランマーなど適用した振動発生機器の本来機能の低下を招き、さらには適用機器及び防振ゴム装置自体の耐久寿命をも低下しやすいという問題があった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、防振用ゴム板に対して簡単な加工を施すだけで、捻じり角の小さい範囲ではばね定数が小さく、捻じり角が一定以上の範囲ではばね定数が大きくなるという非線形ばね特性を発揮させて所期の緩衝性能の向上とともに、適用機器の本来機能及び耐久寿命の増大を図ることができる防振ゴム装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る防振ゴム装置は、相対回転可能な一対の部材間に、弾性マウント部材とそれら一位の部材の相対回転周方向で少なくとも一つの防振用ゴム板が固着連結されてなる防振ゴム装置において、上記防振用ゴム板に、一対の部材が所定角度以下の相対回転時には周方向で対向するゴム面部同士を離間させてばね定数を小さく保ち、かつ、一対の部材の所定角度を越える相対回転時には周方向で対向するゴム面部同士を当接させてばね定数を大きくする抜き孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成の本発明によれば、一対の部材の捻じり角が所定値以下のときは、周方向で対向するゴム面部同士を離間させて、両ゴム面部間に抜き孔が存在することでばね定数が小さく保たれ、かつ、一対の部材の捻じり角が所定値を越えたときは、上記の対向ゴム面部同士が抜き孔を塞ぐように当接させて大きいばね定数に変更されるといったように、一対の部材間に働くトルク及び捻じり角の変化に対応して非線形のばね特性が発揮されることになる。このような非線形ばね特性を持つ防振ゴム装置を既述のタンピングランマー等の振動発生機器の操作ハンドルと機器本体との接合部等に介在させて用いることにより、振動が微小でトルク及び捻じり角の小さい機器動作の立ち上がり範囲ではばね定数の小さい柔らかいゴム板によって所期の緩衝性能を十分良好に確保しつつ、振動が激しくてトルク及び捻じり角の大きい定常動作範囲ではばね定数の大きい硬いゴム板によって振動発生機器の本来機能を確実強力に発揮させるとともに、適用機器及び防振ゴム装置自体の破損等を防ぎそれらの耐久寿命を増大することができる。
【0007】
特に、上記構成の本発明に係る防振ゴム装置において、請求項2に記載のように、上記防振用ゴム板の抜き孔として、一対の部材の正逆両方向への相対回転時にばね定数を可変する形状に形成したもの、例えば請求項3に記載のように、防振用ゴム板の中心位置を交点とする略X字形状に形成されたものを用いることによって、一対の部材に働く捻じり方向が正逆いずれの場合であっても、上述したような性能、機能を確実に発揮させることができる。
【0008】
また、上記構成の本発明に係る防振ゴム装置において、上記のばね定数可変式の防振用ゴム板は、一対の部材の相対回転周方向に少なくとも一つ配置すればよいが、請求項4に記載のように、相対回転周方向に複数個配置することが好ましい。この場合は、個々の防振用ゴム板のばね特性あるいは抜き孔の幅や長さ等の寸法を任意に異なる値に設定してそれらの複数個を組み合わせることにより、非線形ばね特性の多様化を図ることが可能で、当該防振ゴム装置の適用範囲を拡大することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は本発明に係る防振ゴム装置を適用する振動発生機器の一例としてのタンピングランマーを示す概略斜視図である。このタンピングランマー20は、エンジン1、エアークリーナー(エンジン側及び一次側)2,3、燃料タンク4等からなる機器本体5から下方に向けて延設したベローズ6付きシャフト7の下端部に埋め戻し土砂を突き固める加振用フート8が固定されているとともに、機器本体5の上部には矩形ループ形状の操作ハンドル9が配置されている。この操作ハンドル9の左右両側に固定されて垂下された板状部材11と上記機器本体5側の一次側エアークリーナー3の左右両側に固定された板状部材12とが水平軸線a回りで相対回転可能に接合され、これら相対回転可能な板状取付部材1と板状部材2との間に本発明に係る防振ゴム装置10が介在されている。
【0010】
上記防振ゴム装置10は、図2及び図3に示すように、水平軸線a方向に間隔をおいて対向位置する上記一対の板状部材11,12間に亘って弾性マウント部材13と、その弾性マウント部材13の外周を取り囲むように、板状部材11,12の相対回転周方向に90度づつ角度をつけて計4つの矩形状の防振用ゴム板14…が固着連結されてなる。
【0011】
このような防振ゴム装置10における各防振用ゴム板14には、図4に明示するように、該ゴム板14の中心位置に形成された矩形状抜き孔15aと、この矩形状抜き孔15aの四つの角部からそれぞれ防振用ゴム板14の四つの角部に向けて延びるように形成された斜行抜き孔15bとからなり、中心の矩形状抜き孔15aを交点とする略X字形状の抜き孔15が形成されている。この略X形状の抜き孔15は、一対の板状部材11,12に所定捻じり角以下の正逆両方向への相対回転(捻じり)力が作用した時には、斜行抜き孔15bを挟み回転周方向で対向するゴム面部14a,14a同士を離間させてばね定数を小さく保ち、かつ、一対の板状部材11,12の所定捻じり角を越える正逆両方向への相対回転(捻じり)力が作用した時には、図5に示すように、上記の回転周方向で対向するゴム面部14a,14a同士を当接させてばね定数を急激に増大変化させ、図6中の(c)に示すような非線形ばね特性を呈するように構成されている。
【0012】
なお、各防振用ゴム板14に非線形ばね特性を持たせるための小さいばね定数と大きいばね定数との切替えポイントpは、上記略X字形状抜き孔15における斜行抜き孔15bの幅寸法や斜行方向の長さ寸法を変更することで任意に設定可能である。
【0013】
上記のような防振ゴム装置10を操作ハンドル9と機器本体5との接合部等に介在させてなるタンピングランマー20においては、振動が微小でトルク及び捻じり角の小さいタンピング動作の立ち上がり範囲ではばね定数が小さくて柔らかいゴム板14及び弾性マウント部材13により所期の緩衝性能を十分良好に確保しつつ、振動が激しくトルク及び捻じり角の大きい定常的なタンピング動作範囲ではばね定数が大きくて硬いゴム板14及び弾性マウント部材13によりランマー20本来のタンピング機能を確実強力に発揮させるとともに、ランマー20及び防振ゴム装置10自体の破損等を防ぎそれらの耐久寿命を増大することができる。
【0014】
なお、上記実施の形態では、ばね定数可変式の防振用ゴム板14を一対の板状部材11,12の相対回転周方向に90度づつ角度をつけて計4つ矩形状に配置しており、この場合は個々の防振用ゴム板14のばね特性あるいは抜き孔の幅や長さ等の寸法を任意に異なる値に設定したものを組み合わせることにより、非線形ばね特性を多様化して当該防振ゴム装置10を出力の異なるタンピングランマー等種々の振動発生機器用の緩衝装置に利用可能とできるが、ばね定数可変式の防振用ゴム板14を、一対の板状部材11,12の相対回転周方向に一つだけ配置する構成を採用してもよい。
【0015】
また、4つのばね定数可変式防振用ゴム板14を一対の板状部材11,12間に配置するにあたって、図7及び図8に示すように、相対回転周方向に等間隔をおいて、かつ、一対の板状部材11,12間では外方へ向けて弓なりになるように4つの防振用ゴム板14をほぼ円弧状に配置してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上要するに、本発明によれば、防振用ゴム板に抜き孔を形成するといった極く簡単な加工を施すだけで、捻じり角の小さい範囲ではばね定数を小さく保ち、かつ、捻じり角が一定以上の範囲ではばね定数を急激に変化させるという非線形ばね特性を発揮させることができるので、ばね定数の異なるゴム板を組み合わせ使用したり、ゴム板と剛性板とを積層したりする特殊な構成が不要で装置全体を非常に低コストにしながら、所期の緩衝性能の向上とともに、適用機器の本来機能及び耐久寿命の増大を図ることができるという効果を奏する。
【0017】
特に、請求項2や3の構成を採用することにより、一対の部材に働く捻じり方向が正逆いずれの場合であっても、上述したような性能、機能を確実に発揮させることができる。また、請求項4の構成を採用することにより、非線形ばね特性の多様化を図って、当該防振ゴム装置の適用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振ゴム装置を適用する振動発生機器の一例としてのタンピングランマーを示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る防振ゴム装置の実施の形態を示す拡大平面図である。
【図3】同上実施の形態による防振ゴム装置の拡大側面図である。
【図4】同上防振ゴム装置に所定捻じり角以下の相対回転力が作用しているときの防振用ゴム板単体の状態を示す拡大正面図である。
【図5】同上防振ゴム装置に所定捻じり角を越える相対回転力が作用したときの防振用ゴム板単体の状態を示す拡大正面図である。
【図6】同上防振ゴム装置及び従来の防振用ゴム単体のばね特性を説明する図である。
【図7】本発明に係る防振ゴム装置の他の実施の形態を示す拡大平面図である。
【図8】同上他の実施の形態による防振ゴム装置の拡大側面図である。
【符号の説明】
10 防振ゴム装置
11,12 板状部材
13 弾性マウント部材
14 防振用ゴム板
14a 回転周方向で対向するゴム面部
15 略X字形状の抜き孔
15a 中心の矩形状抜き孔
15b 斜行抜き孔
Claims (4)
- 相対回転可能な一対の部材間に、弾性マウント部材とそれら一対の部材の相対回転周方向で少なくとも一つの防振用ゴム板が固着連結されてなる防振ゴム装置において、
上記防振用ゴム板に、一対の部材の所定角度以下の相対回転時には周方向で対向するゴム面部同士を離間させてばね定数を小さく保ち、かつ、一対の部材の所定角度を越える相対回転時には周方向で対向するゴム面部同士を当接させてばね定数を大きくする抜き孔が形成されていることを特徴とする防振ゴム装置。 - 上記抜き孔は、一対の部材の正逆両方向への相対回転時にばね定数を可変する形状に形成されている請求項1に記載の防振ゴム装置。
- 上記抜き孔が、防振用ゴム板の中心位置を交点とする略X字形状に形成されている請求項1または2に記載の防振ゴム装置。
- 上記のばね定数可変式の防振用ゴム板が、一対の部材の相対回転周方向に複数個配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の防振ゴム装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003123506A JP2004324840A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 防振ゴム装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003123506A JP2004324840A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 防振ゴム装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004324840A true JP2004324840A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33501372
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003123506A Pending JP2004324840A (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | 防振ゴム装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004324840A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101074827B1 (ko) | 2010-12-15 | 2011-10-19 | (주)엔티피건설 | 도로의 가드레일의 지주 보강방법 |
CN107653870A (zh) * | 2016-07-23 | 2018-02-02 | 赵彦杰 | 夯实堤坝设备 |
-
2003
- 2003-04-28 JP JP2003123506A patent/JP2004324840A/ja active Pending
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