JP2004324585A - 気化混合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料の応答性、微粒化、気化、均一混合化等を向上させ得、また、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減でき、さらに、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができるとともに、内燃機関の排気系等にも搭載配備可能な気化混合装置を提供する。
【解決手段】気流通路部1Aに導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段2と、該気流制御手段2によって制御される旋回気流の中心軸に直交ないし交差する方向に燃料又は他の液体を噴射する少なくとも1つの噴射手段4と、該噴射手段4の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化手段5と、を備えて構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】気流通路部1Aに導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段2と、該気流制御手段2によって制御される旋回気流の中心軸に直交ないし交差する方向に燃料又は他の液体を噴射する少なくとも1つの噴射手段4と、該噴射手段4の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化手段5と、を備えて構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気化混合装置に係り、好ましくは、内燃機関の吸気系あるいは排気系に配在されて、燃料又は他の液体(排ガス浄化用の液体等)の微粒化、気化、均一混合化等を効果的に促進させることができるようにされた気化混合装置に関する。特に、燃料の壁面付着等を抑制して良質の混合気を生成すること、あるいは、排ガス中の有害物質であるHC(ハイドロカーボン)やNOxを効果的に低減すること等を主目的とする気化混合装置である。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の始動性向上や排ガス浄化、特にHCの排出量の低減手段としては、燃料噴射装置より噴射される燃料の微粒化促進と吸気通路部内壁面への燃料付着の低減が有効であるとされる。また、微粒化した噴霧により良質の混合気が形成され、効率的な燃焼が実現するので燃費向上が図られることが合わせて期待されている。しかしながら、特に始動時等の機関の冷機時においては、燃料の気化が進みにくいため、排ガス浄化性能が改善されないという課題がある。
【0003】
この種の課題を解決するための一つの技術として、吸気集合管に開口するバイパス通路の入口側に位置するアイドルスピードコントロール(ISC)バルブの下流に配設された燃料噴射バルブより噴射された燃料噴霧と、前記ISCバルブを通過した吸入空気に旋回を加えることで混合促進を図るとともに、この混合気を燃料噴射バルブの下流に配設したヒータに衝突させることにより気化させるようにした気化混合装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開2001−342932号公報(第1〜23頁、図1〜図8)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案の気化混合装置では、ヒータによって燃料の気化が促進され、また、燃焼室に至るまでの、ボリュームのある吸気集合管や曲がりを有する分岐管によって燃料と空気との混合が促進されるものの、次のような課題があった。すなわち、燃料の応答性(燃焼室に吸入されるまでの時間)、微粒化、気化、均一混合化等が必ずしも充分ではなく、また、ヒーターで使用する電気エネルギーが大きく、さらに、装置の小形軽量化や搭載性にも難があった。
また、前記提案の気化混合装置は、それが搭載配備可能なのは、内燃機関の吸気系に限られており、機関の排気系等に搭載配備することは不可能であった。
【0005】
本発明は、前記の如くの課題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、燃料の応答性、微粒化、気化、均一混合化等を向上させ得、また、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減でき、さらに、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができるとともに、内燃機関の排気系等にも搭載配備可能な気化混合装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る気化混合装置は、基本的には、気流通路部に導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段と、該気流制御手段によって制御される旋回気流の中心軸に直交ないし交差する方向に燃料又は他の液体を噴射する少なくとも1つの噴射手段と、該噴射手段の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化手段と、を備えて構成される。
【0007】
前記気流制御手段は、好ましくは、バルブ等の気流制御体と、該気流制御体の上流側と下流側とを連通させるバイパス通路と、を有する。
好ましい態様では、前記噴射手段には、前記バイパス通路を介して気流の一部が導入され、この導入された気流によって、前記噴射手段から噴射される燃料又は他の液体の微粒化、噴霧化が促進されるように構成される。
この場合、好ましくは、前記噴射手段への気流導入を、気流の温度に応じてON/OFFするようにされる。
【0008】
前記気化手段は、好ましくは、前記気流制御手段からの気流を絞る絞り部材を有し、該絞り部材が加熱可能とされる。
この場合、前記絞り部材は、好ましくは、先細り筒状とされ、より好ましくは、前記気化手段の絞り部材に、ヒーターが内蔵される。
さらに好ましくは、前記気化手段の加熱は、内燃機関の冷却水温等の運転状態に基づいて行われるようにされる。
【0009】
前記噴射手段は、好ましくは、外部からの電気信号により開閉せしめられる噴射弁、又は、供給される燃料又は他の液体の圧力に応じて開閉せしめられる噴射ノズルで構成される。
前記噴射手段の少なくとも1つは、好ましくは、噴射方向が前記気化手段とされるか、又は、噴射方向が可変とされる。
【0010】
本発明に係る気化混合装置は、好ましい態様では、内燃機関の吸気系に配在され、前記噴射手段からは燃料が噴射されるように構成される。
より好ましい態様では、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部に配在される。
他の好ましい態様では、内燃機関の排気系に配在され、前記噴射手段からは排ガス浄化用の液体が噴射されるように構成される。
より具体的な好ましい態様では、NOx処理用の触媒が配在された内燃機関の排気通路部における前記触媒の上流側に配在され、前記噴射手段からは尿素水が噴射されるように構成される。
他の別の好ましい態様では、前記気流制御手段、前記噴射手段、及び、前記気化手段は、一体化されて、内燃機関の吸気系又は排気系に組み込まれる。
【0011】
前記の如くの構成とされた本発明に係る気化混合装置においては、例えば、内燃機関の吸気系に配備された場合の好ましい態様について説明するに、気流通路部に導入された吸気(気流)は、気流制御手段により旋回力が付与されて、気流通路部の中心軸回りの旋回流となり、噴射手段は、燃料を前記旋回流(の中心軸)に対して直交する方向に噴射する。これにより、噴射燃料の微粒化、噴霧化が促進される。この場合、好ましい態様では、噴射手段にバイパス通路を介して気流の一部を導入し、この導入された気流を噴射燃料に衝突させることによって、燃料の微粒化、噴霧化を一層促進させる。
【0012】
そして、旋回中の気流とその中に噴射された燃料とで形成される混合気においては、微粒化、噴霧化されている燃料は、遠心力で外周側に多く集まることになり、この混合気は、その直下流に配在された気化手段の絞り部材に沿うように旋回しつつ絞られて整流される。ここで、その外周側に多く集まっている微粒化、噴霧化された燃料は、気化手段の絞り部材に衝突せしめられつつ中心軸方向に寄せられて気流中に均一に混合されるとともに、必要に応じて例えば絞り部材に内蔵されたヒータにより加熱される。これにより、燃料の気化が促進される。
このように本発明の気化混合装置では、燃料の微粒化、噴霧化、気化、均一混合化等を向上させ得る。
【0013】
また、前記気流制御手段、前記噴射手段、及び、前記気化手段は、一体化されて、内燃機関の吸気系又は排気系に組み込まれるので、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができる。特に、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)に組み込むことができるので、本装置と燃焼室とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0014】
以上により、燃費、燃焼性、始動性等が向上するとともに、燃料の応答性、微粒化、噴霧化、均一混合化が促進される結果、吸気(気流)温度が高い場合等には、それ自体で気化が促進されるので、ヒーター等で加熱しなくて済み、その結果、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減できる。
【0015】
さらに、前記噴射手段の少なくとも1つは、噴射方向が前記気化手段とされるか、又は、噴射方向が可変とされることにより、吸気温度が低いとき、つまり、燃料の気化がさほど促進されないとき、気化手段に向けて燃料を噴射して、そこで燃料を強制的に気化させるようにすることができ、これにより、寒冷時における始動性等が一層向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る気化混合装置の第1実施形態を示す断面図である。
図示の気化混合装置1は、導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段ととしての吸気制御装置2と、この吸気制御装置2によって制御される旋回気流中に燃料を噴射供給する燃料噴射装置3と、この燃料噴射装置3の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化装置5と、を備える。
【0017】
前記吸気制御装置2、前記噴射装置3、及び、前記気化装置5は、一体化されて、内燃機関の吸気系に組み込まれおり、吸気通路の一部(吸気通路部1A)を形成している。
前記吸気制御装置2は、気流制御体としての開閉可能な吸気バルブ7と、該吸気バルブ7の上流側と下流側とを連通させる複数本(例えば3本又は6本)のバイパス通路8と、を有する。前記バイパス通路8の出口(下流端)は、前記吸気通路部1Aの略接線方向に開口しており、吸気の旋回流(符号11の矢印)を生成するようになっている。
【0018】
前記燃料噴射装置3は、主要部品として、等角度間隔で放射状に配置された複数個(例えば3個又は6個)の燃料噴射弁4を有し、この燃料噴射弁4を取り囲むように同軸的にアトマイザ20が配設されている。また、前記燃料噴射弁4と前記アトマイザ20との間には、前記バイパス通路8から導入通路9を介して吸気が導入されるようになっている(後で詳述)。
【0019】
前記気化装置5は、前記吸気制御装置2からの気流を絞る、先細り筒状(漏斗状)の絞り部材5aを主要部とし、該絞り部材5a内の始端部(上流端部)付近に例えば電熱線式のヒータ6が内蔵されている。
なお、図1中、符号13は、組み込みを容易とするための接続部材を、符号10は吸気(気流)の流れ方向を、符号12は、混合気の流れ方向を、それぞれ示している。
【0020】
図2は、前記燃料噴射装置3の主要構成部品である燃料噴射弁4を示しており、その外周部には、シール材24及びOリング25を介してアトマイザ20が気密的に装着されている。このアトマイザ20は、小径部21の側面部に、前記導入通路9が接続される気流導入孔22が形成され、また、その先端部中央には気液噴射孔23が形成されていて、前記燃料噴射弁4の管状噴射ノズル4bと同軸的に配在されている。なお、符号4aは、電気信号を取り込むためのコネクタである。
【0021】
前記燃料噴射弁4は、外部からの電気信号により開閉駆動するようになっており、燃料の内部流動を工夫することにより、燃料の微粒化、噴霧化を促進する。例えば、燃料に旋回力を付与して噴射燃料を薄膜化して微細な液滴に分裂させる燃料スワールタイプや、弁先端部に複数個の微細孔を設けたノズルプレートを配置し、噴出する燃料の流速を高めることにより微粒化、噴霧化を促進する多孔タイプ等がある。
【0022】
本実施形態においては、前者の燃料スワールタイプが採用されており、その詳細を図3を参照しながら説明する。図3は、燃料噴射弁4の先端部付近を拡大して示したもので、気流27が小径部21の内周面と管状噴射ノズル4bとの間の隙間26から導入されて、管状噴射ノズル4bの先端の中心に向かって流れ、噴射燃料と衝突して、燃料の微粒化、噴霧化を促進するとともに、吸気と燃料との混合を促進し、気液噴射孔23から旋回気流中に噴射される。符号28は、霧状に微粒化された噴霧の模式図であり、平均粒径は10μm以下となっている。
【0023】
次に、本実施形態の気化混合装置1の動作及び作用効果を説明する。
吸気バルブ7が閉じているときは、バイパス通路8から気流が流れる。このとき、吸気バルブ7の下流に開口しているバイパス通路8の出口から吸気通路部1Aの略接線方向に気流が流出するため、旋回流れ11が生成される。一方、気流の一部は、バイパス通路8から導入通路9を介して、アトマイザ20の小径部21の内周面と燃料噴射弁4の管状噴射ノズル4bとの間の隙間26にも導入され、燃料の微粒化、噴霧化、が促進される。
【0024】
そして、旋回中の気流とその中に噴射された燃料とで形成される混合気においては、微粒化、噴霧化されている燃料は、遠心力で外周側に多く集まることになり、この混合気は、その直下流に配在された気化装置5の絞り部材5aに沿うように旋回しつつ絞られて整流される。ここで、その外周側に多く集まっている微粒化、噴霧化された燃料は、気化装置5の絞り部材5aに衝突せしめられつつ中心軸方向に寄せられて気流中に均一に混合されるとともに、必要に応じて絞り部材5aに内蔵されたヒータ6により加熱される。これにより、燃料の気化が促進される。
このように本実施形態の気化混合装置1では、燃料の微粒化、噴霧化、気化、均一混合化等を向上させ得る。
【0025】
また、前記吸気制御装置2、前記燃料噴射装置3、及び、前記気化装置5は、一体化されて、内燃機関の吸気系に組み込まれるので、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができる。特に、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)に組み込むことができるので、本装置と燃焼室とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0026】
以上により、燃費、燃焼性、始動性等が向上するとともに、燃料の応答性、微粒化、噴霧化、均一混合化が促進される結果、吸気(気流)温度が高い場合等には、それ自体で気化が促進されるので、ヒーター等で加熱しなくて済み、その結果、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減できる。
【0027】
また、前記噴射手段の少なくとも1つを、噴射方向が前記気化装置5とされるか、又は、噴射方向が可変とされることにより、吸気温度が低いとき、つまり、燃料の気化がさほど促進されないとき、気化装置5に向けて燃料を噴射して、そこで燃料を強制的に気化させるようにすることができ、これにより、寒冷時における始動性等が一層向上する。
【0028】
なお、吸気温度が高いときには、それ自体により気化が促進されるので、前記パイパス通路8を閉じるようにして、旋回流を生成しないようにすることもできる。例えば、図1において符号70で示されるように、バイパス通路8に電磁弁70等を介装して、機関の吸気温や冷却水温等の運転状態に応じて、前記電磁弁70をON/OFF(開閉)制御するようにしてもよい。同様に、前記ヒータ6による加熱(通電)も、機関の吸気温や冷却水温等の運転状態に応じて、ON/OFF制御するようにしてもよい。
【0029】
図4は、燃料噴射手段の他の例の先端部付近を示す拡大断面図である。図示の燃料噴射手段は、燃料の圧力に応じて開閉する、いわゆる自動弁と呼ばれる燃料噴射ノズル30を示している。弁体31は、燃料に旋回力を付与する複数本の旋回通路32が形成されており、スプリング33により弁座41に押し付けられる。なお、図では、上方にスプリング力が作用している。所定以上の燃料圧力が加わると、スプリング力に抗して弁体31が押し下げられて、噴射口42が開かれ、図のように、アトマイザ34内に導入された気流(矢印36a、36b)が噴射薄膜燃料37に衝突して、気液噴射孔35から旋回気流中に噴射供給され、前記実施形態と同様に、燃料の微粒化、噴霧化が促進される。この例でも、平均粒径は、10μm以下となる。この種の燃料噴射ノズル30は、耐熱的に優れており、気流の温度が150°〜500°程度の排気系に搭載配備するのが好適である。
なお、符号38は、霧状に微粒化された噴霧の模式図、符号39は、上方より導入される燃料の流れを示している。
【0030】
図5は、本発明に係る気化混合装置の第2実施形態を示す断面図である。
本実施形態の気化混合装置60は、第1実施形態の気化混合装置1と異なるのは、主として吸気制御装置50の構成であり、以下においては、第1実施形態の気化混合装置1と同一機能部分には同一に符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態の気化混合装置60では、気流速度を高めた部位の動圧を利用して燃料噴射装置3への気流導入を行うものである。吸気制御装置50は、前記吸気通路部1Aの内部に同軸的に配在された先太り筒状(椀形)の内側通路筒体51と、該内側通路筒体51より下流側に配在された燃料噴射弁4とアトマイザ20との間に、前記内側通路筒体51(の下流端)より上流側から気流(吸気)を導くバイパス通路54と、を有する。
【0032】
前記内側通路筒体51には、上流端に中央開口52が形成されるとともに、
下流端外周に、気流に旋回力を付与するための旋回流生成部53が形成されている。吸気通路部1Aに導入された気流55は、吸気制御装置50内で内側通路筒体51の外周を流れる気流55aと、内周を流れる気流55bに分流される。その後、外周を流れる気流55aは、バイパス通路54を流れる気流55cと、旋回流生成部53を流れる気流55dに分流される。
【0033】
図6は、前記旋回流生成部53の一例を示す断面図である。気流速度を高められた気流55aは、切り起こし面部53aに衝突してその方向を径方向(接線方向)に曲げられて、開口部53bから下流に流出する。この際に、第1実施形態と同様な旋回流となり、この旋回流中に、燃料噴射装置3から、燃料とバイパス通路54を介して導入された気流55cとの混合気が旋回流の中心軸線に対して直交する方向に噴射供給される。なお、前記気流55aと55bとの比率は、燃料噴射弁4の噴射流量に応じて適宜設定される。
本実施形態の気化混合装置60においても、前記第1実施形態と略同様な作用効果が得られるが、特に、本実施形態は、気流の流量が多い場合に好適である。
【0034】
図7は、多気筒内燃機関の吸気系への具体的な適用例を示す模式図、図8は、その気筒の1つを示す断面図である。気化混合装置1は、内燃機関100の各気筒101の吸気ポート104に連設された分岐通路部(分岐管)111に組み込まれており、機関運転状態に応じた混合気をピストン103上方の燃焼室102に供給する。なお、図8中、符号105は吸気弁、符号106はシリンダブロック、符号107はシリンダヘッド、符号108は点火プラグ、符号109は排気弁、符号112は吸気の流れ、符号113は混合気の流れ、をそれぞれ示し、また、符号114は、気化混合装置1の制御にも利用される運転状態検出手段の一つである水温センサを示している。
【0035】
上記のように、気化混合装置1を、内燃機関100における各気筒101の吸気ポート104に連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)111に、組み込むことにより、気化混合装置1と燃焼室102とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0036】
図9は、前記気化混合装置1をディーゼル機関120の排気系に適用した例を示す図である。ディーゼル機関120にあっては、尿素水を加熱分解して得られる尿素分解ガス(アンモニアガス)を還元剤とする触媒123へ供給し、NOx排出量を低減することが検討されている。なお、前記気化混合装置1において、「吸気」及び「燃料」が名称の頭に付く部分は、構成は変わらないが、吸気は排ガスに、燃料は尿素水と読み替えるものとする。
【0037】
前記気化混合装置1は、排出されるパティキュレートを処理する触媒121とNOxを処理する触媒123との間に組み込まれており、尿素水タンク124から供給用ポンプ125にて圧送される尿素水を瞬時に噴霧化して気化することができる。気化用の熱源としては、排ガス122を利用できる。排ガス温度がひくいとき(150°C程度)には、ヒータ6を補助的に使用するようにされる。
【0038】
得られたアンモニアガスは、気化混合装置1により整流されて流出し、下流の還元触媒123に均一に吹き付けられてNOx成分が除去される。従来は、尿素水の直接加熱によりアンモニアガスを生成するとともに、長い排気管を通してガス流を整流していたが、本装置1を組み込んだことにより、尿素水を直接加熱する必要がなく、しかも、コンパクトなサイズで排ガス流の整流化、均一混合化が達成できる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の気化混合装置は、燃料の応答性、微粒化、気化、均一混合化等を向上させ得、また、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減でき、さらに、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができるとともに、内燃機関の排気系等にも搭載配備可能という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気化混合装置の第1実施形態を示す断面図。
【図2】図1の気化混合装置に使用される燃料噴射手段としての燃料噴射弁を示す断面図。
【図3】図2の燃料噴射弁の先端付近の拡大断面図。
【図4】図3の気化混合装置に使用される燃料噴射手段の他の例の先端部付近を示す拡大断面図。
【図5】本発明に係る気化混合装置の第2実施形態を示す断面図。
【図6】図5の気化混合装置に使用される旋回流生成部の一例を示す拡大断面図。
【図7】本発明の気化混合装置を多気筒内燃機関の吸気系への具体的な適用例を示す模式図。
【図8】図7の内燃機関の一つの気筒周辺を示す断面図。
【図9】本発明の気化混合装置をディーゼル機関の排気系に適用した例を示す図。
【符号の説明】
1…第1実施形態の気化混合装置、1A…吸気通路部、2…吸気制御装置、3…燃料噴射装置、4…燃料噴射弁、5…気化装置、5a…絞り部材、6…ヒータ、7…吸気バルブ、8…バイパス通路、9…導入通路、20…アトマイザ
【発明の属する技術分野】
本発明は、気化混合装置に係り、好ましくは、内燃機関の吸気系あるいは排気系に配在されて、燃料又は他の液体(排ガス浄化用の液体等)の微粒化、気化、均一混合化等を効果的に促進させることができるようにされた気化混合装置に関する。特に、燃料の壁面付着等を抑制して良質の混合気を生成すること、あるいは、排ガス中の有害物質であるHC(ハイドロカーボン)やNOxを効果的に低減すること等を主目的とする気化混合装置である。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の始動性向上や排ガス浄化、特にHCの排出量の低減手段としては、燃料噴射装置より噴射される燃料の微粒化促進と吸気通路部内壁面への燃料付着の低減が有効であるとされる。また、微粒化した噴霧により良質の混合気が形成され、効率的な燃焼が実現するので燃費向上が図られることが合わせて期待されている。しかしながら、特に始動時等の機関の冷機時においては、燃料の気化が進みにくいため、排ガス浄化性能が改善されないという課題がある。
【0003】
この種の課題を解決するための一つの技術として、吸気集合管に開口するバイパス通路の入口側に位置するアイドルスピードコントロール(ISC)バルブの下流に配設された燃料噴射バルブより噴射された燃料噴霧と、前記ISCバルブを通過した吸入空気に旋回を加えることで混合促進を図るとともに、この混合気を燃料噴射バルブの下流に配設したヒータに衝突させることにより気化させるようにした気化混合装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開2001−342932号公報(第1〜23頁、図1〜図8)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記提案の気化混合装置では、ヒータによって燃料の気化が促進され、また、燃焼室に至るまでの、ボリュームのある吸気集合管や曲がりを有する分岐管によって燃料と空気との混合が促進されるものの、次のような課題があった。すなわち、燃料の応答性(燃焼室に吸入されるまでの時間)、微粒化、気化、均一混合化等が必ずしも充分ではなく、また、ヒーターで使用する電気エネルギーが大きく、さらに、装置の小形軽量化や搭載性にも難があった。
また、前記提案の気化混合装置は、それが搭載配備可能なのは、内燃機関の吸気系に限られており、機関の排気系等に搭載配備することは不可能であった。
【0005】
本発明は、前記の如くの課題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、燃料の応答性、微粒化、気化、均一混合化等を向上させ得、また、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減でき、さらに、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができるとともに、内燃機関の排気系等にも搭載配備可能な気化混合装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る気化混合装置は、基本的には、気流通路部に導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段と、該気流制御手段によって制御される旋回気流の中心軸に直交ないし交差する方向に燃料又は他の液体を噴射する少なくとも1つの噴射手段と、該噴射手段の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化手段と、を備えて構成される。
【0007】
前記気流制御手段は、好ましくは、バルブ等の気流制御体と、該気流制御体の上流側と下流側とを連通させるバイパス通路と、を有する。
好ましい態様では、前記噴射手段には、前記バイパス通路を介して気流の一部が導入され、この導入された気流によって、前記噴射手段から噴射される燃料又は他の液体の微粒化、噴霧化が促進されるように構成される。
この場合、好ましくは、前記噴射手段への気流導入を、気流の温度に応じてON/OFFするようにされる。
【0008】
前記気化手段は、好ましくは、前記気流制御手段からの気流を絞る絞り部材を有し、該絞り部材が加熱可能とされる。
この場合、前記絞り部材は、好ましくは、先細り筒状とされ、より好ましくは、前記気化手段の絞り部材に、ヒーターが内蔵される。
さらに好ましくは、前記気化手段の加熱は、内燃機関の冷却水温等の運転状態に基づいて行われるようにされる。
【0009】
前記噴射手段は、好ましくは、外部からの電気信号により開閉せしめられる噴射弁、又は、供給される燃料又は他の液体の圧力に応じて開閉せしめられる噴射ノズルで構成される。
前記噴射手段の少なくとも1つは、好ましくは、噴射方向が前記気化手段とされるか、又は、噴射方向が可変とされる。
【0010】
本発明に係る気化混合装置は、好ましい態様では、内燃機関の吸気系に配在され、前記噴射手段からは燃料が噴射されるように構成される。
より好ましい態様では、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部に配在される。
他の好ましい態様では、内燃機関の排気系に配在され、前記噴射手段からは排ガス浄化用の液体が噴射されるように構成される。
より具体的な好ましい態様では、NOx処理用の触媒が配在された内燃機関の排気通路部における前記触媒の上流側に配在され、前記噴射手段からは尿素水が噴射されるように構成される。
他の別の好ましい態様では、前記気流制御手段、前記噴射手段、及び、前記気化手段は、一体化されて、内燃機関の吸気系又は排気系に組み込まれる。
【0011】
前記の如くの構成とされた本発明に係る気化混合装置においては、例えば、内燃機関の吸気系に配備された場合の好ましい態様について説明するに、気流通路部に導入された吸気(気流)は、気流制御手段により旋回力が付与されて、気流通路部の中心軸回りの旋回流となり、噴射手段は、燃料を前記旋回流(の中心軸)に対して直交する方向に噴射する。これにより、噴射燃料の微粒化、噴霧化が促進される。この場合、好ましい態様では、噴射手段にバイパス通路を介して気流の一部を導入し、この導入された気流を噴射燃料に衝突させることによって、燃料の微粒化、噴霧化を一層促進させる。
【0012】
そして、旋回中の気流とその中に噴射された燃料とで形成される混合気においては、微粒化、噴霧化されている燃料は、遠心力で外周側に多く集まることになり、この混合気は、その直下流に配在された気化手段の絞り部材に沿うように旋回しつつ絞られて整流される。ここで、その外周側に多く集まっている微粒化、噴霧化された燃料は、気化手段の絞り部材に衝突せしめられつつ中心軸方向に寄せられて気流中に均一に混合されるとともに、必要に応じて例えば絞り部材に内蔵されたヒータにより加熱される。これにより、燃料の気化が促進される。
このように本発明の気化混合装置では、燃料の微粒化、噴霧化、気化、均一混合化等を向上させ得る。
【0013】
また、前記気流制御手段、前記噴射手段、及び、前記気化手段は、一体化されて、内燃機関の吸気系又は排気系に組み込まれるので、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができる。特に、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)に組み込むことができるので、本装置と燃焼室とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0014】
以上により、燃費、燃焼性、始動性等が向上するとともに、燃料の応答性、微粒化、噴霧化、均一混合化が促進される結果、吸気(気流)温度が高い場合等には、それ自体で気化が促進されるので、ヒーター等で加熱しなくて済み、その結果、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減できる。
【0015】
さらに、前記噴射手段の少なくとも1つは、噴射方向が前記気化手段とされるか、又は、噴射方向が可変とされることにより、吸気温度が低いとき、つまり、燃料の気化がさほど促進されないとき、気化手段に向けて燃料を噴射して、そこで燃料を強制的に気化させるようにすることができ、これにより、寒冷時における始動性等が一層向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る気化混合装置の第1実施形態を示す断面図である。
図示の気化混合装置1は、導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段ととしての吸気制御装置2と、この吸気制御装置2によって制御される旋回気流中に燃料を噴射供給する燃料噴射装置3と、この燃料噴射装置3の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化装置5と、を備える。
【0017】
前記吸気制御装置2、前記噴射装置3、及び、前記気化装置5は、一体化されて、内燃機関の吸気系に組み込まれおり、吸気通路の一部(吸気通路部1A)を形成している。
前記吸気制御装置2は、気流制御体としての開閉可能な吸気バルブ7と、該吸気バルブ7の上流側と下流側とを連通させる複数本(例えば3本又は6本)のバイパス通路8と、を有する。前記バイパス通路8の出口(下流端)は、前記吸気通路部1Aの略接線方向に開口しており、吸気の旋回流(符号11の矢印)を生成するようになっている。
【0018】
前記燃料噴射装置3は、主要部品として、等角度間隔で放射状に配置された複数個(例えば3個又は6個)の燃料噴射弁4を有し、この燃料噴射弁4を取り囲むように同軸的にアトマイザ20が配設されている。また、前記燃料噴射弁4と前記アトマイザ20との間には、前記バイパス通路8から導入通路9を介して吸気が導入されるようになっている(後で詳述)。
【0019】
前記気化装置5は、前記吸気制御装置2からの気流を絞る、先細り筒状(漏斗状)の絞り部材5aを主要部とし、該絞り部材5a内の始端部(上流端部)付近に例えば電熱線式のヒータ6が内蔵されている。
なお、図1中、符号13は、組み込みを容易とするための接続部材を、符号10は吸気(気流)の流れ方向を、符号12は、混合気の流れ方向を、それぞれ示している。
【0020】
図2は、前記燃料噴射装置3の主要構成部品である燃料噴射弁4を示しており、その外周部には、シール材24及びOリング25を介してアトマイザ20が気密的に装着されている。このアトマイザ20は、小径部21の側面部に、前記導入通路9が接続される気流導入孔22が形成され、また、その先端部中央には気液噴射孔23が形成されていて、前記燃料噴射弁4の管状噴射ノズル4bと同軸的に配在されている。なお、符号4aは、電気信号を取り込むためのコネクタである。
【0021】
前記燃料噴射弁4は、外部からの電気信号により開閉駆動するようになっており、燃料の内部流動を工夫することにより、燃料の微粒化、噴霧化を促進する。例えば、燃料に旋回力を付与して噴射燃料を薄膜化して微細な液滴に分裂させる燃料スワールタイプや、弁先端部に複数個の微細孔を設けたノズルプレートを配置し、噴出する燃料の流速を高めることにより微粒化、噴霧化を促進する多孔タイプ等がある。
【0022】
本実施形態においては、前者の燃料スワールタイプが採用されており、その詳細を図3を参照しながら説明する。図3は、燃料噴射弁4の先端部付近を拡大して示したもので、気流27が小径部21の内周面と管状噴射ノズル4bとの間の隙間26から導入されて、管状噴射ノズル4bの先端の中心に向かって流れ、噴射燃料と衝突して、燃料の微粒化、噴霧化を促進するとともに、吸気と燃料との混合を促進し、気液噴射孔23から旋回気流中に噴射される。符号28は、霧状に微粒化された噴霧の模式図であり、平均粒径は10μm以下となっている。
【0023】
次に、本実施形態の気化混合装置1の動作及び作用効果を説明する。
吸気バルブ7が閉じているときは、バイパス通路8から気流が流れる。このとき、吸気バルブ7の下流に開口しているバイパス通路8の出口から吸気通路部1Aの略接線方向に気流が流出するため、旋回流れ11が生成される。一方、気流の一部は、バイパス通路8から導入通路9を介して、アトマイザ20の小径部21の内周面と燃料噴射弁4の管状噴射ノズル4bとの間の隙間26にも導入され、燃料の微粒化、噴霧化、が促進される。
【0024】
そして、旋回中の気流とその中に噴射された燃料とで形成される混合気においては、微粒化、噴霧化されている燃料は、遠心力で外周側に多く集まることになり、この混合気は、その直下流に配在された気化装置5の絞り部材5aに沿うように旋回しつつ絞られて整流される。ここで、その外周側に多く集まっている微粒化、噴霧化された燃料は、気化装置5の絞り部材5aに衝突せしめられつつ中心軸方向に寄せられて気流中に均一に混合されるとともに、必要に応じて絞り部材5aに内蔵されたヒータ6により加熱される。これにより、燃料の気化が促進される。
このように本実施形態の気化混合装置1では、燃料の微粒化、噴霧化、気化、均一混合化等を向上させ得る。
【0025】
また、前記吸気制御装置2、前記燃料噴射装置3、及び、前記気化装置5は、一体化されて、内燃機関の吸気系に組み込まれるので、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができる。特に、内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)に組み込むことができるので、本装置と燃焼室とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0026】
以上により、燃費、燃焼性、始動性等が向上するとともに、燃料の応答性、微粒化、噴霧化、均一混合化が促進される結果、吸気(気流)温度が高い場合等には、それ自体で気化が促進されるので、ヒーター等で加熱しなくて済み、その結果、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減できる。
【0027】
また、前記噴射手段の少なくとも1つを、噴射方向が前記気化装置5とされるか、又は、噴射方向が可変とされることにより、吸気温度が低いとき、つまり、燃料の気化がさほど促進されないとき、気化装置5に向けて燃料を噴射して、そこで燃料を強制的に気化させるようにすることができ、これにより、寒冷時における始動性等が一層向上する。
【0028】
なお、吸気温度が高いときには、それ自体により気化が促進されるので、前記パイパス通路8を閉じるようにして、旋回流を生成しないようにすることもできる。例えば、図1において符号70で示されるように、バイパス通路8に電磁弁70等を介装して、機関の吸気温や冷却水温等の運転状態に応じて、前記電磁弁70をON/OFF(開閉)制御するようにしてもよい。同様に、前記ヒータ6による加熱(通電)も、機関の吸気温や冷却水温等の運転状態に応じて、ON/OFF制御するようにしてもよい。
【0029】
図4は、燃料噴射手段の他の例の先端部付近を示す拡大断面図である。図示の燃料噴射手段は、燃料の圧力に応じて開閉する、いわゆる自動弁と呼ばれる燃料噴射ノズル30を示している。弁体31は、燃料に旋回力を付与する複数本の旋回通路32が形成されており、スプリング33により弁座41に押し付けられる。なお、図では、上方にスプリング力が作用している。所定以上の燃料圧力が加わると、スプリング力に抗して弁体31が押し下げられて、噴射口42が開かれ、図のように、アトマイザ34内に導入された気流(矢印36a、36b)が噴射薄膜燃料37に衝突して、気液噴射孔35から旋回気流中に噴射供給され、前記実施形態と同様に、燃料の微粒化、噴霧化が促進される。この例でも、平均粒径は、10μm以下となる。この種の燃料噴射ノズル30は、耐熱的に優れており、気流の温度が150°〜500°程度の排気系に搭載配備するのが好適である。
なお、符号38は、霧状に微粒化された噴霧の模式図、符号39は、上方より導入される燃料の流れを示している。
【0030】
図5は、本発明に係る気化混合装置の第2実施形態を示す断面図である。
本実施形態の気化混合装置60は、第1実施形態の気化混合装置1と異なるのは、主として吸気制御装置50の構成であり、以下においては、第1実施形態の気化混合装置1と同一機能部分には同一に符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態の気化混合装置60では、気流速度を高めた部位の動圧を利用して燃料噴射装置3への気流導入を行うものである。吸気制御装置50は、前記吸気通路部1Aの内部に同軸的に配在された先太り筒状(椀形)の内側通路筒体51と、該内側通路筒体51より下流側に配在された燃料噴射弁4とアトマイザ20との間に、前記内側通路筒体51(の下流端)より上流側から気流(吸気)を導くバイパス通路54と、を有する。
【0032】
前記内側通路筒体51には、上流端に中央開口52が形成されるとともに、
下流端外周に、気流に旋回力を付与するための旋回流生成部53が形成されている。吸気通路部1Aに導入された気流55は、吸気制御装置50内で内側通路筒体51の外周を流れる気流55aと、内周を流れる気流55bに分流される。その後、外周を流れる気流55aは、バイパス通路54を流れる気流55cと、旋回流生成部53を流れる気流55dに分流される。
【0033】
図6は、前記旋回流生成部53の一例を示す断面図である。気流速度を高められた気流55aは、切り起こし面部53aに衝突してその方向を径方向(接線方向)に曲げられて、開口部53bから下流に流出する。この際に、第1実施形態と同様な旋回流となり、この旋回流中に、燃料噴射装置3から、燃料とバイパス通路54を介して導入された気流55cとの混合気が旋回流の中心軸線に対して直交する方向に噴射供給される。なお、前記気流55aと55bとの比率は、燃料噴射弁4の噴射流量に応じて適宜設定される。
本実施形態の気化混合装置60においても、前記第1実施形態と略同様な作用効果が得られるが、特に、本実施形態は、気流の流量が多い場合に好適である。
【0034】
図7は、多気筒内燃機関の吸気系への具体的な適用例を示す模式図、図8は、その気筒の1つを示す断面図である。気化混合装置1は、内燃機関100の各気筒101の吸気ポート104に連設された分岐通路部(分岐管)111に組み込まれており、機関運転状態に応じた混合気をピストン103上方の燃焼室102に供給する。なお、図8中、符号105は吸気弁、符号106はシリンダブロック、符号107はシリンダヘッド、符号108は点火プラグ、符号109は排気弁、符号112は吸気の流れ、符号113は混合気の流れ、をそれぞれ示し、また、符号114は、気化混合装置1の制御にも利用される運転状態検出手段の一つである水温センサを示している。
【0035】
上記のように、気化混合装置1を、内燃機関100における各気筒101の吸気ポート104に連設された分岐吸気通路部(吸気集合管より下流の分岐管)111に、組み込むことにより、気化混合装置1と燃焼室102とが近くなり、燃料の応答性が向上するとともに、燃料の壁面付着が低減される。
【0036】
図9は、前記気化混合装置1をディーゼル機関120の排気系に適用した例を示す図である。ディーゼル機関120にあっては、尿素水を加熱分解して得られる尿素分解ガス(アンモニアガス)を還元剤とする触媒123へ供給し、NOx排出量を低減することが検討されている。なお、前記気化混合装置1において、「吸気」及び「燃料」が名称の頭に付く部分は、構成は変わらないが、吸気は排ガスに、燃料は尿素水と読み替えるものとする。
【0037】
前記気化混合装置1は、排出されるパティキュレートを処理する触媒121とNOxを処理する触媒123との間に組み込まれており、尿素水タンク124から供給用ポンプ125にて圧送される尿素水を瞬時に噴霧化して気化することができる。気化用の熱源としては、排ガス122を利用できる。排ガス温度がひくいとき(150°C程度)には、ヒータ6を補助的に使用するようにされる。
【0038】
得られたアンモニアガスは、気化混合装置1により整流されて流出し、下流の還元触媒123に均一に吹き付けられてNOx成分が除去される。従来は、尿素水の直接加熱によりアンモニアガスを生成するとともに、長い排気管を通してガス流を整流していたが、本装置1を組み込んだことにより、尿素水を直接加熱する必要がなく、しかも、コンパクトなサイズで排ガス流の整流化、均一混合化が達成できる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明の気化混合装置は、燃料の応答性、微粒化、気化、均一混合化等を向上させ得、また、燃料の気化に必要とされる電気エネルギーを可及的に低減でき、さらに、装置の小形軽量化や搭載性の向上を図ることができるとともに、内燃機関の排気系等にも搭載配備可能という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気化混合装置の第1実施形態を示す断面図。
【図2】図1の気化混合装置に使用される燃料噴射手段としての燃料噴射弁を示す断面図。
【図3】図2の燃料噴射弁の先端付近の拡大断面図。
【図4】図3の気化混合装置に使用される燃料噴射手段の他の例の先端部付近を示す拡大断面図。
【図5】本発明に係る気化混合装置の第2実施形態を示す断面図。
【図6】図5の気化混合装置に使用される旋回流生成部の一例を示す拡大断面図。
【図7】本発明の気化混合装置を多気筒内燃機関の吸気系への具体的な適用例を示す模式図。
【図8】図7の内燃機関の一つの気筒周辺を示す断面図。
【図9】本発明の気化混合装置をディーゼル機関の排気系に適用した例を示す図。
【符号の説明】
1…第1実施形態の気化混合装置、1A…吸気通路部、2…吸気制御装置、3…燃料噴射装置、4…燃料噴射弁、5…気化装置、5a…絞り部材、6…ヒータ、7…吸気バルブ、8…バイパス通路、9…導入通路、20…アトマイザ
Claims (15)
- 気流通路部に導入された気流に旋回力を付与する気流制御手段と、該気流制御手段によって制御される旋回気流の中心軸に直交ないし交差する方向に燃料又は他の液体を噴射する少なくとも1つの噴射手段と、該噴射手段の下流に配置され、気流を絞るとともに加熱することが可能な気化手段と、を備えて構成された気化混合装置。
- 前記気流制御手段は、バルブ等の気流制御体と、該気流制御体の上流側と下流側とを連通させるバイパス通路と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の気化混合装置。
- 前記噴射手段に、前記バイパス通路を介して気流の一部が導入され、この導入された気流によって、前記噴射手段から噴射される燃料又は他の液体の微粒化、噴霧化が促進されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の気化混合装置。
- 前記噴射手段への気流導入を、気流の温度に応じてON/OFFするようにされていることを特徴とする請求項3に記載の気化混合装置。
- 前記気化手段は、前記気流制御手段からの気流を絞る絞り部材を有し、該絞り部材が加熱可能とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の気化混合装置。
- 前記絞り部材は、先細り筒状とされていることを特徴とする請求項5に記載の気化混合装置。
- 前記気化手段の絞り部材に、ヒーターが内蔵されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の気化混合装置。
- 前記気化手段の加熱は、内燃機関の冷却水温等の運転状態に基づいて行われるようにされていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の気化混合装置。
- 前記噴射手段は、外部からの電気信号により開閉せしめられる噴射弁、又は、供給される燃料又は他の液体の圧力に応じて開閉せしめられる噴射ノズルで構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の気化混合装置。
- 前記噴射手段の少なくとも1つは、噴射方向が前記気化手段とされるか、又は、噴射方向が可変とされていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の気化混合装置。
- 内燃機関の吸気系に配在され、前記噴射手段からは燃料が噴射されるように構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の気化混合装置。
- 内燃機関における各気筒の吸気ポートに連設された分岐吸気通路部に配在されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の気化混合装置。
- 内燃機関の排気系に配在され、前記噴射手段からは排ガス浄化用の液体が噴射されるように構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の気化混合装置。
- NOx処理用の触媒が配在された内燃機関の排気通路部における前記触媒の上流側に配在され、前記噴射手段からは尿素水が噴射されるように構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の気化混合装置。
- 前記気流制御手段、前記噴射手段、及び、前記気化手段は、一体化されて、内燃機関の吸気系又は排気系に組み込まれていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の気化混合装置。
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