JP4662887B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
このうち、NOXを還元して排出ガスを浄化するために、NOX吸蔵還元触媒やNOX選択還元触媒等のNOX触媒が用いられている。NOX吸蔵還元触媒は、排気空燃比がリーンの時に排出ガス中のNOXを一旦吸蔵し、排気空燃比がリッチの時に、排出ガス中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等によってNOXを分解放出して還元浄化する触媒である。また、NOX選択還元触媒は、尿素やHCを還元剤として触媒上でNOXを選択的に還元浄化する触媒である。これらのNOX触媒を用いてNOXを還元浄化するにあたり、排気空燃比をリッチにしたり、排出ガス中にHCを混合したりするために、NOX触媒の上流側で排気管内に燃料を噴射する方法がある。
また、特許文献2に開示された排気浄化装置に用いられたスワールノズルは、チェックボールのシート面がノズル先端部よりも奥まった位置にあり、排出ガスがノズル内部まで侵入するおそれがある。したがって、排気熱やすす等の異物がノズル内部に入り込み、排気熱によるノズルの焼損や、異物の堆積による噴射特性の不安定化、噴射孔の目詰まり等を生じるおそれがある。
すなわち、本発明の目的は、燃料噴射弁内部にすす等の異物や排気熱が侵入し、燃料噴射弁の焼損や燃料噴射の不安定化を防止することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することである。
さらに、噴射弁が所定構造からなることにより、燃料を中空傘状に噴霧させることができるようになり、排気管内へ燃料を均一に分散させて混合させることができるという効果を得ることもできる。
その上、燃料噴射弁を排気管の屈曲部に配設することにより、排出ガスの進行方向に向けた燃料噴射が可能になり、排出ガス中に均一に分散させて混合させやすくなる。
かかる排気浄化装置において、燃料噴射装置が、燃料を排気管内に噴射する燃料噴射弁を備えており、燃料噴射弁は、一端側につば部を有するとともに他端側にスプリング受け部を有する弁体と、当該弁体のつば部がシートされるシート面を燃料の噴射方向側に有するバルブシート部と、スプリング受け部及びバルブシート部に挟持され、弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、を備え、燃料噴射弁の先端部にバルブシート部のシート面を配置するとともに、バルブシート部を排気管内に面するように配置し、かつ、排気管に屈曲部を形成して燃料噴射弁を屈曲部に配置するとともに、燃料噴射弁の噴射方向を、排気管内の排気ガスの進行方向に向けて設定したことを特徴とする。
以下、本実施形態にかかる排気浄化装置の構成について、図1〜図7に基づいて具体的に説明する。
本実施形態にかかる排気浄化装置を図1に示す。この図1に示す排気浄化装置1において、排出ガスGを排出する内燃機関5としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが典型的であるが、現状においてNOXやPMの浄化が課題とされているディーゼルエンジンを対象とすることがより適している。また、本実施形態の排気浄化装置1は、内燃機関5の回転数や、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を検出する内燃機関の運転状態検出手段7を備えており、検出結果を考慮して、NOX濃度やPM量を推定したり、排気管内への燃料噴射量を制御したりできるように構成されている。
排気浄化部材13は、NOX触媒やパティキュレートフィルタが典型的である。
本発明の排気浄化装置に用いられるNOX触媒は、燃料噴射装置30によって供給される燃料を還元剤として利用し、排出ガス中に含まれるNOXを還元浄化するための触媒である。使用できるNOX触媒は特に制限されるものではなく、公知のもの、例えば、多孔質担体上に、活性成分としてのストロンチウム又はバリウム、及びマグネシウム等のアルカリ土類金属や、セリウムとランタン等の希土類金属、白金とロジウム等の貴金属等を含むものを用いることができる。
(1)全体構成
燃料噴射装置20は、排気浄化部材13の上流側で、排気管11内に燃料を噴射するための装置である。
本実施形態の排気浄化装置1に備えられる燃料噴射装置20の一例を図2に示す。この燃料噴射装置20は、燃料供給部30と、噴射燃料調量部40と、燃料噴射部50とから構成されている。
燃料供給部30は、燃料タンク31と、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて圧送するフィードポンプ33と、圧送する燃料圧力を調整する調圧弁35とを備えている。
また、噴射燃料調量部40は、燃料供給部30から圧送されてくる燃料を調量して燃料噴射部50に移送する調量弁41と、調量弁41の上流側及び下流側に配置された圧力センサ43、45と、調量弁41の上流側に配置された燃料遮断弁47とを備えている。
さらに、燃料噴射部50は、噴射燃料調量部40から移送されてくる燃料を排気管内に噴射するための燃料噴射弁51と、燃料噴射弁51を排気熱から保護するための冷却部材53としてのクーリングアダプタ53Aとを備えている。
燃料供給部30における燃料タンク31は、排気管内に噴射する燃料を貯蔵しておくための専用のタンクを用いることもできるが、部品点数を増やすことなく省スペース化を図れることから、内燃機関燃焼用の燃料タンクと兼用することが好ましい。
また、フィードポンプ33は特に制限されるものではなく、機械式ポンプや電動ポンプを用いることができる。特に、電動ポンプを用いた場合には、燃料漏れ等の危険状態が生じた場合に一連の燃料流路の最上流で速やかに圧送を中止できるため、安全性が高められる一方、機械式ポンプを用いた場合には、運転時の消費エネルギーを小さくすることができる。
さらに、調圧弁35は、例えば、逆止弁構造の弁を用いて構成することができる。このような調圧弁であれば、燃料流路内の圧力が所定値を超える場合に弁が開放され、一部の燃料が燃料タンク内に戻されるため、圧送する燃料圧力を所定値に維持することができる。
噴射燃料調量部40における調量弁41としては、例えば、電磁ON/OFF弁を用いることができる。この電磁ON/OFF弁によって、NOX触媒において還元するNOX量や、パティキュレートフィルタに堆積したPM量に応じて必要とされる燃料噴射量をもとに、弁を開閉する通電時間を制御(PWM制御)して、燃料流量を制御することができる。
ただし、このような電磁ON/OFF弁以外にも、燃料流量を調整できるものであれば、それ以外の弁や、さらに弁以外のものを用いることもできる。
また、燃料遮断弁47は、例えば、圧力センサ43、45によって検知される圧力値が低下し燃料漏れのおそれが検知された場合に、燃料の供給を遮断して燃料の漏れ量を少なく抑えたり、引火を防いだりするために備えられる。ただし、上述したとおり、フィードポンプとして電動ポンプを用いる場合には、電源の供給をストップすることにより燃料の供給を遮断できることから、この燃料遮断弁を省略することができる。
本実施形態の排気浄化装置における燃料噴射部を図3及び図4に示す。図3(a)は、燃料噴射部50が排気管11に取り付けられた状態を示しており、図3(b)は、その断面図である。また、図4は、燃料噴射部50をそれぞれの部材ごとに分けて示した図である。
この図3及び図4に示す燃料噴射部50は、噴射燃料調量部から移送された燃料を排気管内に噴射するための燃料噴射弁51が、冷却部材53としてのクーリングアダプタ53Aに装着されるとともに、当該クーリングアダプタ53Aが排気管11に取り付けられ固定されている。この燃料噴射弁51と冷却部材としてのクーリングアダプタ53Aとは、ネジ面59で接触し固定されている。
また、クーリングアダプタ53Aと排気管11の間には、クーリングアダプタ53A及び燃料噴射弁51に排気熱が及びにくくするための遮熱カバー(カバー部材)55を備えている。さらに、遮熱カバー55を両側から挟み込むように、クーリングアダプタ53Aに対して排気管11の熱が直接的に伝達されないようにするための低伝熱性のガスケット57A、57Bを備えている。
このような機械式の弁構造であれば、構成部材を、耐熱性の高い材料を用いて形成することができ、排気熱に対する高耐久性を発揮させることができる。一方、比較的熱に弱い噴射燃料調量部を排気管から離間して配置することができるため、調量部の焼損を防ぐことができるとともに、熱変形等による動作不良を防止することができる。
なお、図5に示す燃料噴射弁51では、弁体71のスプリング受け部71bとして、弁体71にスプリングシート77が固定されている。
特に、燃料噴射弁51の先端部に位置するシート面73aを、排気管11の内周面と実質的に一致させて配置した場合には、上述したように排気熱や異物の侵入を防ぐことができるとともに、さらに、排気熱によって燃料噴射弁51が熱せられることを防止することができる。したがって、排気熱によって燃料噴射弁51の構成部材が変形したり、燃料噴射弁51内部で燃料が劣化したり炭化したりすることを防ぐことができるとともに、排出ガス中に含まれる異物によって噴射孔が詰まったりすることを防ぐことができる。
特に、図6(a)〜(c)に示すように、燃料噴射弁51における弁体71の最大リフト量を制限することなく、自励的にリフト変動させた場合には、燃料が噴射される際に、燃料の噴射圧力と、スプリング75の付勢力とによって弁体71が細かく振動するチャタリング効果を得ることができる。したがって、噴射される燃料80の油膜厚さが変動し、燃料80の微粒化をさらに促進させることができる。そのため、排出ガス中により均一に分散しやすくなり、排気浄化効率等をさらに向上させることができる。
なお、図7(a)は、クーリングアダプタ53Aを排気管に取り付けられる側から見た斜視図であり、図7(b)は、クーリングアダプタ53Aを燃料噴射弁の挿入側から見た斜視図である。また、図8(a)は、クーリングアダプタ53Aを冷却水の給水口及び排出口が存在する側から見た側面図であり、図8(b)は、図8(a)のクーリングアダプタ53Aを燃料噴射弁の挿入孔の軸線に沿って切断した断面図であり、図8(c)は、図8(a)中のAA断面を矢印方向に見た断面図であり、図8(d)は、図8(a)中のBB断面を矢印方向に見た断面図である。
なお、クーリングアダプタ中を循環させる冷却水は、ラジエータ水を併用してもよく、あるいは、専用の冷却水を使用しても構わない。
この遮熱カバー55は、間隙を形成するための所定の深さを有する凹部55aを有しているとともに、燃料噴射弁51の先端を排気管内に望ませる開口55bと、排気管取り付け用のボルト69が挿入されるボルト穴55cが設けられている。
また、遮熱カバー55の構成材料に関し、本実施形態のように、遮熱カバー55と排気管11との間、及び遮熱カバー55とクーリングアダプタ53Aとの間に低伝熱性のガスケット57A、57Bを備える場合には、遮熱カバー55の構成材料は特に制限されるものではない。ただし、上記ガスケット57A、57B等の遮熱対策を施さない場合には、セラミック等の低伝熱性の材料を用いて構成することが好ましい。
この低伝熱性のガスケットは、図4に示すように、遮熱カバー55に設けられた凹部55aの外周とほぼ等しい大きさの開口57Aa、57Baと、排気管取り付け用のボルト69が挿入されるボルト穴57Ab、57Bbが設けられている。また、このガスケットは、ガスケットの伝熱性を低く抑えるべく、セラミック材料や、メタルビーズを用いて形成されている。
なお、「低伝熱性のガスケット」とは、少なくとも冷却部材の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するガスケットを意味し、例えば、鉄からなる冷却部材に対して、セラミック材料やメタルビーズ等を用いて構成したガスケットが該当する。
したがって、上述したとおり、燃料噴射弁の先端が排出ガスに晒されることがない一方で、排出ガスが燃料噴射弁先端付近に滞留することがなく、燃料噴射弁の先端に排気熱の影響を及びにくくすることができる。
なお、図3のクーリングアダプタでは、給水口及び排水口を同一の面側に配置しているが、このような構成に限られるものではなく、互いに反対の面側に配置してもよく、さらに、給水口又は排水口を任意の面に複数設けることもできる。
Claims (4)
- 内燃機関の排気管内に配置され、前記内燃機関から排出される排出ガスを浄化するための排気浄化部材と、前記排気浄化部材の上流側で前記排気管内に燃料を噴射するための燃料噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記燃料噴射装置は、前記燃料を前記排気管内に噴射する燃料噴射弁を備えており、
前記燃料噴射弁は、一端側につば部を有するとともに他端側にスプリング受け部を有する弁体と、当該弁体のつば部がシートされるシート面を前記燃料の噴射方向側に有するバルブシート部と、前記スプリング受け部及び前記バルブシート部に挟持され、前記弁体を閉弁方向に付勢するスプリングと、を備え、
前記燃料噴射弁の先端部に前記バルブシート部のシート面を配置するとともに、前記バルブシート部を前記排気管内に面するように配置し、かつ、
前記排気管に屈曲部を形成して前記燃料噴射弁を前記屈曲部に配置するとともに、前記燃料噴射弁の噴射方向を、前記排気管内の排気ガスの進行方向に向けて設定したことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記シート面を前記排気管の内周面と一致させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁から噴射する燃料噴射量を調整する調量部が、燃料パイプを介して前記燃料噴射弁と接続されており、前記調量部を、前記排気管から離間して配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁は、前記排気管に固定され、冷却水の循環路を有する冷却部材の挿入孔に装着されており、前記燃料噴射弁の外周面の少なくとも一部と、前記冷却部材の前記挿入孔の内周面の少なくとも一部と、の接触部によってガスシール部を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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