JP4662886B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
このうち、NOXを還元して排出ガスを浄化するために、NOX吸蔵還元触媒やNOX選択還元触媒等のNOX触媒が用いられている。NOX吸蔵還元触媒は、排気空燃比がリーンの時に排出ガス中のNOXを一旦吸蔵し、排気空燃比がリッチの時に、排出ガス中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等によってNOXを分解放出して還元浄化する触媒である。また、NOX選択還元触媒は、尿素やHCを還元剤として触媒上でNOXを選択的に還元浄化する触媒である。これらのNOX触媒を用いてNOXを還元浄化するにあたり、排気空燃比をリッチにしたり、排出ガス中にHCを混合したりするために、NOX触媒の上流側で排気管内に燃料を噴射する方法がある。
そのため、排気管の途中に装備したインジェクタを効率良く冷却して、インジェクタの焼損や添加燃料の流路内での焼付きを回避し得るようにした排気浄化装置が提案されている。より具体的には、図9に示すように、排気浄化用触媒を排気管409の途中に装備し、当該排気管409の排気浄化用触媒より上流に排出ガス408中に燃料を添加するインジェクタ411を配設するとともに、当該インジェクタ411の周囲に略同心円状に筒形のウォータージャケット414を形成し、当該ウォータージャケット414におけるインジェクタ411の先端側に接線方向から冷却水を導入する給水口415を設け、インジェクタ411の基端側から接線方向に冷却水を排出する給水口416を設けた排気浄化装置である(特許文献1参照)。
また、特許文献2に開示された排気浄化装置は、冷却水を冷却パイプ及び循環部を通過させ、ノズルカバーの円盤部及び円筒部を介してインジェクタのノズルを冷却する構成であるため、やはり、冷却水による冷却効率が低いという問題がある。
すなわち、本発明の目的は、燃料噴射弁に及ぶ排出ガス温度の影響を小さくするとともに、燃料噴射弁の冷却効率の向上を図ることができる内燃機関の排気浄化装置を提供することである。
なお、本明細書において、「低伝熱性のガスケット」とは、少なくとも冷却部材の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するガスケットを意味し、例えば、鉄からなる冷却部材に対して、セラミック材料やメタルビーズ等を用いて構成したガスケットが該当する。
さらに、冷却部材と燃料噴射弁とを面接触状態で固定していることにより、冷却部材と燃料噴射弁との接触面積を大きくして、燃料噴射弁の冷却効率を向上させることができる。
その上、燃料噴射弁と冷却部材とをネジ止めにより固定することにより、接触面積をより大きく確保して、放熱効率をより高くすることができる。
したがって、排出ガス温度によって燃料噴射弁が焼損したり、燃料噴射弁内において燃料が焼き付いて、噴射特性が不安定になったりすることを防止して、排気浄化装置の信頼性を向上させることができる。
かかる排気浄化装置において、燃料噴射装置が、燃料を排気管内に噴射する燃料噴射弁と、排気管に固定され、燃料噴射弁が装着されるとともに当該燃料噴射弁を冷却するための冷却水の循環路が設けられた冷却部材と、を備え、冷却部材は、両端が開口した挿入孔と、当該挿入孔の外側に形成されたドーナツ状の空隙部と、当該空隙部に連通し、挿入孔に沿って形成され、冷却水の給水口と連なる冷却水通路と、空隙部に連通し、挿入孔に沿って形成され、冷却水の排水口と連なる冷却水通路と、を有しており、冷却部材の挿入孔に、燃料噴射弁を挿入し、固定することにより、燃料噴射弁の外周面と挿入孔の内周面とを面接触させてあり、かつ、燃料噴射弁の外周面及び挿入孔の内周面にネジ溝が形成され、燃料噴射弁と冷却部材とをネジ止めにより固定してあることを特徴とする。
以下、本実施形態にかかる排気浄化装置の構成について、図1〜図7に基づいて具体的に説明する。
本実施形態にかかる排気浄化装置を図1に示す。この図1に示す排気浄化装置1において、排出ガスGを排出する内燃機関5としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンが典型的であるが、現状においてNOXやPMの浄化が課題とされているディーゼルエンジンを対象とすることがより適している。また、本実施形態の排気浄化装置1は、内燃機関5の回転数や、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を検出する内燃機関の運転状態検出手段7を備えており、検出結果を考慮して、NOX濃度やPM量を推定したり、排気管内への燃料噴射量を制御したりできるように構成されている。
ただし、燃料噴射装置20の配置位置は当該屈曲部14に制限されるものではない。
排気浄化部材13は、NOX触媒やパティキュレートフィルタが典型的である。
本発明の排気浄化装置に用いられるNOX触媒は、燃料噴射装置30によって供給される燃料を還元剤として利用し、排出ガス中に含まれるNOXを還元浄化するための触媒である。使用できるNOX触媒は特に制限されるものではなく、公知のもの、例えば、多孔質担体上に、活性成分としてのストロンチウム又はバリウム、及びマグネシウム等のアルカリ土類金属や、セリウムとランタン等の希土類金属、白金とロジウム等の貴金属等を含むものを用いることができる。
(1)全体構成
燃料噴射装置20は、排気浄化部材13の上流側で、排気管11内に燃料を噴射するための装置である。
本実施形態の排気浄化装置1に備えられる燃料噴射装置20の一例を図2に示す。この燃料噴射装置20は、燃料供給部30と、噴射燃料調量部40と、燃料噴射部50とから構成されている。
燃料供給部30は、燃料タンク31と、燃料タンク31内の燃料を汲み上げて圧送するフィードポンプ33と、圧送する燃料圧力を調整する調圧弁35とを備えている。
また、噴射燃料調量部40は、燃料供給部30から圧送されてくる燃料を調量して燃料噴射部50に移送する調量弁41と、調量弁41の上流側及び下流側に配置された圧力センサ43、45と、調量弁41の上流側に配置された燃料遮断弁47とを備えている。
さらに、燃料噴射部50は、噴射燃料調量部40から移送されてくる燃料を排気管内に噴射するための燃料噴射弁51と、燃料噴射弁51を排気熱から保護するための冷却部材53としてのクーリングアダプタ53Aとを備えている。
燃料供給部30における燃料タンク31は、排気管内に噴射するための燃料を貯蔵しておくための専用のタンクを用いることもできるが、部品点数を増やすことなく省スペース化を図れることから、内燃機関燃焼用の燃料タンクと兼用することが好ましい。
また、フィードポンプ33は特に制限されるものではなく、機械式ポンプや電動ポンプを用いることができる。特に、電動ポンプを用いた場合には、燃料漏れ等の危険状態が生じた場合に一連の燃料流路の最上流で速やかに圧送を中止できるため、安全性が高められる一方、機械式ポンプを用いた場合には、運転時の消費エネルギーを小さくすることができる。
さらに、調圧弁35は、例えば、逆止弁構造の弁を用いて構成することができる。このような調圧弁であれば、燃料流路内の圧力が所定値を超える場合に弁が開放され、一部の燃料が燃料タンク内に戻されるため、圧送する燃料圧力を所定値に維持することができる。
噴射燃料調量部40における調量弁41としては、例えば、電磁ON/OFF弁を用いることができる。この電磁ON/OFF弁によって、NOX触媒において還元するNOX量や、パティキュレートフィルタに堆積したPM量に応じて必要とされる燃料噴射量をもとに、弁を開閉する通電時間を制御(PWM制御)して、燃料流量を制御することができる。
ただし、このような電磁ON/OFF弁以外にも、燃料流量を調整できるものであれば、それ以外の弁や、さらに弁以外のものを用いることもできる。
また、燃料遮断弁47は、例えば、圧力センサ43、45によって検知される圧力値が低下し燃料漏れのおそれが検知された場合に、燃料の供給を遮断して燃料の漏れ量を少なく抑えたり、引火を防いだりするために備えられる。ただし、上述したとおり、フィードポンプとして電動ポンプを用いる場合には、電源の供給をストップすることにより燃料の供給を遮断できることから、この燃料遮断弁を省略することができる。
本実施形態の排気浄化装置における燃料噴射部を図3及び図4に示す。図3(a)は、燃料噴射部50が排気管11に取り付けられた状態を示しており、図3(b)は、その断面図である。また、図4は、燃料噴射部50をそれぞれの部材ごとに分けて示した図である。
この図3及び図4に示す燃料噴射部50は、噴射燃料調量部から移送された燃料を排気管内に噴射するための燃料噴射弁51が、冷却部材53としてのクーリングアダプタ53Aに装着されるとともに、当該クーリングアダプタ53Aが排気管11に取り付けられ固定されている。また、クーリングアダプタ53Aと排気管11の間には、クーリングアダプタ53A及び燃料噴射弁51に排気熱が及びにくくするための遮熱カバー(カバー部材)55を備えている。さらに、遮熱カバー55を両側から挟み込むように、クーリングアダプタ53Aに対して排気管11の熱が直接的に伝達されないようにするための低伝熱性のガスケット57A、57Bを備えている。特に、本実施形態の排気浄化装置は、燃料噴射部における、燃料噴射弁51が冷却部材としてのクーリングアダプタ53Aの挿入孔53aに挿入され、面接触状態で固定されている。
なお、図5に示す燃料噴射弁51では、弁体71のスプリング受け部71bとして、弁体71にスプリングシート77が固定されている。
ただし、本発明において、冷却部材に挿入する弁は、機械式の燃料噴射弁に限定されるものではなく、エンジン燃焼用と同種の電磁制御部を備えたインジェクタを用いる場合においても、本発明を実施することにより、従来と比較して冷却効率を上昇させることができるという効果を得ることができる。
なお、図6(a)は、クーリングアダプタ53Aを排気管に取り付けられる側から見た斜視図であり、図6(b)は、クーリングアダプタ53Aを燃料噴射弁の挿入側から見た斜視図である。また、図7(a)は、クーリングアダプタ53Aを冷却水の給水口及び排出口が存在する側から見た側面図であり、図7(b)は、図7(a)のクーリングアダプタ53Aを燃料噴射弁の挿入孔の軸線に沿って切断した断面図であり、図7(c)は、図7(a)中のAA断面を矢印方向に見た断面図であり、図7(d)は、図7(a)中のBB断面を矢印方向に見た断面図である。
なお、クーリングアダプタ中を循環させる冷却水は、ラジエータ水を併用してもよく、あるいは、専用の冷却水を使用しても構わない。
この遮熱カバー55は、間隙を形成するための所定の深さを有する凹部55aを有しているとともに、燃料噴射弁51の先端を排気管内に望ませる開口55bと、排気管取り付け用のボルト69が挿入されるボルト穴55cが設けられている。
また、遮熱カバー55の構成材料に関し、本実施形態のように、遮熱カバー55と排気管11との間、及び遮熱カバー55とクーリングアダプタ53Aとの間に低伝熱性のガスケット57A、57Bを備える場合には、遮熱カバー55の構成材料は特に制限されるものではない。ただし、上記ガスケット57A、57B等の遮熱対策を施さない場合には、セラミック等の低伝熱性の材料を用いて構成することが好ましい。
この低伝熱性のガスケットは、図4に示すように、遮熱カバー55に設けられた凹部55aの外周とほぼ等しい大きさの開口57Aa、57Baと、排気管取り付け用のボルト69が挿入されるボルト穴57Ab、57Bbが設けられている。また、このガスケットは、ガスケットの伝熱性を低く抑えるべく、セラミック材料や、メタルビーズを用いて形成されている。
なお、「低伝熱性のガスケット」とは、少なくとも冷却部材の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するガスケットを意味し、例えば、鉄からなる冷却部材に対して、セラミック材料やメタルビーズ等を用いて構成したガスケットが該当する。
特に、本実施形態に用いられる燃料噴射部50では、燃料噴射弁51におけるクーリングアダプタ53Aに挿入される部分の外周面、及びクーリングアダプタ53Aにおける燃料噴射弁が挿入される挿入孔53aの内周面に、それぞれネジ溝61、63が形成されており、互いにネジ面59で接触し固定されている。したがって、燃料噴射弁とクーリングアダプタとの接触面積がさらに大きくなって、冷却水による冷却効率がより向上させられている。
なお、図3のクーリングアダプタでは、給水口及び排水口を同一の面側に配置しているが、このような構成に限られるものではなく、互いに反対の面側に配置してもよく、さらに、給水口又は排水口を任意の面に複数設けることもできる。
したがって、燃料噴射弁の先端が排出ガスに晒されることがない一方で、排出ガスが燃料噴射弁先端付近に滞留することがなく、燃料噴射弁の先端に排気熱の影響を及びにくくすることができる。
また、排気管とは別部材の冷却部材を採用することにより、交換作業を容易にできるとともに、メンテナンス費も低く抑えることができ、長期の使用に対するメンテナンス性の向上を図ることができるようになる。
Claims (8)
- 内燃機関の排気管内に配置され、前記内燃機関から排出される排出ガスを浄化するための排気浄化部材と、前記排気浄化部材の上流側で前記排気管内に燃料を噴射するための燃料噴射装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、
前記燃料噴射装置は、前記燃料を前記排気管内に噴射する燃料噴射弁と、前記排気管に固定され、前記燃料噴射弁が装着されるとともに当該燃料噴射弁を冷却するための冷却水の循環路が設けられた冷却部材と、を備え、
前記冷却部材は、両端が開口した挿入孔と、当該挿入孔の外側に形成されたドーナツ状の空隙部と、当該空隙部に連通し、前記挿入孔に沿って形成され、冷却水の給水口と連なる冷却水通路と、前記空隙部に連通し、前記挿入孔に沿って形成され、冷却水の排水口と連なる冷却水通路と、を有しており、
前記冷却部材の挿入孔に、前記燃料噴射弁を挿入し、固定することにより、前記燃料噴射弁の外周面と前記挿入孔の内周面とを面接触させてあり、
かつ、
前記燃料噴射弁の外周面及び前記挿入孔の内周面にネジ溝が形成され、前記燃料噴射弁と前記冷却部材とをネジ止めにより固定してあること
を特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記冷却部材と前記排気管との間にカバー部材を備えるとともに、当該カバー部材と前記冷却部材との間に間隙を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記冷却部材と前記排気管との間に、低伝熱性を有するガスケットを介在させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁の外周面の少なくとも一部と、前記冷却部材の前記挿入孔の内周面の少なくとも一部と、の接触部によってガスシール部を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁は外周面に段差部を有するとともに、前記冷却部材は前記挿入孔の内周面に、前記段差部と当接するシート部を有し、前記段差部及び前記シート部によってガスシール部を構成することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記冷却装置において、前記循環路の給水口を、前記循環路の排水口よりも、前記燃料噴射弁の先端側に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁の先端位置を、前記排気管の内周面と実質的に一致させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記燃料噴射弁から噴射する燃料噴射量の調量部が、接続パイプを介して前記燃料噴射弁と接続されており、前記調量部を、前記排気管から離間して配置したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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