JP2004225647A - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】還元剤添加用のインジェクタが還元剤を噴射しないときにおいて、噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することのできるエンジンの排気浄化装置を提供する。
【解決手段】エンジンの排気ガスが流れる排気ポート16に設けられて該排気ガス中のNOxを吸収するNOx触媒と、NOx触媒に吸収したNOxを還元するときに排気ポート16内へ還元剤を噴射する噴射口25を有する還元剤添加用のインジェクタ23とを備える。排気ポート16を形成するシリンダヘッド6に、インジェクタ23の噴射口25から排気ポート16に至る噴射通路8Aを開閉する遮蔽部材45が設けられる。遮蔽部材45は、インジェクタ23が還元剤を噴射するときに開き、またインジェクタ23が還元剤を噴射しないときに閉じる。
【選択図】 図2
【解決手段】エンジンの排気ガスが流れる排気ポート16に設けられて該排気ガス中のNOxを吸収するNOx触媒と、NOx触媒に吸収したNOxを還元するときに排気ポート16内へ還元剤を噴射する噴射口25を有する還元剤添加用のインジェクタ23とを備える。排気ポート16を形成するシリンダヘッド6に、インジェクタ23の噴射口25から排気ポート16に至る噴射通路8Aを開閉する遮蔽部材45が設けられる。遮蔽部材45は、インジェクタ23が還元剤を噴射するときに開き、またインジェクタ23が還元剤を噴射しないときに閉じる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる大気汚染物質であるNOx(窒素酸化物)を浄化するために、NOxを吸収するNOx触媒をエンジンの排気通路に設ける技術が知られている。この技術では、NOx触媒に吸収したNOxを還元するときに、排気通路内へ還元剤(例えば、燃料である軽油)を噴射する噴射口を有する還元剤添加用のインジェクタが設けられている。そのインジェクタによって噴射された還元剤が排気ガスと混合すると、排気ガス中のHC(炭化水素)が増加する。そのHCが増加した排気ガスがNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が復活すなわち再生される。
【0003】
ところで、前記インジェクタの噴射口を有するノズル先端部は、排気通路内を流れる排気ガスに直接さらされているため、排気ガスの熱によって熱せられる。したがって、インジェクタのノズル先端部及び噴射口に付着した燃料(還元剤)が排気ガスの熱によって炭化されることによりスス(煤)となって付着していく。そのススによって噴射口が詰まると、適切な量の還元剤をNOx触媒に供給することが難しくなるという問題がある。
【0004】
上記した問題を改善するために、従来から種々の技術が提案されている。例えば、図6に示すように、エンジンのシリンダヘッド106に、インジェクタ123の噴射口125から排気通路である排気ポート116に至る噴射通路108Aを部分的に覆う壁106Aを設ける技術が公知である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された技術では、インジェクタ123の噴射口125から噴射される還元剤(燃料)は、噴射通路108Aを通じて排気ポート116内に導かれる。また、シリンダヘッド106に設けた壁106Aは、インジェクタ123のノズル先端部124に流れようとする排気ガスの流れを妨げて、該ノズル先端部124の昇温を抑制することにより、還元剤の炭化による噴射口125の詰まりの発生を防止する。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−161734号公報(第3−7頁、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1では、還元剤を排気ポート116に導くために必要とされる噴射通路108Aの開口面積を確保しておかなければならない。したがって、噴射通路108Aを通じてインジェクタ123のノズル先端部124に排気ガスが自由に侵入することができる。このため、ノズル先端部124の昇温を抑制しきれず、その抑制効果は小さい。また、近年のエンジンの高出力化、高性能化に伴って、排気ガスの温度も一段と高くなっている。このため、前記特許文献1では、還元剤の炭化による噴射口125の詰まりが発生するという問題が残る。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、還元剤添加用のインジェクタが還元剤を噴射しないときにおいて、噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することのできるエンジンの排気浄化装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲に記載された構成を要旨とするエンジンの排気浄化装置によって解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、エンジンの排気通路を形成する通路形成部材に、還元剤添加用のインジェクタの噴射口から排気通路に至る噴射通路を開閉する遮蔽部材が設けている。そして、排気通路に設けたNOx触媒に吸収したNOxを還元するときは、インジェクタが還元剤を噴射する。そのインジェクタが還元剤を噴射するときに、遮蔽部材が開かれることにより、該インジェクタの噴射口から噴射された還元剤は、噴射通路を通じて排気通路内へ支障なく噴射される。還元剤が混合した排気ガスがNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が再生される。
また、前記インジェクタが還元剤を噴射しないときに、遮蔽部材が閉じられることにより、噴射口の周辺部が排気ガスから防護される。このため、排気ガスの熱による噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することができる。
なお、NOx触媒は、例えば、アルミナ(Al2O3)にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類と、貴金属等が担持された構成を有している。また、還元剤としては、燃料(例えば、軽油)、尿素系添加剤など用いることができる。ちなみに、エンジンに使用する燃料を還元剤として流用すると、専用の還元剤を別途準備する必要がないので合理的である。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、圧送手段により流通される冷却媒体の圧力を駆動源として利用することにより、遮蔽部材を作動させることができて合理的である。なお、冷却媒体としては、エンジン冷却水、潤滑油、空気等を用いることができる。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、圧送手段によって流通する冷却媒体を遮蔽部材内に流通させることにより、該遮蔽部材が冷却され、さらには遮蔽部材によって閉じられた噴射通路8A内の雰囲気温度が低下される。これにより、排気ガスの熱による噴射口の周辺部の昇温を良好に抑制することができ、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を一層低減することができる。なお、冷却媒体としては、エンジン冷却水、潤滑油、空気等を用いることができる。また、特許請求の範囲の請求項3における「圧送手段」としては、前記特許請求の範囲の請求項2における「圧送手段」を流用してもよいし、あるいは、前記特許請求の範囲の請求項2における「圧送手段」と異なる圧送手段でもよく、またその場合の冷却媒体は前記特許請求の範囲の請求項2における冷却媒体と異なる冷却媒体を使用することが考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態では、ディーゼルエンジンに適用した排気浄化装置を例示する。図1に示すように、ディーゼルエンジン1のエンジン本体は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド6を備えている。本実施の形態ではディーゼルエンジン1は多気筒であり、シリンダブロック2には、複数のシリンダ3が形成されている。シリンダブロック2の気筒毎のシリンダ3内には、ピストン4が往復動可能に設けられている。シリンダブロック2内には、エンジン冷却水が通る冷却水路(いわゆるウォータジャケット)5が各気筒毎のシリンダ3の周囲を取り囲むように形成されている。
また、シリンダヘッド6は、シリンダブロック2上に設置されている。なお、シリンダブロック2とシリンダヘッド6とによって形成される燃焼室11には、図示しないが、燃料タンク、燃料ポンプ等を含む燃料供給経路から供給された燃料(例えば、軽油)が燃料噴射ポンプから噴射される構成になっている。また、燃料供給経路からは、還元剤添加用のインジェクタ23(後述する)へも燃料が供給される構成になっている。
【0012】
前記シリンダヘッド6は、各気筒毎の吸気バルブ12によって開閉される吸気ポート13を備えているとともに、各気筒毎の排気バルブ15によって開閉される排気ポート16を備えている。吸気ポート13及び排気ポート16は、それぞれ前記燃焼室11に連通している。吸気ポート13にはインテークマニホールド(図示省略)が接続されている。また、排気ポート16にはエキゾーストマニホールド18が接続されている。エキゾーストマニホールド18の下流端には排気管19が接続されている。なお、シリンダヘッド6の排気ポート16と、エキゾーストマニホールド18内の通路と、排気管19内の通路とは、一連の排気通路(符号省略)を形成している。その排気通路を形成するシリンダヘッド6、エキゾーストマニホールド18、排気管19は、それぞれ本明細書でいう「通路形成部材」に相当する。
【0013】
前記シリンダヘッド6には、前記シリンダブロック2の冷却水路5に連通する冷却水路7が形成されている。シリンダヘッド6の冷却水路7とシリンダブロック2の冷却水路5は、ウォータポンプ36、図示しないラジエータ及びヒータ等を含み、かつエンジン冷却水を循環させる冷却回路37(図2参照)に組込まれている。
【0014】
図1に示すように、前記排気管19の途中には、NOx触媒(符号省略)を装填した触媒コンバータ22が組込まれている。触媒コンバータ22内のNOx触媒は、例えば、アルミナ(Al2O3)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属等が担持されることによって構成されている。また、NOx触媒は、排気ガス中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低くかつ還元成分(例えば、燃料中の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2やNOに還元して放出する。そのNO2やNOは、排気ガス中のHCやCOと速やかに反応することでさらに還元されてN2となる。
【0015】
前記シリンダヘッド6には、排気ポート16に臨む還元剤添加用のインジェクタ23が配置されている。すなわち、図2に示すように、シリンダヘッド6には、排気ポート16に対して径方向に開口する取付孔8が形成されている。取付孔8内には、インジェクタ23がノズル先端部24を排気ポート16に指向させた状態で嵌装され、図示しない固定手段を介して固定されている。取付孔8とインジェクタ23との軸方向に対向する座面間には、ガスケット27が介装されている。ノズル先端部24の噴射口25は、還元剤(燃料)の噴射方向が排気ポート16内の下流側(図2において左方)に向けて斜めに傾いている。また、インジェクタ23を装着した取付孔8から排気ポート16に至る開口部分は、噴射通路8Aになっている。インジェクタ23の内部構造については図示を省略するが、簡単に述べると、ボデーの内部に形成された燃料通路と、その燃料通路をスプリングの付勢力によって閉じるバルブと、そのバルブを電磁力によりスプリングの付勢に抗して開く電磁ソレノイドとを備えて構成されている。燃料通路は、前記燃料供給経路(図示省略)から供給される燃料をボデー内に導入しかつ最終的には噴射口25に誘導する。また、インジェクタ23の噴射口25から排気ポート16内に噴射される燃料は、前記触媒コンバータ22(図1参照)内のNOx触媒の還元剤として使用される。
【0016】
図1に示すように、前記インジェクタ23の電磁ソレノイド(図示省略)は、ECU30(後述する)によって、還元剤の添加条件が成立したときに、該ECU30からの制御信号によって電磁力を発生する。還元剤の添加条件とは、例えば、排気ガスの温度、圧力が所定条件に達し、かつNOx触媒より下流の排気ガスの性状の検出結果が還元剤の供給が必要である場合とする。また、インジェクタ23の電磁ソレノイドの電磁力によってバルブが開かれたときには、噴射口25から排気ポート16内に還元剤(燃料)が噴射される(図3参照)。排気ポート16内に噴射された還元剤が前記触媒コンバータ22(図1参照)内のNOx触媒に添加されると、NOx触媒に吸収されたNOx成分を、還元剤中の未燃成分(HC)がNO2やNOに、さらにはN2に還元する。これにより、NOx触媒のNOx成分が浄化されて排気管19(図1参照)から排気され、NOx触媒のNOx吸収能力が復活すなわち再生する。
【0017】
図1に示されるエンジン制御コンピュータであるECU30は、図示しないCPU、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、タイマーカウンタ等を備えている。ECU30は、前記エンジン1の運転状況に応じて、あらかじめ定められたプログラムにしたがって、各種アクチュエータを制御する。ECU30には、回転数センサ31、水温センサ32、排気温センサ33、汚れセンサ34、前記インジェクタ23(詳しくは電磁ソレノイド)等と電気的に接続されている。回転数センサ31は、前記エンジン1のエンジン回転数を検出する。また、水温センサ32は、エンジン冷却水の水温を検出する。また、排気温センサ33は、排気ガスの温度を検出する。汚れセンサ34は、排気ガスの汚れを検出する。ECU30は、回転数センサ31、水温センサ32、排気温センサ33、汚れセンサ34等からの検出信号を受けて、インジェクタ23(詳しくは電磁ソレノイド)に制御信号を出力する。なお、ECU30は、本明細書でいう「制御手段」に相当する。
【0018】
図2に示すように、前記シリンダヘッド6には、前記インジェクタ23を装着した取付孔8(噴射通路8Aを含む)に対して壁部9を隔てて隣り合うようにインジェクタ冷却水路10が形成されている。インジェクタ冷却水路10は、前記シリンダヘッド6の冷却に加えて、前記インジェクタ23の冷却を兼ねるものである。インジェクタ冷却水路10は、前記エンジン冷却水の冷却回路37の途中に冷却水導入管38及び冷却水導出管39により並列的に組込まれている。
【0019】
図3及び図4に示すように、前記シリンダヘッド6の壁部9には、ほぼ四角形板状の遮蔽部材45が前記噴射通路8Aをその径方向のスライドによって開閉可能に設けられている。遮蔽部材45の基端部45bは、前記インジェクタ冷却水路10内のエンジン冷却水に浸漬されている(図2及び図3参照)。壁部9には、該壁部9と遮蔽部材45との間をシールするシール材47が装着されている。
【0020】
図2に示すように、前記遮蔽部材45は、前記インジェクタ冷却水路10に開口する中空部45aを有するほぼ中空箱状に形成されている。遮蔽部材45の中空部45a内には、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水が流通する。遮蔽部材45は、前記ウォータポンプ36(図2参照)によって加わるインジェクタ冷却水路10内のエンジン冷却水に生じる水圧によって閉じる方向(図2において左方)に付勢されるようになっている。しかして、前記冷却水導入管38には、前記ECU30によって開閉制御される電磁弁からなる制御弁40が介在されている。このため、制御弁40が閉じることにより、インジェクタ冷却水路10内の水圧を低下させることができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、前記遮蔽部材45の中空部45a内には、コイルスプリングからなる弾性部材48の一端部が挿入されている。弾性部材48の他端部は、遮蔽部材45に対向するインジェクタ冷却水路10の壁面10aに支持されている(図3参照)。弾性部材48は、遮蔽部材45を開く方向(図3において右方)に付勢する弾性を有している。前記制御弁40が開かれたときに発生する前記インジェクタ冷却水路10内の水圧は弾性部材48の弾性力よりも大きく、また、該制御弁40が閉じられたときのインジェクタ冷却水路10内の低下した水圧は弾性部材48の弾性力も小さくなるように設定されている。
【0022】
前記ECU30は、前記インジェクタ23を噴射制御しているときすなわちインジェクタ23が還元剤を噴射するときに制御弁40を閉じる。また、ECU30は、インジェクタ23の噴射制御を停止しているときすなわちインジェクタ23が還元剤を噴射しないときに制御弁40を開ける。さらに、ECU30は、インジェクタ23の噴射制御を停止するときはその停止直後に制御弁40を開き、またその噴射制御を開始するときはその開始直前に制御弁40を閉じるように制御弁40を制御する。また、前記冷却水導出管39には、通路面積を小さくする絞り42が介在されている。なお、ウォータポンプ36(図2参照)は、本明細書でいう「圧送手段」に相当する。また、エンジン冷却水は、本明細書でいう「冷却媒体」に相当する。
【0023】
次に、前記遮蔽部材45の開閉にかかる前記ECU30の制御例を図5のフローチャートに基づいて説明する。いま、エンジン運転中において、インジェクタ23の噴射制御は停止しており、また、制御弁40は開いていて遮蔽部材45がインジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧によって閉じているものとする(図2参照)。
この状態において、ECU30は、ステップS10において、還元剤の添加が必要か否かを判定する。ここで、還元剤の添加が必要でないとき、すなわちすなわち還元剤の添加条件が成立していないときは、その状態を継続する。また、還元剤の添加が必要なとき、すなわち還元剤の添加条件が成立したときはステップS11に進む。
ステップS11において、制御弁40を閉じる。これにより、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧が低下され、遮蔽部材45が弾性部材48の弾性力によって開かれる(図3参照)。続いて、ステップS12において、インジェクタ23の噴射制御を開始する。このため、インジェクタ23の噴射口25から噴射される還元剤は、噴射通路8Aを通じて排気ポート16内へ支障なく噴射される。還元剤が混合した排気ガスが触媒コンバータ22のNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が再生される。
【0024】
次に、ステップS13において、還元剤の添加が不要か否かを判定する。ここで、還元剤の添加が不要でないとき、すなわち必要であるときはその状態を継続する。また、還元剤の添加が不要なとき、すなわち還元剤の添加条件が成立しなくなったときは、ステップS14に進む。
ステップS14において、インジェクタ23の噴射制御を停止する。続いて、ステップS15において、制御弁40を開ける。これにより、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧が上昇され、その水圧によって遮蔽部材45が閉じられる(図2参照)。したがって、インジェクタ23の噴射口25の周辺部が排気ガスから防護される。このため、排気ガスの熱による噴射口25の周辺部の昇温が抑制され、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を低減することができる。その後、ステップS10に戻り、上記のルーチンを繰り返す。
【0025】
上記したエンジン1の排気浄化装置によると、還元剤添加用のインジェクタ23が還元剤を噴射しないときにおいて、遮蔽部材45を閉じることにより、インジェクタ23の噴射口25の周辺部を排気ガスから防護することができる(図2参照)。これにより、噴射口25の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を低減することができる。また、インジェクタ23が還元剤を噴射するときには、遮蔽部材45が開かれるので、還元剤を排気ポート16内へ支障なく噴射させることができる(図3参照)。
【0026】
また、ウォータポンプ36により流通されるエンジン冷却水の圧力を駆動源として利用することにより、遮蔽部材45を作動させる(本実施の形態では閉じる)ことができて合理的である。
【0027】
また、ウォータポンプ36によって流通するエンジン冷却水を遮蔽部材45の中空部45a内に流通させることにより、該遮蔽部材45が冷却され、さらには遮蔽部材45によって閉じられた噴射通路8A内の雰囲気温度が低下される。これにより、排気ガスの熱による噴射口25の周辺部の昇温を良好に抑制することができ、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を一層低減することができる。
【0028】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、ディーゼルエンジン1に限らず、ガソリンエンジンにも適用することができる。また、上記実施の形態では、遮蔽部材45をウォータポンプ36(図2参照)によるエンジン冷却水の水圧で閉じ、弾性部材48の弾性力で開く構成としたが、逆に、遮蔽部材45をウォータポンプ36によるエンジン冷却水の水圧で開き、弾性部材48の弾性力で閉じる構成とすることができる。また、遮蔽部材45をウォータポンプ36によるエンジン冷却水の水圧で開いたり、閉じたりする構成とすることも考えられる。また、遮蔽部材45は、ステップモータ、あるいは、リニヤソレノイド等の駆動源によって開閉させることができる。また、遮蔽部材45は、スライドによって開閉する他、バタフライバルブのように回動させることによって開閉するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、還元剤添加用のインジェクタ23をシリンダヘッド6に設置したが、インジェクタ23をエキゾーストマニホールド18、排気管19等に設置することができる。また、上記実施の形態では、遮蔽部材45の冷却媒体としてエンジン冷却水を用いたが、潤滑油、空気等を冷却媒体として用いることができる。また、遮蔽部材45は、噴射通路8Aを完全に閉じるものに限らず、噴射通路8Aを所定量だけ開いた状態で閉じるものでもよい。また、遮蔽部材45は、インジェクタ23の還元剤の噴射に支障を生じないように開くものであればよい。また、遮蔽部材45の中空部45aを省略し、インジェクタ冷却水路10内の遮蔽部材45の基端部45bの外表面部分をエンジン冷却水で冷却するようにしてもよい。また、遮蔽部材45は、熱伝導性に優れた材質で形成するとよい。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のエンジンの排気浄化装置によれば、還元剤添加用のインジェクタが還元剤を噴射しないときにおいて、遮蔽部材を閉じることにより、インジェクタの噴射口の周辺部を排気ガスから防護することができる。これにより、噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することができる。また、インジェクタが還元剤を噴射するときには、遮蔽部材が開かれるので、還元剤を排気通路内へ支障なく噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるエンジンの排気浄化装置を示す模式図である。
【図2】遮蔽部材を開いた状態での還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【図3】遮蔽部材を閉じた状態での還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】遮蔽部材の開閉にかかる制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】従来の技術にかかる還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【符号の説明】
6 シリンダヘッド(通路形成部材)
8A 噴射通路
16 排気ポート(排気通路)
23 インジェクタ
25 噴射口
36 ウォータポンプ(圧送手段)
45 遮蔽部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる大気汚染物質であるNOx(窒素酸化物)を浄化するために、NOxを吸収するNOx触媒をエンジンの排気通路に設ける技術が知られている。この技術では、NOx触媒に吸収したNOxを還元するときに、排気通路内へ還元剤(例えば、燃料である軽油)を噴射する噴射口を有する還元剤添加用のインジェクタが設けられている。そのインジェクタによって噴射された還元剤が排気ガスと混合すると、排気ガス中のHC(炭化水素)が増加する。そのHCが増加した排気ガスがNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が復活すなわち再生される。
【0003】
ところで、前記インジェクタの噴射口を有するノズル先端部は、排気通路内を流れる排気ガスに直接さらされているため、排気ガスの熱によって熱せられる。したがって、インジェクタのノズル先端部及び噴射口に付着した燃料(還元剤)が排気ガスの熱によって炭化されることによりスス(煤)となって付着していく。そのススによって噴射口が詰まると、適切な量の還元剤をNOx触媒に供給することが難しくなるという問題がある。
【0004】
上記した問題を改善するために、従来から種々の技術が提案されている。例えば、図6に示すように、エンジンのシリンダヘッド106に、インジェクタ123の噴射口125から排気通路である排気ポート116に至る噴射通路108Aを部分的に覆う壁106Aを設ける技術が公知である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された技術では、インジェクタ123の噴射口125から噴射される還元剤(燃料)は、噴射通路108Aを通じて排気ポート116内に導かれる。また、シリンダヘッド106に設けた壁106Aは、インジェクタ123のノズル先端部124に流れようとする排気ガスの流れを妨げて、該ノズル先端部124の昇温を抑制することにより、還元剤の炭化による噴射口125の詰まりの発生を防止する。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−161734号公報(第3−7頁、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1では、還元剤を排気ポート116に導くために必要とされる噴射通路108Aの開口面積を確保しておかなければならない。したがって、噴射通路108Aを通じてインジェクタ123のノズル先端部124に排気ガスが自由に侵入することができる。このため、ノズル先端部124の昇温を抑制しきれず、その抑制効果は小さい。また、近年のエンジンの高出力化、高性能化に伴って、排気ガスの温度も一段と高くなっている。このため、前記特許文献1では、還元剤の炭化による噴射口125の詰まりが発生するという問題が残る。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、還元剤添加用のインジェクタが還元剤を噴射しないときにおいて、噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することのできるエンジンの排気浄化装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲に記載された構成を要旨とするエンジンの排気浄化装置によって解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、エンジンの排気通路を形成する通路形成部材に、還元剤添加用のインジェクタの噴射口から排気通路に至る噴射通路を開閉する遮蔽部材が設けている。そして、排気通路に設けたNOx触媒に吸収したNOxを還元するときは、インジェクタが還元剤を噴射する。そのインジェクタが還元剤を噴射するときに、遮蔽部材が開かれることにより、該インジェクタの噴射口から噴射された還元剤は、噴射通路を通じて排気通路内へ支障なく噴射される。還元剤が混合した排気ガスがNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が再生される。
また、前記インジェクタが還元剤を噴射しないときに、遮蔽部材が閉じられることにより、噴射口の周辺部が排気ガスから防護される。このため、排気ガスの熱による噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することができる。
なお、NOx触媒は、例えば、アルミナ(Al2O3)にアルカリ金属、アルカリ土類、希土類と、貴金属等が担持された構成を有している。また、還元剤としては、燃料(例えば、軽油)、尿素系添加剤など用いることができる。ちなみに、エンジンに使用する燃料を還元剤として流用すると、専用の還元剤を別途準備する必要がないので合理的である。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、圧送手段により流通される冷却媒体の圧力を駆動源として利用することにより、遮蔽部材を作動させることができて合理的である。なお、冷却媒体としては、エンジン冷却水、潤滑油、空気等を用いることができる。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載されたエンジンの排気浄化装置によると、圧送手段によって流通する冷却媒体を遮蔽部材内に流通させることにより、該遮蔽部材が冷却され、さらには遮蔽部材によって閉じられた噴射通路8A内の雰囲気温度が低下される。これにより、排気ガスの熱による噴射口の周辺部の昇温を良好に抑制することができ、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を一層低減することができる。なお、冷却媒体としては、エンジン冷却水、潤滑油、空気等を用いることができる。また、特許請求の範囲の請求項3における「圧送手段」としては、前記特許請求の範囲の請求項2における「圧送手段」を流用してもよいし、あるいは、前記特許請求の範囲の請求項2における「圧送手段」と異なる圧送手段でもよく、またその場合の冷却媒体は前記特許請求の範囲の請求項2における冷却媒体と異なる冷却媒体を使用することが考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態では、ディーゼルエンジンに適用した排気浄化装置を例示する。図1に示すように、ディーゼルエンジン1のエンジン本体は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド6を備えている。本実施の形態ではディーゼルエンジン1は多気筒であり、シリンダブロック2には、複数のシリンダ3が形成されている。シリンダブロック2の気筒毎のシリンダ3内には、ピストン4が往復動可能に設けられている。シリンダブロック2内には、エンジン冷却水が通る冷却水路(いわゆるウォータジャケット)5が各気筒毎のシリンダ3の周囲を取り囲むように形成されている。
また、シリンダヘッド6は、シリンダブロック2上に設置されている。なお、シリンダブロック2とシリンダヘッド6とによって形成される燃焼室11には、図示しないが、燃料タンク、燃料ポンプ等を含む燃料供給経路から供給された燃料(例えば、軽油)が燃料噴射ポンプから噴射される構成になっている。また、燃料供給経路からは、還元剤添加用のインジェクタ23(後述する)へも燃料が供給される構成になっている。
【0012】
前記シリンダヘッド6は、各気筒毎の吸気バルブ12によって開閉される吸気ポート13を備えているとともに、各気筒毎の排気バルブ15によって開閉される排気ポート16を備えている。吸気ポート13及び排気ポート16は、それぞれ前記燃焼室11に連通している。吸気ポート13にはインテークマニホールド(図示省略)が接続されている。また、排気ポート16にはエキゾーストマニホールド18が接続されている。エキゾーストマニホールド18の下流端には排気管19が接続されている。なお、シリンダヘッド6の排気ポート16と、エキゾーストマニホールド18内の通路と、排気管19内の通路とは、一連の排気通路(符号省略)を形成している。その排気通路を形成するシリンダヘッド6、エキゾーストマニホールド18、排気管19は、それぞれ本明細書でいう「通路形成部材」に相当する。
【0013】
前記シリンダヘッド6には、前記シリンダブロック2の冷却水路5に連通する冷却水路7が形成されている。シリンダヘッド6の冷却水路7とシリンダブロック2の冷却水路5は、ウォータポンプ36、図示しないラジエータ及びヒータ等を含み、かつエンジン冷却水を循環させる冷却回路37(図2参照)に組込まれている。
【0014】
図1に示すように、前記排気管19の途中には、NOx触媒(符号省略)を装填した触媒コンバータ22が組込まれている。触媒コンバータ22内のNOx触媒は、例えば、アルミナ(Al2O3)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属等が担持されることによって構成されている。また、NOx触媒は、排気ガス中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低くかつ還元成分(例えば、燃料中の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2やNOに還元して放出する。そのNO2やNOは、排気ガス中のHCやCOと速やかに反応することでさらに還元されてN2となる。
【0015】
前記シリンダヘッド6には、排気ポート16に臨む還元剤添加用のインジェクタ23が配置されている。すなわち、図2に示すように、シリンダヘッド6には、排気ポート16に対して径方向に開口する取付孔8が形成されている。取付孔8内には、インジェクタ23がノズル先端部24を排気ポート16に指向させた状態で嵌装され、図示しない固定手段を介して固定されている。取付孔8とインジェクタ23との軸方向に対向する座面間には、ガスケット27が介装されている。ノズル先端部24の噴射口25は、還元剤(燃料)の噴射方向が排気ポート16内の下流側(図2において左方)に向けて斜めに傾いている。また、インジェクタ23を装着した取付孔8から排気ポート16に至る開口部分は、噴射通路8Aになっている。インジェクタ23の内部構造については図示を省略するが、簡単に述べると、ボデーの内部に形成された燃料通路と、その燃料通路をスプリングの付勢力によって閉じるバルブと、そのバルブを電磁力によりスプリングの付勢に抗して開く電磁ソレノイドとを備えて構成されている。燃料通路は、前記燃料供給経路(図示省略)から供給される燃料をボデー内に導入しかつ最終的には噴射口25に誘導する。また、インジェクタ23の噴射口25から排気ポート16内に噴射される燃料は、前記触媒コンバータ22(図1参照)内のNOx触媒の還元剤として使用される。
【0016】
図1に示すように、前記インジェクタ23の電磁ソレノイド(図示省略)は、ECU30(後述する)によって、還元剤の添加条件が成立したときに、該ECU30からの制御信号によって電磁力を発生する。還元剤の添加条件とは、例えば、排気ガスの温度、圧力が所定条件に達し、かつNOx触媒より下流の排気ガスの性状の検出結果が還元剤の供給が必要である場合とする。また、インジェクタ23の電磁ソレノイドの電磁力によってバルブが開かれたときには、噴射口25から排気ポート16内に還元剤(燃料)が噴射される(図3参照)。排気ポート16内に噴射された還元剤が前記触媒コンバータ22(図1参照)内のNOx触媒に添加されると、NOx触媒に吸収されたNOx成分を、還元剤中の未燃成分(HC)がNO2やNOに、さらにはN2に還元する。これにより、NOx触媒のNOx成分が浄化されて排気管19(図1参照)から排気され、NOx触媒のNOx吸収能力が復活すなわち再生する。
【0017】
図1に示されるエンジン制御コンピュータであるECU30は、図示しないCPU、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、タイマーカウンタ等を備えている。ECU30は、前記エンジン1の運転状況に応じて、あらかじめ定められたプログラムにしたがって、各種アクチュエータを制御する。ECU30には、回転数センサ31、水温センサ32、排気温センサ33、汚れセンサ34、前記インジェクタ23(詳しくは電磁ソレノイド)等と電気的に接続されている。回転数センサ31は、前記エンジン1のエンジン回転数を検出する。また、水温センサ32は、エンジン冷却水の水温を検出する。また、排気温センサ33は、排気ガスの温度を検出する。汚れセンサ34は、排気ガスの汚れを検出する。ECU30は、回転数センサ31、水温センサ32、排気温センサ33、汚れセンサ34等からの検出信号を受けて、インジェクタ23(詳しくは電磁ソレノイド)に制御信号を出力する。なお、ECU30は、本明細書でいう「制御手段」に相当する。
【0018】
図2に示すように、前記シリンダヘッド6には、前記インジェクタ23を装着した取付孔8(噴射通路8Aを含む)に対して壁部9を隔てて隣り合うようにインジェクタ冷却水路10が形成されている。インジェクタ冷却水路10は、前記シリンダヘッド6の冷却に加えて、前記インジェクタ23の冷却を兼ねるものである。インジェクタ冷却水路10は、前記エンジン冷却水の冷却回路37の途中に冷却水導入管38及び冷却水導出管39により並列的に組込まれている。
【0019】
図3及び図4に示すように、前記シリンダヘッド6の壁部9には、ほぼ四角形板状の遮蔽部材45が前記噴射通路8Aをその径方向のスライドによって開閉可能に設けられている。遮蔽部材45の基端部45bは、前記インジェクタ冷却水路10内のエンジン冷却水に浸漬されている(図2及び図3参照)。壁部9には、該壁部9と遮蔽部材45との間をシールするシール材47が装着されている。
【0020】
図2に示すように、前記遮蔽部材45は、前記インジェクタ冷却水路10に開口する中空部45aを有するほぼ中空箱状に形成されている。遮蔽部材45の中空部45a内には、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水が流通する。遮蔽部材45は、前記ウォータポンプ36(図2参照)によって加わるインジェクタ冷却水路10内のエンジン冷却水に生じる水圧によって閉じる方向(図2において左方)に付勢されるようになっている。しかして、前記冷却水導入管38には、前記ECU30によって開閉制御される電磁弁からなる制御弁40が介在されている。このため、制御弁40が閉じることにより、インジェクタ冷却水路10内の水圧を低下させることができる。
【0021】
図3及び図4に示すように、前記遮蔽部材45の中空部45a内には、コイルスプリングからなる弾性部材48の一端部が挿入されている。弾性部材48の他端部は、遮蔽部材45に対向するインジェクタ冷却水路10の壁面10aに支持されている(図3参照)。弾性部材48は、遮蔽部材45を開く方向(図3において右方)に付勢する弾性を有している。前記制御弁40が開かれたときに発生する前記インジェクタ冷却水路10内の水圧は弾性部材48の弾性力よりも大きく、また、該制御弁40が閉じられたときのインジェクタ冷却水路10内の低下した水圧は弾性部材48の弾性力も小さくなるように設定されている。
【0022】
前記ECU30は、前記インジェクタ23を噴射制御しているときすなわちインジェクタ23が還元剤を噴射するときに制御弁40を閉じる。また、ECU30は、インジェクタ23の噴射制御を停止しているときすなわちインジェクタ23が還元剤を噴射しないときに制御弁40を開ける。さらに、ECU30は、インジェクタ23の噴射制御を停止するときはその停止直後に制御弁40を開き、またその噴射制御を開始するときはその開始直前に制御弁40を閉じるように制御弁40を制御する。また、前記冷却水導出管39には、通路面積を小さくする絞り42が介在されている。なお、ウォータポンプ36(図2参照)は、本明細書でいう「圧送手段」に相当する。また、エンジン冷却水は、本明細書でいう「冷却媒体」に相当する。
【0023】
次に、前記遮蔽部材45の開閉にかかる前記ECU30の制御例を図5のフローチャートに基づいて説明する。いま、エンジン運転中において、インジェクタ23の噴射制御は停止しており、また、制御弁40は開いていて遮蔽部材45がインジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧によって閉じているものとする(図2参照)。
この状態において、ECU30は、ステップS10において、還元剤の添加が必要か否かを判定する。ここで、還元剤の添加が必要でないとき、すなわちすなわち還元剤の添加条件が成立していないときは、その状態を継続する。また、還元剤の添加が必要なとき、すなわち還元剤の添加条件が成立したときはステップS11に進む。
ステップS11において、制御弁40を閉じる。これにより、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧が低下され、遮蔽部材45が弾性部材48の弾性力によって開かれる(図3参照)。続いて、ステップS12において、インジェクタ23の噴射制御を開始する。このため、インジェクタ23の噴射口25から噴射される還元剤は、噴射通路8Aを通じて排気ポート16内へ支障なく噴射される。還元剤が混合した排気ガスが触媒コンバータ22のNOx触媒を通るときの還元作用によってNOxが還元され、NOx触媒が再生される。
【0024】
次に、ステップS13において、還元剤の添加が不要か否かを判定する。ここで、還元剤の添加が不要でないとき、すなわち必要であるときはその状態を継続する。また、還元剤の添加が不要なとき、すなわち還元剤の添加条件が成立しなくなったときは、ステップS14に進む。
ステップS14において、インジェクタ23の噴射制御を停止する。続いて、ステップS15において、制御弁40を開ける。これにより、インジェクタ冷却水路10のエンジン冷却水の水圧が上昇され、その水圧によって遮蔽部材45が閉じられる(図2参照)。したがって、インジェクタ23の噴射口25の周辺部が排気ガスから防護される。このため、排気ガスの熱による噴射口25の周辺部の昇温が抑制され、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を低減することができる。その後、ステップS10に戻り、上記のルーチンを繰り返す。
【0025】
上記したエンジン1の排気浄化装置によると、還元剤添加用のインジェクタ23が還元剤を噴射しないときにおいて、遮蔽部材45を閉じることにより、インジェクタ23の噴射口25の周辺部を排気ガスから防護することができる(図2参照)。これにより、噴射口25の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を低減することができる。また、インジェクタ23が還元剤を噴射するときには、遮蔽部材45が開かれるので、還元剤を排気ポート16内へ支障なく噴射させることができる(図3参照)。
【0026】
また、ウォータポンプ36により流通されるエンジン冷却水の圧力を駆動源として利用することにより、遮蔽部材45を作動させる(本実施の形態では閉じる)ことができて合理的である。
【0027】
また、ウォータポンプ36によって流通するエンジン冷却水を遮蔽部材45の中空部45a内に流通させることにより、該遮蔽部材45が冷却され、さらには遮蔽部材45によって閉じられた噴射通路8A内の雰囲気温度が低下される。これにより、排気ガスの熱による噴射口25の周辺部の昇温を良好に抑制することができ、還元剤の炭化による噴射口25の詰まりの発生を一層低減することができる。
【0028】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、ディーゼルエンジン1に限らず、ガソリンエンジンにも適用することができる。また、上記実施の形態では、遮蔽部材45をウォータポンプ36(図2参照)によるエンジン冷却水の水圧で閉じ、弾性部材48の弾性力で開く構成としたが、逆に、遮蔽部材45をウォータポンプ36によるエンジン冷却水の水圧で開き、弾性部材48の弾性力で閉じる構成とすることができる。また、遮蔽部材45をウォータポンプ36によるエンジン冷却水の水圧で開いたり、閉じたりする構成とすることも考えられる。また、遮蔽部材45は、ステップモータ、あるいは、リニヤソレノイド等の駆動源によって開閉させることができる。また、遮蔽部材45は、スライドによって開閉する他、バタフライバルブのように回動させることによって開閉するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、還元剤添加用のインジェクタ23をシリンダヘッド6に設置したが、インジェクタ23をエキゾーストマニホールド18、排気管19等に設置することができる。また、上記実施の形態では、遮蔽部材45の冷却媒体としてエンジン冷却水を用いたが、潤滑油、空気等を冷却媒体として用いることができる。また、遮蔽部材45は、噴射通路8Aを完全に閉じるものに限らず、噴射通路8Aを所定量だけ開いた状態で閉じるものでもよい。また、遮蔽部材45は、インジェクタ23の還元剤の噴射に支障を生じないように開くものであればよい。また、遮蔽部材45の中空部45aを省略し、インジェクタ冷却水路10内の遮蔽部材45の基端部45bの外表面部分をエンジン冷却水で冷却するようにしてもよい。また、遮蔽部材45は、熱伝導性に優れた材質で形成するとよい。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のエンジンの排気浄化装置によれば、還元剤添加用のインジェクタが還元剤を噴射しないときにおいて、遮蔽部材を閉じることにより、インジェクタの噴射口の周辺部を排気ガスから防護することができる。これにより、噴射口の周辺部の昇温を抑制し、還元剤の炭化による噴射口の詰まりの発生を低減することができる。また、インジェクタが還元剤を噴射するときには、遮蔽部材が開かれるので、還元剤を排気通路内へ支障なく噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるエンジンの排気浄化装置を示す模式図である。
【図2】遮蔽部材を開いた状態での還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【図3】遮蔽部材を閉じた状態での還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】遮蔽部材の開閉にかかる制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】従来の技術にかかる還元剤添加用のインジェクタの周辺部を示す断面図である。
【符号の説明】
6 シリンダヘッド(通路形成部材)
8A 噴射通路
16 排気ポート(排気通路)
23 インジェクタ
25 噴射口
36 ウォータポンプ(圧送手段)
45 遮蔽部材
Claims (3)
- エンジンの排気ガスが流れる排気通路に設けられて該排気ガス中のNOxを吸収するNOx触媒と、
前記NOx触媒に吸収したNOxを還元するときに前記排気通路内へ還元剤を噴射する噴射口を有する還元剤添加用のインジェクタと、
を備えるエンジンの排気浄化装置であって、
前記排気通路を形成する通路形成部材に、前記インジェクタの噴射口から排気通路に至る噴射通路を開閉する遮蔽部材が設けられ、
前記遮蔽部材は、前記インジェクタが還元剤を噴射するときに開き、また該インジェクタが還元剤を噴射しないときに閉じるように構成されていることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。 - 前記遮蔽部材を開閉させる駆動源として、圧送手段により流通される冷却媒体の圧力を利用したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。
- 圧送手段により流通される冷却媒体を前記遮蔽部材内に流通させる構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの排気浄化装置。
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