JP2004323692A - 難燃性ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリオレフィン樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を用いることなく優れた難燃性を有し、かつブリード現象の少ない、難燃繊維や難燃フィルムに使用される難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ホスファゼン誘導体を0.25重量%以上と、NOR型ヒンダードアミン誘導体を0.025重量%以上とを含有することを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に関する。詳しくは、燃焼時の有毒なガスの発生が抑制され、優れた難燃性を有し、かつブルームの少ない難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は、優れた化学的、機械的特性により建材、自動車部品、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材、玩具等に広く用いられている。しかし、ポリオレフィン樹脂は可燃性物質であり用途によっては難燃化が不可欠である。難燃化の方法としては、ハロゲン系難燃剤、赤燐やポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸系難燃剤からなる無機リン系難燃剤、トリアリールリン酸エステル化合物に代表される有機リン系難燃剤、金属水酸化物や難燃助剤である酸化アンチモン、メラミン化合物を単独でまたは組み合わせて用いられることが広く知られている。
【0003】
近年、環境面から燃焼時に有毒なガスの発生するハロゲン系難燃剤を用いることなく優れた難燃性を有する非ハロゲン系の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物が求められている。粘着テープでは、ポリオレフィン系樹脂と非ハロゲン系難燃剤とを主体としたテープ基材が開示されている(例えば、特許文献1参照)。テープ基材では、ポリオレフィン系樹脂に対して難燃剤として無機系難燃剤と、耐候剤としてヒンダードアミン系化合物と、耐候助剤としてハイドロタルサイト化合物とが配合され、前記無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化アンチモン、赤リン等が挙げられている。
【0004】
フィルム、シート、パイプ、容器、電線、ケーブル等の成形品の用途では、ポリオレフィン系樹脂に難燃剤と赤リンとが配合された架橋性難燃組成物(例えば、特許文献2参照)が開示されている。前記難燃剤としてはリン系難燃剤、無機系難燃剤等の添加型難燃剤が挙げられている。スタンパブルシートの製造に適した難燃化ポリプロピレンコンパウンドでは、ポリプロピレンに対し難燃剤として金属水和物を添加する技術(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
また、ホスファゼン誘導体、金属水酸化物及び赤リンを配合した難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
しかし、これらの難燃剤を使用した樹脂材料はいずれも、難燃剤が極めて高濃度で配合されている。具体的には、樹脂成分100重量部に対して、5〜200重量部である。かかる樹脂材料を厚手のシートや各種の成形品に用いる場合は問題ないが、繊維用途や薄層フィルムに用いる場合には、物性的に低強度の繊維やフィルムしか得られない。また、製糸及び製膜時の安定性も問題となる。
【0005】
一方、耐光安定剤として知られているヒンダードアミン化合物のうち、特にそのNOR型の化合物が難燃性能を示す(例えば、特許文献5参照)ことが開示されている。このNOR型ヒンダードアミン化合物は多様な樹脂材料に添加できるが、難燃性能は必ずしも十分とはいえない。これを改善するため、NOR型ヒンダードアミン化合物とリン酸エステル系難燃剤との併用も提案されている(例えば、特許文献5、6参照)。しかし、開示された難燃繊維やシートは、加熱や高温多湿状態に曝された場合、難燃剤が加水分解され製品表面に染み出てくるブリード現象の問題があり、改善が求められていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−310048号公報
【特許文献2】
特開平7−102128号公報
【特許文献3】
特開平11−60837号公報
【特許文献4】
特開平11−263885号公報
【特許文献5】
国際公開第99/00450号パンフレット
【特許文献6】
特開2001−348724号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を用いることなく優れた難燃性を有し、かつブリード現象の少ない、難燃繊維や難燃フィルムに使用される難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した。その結果、ポリオレフィン樹脂に、ホスファゼン誘導体とNOR型ヒンダードアミン誘導体とを特定範囲で含有させることにより、繊維やフィルム形状において加水分解安定性が高くブリード現象が抑制され長期間にわたって高度の難燃性能を維持するポリオレフィン難燃樹脂が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
本発明は以下によって構成される。
(1)ホスファゼン誘導体を0.25重量%以上と、NOR型ヒンダードアミン誘導体を0.025重量%以上とを含有することを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
【0010】
(2)ホスファゼン誘導体が、下記一般式1で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
【化3】
Figure 2004323692
【0011】
(3)NOR型ヒンダードアミン誘導体が、下記一般式2で表される基を含む化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
【化4】
Figure 2004323692
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物においては、ホスファゼン誘導体とNOR型ヒンダードアミン誘導体とが併用される。ホスファゼン誘導体の難燃性能はNOR型ヒンダードアミン誘導体との併用により著しく向上する。
【0013】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるホスファゼン誘導体は、下記一般式1で表される環状ホスファゼン誘導体、及び下記一般式3で表される鎖状ホスファゼン誘導体から選ばれた少なくとも1種である。
【化5】
Figure 2004323692
【化6】
Figure 2004323692
前記一般式1及び一般式3で示されるホスファゼン誘導体は、前記定義した範囲内のものであれば、格別の制限はない。尚、置換基Qとしてのアルコキシ基、アリールオキシ基及びアミノ基の例としては、次のようなものを挙げることができる。
【0014】
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基等を挙げることができるが、その炭素数は1〜8が好ましい。
前記アリールオキシ基としては、例えば、非置換または、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、2,3−ジメチル基、2,4−ジメチル基、2,5−ジメチル基、2,6−ジメチル基、3,5−ジメチル基、フェニル基等で置換されたフェニルオキシ基等を挙げることができる。更に、前記アリールとして、ナフチル等を挙げることもできる。
【0015】
前記アミノ基としては、NH基、メチルアミノ基、エチルアミノ基等の直鎖または分岐鎖を有するモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の直鎖または分岐鎖を有するジアルキルアミノ基等を挙げることができる。
また、置換基Qは、製造工程において未反応物として残るハロゲン基を有している場合があるが、本発明は有害なガスの発生が極端に少ない難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を目的としているため、該ホスファゼン誘導体中の全ハロゲン含有量を0.05重量%以下にすることが望ましい。
【0016】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられる一般式1で示される環状ホスファゼン誘導体の具体例としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノシクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
【0017】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられる一般式3で示される鎖状ホスファゼン誘導体の具体例としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5 −ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス (iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン等が挙げられる。
【0018】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるホスファゼン誘導体として、前記環状ホスファゼン誘導体及び前記鎖状ホスファゼン誘導体のいずれか1種を用いても、2種以上の混合体として用いても良いが、本発明においては、環状ホスファゼン誘導体を選択することが望ましい。
【0019】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物においてはNOR型ヒンダードアミン誘導体が用いられる。中でも、下記一般式2で表される基を含むNOR型ヒンダードアミン誘導体が好ましい。
【化7】
Figure 2004323692
【0020】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるNOR型ヒンダードアミン誘導体は、耐候性能を有するヒンダードアミン部と難燃性能を有するsym−トリアジン部を併せ持つ構造を有している。該構造を有するNOR型ヒンダードアミン誘導体は、前記ホスファゼン誘導体との相性が良く、併せて用いることで非常に優れた相乗効果をもたらすことができる。中でも、下記一般式4で表される基を有するNOR型ヒンダードアミン誘導体が好ましく、下記一般式5で表されるNOR型ヒンダードアミン誘導体が更に好ましい。
【化8】
Figure 2004323692
【化9】
Figure 2004323692
ここで、R同士が架橋反応を起こすこともあるが、該反応物が存在していてもなんら差し支えない。
【0021】
前記一般式5の式中、T、T、Tが前記一般式4の基であるもの、またはT、T、Tが前記一般式4の基であるものが望ましく、具体的には、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン等を例示することができる。
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物に用いられるNOR型ヒンダードアミン誘導体は、前記NOR型ヒンダードアミン誘導体のいずれか1種を用いても、2種以上を混合体として用いても良い。
【0022】
ポリオレフィン樹脂の燃焼過程では固相中でポリマー主鎖が切れアルキルラジカル(R・)が生じ酸素と反応、即ち燃焼するが、このとき、NOR型ヒンダードアミン誘導体はポリマーから発生するアルキルラジカルを捕捉することで酸素との反応を抑制するものと推定され、それにより難燃性能が得られるものと考えられる。尚、従来のNH型やNCH型のヒンダードアミン化合物はNOR型ヒンダードアミン誘導体に比べてアルキルラジカルとの反応速度が遅いため、NOR型ヒンダードアミン誘導体を含有する場合のような難燃性能は発現しないと考えられる。
【0023】
このように、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物においては、ホスファゼン誘導体とNOR型ヒンダードアミン誘導体との相乗的な効果によりホスファゼン誘導体の含有量が少なくても優れた難燃性能を確保できるため、ホスファゼン誘導体の含有量を低く抑えて製品の機械的特性の低下を最小限にできる。
すなわち、本発明ではホスファゼン誘導体の含有量を0.25重量%までも削減することが可能となり、しかも同ホスファゼン誘導体の含有量が極めて少ないにもかかわらず、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物にはNOR型ヒンダードアミン誘導体との相乗的な効果により高度の難燃性を付与することができる。従って、本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、通常に使用される自動車内装材やカーペット等の屋内用途のみならず、養生シートとして土木、建築現場等屋外で用いることも可能であり、幅広い用途で利用が可能となる。
【0024】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物においては、ホスファゼン誘導体の含有量は0.25重量%以上、好ましくは0.25〜10.0重量%、より好ましくは0.25〜5.0重量%、更に好ましくは0.5〜3.0重量%である。ホスファゼン誘導体の含有量がこの範囲内であると、得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、NOR型ヒンダードアミン誘導体との相乗効果により、十分な難燃性能を有し、製造コストの上昇も少ない。
【0025】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物においては、NOR型ヒンダードアミン誘導体の含有量は0.025重量%以上、好ましくは0.025〜3.0重量%、より好ましくは0.05〜2.0重量%である。NOR型ヒンダードアミン誘導体の含有量がこの範囲内であると、得られた難燃性ポリオレフィン樹脂組成物及びそれを用いた製品は、耐水性に富み、長時間の高温多湿の環境に曝されても加水分解安定性が高く、ブリードが少なく長期間にわたって高度の難燃性能を維持する性能を有する。また、薄層フィルム等に用いた場合の強度も十分であり、製造コストの上昇も少ない。
【0026】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物において用いられるポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの結晶性単独重合体、これら2種以上のα−オレフィンの結晶性、低結晶性もしくは非晶性ランダム共重合体または結晶性ブロック共重合体、非晶性エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体等のポリオレフィン樹脂、上述のα−オレフィンと酢酸ビニルもしくはアクリル酸エステルとの共重合体、該共重合体のケン化物、これらα−オレフィンと不飽和シラン化合物との共重合体、これらα−オレフィンと不飽和カルボン酸もしくはその無水物との共重合体、該共重合体と金属イオン化合物との反応生成物、上述のポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸もしくはその誘導体で変性した変性ポリオレフィン樹脂、上述のポリオレフィン樹脂を不飽和シラン化合物で変性したシラン変性ポリオレフィン樹脂等を例示することができ、これらポリオレフィン樹脂の単独使用はもちろんのこと、2種以上のポリオレフィン樹脂を混合して用いることもできる。
【0027】
また、上述のポリオレフィン樹脂に各種合成ゴム(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等)または熱可塑性合成樹脂(例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素樹脂、石油樹脂(例えば、C系石油樹脂、水添C系石油樹脂、C系石油樹脂、水添C系石油樹脂、C−C共重合石油樹脂、水添C−C共重合石油樹脂、酸変性C系石油樹脂等)、DCPD樹脂(例えば、シクロペンタジエン系石油樹脂、水添シクロペンタジエン系石油樹脂、シクロペンタジエン−C共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C共重合石油樹脂、シクロペンタジエン−C共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C共重合石油樹脂、シクロペンタジエン−C−C共重合石油樹脂、水添シクロペンタジエン−C−C共重合石油樹脂等の軟化点80〜200℃のDCPD樹脂)等を混合して用いることもできる。中でも、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン成分を70重量%以上含有する結晶性プロピレン共重合体であって、結晶性エチレン−プロピレンランダム共重合体、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、結晶性プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、結晶性エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、結晶性プロピレン−ヘキセン−ブテン−1三元共重合体及びこれらの2種以上の混合物が特に好ましく用いられる。
【0028】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物にあっては、通常ポリオレフィン樹脂に添加される各種の添加剤、例えばフェノール系、チオエーテル系等の酸化防止剤、光安定剤、重金属不活性化剤(銅害防止剤)、透明化剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、無滴剤、過酸化物の如きラジカル発生剤、顔料、ハロゲン捕捉剤、金属石ケン類等の分散剤または中和剤、有機系や無機系の抗菌剤、無機充填剤(例えば、タルク、マイカ、クレ−、ウォラストナイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、パーライト、ケイソウ土、アスベスト、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ガラス繊維、チタン酸カリウム、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト及び金属繊維等)、カップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、ボロン系、アルミネート系、ジルコアルミネート系等)の如き表面処理剤で表面処理された前記無機充填剤または有機充填剤(例えば、木粉、パルプ、故紙、合成繊維、天然繊維等)を本発明の目的を損なわない範囲で併用することができる。
【0029】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、必要に応じて通常ポリオレフィン樹脂に添加される前述の各種添加剤のそれぞれ所定量を通常の混合装置、例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバリミキサー等を用いて混合し、通常の単軸押出機、2軸押出機、ブラベンダーまたはロール等で、溶融混練温度150℃〜250℃、好ましくは180℃〜230℃で溶融混練ペレタイズすることにより得ることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例及び比較例で用いた評価方法は次の方法によった。
(a)<燃焼試験法>
70mm×300mmに切り出した試験片をフィルム製品の燃焼性試験方法:JIS L 1091のA−4法、垂直法にて難燃性能を評価した。
・試験片をその下端がミクロバーナーから19mmの高さとなるように、ミクロバーナーの上方に垂直に吊るす。
・ミクロバーナーの炎の高さを38mmにする。
・試料の最下部にミクロバーナーで接炎時間12秒間着火する。
・着火状況、消火状況、消火に要する時間、燃焼量を測定する。
・着火しないか、着火しても3秒以内に消火するもの且つ枠まで延焼しないものを「難燃性あり」とした。
(b)<ブリード性評価方法>
成形品を80℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽にて168時間処理した後の表面状態を処理していない成形品との外観変化を目視にて観察し、ブリードがないものを○(合格)、ブリードが見られるものを×(不合格)とした。
【0031】
実施例及び比較例の組成物
メルトフローレート(JIS K 7210(1976)の試験条件14(230℃,21.18N))が16g/10分のポリプロピレン(プロピレン単独重合体)に、表1に記載された処方に従い、下記難燃剤を配合した。
・NOR型ヒンダードアミン化合物:「NOR116」(商品名)(一般式5で表される化合物)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製。
・ホスファゼン誘導体:「KEMIDANT−302S」(商品名)(1,1,3,3,5,5−ヘキサ(アリールオキシ)シクロトリホスファゼン)、ケミプロ化成(株)製。
・リン酸エステル系難燃剤:「FP500」(商品名)(1,3−フェニレンビス(2,6ジメチルフェニルホスフェート)、旭電化工業(株)製。
また、基本の安定剤処方として、ポリプロピレンと難燃剤の合計量100重量部に対して、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト0.20重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を配合し、ヘンシェルミキサーを用いてブレンドして220℃に設定された押出機によって溶融混練及び押出して、ペレット状の難燃性ポリオレフィン組成物とした。この難燃性ポリオレフィン組成物を(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル(商品名)Tダイ押出機にて樹脂温度210℃にて押出し、温度40℃の回転ロールにて引取り、厚さ200μmのフィルムを作成し、上述の難燃性評価、及びブリード性評価を行った。
【0032】
実施例1〜7
表1に示す実施例1〜7は、本願発明のポリオレフィン樹脂にNOR型ヒンダードアミン化合物を0.5重量%以上と、ホスファゼン誘導体を0.3重量%以上添加した組成物のブリード性と難燃性能の結果である。これらの組成物は、良好なブリード性と難燃性能を示している。
【0033】
比較例1〜6
表1に示す比較例1〜3は、ポリオレフィン樹脂に難燃剤としてNOR型ヒンダードアミン化合物のみを0.5〜2重量%添加した組成物のブリード性と難燃性能の結果である。NOR型ヒンダードアミン化合物のみを添加した場合、ブリード性は良好ながら、1重量%で自己消化性が見られるものの残炎時間が長く、他は枠まで延焼しており難燃性能が不足しており本発明の目的とする水準の難燃性は得られなかった。
表1に示す比較例4〜5は、ポリオレフィン樹脂に難燃剤としてホスファゼン誘導体のみを0.5〜3重量%添加した組成物のブルーム性と難燃性能の結果である。NOR型ヒンダードアミン化合物のみを添加した場合、ブリード性は良好ながら、いずれも残炎時間が長く難燃性能が不足しており本発明の目的とする水準の難燃性は得られなかった。
表1に示す比較例6は、ポリオレフィン樹脂に難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤及びNOR型ヒンダードアミン化合物を各々1重量%添加した組成物のブルーム性と難燃性能の結果である。NOR型ヒンダードアミン化合物とリン酸エステル系難燃剤を添加した場合、難燃性は良好ながら、ブリード性が低い結果であり本発明の目的とする水準の性能は得られなかった。
【0034】
【表1】
Figure 2004323692
【0035】
【発明の効果】
本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂にホスファゼン誘導体及びNOR型ヒンダードアミン化合物を添加することにより、燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を用いることなく優れた難燃性を有し、かつブリードの発生が少ない。このため、この難燃性ポリオレフィン樹脂組成物を使用することによって、ブリードによる粘着、透明性低下、汚れ等のない難燃繊維や難燃フィルムを製造することができる。

Claims (3)

  1. ホスファゼン誘導体を0.25重量%以上と、NOR型ヒンダードアミン誘導体を0.025重量%以上とを含有することを特徴とする難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
  2. ホスファゼン誘導体が、下記一般式1で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
    Figure 2004323692
  3. NOR型ヒンダードアミン誘導体が、下記一般式2で表される基を含む化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物。
    Figure 2004323692
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